本記事では、石狩市職員採用試験の面接対策で必要な、石狩市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
石狩市役所の面接試験では、「なぜ石狩市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
石狩市の上級職は、受験資格そのものに「採用後に石狩市内に居住可能な方」という条件が置かれている試験です。働く場所としてだけでなく、住む場所としての石狩市をどう考えているかまで語れるかどうかが、他の受験者との違いになります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と石狩市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
石狩市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは石狩市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 北海道の石狩振興局管内にあり、道都である札幌市に隣接する人口約5万6千人の市である。
- 総面積722.33km²に対し、人口密度は78.7人/km²と北海道全体の水準に近い低さで、広い市域に人口が薄く分布している。
- 隣接するのは札幌市と石狩郡当別町のほか、小樽市、樺戸郡新十津川町、増毛郡増毛町で、4つの振興局にまたがって接している。
- 市役所は石狩市花川北6条1丁目にあり、市の花はハマナス、市の木はカシワと定められている。
- 上級職の採用は行政・土木・建築の3区分で、令和9年度採用の予定者数は行政3名程度・土木2名程度・建築2名程度である。
- 上級職の受験資格には、学歴や生年月日の条件に加えて「採用後に石狩市内に居住可能な方」という共通の条件が置かれている。
- 試験案内の冒頭では、職務に活用できる資格やスポーツでの活躍に加え、英語やロシア語等の外国語に堪能な方、手話ができる方の応募を歓迎すると明記されている。
- 給与面では、扶養手当や住居手当などのほかに、11月から3月の寒冷地手当が支給される(令和8年4月1日現在)。
- 北海道全体の人口は令和7年国勢調査の速報値で約498万5千人。減少幅は調査開始以来最大で、この流れのなかで市の行政サービスをどう保つかが石狩市政の前提になっている。
石狩市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「石狩市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口と市域の広さ、その組み合わせから見える人口密度、市域が接している自治体など、石狩市の輪郭をつかむための項目を並べました。あわせて、比較の物差しとして北海道全体の数値も添えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 56,844人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 722.33km² |
| 人口密度 | 78.7人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 所属振興局 | 石狩振興局 |
| 隣接自治体 | 札幌市・石狩郡当別町/小樽市(後志総合振興局)/樺戸郡新十津川町(空知総合振興局)/増毛郡増毛町(留萌振興局) |
| 市役所所在地 | 石狩市花川北6条1丁目30-2 |
| 市の花・市の木 | ハマナス/カシワ |
| (参考)北海道の総人口 | 4,985,419人(令和7年10月1日現在) |
| (参考)北海道の総面積 | 83,422km²(都道府県で最も広い) |
| (参考)北海道の人口密度 | 約67人/km²(2020年時点、全国で最も低い水準) |
石狩市の総面積・所属振興局・隣接自治体・市役所所在地・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値です。北海道の総人口は令和7年国勢調査の速報値(令和7年10月1日現在)、総面積は北海道データブック2025(2025年1月1日現在)、人口密度は同データブック(2020年国勢調査に基づく数値)によります。調査や時点が異なるため単純な比較はできない点、また市の公式統計とは時点がずれる場合がある点にご注意ください。最新の数値は石狩市公式サイトでご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
石狩市の人口密度は78.7人/km²です。北海道全体の人口密度は約67人/km²(2020年時点)で、全国平均338人/km²の5分の1ほどしかありません(出典:北海道データブック2025|人口統計)。
