本記事では、飯能市職員採用試験の面接対策で必要な、飯能市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

飯能市役所の面接試験では、「なぜ飯能市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の経験を市の仕事にどう活かすのか」といった質問が想定されます。飯能市の採用試験は第一次試験が動画投稿面接から始まるという、他の市とは順番の違う組み立てになっています。

本記事の掲載内容を参考に、市域の条件と自分の経験を重ね合わせ、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

飯能市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは飯能市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口77,381人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積193.05km²・人口密度401人/km²の市である。人口の規模に対して、市域がとても広い。
  • 接しているのは入間市・狭山市・日高市・秩父市・秩父郡横瀬町・比企郡ときがわ町・入間郡越生町・毛呂山町の県内8市町と、東京都の青梅市・西多摩郡奥多摩町。都県境をまたぐ市である。
  • ただし奥多摩町とを直接結ぶ車道は通じていない。地図の上で接していることと、行き来ができることは別だという典型例にあたる。
  • 市の花はツツジ、市の木は。市の木が杉であることは、この市域がどんな土地なのかを端的に示している。
  • 市役所は〒357-8501 飯能市大字双柳1番地1に置かれている。
  • 市は「対話」によるまちづくりを市民とともに進めているとしたうえで、「飯能市に新しい風を吹かせる『人財』」を求めると採用試験の募集ページで公表している。
  • 採用試験は年度内に「春」と「秋」の複数回が行われる。令和9年4月1日採用の「秋」募集では、事務職10人程度、保健師2人、保育士3人程度が募集されている。
  • 事務職の仕事は「総合職として、福祉、税務、教育、文化、市民生活、環境、産業など、市民サービスの現場を幅広く経験し、政策の立案と実現を担います」と定義されている。

飯能市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「飯能市がどういう形をした市なのか」を数字で言えることは重要です。

下表には、人口と市域の広さ、接している自治体、採用時の待遇など、この市の形を言葉にするときに使える項目を集めました。土地の条件がわかるよう、埼玉県全体の数値も添えています。

項目内容
総人口77,381人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積193.05km²
人口密度401人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体(県内)入間市、狭山市、日高市、秩父市、秩父郡横瀬町、比企郡ときがわ町、入間郡越生町、毛呂山町
隣接自治体(都県境)東京都青梅市、東京都西多摩郡奥多摩町(奥多摩町とを直接結ぶ車道は通じていない)
市役所所在地〒357-8501 埼玉県飯能市大字双柳1番地1
市の花・市の木ツツジ・杉
初任給(参考)大学新卒251,856円、短大新卒239,136円、高校新卒225,886円(地域手当を含む・令和8年4月1日現在)
(参考)埼玉県の面積約3,798km²(47都道府県中第39位。平地が総面積の約61%)
(参考)埼玉県の総人口7,287,169人(令和7年国勢調査速報・令和8年5月20日公表)

飯能市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。初任給は令和9年4月1日採用「秋」募集の受験案内による数値です。埼玉県の面積・総人口は埼玉県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、飯能市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字が語る飯能市政の輪郭

人口77,381人という数字は、埼玉県内では珍しくない規模です。性格が変わるのは、面積193.05km²と並べたときです。人口密度401人/km²という値は、同じ市のなかに、歩いて用が足りる場所と、車がなければ暮らせない場所が両方あることを意味します。

窓口をどこに置くか、バスをどう走らせるか、施設をいくつ維持するか。人口だけを見ていては決められない判断が、日常的に発生します。

県全体の姿と比べてみましょう。埼玉県の面積は約3,798km²で47都道府県中第39位、地形は大きく西部の山地と東部の平地に分かれ、平地が総面積の約61%を占めます。県下の最高峰は秩父山地の三宝山(標高2,483m)です(出典:埼玉県統計年鑑(地勢)|令和2年

平地の割合が高いことが県の特徴だとすれば、飯能市はその一般像から外れる側の市です。市の木が杉であること、秩父市や横瀬町と接していることを合わせて考えれば、この市がどんな土地の上にあるかが見えてきます。

「飯能市は人口が7万7千人ほどですが、面積は190平方キロメートルを超えると知りました。同じ市の中でも、駅の近くと山あいでは暮らし方が違うのではと感じています。まずは現場を回って、住んでいる場所によって困りごとがどう変わるのかを自分の目で確かめる仕事から始めたいです」

