本記事では、小樽市職員採用試験の面接対策で必要な、小樽市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

小樽市役所の面接試験では、「なぜ小樽市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度前期日程の事務は、第1次のSPI3を通過したあとに集団討論と面接試験が続く構成で、筆記以外の段階はすべて人物を見る場にあてられています。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と小樽市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

小樽市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは小樽市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 後志総合振興局の管内にありながら、振興局の境をまたいで石狩振興局の札幌市・石狩市とも接している市。後志側で隣り合うのは余市町と赤井川村。
  • 人口は102,385人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。北海道全体の人口のおよそ2%にあたる規模。
  • 面積は243.87km²。全国で最も広い北海道(83,422km²)のなかでは、0.3%ほどを占めるにすぎない。
  • 人口密度は420人/km²。2020年時点の北海道全体の値は約67人/km²で、小樽市はその6倍を超える密度。道内では人が集まっているほうの市。
  • 市境の向こう側には人口195万4,588人(2026年4月30日時点)の札幌市がある。道内最大の都市と直接隣り合う位置にある。
  • 市の花はツツジ、市の木はシラカンバ(いずれも昭和43年5月28日制定)。
  • 市は「自然と人が紡ぐ笑顔あふれるまち小樽」の実現を掲げており、この言葉は市公式ホームページのサイトタイトルにも使われている。
  • 北海道全体では、人口減少が統計にはっきりと表れている。令和7年国勢調査の速報値は前回調査(令和2年)から23万9,195人(4.6%)減で、減少数・減少率とも調査開始以来最大。

小樽市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「小樽市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、人口密度、周辺自治体との位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。小樽市単独の経済統計は当研究会では確認できていないため、比較の物差しとして北海道全体の数値もあわせて示します。

項目内容
総人口102,385人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積243.87km²
人口密度420人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
所属振興局後志総合振興局
隣接自治体余市町・赤井川村(後志総合振興局)、札幌市・石狩市(石狩振興局)の2市1町1村
市役所所在地小樽市花園2丁目12番1号
市の花・市の木ツツジ・シラカンバ(昭和43年5月28日制定)
(参考)北海道の総人口約498万5千人(令和7年10月1日現在)
(参考)北海道の総面積83,422km²(全国第1位・国土の約22.1%)
(参考)北海道の人口密度約67人/km²(2020年時点・全国で最も低い)

小樽市の面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花・市の木、および札幌市の人口は、自治体の公表値(2026年4月30日時点)による数値です。北海道の総人口は令和7年国勢調査の速報値(令和7年10月1日現在)、総面積と人口密度は北海道データブック2025による数値です。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

小樽市の数字でまず目を引くのは、人口の多さよりも密度の高さです。420人/km²という値は、北海道全体の約67人/km²のおよそ6倍にあたります。

北海道の人口密度は全国で最も低い水準ですから、その道内にあって、小樽市は人がまとまって暮らしている側の市だということになります(出典:北海道データブック2025|人口統計

この密度は、市政を考えるうえで両面の意味を持ちます。

生活の場が243.87km²の中にまとまっているぶん、道路や上下水道といった基盤を一定の範囲に集約して維持しやすく、職員が現場へ足を運ぶ距離も短くなります

一方で、住宅や施設が集まる区域では、老朽化への対応も災害時の避難も、まとまった規模で一度に必要になります。

「10万人の市」ではなく「北海道の平均の6倍の密度で人が暮らす市」として捉えると、市政の話が具体的になります。

もう一つ押さえたいのが、世帯の姿の変化です。北海道全体では、令和7年国勢調査の速報値で世帯数が前回調査から11,432世帯(0.5%)減り、世帯数の減少は調査開始以来はじめてのことでした。

1世帯当たり人員も2.02人と、前回から0.09人減っています(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|北海道

