本記事では、行田市職員採用試験の面接対策で必要な、行田市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

行田市役所の面接試験では、「なぜ行田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の経験を市の仕事にどう活かすのか」といった質問が想定されます。行田市は職種ごとに複数の系統で職員を募集している市で、どの入口から受けるのかを自分で選ぶところから準備が始まります。

本記事の掲載内容を参考に、市の条件と自分の経験を結び付け、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

行田市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは行田市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口77,396人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積67.49km²、人口密度1,147人/km²の市。
  • 加須市・熊谷市・鴻巣市・羽生市に加え、群馬県邑楽郡千代田町・明和町と接する県境の市である。暮らしや産業のつながりが県をまたぐ点が、市政を理解するうえでの前提になる。
  • 市の花はキクと古代蓮、市の木はイチョウ。花に古代蓮が挙げられている市は多くなく、市の名前を覚えてもらう手がかりにもなる。
  • 市役所は〒361-8601 行田市本丸2番5号に置かれている(団体コード11206-2)。住所そのものが、このまちの成り立ちを示している。
  • 採用では、年度の日程で行う試験のほかに通年採用試験とカムバック採用選考という複数の系統を並行して運用している。
  • 通年採用試験は「新卒枠」と「社会人経験枠」の2枠制で、試験日は随時(申込者や第1次試験合格者と調整して決める)。
  • 民間企業等での正社員としての在職期間は、汎用的な能力を活用した職務と認められる場合、常勤の公務員としての在職期間と同様に最大限給与に反映される。一定期間以上の職務経歴があれば「主任級」での採用も行われている。
  • 令和8年度の派遣研修の派遣先には、国(内閣官房、厚生労働省、国土交通省)、埼玉県(広報課、行田県土整備事務所)、民間企業が例として挙げられている。

行田市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「行田市がどれくらいの規模の市なのか」を数字で言えることは重要です。

下表には、人口と市域の大きさ、境を接する自治体、採用時の待遇など、市の輪郭を言葉にするときに使える項目を集めました。比べる相手として、埼玉県全体の数値も置いています。

項目内容
総人口77,396人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積67.49km²
人口密度1,147人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体加須市、熊谷市、鴻巣市、羽生市、群馬県邑楽郡千代田町、群馬県邑楽郡明和町
市役所所在地〒361-8601 埼玉県行田市本丸2番5号
市の花・市の木キク、古代蓮・イチョウ
初任給(参考)大学卒251,856円、短大卒235,956円、高校卒219,102円(地域手当を含む・令和8年4月1日現在)
(参考)埼玉県の総人口7,287,169人(令和7年国勢調査速報・令和8年5月20日公表)
(参考)埼玉県の面積約3,798km²(47都道府県中第39位)

行田市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。初任給は令和8年度行田市職員通年採用試験の案内による数値です。参考として置いた埼玉県の総人口と面積は、埼玉県公式サイトが公表している統計によります。市の統計の最新値は、行田市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字が語る行田市政の輪郭

人口77,396人という数字は、それだけを見ても性格が読み取れません。面積67.49km²、人口密度1,147人/km²と並べると、市街地に人が集まりつつ、周囲に広がりのある市域を抱えている姿が浮かびます。徒歩で回れる範囲と、車がなければ届かない範囲が同じ市のなかに同居しているということです。

窓口をどこに置くか、移動の手段をどう確保するか、施設をいくつ維持するか。市の判断は、この二重構造の上で下されます。

県全体の動きも押さえておきましょう。令和7年国勢調査の速報結果によると、埼玉県の人口は7,287,169人。

大正9年の調査開始以来はじめて前回を下回り、減少幅は57,596人(0.8%)でした。県内63市町村のうち、人口が増えたのは10市町だけです(出典:令和7年国勢調査速報結果|埼玉県

県全体の枠組みが縮み始めるなかで、7万7千人規模の市が何を残し、何を組み替えるのか。面接で市の将来に触れるときは、この前提から話を始めると筋が通ります。

「行田市は人口が7万7千人ほどで、面積は67平方キロメートルを超えると知りました。県全体では人口が減り始めたと聞きましたので、まちの規模に見合う形に暮らしの仕組みを組み替えていく時期なのだと感じています。まずは窓口で市民の方の話をうかがいながら、その判断のもとになる声を集める仕事に関わりたいです」

行田市の経済・産業

全国有数のものづくり県のなかで

7万7千人規模の市の産業は、県全体の姿と重ねると位置づけが見えてきます。埼玉県の製造品出荷額等は令和5年で15兆3,297億円(全国第6位)、付加価値額は5兆3,092億円(全国第5位)です。