つまり石狩市は、札幌市に隣接していながら、人口の密度は北海道の平均に近く、全国平均の4分の1にも届かないまちです。5万6千人あまりが722km²を超える市域に暮らしている、と言い換えることもできます。
この「広さ」は、行政の仕事の量に直結します。道路や上下水道、除雪、公共施設といったインフラは、人口ではなく面積と集落の分布に応じて必要になるからです。
実際、令和9年度採用の上級職では、行政3名程度に対して土木2名程度・建築2名程度と、技術職2区分の採用予定者数の合計が行政を上回っています。人口規模はさほど大きくないのに、支えるべき市域は広いという構図が、採用の枠にも表れています。
たとえば面接では、石狩市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
石狩市の経済・産業
経済構造の概観
石狩市単独の市内総生産や事業所統計など、市の経済規模を示すまとまった数値を、当研究会は現時点で確認できていません。ここでは、石狩市が属する北海道全体の産業構造から、地域経済の土台を押さえます。
- 北海道の道内総生産は20兆5,409億円(令和3年度)。産業別構成比は第1次産業3.9%(全国1.0%)、第2次産業17.8%(全国26.5%)、第3次産業77.0%(全国71.9%)。
- 農業産出額は1兆3,478億円で全国の14.1%を占め全国第1位。生乳・ばれいしょ・たまねぎ・小麦など、多くの品目が全国一の産地となっている。
- 1経営体当たりの経営耕地面積は34.1haで、都府県の13.6倍。大規模で専業的な農業経営が展開されている。
- ほたてがいの海面漁業漁獲量は全国のほぼ全量、すけとうだらは全国の92%を占め、いずれも漁獲量全国第1位である。
つまり、「第1次産業の比重が全国平均より高く、それを扱う流通やサービスが厚い」という北海道型の構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。石狩市自体の産業構成や事業所の実態は、市の公式サイトや統計資料であわせて確認しておきましょう。(出典:北海道の農林水産業の概要|令和7年版)
札幌に隣接するという立地条件
石狩市の経済を考えるうえで外せないのが、札幌市に隣接しているという位置です。先に見たとおり、接している自治体は後志総合振興局の小樽市から留萌振興局の増毛町まで4つの振興局にまたがっており、市域が広い範囲に及んでいることがうかがえます。
大都市の隣という立地は、住まいと働き先の選択肢を広げます。ただし、市外へ通って働く住民も想定されるまちでは、産業政策を企業誘致だけで語ると、市民の暮らしの実態から離れてしまいます。
さらに、通勤や買い物、子育ての動線が市の内と外にまたがることを前提に、どこに手を入れれば市内に人とお金が回るのかを考える必要があります。石狩市の産業を語るなら、この生活動線からの発想が現実的です。
北海道への人の流れと、市が歓迎する語学・手話
令和6(2024)年度の北海道の観光入込客数(実人数)は4,964万人で、前年比3.9%の増加でした。うち訪日外国人来道者数は約283万人(前年比20.7%増)と、過去最高だった平成30年度に次ぐ水準まで戻っています。
国・地域別では韓国84万人、台湾60万人、中国46万人の順です(出典:北海道観光入込客数調査|令和6年度)。
石狩市の試験案内が、英語やロシア語等の外国語に堪能な方、手話ができる方の応募を歓迎すると冒頭に掲げているのは、こうした人の行き来や、窓口で出会う市民の多様さを踏まえた記述だと読めます。語学や手話の心得がある方は、資格を持っていること自体ではなく、その力を市民サービスのどの場面で使えるかまで具体的に話せると、歓迎の趣旨に沿った自己PRになります。
石狩市の主な行政課題
ここまでの数字とまちの姿を踏まえると、石狩市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口が減る北海道のなかで暮らしの場に選ばれるか
北海道の人口は、令和7年国勢調査の速報値で4,985,419人でした。前回の令和2年調査から23万9,195人(4.6%)減っており、この減少数・減少率はいずれも調査開始以来最大です。世帯数が減ったのも調査開始以来はじめてでした(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|北海道)。
さらに日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)では、2050年の北海道の総人口は2020年から140万人減の382万人となり、65歳以上人口の割合は32.1%から42.6%へ上がると見込まれています。2020年比で人口が半分以下になる市町村が67に達するという見通しも示されました(出典:日本の地域別将来推計人口(北海道)|令和5年推計)。
札幌に隣接する石狩市は道内では条件に恵まれた側ですが、人口減少そのものは一つの市の努力だけで押し返せる流れではありません。新しく移り住む世代に選ばれることと、いま暮らしている市民が年齢を重ねても住み続けられることを、同時に考える必要があります。