飯能市の経済・産業

平地の県のなかで、山を抱える市

基礎データの章で見たとおり、飯能市は平地の多い埼玉県のなかでは例外の側に立つ市です。県の一般像とは違う土地条件を持つことが、そのまま飯能市の産業の輪郭になります

平地に工場や住宅が集まる県の標準的な姿を、この市にそのまま当てはめることはできません。市の産業を語るなら、県全体の統計をなぞるのではなく、人口密度401人/km²という広がりを持つ市域をどう生かすかという問いから入るほうが説得力が出ます。

東京都に接するという条件

飯能市は、県内8市町のほかに東京都の青梅市と西多摩郡奥多摩町に接しています。ただし、奥多摩町とを直接結ぶ車道は通じていません。

行政区域として接していることと、人や物が行き来できることは別だという事実は、この市の広域連携を考えるうえで欠かせません。都県境をまたぐ動きは、通じている側の道に集中します。

観光でも防災でも、市の外とのつながりを語るときは、地図上の接し方ではなく実際の経路を前提にしてください。面接でこの話ができる受験者は多くありません。

宿泊が1.9%という県の観光構造

県全体の令和5年の観光入込客数は100,204千人で、内訳は宿泊が1,904千人、日帰りが98,299千人です(出典:観光入込客統計|令和5年。埼玉県は、来訪者の大半がその日のうちに帰る県だということです。

裏を返せば、泊まってもらう余地が残っているとも読めます。山を抱え、都心から鉄道でつながる飯能市は、その余地に手が届く位置にあります。

にぎわいを志望動機に据えるなら、来訪者数を増やすという言い方ではなく、滞在の長さを変えるという言い方に切り替えてみてください。

飯能市の主な行政課題

ここまでの数字と位置を踏まえると、飯能市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を尋ねられたときに使えるよう、次の4つを整理しておきましょう。

広い市域を、少ない人数で支える

面積193.05km²に約7万7千人が暮らすということは、道路や上下水道、公共施設といった生活基盤を、密度401人/km²という条件のもとで維持していくということです。人口が減っても、道路の長さや施設の数がそれに合わせて縮むわけではありません。

職員一人あたりが受け持つ範囲も広くなります。事務職の仕事が「総合職として、福祉、税務、教育、文化、市民生活、環境、産業など」を幅広く経験すると定義されているのは、この条件の反映でもあります。

何を残し、何を見直すのかという判断を、住民と一緒に考えていく場面が増えていきます。

世帯が小さくなるという変化

令和7年国勢調査の速報結果では、埼玉県の人口が7,287,169人と調査開始以来はじめて減少に転じた一方、世帯数は3,285,878世帯と前回比3.9%増となりました。1世帯当たり人員は2.22人で、前回の2.32人から下がっています(出典:令和7年国勢調査速報結果|埼玉県

人が減っているのに世帯が増えるということは、一人で暮らす人が増えているということです。家の中に助けてくれる人がいない前提で、行政がどこまで手を伸ばすのか。

市域が広く、隣家までの距離がある地区では、この変化はより重く働きます。

3人に1人が高齢者になる社会と、移動の距離

県の5か年計画には「2040年には県民の3人に1人が高齢者」という一文があります。数字で追うと、高齢化率は令和2年に27.0%、令和7年に27.8%、そして令和22年(2040年)に33.3%という道筋です(出典:埼玉県の高齢化の状況

ただし飯能市にとって、2040年という年限は先の話ではありません。住民基本台帳にもとづく令和8年1月1日現在の値では、飯能市の高齢化率は33.1%、75歳以上の割合は18.9%で、同じ住民基本台帳ベースの埼玉県全体である27.0%・16.0%を大きく上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在

県が2040年に見込む水準に、市はすでに並んでいるということです。なお、先に挙げた県の高齢化率は国勢調査にもとづく値で、調査の方法が違うため市の値と直接は比べられません。

人口密度401人/km²の市では、この状況は移動の問題として現れます。買い物にも通院にも距離があり、運転をやめた人がそのまま外出をやめてしまうという流れが起きやすいからです。

高齢者福祉を志望動機に挙げるなら、県の2040年の見通しを引くのではなく、市がすでにその水準にあるという事実から始め、施設や制度の話だけでなく、その人が家から出られるかというところまで踏み込んでください。

