本記事では、ふじみ野市職員採用試験の面接対策で必要な、ふじみ野市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

ふじみ野市役所の面接試験では、「なぜふじみ野市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、市を選んだ理由の中身まで踏み込む質問が想定されます。ふじみ野市の試験は第1次試験がいきなり個別面接から始まり、筆記試験はその次の第2次試験です。準備の順番を組み替える必要がある試験だといえます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心とふじみ野市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

ふじみ野市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずはふじみ野市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口114,461人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積14.64km²・人口密度7,818人/km²の市である。
  • 面積14.64km²は、埼玉県内の40市のなかで4番目に小さい。小さな市域に11万人余りが暮らしている。
  • 人口密度7,818人/km²は、隣接する川越市(3,231人/km²)や富士見市(5,753人/km²)を上回る(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在。人口密度は総人口÷総面積)。
  • 接している自治体は川越市・富士見市・入間郡三芳町の3つだけである。
  • 人口は隣接する富士見市(113,728人)とほぼ同じ規模にある。
  • 市役所は〒356-8501 埼玉県ふじみ野市福岡一丁目1番1号に置かれている。団体コードは11245-3。
  • 職員採用試験は第1次試験が個別面接で、筆記試験は第2次試験に置かれている。
  • 令和8年度の採用予定人数は、一般事務職17名程度、保健師職3名程度、社会福祉士職2名程度、土木技術職4名程度、建築技術職3名程度、電気技術職が若干名。

ふじみ野市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「ふじみ野市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の規模を測るときの比較先として、埼玉県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口114,461人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積14.64km²(埼玉県内40市のうち4番目に小さい)
人口密度7,818人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体川越市、富士見市、入間郡三芳町
市役所所在地〒356-8501 埼玉県ふじみ野市福岡一丁目1番1号
(参考)埼玉県の総人口7,291,615人(令和8年6月1日現在・推計人口)
(参考)埼玉県の面積約3,798㎢(全国第39位。1都6県に接する内陸県)
(参考)埼玉県の県内総生産24兆6,656億円(令和4年度・名目/全国第5位)
(参考)埼玉県の高齢化率27.8%(令和7年推計。令和22年には33.3%の見込み)

ふじみ野市の人口・面積・隣接自治体は、公表値をもとに整理したものです。県内40市のうち4番目に小さいという記載は、県内各市の公表面積を比べたものです。埼玉県の総人口・面積・県内総生産・高齢化率は、埼玉県公式サイトおよび県の資料による数値です。市の統計の最新値は、ふじみ野市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

ふじみ野市を一言で表すと、狭い市域に人が高い密度で暮らす市です。14.64km²という面積は埼玉県内40市のなかで4番目に小さく、それでいて人口は11万人を超えます。

1km²あたり7,818人という密度は、隣の川越市の2倍を超えます

密度が高いということは、施設や公共交通が届きやすいということです。裏を返せば、市が用意できる土地には限りがあり、新しい施設をつくる余地も小さいということでもあります。

県全体では、令和7年国勢調査の速報結果で人口が7,287,169人となり、前回調査から57,596人(0.8%)減って、大正9年の調査開始以来はじめて前回を下回りました。人口が増加したのは10市町で、53市町村は減少しています(出典:令和7年国勢調査速報結果(埼玉県)|令和8年5月公表

限られた面積のなかで、いまある施設や住宅をどう使い続けるかという問いが、ふじみ野市の市政の前提になります。狭さという条件から話を起こすと、答えはたとえばこう組み立てられます。

「ふじみ野市は面積が15km²ほどで、県内でもかなり小さいほうだと知りました。そのぶん人が密に住んでいるので、新しく土地を用意するというより、いまある建物や道をどう使い直すかが大事になるのではと感じています。まずは市民の方が実際にどこで困っているのかを、窓口や現地でうかがいたいです」

ふじみ野市の経済・産業

全国第5位の経済規模を持つ県のなかで

埼玉県は東に茨城・千葉、西に長野・山梨、南に東京、北に群馬・栃木と、1都6県に接する内陸県です。面積は約3,798㎢で全国第39位、西部の山地と東部の平地に大きく分かれ、平地が総面積の約61%を占めます(埼玉県統計年鑑の地勢による)。

この県の名目県内総生産は令和4年度で24兆6,656億円にのぼり、20年連続で全国第5位を保っています。実質では24兆467億円で2年連続の増加でした(出典:産業と雇用のすがた(県内総生産)|令和7年度版