広い市域にサービスを行き渡らせる
722.33km²の市域に5万6千人あまりが暮らす石狩市では、同じ「市民一人へのサービス」でも、届けるまでの距離と手間が地域によって変わります。除雪や道路の維持、公共施設の配置、災害時の情報伝達といった仕事は、人口ではなく面積と集落の分布に左右されるためです。
人口の規模に対して支えるべき市域が広いことが、石狩市の行政運営の前提条件になっています。令和8年度採用と令和9年度採用で続けて土木・建築の技術職が募集されているのも、この構造と切り離せません。事務職を志望する場合でも、地域によって暮らしの条件が違うという前提は押さえておきましょう。
厳しい財政環境のなかでの行政運営
石狩市単独の財政指標は公表資料からは確認できませんが、道内の自治体が置かれた環境は北海道全体の数字からうかがえます。令和6年度の北海道の実質公債費比率は20.0%で全国47位、将来負担比率は307.0%で全国46位、経常収支比率は99.8%で全国47位、財政力指数は0.46で全国25位でした(出典:都道府県別主な財政指標一覧|令和6年度)。
実質公債費比率は、地方債の発行に許可が必要となる18%を超える水準です。新しい取り組みを志望動機に掲げるときは、その財源をどこから持ってくるのかという問いが必ず控えていると考えて、何を後回しにするかという優先順位の話まで用意しておきましょう。
大規模災害への備え
北海道が令和4年に公表した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定では、早期避難率が低い場合の死者数は最大約14万9千人、建物全壊棟数は最大約13万4千棟とされました。一方で、千島海溝沿いの地震で早期避難が進み呼びかけも行われた場合には、死者数が約5万人まで減るとも示されています(出典:日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定|令和4年)。
この想定は日本海溝・千島海溝沿いの地震を対象としたものですが、避難の呼びかけの有無が被害の大きさを左右するという教訓は、道内のどの市町村にも当てはまります。市域の広い石狩市では、伝えるべき情報を市内のどの地域にも同じ速さで届けられるかどうかが、防災を語るときの具体的な論点になります。
重点政策|石狩市が示す方向性と北海道の財政環境
石狩市独自の総合計画の名称や体系について、当研究会が確認できる公式資料は現時点で限られています。ここでは、市が採用の場で受験者に向けて自ら示している方向性と、石狩市が属する北海道の財政運営の方針を整理し、市政を理解する土台とします。
試験案内が掲げる「歓迎する3つの人物像」
石狩市の職員採用試験案内は、冒頭の「<受験者の皆様へ>」で、次のような方の応募を歓迎していると明記しています(出典:石狩市職員採用試験案内|令和9年度採用)。
- 資格や特技を生かせる方
職務に活用できると思われる資格をお持ちの方、スポーツでの活躍、英語やロシア語等の外国語に堪能な方、手話ができる方 - 市内に住んで働く方
職員自らが地域協働の担い手として活動するために、市内に居住する方 - 意欲・情熱のある方
石狩市のまちづくりを担う意欲・情熱のある方
独立した「求める人物像」の欄は試験案内にありません。このうち市内居住に関する項目は要件に近い性格を持つため、人物像として受け止めるなら、「石狩市のまちづくりを担う意欲・情熱のある方」を中心に据えるのが原文に忠実な読み方です。
そのうえで注目したいのは、その手前に職員自身が地域協働の担い手であってほしいという考え方が置かれている点です。市内に居住可能であることが受験資格に入っているのも、この考え方と地続きです。石狩市の職員は、勤務時間の中だけで市民と関わる存在ではなく、暮らす人としてまちに関わることを期待されている、と読み取れます。
北海道全体の財政運営の方針
令和8年度の北海道一般会計当初予算は3兆1,681億9百万円(令和7年度比103.9%)、特別会計を含む当初予算総額は4兆2,058億3,838万円(同102.4%)です。道財政は今後も多額の収支不足額が見込まれ、実質公債費比率も高い水準で推移するなど厳しい状況が続く見通しにあり、持続可能な財政構造の確立に向けて財政の健全化に不断に取り組む必要があるとされています(出典:財政状況の公表|令和8年度当初予算)。
石狩市を含む道内の市町村も、この環境の内側で予算を組み、事業を選んでいます。
POINT|歓迎される人物像を、そのまま暗唱しない
試験案内の言葉をなぞるだけでは、面接官には届きません。①石狩市の人口規模と市域の広さという条件を知る→②その条件のもとで自分が関わりたい仕事を選ぶ→③市が実際に行っている取り組みを公式サイトや広報紙で確かめる→④自分の経験や資格をどの場面で使えるかを言葉にする、という順で準備しましょう。
