本記事では、秩父市職員採用試験の面接対策で必要な、秩父市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
秩父市役所の面接試験では、「なぜ秩父市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の経験を市の仕事にどう活かすのか」といった質問が想定されます。秩父市の採用試験は3段階で、2回の個別面接をそれぞれ異なる面接官が担当すると受験案内に明記されている点に特徴があります。
本記事の掲載内容を参考に、秩父市の実情と自分の経験を結び付け、面接での回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
秩父市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは秩父市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口56,230人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積577.83km²・人口密度97.3人/km²の市である。
- 面積577.83km²は、同じ時点の県内40市で最も広い。2番目に広いさいたま市(217.43km²)の2.6倍にあたり、埼玉県全体の面積約3,798km²のおよそ15%を1つの市が占める。
- 人口密度97.3人/km²は、同じ時点の県内40市で最も低い。広い市域に人が薄く分かれて住んでいる形である。
- 隣接するのは飯能市、比企郡ときがわ町、児玉郡神川町、秩父郡小鹿野町・皆野町・横瀬町、東秩父村に加え、東京都西多摩郡奥多摩町、山梨県甲州市・山梨市・北都留郡丹波山村、長野県南佐久郡川上村、群馬県藤岡市。1都3県と境を接している。
- 埼玉県の地形は西部の山地と東部の平地に大きく分かれ、県下の最高峰は秩父山地の三宝山(標高2,483m)である。県の西の骨格をなす地域に位置している。
- 市の花はシバザクラ、市の木はカエデ。
- 市役所は〒368-8686 秩父市熊木町8番15号に置かれている(団体コード11207-1)。
秩父市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、秩父市が「どれくらいの広さに、どれくらいの人が住む市」なのかを言えることは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、周囲との位置関係など、市政の性格を説明できる項目を優先して整理しました。規模を測るときの比較先として、埼玉県全体の数値もあわせて載せています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 56,230人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 577.83km²(同じ時点の県内40市で最大) |
| 人口密度 | 97.3人/km²(上記の総人口と総面積から算出。同じ時点の県内40市で最低) |
| 隣接自治体 | 飯能市、比企郡ときがわ町、児玉郡神川町、秩父郡小鹿野町・皆野町・横瀬町、東秩父村、東京都西多摩郡奥多摩町、山梨県甲州市・山梨市・北都留郡丹波山村、長野県南佐久郡川上村、群馬県藤岡市 |
| 市役所所在地 | 〒368-8686 埼玉県秩父市熊木町8番15号 |
| 市の花・市の木 | シバザクラ・カエデ |
| (参考)埼玉県の面積 | 約3,798km²(47都道府県中第39位) |
| (参考)埼玉県の総人口 | 7,287,169人(令和7年国勢調査速報結果) |
| (参考)埼玉県の最高峰 | 秩父山地の三宝山(標高2,483m) |
秩父市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。県内40市との比較は、同じ時点の市別の公表値を並べたものです。埼玉県の面積・総人口・最高峰は埼玉県公式サイトの資料による数値です。市の統計の最新値は、秩父市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
広さと人数の落差から読む市政
秩父市を理解する鍵は、人口56,230人と面積577.83km²という二つの数字の落差にあります。埼玉県は面積約3,798km²で全国第39位という、けっして広くない県です。
その県土のおよそ15%を、人口5万人台の市が占めている(出典:埼玉県統計年鑑(地勢)|令和2年)。
道路の距離、水道管の長さ、学校や消防の配置。行政の手間の多くは人数ではなく面積で決まります。ここが、同じ5万人台でも平野部の市とは条件が違うところです。
県全体の人口も見ておきましょう。埼玉県の人口は令和7年国勢調査の速報結果で7,287,169人となり、前回(令和2年)から0.8%減って、大正9年の調査開始以来はじめて前回を下回りました。
増加した市町村は10、減少した市町村は53にのぼります(出典:令和7年国勢調査速報結果|埼玉県)。
面接では、次のように数字を自分の言葉に変えられます。
秩父市の経済・産業
県土の西を占める山地という条件