ふじみ野市は、この規模の経済圏のなかにある小さな市です。市単独で経済を語るより、県全体の厚みのどこに市が接しているかという見方をしたほうが、話が現実に届きます

事業所の多さが示すもの

埼玉県の製造品出荷額等は令和5年で15兆3,297億円(全国第6位・全国シェア4.1%)、付加価値額は5兆3,092億円(全国第5位・シェア4.8%)です。注目したいのは事業所の数で、製造業の事業所数は令和6年で13,159事業所、従業者数は385,901人と、どちらも全国第4位にあたります(出典:産業と雇用のすがた(製造業)|令和7年度版

出荷額の順位より事業所数の順位が高いということは、規模の大きくない事業所が数多く分布していることを意味します。大企業の誘致が経済政策のすべてになりにくい構造だといえます。

ふじみ野市のように市街地が中心の市では、商店や小さな事業所が続けられるかどうかが、そのまま暮らしの利便性に跳ね返ります

日帰り圏という条件

埼玉県の観光は、性格がはっきりしています。

令和5年の観光入込客数は100,204千人で、そのうち日帰りが98,299千人と98.1%を占めました。1人当たりの観光消費額単価は、県内客の日帰りが4,484円であるのに対し、県外客の宿泊は23,573円です(県が公表する観光入込客統計による)。

都心から近いことは、来てもらいやすい反面、泊まってもらいにくいという裏表を持ちます。

ふじみ野市のような通勤圏の市にとって重要なのは、外から人を呼ぶことよりも、住む場所として選ばれ続けることのほうです。志望動機で「魅力を発信したい」と言う前に、誰に何を選んでほしいのかを詰めておきましょう。

ふじみ野市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、ふじみ野市を含む埼玉県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

減少に転じた県で暮らしを支える

埼玉県の人口は、令和7年国勢調査の速報結果で7,287,169人となり、調査開始以来はじめて前回を下回りました。世帯数は3,285,878世帯と前回比3.9%増えている一方、1世帯当たり人員は2.22人(前回2.32人)へ縮んでいます。

人口が減りながら世帯は増えるという動きは、単身や少人数の世帯が増えていることの表れです。人数の減少より先に、世帯の形の変化が行政サービスの中身を変えていきます

2040年に3人に1人が高齢者になる

埼玉県の高齢化率は令和2年で27.0%、高齢者人口は過去最高の約193万人でした。令和7年には27.8%、令和22年(2040年)には33.3%となる見込みで、県の5か年計画は2040年には県民の3人に1人が高齢者になると記しています。

75歳以上人口は令和7年に約121万人、令和32年(2050年)には約146万人に達する見込みです(出典:埼玉県の高齢化の状況|令和7年・令和22年推計。生産年齢人口は平成12年(2000年)の501万人をピークに、2040年には380万人へ減る見通しです。

支える側と支えられる側の比率が変わっていくなかで、市の窓口が担う仕事の量と質は同じままではいられません。

ふじみ野市の値も確かめておきます。住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で基準をそろえると、市の高齢化率は25.5%、75歳以上の割合は15.9%でした。同じ台帳による埼玉県全体は27.0%・16.0%ですから、ふじみ野市は県内でも高齢化が進んでいない側にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在

ここでひとつ注意が要ります。この台帳ベースの県の値27.0%は、章の初めに挙げた令和2年の高齢化率27.0%とたまたま同じ数字ですが、そちらは国勢調査による別系統の値です。

市と見比べる相手は台帳ベースのほうだと覚えておいてください。

いま県より若いということは、これから高齢化が進む余地が県より大きいということでもあります。しかもふじみ野市には、新しい施設を建てる土地の余裕がありません。

人口が集まった時期の住宅と施設が、そのまま高齢化していく市だと考えたほうが実態に近いはずです。面接では、いまの数字の低さを魅力として語るより、その先に来る変化を市がどう受け止めるかという問いの形にしたほうが、話が続きます

過去最大の予算と、動かせないお金

埼玉県の令和7年度一般会計当初予算は2兆2,308億9,000万円で、前年度比5.2%増の過去最大となりました。県税収入は当初予算額として過去最高の8,794億円を計上しています。一方、財政力指数は0.73(令和5年度決算)、経常収支比率は96.2%です(出典:埼玉県令和7年度当初予算案の概要|令和7年度

