本記事では、川越市職員採用試験の面接対策で必要な、川越市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

川越市役所の面接試験では、「なぜ川越市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、市の事情を知っていることを前提に踏み込んでくる質問が想定されます。川越市の事務職は第一次試験にも第二次試験にも面接があり、同じ受験者を二度、別の場面から確かめる形になっています。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と川越市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

川越市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは川越市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口352,607人で、さいたま市・川口市に次ぐ県内第3位の市である(令和7年国勢調査速報)。
  • 面積は109.13km²、人口密度は3,231人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。35万人規模の人口が、ひとつの市域に収まっている。
  • 上尾市・さいたま市・坂戸市・狭山市・鶴ヶ島市・所沢市・日高市・富士見市・ふじみ野市・三芳町・川島町の11市町と境を接する。通勤や通学、買い物の動きが市の境を越えて広がりやすい位置にある。
  • 市役所は元町一丁目3番地1に置かれている。団体コードは11201-1。市の花はヤマブキ、市の木はカシ。
  • 令和8年度3月募集(令和9年4月1日採用)の採用予定人員は、事務(大学・短大)50人のほか、土木10人、建築10人、電気5人、機械5人。
  • 事務職の採用試験は第一次・第二次の二段階で、どちらの段階にも面接試験が置かれている
  • 年度内には3月募集のほか、7月募集、10月1日採用、民間企業等職務経験者、学芸員、障害者対象の募集も実施されており、募集回によって試験の中身が変わりうる。

川越市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「川越市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の規模を測るときの比較先として、埼玉県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口352,607人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積109.13km²
人口密度3,231人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上人口・高齢化率95,782人・27.2%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)
75歳以上人口・75歳以上率58,269人・16.5%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)
隣接自治体上尾市、さいたま市、坂戸市、狭山市、鶴ヶ島市、所沢市、日高市、富士見市、ふじみ野市、入間郡三芳町、比企郡川島町
市役所所在地〒350-8601 埼玉県川越市元町一丁目3番地1
市の花・市の木ヤマブキ・カシ
(参考)埼玉県の総人口7,287,169人(令和7年国勢調査速報/前回調査から0.8%減)
(参考)埼玉県の高齢化率27.0%(令和2年)。令和22年には33.3%となる見込み
(参考)県内で人口が増えた市町10市町(53市町村は減少・令和7年国勢調査速報)

川越市の面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は、公表値をもとに整理したものです(人口密度は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。人口は埼玉県が公表した令和7年国勢調査速報の値です。65歳以上・75歳以上の人口と割合は、総務省が公表する住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値で、国勢調査とは調査が異なります。市の統計の最新値は、川越市公式サイトであわせてご確認ください。

数字から考えられる市政課題

令和7年国勢調査の速報結果で、埼玉県の人口は7,287,169人となり、前回調査から57,596人(0.8%)減りました。大正9年の調査開始以来、県人口が前回を下回ったのはこれが初めてです。

県内で人口が増えたのは10市町にとどまり、53市町村では減っています(出典:令和7年国勢調査速報結果(埼玉県)|令和8年5月公表

県が減少に転じたという事実は、35万人を抱える川越市にとって、これまでの前提が変わることを意味します。あわせて、県の高齢化率は令和2年で27.0%、令和22年(2040年)には33.3%になる見込みです(出典:埼玉県の高齢化の状況|令和2年・推計

人数が多い市ほど、支える側と支えられる側の入れ替わりも大きな量で起きます

では、川越市自身は県の中でどのあたりに位置するのでしょうか。総務省の住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値では、川越市の65歳以上人口は95,782人、高齢化率は27.2%で、75歳以上は58,269人(16.5%)です。

同じ住民基本台帳ベースで見た埼玉県全体は高齢化率27.0%・75歳以上率16.0%ですから、川越市は県の平均とほぼ並んだ位置にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在

ここで一つ注意があります。先に触れた県の高齢化率27.0%は令和2年の国勢調査に基づく値で、いま挙げた住民基本台帳の27.0%とは調査そのものが違います。

数字が偶然そろっていても出所は別ですから、面接で県と市を比べるときは、住民基本台帳どうし、国勢調査どうしで揃えて話してください。

県の平均並みという位置は、裏返せば、県全体で起きることがそのまま川越市でも起きるということです。違うのは桁だけで、高齢化率が1ポイント動けば、35万人の市では3,500人前後が動きます。

