本記事では、狭山市職員採用試験の面接対策で必要な、狭山市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
狭山市役所の面接試験では、「なぜ狭山市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市の仕事にどう結び付けるのか」といった、市のことを調べていなければ答えられない質問が想定されます。狭山市の選考には集団形式の試験がなく、合否は個人面接で決まります。
一対一の場で自分の言葉が持つかどうかが、そのまま結果につながる試験です。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と狭山市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
狭山市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは狭山市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口147,477人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積48.99km²、人口密度3,010人/km²の市である。団体コードは11215-1。
- 面積は約49km²と小さいが、そこに14万人以上が暮らしており、人口密度は県内でも高い水準にある。市域がまとまっている分、行政の拠点から市内各所への距離は短い。
- 入間市・川越市・所沢市・飯能市・日高市の5市に接する。接するすべてが埼玉県内の市で、県境には面していない。
- 市役所は入間川一丁目23番5号に置かれている。市の花はツツジ、市の木は茶の木。
- 職員採用試験の正式名称は「狭山市職員採用資格試験」で、他市が用いる「職員採用試験」とは表記が異なる。
- 同一年度に4月募集・7月募集・12月募集など複数回の募集が行われており、募集回ごとに試験の方式が異なる。
- 令和8年度の7月募集では、教養試験がマークシート方式からテストセンター方式に変更されたことが受験案内の冒頭に明記されている。
狭山市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「狭山市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の位置づけを考える材料として、埼玉県全体の数値も併記しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 147,477人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 48.99km² |
| 人口密度 | 3,010人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 入間市、川越市、所沢市、飯能市、日高市 |
| 市役所所在地 | 〒350-1380 埼玉県狭山市入間川一丁目23番5号 |
| 市の花・市の木 | ツツジ・茶の木 |
| (参考)埼玉県の推計人口 | 7,291,615人(令和8年6月1日現在。男3,607,559人、女3,684,055人) |
| (参考)埼玉県の高齢化率 | 27.8%(令和7年推計)、令和22年には33.3%の見込み |
| (参考)埼玉県の経常収支比率 | 96.2%(令和5年度決算) |
| (参考)埼玉県の観光入込客数 | 100,204千人(令和5年。うち日帰りが98,299千人) |
狭山市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理したものです。市役所の所在地は狭山市の令和8年度7月募集の受験案内の記載によります。埼玉県の推計人口・高齢化率・経常収支比率・観光入込客数は埼玉県公式サイト及び総務省の資料による数値です。市の統計の最新値は、狭山市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
狭山市の特徴は、人口147,477人が48.99km²にまとまって暮らしている点にあります。人口密度は3,010人/km²。
市役所から市内のどこへ行くにも、移動にそれほど時間はかかりません。拠点を増やさずに市域全体をまかなえるという条件は、限られた職員数で行政を回すうえで大きな利点です。
ただし、密度の高さは同時に別の課題も生みます。人が近くに住んでいるということは、公共施設や道路、上下水道といった施設が集中的に使われてきたということでもあり、それらは同じ時期にまとめて更新の時期を迎えます。
埼玉県全体では、令和8年6月1日現在の推計人口が7,291,615人で、県は間もなく人口が減少に転じるとの見通しを示しています(出典:埼玉県推計人口|令和8年6月1日現在)。
使う人が減る局面で、集中して整えてきた施設をどう維持するか。施設がまとまっているという強みは、答えのなかでこう使えます。
狭山市の経済・産業
県西部という位置
狭山市が接するのは入間市・川越市・所沢市・飯能市・日高市の5市で、すべて埼玉県内です。県境には面していません。
埼玉県の県内総生産(名目)は令和4年度で24兆6,656億円と、全国でも上位の規模にあります(出典:産業と雇用のすがた(県民経済計算)|令和7年度版)。