製造業の事業所数は令和6年で13,159事業所(全国第4位)、従業者数は385,901人(全国第4位)にのぼります(出典:産業と雇用のすがた|令和7年度版

出荷額よりも事業所数と従業者数の順位が高いという構成は、中小の事業所が県内に広く分布していることを示しています。大きな工場が一つあって町が成り立つ形ではなく、規模の小さな事業所が数多く連なる形です。

市の産業政策を考えるときは、大型の誘致だけでなく、すでに市内にある事業所が事業を続けられる条件を整えるという発想が要ります。行田市が民間企業での正社員経験を給与に最大限反映し、経歴によっては主任級で採用しているのも、市の外で働いてきた人の経験を行政に取り込もうとする姿勢の表れだと読めます。

県境に位置するという条件

行田市の位置には、市政を考えるうえで見落とせない条件があります。加須市・熊谷市・鴻巣市・羽生市という県内4市に加えて、群馬県邑楽郡の千代田町と明和町に接しているという点です。

県境をまたぐ地域では、通勤や通学、買い物、医療といった暮らしの動きが、県という行政の区切りとは一致しません。災害時の助け合いや広域の連携も、県内だけを見ていては組み立てられません。

面接で「市の特徴」を問われたとき、この位置の話を自分の言葉でできる受験者は多くありません。地図を開いて、市の北側にどんな地域が広がっているかを確かめておきましょう。

働く場と暮らす場が分かれるという前提

県内には高速道路と鉄道が張りめぐらされ、人も物も市の境を軽々と越えて動きます。行田市も例外ではありません。

市内で働く人が市外に住み、市内に住む人が市外で働くという往復のなかで、まちのにぎわいをどこに置くか。行田市の産業を語るなら、市内の事業所数だけを見るのではなく、この行き来を前提にした議論に踏み込んでみてください。

行田市の主な行政課題

ここまでの数字と位置を踏まえると、行田市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を問われたときに取り出せるよう、次の4つを頭に入れておきましょう。

県全体が減少に転じたなかでの7万7千人

県全体の人口が減少に転じたことは、基礎データの章で見たとおりです。市の将来を考えるうえでより効いてくるのは、その内訳のほうです。生産年齢人口(15歳から64歳)は平成12年(2000年)の501万人をピークに、令和22年(2040年)には380万人へ減少する見込みです(出典:埼玉県5か年計画(ダイジェスト版)|令和4年3月策定

働き手が減っていくという前提は、市民の暮らしだけでなく、市役所そのものの人手にも及びます。行田市が通年採用やカムバック採用という複数の入口を用意しているのは、この前提への具体的な備えとして理解できます。

3人に1人が高齢者になる社会

県の5か年計画は「2040年には県民の3人に1人が高齢者」と記載しています。実際、埼玉県の高齢化率は令和2年の27.0%から令和7年に27.8%、令和22年(2040年)には33.3%まで上がる見込みです。

65歳以上人口は令和2年で約193万人と過去最高を記録しました(出典:埼玉県の高齢化の状況。ただし行田市にとって、これは将来の話ではありません。

基準をそろえて住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で見ると、行田市の高齢化率は33.5%、75歳以上の割合は19.2%で、同じ住民基本台帳ベースの埼玉県全体である27.0%・16.0%を大きく上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在。県が2040年に見込む33.3%という水準に、市はすでに届いているということです。

なお、先に挙げた県の高齢化率は国勢調査にもとづく値で、調査の方法が違うため市の値と直接は比べられません。人口密度1,147人/km²の市域では、この状況は通院や買い物のための移動という形で表れます。

市の窓口に来られる人だけを相手にしていては届かない層が、すでに厚いということです。面接で高齢化を語るなら、県の見通しを引くのではなく、行田市は県平均より先を行っているという位置から話を始めてください。

県内で最大の被害が想定される地震

埼玉県地震被害想定調査では、深谷断層と綾瀬川断層を一体として想定した関東平野北西縁断層帯地震で、建物全壊が揺れで53,013棟・液状化で2,116棟、死者3,599人、避難所避難者144,968人と、5つの想定地震のなかで最大の被害が見込まれています(30年以内の発生確率は0.008%以下)(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24〜25年度

発生確率は低く見積もられていても、起きたときの被害は県内の想定地震で最大という組み合わせです。確率の低さを理由に備えを後回しにできない、というのが防災担当の立場になります。