予算の総額は伸びていても、毎年決まって出ていく支出で経常的な収入のほとんどが埋まっているということです。新しいことを始めるには、何かを見直すしかないという前提は、県でも市でも変わりません。

県内最大の被害が想定される地震

埼玉県地震被害想定調査は5つの想定地震を置いており、そのうち被害が最大となるのは関東平野北西縁断層帯地震(深谷断層と綾瀬川断層を一体で想定)です。建物の全壊は揺れによるものが53,013棟、液状化によるものが2,116棟、死者は3,599人、避難所避難者は144,968人と想定されています(30年以内の発生確率は0.008%以下)。

もう一つの東京湾北部地震(マグニチュード7.3)では、県南東部を中心に死者585人、避難所避難者54,180人が想定されており、南関東でのマグニチュード7級地震の30年以内発生確率は70%とされています(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24~25年度

発生確率の低い地震ほど被害が大きく、確率の高い地震のほうが被害は小さい。この組み合わせをどう受け止めるかは、防災を語るときに問われる論点です。

ふじみ野市の重点政策|ふじみ野市人材育成基本方針

ふじみ野市が職員に何を求めているかを直接に示しているのが、「ふじみ野市人材育成基本方針」(令和5年4月発行)です。ここに書かれた職員像は、そのまま面接で確かめられる資質と重なります(出典:ふじみ野市人材育成基本方針|令和5年4月

キーワードは「行動力」

方針は、めざすべき職員像のキーワードを「行動力」の一語に置いています。そのうえで、次の5つを掲げています。

  • 市民の安全と安心を第一に行動する職員
  • 自ら学び考え、行動を起こす職員
  • 柔軟な思考で行動できる職員
  • 公正・誠実に行動する職員
  • 市民と協働のまちづくりに取り組める職員

5つの項目すべてに「行動」という語が入っていることに気づいたでしょうか。方針は全体として、高いコスト意識をもち、何事にも迅速・積極的に行動する職員をめざすとしています。

加えて、全職員に共通して求められる能力・意識として、危機管理能力、行動力、目標管理能力、業務執行能力などが挙げられています。

面接で問われるのは、この「行動」の中身です。考えたこと、感じたことではなく、実際に体を動かした場面が求められています。

第1次試験がいきなり個別面接という試験構成も、この方針と無関係ではないと読むことができます。

POINT|「行動力があります」では何も伝わらない

方針の言葉をそのまま返すと、借りてきた言葉に聞こえます。ふじみ野市が挙げるのは「自ら学び考え、行動を起こす」ことと「柔軟な思考で行動できる」ことです。誰にも頼まれていないのに始めた出来事を一つ思い出し、始めた理由と、途中でやり方を変えた場面をセットで用意しておきましょう。

悪い例「行動力が強みなので、ふじみ野市でも積極的に行動していきたいです」

改善例「所属していたサークルで、新入生が途中で来なくなることが続いたので、勝手に連絡係を引き受けて一人ずつ話を聞きに行きました。理由が人によって全然違ったので、集まりの時間帯を二つに分けるところまでやってみました」

県の計画を背景として読む

市の施策の背景には、県の方針もあります。埼玉県5か年計画(令和4年度から令和8年度、日本一暮らしやすい埼玉へ)が県の最大の課題として掲げるのは、「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」です。

この課題に向けて、2040年という時点を見据えながら、3つの将来像と12の針路、54の分野別施策が組まれています(出典:埼玉県5か年計画(概要版)|令和4年3月策定

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • ふじみ野市職員採用試験案内(受験する年度のもの。試験の順序と選択科目を必ず確認する)
  • ふじみ野市人材育成基本方針(めざすべき職員像と、求められる能力・意識)
  • ふじみ野市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 埼玉県5か年計画、県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、ふじみ野市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。ふじみ野市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

ふじみ野市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

ふじみ野市役所の面接の概要

ここからは、ふじみ野市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

ふじみ野市役所の試験の流れ

令和8年度のふじみ野市職員採用試験は3段階ですが、その並び方に大きな特徴があります。第1次試験が個別面接、第2次試験が筆記試験、第3次試験が集団討論と個別面接という順序で、筆記より先に面接が置かれています。

