本記事では、江別市職員採用試験の面接対策で必要な、江別市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
江別市役所の面接試験では、「なぜ江別市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。江別市の場合、第二次試験は面接だけで組まれ、3回の面接を重ねて最終合格者が決まります。
市の実情をどこまで自分の言葉にできているかが、そのまま結果に響く試験です。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と江別市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
江別市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは江別市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 北海道の石狩振興局管内にあり、道都である札幌市に隣接する人口約11万7千人の市である。
- 人口は117,761人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、道内の市のなかでは7番目の規模にあたる。
- 総面積は187.38km²で、道内の市のうち小さいほうから7番目。つまり人口の多さと市域の狭さが同時に当てはまる市である。
- 人口密度628人/km²は、道内の市では札幌市・室蘭市に次ぐ3番目の高さ。北海道全体の水準(約67人/km²)の9倍を超える。
- 石狩振興局の札幌市・北広島市・当別町・新篠津村と、空知総合振興局の岩見沢市・南幌町という6つの市町村に接し、2つの振興局にまたがって隣り合う位置にある。
- 市役所は高砂町6番地に置かれ、市の花はキク、市の木はナナカマドに定められている。
- 職員採用試験の受験資格には「採用後、江別市内に居住が可能な方」という条件が置かれている(令和8年度・一般事務職/大学の部)。
- 試験案内の冒頭に掲げられた「★江別市が求める人材★」も、第一に「自ら市内に居住し、市民目線で貢献心を持って取り組める人」を挙げている。
- 北海道全体では、令和7年国勢調査の速報値で調査開始以来最大の人口減少が記録された。道全体が縮むなかで札幌都市圏の一角を占めるという条件が、市政を考えるときの出発点になる。
江別市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「江別市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、人口密度、隣り合う自治体との関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。あわせて、江別市の位置づけを測る物差しとして、北海道全体の数値も並べています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 117,761人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 人口の道内順位 | 道内の市のなかで7番目 |
| 総面積 | 187.38km²(道内の市のなかで小さいほうから7番目) |
| 人口密度 | 628人/km²(上記の総人口と総面積から算出。道内の市では3番目の高さ) |
| 所属振興局 | 石狩振興局 |
| 隣接自治体 | 札幌市・北広島市・石狩郡当別町・石狩郡新篠津村/岩見沢市・空知郡南幌町 |
| 市役所所在地 | 江別市高砂町6番地 |
| 市の花・市の木 | キク/ナナカマド |
| (参考)北海道の総人口 | 約498万5千人(令和7年10月1日現在) |
| (参考)北海道の人口密度 | 約67人/km²(2020年時点、全国で最も低い水準) |
江別市の総面積・所属振興局・隣接自治体・市役所所在地・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値です。道内順位は、北海道にある35の市のうち、人口・面積を確認できた34市を当研究会が比較したものです。北海道の総人口は令和7年国勢調査の速報値(令和7年10月1日現在)、北海道の人口密度は北海道データブック2025(2020年国勢調査に基づく数値)によります。調査や時点が異なるため、単純な比較はできない点にご注意ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
江別市の人口密度628人/km²は、北海道全体の水準である約67人/km²の9倍を超えます。北海道の人口密度は全国で最も低く、全国平均338人/km²の5分の1ほどですから(出典:北海道データブック2025|人口統計)、江別市は全国平均を上回る密度で人が暮らしている、道内では例外的な市だといえます。