悪い例「石狩市のまちづくりに情熱を持って取り組みたいです」
改善例「まずは窓口の仕事で、市民の方のお話を正確に聞き取れるようになりたいです。その上で、石狩市は面積が広くて人が散らばって暮らしていると聞きましたので、市からの情報が届きにくい地域の方にも伝わる広報の工夫に関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 石狩市職員採用試験案内(最新年度・受験区分別)。上級職と、高卒・短大卒・社会人経験者を対象とする区分では案内が分かれています
- 石狩市公式サイトの市政情報・総合計画・広報紙のページ
- 石狩市の予算・決算に関する公表資料と、関心のある分野の個別計画
- 北海道の当初予算・統計資料(道内における石狩市の位置づけを知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、石狩市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。石狩市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
石狩市役所の面接の概要
ここからは、石狩市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
石狩市役所の面接の流れ
石狩市の上級職(行政・土木・建築)の採用試験は、4段階で構成されています。最初の関門が筆記ではなくエントリーシート審査で、後半の2段階はどちらも面接という並びです。
しかも、集団面接と個別面接のいずれも、試験案内の試験内容欄には「申込内容等を参考に人物評価を行います。」とだけ記されています。申込のときに書いたエントリーシートが、最後の面接まで面接官の手元の資料として使われ続ける試験だということです(出典:石狩市職員採用試験案内|令和9年度採用)。
| 項目 | 内容(令和9年度採用・上級職) |
|---|---|
| 試験の段階 | 4段階。1次=エントリーシート審査、2次=SCOA試験、3次=集団面接試験、4次=個別面接試験と、段階ごとに合格者を絞り込みます |
| 面接の種類 | 集団面接(3次)と個別面接(4次)の2回。いずれも市が指定する日に会場で行う対面方式です |
| 筆記試験 | 2次のSCOA試験。基礎能力検査(言語的能力・数理的能力・論理的能力・一般教養・基礎英語の5尺度、択一式60分程度)と性格検査(30分程度)で構成されます |
| 受験方式 | SCOAは全国のテストセンターから受験者が会場と日時を選んで予約します。面接の会場は、前段階の合格者に採用管理システムのマイページで通知されます |
| 集団形式 | 試験案内に集団討論(グループディスカッション)を実施する旨の記載はありません |
| 配点 | 試験案内に配点・満点の記載はありません。最新の受験案内でご確認ください |
| 提出書類 | 「面接カード」という名称の様式は試験案内にありません。申込はすべてインターネット申込で、そこで入力するエントリーシートが実質的にその役割を担います |
| 受験資格 | 大学卒業(土木・建築は専門課程修了)または卒業見込みの方。共通の条件として「採用後に石狩市内に居住可能な方」が定められています |
注目してほしいのは、面接の得点も配点も受験者には示されないという点です。試験結果の開示は2次試験の不合格者に限られ、開示される内容も基礎能力検査の得点と順位だけ。
3次・4次の面接がどう評価されたのかは、受験した本人にも分かりません。だからこそ、自分の答えの弱いところは自分で点検しておく必要があります。
集団面接では他の受験者と並んだときの伝わりやすさ、個別面接では一つの話題を掘り下げられたときの厚みが問われると、役割を分けて備えておきましょう。
上記の試験構成は、石狩市の令和9年度採用(令和8年実施)の上級職試験案内にもとづくものです。令和8年度採用の上級職も同じ4段階の構成でした。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。高卒・短大卒・社会人経験者(一般行政)を対象とする区分は、上級職とは別に試験案内が配布されます。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
直近の試験結果と採用予定者数
令和9年度採用の試験案内には、前年(令和8年度採用)の試験結果が掲載されています。上級(行政)は受験者83名に対し最終採用者12名、倍率は6.9倍でした。
ここでいう倍率は、募集人数ではなく最終的に採用された人数を分母にした数値です。
| 試験区分 | 募集人数 | 受験者数 | 最終採用者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 上級(行政) | 8名程度 | 83名 | 12名 | 6.9倍 |
| 上級(土木) | 若干名 | 1名 | 0名 | 記載なし |
