本記事では、北海道行政職員等採用試験の面接対策で必要な、北海道の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

北海道庁の面接試験では、「なぜ北海道を志望したのか」「道職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を道政でどう活かしたいか」といった、道の実情への理解を前提とする質問が想定されます。全国最大の面積に約500万人が暮らす北海道は、地域ごとに課題の姿がまったく異なるため、抽象的な回答では深掘りに耐えられません。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と北海道政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

北海道の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは北海道の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 道庁所在地は札幌市(中央区)。日本の最北に位置し、本州とは津軽海峡を隔てて向き合う、都府県とは成り立ちの異なる広域自治体である。
  • 総面積は83,422km²で、国土の約22.1%を占める全国第1位の広さ。一方で人口密度は67人/km²と全国平均の5分の1程度にとどまり、広い土地に人口が薄く分布している。
  • 総人口は約498.5万人(令和7年国勢調査速報)。同調査では前回から約23.9万人減少し、減少数・減少率とも調査開始以来最大となった。
  • 農業産出額は全国第1位で、カロリーベースの食料自給率は218%(全国第1位)に達する。生乳・小麦・たまねぎなど多くの品目で日本一を誇る、国内最大級の食料供給地である。
  • 豊かな自然・食・雪を資源とする観光地としても知られ、訪日外国人来道者数は令和6年度に約283万人まで回復。国際的な観光需要の受け皿になっている。
  • 広大な道内は、新千歳空港を中心とする航空網や高速道路、鉄道が生活と物流を支える。新千歳空港は道内外を結ぶ玄関口で羽田まで約100分、北海道新幹線は新函館北斗まで開業し、札幌延伸に向けた工事が進行中である。
  • 道財政は全国で最も厳しい水準にある。実質公債費比率や経常収支比率などの指標が全国最下位に並び、限られた財源で広域の行政サービスを維持する運営が続いている。

北海道の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「北海道の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、道土の広さ、経済規模、財政の状況など、道政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口約498.5万人(令和7年国勢調査速報)
総世帯数約246.5万世帯(1世帯当たり2.02人)
高齢化率(65歳以上)32.1%(2020年国勢調査)→2050年に42.6%の見通し
生産年齢人口割合(15〜64歳)57.2%(2020年国勢調査)
総面積83,422km²(全国第1位・国土の約22.1%)
人口密度67人/km²(全国平均338人/km²の約5分の1)
名目道内総生産約20兆5,409億円(令和3年度)
財政力指数0.46(令和6年度・全国25位)

人口・世帯数は令和7年国勢調査速報(令和7年10月1日現在)、年齢別割合は北海道データブック2025および令和5年推計、面積・人口密度はデータブック2025、道内総生産は令和3年度、財政力指数は令和6年度の数値です。人口の全国順位は基準となる調査により異なり、2020年国勢調査では全国第8位とされています。

数字から考えられる道政課題

北海道は今も全国有数の人口規模を持ちますが、規模の大きさをそのまま強みと捉えるのは不十分です。人口減少が過去にないペースで進んでいること、広い道内に集落が点在していること、高齢化と担い手不足が同時に進むことをあわせて考える必要があります。

実際、令和7年国勢調査速報では世帯数も前回から減少し、1世帯当たりの人員は2.02人まで縮んでいます。世帯数の減少は調査開始以来はじめてのことで、単身化と高齢化が同時に進むなかでは、人口の総数だけでなく世帯の姿の変化まで見据えた行政サービスの設計が求められます。

たとえば面接では、北海道の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「北海道は約500万人が暮らす大きな道ですが、令和7年の調査では人口の減りかたが過去にないペースになっていると聞きました。広い道内で人が住み続けられる地域をどう保っていくかが、これから特に大切になると考えています」

北海道の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 道内総生産は約20兆5,409億円(令和3年度)。産業別の構成比は第1次産業3.9%、第2次産業17.8%、第3次産業77.0%。
  • 全国平均(第1次1.0%・第2次26.5%・第3次71.9%)と比べると、第1次産業の比重が高く、第2次産業が小さいのが特徴。
  • 広い土地を生かした農業・漁業と、観光を含むサービス業が経済を支える構造になっている。

つまり、「第一次産業の比重が全国平均の約4倍あり、製造業は相対的に小さい」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用、食の話題に対応しやすくなります。(出典:北海道の農林水産業の概要|令和7年版

農業

北海道は日本の食料供給を支える中心地です。農業産出額は1兆3,478億円で全国の14.1%を占めて全国第1位。生乳・ばれいしょ・たまねぎ・小麦などが全国トップで、カロリーベースの食料自給率は218%と全国第1位です。

1経営体当たりの経営耕地面積は34.1ヘクタール(都府県の13.6倍)に及び、1戸当たりの乳用牛飼養頭数も158.9頭と、大規模で専業的な農業経営が展開されているのも大きな特色です。