市域が広くない分、職員が現場へ足を運びやすく、行政サービスを行き渡らせやすい環境でもあります。
ただし、その土台となる北海道全体の人口は縮んでいます。令和7年国勢調査の速報値では、前回調査(令和2年)から23万9,195人(4.6%)の減少となり、この減少数・減少率はいずれも調査開始以来最大でした。
世帯数も11,432世帯(0.5%)減り、減少に転じたのは調査開始以来はじめてです(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|北海道)。
道全体が縮むなかで、住む場所として選ばれ続けられるかが、江別市政を貫く問いになります。
たとえば面接では、市の現状を説明する場面で、次のように数字と課題を結び付けられます。
江別市の経済・産業
経済構造の概観
江別市単独の市内総生産や事業所統計など、市の経済規模を示す数値を当研究会は確認できていません。ここでは、江別市が属する北海道全体の産業構造を手がかりに、地域経済のなかでの位置づけを整理します。
- 北海道全体の道内総生産は20兆5,409億円(令和3年度)。産業別の構成比は第1次産業3.9%(全国1.0%)、第2次産業17.8%(全国26.5%)、第3次産業77.0%(全国71.9%)となっている。
- 農業産出額は1兆3,478億円で全国の14.1%を占め全国第1位。生乳・ばれいしょ・たまねぎ・小麦など、多くの品目で全国一の産地となっている。
- 1経営体当たりの経営耕地面積は34.1haで都府県の13.6倍。カロリーベースの食料自給率は218%(令和4年度概算値)で、これも全国第1位。
つまり、「一次産業の比重が全国平均より高い北海道のなかで、道都に隣接する人口密集地を担う市」という位置づけを押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。
江別市自身の主要産業や事業所の構成については、市の公式サイトや統計資料であわせて確認しておきましょう。(出典:北海道の農林水産業の概要|令和7年版)
石狩と空知の境目という位置
江別市の隣接自治体を並べると、石狩振興局側に札幌市・北広島市・当別町・新篠津村、空知総合振興局側に岩見沢市・南幌町が並びます。道都に接する一方で、農業が地域の土台になっている空知側にも接しているのが、この市の地理的な特徴です。
この位置は、市の仕事の幅にも表れます。人が密集する市街地で必要になる住まい・子育て・交通の施策と、広い土地を前提とした産業や環境の施策が、どちらも同じ役所のなかで動きます。
志望動機を語るとき、どちらか一方の顔だけを見て「江別市はこういうまちだ」と決めつけないほうが、面接では安全です。
道内経済を動かす観光と、江別市の距離感
北海道経済を語るうえで外せないのが観光です。令和6年度の観光入込客数(実人数)は4,964万人で前年度比3.9%増、訪日外国人来道者数は約283万人(同20.7%増)と、過去最高だった平成30年度に次ぐ水準まで戻りました。
宿泊客の延べ数は4,045万人泊(前年度比9.4%増)で過去最高です(出典:北海道観光入込客数調査|令和6年度)。
ただし、この人の流れがそのまま江別市に落ちてくるわけではありません。観光地としての知名度で勝負するまちと、住む場所として選ばれてきたまちでは、経済の組み立て方が違います。
面接で観光に触れるなら、有名な観光地を並べるのではなく、道全体に来ている人の流れを自分のまちの側からどう受け止めるかという角度で考えると、市職員としての視点になります。
江別市の主な行政課題
ここまでの数字とまちの姿を踏まえると、江別市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口が減る北海道のなかで住む場所として選ばれ続けられるか
日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)では、2050年の北海道の総人口は2020年比で約27%減の382万人と見込まれています。65歳以上人口の割合は2020年の32.1%から2050年には42.6%へ上がり、生産年齢人口(15〜64歳)の割合は57.2%から48.9%へ下がる推計です。
そして2050年には道内のすべての市町村で人口が減少する見通しが示され、2020年比で50%以上減る市町村は67に上るとされています(出典:日本の地域別将来推計人口(北海道)|令和5年推計)。
札幌市に隣接し、人が集まっているという条件は、この流れのなかでは有利に働きます。ただし、有利であることと減らないことは別です。
子育て世代に住まいとして選ばれ、その人たちが年齢を重ねても暮らし続けられる市であるための施策が問われます。
密に暮らすまちの生活基盤をどう保つか
人口密度が道内の市で3番目という数字は、裏を返せば、道路や上下水道、公共施設といった生活基盤が濃く敷かれているということでもあります。
北海道全体では、令和7年国勢調査の速報値で世帯数がはじめて減少に転じ、1世帯当たり人員も2.02人と前回調査から0.09人減りました。