市のハザードマップを開いて、自分が住む地区や勤め先の周辺がどう想定されているかまで見ておいてください。

職員をどう確保し、どう育てるか

行田市の採用の形そのものが、課題への回答になっています。通年採用試験は新卒枠と社会人経験枠の2枠制で、試験日は随時。

カムバック採用選考は、結婚・出産・育児・介護等のやむを得ない理由や、転職・起業等のキャリアアップのために市を退職した職員を対象としています。いずれも「決まった時期に、決まった経路で採る」やり方から離れた仕組みです。

あわせて、派遣研修の派遣先には国の府省庁や県、民間企業が例示されています。人を集めるだけでなく、外の現場で経験を積ませて戻すところまでを一続きに設計している、と読み取れます。

行田市の重点政策|埼玉県5か年計画と行田市

行田市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。以下で扱うのは、市が通年採用の募集ページに掲げた人材観と、その外側にある県の5か年計画の2つです。順に読んでいくと、行田市が職員に何を期待しているのかがつかめます。

「行田の明日を担う人材」という言葉

行田市は通年採用の募集ページで「行田の明日を担う人材」という言葉を掲げています(出典:行田市職員通年採用試験|令和8年度。短い一文ですが、前の章で見た採用と育成の仕組みと並べて読むと、市の考えが見えてきます。

市の中だけで育った経験だけに頼らないという一貫した方向が、制度の側から示されています。志望動機を組み立てるときは、「自分が市の外で得たものを、行田市にどう持ち込めるか」という角度を一つ持っておくとよいでしょう。

埼玉県5か年計画が示す前提

市政の背景には、県の計画もあります。県は令和4年3月に埼玉県5か年計画(令和4年度から令和8年度)を策定し、「日本一暮らしやすい埼玉へ」を掲げています。

この計画が県の最大の課題として名指ししているのが「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」で、2040年を見据えた3つの将来像と12の針路、54の分野別施策が置かれました。感染症の拡大や、激甚化・頻発化する自然災害への対応も「待ったなし」と書かれています。

これは県の計画であって、行田市の計画ではありません。ただ、県が挙げた課題のうち、市が窓口として直接引き受ける部分は必ずあります。市の計画を読むときは、県が示した課題のどれを市がどんな形で引き受けているのかという目線で見ると、理解が早くなります。

POINT|計画の項目名を暗記しなくてよい

計画の章立てをすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな取り組みがあるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かせるか」の順に調べていきましょう。

悪い例「行田市の高齢者福祉に携わりたいです」

改善例「県では2040年に3人に1人が高齢者になる見込みだと知りました。まずは窓口で一人ひとりの事情をうかがう仕事から始めたいです。その上で、市域が広く車がないと動きにくい地区もありますので、来られない方にどう届けるかというところに関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 行田市職員採用試験の受験案内(受験する年度・職種・日程系統のもの)
  • 行田市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
  • 埼玉県5か年計画、埼玉県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、行田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。行田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

行田市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

行田市役所の面接の概要

ここからは、行田市役所の採用試験について、公表資料で確認できている範囲と、受験前にご自身で確認していただきたい範囲を分けて整理します。そのうえで、面接で問われやすい質問への備え方を、当研究会の分析にもとづいてまとめます。

試験情報の調べ方から準備が始まる

行田市の採用試験は、日程系統ごとに職種と試験科目が異なります。2026年8月時点で市公式サイトの募集概要ページに掲載されているのは、行田市職員カムバック採用選考令和8年度行田市職員通年採用試験(土木・建築・保健師)の2件です(参考:職員採用の募集概要|行田市

一般事務職を対象とする日程は、募集の時期に合わせて案内が公表され、受付が終わると掲載が取り下げられます。したがって、一般事務職の試験段階・面接形式・採用予定人数は、その年度の受験案内で確認するのが唯一確実な方法です。

当研究会では、公表が確認できていない項目を推測で埋めることはしません。以下では、公表されている2つの系統の構成を示し、面接そのものへの備え方は系統を問わず使える形でまとめます。

行田市を志望する方は、市公式サイトの職員採用ページをブックマークし、定期的に見に行くことを準備の一部に組み込んでください。

通年採用試験(土木・建築・保健師)の構成

令和8年度の通年採用試験は、新卒枠と社会人経験枠の2枠制で、募集人数は各枠・各職種とも若干名です。段階は第1次の筆記試験と第2次の人物試験の2つで、試験日はいずれも随時(第1次は申込者と、第2次は第1次試験合格者と調整)とされています。

