本記事では、深谷市職員採用試験の面接対策で必要な、深谷市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
深谷市役所の面接試験では、「なぜ深谷市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市の仕事にどうつなげるのか」といった、市の状況を調べていることが前提となる質問が想定されます。深谷市の場合、申込フォームに入力した志望動機がそのまま第2次試験以降で使われるため、書いた内容と面接での発言をそろえておく作業が欠かせません。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と深谷市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
深谷市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは深谷市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口140,211人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積138.37km²、人口密度1,013人/km²の市である。団体コードは11218-6。
- 人口密度は1,013人/km²で、市域の広さに対して人が薄く分布している。面積と人口がほぼ同じ数字で並ぶ市であり、市域全体をどう束ねるかが行政運営の前提になる。
- 埼玉県内の熊谷市・本庄市・嵐山町・美里町・寄居町に加え、群馬県の伊勢崎市・太田市とも接する県境の市である。
- 市役所の本庁舎は仲町11番1号にあり、職員採用試験の会場試験もここで実施される。
- 市の花はチューリップ、市の木はつばき。
- 埼玉県の地震被害想定で県内最大の被害が想定される関東平野北西縁断層帯地震は、深谷断層と綾瀬川断層を一体として想定したものである。
- 令和8年度の職員採用試験は6月試験と9月試験の2回実施されており、6月試験を受験した人も9月試験を受験できる。
- 9月試験では、申込フォームの志望動機に入力した内容を第2次試験以降に使用すると受験案内に明記されている。
深谷市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「深谷市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の輪郭をつかむための比較材料として、埼玉県全体の数値も添えました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 140,211人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 138.37km² |
| 人口密度 | 1,013人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 熊谷市、本庄市、比企郡嵐山町、児玉郡美里町、大里郡寄居町、群馬県伊勢崎市・太田市 |
| 市役所所在地 | 〒366-8501 埼玉県深谷市仲町11番1号(本庁舎) |
| 市の花・市の木 | チューリップ・つばき |
| (参考)埼玉県の面積 | 約3,798km²(全国第39位。1都6県に接する内陸県) |
| (参考)埼玉県の地形 | 西部の山地と東部の平地に二分され、平地が総面積の約61%を占める |
| (参考)埼玉県の製造品出荷額等 | 15兆3,297億円(令和5年・全国第6位) |
| (参考)埼玉県の人口 | 7,287,169人(令和7年国勢調査速報/前回調査比0.8%減) |
深谷市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理したものです。本庁舎の所在地は深谷市の令和8年度職員採用試験(9月試験)受験案内の記載によります。埼玉県の面積・地形・製造品出荷額等・人口は埼玉県公式サイトの資料による数値です。市の統計の最新値は、深谷市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
深谷市の数字で目を引くのは、人口140,211人に対して面積が138.37km²という並びです。結果として人口密度は1,013人/km²になります。
埼玉県は面積約3,798km²の内陸県で、西部の山地と東部の平地に大きく分かれ、平地が総面積の約61%を占めます(出典:埼玉県統計年鑑(地勢)|令和2年)。
深谷市はその平地の側にありながら、市域が広く、人は市内に散らばって暮らしています。
この形は、行政サービスの届け方に直接影響します。同じ人口でも、市域が広ければ移動距離と拠点の数が課題になります。
巡回や送迎、支所の配置、道路や上下水道の維持といった仕事は、人数ではなく距離に沿って重くなるからです。県全体では令和7年国勢調査の速報で人口が前回比0.8%減となり、調査開始以来はじめて減少しました。
人が薄く広がる市で人口が減っていけば、この距離の問題はさらに重くなります。人の散らばり方と人口減を重ねると、こんな答えの形になります。
深谷市の経済・産業