この人数の感覚を持っているかどうかが、面接での答えの重みを変えます。たとえば次のように、数字と課題を結び付けて話せます。

「川越市は35万人ほどが暮らす県内で3番目に大きい市ですけれども、県全体では国勢調査の人口が初めて減ったと聞きました。市内には65歳以上の方が9万5千人ほどいて、割合としては県の平均くらいだと知りました。ただ人が多いぶん、割合が少し動くだけで実際の人数は大きく変わるのではと感じています。まずは窓口で市民の方の困りごとを直接うかがえる仕事から始めたいです」

川越市の経済・産業

全国第5位の県内総生産という土台

埼玉県の県内総生産(名目)は令和4年度で24兆6,656億円あり、20年連続で全国第5位を保っています。実質でも24兆467億円と2年連続の増加でした(出典:産業と雇用のすがた(県民経済計算)|令和7年度版

川越市は、この県経済の中で人口第3位の規模を持つ市です。面接で県の数字を持ち出すなら、そこで止めず、その中で川越市がどの位置にいるのかまで言えるようにしておきましょう。

製造業に目を移すと、県の製造品出荷額等は令和5年で15兆3,297億円(全国第6位)、事業所数は令和6年で13,159事業所、従業者数は385,901人で、事業所数・従業者数はいずれも全国第4位です(出典:産業と雇用のすがた(工業)|令和7年度版

出荷額の順位より事業所数の順位が高いということは、中小の工場が数多く集まっている県だということです。雇用や産業振興の話題では、大企業の誘致だけでなく、既にある事業所をどう支えるかという視点を持っておくと答えに厚みが出ます。

日帰りが98.1%を占める観光

国の共通基準による令和5年の埼玉県の観光入込客数は100,204千人で、うち宿泊は1,904千人、日帰りは98,299千人でした。日帰りが98.1%を占めるのが埼玉県の観光の形です。

1人当たりの観光消費額単価は、県外からの日帰り客で6,752円、県外からの宿泊客では23,573円と差があります(出典:産業と雇用のすがた(観光)|令和7年度版

訪れる人が多くても、滞在が短ければ地域に落ちるお金は増えにくくなります。日帰り客と宿泊客の単価の差は3倍を超えており、来訪者を迎える立場の市にとっては、来た人にどれだけ長く過ごしてもらえるかが問われます。

観光やにぎわいづくりに関心があるなら、この県全体の傾向と、川越市が公表している観光の数字や取り組みを突き合わせておきましょう。県の平均と川越市の実際がどこで違うのかまで確かめてから話せば、「人を呼びたい」で終わらない話になります。

境を接する11市町との関係

11の市町と境を接するという条件は、経済の面から見ると、市民の生活圏が市域の中で完結していないということでもあります。働く場所、通う学校、買い物や医療の行き先が市の外にある人は珍しくありません。

行政の側から見れば、道路も、公共交通も、防災も、隣接自治体との調整なしには完結しない条件を抱えているということです。面接で「市の仕事」を語るときに、市域の内側だけを見た話にならないよう、隣り合う市町との関係を一言添えられると、視野の広さが伝わります。

川越市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、川越市を含む埼玉県内の市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

県人口が減り始めた中での35万人

令和7年国勢調査の速報では、埼玉県の世帯数は3,285,878世帯と前回調査から3.9%増えた一方で、1世帯当たり人員は2.22人(前回2.32人)に下がりました。人口が減り、世帯は小さくなる。

この二つが同時に進むと、同じ人口でも必要な住まいの数や見守りの手間は増えていきます。県内第3位の人口を持つ川越市では、その変化が大きな量で表れます。

2040年に県民の3人に1人が高齢者という見通し

埼玉県5か年計画は、県が直面する最大の課題を「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」と位置づけ、2040年には県民の3人に1人が高齢者になると記載しています(出典:埼玉県5か年計画(ダイジェスト版)|令和4年3月

県の75歳以上人口は令和7年に約121万人、令和32年(2050年)には約146万人に達する見込みです。医療や介護の需要が増える一方で、それを担う人手は細っていきます