人物試験は第2次の個別面接試験のみで、集団面接や集団討論の記載はありません

項目内容(令和8年度・通年採用試験)
対象職種土木、建築、保健師の3職種。新卒枠と社会人経験枠の2枠制
募集人数各枠・各職種とも若干名
試験の段階第1次=筆記試験、第2次=人物試験の2段階。試験日はいずれも随時
第1次試験(新卒枠)総合適性検査(SPI3試験・120分)、論文試験(60分)
第1次試験(社会人経験枠)性格適性検査(SPI3試験・約40分)、論文試験(60分)。基礎学力試験(SPI3試験)は免除
専門試験新卒枠・社会人経験枠ともに免除
論文試験の内容文章による表現力、課題に対する理解力及び思考力についての記述式の筆記試験
総合適性検査の内容職務遂行に必要な総合的な基礎能力、公務員として必要な資質及び適性等についての択一式の筆記試験
第2次試験個別面接試験
申込方法行田市職員採用管理システムによる電子申請。マイページの「エントリー入力」から手続きする
準備が必要な書類顔写真データ(申込前6か月以内に撮影した上半身脱帽・正面向き)、資格等を証する書類データ、最終学歴の卒業証明書及び成績証明書の電子データ、職務経歴書(社会人経験枠のみ)。面接カードの様式指定はない
採用の時期合格者は採用候補者名簿に登載され、採用日は合格者と相談のうえ決定する
配点受験案内に記載がなく未公表

上表は令和8年度行田市職員通年採用試験の案内にもとづく内容で、対象は土木・建築・保健師の3職種です(出典:行田市職員通年採用試験案内|令和8年度。一般事務職を含む他の日程系統は、職種・試験科目・段階構成が異なります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の職種と日程系統の試験情報をご確認ください。

この構成で注目したいのは、筆記が適性検査と論文で組まれ、専門試験が免除されている点です。知識の量を測る比重が下げられ、書いたものと話したもので人物を判断する設計になっています。論文の定義に「思考力」という語が入っていることも見逃せません。答えを覚えて再現するのではなく、その場で考えを組み立てる力が見られる、ということです。

カムバック採用選考という入口

行田市には、一般事務職を対象に含むカムバック採用選考があります。募集職種は一般事務職・土木技術職・建築技術職・保健師で、採用予定人数は各職種若干名、受付期間は随時です。

選考方法は第1次が書類選考(エントリーシートと在職時の勤務成績による審査)、第2次がプレゼンテーションと個別面接です。

対象は、結婚・出産・育児・介護等のやむを得ない理由、または転職・起業等のキャリアアップのために市を退職した職員で、採用予定年度の4月1日時点で満46歳以下、市職員として3年以上の実務経験があり、同時点で退職後5年以内(一般事務職以外は7年以内)であることが条件です(出典:行田市職員カムバック採用選考

新卒でこれから受験する方には直接関係しない制度ですが、知っておく価値はあります。一度離れた人が戻ってこられる仕組みを持っているということは、市が働き方の変化を前提にしているということだからです。

長く働けるかを問われたときに、この制度に触れながら自分の考えを述べられると、市の実情を踏まえた答えになります。

行田市が職員に求めているもの

確認した行田市の通年採用試験案内と採用情報ページの本文には、他の自治体でみられるような定型の「求める人物像」の一覧は置かれていません。そのかわり、募集ページには「行田の明日を担う人材」という言葉があり、制度の側から市の考えを読み取ることができます。

民間経験の給与への反映、経歴に応じた主任級での採用、国や県や民間企業への派遣研修、そして一度退職した職員を迎え直すカムバック採用。並べてみると、外で得た経験を持ち込める人、環境が変わっても働き続けられる人という像が浮かびます。

自己PRでは「適応力があります」と言い切るのではなく、慣れない場所で何を掴み、それを次にどう使ったのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。行田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク本日はどちらから来られましたか構えていない場面での表情と、会話の入り方
② 動機・志望近隣にも市はあるなかで、なぜ行田市なのですか県境に位置する市を、地図の上で理解して選んでいるか
③ 自己理解あなたが自分に足りないと感じている力は何ですか弱みを認めたうえで、補う行動まで語れるか
④ 経験・行動知らない環境に入って、慣れるまでに何をしましたか環境の変化にどう対処するかという行動の型
⑤ 学業・経歴学んできたことのうち、いま役に立っていることは何ですか学びを実際の場面に結び付けられるか
⑥ 適性・将来希望とは違う部署に配属されたら、どうしますか複数の分野を経験することへの心構え
⑦ 公共性・社会性県と市の役割は、どう違うと思いますか行政の仕組みを自分の言葉で説明できるか