世帯の人数が2人をわずかに上回る程度になると、通院、買い物、雪の始末といった場面で、家族の中だけでは片づかないことが増えていきます。

たとえば面接で小樽市の現状を説明するなら、次のように数字と課題をつなげて話せます。

「小樽市には10万人ほどが暮らしていて、市の広さは240平方キロメートルくらいだと知りました。1平方キロメートルあたり400人を超えているので、北海道の平均と比べると6倍以上になります。人が集まって暮らしているぶん、窓口や地域の行事で市民の方と顔を合わせる機会も多いと思いますので、そこで聞こえてくる困りごとを早いうちに仕事につなげられる職員になりたいです」

小樽市の経済・産業

小樽市単独の市内総生産や産業別の統計は、当研究会では公表資料から確認できていません。とはいえ、産業の話題に触れるときの手がかりがないわけではありません。

市が置かれている北海道全体の産業構造と、道内最大の都市に隣り合うという立地条件の2つを押さえておけば、「このまちの経済はどんな土台の上にあるのか」という視点を持って話せるようになります。

北海道の産業構造という土台

  • 道内総生産は20兆5,409億円(令和3年度)。
  • 産業別の構成比は第1次産業3.9%、第2次産業17.8%、第3次産業77.0%(令和3年度)。
  • 同じ年度の全国の構成比は第1次産業1.0%、第2次産業26.5%、第3次産業71.9%。
  • 第1次産業の比率は全国の約4倍にのぼり、第2次産業は全国より9ポイント近く低い。

つまり、第3次産業が8割近くを占め、製造業を含む第2次産業の比重は全国平均を大きく下回るのが北海道経済の基本形です(出典:北海道の農林水産業の概要|令和7年版

ただしこれはあくまで道全体を平均した数字であり、市町村ごとの産業構成はそれぞれ異なります。小樽市の産業構成そのものを面接で語りたい場合は、市が公表する統計や広報で必ず確認したうえで話しましょう。

食を支える一次産業

同じ令和7年版の資料によれば、北海道の農業産出額は1兆3,478億円で、全国の14.1%を占める全国第1位です。

生乳やばれいしょ、たまねぎなど産出額が全国第1位の品目が数多くあり、カロリーベースの食料自給率は218%(令和4年度概算値)で、これも全国第1位です。

海に目を向けると、ほたてがいの海面漁業漁獲量は全国のほぼ全量、すけとうだらは全国の92%を占めます。1経営体当たりの経営耕地面積は34.1haと都府県の13.6倍にのぼり、大規模で専業的な経営が広がっている点も、ほかの地域と大きく違うところです。

食を切り口に志望動機を組み立てるなら、「北海道の食は全国の食を支えている」という位置づけまで押さえておくと、話に厚みが出ます。

観光と、道外・海外から訪れる人の流れ

令和6年度の北海道の観光入込客数(実人数)は4,964万人で、前年度から3.9%増えました。内訳は日帰り客3,375万人・宿泊客1,589万人です。

宿泊客の延べ数は4,045万人泊(前年度比9.4%増)で過去最高となり、訪日外国人来道者数も約283万人(前年度比20.7%増)と、過去最高の平成30年度に次ぐ水準まで戻りました(出典:北海道観光入込客数調査|令和6年度

道全体としては人の流れが戻り、宿泊は過去最高を更新しています。市が掲げる「自然と人が紡ぐ」という言葉は、訪れる人と迎える市民の関係にもそのまま重なります

観光を語るなら、名所を並べるのではなく「来てもらった人と、住んでいる人の両方にとって良い形は何か」という視点で準備しておきましょう。

道内最大の都市と隣り合うという条件

小樽市の経済を考えるうえで見逃せないのが、195万人を超える札幌市と市境を接しているという条件です。

近さは、働く場や商業施設の選択肢が広がるという意味では追い風になり、市内での消費や就業がよそへ流れやすいという意味では向かい風にもなります。

どちらの面がどれだけ強く出ているのかは市の統計で確かめる必要がありますが、「道内最大の都市の隣にある10万人規模の市」という立ち位置そのものは、志望動機を組み立てるときの土台になります。