世帯が小さくなりながら数も減っていく段階に入れば、同じ量の基盤を同じように維持することは難しくなります。
一般事務職の配属先に水道部が含まれているとおり、こうした生活基盤の運営も市職員が担う仕事です。新しく造ることよりも、あるものをどう保つかを考える場面が増えていきます。
厳しい財政環境のなかでの行政運営
江別市単独の財政指標は公表資料からは確認できませんが、道内の自治体が置かれた環境は、北海道全体の数字からうかがえます。
令和6年度の実質公債費比率は20.0%で全国最下位、将来負担比率は307.0%で全国46位、経常収支比率は99.8%で全国47位、財政力指数は0.46で全国25位でした(出典:都道府県別主な財政指標一覧|令和6年度)。実質公債費比率は、地方債の発行に許可が必要となる18%を上回る水準です。
限られた財源をどこへ重点的に配分するかという判断は、道でも市町村でも避けて通れません。
新しい事業を挙げて志望動機を語るときは、そのために何を見直すのかまで考えておくと、掘り下げられても崩れません。
大規模災害への備え
北海道の防災を考える前提になっているのが、令和4年に示された日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定です。
早期避難率が低い場合の死者数は最大で約14万9千人、建物全壊棟数は最大で約13万4千棟と想定されています。
一方、早期の避難を呼びかけた場合には、千島海溝モデルの冬の深夜で死者数を約5万人まで減らせるとも示されており、避難行動そのものが被害の大きさを左右することが数字に表れています(出典:日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定|令和4年)。
江別市がどの災害をどう想定しているかは、市の地域防災計画やハザードマップで必ず確認しておきましょう。避難所の運営や情報伝達は、市の規模にかかわらず職員が担う仕事です。
江別市の重点政策|市政運営と道内の背景
江別市独自の総合計画や重点施策の名称について、当研究会が確認できている公式資料は限られています。ここでは、市が採用の場で自ら書いている仕事の輪郭と、江別市が属する北海道の財政運営の方針を整理し、市政を理解する土台とします。
公式の言葉で読む「市の仕事の範囲」
江別市の一般事務職について、試験案内は職務内容を「市長部局、教育委員会、水道部などに配属され、総務、企画、福祉、教育、水道などの一般行政事務に従事します」と説明しています。
短い一文ですが、市役所の仕事の輪郭がよく表れています。市長部局だけでなく教育委員会や水道部まで配属先に含まれ、扱う分野は総務から水道まで広がります。
人口11万人台の市役所では、一人の職員が受け持つ分野が数年ごとに大きく入れ替わることも珍しくありません。
志望動機を一つの分野に絞り込みすぎると、希望と違う部署への配属を問われた場面で行き詰まります。関心のある分野は明確に語りつつ、市の仕事全体を引き受ける構えもあわせて見せておきましょう。
「市内に住んで働く」という前提
江別市の採用でもう一つ押さえておきたいのが、居住に関する考え方です。一般事務職・大学の部の受験資格には「採用後、江別市内に居住が可能な方」という条件が置かれ、市が求める人材の第一項も「自ら市内に居住し、市民目線で貢献心を持って取り組める人」となっています。
ここから読み取れるのは、市が職員に期待しているものが、窓口の向こう側にいる住民としての実感だということです。
ごみの出し方も、冬の暮らし方も、子どもの通学路も、そこに住んでいれば自分ごとになります。
札幌市に隣接しているからこそ、あえて江別市に住んで働くことを選ぶ理由を、面接では自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
北海道全体の財政運営の方針
令和8年度の北海道一般会計当初予算は3兆1,681億9百万円(前年度比103.9%)、特別会計を含む当初予算総額は4兆2,058億3,838万円(同102.4%)です。
道財政は今後も多額の収支不足額が見込まれ、実質公債費比率も高い水準で推移するなど厳しい状況が続く見通しにあり、持続可能な財政構造の確立に向けて財政の健全化に不断に取り組む必要があるとされています(出典:財政状況の公表|令和8年度当初予算)。
市町村もまた、この道内全体の環境のなかで行政サービスを組み立てています。
POINT|計画の名前を覚えることが自治体研究ではない
名称を言えることが目的ではありません。①江別市の人口規模と立地を知る→②その条件のもとで自分が関わりたい仕事を考える→③市が実際に行っている取り組みを公式サイトや広報紙で調べる→④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で準備しましょう。
悪い例「江別市の発展に貢献したいです」