埼玉県の地形は、西部の山地と東部の平地に大きく二分されます。平地は総面積の約61%を占め、平地の割合は全国的にも高い部類です。
裏を返せば、残りの4割を占める山地の大半が県の西側にあり、そこに秩父市が位置しているということです。県下最高峰の三宝山(標高2,483m)も秩父山地にあります。
県全体では平地が主役でも、秩父市の市域では山地が前提になる。この差が、産業の姿にも防災の姿にも表れます。
県全体の経済のなかでの位置
市の経済を語るときは、県全体の規模を土台に置くと輪郭がはっきりします。埼玉県の県内総生産(名目)は令和4年度に24兆6,656億円を記録しました。
全国第5位という位置を20年続けています(出典:産業と雇用のすがた|令和7年度版)。
ただし、この規模を生んでいるのは主に平野部です。山地を抱える市の産業を考えるときは、県全体の平均像をそのまま当てはめず、市域の条件から積み上げる姿勢が要ります。
日帰りに偏る県の観光
観光は、山地を抱える地域にとって大きな論点です。国の共通基準による令和5年の埼玉県の観光入込客数は100,204千人で、うち宿泊が1,904千人、日帰りが98,299千人と、日帰りが98.1%を占めます。
1人当たりの観光消費額単価は、県内からの来訪でみると宿泊16,594円に対し日帰り4,484円、県外からの来訪では宿泊23,573円に対し日帰り6,752円です(出典:産業と雇用のすがた(観光)|令和7年度版)。
泊まってもらえるかどうかで、一人あたりの消費額は3倍から4倍変わります。観光を志望動機に据えるなら、来訪者数を増やす話だけでなく、滞在の長さをどう伸ばすかという視点まで持っておきましょう。
1都3県に接するという立地
秩父市は東京都、山梨県、長野県、群馬県と境を接しています。県境をまたぐ地域では、観光の人の流れも、山林や河川の管理も、災害時の助け合いも、埼玉県の内側だけを見ていては組み立てられません。
市の外との関係をどう結ぶかが、市の仕事の一部になっているということです。面接で市の特徴を問われたとき、この立地を自分の言葉で説明できる受験者は多くありません。
地図を開いて、市の西と南にどんな地域が広がっているかを確かめておきましょう。
秩父市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、秩父市を含む埼玉県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
広い市域を少ない人数で支える
人口密度97.3人/km²という数字は、そのまま行政の運営条件になります。道路や上下水道の総延長、公共施設の数は、人口ではなく市域の広がりに応じて増えます。
人が減っても、施設や設備が同じ割合で減るわけではありません。職員数にも限りがあるため、一人が受け持つ分野は自然と広くなります。
何を残し、何をたたみ、どこを共同で担うのかという判断を、住民と一緒に重ねていく場面が増えていきます。
県内で最も高齢化が進んだ市という現在地
埼玉県では、令和2年に27.0%だった高齢化率が令和7年には27.8%となり、令和22年(2040年)には33.3%まで上がると見込まれています。県の計画はこれを「2040年には県民の3人に1人が高齢者」と表現しています。
75歳以上に限ると、令和7年の約121万人が令和32年(2050年)には約146万人まで増える見通しです(出典:高齢化の状況|埼玉県)。
ただし、これは県全体の話です。秩父市自身の数字を見ておきましょう。
総務省が住民基本台帳をもとにまとめた令和8年1月1日現在の集計では、秩父市の65歳以上人口は20,368人、高齢化率は36.2%で、同じ集計に並ぶ県内40市のなかで最も高い数値です。75歳以上も11,584人(20.6%)にのぼります。
同じ住民基本台帳ベースでみた埼玉県全体は高齢化率27.0%・75歳以上率16.0%ですから、市はそれを9ポイント以上、上回っていることになります。なお、この集計の基準日は令和8年1月1日で、先に挙げた市の人口(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)や、国勢調査にもとづく県の高齢化率とは、調査そのものが違います。
数字を並べるときは基準の違いに触れておきましょう。
移動距離の長い地域では、この変化が通院や買い物の手段の問題として最初に表れます。福祉と交通が切り離せない課題になる、という点を押さえておきましょう。
面接で高齢化を語るなら、県の2040年の見通しを引くよりも、3人に1人以上がすでに65歳以上という市の現在地から始めるほうが、秩父市の話になります。
働き手が減っていくという前提
埼玉県5か年計画が示す見通しによると、県内で15歳から64歳の人口が最も多かったのは平成12年(2000年)の501万人で、令和22年(2040年)には380万人まで減るとされています(計画の出典は次章に掲げています)。担い手が細るということは、行政サービスの支え手も、地域の消防団や自治会の担い手も同時に減るということです。
人口が少なく面積の広い地域では、この影響が先に、そして強く出ます。市の仕事を語るときは、人を増やす話と、少ない人数でも回る仕組みをつくる話の両方に触れられると、現実的な受け答えになります。
県が想定する地震の姿