| 上級(建築) | 若干名 | 0名 | 0名 | 記載なし |
令和9年度採用の試験案内に掲載された「昨年の試験結果」(令和8年度採用試験)の数値です。
見落とせないのは、令和9年度採用の採用予定者数が行政3名程度と、前年の採用実績である12名から大きく絞られている点です。土木2名程度・建築2名程度を加えても7名程度で、年によって採用の規模が動く試験だと分かります。
数名を採る試験では、筆記の得点で差をつけて逃げ切るという戦い方は成り立ちません。なお、最終合格者は試験区分ごとの採用候補者名簿に登載され、名簿の有効期間は確定日から1年間です。
初任給は大学新卒者で232,000円(令和8年4月1日現在)、諸手当には扶養手当・住居手当・通勤手当のほか、期末勤勉手当と寒冷地手当があります。条件面まで確かめて応募したという事実は、併願先との比較を尋ねられた場面で自分の言葉を支えてくれます。
石狩市役所が求める人物像
第1部で見たとおり、石狩市の試験案内に独立した「求める人物像」の欄はなく、冒頭の「<受験者の皆様へ>」に置かれた歓迎する3類型が、それにあたります。中核は「石狩市のまちづくりを担う意欲・情熱のある方」という一文で、その周りを、資格や特技を生かせることと、地域協働の担い手として市内に住むことが囲んでいる構図です。
面接対策の言葉に翻訳すると、評価されやすいのは「まちづくりに自分から関わろうとする意欲」「地域の一員として住民と関わる姿勢」「持っている資格や特技を仕事の場面で生かす力」の3つだと考えられます。自己PRでは「意欲があります」と言い切るだけでなく、その意欲をこれまでどんな行動で示してきたのかまで話せるようにしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。石狩市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は会場まで、どのくらい時間がかかりましたか | 答えの中身ではなく、身構えていない場面での声の出方と表情 |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください | 民間でも実現できる話で止まっていないか。選択の理由が自分の経験に根を持っているか |
| ③ 自己理解 | 周囲からは、どんな人だと言われますか | 自己認識と他者から見た姿がずれていないか。ずれを落ち着いて受け止められるか |
| ④ 経験・行動 | うまくいかなかった経験を一つ挙げ、その後どうしたか教えてください | 失敗の内容ではなく、そこからの立て直し方と、何を学びとしたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文やゼミで扱ったテーマを、簡単に説明してください | 専門用語に頼らず伝える力。学んだ内容を仕事の場面へ引き寄せられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 採用されたら、どの分野の仕事に携わりたいですか | 市の業務への理解の細かさと、希望どおりでない配属でも働ける構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった地方自治のニュースを教えてください | 社会の動きへの関心と、自分の意見を短く述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは石狩市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「石狩市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「石狩市役所ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
さらに石狩市の場合、受験資格に市内へ居住できることが含まれている以上、住む場所として石狩市をどう見ているかという問いも避けて通れません。こうした質問に答えるための「石狩市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい石狩市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| まちのスケール | 人口56,844人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)に対し、総面積は722.33km²。人口密度78.7人/km²は、北海道全体の水準(約67人/km²、2020年時点)に近い | 「札幌のとなりですが、人口の密度は北海道の平均に近い」と一言で位置づけたうえで、除雪や道路維持のように面積に比例して増える仕事の話へつなげます |