改善例「はじめは窓口や電話の対応から、市民の方の話を最後まで聞ける職員になりたいです。その上で、江別市は道内の市のなかでも人が密に暮らしている市だと知りましたので、近くに人がいるという条件を生かして、子育て世帯と地域をつなぐ仕事に関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 江別市職員採用試験の受験案内(最新年度・志望する職種と区分のもの)
- 市ホームページに掲載される「江別市職員採用試験 論文課題」の指定様式
- 江別市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
- 北海道の当初予算・統計資料(道内における江別市の位置づけを知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、江別市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。江別市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
江別市役所の面接の概要
ここからは、江別市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
江別市役所の面接の流れ
令和8年度の一般事務職・大学の部は、第一次試験がSPI3、第二次試験が面接という2段階の構成です。第一次試験はテストセンター方式で、受験者が会場と日時を選んで予約します(出典:江別市職員採用試験案内(一般事務職・大学の部)|令和8年度)。
| 項目 | 内容(令和8年度・一般事務職/大学の部) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第一次試験・第二次試験の2段階。段階ごとに合格者を絞り込みます |
| 第一次試験 | SPI3(①性格検査 ②基礎能力検査)。性格検査は基礎能力検査の前に自宅等のパソコンやスマートフォンで受験し、第二次試験の参考資料として使われます |
| 受験の方式 | テストセンター方式。札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡等に開設された会場やオンライン会場から、受験者が会場と日時を選んで予約します |
| 第二次試験 | 面接試験。「面接により、主として人物評価を行います。」と記載されています |
| 面接の回数 | 3回。「3回の面接で段階的に最終合格者を選考します。」と明記されています |
| 面接の形式 | 個別面接か集団面接かの別、集団討論の有無について、試験案内に記載はありません。最新の受験案内でご確認ください |
| 配点 | 基礎能力検査80点。面接の配点や第一次・第二次の得点の扱いについては、試験案内に記載はありません |
| 提出書類 | 申込時に顔写真と「江別市職員採用試験 論文課題」(指定様式・自筆・スキャンデータ)を提出。第二次試験の提出物は第一次試験の合格者へ別途知らされます |
| 受験資格 | 平成9年4月2日以降に生まれ、学校教育法による大学(短大を除く)を卒業した方、または今年度末までに卒業見込みの方(これらに相当する学歴を有すると市長が認める方を含む)。あわせて「採用後、江別市内に居住が可能な方」であること |
| 採用予定数 | 若干名 |
| 併願 | 二つ以上の職種・区分の試験に申し込むことはできません |
| 試験結果の提供 | 不合格者に限り請求でき、内容は第一次試験の得点と総合順位。面接の得点は含まれません |
| 初任給 | 232,000円(令和8年4月1日現在。職歴に応じ加算されることがあります)。期末手当・勤勉手当のほか寒冷地手当が支給されます |
上記は令和8年度江別市職員採用試験(一般事務職・大学の部)の試験案内にもとづく内容です。令和8年度の一般事務職には、ほかに「社会人経験者の部」「障がい者の部(第1回・第2回)」があり、段階構成や試験種目が異なる可能性があります。また、試験案内のファイルは年度ごとに差し替えられます。直近の受験者数・合格者数などの実施結果は、当研究会では未確認です。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。
注目してほしいのは、この試験で受験者が積み上げられるものがどこにあるかです。第一次試験のSPI3は、性格検査・基礎能力検査ともに「公務員試験対策不要の検査です」と案内されています。
そして第二次試験は面接試験だけで組まれ、3回の面接を重ねて段階的に最終合格者が決まります。
さらに、試験結果の提供対象は第一次試験の得点と総合順位に限られ、面接の評価は受験者側から見えません。
配点そのものが公表されていないため比重を断定はできませんが、少なくとも筆記の点数を積み上げて逃げ切るという戦い方が成り立ちにくい試験だとはいえます。
加えて第一次試験は全国主要都市の会場やオンラインからも受験できるため、江別市から遠い場所に住む人も応募しやすい入口になっています。それだけに、面接では「なぜ江別市なのか」がいっそう丁寧に確かめられると考えておきましょう。