道産食品の輸出も伸びており、令和4年の輸出額は1,768億円に達しました。(出典:北海道の農林水産業の概要|令和7年版

水産業

三方を海に囲まれた北海道は、豊富な海洋資源にも恵まれています。ほたてがいの海面漁業漁獲量は全国のほぼ全量、すけとうだらの海面漁業漁獲量は全国の92%を占め、いずれも漁獲量は全国第1位です。

農業とあわせて、北海道の一次産業は全国的にも突出した規模を持っています。面接で産業の話をするなら、こうした「食の強み」を、担い手の確保や輸出といった課題とセットで語れると説得力が増します。

観光業

観光は北海道経済のもう一つの柱です。令和6年度の観光入込客数(実人数)は約4,964万人(前年度比+3.9%)でした。延べ人数の系列では、市町村における観光入込客数の総数が1億5,321万人、宿泊客延べ数が4,045万人泊(前年度比+9.4%)で過去最高を記録しています。

訪日外国人来道者数は約283万人(前年度比+20.7%)で、国・地域別では韓国・台湾・中国の順に多くなっています。

実人数の内訳では日帰り客が3,375万人と全体の約7割を占めており、宿泊や道外からの誘客をどう伸ばすかが、観光による消費を地域に広げる鍵になります。

豊かな自然や食、雪を目当てに国内外から人が訪れる一方、来訪の集中や地域による偏りへの対応も政策課題になります。(出典:北海道観光入込客数調査|令和6年度

北海道の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、北海道が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「道の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と少子高齢化

令和7年国勢調査速報では、総人口が前回から約23.9万人減少し、その減少数・減少率はいずれも調査開始以来最大となりました。(出典:令和7年国勢調査速報(北海道)|北海道

将来推計でも、2050年には総人口が約382万人(2020年比で約27%減)まで落ち込み、高齢化率は2020年の32.1%から42.6%へ上がると見込まれています。(出典:日本の地域別将来推計人口(北海道)|令和5年推計

子育て支援だけでなく、若者の生活基盤、教育、雇用、医療・介護の担い手までを関連付けて考える必要があります。

広域自治体としての地域社会の維持

全国最大の面積に集落が点在する北海道では、人口減少がそのまま地域の存続に直結します。将来推計では、2050年に道内の全市町村で人口が減り、人口5千人未満の市町村は2020年の84から122へ増えると見込まれています。

2020年比で減少率が50%以上となる市町村は67に上るとされ、集落の維持そのものが問われる地域も少なくありません。広い道内で行政サービスや生活インフラをどう保つかが、都府県以上に切実な課題です。

デジタル技術の活用や自治体間の広域連携が、その手立てとして重みを増しています

財政の健全化

北海道の財政は全国で最も厳しい部類にあります。令和6年度の実質公債費比率は20.0%、経常収支比率は99.8%で、いずれも全国最下位。将来負担比率も307.0%と高い水準です。

一方で財政力指数は0.46(全国25位)と全国のほぼ中位にあり、指標によって位置づけが異なる点は押さえておきたいところです(参考:都道府県別主な財政指標一覧|令和6年度

令和8年度の一般会計当初予算は3兆1,681億円規模ですが、道は今後も多額の収支不足が見込まれるとして、持続可能な財政構造の確立を課題に掲げています。(参考:北海道の財政状況の公表|令和8年度

政策を語るときは「限られた財源で優先順位をつける」視点が欠かせません。

大規模災害への備え

北海道は、地震・津波をはじめとする大規模災害のリスクを抱えています。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定(令和4年)では、早期避難率が低い場合の死者数が最大で約14.9万人に達し、建物の全壊も最大で約13.4万棟に上るとされました。

一方で、避難への呼びかけが行き届いて早期の避難が進めば被害を大きく減らせることも示されており、住民の避難行動をどう後押しするかが防災の要になります。

沿岸部の産業や広域の交通網を守る危機管理も重要です。(参考:巨大地震の被害想定|令和4年

基幹産業の持続と広域交通

全国一の食料基地を支える農林水産業や、回復が進む観光業は、いずれも担い手の確保や地域偏在という課題を抱えています。道産食品の輸出額は令和4年に1,768億円まで伸び、海外需要の取り込みは基幹産業の伸びしろですが、それを担う人の確保が前提になります。

広域交通では、北海道新幹線の札幌延伸について、鉄道・運輸機構が令和12年度末の完成・開業は極めて困難と国に報告するなど、見通しの変化も生じています。基幹産業と交通インフラを次世代へどうつなぐかが、地域の持続可能性を左右します。