その県のなかで狭山市は西部側にあり、山地側の飯能市とも、人口の多い川越市・所沢市とも接しています。
隣接する市がいずれも県内であるということは、住民の選択肢が県内の近隣市の間で移りやすいということでもあります。住まい、子育て、通勤の利便といった条件は、隣の市とすぐに比べられます。
市の魅力を語るなら、他県と比べた話ではなく、近隣の市と並べたときに何が違うのかという水準で考えておく必要があります。
市の木が茶の木であるということ
狭山市の木は茶の木です。隣接する入間市と所沢市はいずれも市の花に茶の花を挙げており、この一帯は茶とつながりの深い地域だといえます。
地域の産物は、産業振興だけの話ではありません。学校給食、観光、ふるさと納税、都市計画のなかの農地の扱いなど、複数の部署の仕事に顔を出します。
埼玉県の観光は、令和5年の観光入込客数が100,204千人で、日帰りが98,299千人を占めます。観光消費額は、県内から訪れた人の宿泊分が100億円・日帰り分が2,704億円、県外から訪れた人の宿泊分が307億円・日帰り分が2,565億円でした(出典:産業と雇用のすがた(観光入込客統計)|令和7年度版)。
金額の大半を日帰りが生んでいるという構造です。地域の産物を観光に生かすなら、遠方から泊まりに来てもらう発想よりも、近隣から日帰りで訪れる人に何を買って帰ってもらうかという発想のほうが、県全体の実情に合っています。
職員として働く場としての狭山市
受験案内には、採用後は原則として3年から5年を目安に異動が行われると記されています。数年ごとに担当する分野が変わるということです。
市の産業や地域の資源についての知識は、特定の部署にいる間だけ役立つものではなく、どの部署でも住民と話す土台になります。自治体研究を「面接のための暗記」と考えず、働き始めてから使う地図だと思って読んでみてください。
狭山市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、狭山市を含む埼玉県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
県全体で人口が減り始めたこと
令和7年国勢調査の速報結果によると、埼玉県の人口は7,287,169人となり、前回の令和2年調査から57,596人(0.8%)減りました。大正9年の調査開始以来はじめての減少です。
世帯数は3,285,878世帯と3.9%増え、1世帯当たり人員は2.22人(前回2.32人)まで下がりました(出典:令和7年国勢調査 人口速報結果(埼玉県)|令和8年5月公表)。
人が減りながら世帯が増えるということは、支援の単位が細かく分かれていくということです。密度の高い市では、その細かい単位が近い距離に並びます。
見守りや相談の仕組みを、どう届くように設計するかが問われます。
85歳以上の急増という段階
埼玉県の高齢化率は令和7年の推計で27.8%、令和22年(2040年)には33.3%となる見込みです。注目したいのはその内訳で、85歳以上の人口は令和22年に約57万人となり、令和2年に比べて2倍以上に増える見込みとされています。
75歳以上も令和7年の約121万人から令和32年(2050年)には約146万人へ増える見通しです(出典:埼玉県の高齢化の状況|令和7年・令和22年推計)。
高齢化を一括りにせず、支援の必要度が高い年代が急に増える段階が来ると理解しておくと、福祉分野の話が具体的になります。
そして、その段階は狭山市では県より先に進んでいます。住民基本台帳(令和8年1月1日現在)に基準をそろえて見ると、狭山市の高齢化率は32.3%、75歳以上の割合は19.9%です。
同じ基準の埼玉県全体は27.0%・16.0%ですから、市民のおよそ5人に1人が75歳以上という水準に、県の平均より先に届いていることになります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
なお、直前の27.8%は県の推計値で、こちらとは調査が違います。二つを引き算しないよう気をつけてください。
隣接する5市を同じ基準で並べると、川越市27.2%、所沢市27.8%と、人口の多い市は3割を下回ります。一方、入間市31.4%、飯能市33.1%、日高市34.0%は狭山市と近いか、それを上回ります。
住まいを選ぶ人が近隣の市とすぐ比べるという話は先に触れましたが、年齢構成の面では、狭山市は川越市や所沢市とは別の段階にいます。面接で高齢化を語るなら、県の見通しを引くだけでなく、この市が県より先を歩いているという位置から話を始めると、他の受験者との違いがはっきりします。
自由に使える財源の乏しさ
埼玉県の財政力指数は0.73、経常収支比率は96.2%です(いずれも令和5年度決算)(出典:総務省 財政状況資料集(埼玉県)|令和5年度)。
経常収支比率は、毎年決まって入る収入が、人件費など毎年固定的にかかる支出でどれだけ埋まっているかを示す指標です。96.2%という水準は、新しいことに回せる財源がごくわずかしか残らないことを意味します。
市町村の事業も県の補助や負担と結び付いていますから、何かを始めるには何かを見直すという判断が日常的に必要になります。
県が想定する地震と、避難所の運営