ものづくりの県のなかにある市
埼玉県の製造品出荷額等は令和5年で15兆3,297億円、全国第6位で全国シェアは4.1%です。付加価値額は5兆3,092億円で全国第5位、シェア4.8%にあたります(出典:産業と雇用のすがた(製造業)|令和7年度版)。
県内総生産(名目)は令和4年度で24兆6,656億円と、20年連続で全国第5位でした(出典:産業と雇用のすがた(県民経済計算)|令和7年度版)。
この規模の県のなかで、深谷市は市域が広く、人口密度が低い側にあります。土地に余裕がある市は、産業の用地としても農地としても使われ方が問われます。
市の面積をどう配分するかという判断は、都市計画、産業振興、環境、農政といった部署にまたがる仕事です。市の経済を語るときは、企業名を挙げるよりも、この土地の使い方という切り口のほうが行政の仕事に近づきます。
県境をまたぐ位置
深谷市は、埼玉県内の5市町に加えて群馬県の伊勢崎市・太田市とも接しています。県境で市域が接するということは、通勤や買い物、医療や消防といった日常の圏域が、県の境界で終わらないということです。
住む場所として選ばれる競争が、県外の自治体との間でも起きていると考えてください。この位置は、防災や広域の連携を語るときにも効いてきます。
災害の被害は行政の区割りに沿って止まらないからです。面接で「深谷市の位置」に触れるなら、県の北の端という言い方で終えず、県をまたいで人と物が動く場所だという意味まで話しましょう。
県全体の人口の動きを押さえる
令和7年国勢調査の速報結果で、埼玉県の人口は7,287,169人となりました。前回の令和2年調査と比べると57,596人、率にして0.8%の減少です。
世帯数のほうは3,285,878世帯へ3.9%増え、1世帯当たり人員は2.32人から2.22人に下がりました(出典:令和7年国勢調査 人口速報結果(埼玉県)|令和8年5月公表)。
人口が増えたのは10市町、減ったのは53市町村でした。
人が減り、世帯が増える。これは、ひとつの家に暮らす人数が少なくなっているということです。
行政が向き合う単位の数は、人口ではなく世帯の数に沿って動きます。市域が広い深谷市では、その単位が広い範囲に点在するという条件が重なります。
深谷市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、深谷市を含む埼玉県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
市の名を持つ断層と、県内最大の被害想定
埼玉県地震被害想定調査では、5つの想定地震のうち被害が最大となるのは関東平野北西縁断層帯地震です。この想定は、深谷断層と綾瀬川断層を一体のものとして扱ったもので、建物の全壊は揺れによるものが53,013棟、液状化によるものが2,116棟、死者3,599人、避難所への避難者144,968人と見込まれています(30年以内の発生確率は0.008%以下)(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24〜25年度)。
県全体で最大の被害が想定された地震の名に、市の名がそのまま入っているという事実は、深谷市を受験するうえで避けて通れません。発生確率そのものは低いとされていますが、確率が低いことと備えなくてよいことは別です。
市域が広く人が点在する市では、避難所までの距離や、地区ごとの初動の差が課題になります。防災を志望分野に挙げるなら、この条件から具体的に語れます。
広い市域で人口減少に向き合うこと
県全体が減少局面に入ったことは、先に見たとおりです。人口が減る局面で市域が広いということは、一人当たりの行政コストが上がりやすいということでもあります。
拠点を減らせば遠くなり、残せば負担が増えるという選択が、あらゆる分野で出てきます。市が何を残し何をまとめるのかという判断は、市民の暮らしに直接触れる仕事です。
その判断を重くしているのが、市自身の年齢構成です。住民基本台帳(令和8年1月1日現在)という同じ物差しで見ると、深谷市の高齢化率は30.7%、75歳以上の割合は17.5%で、同じ物差しの埼玉県全体(27.0%・16.0%)をいずれも上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
県内で隣接する5市町を同じ物差しで並べると、本庄市30.2%、熊谷市31.1%と近い水準の市がある一方、美里町34.9%、嵐山町35.1%、寄居町35.9%と、市より高い町が周囲にあります。県の平均を超えて高齢化が進んだ地域が、広い面積のうえで隣り合っているのが、この一帯の姿です。
市の境界の内側だけでは完結しない仕事が出てくる理由も、ここにあります。
県境をまたぐ広域の連携
深谷市は群馬県の伊勢崎市・太田市と接しています。日常の移動が県境をまたぐ地域では、災害時の応援や、医療・消防の受け入れ、道路の管理といった場面で、県をまたいだ調整が必要になります。
制度上は別の県に属していても、住民の暮らしは連続しています。行政の区割りと生活の圏域がずれている場所では、調整そのものが仕事になります。
この視点は、他の受験者と差がつきやすい部分です。
県の最上位計画が挙げる最大の課題