災害への備えを、平時にどう積み上げるか

埼玉県地震被害想定調査では、5つの想定地震のうち関東平野北西縁断層帯地震(深谷断層と綾瀬川断層を一体として想定)で最大の被害が見込まれ、避難所避難者は144,968人、建物全壊は揺れによるものが53,013棟、液状化によるものが2,116棟と想定されています(30年以内の発生確率は0.008%以下)(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24〜25年度

県の5か年計画も、感染症の拡大や激甚化・頻発化する自然災害への対応を「待ったなし」の課題として明記しています。市域が広く、経路が限られる地区を抱える市では、被害の総量だけでなく、支援がどれだけ早く届くかが問われます。

市のハザードマップを開き、自分の関わる地区までどの経路で支援が入るのかを想像しておきましょう。

飯能市の重点政策|「対話」によるまちづくりと埼玉県5か年計画

飯能市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。まず市が採用の場で公表している考え方を確かめ、そのうえで県が定めた5か年計画へ進みます。飯能市がどんな職員と働きたいと考えている市なのかは、この2つを重ねると見えてきます。

「対話」によるまちづくりという掲げ方

飯能市は、「対話」によるまちづくりを市民とともに進めているとしたうえで、「自ら考え行動し、気遣い、気配り、思いやりの心を持ち、飯能市に新しい風を吹かせる『人財』」を求めると採用試験の募集ページで公表しています(出典:飯能市職員募集|令和9年4月1日採用

この一文には、方向の違う二つの要素が同居しています。気遣い・気配り・思いやりという受け止める側の資質と、新しい風を吹かせるという変える側の資質です。聞くことと、変えることの両方を一人の職員に求めている、と読めます。

対話という言葉を掲げる市では、意見を聞いた結果として何かが変わらなければ、対話は形だけになってしまいます。面接でこの言葉に触れるなら、聞いた話をもとに自分が実際に何かを変えた経験と結び付けて語りましょう。

入ってから何年もかけて育つ仕組み

飯能市は、採用後の昇任の道筋も公表しています。事務職は主事補から主事、主任へ進み、そこから昇任試験を経て主査、さらに昇任試験を経て管理職という順です。

保健師は保健師から昇任試験で主査、さらに昇任試験で管理職となります。最終合格発表後には、合格者交流会、採用前健康診断、採用事前説明会が予定されています。

採るところで終わらず、入ったあとの見取り図まで示しているのが飯能市の採用の特徴です。長く働くことについて問われたときは、この道筋を踏まえて答えられると、現実味のある話になります。

埼玉県5か年計画が示す前提

市政の背景には、県の計画もあります。県は令和4年3月に「日本一暮らしやすい埼玉へ」を掲げた5か年計画(令和4年度から令和8年度)を策定しました。

最大の課題として据えられているのは、人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応です。2040年を見据えた3つの将来像と12の針路のもとに、54の分野別施策が並びます(出典:埼玉県5か年計画(ダイジェスト版)|令和4年3月策定

県が広い視野で方向を描き、市が193.05km²の現場でそれを形にする。後で触れる「なぜ県庁ではなく市役所なのか」という質問には、この分担を自分の経験に引きつけて答えることになります。

POINT|施策の名前を覚える前にすること

計画に並ぶ施策名を端から暗記しても、面接での受け答えは強くなりません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな取り組みがあるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かせるか」の順に調べていきましょう。

悪い例「飯能市の自然を生かしたまちづくりに携わりたいです」

改善例「県では来訪者のほとんどが日帰りだと知りました。飯能市は市域が広く、駅から離れた場所にも見どころがあると聞きましたので、来た方にもう一泊してもらうにはどんな不便を取り除けばよいのか、住んでいる方の話を聞きながら考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 飯能市職員採用試験の受験案内(受験する募集回・職種のもの)
  • 飯能市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
  • 埼玉県5か年計画、埼玉県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、飯能市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。飯能市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

飯能市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

飯能市役所の面接の概要

ここからは、飯能市役所の採用試験の構成と、公表されている求める人財、面接で問われやすい質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