北海道の重点政策|令和8年度の重点施策

北海道は「令和8年度予算の概要」の中で、令和8年度重点政策の基本的な視点として「暮らしの安心」と「未来を見据えた挑戦」の2つを掲げ、その下に7つの分野を置いています。全体を貫くキャッチフレーズは「成長の『種火』を大きく育て 本道の持続的発展につなげる」です。(出典:令和8年度予算の概要 第3章 重点政策の概要|北海道

計画を貫く考え方

2つの視点の根底にあるのは、産業を伸ばして稼ぐ力を高めることと、道民の暮らしの安心を守ることを同時に進めるという考え方です。受験生としては、①北海道の強みである産業をどう伸ばすか ②人口が減り財政も厳しい中で暮らしの安心をどう保つか ③地域ごとの個性をどう生かすか、という三つの問いに整理して理解しておくとよいでしょう。

2つの視点と7つの分野

基本的な視点分野(令和8年度予算額)
暮らしの安心豊かで安全・安心な暮らしの確保(288億円)
地域医療や福祉の充実(415億円)
「こどもまんなか社会」の実現(496億円)
個性を活かした持続可能な地域づくりと地域を支える人づくり(95億円)
未来を見据えた挑戦地域との共生や環境との調和を前提とした良質な投資と産業・人材の集積(93億円)
農林水産業(食)・観光など地域産業の生産性向上や戦略的・持続的発展(755億円)
豊かな自然と歴史・文化など本道の魅力発信(14億円)

面接では、自分の取り組みたい仕事がどの分野に位置づくのかを一言添えられるだけで、道の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

令和8年度の道政運営のポイント

令和8年度の一般会計当初予算は3兆1,681億円(前年度比103.9%)で、特別会計を含む総額は4兆2,058億円規模です。

個別の施策では、「豊かで安全・安心な暮らしの確保」の分野に、出没対策・捕獲対策や地域対応力の強化にAI・ICTの活用を加えたヒグマ対策推進費(6億5百万円)、カムチャツカ半島沖地震の対応を振り返って災害対応の効率化・迅速化を図る北海道防災情報システム改修費(22百万円)、持続的な賃上げに踏み出せる環境を整えるための中小・小規模企業賃上げ環境整備等支援事業費(54億14百万円)などが並びます。

一方で、道財政は今後も多額の収支不足が見込まれ、実質公債費比率も高い水準で推移する見通しにあるため、財政の健全化と重点施策の両立が運営の基調になっています。

POINT|重点政策をすべて暗記しなくてよい

施策の名前をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②道はどんな状態を目指すか → ③現在の取り組み → ④道だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「北海道の農業を盛り上げる仕事がしたいです」

改善例「北海道は食料自給率が200%を超える全国一の食料基地ですけれども、担い手の高齢化が進んでいると聞きました。若い人が農業に入りやすくなるような支援に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 北海道行政職員等採用試験の受験案内/職員採用案内・職種紹介
  • 北海道データブック(人口・産業・観光などの統計を分野別に収録)
  • 最新年度の当初予算・財政状況の公表/関心分野の個別計画
  • 北海道の農林水産業の概要(一次産業の強みと課題)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、北海道庁専用の面接想定問答集をご用意しています。北海道の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

北海道庁の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

北海道の面接の概要

ここからは、北海道の採用試験の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

北海道の採用試験の流れ

北海道の採用試験で押さえておきたいのは、令和8年度から試験制度が大きく見直され、筆記の負担を軽くする方向へ変わった点です。区分によって筆記試験の一部が廃止され、オンライン試験(SPI)が導入されるなど、面接をはじめとする人物評価の比重が相対的に高まっています。(出典:北海道職員採用試験の制度改定|令和8年度

項目内容(令和8年度)
実施機関北海道人事委員会事務局任用課
主な受験区分A区分(大卒程度)・B区分(高卒程度)・C区分(職務経験者)・経験不問区分(就職氷河期世代対象)。各区分に事務系・技術系があります
A区分の受験機会大卒程度のA区分は、年に3回受験する機会があります
主な変更点(A区分事務系)オンライン試験(SPI)を導入。小論文試験を廃止し、6月試験の職務基礎力試験を教養試験に変更しました
主な変更点(C区分・経験不問)C区分事務系と経験不問区分では面接を2回から1回に変更。C区分技術系は筆記試験を廃止し、書類選考と面接試験を実施します
人物試験の形式・配点個別/集団の別や面接回数、配点は、本記事の作成時点で公表資料から確認できません。最新の受験案内でご確認ください
提出書類(面接カード等)名称・様式は最新の受験案内でご確認ください

制度改定の方向性から読み取れるのは、筆記で高得点を取ることよりも、自分の経験や志望を面接で自分の言葉として語れるかの重みが増しているということです。

上記は北海道職員採用試験の令和8年度制度改定に関する公表資料にもとづく構成です。試験の構成・日程・配点・提出書類等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。特に令和8年度は制度が大きく改定されているため、令和7年度以前の受験案内の記述をそのまま流用せず、受験の際は必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