市の窓口や地域包括の現場は、この変化を最初に受け止める場所です。

大規模地震で想定される被害

埼玉県地震被害想定調査では、5つの想定地震のうち被害が最も大きくなるのが関東平野北西縁断層帯地震(深谷断層と綾瀬川断層を一体で想定)で、建物全壊は揺れによるものが53,013棟、液状化によるものが2,116棟、死者3,599人、避難所避難者144,968人と想定されています(30年以内の発生確率は0.008%以下)(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24〜25年度

発生確率の低さと被害の大きさは別の話です。防災に触れるなら、確率ではなく、避難所避難者が14万人を超えるという規模のほうに目を向けてください。

そのうえで、この県全体の想定の中で川越市がどう位置づけられているかを、市の地域防災計画やハザードマップで確かめておきましょう。県の数字を借りたままで終わらせないための、ひと手間です。

35万人の行政を担う人手の確保

令和8年度3月募集の採用予定人員は、事務(大学・短大)50人のほかに、土木・建築・電気・機械を合わせて技術系だけで30人という規模です。事務職の人数に目が行きがちですが、この内訳からは、道路や下水道、公共施設といった市が持ち続けなければならない設備を維持するために、専門職をまとまった数で確保しなければならない市だということが読み取れます。

年度内に複数の募集回が置かれているのも、35万人の市の行政を止めずに回し続けるには一度の採用試験だけでは足りない、ということの表れです。受験する側から見れば、入り口が複数あるということでもあります。

川越市の重点政策|埼玉県5か年計画と川越市

川越市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。以下では、川越市政の下敷きになっている県の計画を確認し、そのうえで採用情報の読み取り方をたどります。

県の計画が示す方向

埼玉県5か年計画(令和4年度〜令和8年度)は「日本一暮らしやすい埼玉へ」を掲げ、2040年を見据えて3つの将来像・12の針路・54の分野別施策を設定しています。超少子高齢社会への対応に加え、感染症の拡大や激甚化する自然災害への対応も「待ったなし」の課題として明記されています。

この計画には、分野ごとの施策とは別に、県内を3つのゾーン・10の地域に分けた地域別施策が置かれています。その10地域の一つが「川越比企地域」で、県の計画の中に川越の名を冠した区分があるということです。

県の資料を読むときは、全県共通の記述だけを拾うのではなく、この地域別施策の部分に何が書かれているかを確かめてください。県が川越の周辺をどう見ているかが、そこに表れます。

県の計画は、県内の市が置かれている環境を説明する地図のようなものです。川越市の総合計画を読むときは、この地図の上で市がどこに力を入れているかを確かめる読み方をしてください。

県と同じ課題を挙げている部分と、川越市が独自に重く扱っている部分の差が、志望動機の材料になります。

川越市の採用情報をどこで見るか

川越市の職員採用試験の情報は、市公式サイトの職員採用のページに掲載される受験案内で確認します。申込みは「川越市職員採用管理システム」のマイページから行い、学歴・職歴・志望動機などを入力したうえで、必要書類をアップロードして本登録する仕組みです(出典:川越市職員採用試験受験案内(3月募集)|令和8年度

ここで入力した内容は、面接で手元に置かれる情報になります。志望動機の欄に書いた一文と、面接で話す内容がずれていれば、それだけで深掘りの的になります。

申込みの時点から面接は始まっていると考えて、入力欄を埋めましょう。

受験する募集回と会場に注意

川越市は年度内に複数の募集を行っています。ここで扱っているのは3月募集(令和9年4月1日採用)の構成であり、他の募集回では試験の中身が異なる可能性があります。また第一次試験の会場は「川越市立川越高等学校」で、受験案内自身が県立川越高等学校と間違えないよう注意を促しています。細かい話に見えますが、案内を読み込んでいるかどうかが表れる部分です。

悪い例「川越市の採用試験は毎年一回だと思っていました」

改善例「川越市は年度の中で複数回の募集があると知って、自分が受ける回の案内を最初から最後まで読みました。試験の順番や提出するものが回によって変わると分かったので、そこは取り違えないよう気をつけています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 川越市職員採用試験の受験案内(自分が受ける募集回・職種のもの)
  • 川越市公式サイトの職員採用ページに掲載される採用試験の実施結果
  • 川越市の総合計画・最新の予算資料・広報紙
  • 埼玉県5か年計画、県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、川越市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。川越市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

川越市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

川越市役所の面接の概要

ここからは、川越市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

川越市役所の試験の流れ

令和8年度3月募集(令和9年4月1日採用)の試験は第一次・第二次の二段階です。特徴は、第一次試験の時点で筆記と面接の両方が課され、面接が最後の関門ではなく最初の関門でもある点にあります。