「日本一暮らしやすい埼玉へ」を掲げる埼玉県5か年計画は、令和4年度から令和8年度までの計画です。県の最大の課題として置かれているのは「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」で、2040年時点の姿から逆算する形で3つの将来像・12の針路・54の分野別施策が組み立てられています。
感染症の拡大や、激甚化し頻発する自然災害への備えについても、待ったなしの課題だと書かれています(出典:埼玉県5か年計画(ダイジェスト版)|令和4年3月策定)。
県が方向を示し、市がそれを住民に届く形にする。この分担を理解しておくと、志望動機の説明が具体的になります。
深谷市の重点政策|県5か年計画と市の備え
深谷市の総合計画の内容と最新の施政方針は、深谷市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここでは、県の最上位計画という物差しと、市が採用試験で示している方針の二つから、面接で使える軸を整理します。
県の計画を物差しにして市を見る
県の5か年計画が最大の課題としているのは超少子高齢社会への対応であり、災害・危機管理への対応も待ったなしと位置づけられています。この二つを深谷市の条件に重ねると、輪郭がはっきりします。
市域が広く人が点在する市での高齢化は、移動と距離の問題として現れます。そして災害への備えは、県内最大の被害が想定される断層帯の名を持つ市として、他人事ではありません。
志望動機を組み立てるときは、県が掲げる大きな課題を復唱するのではなく、それが深谷市ではどんな形で現れるかまで下ろしてください。県の言葉を市の条件に翻訳するという作業が、そのまま自治体研究の中身になります。
市が採用の場面で示していること
深谷市の令和8年度9月試験の受験案内には、「求める職員像」にあたる見出しは設けられていません。当研究会は市公式サイトの採用関連ページもあわせて確認しましたが、同様でした。
ただし、人物をどう見るかの手がかりは案内のなかにはっきり書かれています。それが申込フォームの「志望動機」に入力した内容を第2次試験以降に使用するという注意書きです。
これは、面接が申込の時点から始まっているという宣言に近い記載です。加えて、採用候補者名簿に載ったあとには健康診断と採用候補者説明会が行われ、候補者同士の交流会も実施予定とされています。
入る前から人と人のつながりを作ろうとしている市だと読めます。面接では、一人で完結する強みよりも、人の輪のなかで果たしてきた役割を語るほうが、この市の姿勢と噛み合います。
POINT|志望動機は「提出物」だと考える
深谷市では、申込フォームに書いた志望動機が第2次試験以降で使われます。書いた内容と話す内容がずれると、そのずれ自体が確認の対象になります。
悪い例「申込のときは無難にまとめたので、面接では本当にやりたいことを話そうと思います」
改善例「申込のときに、広い市域で高齢の方の移動をどう支えるかに関心があると書きました。面接でもそこを軸に話すつもりで、大学で高齢者の外出について調べたことも合わせて説明できるように準備しています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 深谷市職員採用試験の受験案内(受験する回次のもの。6月試験と9月試験で第1次の方式や集団討論の対象職種が異なる可能性がある点に注意)
- 深谷市の総合計画と、最新年度の予算・施政方針に関する資料
- 深谷市公式サイトの市政情報・広報紙の最新号
- 市のハザードマップと地域防災計画(断層帯の想定を自分の関わる地区に引き寄せる材料として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、深谷市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。深谷市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
深谷市役所の面接の概要
ここからは、深谷市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
深谷市役所の試験の流れ
深谷市は令和8年度に6月試験と9月試験の2回を実施しており、6月試験を受験した人も9月試験を受験できます。ここでは、令和9年4月1日採用の9月試験の構成を見ていきます。
9月試験は3段階です。押さえておきたいのは、第2次試験の内容が職種によって分かれ、集団討論を課される職種と課されない職種があるという点です。
第3次試験は全職種が個人面接で、その後に最終合格の発表となります(出典:深谷市職員採用試験(9月試験)受験案内|令和8年度)。
| 項目 | 内容(令和8年度9月試験) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験、第2次試験、第3次試験の3段階(採用日は令和9年4月1日) |
| 第1次試験の方式 | 一般事務Aは会場試験(教養試験・事務能力検査)、保健師は会場試験(専門試験・事務能力検査)、それ以外の職種はテストセンター方式(基礎能力検査・事務能力検査)。一般事務(デジタル枠・福祉・障害者対象・社会人経験者を除く)は、申込時に会場試験(一般事務A)とテストセンター方式(一般事務B)を選択できる |