埼玉県地震被害想定調査では、5つの想定地震のうち関東平野北西縁断層帯地震(深谷断層・綾瀬川断層を一体として想定)の被害が最大で、建物の全壊は揺れによるもの53,013棟・液状化によるもの2,116棟、死者3,599人、避難所への避難者144,968人と見込まれています(30年以内の発生確率は0.008%以下)。この想定は平成24年度から25年度に行われた調査に基づくもので、県の地域防災計画は現在もこの調査を用いています(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24〜25年度)。
県全体で14万人を超える避難所避難者が想定されるということは、市の職員にとって避難所の運営が実際の業務になるということです。人が密に暮らす市では、一つの避難所に集まる人数も多くなります。
狭山市の重点政策|県の計画と市の人の育て方
狭山市の総合計画の内容と最新の施政方針は、狭山市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここでは、県の最上位計画という物差しと、市が採用の場面で示している人の育て方から、面接で使える軸を整理します。
県の5か年計画が掲げるもの
埼玉県5か年計画(令和4年度から令和8年度まで)は「日本一暮らしやすい埼玉へ」を掲げ、県が直面する最大の課題を「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」と位置づけています。2040年を見据えて3つの将来像・12の針路・54の分野別施策を設定し、感染症の拡大や激甚化する自然災害への対応も「待ったなし」の課題としています(出典:埼玉県5か年計画(ダイジェスト版)|令和4年3月策定)。
「暮らしやすい」という言葉は、市の仕事に下ろすと具体的になります。密度の高い狭山市では、施設が近い、移動が短い、窓口に行きやすいといった条件がすでにそろっています。
だからこそ、暮らしやすさの中身をどこまで引き上げられるかが問われます。県の言葉をそのまま繰り返すのではなく、自分が引き上げたい一点を選んでおきましょう。
市が採用の場面で示していること
狭山市の令和8年度7月募集の受験案内と市公式サイトの検索では、「求める職員像」として掲げられた一文を当研究会は確認できていません。そのかわり、この案内には人の扱い方についての記述がいくつも含まれています。
まず、採用時の配属は面接試験や職務経験等を参考に決定され、その後は自己申告書等を参考に原則3年から5年を目安に異動するとされています。特定の分野の専門家としてではなく、複数の分野を経験する職員として育てる前提だと読めます。
次に、受験申込は1つの職種に限られ、提出後の職種変更はできず、今回受験した人は令和8年度に実施されるその他の狭山市職員採用資格試験に申し込めないとされています。選ぶ側にも選ばれる側にも一度きりの機会だという設計です。
さらに、合格者を対象に健康診断のほか事前交流会とオリエンテーションが実施されます。入る前から関係を作ろうとしている市だといえます。
POINT|「この仕事だけをやりたい」で止めない
狭山市では原則3年から5年で異動があります。特定の業務への強い希望だけを語ると、数年後の姿が見えない受け答えになります。
悪い例「子育て支援の部署でずっと働きたいと考えています」
改善例「まずは子育ての相談を受ける仕事に関わりたいと思っています。ただ数年で異動があると聞きましたので、そこで知った家庭の事情を、税や住まいの部署に移ったときにも思い出せる職員になりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 狭山市職員採用資格試験の受験案内(受験する募集回のもの。同一年度に複数回の募集があり方式が異なる点に注意)
- 狭山市の総合計画と、最新年度の予算・施政方針に関する資料
- 狭山市公式サイトの市政情報・広報紙の最新号
- 市のハザードマップと避難所の一覧(避難所運営を自分の仕事として考える材料として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、狭山市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。狭山市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
狭山市役所の面接の概要
ここからは、狭山市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
狭山市役所の試験の流れ
狭山市の職員採用試験は、正式名称を「狭山市職員採用資格試験」といいます。同一年度に複数回の募集があり、募集回によって方式が変わります。
ここでは、令和9年4月1日採用の令和8年度7月募集の構成を見ていきます。
7月募集は第1次試験と第2次試験の2段階です。最大の特徴は面接の形式にあります。
全職種とも個人面接のみで、集団面接や集団討論を実施する旨の記載はありません。その個人面接が第1次と第2次で計2回行われ、第1次の会場は狭山市市民交流センター、第2次の会場は狭山市役所とされています(出典:狭山市職員採用資格試験受験案内|令和8年度7月募集)。
| 項目 | 内容(令和8年度7月募集) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(筆記・個人面接)と第2次試験(性格検査・個人面接)の2段階。採用予定日は原則として令和9年4月1日 |