埼玉県地震被害想定調査が想定する5つの地震のうち、最大の被害が見込まれているのは関東平野北西縁断層帯地震です。深谷断層と綾瀬川断層を一体のものとして想定したもので、死者3,599人、避難所避難者144,968人という規模で、建物の全壊は揺れが53,013棟、液状化が2,116棟と見込まれています。
もっとも、30年以内の発生確率は0.008%以下です(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24〜25年度)。
あわせて、山地を抱える地域では土砂災害や道路の寸断が孤立につながります。被害想定の数字を覚えるだけでなく、自分の住む地区や配属先で何が起きうるかを市のハザードマップで確かめておきましょう。
秩父市の重点政策|人材育成基本方針と埼玉県5か年計画
秩父市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。秩父市が職員に何を求めてきたかを示す文書と、県全体の計画をあわせて読むと、市政を語るときの足場ができます。
秩父市人材育成基本方針が示す「求められる職員像」
秩父市には、職員育成の考え方をまとめた秩父市人材育成基本方針(平成28年1月市長決裁)があります。ここでいう「求められる職員像」は、複雑・高度化する行政ニーズに応えるため、市民本位の効率的行政を実践し、市民の信頼と期待に応えられる職員の育成を目指すというものです。
その具体像として、市長の政策決定を支えその着実な実施を担う行政の専門家であること、特定分野の高度専門職の確保と職員の専門的知識・能力の向上、多面的な問題分析能力や交渉能力の養成、所管業務に過度にとらわれない幅広い視野と市民感覚の保持、高い倫理観と使命感、透明性や説明責任への高い意識、そして心身の健康保持と市民応対の心得という5点が挙げられています(参考:秩父市人材育成基本方針|平成28年1月)。
職員に必要な能力としては、市民と協働する体制づくりのための折衝・説得・調整能力と幅広いネットワークの形成能力を指す対人交渉能力、そして政策形成能力が筆頭に置かれ、法的センスや法制執務、マネジメント能力、情報処理能力にも触れられています。
ただし、この文書の位置づけには注意が必要です。これは職員育成の方針であって、採用試験の評価基準として公表されたものではありません。
決裁は平成28年1月で、10年前の文書でもあります。令和8年度前期試験の受験案内には、「求める人物像」にあたる定型の記載はありませんでした。
面接では、方針の言葉を暗唱するのではなく、そこに書かれた考え方と自分の経験が重なる部分を選んで話すのが現実的です。
POINT|方針の言葉は、借りるのではなく重ねる
公表されている文書の言葉をそのまま返しても、面接官には「読んできたのだな」としか伝わりません。「①方針のどの考え方に共感したか → ②自分のどの経験がそれに当たるか → ③その経験で何をしたか → ④秩父市の仕事でどう再現するか」の順に組み立てましょう。
悪い例「秩父市は市民本位の効率的行政を掲げているので、私も市民本位で仕事をしたいです」
改善例「大学のサークルで会計をしていたとき、行事の予算を削る代わりに参加費を下げようと提案して、部員に一人ずつ説明して回りました。効率という言葉は、削ることではなく、使う人の得になるように組み替えることだと感じています。市の仕事でもその見方を持ち続けたいです」
県が最上位計画で示した課題設定
市の計画を読む前に、県の最上位計画にも目を通しておきましょう。埼玉県5か年計画(令和4年度から令和8年度)は「日本一暮らしやすい埼玉へ」を旗印に掲げ、最大の課題として「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」を挙げています。
2040年を見据えた3つの将来像のもとに、12の針路と54の分野別施策が並びます。感染症の拡大や激甚化する自然災害への備えも、「待ったなし」の課題として書き込まれました(出典:埼玉県5か年計画(ダイジェスト版)|令和4年3月)。
県が最大の課題に挙げた超少子高齢社会は、市域の広い地域ほど早く形になって表れます。市の計画を読むときは、県の課題設定を秩父市がどう自分の言葉に置き換えているかを探す読み方が有効です。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 秩父市職員採用試験の受験案内(前期・後期のうち、自分が受けるもの)
- 秩父市人材育成基本方針(職員に求められる能力の考え方を知る材料として)
- 秩父市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
- 市のハザードマップ、埼玉県5か年計画、埼玉県の統計資料(市政の背景を知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、秩父市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。秩父市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
秩父市役所の面接の概要
ここからは、秩父市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
秩父市役所の採用試験の構成