| 検査の内容 | 基礎能力検査・事務能力検査はSCOAでの試験。事務能力検査は照合、分類、言語、計算、読図、記憶の能力を問う。会場試験の会場は深谷市役所本庁舎 |
| 第2次試験 | 適性試験(WEB試験)・集団討論・個人面接。集団討論の対象は一般事務A・B、一般事務(デジタル枠)、一般事務(福祉)、まちづくり技師(土木・建築)、保健師 |
| 集団討論の対象外 | 一般事務(障害者対象)、一般事務(社会人経験者)、まちづくり技師(1級土木施工管理技士、一級建築士)、まちづくり技師(社会人経験者)は、適性試験と個人面接のみ |
| 第3次試験 | 全職種とも個人面接。この後に最終合格の発表となる |
| 面接の回数 | 個人面接が第2次・第3次の計2回。これに加えて、職種により集団討論がある |
| 募集職種・募集人数 | 事務職(一般事務A・B、デジタル枠、福祉、障害者対象、社会人経験者)8人程度、まちづくり技師(土木、建築、1級土木施工管理技士、一級建築士、社会人経験者)1人程度、保健師1人程度 |
| 志望動機の扱い | 申込フォームの「志望動機」に入力した内容を第2次試験以降に使用すると、受験案内に注意として明記されている |
| 申込方法 | インターネット申込(スマート申請)。顔写真(最近3か月以内に撮影・正面向き・脱帽・無背景、縦横比4:3のJPEG/JPG)、該当職種の資格証、障害者手帳の写しをアップロードする |
| 合否の発表 | 合格者の受験番号を市ホームページに掲示。第3次試験の合格者に対してのみ通知を発送し、合否に関する問い合わせには応じない |
| 採用までの流れ | 採用候補者名簿への登載後、採用までに健康診断と採用候補者説明会を実施するほか、候補者同士の交流会を実施予定 |
| 初任給 | 大学卒約251,800円、短大卒約235,900円、高校卒約219,100円(令和8年4月1日現在・地域手当を含む) |
上記は深谷市の令和8年度職員採用試験(9月試験)受験案内にもとづくものです。同案内には各試験の配点の記載がなく、人物試験がどの程度の比重を占めるのかも公表を確認できていません。深谷市は令和8年度に6月試験と9月試験の2回を実施しており、第1次試験の方式や集団討論の対象職種は回次によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が受ける回次の最新の受験案内をご確認ください。
深谷市役所が求める人物像
前述のとおり、深谷市の受験案内と公式サイトの採用関連ページには、「求める職員像」として掲げられた一文は見当たりません。そこで、選抜の組み立て方から読み取れる資質を整理します。
手がかりは三つあります。第一に、申込時の志望動機が第2次以降で使われること。
これは、書いた言葉に責任を持てるかどうかが見られるということです。第二に、多くの職種で集団討論が課されること。
初対面の相手と結論を出す過程が観察されます。第三に、個人面接が第2次と第3次の2回あること。
同じ人物を時間をおいて確かめる作りです。面接対策の言葉に翻訳すれば、「書いたことと話すことが一致していること」「初対面の集団で議論を前に進められること」「二度問われても崩れない一貫性」の三つが軸になります。
自己PRでは「協調性があります」と述べるのではなく、その協調が具体的に何を動かしたのかまで話せるようにしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。深谷市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 本庁舎の場所はすぐにわかりましたか | 準備していない問いに、どんな表情と速さで返せるか |
| ② 動機・志望 | 申込のときに書いた志望動機を、あらためて話してください | 提出した文章と口頭の説明が一致しているか |
| ③ 自己理解 | 自分の長所が裏目に出た経験はありますか | 強みを一面的に語らず、限界まで自覚できているか |
| ④ 経験・行動 | 意見がまとまらない場で、あなたは何をしましたか | 集団討論での振る舞いを予測できる行動の中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまで学んできたことで、仕事に生かせそうな点はありますか | 学びを仕事の言葉に置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 市域の広い自治体で働くことに、不安はありますか | 働く条件を現実的に受け止めているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 災害への備えについて、日ごろ考えていることはありますか | 社会の課題を自分の生活の側から語れるか |
ただし、この7カテゴリーは深谷市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「深谷市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「深谷市役所ならでは」の質問