「秋」募集の試験構成と、順番の特殊さ

飯能市は年度内に「春」と「秋」の複数回の試験を実施しています。ここでは、令和9年4月1日採用の「秋」募集を主軸に整理します。

募集職種と人数は、事務職10人程度、保健師2人、保育士3人程度です。なお事務職の10人程度は、一般の事務職に加えて障害者対象、精神保健福祉士、社会福祉士、学芸員(考古学)を合わせた枠の人数であり、一般の事務職単独の人数ではありません。

試験構成でまず押さえてほしいのは、順番です。高校卒業区分以外は、第一次試験が電子申請と動画投稿面接、筆記にあたるSPI3検査は第二次試験という組み立てになっています。

多くの市とは逆の順序ですので、「一次は筆記、二次から面接」という一般的な想像のまま準備を進めないよう注意してください。

項目内容(令和9年4月1日採用・「秋」募集)
募集職種と人数事務職10人程度(障害者対象、精神保健福祉士、社会福祉士、学芸員(考古学)を含む合計)、保健師2人、保育士3人程度(民間企業等職務経験者・児童発達支援管理責任者を含む)
試験の段階第一次・第二次・第三次(最終)の3段階
第一次試験電子申請と動画投稿面接(高校卒業区分以外)
第二次試験SPI3検査(WEBテスティング。期間中に受験者の自宅などのパソコンで受験)と個人面接
第三次試験(最終)個人面接
高校卒業区分第一次試験で電子申請・動画投稿面接とSPI3検査(WEBテスティング)を実施し、第二次試験が個人面接。第三次試験以降は他区分と同じ流れ
面接の回数動画投稿面接1回と個人面接2回の計3回
集団形式受験案内に集団面接・集団討論・グループワークの記載はない
課されない試験教養試験・専門試験・論文試験
動画投稿面接の課題電子申請で確認する方式で、受験案内には課題の内容が記載されていない
提出書類第二次試験の個人面接時に提出。資格を証明するものの写し、受験資格となっている資格等を証明するものの写し、最終学歴の卒業証明書または卒業見込証明書の原本(卒業証書の写しも可)、最終学歴の成績証明書の原本。証明書は6か月以内に発行されたもので、提出書類は返却されない
採用の条件こども性暴力防止法に基づき、特定性犯罪前科がないことを条件としている
重複受験の制限令和8年度に実施した採用試験に応募した人は、この採用試験を受験できない
配点受験案内に記載がなく未公表

上表は令和9年4月1日採用「秋」募集の飯能市職員採用試験受験案内にもとづく内容です(出典:飯能市職員採用試験受験案内|令和9年4月1日採用「秋」募集。飯能市は年度内に複数回の募集を行っており、募集回や職種によって内容が異なります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の募集回と職種の試験情報をご確認ください。

この構成が意味するところは明快です。教養試験も専門試験も論文試験もなく、面接が3回。受験者が向き合うのは、最初から最後まで「話す自分」です

しかも1回目は面接官のいない画面に向かって話す形式で、その場の空気に助けられることも、相手の反応を見て言い直すこともできません。準備の重心を、知識の暗記ではなく話し方の訓練へ寄せる必要があります。

飯能市が求める人財

飯能市は「人材」ではなく「人財」という表記を使っています。求めるのは「自ら考え行動し、気遣い、気配り、思いやりの心を持ち、飯能市に新しい風を吹かせる『人財』」です。

事務職の仕事が「総合職として、福祉、税務、教育、文化、市民生活、環境、産業など、市民サービスの現場を幅広く経験し、政策の立案と実現を担います」と定義されていることと合わせて読むと、現場で人と向き合う力と、そこから政策をつくる力の両方が期待されていることがわかります。

自己PRでは「思いやりがあります」と言い切るのではなく、気づいたあとに自分が何をしたのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。飯能市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は緊張していますか構えていない場面での表情と、会話の入り方
② 動機・志望ほかにも受けている自治体はありますか。そのなかで飯能市はどんな位置づけですか選んだ理由を、比較のうえで説明できるか
③ 自己理解あなたが自分に足りないと感じている力は何ですか弱みを認めたうえで、補う行動まで語れるか
④ 経験・行動誰かの困りごとに気づいて、自分から動いた経験はありますか気づきで終わらず行動に移せるかどうか
⑤ 学業・経歴学んできたことのうち、いま役に立っていることは何ですか学びを実際の場面に結び付けられるか
⑥ 適性・将来幅広い分野を数年ごとに担当することを、どう思いますか総合職として働くことへの心構え
⑦ 公共性・社会性市民との対話とは、具体的にどうすることだと思いますか市が掲げる言葉を自分の言葉に置き換えられるか