申込みの段階で提出する「論文課題」
江別市の申込みで特徴的なのが、WEB申込みの時点で「江別市職員採用試験 論文課題」を提出する点です。市ホームページに掲載された指定様式をA4判で印刷し、自筆で記載したうえでスキャンデータを添付します。
楷書・算用数字で書くこと、表面1枚のみで用紙の追加や裏面・欄外への記載は認められないことも定められています。
手書きの文章には、書いた人の考え方がそのまま残ります。面接に進んだとき、この論文が面接官の手元にあると考えて準備するのが自然です。
書いた内容と面接での発言がずれないよう、提出前に自分の言葉の芯を決めておきましょう。
なお「面接カード」という名称の様式は、公表資料では確認できていません。第二次試験の提出物は、第一次試験の合格者へ別途知らされる運用です。
江別市役所が求める人物像
江別市の場合、求める人物像は試験案内の冒頭にはっきりと書かれています。「★江別市が求める人材★」として掲げられているのは、「自ら市内に居住し、市民目線で貢献心を持って取り組める人」「自ら考え、情熱を持って積極的に行動できる人」「自ら目標を持って、その実現のために絶えず努力できる人」の3点です。
三つとも「自ら」で始まっている点に注目してください。誰かに言われて動くのではなく、自分で決めて動くことが共通して求められています。
しかも第一項には居住が入っており、江別市で暮らす当事者であることが最初に置かれています。
自己PRでは「主体性があります」と述べるだけでなく、自分で決めて動いた結果、周りや相手がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。江別市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらから来られましたか | 身構えていない場面での受け答えのテンポと表情 |
| ② 動機・志望 | 数ある市町村のなかで、なぜ江別市なのですか | 公務員という職業への動機で止まらず、この市を選んだ理由まで言葉になっているか |
| ③ 自己理解 | 周りの人からは、どんな人だと言われますか | 自己認識と、他者から見た自分を突き合わせられているか |
| ④ 経験・行動 | 途中で思うようにいかなかった取り組みについて教えてください | うまくいった話ではなく、行き詰まった場面での考え方と動き方 |
| ⑤ 学業・経歴 | 力を入れて学んだことを、専門外の人に伝わるように説明してください | 相手に合わせて言葉を選ぶ力と、学びを仕事へつなぐ視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 水道部のように希望とは違う部署へ配属されても大丈夫ですか | 市の仕事の広がりをどこまで知っているか。配属への構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった地域のニュースを教えてください | 身近な社会の動きへの関心と、自分の考えを短く言える力 |
ただし、この7カテゴリーは江別市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「江別市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「江別市役所ならでは」の質問
とくに1問目は、江別市では重みのある質問です。受験資格に市内居住が織り込まれている以上、道全体を相手にする仕事ではなく、この市で暮らしながら働くことを選ぶ理由が正面から問われるからです。
どちらも江別市の現状を知らなければその場では組み立てようのない質問ですが、裏を返せば、準備した人だけが具体的に答えられる質問でもあります。
こうした場面で使える「江別市の事実」を、面接で扱いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい江別市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| まちのスケール | 人口117,761人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で道内の市のなかで7番目。面積187.38km²は小さいほうから7番目で、人口密度628人/km²は3番目 | 「北海道では珍しく、狭い範囲に人が集まっている市」と一言で位置づけてから、移動距離が短いぶん職員が現場に出やすいという行政サービスの話へつなげます |
| 市内に住んで働くこと | 受験資格に「採用後、江別市内に居住が可能な方」とあり、市が求める人材の第一項も「自ら市内に居住し、市民目線で貢献心を持って取り組める人」 | 住めるかどうかの可否だけを答えると条件確認で終わります。市民として暮らす自分と職員として働く自分が同じ場所で重なることを、どう受け止めているかまで話しましょう |