| 書類審査 | 事務職(社会人)区分のみ、第1次試験の前に書類審査があり、合否はメールで通知される |
| 第1次試験の筆記 | 事務職は教養試験又はSCOA-Aの選択式、技術職(経験者区分を除く)はSCOA-A、専門職はTAPOC。技術職(経験者区分)に筆記はない。教養試験・SCOA-Aの会場はテストセンター |
| 方式の変更 | 教養試験がマークシート方式からテストセンター方式に変更された旨が、受験案内の冒頭に明記されている |
| 面接の形式 | 全職種とも個人面接のみで計2回。集団面接・集団討論を実施する旨の記載はない。第1次は狭山市市民交流センター、第2次は狭山市役所で実施 |
| 個人面接の内容 | 職員として必要な職務遂行上の能力・適性についての試験 |
| 第2次試験の性格検査 | SCOA-B(全職種対象。職員に求められる資質に関し、性格傾向の面から検査するもの。WEB受験) |
| 募集職種・募集人数 | 事務職(大学・短大・高校区分、障がい者対象、社会人を合わせて)5名程度、土木技術職・建築技術職(経験者・障がい者対象を含む)各若干名、保健師若干名、精神保健福祉士2名程度 |
| 申込書類 | 試験申込書・エントリーシート・確認票・受験票(応募フォームに入力)、卒業(見込み)証明書及び成績証明書、職務経歴書(経験者区分・社会人区分は所定様式をダウンロードしWord形式で添付)、免許証・資格証・障害者手帳等の写し又は免許・資格取得見込証明書、顔写真(申込前3か月以内に撮影した上半身・無帽・正面向き・背景なし、縦横比4:3) |
| 申込の制限 | 受験申込は1つの職種に限られ、申込書提出後の受験職種の変更はできない。今回受験した人は、令和8年度に実施されるその他の狭山市職員採用資格試験に申し込めない |
| 採用までの流れ | 合格者を対象に健康診断・事前交流会及びオリエンテーションを実施。補欠合格の有効期限は令和9年3月31日 |
| 配属と異動 | 採用時の配属は面接試験や職務経験等を参考に決定し、その後は職員の自己申告書(異動希望)等を参考に、原則として3年から5年を目安に異動が行われる |
| 初任給 | 大学卒266,112円、短大卒252,672円、高校卒238,672円(地域手当を含む) |
上記は狭山市の令和8年度7月募集の受験案内にもとづくものです。配点および人物試験の比重については、同案内に記載がありません。狭山市は同一年度に複数回の募集を行っており、募集回によって試験の方式が異なります。試験の名称も「職員採用資格試験」と他市の表記と異なりますので、資料を探す際は取り違えにご注意ください。受験の際は、必ずご自身が受ける募集回の最新の受験案内をご確認ください。
狭山市役所が求める人物像
前述のとおり、狭山市の受験案内と公式サイトの検索では、「求める職員像」として掲げられた一文を確認できていません。そこで、試験の作りから読み取れる資質を整理します。
手がかりは三つあります。第一に、集団形式がなく個人面接だけで人物を見ること。
第二に、その個人面接が第1次から置かれていること。第三に、申込の段階でエントリーシートを提出すること。
つまり、書いた内容を土台に、一対一で二度掘り下げられる試験だといえます。面接対策の言葉に翻訳すれば、「エントリーシートに書いた内容を自分の言葉で展開できること」「一対一の場で沈黙を恐れずに考えを述べられること」「二度目の面接で同じ話を別の角度から語れること」の三つが軸になります。
自己PRでは「粘り強さがあります」と述べるのではなく、その粘り強さが何を変えたのかまで話せるようにしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。狭山市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までの道のりはいかがでしたか | 用意していない話題でも、会話として成り立たせられるか |
| ② 動機・志望 | 近隣の市ではなく狭山市を選んだ理由は何ですか | 近い条件の市と比べたうえで選んだ筋道になっているか |
| ③ 自己理解 | エントリーシートに書いた強みを、別の言い方で説明してください | 書いた言葉を借り物にせず、自分の理解として持っているか |
| ④ 経験・行動 | 誰かに頼らず自分で判断した経験を教えてください | 判断の場面で何を基準に決めたのかという中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んだことのなかで、いま振り返ると評価が変わったことはありますか | 自分の経験を後から捉え直せる柔らかさ |
| ⑥ 適性・将来 | 数年ごとに担当が変わる働き方を、どう受け止めますか | 異動のある組織で働くことへの現実的な理解 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 公平に扱うということについて、考えを聞かせてください | 公平さを自分の言葉で説明できるか |
ただし、この7カテゴリーは狭山市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「狭山市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「狭山市役所ならでは」の質問