面接で産業や雇用の話題に触れるなら、この距離感をどう活かすかという角度から考えてみてください。

小樽市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、小樽市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口が減っていくという前提

北海道の人口は、令和7年国勢調査の速報値で4,985,419人となり、前回調査から23万9,195人(4.6%)減りました。この減少数・減少率はいずれも調査開始以来最大です。

さらに令和5年推計では、2050年の総人口は2020年から約27%減の382万人になる見通しが示されています。

同じ推計では、人口5千人未満の市町村が2020年の84団体から2050年には122団体へ増えると見込まれています(出典:日本の地域別将来推計人口(北海道)|令和5年推計

2050年には道内のすべての市町村で人口が減るとされており、10万人台の小樽市もこの流れの外側にいるわけではありません。

人口が減っても暮らしの水準を落とさない仕組みをどう作るかが、市役所の仕事の前提になります。

高齢化と、支える世代が半数を割る見通し

同じ令和5年推計では、北海道の65歳以上人口の割合は2020年の32.1%から2050年には42.6%へ上昇し、15歳から64歳の生産年齢人口の割合は57.2%から48.9%へ低下すると見込まれています。

道内で暮らす人のおよそ4割が高齢者となり、支える側の世代が半数を割り込むという姿です。

医療、介護、保健、見守り、雪の始末といった分野の仕事は増える一方で、担い手は細っていきます。

小樽市が令和8年度前期日程で保育士や用務員(ボイラー技士)まで含めた幅広い職種を募集していることも、こうした人口構成とあわせて理解しておきたいところです。

災害への備えと、早く動けるかどうか

北海道が公表している日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定(令和4年)では、早期避難率が低い場合の死者数は最大で約149,000人(日本海溝モデル・冬の夕)、建物の全壊は最大で約134,000棟と見積もられています。

一方で、早期避難率が高く、まわりへの呼びかけが行われる場合には、千島海溝モデル冬の深夜の死者数が約50,000人まで減らせるとされています(出典:日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定|令和4年

同じ地震でも、住民が早く動けるかどうかで結果がここまで変わります。市役所が日ごろ行っている周知や訓練は、まさにこの差を作るための仕事です。

なお、この想定はあくまで日本海溝・千島海溝沿いの地震についてのものですので、小樽市の区域で想定されている災害と避難の考え方は、市の地域防災計画やハザードマップで必ず確認しておきましょう。

財政という制約

北海道全体の財政指標を見ると、令和6年度の財政力指数は0.46(全国25位)、経常収支比率は99.8%(全国47位)、実質公債費比率は20.0%で、地方債の発行に許可が必要となる18%を上回っています(全国47位)。将来負担比率は307.0%(全国46位)です(出典:都道府県別主な財政指標一覧|令和6年度

これは道の数値であって小樽市のものではありませんが、道内の自治体が置かれた財政環境の物差しにはなります。

小樽市が求める職員像に「コスト意識・スピード感」が並んでいることも、この環境と切り離しては読めません

市の財政状況そのものを面接で語る場合は、小樽市が公表している決算や財政指標の資料を必ず確認してください。

担い手の確保と、「市内に居住が可能な方」という条件

令和8年度前期日程の採用職種は、事務、事務(障害のある方)、土木技術、建築技術、機械技術、保育士、用務員(ボイラー技士)、消防吏員の8つです。採用予定数は事務が十数名、機械技術が1名で、それ以外はいずれも若干名とされています。

窓口や企画を担う事務から、技術職、保育士、施設を維持する用務員、そして消防までが一つの試験概要に並ぶ構成は、10万人規模の市が暮らしの土台を自前で担っている姿をそのまま映しています。