筆記試験を受験していない人は面接試験を受験できないことも、受験案内に明記されています。

項目内容(令和8年度3月募集・令和9年4月1日採用)
試験の段階第一次試験と第二次試験の二段階
第一次試験筆記試験(SPI3・70分)と面接試験。筆記は言語分野(言葉の意味を理解し、文章や話の要旨をとらえる力)と非言語分野(数的情報をもとに解を導く力や論理的思考力)で、職務遂行に必要な総合的な基礎能力をみる
第二次試験性格特性検査(指定する期日までにWebで実施。公務員に求められる資質をみる検査)と面接試験。面接は川越市役所で実施
面接の種類個人面接。第一次・第二次を合わせて2回
集団形式受験案内に集団面接・グループディスカッションの記載はありません
配点試験ごとの配点は受験案内に記載がありません。不合格者には総合得点および総合順位が通知されます
申込方法インターネットによるWeb申込み。「川越市職員採用管理システム」のマイページから受験者情報(学歴・職歴・志望動機等)を入力し、必要書類をアップロードして本登録
採用予定人員事務(大学・短大)50人、土木10人、建築10人、電気5人、機械5人

上記は川越市の令和8年度3月募集(令和9年4月1日採用)の受験案内にもとづくものです。川越市は年度内に複数の募集を実施しており、募集回や職種によって試験の構成が異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が受ける募集回の最新の受験案内をご確認ください。

直近の実施結果

川越市は採用試験の実施結果を公表しています。合格までにどれだけ絞られるのかを知る材料になります。

区分応募者一次受験者一次合格者最終合格者
事務(大学)668人502人113人64人
事務(短大)16人15人2人0人
土木11人公表なし公表なし5人
建築9人公表なし公表なし5人

令和8年度3月募集(令和9年4月1日採用)の実施結果です(令和8年6月22日公表)。土木・建築は応募者数と最終合格者数のみが公表されています。(出典:川越市職員採用試験実施結果|令和8年度

この表は、四つの数字そのものよりも、その間にある三つの落差を見てください。まず応募668人に対して、第一次試験を受けたのは502人でした。

166人は申し込んだだけで受験していません。表に出る応募者数と、実際に会場に来る人数は違うということです。

次の落差は、502人から第一次合格者113人へ絞られるところにあります。ここが最も大きく減る段階で、残るのは4分の1以下です。

そして第一次合格113人のうち、最終合格に届いたのは64人でした。第一次を通過しても、4割を超える人が最終合格には至っていません

三つ目の落差が、川越市の試験でとくに見落とされやすいところです。第一次で筆記と面接の両方を突破した人だけが第二次に進み、そこからさらに半数近くが残れません。

第一次合格の通知を到達点として受け取らず、二度目の面接に向けて話を練り直す時間を、あらかじめ予定に組み込んでおきましょう。

前年(令和7年度3月募集分)の事務(大学)は、受験者294人・最終合格者67人で倍率4.4でした。今回は受験者が502人まで増えた一方、最終合格者は64人とほぼ同じ人数です。

同じ計算をすれば倍率は7倍台に上がっています。年度によって状況は変わりますから、前年の倍率を前提に構えると見誤ります

自分が受ける年の実施結果が公表されているなら、必ずその年の数字で確かめてください。

川越市役所が求める人物像

川越市の受験案内と、市公式サイトの職員採用に関するページには、他の自治体でよく見かける「求める職員像」にあたる定型の文言が見当たりません。手がかりがないように見えますが、公表されている試験の中身そのものが、市が何を測ろうとしているかを教えてくれます。

第一次でSPI3と面接、第二次で性格特性検査と面接という並びは、基礎的な能力、人柄、公務員としての資質を、別々の道具で重ねて確かめる設計です。しかも面接は二度あり、同じ受験者が別の場面で二回評価されます。