| なぜ道庁ではなく市役所か | 北海道は83,422km²と都道府県で最も広く、道は広域の政策を担う。石狩市は住民に最も近い窓口として暮らしに直結する仕事を担い、職員には市内に居住できることを求めている | 役割分担の説明で止めず、石狩市が職員自身に地域協働の担い手であることを期待している点に触れ、その一員としてどう動くつもりかまで述べます |
| 市が歓迎する人物像 | 試験案内の冒頭で、職務に活用できる資格・スポーツでの活躍・英語やロシア語等の外国語・手話を挙げ、「石狩市のまちづくりを担う意欲・情熱のある方」を歓迎すると明記 | 該当する資格や特技があるなら、取得の経緯ではなく市民と接する場面のどこで使えるかを語ります。当てはまるものがない場合は、意欲と情熱の側に自分の経験を重ねます |
| 採用規模の変動 | 令和8年度採用の上級(行政)は受験者83名・最終採用者12名で倍率6.9倍。一方、令和9年度採用の予定者数は行政3名程度に絞られている | 数字を覚えるためではなく、少人数を採る職場で自分がどう戦力になるかを考える材料として使います。幅広い業務を任される前提で希望を語れると説得力が出ます |
| 北海道全体の逆風 | 令和7年国勢調査の速報値で道の人口は4,985,419人。前回から23万9,195人(4.6%)減り、減少数・減少率とも調査開始以来最大 | 石狩市だけを見て「札幌に近いから安心」と語ると浅く聞こえます。道全体の流れを前提に置いたうえで、石狩市が暮らしの場に選ばれ続けるには何が要るかを述べます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど整理した「石狩市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| まちづくりに自分から関わる意欲 | 誰かに言われたからではなく、自分で決めて始めた経験があるか。その途中で何を変えたか | 石狩市が掲げているのは「意欲・情熱のある方」という言葉です。大きな成果を語る必要はなく、自分で始めた小さな取り組みを、始めると決めた理由から順に説明できるようにしておきましょう |
| 地域の一員として住民と関わる姿勢 | 同じ人と長く顔を合わせる関係の中で、どう振る舞ってきたか | 市内に居住できることが受験資格に置かれ、職員には地域協働の担い手であることが期待されています。学校や地域、職場など、途中で抜けられない関係の中で役割を果たした場面を用意しておきましょう |
| 資格や特技を仕事に生かす力 | 身につけた技能を、誰かのために使った経験があるか | 語学や手話、スポーツ、専門資格のいずれでも、持っていることではなく誰にどう使ったかで語ると、市の歓迎する趣旨に沿います。土木・建築で受験する方は、学んだ専門を市域の広さと結び付けて話しましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
石狩市は集団面接と個別面接の2回にわたって人物を見る構成で、いずれもエントリーシートの記載内容が手がかりになります。書いたことは必ず掘られる前提で、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の試験案内を読み、志望する区分の試験の段階と、申込サイトで入力するエントリーシートの記入項目を確認する。石狩市は上級職と、高卒・短大卒・社会人経験者の区分とで案内が分かれている
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、市域の広さ、人口密度、市が歓迎する人物像といった事実から、志望分野に近いものを2つか3つ選び、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- エントリーシートに書いた内容を手元に置いて、声に出して練習する。集団面接では一人あたりの持ち時間が短くなる前提で、要点から先に述べる言い方も試しておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、石狩市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
石狩市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
石狩市の上級職は、エントリーシート審査から始まり、集団面接と個別面接という2回の面接で締めくくられる4段階の試験です。配点は公表されておらず、面接の結果が開示されることもありません。
だからこそ、申込のときに書いた一行が最後まで自分を代弁するという意識が要ります。
また、人口5万6千人あまりに対して、市域は722km²あまりに及びます。広い土地に人が散らばって暮らすまちで、市は職員自身にも地域協働の担い手であることを求めています。
そのまちに住み、働く自分をどこまで具体的に思い描けているか。石狩市が掲げる「まちづくりを担う意欲・情熱」に、あなた自身の経験から返事ができるようになったとき、準備は形になっているはずです。