加えて、事務の受験資格は昭和61年4月2日以降に生まれた方で、大学卒業・短大卒業・高校卒業の3つの学歴区分に分かれ、いずれも「採用時までに小樽市内に居住が可能な方」が要件です。上位の学歴区分の受験資格を満たす人は、下位の区分では受験できません。

住む場所まで含めて小樽を選べるかを入口で問う条件であり、志望動機の作り方に直結します。

小樽市の重点政策|「自然と人が紡ぐ笑顔あふれるまち小樽」

小樽市は、「自然と人が紡ぐ笑顔あふれるまち小樽」の実現を掲げています。この言葉は令和8年度の職員採用試験概要に明記されており、市公式ホームページのサイトタイトルにも使われています(出典:小樽市職員採用試験概要|令和8年度

なお、この旗印が総合計画等の中でどのように位置づけられているかについては、当研究会では一次資料での照合ができていません。面接で計画名まで踏み込んで話す場合は、市の公表資料で位置づけを確かめてから使ってください。

「紡ぐ」という言葉が置かれている意味

この一文で注目したいのは、真ん中に置かれた「紡ぐ」という動詞です。自然も、人も、そこにあるだけでは笑顔にはつながりません。誰かが間に立って結び合わせてはじめて、暮らしの形になります。

つまりこの旗印は、自然と人をつなぐ担い手として市職員を位置づけていると読むことができます。

この読み方に立つと、観光の部署も、福祉の部署も、道路や上下水道を預かる部署も、やっていることの向きは同じだと分かります。

志望動機を組み立てるときは、自分がやりたい仕事を「誰と誰を、何をきっかけに結び合わせる仕事なのか」という問いに置き換えてみてください。

求める職員像に並ぶ5つのキーワード

小樽市の採用試験概要には、求める人物像の欄に5つのキーワードが並記されています。

標語というより、働くうえで外せない構えを列挙したものと考えると分かりやすいでしょう。下の表の右側は、当研究会がそれぞれをどんな場面の話として読んでいるかの整理です。

キーワードどんな場面で表れるか(当研究会による読み替え)
倫理観・使命感市民の税金と個人情報を預かる立場としての線引き。誰も見ていない場面でも手順を守れるか
市民目線説明の仕方や段取りを、目の前の相手の事情に合わせて変えられるか
チャレンジ精神前例のない相談や新しい取組に、まず自分から手を挙げられるか
コスト意識・スピード感限られた予算と人手の中で優先順位をつけ、決めるべきときに決められるか
行政のプロ異動をまたいで専門性を積み上げ、身につけた力を組織へ還元できるか

面接では、自分の経験がこの5つのどれに当てはまるのかを一言添えられるだけで、市の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

5つすべてを均等に語る必要はありません。自分がいちばん語れるキーワードを軸に据え、残りは短く触れる形で十分です。

募集職種の構成から読み取れること

令和8年度前期日程で集団討論が課されるのは事務のみです。事務(障害のある方)や技術職、保育士、用務員(ボイラー技士)は「SPI3検査」と「個人面接」、消防吏員は「SPI3検査」と「個人面接及び体力検査」で、いずれも集団討論はありません。

職種ごとに確かめたい力が違うため、試験の組み立てそのものを変えている、と読むことができます。

事務職を志望する場合でも、市の仕事が技術・保育・施設管理・消防といった現場と一体で回っていることを知っておくと、配属の希望を語るときの解像度が上がります。

POINT|「自然が豊かだから」で止めない

旗印の先頭に「自然」が置かれているため、この言葉に触れる受験生は多くなります。だからこそ、①今どんな課題があるか → ②市はどんな状態を目指しているか → ③そのために何が行われているか → ④市役所だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験や強みをどう使うか、の順で一段深く掘っておきましょう。