項目内容(令和8年度・令和9年4月1日採用予定)
試験の段階第1次試験=個別面接(対面又はWeb)、第2次試験=筆記試験ほか、第3次試験=集団討論および個別面接の3段階
第1次の個別面接「職員として必要な資質、適性及び人格、性向等について、面接方式による試験を行います」。対面型はふじみ野市役所、Web型はインターネットで実施し、1人あたり午前9時00分から午後8時00分のうち15分程度
面接方法の選択対面型とWeb型の別、および面接の時間帯は申込時に選択できる。ただし申込状況等により調整される場合がある
第2次試験筆記試験(教養試験/SPI3試験/専門試験/職務基礎力試験(BEST)のうち、別表のとおりいずれか1科目を選択)、適性検査、作文試験
一般事務職の筆記上級・中級・初級、ミドル世代、障がい者対象、手話通訳は、教養試験・SPI3試験・職務基礎力試験(BEST)から選択でき、専門試験は課されない
職務基礎力試験(BEST)申込開始日現在において受験区分【社会人】の受験資格を有する人のみ選択可能。出題は地方行政への関心と理解、文章を正確に理解し事務を円滑に遂行する能力、論理的に思考し判断する能力、現状や統計等の資料を分析し課題を発見する能力、国内外の社会情勢への理解と新たな課題(地球環境、ICT化等)に対応するための基礎知識
作文試験の扱い第2次試験で実施するが、第3次試験として評価される
第3次試験集団討論(「職員として必要な資質、適性及び人格、性向等について、集団討論方式による試験を行います」)と個別面接
採用予定人数一般事務職17名程度、保健師職3名程度、社会福祉士職2名程度、土木技術職4名程度、建築技術職3名程度、電気技術職若干名。一般事務職には【ミドル世代】【障がい者対象】【手話通訳】の各若干名の区分がある
申込時の提出書類職員採用試験申込書(申請時に入力)と、最終学歴が専修学校・各種学校又は大学中退等の【中級】対象者のみ学歴区分証明書。申込方法は電子申請のみ
第3次合格者の提出書類卒業証明書(卒業証書は不可)または卒業見込証明書、【中級】受験者のみ学歴区分証明書の原本、該当者のみ各資格証明書
試験当日のマスク着用は個人の判断に委ねられるが、面接試験中は原則として外すものとされている
配点ふじみ野市は試験種目ごとの配点・満点を公表していません

上記は、ふじみ野市が公表している令和8年度職員採用試験案内にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験案内をご確認ください。(出典:ふじみ野市職員採用試験案内|令和8年度

最初の関門が面接であることの意味

多くの自治体では、筆記で人数を絞ってから面接に進みます。ふじみ野市はその逆です。

この違いは、受験者の側の準備の順番を変えます。筆記の得点をまったく持たない状態で、最初の面接に臨むことになるからです。

しかも第1次の個別面接は1人あたり15分程度です。長く話す試験ではありません。志望理由も自己PRも、削ぎ落として要点から述べる練習が要ります。

加えて、対面型かWeb型かを自分で選べる点も見逃せません。画面越しでは表情や声の届き方が変わるため、選んだ形式で一度は練習しておくべきです。

そして第3次では集団討論が加わります。一対一で話す力と、複数人の場で話す力の両方が、別の段階で確かめられる構成になっています。

ふじみ野市役所が求める人物像

第1部で見たとおり、ふじみ野市の人材育成基本方針はめざすべき職員像のキーワードを「行動力」に置き、5つの職員像を掲げています。面接対策の言葉に翻訳すると、評価の軸は「自分から動き出す力」「やり方を変えられる柔軟さ」「市民と一緒に進める姿勢」の3点に整理できます。

方針が挙げる共通の能力・意識には危機管理能力も含まれています。安全と安心を第一に行動するという最初の項目とあわせて読むと、市が想定しているのは、平時の熱心さだけでなく、何かが起きたときに動ける職員です。

危機管理能力まで共通の能力に挙がっているのですから、行動力を語るなら平時の熱心さでは足りません。予定外のことが起きた場面で自分が最初に取った手と、それで収まった事態まで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。ふじみ野市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までの道は分かりましたか初対面での受け答えの柔らかさと、話す速さ
② 動機・志望なぜ埼玉県内の他の市ではないのですか志望先を選んだ理由に自分の観察が入っているか
③ 自己理解自分の短所をどう補っていますか弱みを認めたうえで、対処のしかたまで語れるか
④ 経験・行動人に頼られた経験を教えてください求められた役割にどう応えたか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことは何ですか取り組みの動機と、続けるための工夫
⑥ 適性・将来10年後、どんな職員になっていたいですか長い時間軸で仕事を描けているか
⑦ 公共性・社会性住民から苦情を受けたら、どう対応しますか感情の受け止めと事実の整理を分けて考えられるか