ただし、この7カテゴリーは行田市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「行田市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「行田市役所ならでは」の質問

「なぜ埼玉県庁ではなく、行田市役所なのですか」
「行田市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも行田市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料を持っている人だけが、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「行田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい行田市の事実答え方のヒント
市の規模と市域人口77,396人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積67.49km²、人口密度1,147人/km²市街地と、車がなければ動きにくい地区が同居する市であることを踏まえ、どちらの場面で働きたいのかを具体的に述べます
県境の市であること加須市・熊谷市・鴻巣市・羽生市に加え、群馬県邑楽郡千代田町・明和町と接している県境をまたぐ暮らしと広域の連携という視点を持ち込み、市単独では解けない課題を一つ挙げます
まちの成り立ち市役所の住所は行田市本丸2番5号。市の花にはキクとあわせて古代蓮が挙げられている地名や市の花の由来を市公式サイトで確かめ、まちが何を大事にしてきたかという話に接続します
採用の考え方通年採用試験は新卒枠と社会人経験枠の2枠制。カムバック採用選考は退職した職員が戻れる仕組み。派遣研修の派遣先には国の府省庁や県、民間企業が例示されている働き方の変化を前提にした市であることを踏まえ、長く働くという言葉を制度の話とつなげて説明します
なぜ県庁ではなく市役所か県は5か年計画で超少子高齢社会への対応という県全体の方向を示し、市は7万7千人の暮らしの窓口を担う役割の違いを述べて終わらせず、行田市で自分が向き合いたい相手を具体的に挙げます

コツは、5つを丸ごと覚えることではありません。自分の関心に近いテーマを1〜2つ選び、事実から自分の問題意識へ、そして市職員としてやってみたいことへと一続きにつないでおくと、掘り下げられても話が崩れません。

想定される評価の観点

面接は、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
環境の変化に向き合う力慣れない場所や役割に置かれたとき、どう動いたか市が国や県や民間企業への派遣研修を行い、カムバック採用まで用意していることを踏まえ、外に出た経験を一つ持っておく
自分で考えを組み立てる力その場で示された題に対して、筋道を立てて答えられるか通年採用の論文が「思考力」まで見ると定義していることを意識し、答えのない題について時間内に考えをまとめる練習をしておく
広い範囲を受け持つ姿勢幅広い分野を担当することを、どう受け止めているか67.49km²の市域と7万7千人という規模を踏まえ、一人が複数の役割を持つ職場で働く意味を自分の言葉にしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。公表されている通年採用試験では人物試験が個別面接ですが、一般事務職の面接形式はその年度の受験案内で確かめてください。

どの形式であっても、一つの経験を掘り下げられる場面は来ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの備えになります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 行田市公式サイトの職員採用ページをブックマークし、週に一度は確認する。志望する職種と日程系統の受験案内が公表されたら、その場で保存して最後まで読む
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 論文試験が課される可能性を見込み、行政に関わるテーマで60分を計って書く練習をしておく。書き上げた文章は、そのまま面接で話す内容の下書きになる
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、市の規模と県境という位置から、志望分野に近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 声に出して練習する。市が派遣研修やカムバック採用で示している「外の経験を取り込む」という考え方に、自分の経験をどう重ねるかまでを型にしておく

優先順位に注意

ステップ4と5は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を行田市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。公表される試験情報が日程系統ごとに切り替わる市では、案内を待つ間に自分の材料をそろえておけるかどうかで差がつきます

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、行田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

行田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

行田市役所の想定問答集を見る

さいごに

行田市は、7万7千人余りが67.49km²に暮らし、群馬県の2町とも境を接する市です。採用の側では、通年採用の2枠制、経歴に応じた主任級での採用、国や県や民間企業への派遣研修、そして一度退職した職員が戻れるカムバック採用選考と、外の経験を取り込む仕組みを重ねて用意しています

試験の情報が日程系統ごとに公表される市ですから、最新の受験案内を自分の手で確かめるところまでが準備です。

そのうえで、市役所の住所にもなっている本丸という地名が何に由来するのかを調べ、このまちが何を受け継いできたのかを自分の言葉で語れるようにしておけば、志望動機は他の受験者と同じ形にはなりません