悪い例「小樽市は自然が豊かなところに惹かれました。自然を活かしたまちづくりに関わりたいです」

改善例「まずは配属された部署で、窓口に来られた方の話をきちんと聞き取れるようになりたいです。そのうえで、市が掲げている『自然と人が紡ぐ笑顔あふれるまち小樽』という言葉のとおり、市民の方と一緒に何かをつくる場面を増やしていく仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 小樽市職員採用試験概要と、自分が受ける職種の実施要領(最新年度。試験の方法・受験資格・求める人物像がまとまっています)
  • 面接試験用入力フォームの質問事項(面接カードにあたる様式。設問と字数がそのまま公表されています)
  • 小樽市の総合計画および分野別の個別計画(旗印がどう位置づけられているかを確認)
  • 小樽市の地域防災計画・ハザードマップ、広報紙・報道発表(市の区域で想定される災害と、直近の市政の動き)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、小樽市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。小樽市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

小樽市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

小樽市役所の面接の概要

ここからは、小樽市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

小樽市役所の面接の流れ

令和8年度前期日程の採用試験概要と事務の実施要領によれば、事務の選考は3段階です。第1次試験がSPI3、第2次試験が集団討論、第3次試験が面接試験という構成で、筆記として課されるのはSPI3だけ、第2次以降はすべて人物を見る場にあてられています。

教養試験・専門試験・論文(作文)についての記載は、令和8年度前期日程の概要にも事務の実施要領にも見当たりません。

ただし、記載がないことをもって実施されないと断定はできませんので、筆記の有無は必ず最新の受験案内でご確認ください。

項目内容(令和8年度前期日程・事務)
試験の段階3段階。第1次試験(SPI3)→ 第2次試験(集団討論)→ 第3次試験(面接試験)と、段階ごとに合格者を絞り込みます
第1次試験SPI3。テストセンター(リアル会場)か、自宅等のオンライン会場かを選んで受検します
第2次試験集団討論。参集時間から試験終了まで約3時間程度が予定されています
第3次試験面接試験。参集時間から試験終了まで約2時間程度で、面接の時間は遅い方で参集時間の約1時間後になる見込みとされています
集団形式集団討論を課すのは事務のみ。事務(障害のある方)・土木技術・建築技術・機械技術・保育士・用務員(ボイラー技士)は「SPI3検査」と「個人面接」の構成です
事務以外の面接回数事務以外の職種は、同じ日に第1次面接と第2次面接の2回を実施する予定とされています
配点非公表。各試験の配点や人物試験の比重は、概要にも実施要領にも記載がありません
面接カード「面接試験用入力フォーム」が該当します。個人面接の前に、志望動機や今まで打ち込んだこと、自己PRなどを入力する方式で、対象者には別途メールで提出の案内が届きます
試験会場第2次試験(集団討論)は小樽市保健所庁舎、第3次試験(面接試験)は小樽市民会館。当日の受付では本人確認書類の提示が求められます

この構成から読み取れることは3つあります。第一に、配点はどの段階についても公表されていません。どこで何がどれだけ重く見られるかを読んで対策を絞る、という戦い方はできないということです。

第二に、事務にだけ集団討論が置かれています。集団討論では、限られた時間の中で他の受験者の意見を聞き、そこに自分の考えをどう乗せるかという動き方が見られます。

個人面接の練習だけでは届かない領域なので、事務を受けるなら早い段階から人と話す練習に時間を割いてください(出典:小樽市職員採用試験実施要領(事務)|令和8年度

第三に、面接の土台が「面接試験用入力フォーム」だという点です。公表されている質問事項を見ると、志望理由は3つに分けて問われます。自治体職員を目指した理由・きっかけ・時期が150字、数ある自治体の中で小樽市を選んだ理由が100字、入庁後に従事したい仕事が100字。

ほかに、今まで最も打ち込んだ・頑張ったことを3つ挙げて理由まで書く欄が300字、最も困難だと思った出来事と乗り越えた経験・学びが200字、最近最も関心を持ったことと理由が150字、自己PRが300字と続き、長所と短所や余暇の過ごし方、健康状態もそれぞれ字数を決めて問われます(出典:面接試験用入力フォーム質問事項|令和8年度