どちらも狭山市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。狭山市は個人面接だけで人物を見る試験ですから、こうした問いは集団の場で薄まることなく、一対一で正面から確かめられます。
使える「狭山市の事実」を、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい狭山市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と形 | 人口147,477人、面積48.99km²、人口密度3,010人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。まとまった市域に人口が集まっている | 人口の規模を述べるだけで止めず、市域がまとまっているから拠点を増やさずに市内をまかなえるという条件から、自分がやりたい仕事を語ります |
| 近隣の市との関係 | 入間市・川越市・所沢市・飯能市・日高市の5市に接し、いずれも埼玉県内。県境には面していない | 立地の説明で終わらせず、住民が近隣の市とすぐ比べられる環境にあることを踏まえ、狭山市が選ばれる理由をどう作るかまで話します |
| 市の課題 | 埼玉県では85歳以上人口が令和22年に約57万人となり令和2年の2倍以上になる見込み。75歳以上も令和7年の約121万人から令和32年には約146万人へ | 高齢化を一括りにせず、支援の必要度が高い年代が急に増える段階が来るという理解を示したうえで、市の福祉の仕事に結び付けます |
| 防災・危機管理 | 県の想定で最大となる関東平野北西縁断層帯地震では、県全体で避難所への避難者144,968人が想定される。この想定は平成24〜25年度の調査に基づき、県の地域防災計画が現在も用いている | 被害の数字だけを述べず、市職員にとって避難所の運営が実際の業務になるという当事者の視点から、自分にできることを語ります |
| 働き方への理解 | 採用時の配属は面接試験や職務経験等を参考に決定され、その後は自己申告書等を参考に原則3年から5年を目安に異動が行われる | 希望の部署を挙げるだけでなく、数年後に別の分野へ移ったときに前の経験をどう生かすかという道筋まで説明します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、試験の作りから読み取れる資質に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 書いた内容を展開できるか | 申込時に提出したエントリーシートの記載を起点にした問い | 狭山市は申込時にエントリーシートを提出します。提出前に控えを残し、書いた一文ごとに裏付けとなる出来事を一つずつ用意しておく |
| 一対一の場で考えを述べられるか | 第1次から置かれる個人面接での受け答えと、間の取り方 | 集団形式がないため、他の受験者の答えを参考にすることはできません。すぐに答えが出ないときは考えている旨を一言添えてから話す形を練習しておく |
| 二度目に別の角度から語れるか | 第2次の個人面接で、同じ経験を違う切り口から確かめられる | 個人面接は2回あります。一度目に話した内容を記録し、二度目には同じ経験から別の学びを取り出せるよう、切り口を複数持っておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。狭山市は面接がすべて一対一ですから、この深掘りは避けられません。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける募集回の受験案内を保存して最後まで読む。狭山市は同一年度に複数回の募集があり、募集回ごとに試験の方式が異なる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、まとまった市域に人口が集まるという狭山市の形から言えることを自分の言葉にしておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習する。エントリーシートの控えを見ながら、書いた一文ごとに三分話を広げる練習を、第1次と第2次の2回分として行う
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、狭山市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
狭山市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
狭山市の7月募集は、集団討論も集団面接もなく、個人面接だけが二度置かれる試験です。他の受験者の様子から間合いを測ることはできませんし、集団の場で目立って挽回する機会もありません。
用意した言葉が一対一の場でどこまで持つか。そこがすべてです。
申込の段階でエントリーシートを出す以上、書いた内容は面接官の手元にあると考えて準備してください。そして受験案内は、採用後は原則三年から五年で異動があると書いています。
今やりたい仕事だけでなく、その先に別の分野へ移ったときに何を持ち込めるかまで話せると、長く働く職員として見てもらえます。14万人あまりが50km²ほどの市域に暮らし、隣にはよく似た条件の市が並んでいる。
そのなかで狭山市を選ぶ理由を、自分の経験の言葉で言い切れるようにしておきましょう。