どちらも深谷市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。深谷市の場合は、申込時に書いた志望動機とこの答えがつながっているかどうかも見られます。
使える「深谷市の事実」を、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい深谷市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と形 | 人口140,211人、面積138.37km²、人口密度1,013人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。人口と面積がほぼ同じ数字で並ぶ市 | 人口の規模だけを述べず、人が広い市域に散らばって暮らすという形から、移動と拠点配置という行政の課題に話を進めます |
| 県境の市であること | 埼玉県内の熊谷市・本庄市・嵐山町・美里町・寄居町に加え、群馬県の伊勢崎市・太田市とも接する | 県の端という言い方で終わらせず、生活の圏域が県境で切れないからこそ広域の調整が仕事になるという角度で説明します |
| 防災・危機管理 | 県内最大の被害が想定される関東平野北西縁断層帯地震は、深谷断層と綾瀬川断層を一体とした想定。県全体で死者3,599人・避難所避難者144,968人(30年以内の発生確率は0.008%以下) | 断層の名に市名が入っている事実に触れたうえで、確率が低いとされることと備えを緩めることは別だという整理を自分の言葉で述べます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は5か年計画で超少子高齢社会への対応を最大の課題に掲げ全体の方向を示す。市はそれを住民の生活の単位で形にする | 制度の分担で終わらせず、広い市域のどの地区の暮らしに関わりたいのかを、具体的な場面として挙げます |
| 産業と土地の使い方 | 埼玉県の製造品出荷額等は15兆3,297億円で全国第6位、付加価値額は5兆3,092億円で全国第5位(令和5年)。深谷市は人口密度1,013人/km²と土地に余裕がある | 企業名を挙げるのではなく、広い市域の土地をどう配分するかという判断が複数の部署にまたがる仕事だという理解を示します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、いま整理した三つの資質に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 書いたことと話すことの一致 | 申込フォームの志望動機と、第2次以降の受け答えの整合 | 深谷市では申込時の志望動機が第2次以降で使われます。提出前に控えを残し、そこに書いた関心を軸に話を広げられるよう、裏付けとなる経験を先に決めておく |
| 初対面の集団で議論を進められるか | 第2次の集団討論で、限られた時間のなかで何を最初に決めるか | 集団討論の対象となる職種は一般事務やまちづくり技師など複数あります。結論を出す役だけでなく、論点を分ける役や時間を見る役も想定して臨む |
| 二度問われても崩れない一貫性 | 第2次と第3次の個人面接で、同じ経験を別の角度から確かめられる | 個人面接は2回あります。一度目で話した内容を書き留めておき、二度目に同じ結論へ別の入り口から入れるよう、エピソードの切り口を複数用意しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受験する回の案内を印刷するかファイルに保存し、自分の職種の欄を最後まで追う。深谷市は6月試験と9月試験で第1次の方式や集団討論の対象職種が異なる可能性がある
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、広い市域と県境という深谷市の条件から言えることを自分の言葉にしておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習する。申込フォームに書いた志望動機の控えを手元に置き、そこから話を広げる形で2回分の個人面接を想定しておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、深谷市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
深谷市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
深谷市の9月試験は、申込の時点で書いた志望動機が第2次以降に持ち込まれる作りになっています。つまり、面接の準備は申込フォームを送る前から始まっているということです。
多くの職種では集団討論が加わり、個人面接は第2次と第3次の二度あります。書いた言葉、集団のなかでの振る舞い、そして二度の面接での一貫性。
この三つが同じ人物のものとして見えるかどうかが問われます。人口14万人ほどが138km²あまりの市域に散らばって暮らし、県境の向こうには群馬県の市が接し、県内最大の被害が想定される断層帯には市の名が入っている。
その深谷市で、自分は誰のどんな不便に手を伸ばしたいのか。そこを一つ決めておけば、申込書に書いた一文から最後の面接まで、話は自然につながります。