設問の数も字数も決まっているため、書ける内容には限りがあります。裏を返せば、面接官が手元に持つ材料はここに書いた文章だとほぼ分かっているということです。

書いた一行ずつについて「これを掘られたら何を話すか」を先に決めておくと、当日の受け答えが安定します。

上記の試験構成は、小樽市の令和8年度職員採用試験【前期日程】の概要および事務の実施要領にもとづくものです。同市では後期日程が別に案内されており、職種や試験の構成が異なる可能性があります。また、病院局の職員(看護師など)は市長部局とは別の実施要領で採用試験が行われ、消防吏員も別の実施要領が用意されています。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

小樽市役所が求める人物像

小樽市は、求める人物像を採用試験概要の中で明文化しています。公表されている文言は、「小樽市内に居住が可能で、市民の目線に立ち、まちづくりに積極的にチャレンジする精神を持った職員」というものです。

同じ欄には、「倫理観・使命感」「市民目線」「チャレンジ精神」「コスト意識・スピード感」「行政のプロ」という5つのキーワードも並記されています。

ここで見落としたくないのが、人物像の一番はじめに「市内に居住が可能で」が置かれていることです。

求める人物像そのものに住む場所の話が含まれているのは、それだけこのまちで暮らしながら働くことが前提に据えられているということでしょう。

自己PRでは「行動力があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲や相手がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。小樽市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が自分の経験とつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。短所を認めたうえで、その付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください困難の大きさそのものではなく、その場面で何を考え、どう動いたかという行動の中身
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学んだことを仕事へつなげる視点
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか

ただし、この7カテゴリーは小樽市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「小樽市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「小樽市役所ならでは」の質問

「なぜ北海道庁ではなく、小樽市役所なのですか?」
「小樽市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

小樽市の場合、この2問には受験資格の条件が重なります。「採用時までに小樽市内に居住が可能な方」が要件とされているため、勤め先として小樽市役所を選ぶ理由だけでなく、暮らす場所として小樽を選ぶ理由まで説明できるかが見られます。

どれも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「小樽市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい小樽市の事実答え方のヒント
まちの規模と密度人口102,385人・面積243.87km²・人口密度420人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。北海道全体の約67人/km²の6倍を超える「10万人の市」で終えず、「北海道の平均の6倍の密度で人が暮らす市」と言い添えると、市民との距離の近さが伝わります。そのうえで、窓口や現場で顔の見える仕事をしたいという希望につなげましょう
道と市の受け持ちの違い北海道が全国一広い83,422km²を広域の立場から見るのに対し、小樽市が向き合うのは10万人余りが暮らす市域の日常である。小樽市が受け持つのは243.87km²で、後志総合振興局の余市町・赤井川村、石狩振興局の札幌市・石狩市と接する制度論に踏み込む必要はありません。市が担うのは窓口、保育、道路の維持のように一日の暮らしに直接触れる仕事だという線で話すと、小樽市を選ぶ理由に具体性が出ます
市が掲げる旗印「自然と人が紡ぐ笑顔あふれるまち小樽」。令和8年度の採用試験概要に明記され、市公式ホームページのサイトタイトルにも使われている「自然が豊か」で止めず、「紡ぐ」の主語を自分に引き寄せます。人と人、人と地域をつなぐ側に回った経験を1つ用意し、その延長線上に市職員の仕事を置いて話しましょう
市内に居住が可能であること受験資格は大学卒業・短大卒業・高校卒業の3区分とも「採用時までに小樽市内に居住が可能な方」。求める人物像の文言にも「小樽市内に居住が可能で」が先頭に置かれている住む場所を移す前提の採用です。通勤の便のような条件面ではなく、このまちで暮らしながら働き続けたい理由の側から語れるようにしておきましょう
人口減少と高齢化北海道は令和7年国勢調査の速報値で前回比4.6%減と調査開始以来最大の減少。令和5年推計では2050年に65歳以上が42.6%、生産年齢人口は48.9%まで低下する見通し悲観の材料として使うのは避けます。令和8年度前期に保育士や用務員、土木・建築・機械の技術職まで募集が並ぶことに触れ、暮らしを支える現場が幅広いという読み方で結ぶと前向きになります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「求める人物像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