面接対策の言葉に翻訳すれば、「限られた時間で要点を伝える力」「二度の面接で一貫して語れること」「検査の結果と自分の話が食い違わないこと」の3点が軸になります。自己PRで「協調性があります」と伝えるなら、その協調性をどの場面で発揮し、周りの動き方がどう変わったのかまでを一組にして用意しておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。川越市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずに来られましたか構えの取れた場面での声量と表情。会話の入り口をつくれるか
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください安定という言葉以外で職業選択を説明できるか
③ 自己理解周囲からはどんな人だと言われますか他者から見た自分と、自分の認識のずれを把握しているか
④ 経験・行動意見が合わない相手と物事を進めた経験を教えてください対立の場面での歩み寄り方と、そこで自分が取った行動
⑤ 学業・経歴力を入れて学んだことを、専門外の人に説明してください相手の前提に合わせて言葉を選び直せるか
⑥ 適性・将来希望しない部署に配属されたらどうしますか異動のある組織で働くことへの理解と、気持ちの立て直し方
⑦ 公共性・社会性最近気になった行政のニュースを一つ挙げてください社会の動きへの関心と、それについて自分の考えを述べる力

ただし、この7カテゴリーは川越市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「川越市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「川越市役所ならでは」の質問

「なぜ埼玉県庁ではなく、川越市役所なのですか」
「川越市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも川越市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「川越市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい川越市の事実答え方のヒント
市の規模と位置人口352,607人で県内第3位(令和7年国勢調査速報)。面積109.13km²、人口密度3,231人/km²で、11の市町と境を接する「大きな市です」で終えず、11市町と接する市では市民の生活圏が市境をまたぐという話につなげます
なぜ県庁ではなく市役所か県は7,287,169人を対象に政策を組み立てるが、川越市は35万人の暮らしを窓口で直接受け止める立場にある県と市の役割の違いを述べて終わらせず、事務職50人という採用規模の中で自分がどの現場に立ちたいかを具体的に挙げます
市の課題県人口は令和7年国勢調査速報で調査開始以来初めて減少。川越市の65歳以上人口は95,782人・高齢化率27.2%で、住民基本台帳ベースの県平均27.0%とほぼ並ぶ(令和8年1月1日現在)県の数字を紹介するだけで終えず、35万人規模の市では同じ比率でも動く人数が大きいという読み替えを添えます
産業と雇用県内総生産は24兆6,656億円で全国第5位(令和4年度)。製造業の事業所数13,159・従業者数385,901人はいずれも全国第4位(令和6年)大企業の誘致ではなく、既にある中小の事業所をどう支えるかという角度に寄せて話します
試験への向き合い方令和8年度3月募集の事務(大学)は応募668人・一次受験502人・一次合格113人・最終合格64人。前年の受験294人から大きく増えた倍率の高さを嘆くのではなく、第一次で筆記と面接の両方が課される構成にどう備えたかを具体的な行動として話します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「評価されやすい資質」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
限られた時間で要点を伝える力第一次の面接で、短いやり取りの中で話の芯が伝わるか川越市の第一次はSPI3と面接が同じ段階に置かれています。志望動機を60秒で言い切る版と、3分で話す版の二通りを作っておく
二度の面接で一貫して語れること第一次と第二次で同じ話題を問われたとき、答えの芯が動かないか申込時にシステムへ入力した志望動機の控えを手元に残し、面接で話す内容と突き合わせておく
検査結果と食い違わない自己理解第二次の性格特性検査で示される傾向と、面接での自己評価が重ならないか短所を隠して答えるのではなく、自分の傾向を認めたうえで仕事にどう活かすかを話せるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。川越市は面接が二度ある分、同じ話題を別の面接官から角度を変えて問われる前提で備えましょう。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておくことが、二度の面接を通じた説得力につながります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける募集回の受験案内を入手し、試験の構成と申込時にシステムへ入力する項目を確認する(面接での発言と食い違わないように)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、県内第3位という人口規模と11市町に接する位置から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習する。第一次の短い面接を想定した簡潔な版と、第二次で深く掘られる場面を想定した詳しい版を、それぞれ用意しておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、川越市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

川越市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

川越市役所の想定問答集を見る

さいごに

川越市の事務職の試験は、第一次で筆記と面接、第二次で検査と面接という並びです。面接が二度あるということは、一度うまく話せても、もう一度別の面接官の前で同じ人物であることを示す必要があるということでもあります。

令和8年度3月募集の事務(大学)は、応募668人のうち最終合格が64人でした。この人数に入るために必要なのは、35万人の市の事情を、自分が見聞きした範囲の言葉で語れることです。

県内第3位という規模も、11市町に囲まれた位置も、暗記した数字のままでは面接では動きません。自分の関心と結び付けて、はじめて材料になります