秩父市の採用試験は前期と後期の二本立てです。前期試験は、大学・大学院を令和8年度中に卒業・修了する見込みの人が対象で、一般事務・情報処理・社会福祉・土木・建築であわせて10名程度、保健師が若干名の募集となっています。
すでに大学を卒業している人、短大卒・高校卒の人は後期試験の対象です。以下は令和8年度前期試験の内容です。
| 項目 | 内容(令和8年度前期試験) |
|---|---|
| 試験の段階 | 3段階。第1次試験が基礎能力試験、第2次試験が面接試験(個別)、第3次試験(最終)が面接試験(個別)。集団討論・グループワークの記載はありません |
| 第1次試験の科目 | 基礎能力試験(SCOA・60分)と適性検査(35分)。全職種共通 |
| 基礎能力試験の出題範囲 | 文章読解能力、数的能力、論理的思考能力、人文・社会、自然に関する一般知識、基礎英語 |
| 受験方式 | テストセンター方式。全国約350の試験会場から、受験者が希望する会場・日時(土日可)を予約し、パソコンを使用して受験 |
| 第2次試験 | 面接試験(個別) |
| 第3次試験(最終) | 面接試験(個別)。第2次試験とは異なる面接官が担当すると明記されています |
| 面接カード | 受付期間終了後、申込者全員にPDFデータが送付される。記載項目は志望動機、学生時代に力を入れて取り組んだこと、自己PR(長所・短所など)。手書きで作成したものをPDF化し、採用試験Webサイト上でアップロード |
| その他の提出書類 | 第3次試験(最終)合格者が卒業見込証明書・成績証明書を提出。申込はインターネットのみで、郵送や持参による書面での受付は行われません |
| 募集職種と採用予定 | 一般事務・情報処理・社会福祉・土木・建築であわせて10名程度、保健師若干名 |
| 配点 | 受験案内に記載がありません(非公表) |
受験案内は、この基礎能力試験を「多くの民間企業の採用試験で使用されている、公務員試験対策が不要な択一式試験」と説明しています。専門科目を積み上げてきたかどうかで差がつかない設計になっている分、受験する側が持ち込めるのは面接で語れる中身だけだと考えておきましょう。
第2次と第3次で面接官が替わることも公表されており、同じ話を別の相手に、別の角度から問われる前提で準備する必要があります(出典:令和8年度秩父市職員採用試験(前期)募集要項|令和8年度)。
上記の試験構成は、秩父市の令和8年度前期試験の募集要項にもとづくものです。後期試験の実施内容は市公式サイトで別途知らされることとされており、本記事では扱っていません。また、看護師・医療技術者等の採用は市立病院管理課の所管で、人事課が実施する採用試験とは別系統です。試験の構成・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。
面接カードの3項目が先に示されている意味
秩父市の試験で受験者にとって大きいのは、上の表に挙げた3項目が、受験案内の段階で明かされている点です。面接で最初に聞かれる範囲が、申込みの時点で分かっているということです。
しかも手書きで作成してPDF化する形式ですから、書き直しには時間がかかります。締切間際に書き始めるのではなく、話す内容を固めてから紙に向かう順番で進めましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。秩父市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのように会場まで来ましたか | 構えを解いたときの話し方と表情 |
| ② 動機・志望 | 面接カードに書いた志望動機を、あらためて口で説明してください | 書いた文章と話す言葉が同じ人のものか |
| ③ 自己理解 | 長所と短所を、それぞれ具体的な場面とあわせて教えてください | 自己PR欄の内容に、実際の出来事が伴っているか |
| ④ 経験・行動 | 学生時代に力を入れたことで、うまくいかなかった場面はありましたか | 成果の裏側を語れるか。詰まったときの受け答え |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻の内容を、専門外の人にも分かるように説明してください | 相手に合わせて言葉を選び直せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 山あいの地区への配属になった場合、どう働きますか | 広い市域を持つ市で働く実感があるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 人口が減る地域で、行政が最後まで守るべきものは何だと思いますか | 優先順位を自分で考えたことがあるか |
ただし、この7カテゴリーは秩父市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「秩父市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「秩父市役所ならでは」の質問
どちらも、秩父市を調べていなければその場で答えを組み立てられない質問です。裏を返せば、下調べの差が、そのまま答えの差になって表に出る質問だといえます。