ただし、この7カテゴリーはふじみ野市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「ふじみ野市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「ふじみ野市役所ならでは」の質問

「なぜ埼玉県庁ではなく、ふじみ野市役所なのですか」
「ふじみ野市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらもふじみ野市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「ふじみ野市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたいふじみ野市の事実答え方のヒント
市の規模と密度人口114,461人、面積14.64km²、人口密度7,818人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。面積は県内40市で4番目に小さく、密度は隣の川越市の2倍を超えるコンパクトという言葉で終わらせず、新しい土地を用意できない市では既存の施設や住宅をどう使い直すかが主題になる、という順序で述べます
なぜ県庁ではなく市役所か県は約3,798㎢と1都6県との境を持つ全域を見るが、ふじみ野市は14.64km²の市域と11万人余りの暮らしを直接担う。市の職員像はすべて「行動」という語で書かれている規模の違いを説明して終わらせず、市が求める「自ら学び考え、行動を起こす」という言葉に、自分が実際に動いた場面を重ねて示します
市の課題県の高齢化率は令和7年で27.8%、令和22年には33.3%となる見込み。75歳以上人口は令和7年の約121万人から令和32年に約146万人へ増える見通し高齢化という言葉で止めず、密度が高く移動距離の短い市では在宅の支援や見守りが先に効いてくる、という具体の順序で述べます
県の経済との接点埼玉県の県内総生産は24兆6,656億円で20年連続の全国第5位。製造業の事業所数13,159・従業者数385,901人はいずれも全国第4位で、規模の大きくない事業所が数多く分布している県の順位を紹介するのではなく、小さな事業所が続けられることが市民の利便性に直結する、という市の側の視点に引き寄せます
防災への備え県の地震被害想定で最大となるのは関東平野北西縁断層帯地震で死者3,599人・避難所避難者144,968人。東京湾北部地震(マグニチュード7.3)は県南東部中心で死者585人、南関東のマグニチュード7級は30年以内70%の確率被害の大きさと発生確率が逆になっている点に触れ、確率の高い地震への日常の備えから話を始めると、現実感のある答えになります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「求める人物像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自分から動き出す力第1次の15分程度の個別面接で、限られた時間に選んで出してくる経験の中身ふじみ野市の職員像は5つとも「行動」の語で書かれています。頼まれていないのに始めた出来事を一つ決め、15分の面接に耐えるよう2分以内で話せる形にしておく
やり方を変えられる柔軟さ取り組みの経過を掘り下げる質問に対し、途中で方針を変えた判断を説明できるか方針は「柔軟な思考で行動できる職員」を挙げています。最初の計画と実際の進め方が違ってしまった経験を選び、変えた理由を言えるようにしておく
複数人の場で進める姿勢第3次の集団討論で、議論を前に進める役割を取れるかふじみ野市の第3次には集団討論があります。意見を述べる役だけでなく、出た意見を整理する役や結論をまとめる役も想定し、どの位置でも動けるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。ふじみ野市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. ふじみ野市の職員採用試験案内を入手し、第1次が面接から始まる順序と、自分の区分で選べる筆記の科目を確認する。あわせて対面型かWeb型かを決める
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、14.64km²に11万人余りが暮らすという市の輪郭から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習する。第1次は15分程度なので短く答える型を、第3次の集団討論は場を進める型を、それぞれ別に用意しておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、ふじみ野市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

ふじみ野市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

ふじみ野市役所の想定問答集を見る

さいごに

ふじみ野市の試験では、最初に会うのが面接官です。筆記の手ごたえを支えにして面接へ進むという流れが使えないぶん、話す準備をどれだけ前倒しできるかが結果を左右します

しかも第1次は15分程度で、第3次では集団討論も加わります。短く話す型と、人の中で話す型を、別々に用意しておいてください。

そのうえで、14.64km²という県内でも小さな市域に11万人余りが暮らし、新しい土地を用意する余地は大きくないという条件を、自分の関心と結び付けてみる。市が掲げる職員像は5つとも「行動」という語で書かれています。

面接で語るべきは、考えたことではなく、動いたことです。