ただし、この7カテゴリーは飯能市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「飯能市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「飯能市役所ならでは」の質問

「なぜ埼玉県庁ではなく、飯能市役所なのですか」
「飯能市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも飯能市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料を持っている人だけが、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「飯能市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい飯能市の事実答え方のヒント
市の規模と市域人口77,381人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積193.05km²、人口密度401人/km²。埼玉県は平地が約61%を占める県で、県下最高峰は秩父山地の三宝山県の一般像から外れる土地条件を持つ市であることを述べ、住む場所によって困りごとが変わるという視点で話をまとめます
都県境の市であること東京都の青梅市・西多摩郡奥多摩町と接するが、奥多摩町とを直接結ぶ車道は通じていない接していることと行き来できることは別だという事実を出したうえで、広域の連携をどの経路で考えるかまで話します
市が掲げる考え方「対話」によるまちづくりを市民とともに進め、「自ら考え行動し、気遣い、気配り、思いやりの心を持ち、飯能市に新しい風を吹かせる『人財』」を求めている聞く力を語るだけで終わらせず、聞いた話をもとに自分が何かを変えた経験を一つ添えます
試験の性格教養試験・専門試験・論文試験がなく、動画投稿面接1回と個人面接2回で選抜される知識ではなく話す力で見られる試験だと理解していることを示し、話す練習に何をしてきたかを具体的に述べます
なぜ県庁ではなく市役所か県は5か年計画で超少子高齢社会への対応という県全体の方向を示し、市は総合職として市民サービスの現場を幅広く担う役割の違いを述べて終わらせず、193.05km²の市域のどこで誰と向き合いたいのかを具体的に挙げます

コツは、5つを丸ごと覚えることではありません。自分の関心に近いテーマを1〜2つ選び、事実から自分の問題意識へ、そして市職員としてやってみたいことへと一続きにつないでおくと、掘り下げられても話が崩れません。

想定される評価の観点

面接は、公表された人財像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
相手に気づく力言葉にされていない困りごとに気づいた経験があるか市が「気遣い、気配り、思いやりの心」を求めていることを踏まえ、頼まれる前に動いた場面を一つ用意しておく
自分から変える力今のやり方を変える提案をして、実際に通した経験があるか「飯能市に新しい風を吹かせる」という言葉に照らし、反対されたときにどう説明したかまで話せるようにしておく
相手のいない場面で伝える力反応が返ってこない状況でも、要点を落とさず話せるか第一次試験が動画投稿面接であることを踏まえ、自分を撮影して見返し、間の取り方と話の長さを整えておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。飯能市は個人面接が2回あり、その前に動画で一度自分の話をしていますので、投稿した内容と面接での発言が食い違わないよう気をつけてください。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの備えになります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する募集回の受験案内を最後まで読む。飯能市は「春」と「秋」で構成が異なるため、自分がどの回を受けるのかを最初にはっきりさせる
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 動画投稿面接に備えて、自分をスマートフォンで撮影し、見返して整える。話す速さ、目線、話の長さの3点を毎回チェックする
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、市域の広さと都県境という条件から、志望分野に近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 声に出して練習する。動画で話した内容と、個人面接で話す内容がつながるように、同じ経験を軸に据えて組み立てておく

優先順位に注意

ステップ4と5は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を飯能市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。面接だけで3回を通過する試験では、語る材料の数と深さがそのまま持ち時間の質になります

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、飯能市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

飯能市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

飯能市役所の想定問答集を見る

さいごに

飯能市の採用試験は、教養試験も専門試験も論文試験も置かず、動画投稿面接と個人面接2回で選抜する形をとっています。1回目は画面の向こうに相手がいません。だからこそ、暗記した答えを読み上げているのか、自分の経験を話しているのかが、見る側にはよくわかります

193.05km²の市域に7万7千人が暮らし、東京都と接しながらも直接つながる車道のない場所を持つこの市で、「対話」という言葉を自分ならどう実践するのか。そこまで具体的に描けていれば、カメラに向かって話す最初の一問から、あなたの言葉は他の受験者と違って聞こえます