こうした質問に答えるための「秩父市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい秩父市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市域の広さ | 面積577.83km²は同じ時点の県内40市で最大。埼玉県全体の約15%を占め、人口密度97.3人/km²は県内40市で最低 | 広さを風景の話で終わらせず、道路や水道の維持、移動時間といった行政の手間に結び付けて話します |
| 1都3県に接する立地 | 東京都奥多摩町、山梨県甲州市・山梨市・丹波山村、長野県川上村、群馬県藤岡市と境を接する | 県境をまたぐ観光や災害対応を例に挙げ、市の外との関係づくりも市職員の仕事だと述べます |
| 職員に求められる能力 | 秩父市人材育成基本方針(平成28年1月)は対人交渉能力を筆頭に挙げ、市民と協働する体制づくりのための折衝・説得・調整能力とネットワーク形成能力を求めている | 方針が採用基準そのものではないと承知したうえで、人と人の間に立って話をまとめた自分の経験を1つ添えます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は5か年計画で県全体の針路を示す立場、市は577.83km²に暮らす人の日常を直接受け持つ立場にある | 制度の違いの説明で止めず、秩父市のどの地区の、どんな暮らしに関わりたいかまで具体化します |
| 試験の性格 | 第1次はSCOAと適性検査で、受験案内は公務員試験対策が不要な試験だと説明。第2次と第3次は個別面接で、担当する面接官が異なる | 筆記で差がつきにくい前提を理解し、面接カードの3項目を軸に、誰に聞かれても同じ芯の話ができる状態にしておきます |
コツは、5つを丸ごと覚えることではありません。自分の関心に近いテーマを1〜2つ選び、事実から自分の問題意識へ、そして市職員としてやってみたいことへと一続きにつないでおくと、掘り下げられても話が崩れません。
想定される評価の観点
面接は、提出した面接カードと話の中身を照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 人の間に立って話をまとめる力 | 意見や立場が割れた場面で、どう働きかけたか | 人材育成基本方針が対人交渉能力を筆頭に挙げていることを踏まえ、折衝と調整が必要だった出来事を、相手の言い分まで含めて話せるようにしておく |
| 面接カードと発言の一致 | 手書きで提出した3項目の内容を、口頭でどこまで具体化できるか | 提出前に控えを取り、志望動機と自己PRの一文ごとに、裏づけとなる出来事を1つずつ割り当てておく |
| 広い市域で働く覚悟 | 山あいの地区や移動を伴う業務を、どう受け止めているか | 面積577.83km²という市域を地図で確かめ、市街地だけを想像した志望動機になっていないか点検しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。秩父市は面接官の異なる個別面接が2回ある分、同じ話題を別の角度から問われる場面も想定されます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が前期試験と後期試験のどちらの対象かを最初に確かめる。受験資格も試験内容も別建てのため、ここを取り違えると準備そのものが噛み合わなくなる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 面接カードの3項目(志望動機、学生時代に力を入れて取り組んだこと、自己PR)の下書きを先に作る。手書きとPDF化の手間を見込み、締切から逆算して着手する
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、市域の広さと人口密度、そして埼玉県全体の見通しから、志望分野に近い事実を2つか3つ選んで説明できるようにする
- テストセンターの予約日を早めに決め、受験を済ませてから面接の練習に時間を寄せる。声に出す練習では、面接カードに書いた一文から話を広げる形を繰り返す
優先順位に注意
ステップ5は上積みの工程です。時間が足りない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4の面接カードを先に片づけてください。記載項目が先に公表されている試験では、そのカードの完成度が面接の出発点になります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、秩父市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
秩父市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
秩父市の試験は、筆記で専門科目の蓄積を問わない代わりに、個別面接を2回、それぞれ別の面接官が担当します。志望動機、学生時代に力を入れたこと、自己PR。
面接カードに書く3項目は、受験者が自分で選んで差し出す材料です。県土のおよそ15%にあたる577.83km²に5万人余りが暮らし、東京・山梨・長野・群馬と境を接する市で、自分は誰の何を支えたいのか。
書いた一文の後ろに実際の出来事を置けたとき、2回の面接は同じ話の別の面としてつながります。