北海道が求める人物像

本記事の作成時点で確認できた公表資料の範囲では、北海道が「求める人物像」を一つの決まった標語として大きく掲げている様子は見当たりませんでした。ただ、令和8年度の制度改定や重点政策からは、どんな人材が期待されているかを読み取れます

筆記の負担を軽くして受験の門戸を広げた採用姿勢からは、多様な経験を持つ人が挑戦しやすい仕組みへ向かう意図が感じられます。

また、全国最大の面積を持つ北海道では、地域ごとに異なる住民の暮らしに向き合う場面が多く、相手の立場に立って粘り強く物事を進められる姿勢が、どの職種でも土台になります

実際の面接では、公表されている最新の採用案内にも目を通し、道が発信しているメッセージを自分の言葉に置き換えて準備しておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。北海道の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場まで、どのように来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ北海道職員を志望するのですか?「道で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか
③ 自己理解あなたの長所と短所を教えてください自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も力を入れて取り組んだことは何ですか?過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています
⑤ 学業・経歴学生時代(または前職)で学んだことを教えてください自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか
⑥ 適性・将来採用されたら、どんな仕事に取り組みたいですか?働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し
⑦ 公共性・社会性最近、関心を持っている社会の動きはありますか?社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点

ただし、この7カテゴリーは北海道に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのが実情です。

では、どこで差がつくのか。それが次の「北海道ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「北海道ならでは」の質問

「北海道の課題は何だと思いますか。あなたなら道職員として、どう取り組みますか?」
「なぜ市役所ではなく、北海道庁を志望するのですか?」

どちらも、北海道の現状と道の政策を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「北海道の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい北海道の事実答え方のヒント
人口減少令和7年国勢調査速報で総人口は約498.5万人。前回から約23.9万人減(△4.6%)で、減少数・減少率とも調査開始以来最大。2050年には約382万人と推計「全国有数の規模でも減少がここまで進む」という危機感を、地域や暮らしの維持の話へつなげると厚みが出ます
広域と地域維持面積は全国最大で国土の約22.1%。2050年には人口5千人未満の市町村が84から122へ増えると見込まれる広い北海道で行政サービスをどう保つかという視点で、デジタル活用や広域連携に触れると具体的になります
財政令和6年度の実質公債費比率20.0%・経常収支比率99.8%がいずれも全国最下位。財政力指数は0.46(全国25位)で全国のほぼ中位「限られた財源で優先順位をつける」姿勢を、自分が工夫して物事を進めた経験と結び付けます
食料基地農業産出額は全国第1位、食料自給率は218%で全国第1位。ほたて・すけとうだらの漁獲量も全国第1位北海道の強みを、担い手の確保や輸出などの切り口で語ると、産業政策への関心が伝わります
防災日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震で死者は最大約14.9万人と想定。早期避難が進めば被害を大きく減らせるとされる被害の大きさだけでなく、早期避難など「減らせる被害」に着目すると、実践的な問題意識が示せます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 道職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、応募者がこれまでに「実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

ここでは、北海道の仕事の性格を踏まえて意識したい観点を整理します。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
主体性・チャレンジ精神自分から動き出した経験や、うまくいかない状況を工夫で前に進めた経験。全国最大の面積を持つ北海道の現場を思い描いて確かめられる令和8年度の採用は筆記の負担を減らして挑戦しやすくなった分、「なぜやろうと思い、何を変えたか」を自分の言葉で話せるようにしておく
相手の立場で考える力困っている人にどう関わったか、立場の違う相手に合わせた経験広い北海道では相手の状況が地域ごとに違う。立場の違う相手に合わせて工夫した経験を、その場の状況と結果までセットで話せるようにする
学び続ける姿勢と課題解決力つまずきの原因を整理し、解決策を考えられるか人口減少や財政など正解のない課題に向き合う仕事なので、学業や資格の勉強でぶつかった壁を、原因の分析と打った手まで一つの流れで語れるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、自分の受験区分の試験構成と、提出書類の記入項目を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトや前職から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を「知っておきたい北海道の事実」の表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を道の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で道の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、北海道庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

北海道の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

北海道庁の想定問答集を見る

さいごに

北海道の採用試験は令和8年度に大きく見直され、筆記の負担が軽くなった一方で、面接で自分をどう伝えるかの重みは相対的に増しています

広い北海道には、人口減少や財政、食と観光、防災まで、地域ごとに姿の違う課題が広がっています。

その中で自分が何をしたいのかを、これまでの経験と結び付けて語れるように準備を重ねていけば、面接での言葉は着実に具体的になっていきます。

本記事で触れた数字や政策は、すべてを暗記するのではなく、自分の志望とつながる一つか二つを選んで深めることが近道です。あなたの挑戦を心から応援しています。