| 石狩と空知にまたがる立地 | 札幌市・北広島市・当別町・新篠津村と、岩見沢市・南幌町の6市町村に接し、2つの振興局にまたがる | 「札幌のとなり」だけで語ると、まちの半分しか見ていないことになります。農業が土台にある空知側にも接している点を添えると、市の見方の広さが伝わります |
| 北海道全体の人口と財政 | 令和7年国勢調査の速報値で道の人口は前回比4.6%減と過去最大の落ち込み。令和6年度の道の実質公債費比率20.0%・経常収支比率99.8%はいずれも全国最下位の水準 | 道の数字をそのまま江別市の数字として語らないことが前提です。厳しい環境が共通している点を述べたうえで、新しい取組を挙げるなら財源をどう工面するかまで触れます |
| 面接3回という選考 | 第二次試験は面接試験のみで、「3回の面接で段階的に最終合格者を選考します。」と試験案内に明記。試験結果の提供は第一次試験の得点と総合順位に限られる | 3回とも同じ話を繰り返せば底が見えます。志望動機の中心は一つに定めたうえで、それを支える経験の引き出しを複数そろえておきましょう |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、市が公表している「求める人材」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民目線で貢献しようとする姿勢 | 暮らす人の側から物事を見た経験があるか。自分の都合ではなく相手の事情に合わせて動いた場面 | 江別市は「自ら市内に居住し」を求める人材の筆頭に挙げています。住民として関わった地域行事やボランティアなど、生活者の立場で動いた経験を一つ選んでおきましょう |
| 自ら考えて行動する力 | 指示を待たずに動き出した経験と、その途中で判断を変えた場面 | 求める人材の第二項「自ら考え、情熱を持って積極的に行動できる人」に対応します。採用予定数が若干名という試験では、何をどこまで自分で決めたのかという説明の細かさが差になります |
| 目標を立てて続ける力 | 成果が出ない時期に何を変えて続けたか | 第三項の「自ら目標を持って、その実現のために絶えず努力できる人」に対応します。面接を3回重ねる選考では、結果だけでなく途中経過まで語れる題材のほうが持ちこたえます |
なお、公務員の面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
江別市は面接が3回あるため、同じ題材を角度を変えて何度も問われる前提で備えておく必要があります。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験案内を読み、志望する区分の試験の段階と受験資格を確認する。江別市は職種・区分をまたいだ申込みができないため、どの区分で受けるかを最初に決める
- 申込時に提出する「江別市職員採用試験 論文課題」の指定様式を市ホームページで確認し、書く内容を先に固める。面接でここに書いたことを尋ねられる前提で組み立てる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 「江別市が求める人材」の3項目に、自分の経験を1つずつ当てはめてみる。当てはめられない項目があれば、そこが準備の穴になる
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口密度、石狩と空知の両方に接する立地、道全体の人口減といった事実から、志望分野に近いものを2つか3つ選び、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の対応表から材料を集め、声に出して練習する。面接が3回ある前提で、同じ話を繰り返さずに済むよう引き出しを複数そろえておく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究と、ステップ6の固有質問への備えは、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、江別市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
江別市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
江別市の一般事務職・大学の部は、第一次試験がテストセンターで受けるSPI3、第二次試験が面接という2段階の構成です。
試験案内には「3回の面接で段階的に最終合格者を選考します。」と書かれ、筆記の側は「公務員試験対策不要の検査です」と案内されています。
つまり、この試験で受験者が自分の力で積み上げられるものの多くは、面接の側に集まっています。
人口は道内の市で7番目、市域はさほど広くはなく、札幌市と農業地帯の両方に接しています。この輪郭のなかで、自分はどんな市民と向き合い、何を担いたいのか。
採用後に江別市内へ住むことまで含めて考えたとき、答えは借り物ではない言葉に変わります。3回の面接で問い直される試験ですから、話せる経験を一つずつ増やして本番に臨んでください。