小樽市が並記している5つのキーワードは、そのまま評価の観点として読むことができます。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
倫理観・使命感決まりや約束をどう扱ってきたか。誰も見ていない場面での判断や、立場上やってはいけないことを踏みとどまった経験が問われますレジや受付のように人と接する場面でも、記録や引き継ぎのような裏側の作業でも構いません。面倒でも手順を省かなかった一件を選び、なぜ省かなかったのかまで言葉にしておきましょう
市民目線説明の仕方や段取りを、相手の事情に合わせて変えた経験。どこに気づいて変えたのかが問われます10万人規模で、採用後は市内に住むことが前提の小樽市では、職員と市民の生活圏が重なります。窓口の向こう側にいるのが顔見知りかもしれないという前提を置いて、自分の経験を選ぶと的を外しません
チャレンジ精神前例のないやり方を試した場面や、途中で条件が変わったときにどう立て直したかが問われます「まちづくりに積極的にチャレンジする精神」は公表文言そのものです。大がかりな話である必要はなく、自分が最初に声を上げた一件を、どう着地させたかまで話せるようにしておきましょう
コスト意識・スピード感限られた時間やお金、人手の中で優先順位をつけた経験。判断の速さと、後からの手戻りの少なさが問われます北海道全体の経常収支比率は99.8%(令和6年度)と、財政に余裕のない環境です。使えるお金と時間には限りがあるという前提で、「すぐ決めたこと」と「あえて時間をかけたこと」を1つずつ用意しましょう
行政のプロ異動をまたいで力を積み上げられるか。学び続ける姿勢と、身につけた力を人へ渡した経験が問われます事務のほか土木・建築・機械の技術職や保育士まで並ぶ職種構成は、市が専門性の集まりで動いていることを示します。自分が長く続けて上達させたものを1つ挙げ、何を繰り返して伸びたのかまで話せるようにしておきましょう

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

事務の場合は集団討論を挟んで面接試験に進むため、討論の場で口にした考えと、面接で語る自分像が食い違わないようにしておく必要もあります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の採用試験概要と、自分が受ける職種の実施要領を読み、試験の方法を確認する(事務には集団討論があり、事務以外は同じ日に個人面接が2回という違いがあります)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。面接試験用入力フォームでは、打ち込んだことを3つ、困難だった出来事を1つというように数まで指定されているので、その数だけ具体例を用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、人口密度や旗印といった小樽市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 入力フォームに書いた文章を声に出して読み、掘られたときの答えを書き足していく。事務を受ける場合は、人の意見を受け止めてから自分の考えを重ねる練習も入れておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、小樽市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

小樽市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

小樽市役所の想定問答集を見る

さいごに

小樽市の令和8年度前期日程は、事務であれば筆記がSPI3だけで、そのあとに集団討論と面接試験が続きます。事務以外の職種は、同じ日に個人面接を2回受けることになります。

配点はどの段階についても公表されていないため、点数の内訳から逆算して準備を組み立てることはできません。

できるのは、面接試験用入力フォームに書いた150字や300字の答えを、そのまま自分の声で話せる状態にしておくことです。

10万人あまりが240平方キロメートルほどの市域に暮らすまちで、「自然と人が紡ぐ笑顔あふれるまち小樽」という旗印に自分はどう関わるのか。そして、市内に住んで働くという条件を、自分はどんな理由で選ぶのか。

この2つに自分の言葉で答えられるようになれば、当日の受け答えは落ち着いてきます。まずは自分の職種の実施要領を手元に置いて、本番までの時間を組み立てていきましょう。