本記事では、越谷市職員採用試験の面接対策で必要な、越谷市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
越谷市役所の面接試験では、「なぜ越谷市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の経験を市の仕事にどう活かすのか」といった質問が想定されます。越谷市の事務職員の採用試験は教養試験も専門試験も課さず、面接を2回重ねる三段階選抜です。人物を見る時間が長い試験だといえます。
本記事の掲載内容を参考に、市の実情と自分の経験を結び付け、面接での回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
越谷市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは越谷市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口341,437人・面積60.24km²・人口密度5,668人/km²の市である。埼玉県内でも人口の多い市の一つ。
- 接しているのはさいたま市・春日部市・川口市・草加市・吉川市・北葛飾郡松伏町。県内でも人口の多い市が隣り合う一帯に位置している。
- 市が位置する県南東部は、埼玉県の地震被害想定で液状化による建物被害が大きく見積もられている一帯にあたる。
- 筆記にあたる第1次試験は会場に集まる方式ではなくテストセンター方式で行われ、第2次の適性検査もWeb方式で実施される。
- 令和9年4月1日付採用(試験区分1)の募集は、事務職員(大学卒)が40人程度、技術職員が10人程度。これ以外の職種は別途募集が行われる予定とされている。
- 申込は越谷市職員採用管理システムによるWeb申込で、マイページに学歴・職歴・志望動機・自己PRなどを入力して本登録する。別途の面接カード様式は募集要項に記載がない。
- 求める人材は、越谷市人材育成基本方針から抜粋した4項目として募集要項に掲げられている。
- 最終合格者は得点順に採用候補者名簿に登載され、名簿の順位に従って採用が決定される。
越谷市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「越谷市がどれくらいの規模の市なのか」を数字で言えることは重要です。
下表には、34万人という規模の意味を説明するのに使える項目を選んで並べました。位置づけがわかるよう、埼玉県全体の数値と県内で人口の多い市もあわせて載せています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 341,437人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 60.24km² |
| 人口密度 | 5,668人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | さいたま市、春日部市、川口市、草加市、吉川市、北葛飾郡松伏町 |
| 市役所所在地 | 〒343-8501 埼玉県越谷市越ヶ谷四丁目2番1号 |
| 市の花・市の木 | キク・ケヤキ |
| 初任給(参考) | 事務職員(大学卒)・技術職員(大学卒)251,856円(給料及び地域手当・令和8年4月1日時点) |
| (参考)埼玉県の総人口 | 7,287,169人(令和7年国勢調査速報・令和8年5月20日公表) |
| (参考)県内人口の上位 | さいたま市1,355,984人、川口市608,515人、川越市352,607人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
越谷市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。初任給は令和9年4月1日付採用予定の越谷市職員募集要項Ⅰによる数値です。埼玉県の総人口と県内人口の上位は埼玉県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、越谷市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字が語る越谷市政の輪郭
34万1千人という人口に、面積60.24km²を重ねると、越谷市の性格が見えてきます。人口密度5,668人/km²は、市域の広さに対して人が厚く住んでいることを示す数字です。越谷市の行政は、大都市に近い量の需要を、市という単位で受け止める行政です。
保育も、ごみも、道路の維持も、窓口の混み具合も、10万人規模の市とは桁が違います。事務職員を1つの試験区分で40人程度採用しているという事実は、その量を裏づけています。
県全体の動きも押さえておきましょう。令和7年国勢調査の速報結果では、埼玉県の人口が7,287,169人と、大正9年の調査開始以来はじめて前回を下回りました。それでも県人口の93.6%は市部に住んでいます。
市町村別の上位はさいたま市1,345,016人、川口市592,007人、川越市354,793人です(出典:令和7年国勢調査速報結果|埼玉県)。
越谷市は、この市部への集中の一角を占める市です。県全体が減少に転じるなかで、その一角がどう振る舞うかが県の姿にも影響します。
越谷市の経済・産業
全国第5位の県内総生産という土台
34万人規模の市の経済は、県全体の姿と重ねると位置づけが見えてきます。埼玉県の県内総生産(名目)は令和4年度で24兆6,656億円、全国第5位で、この順位は20年連続です。
実質でも24兆467億円と2年連続の増加となりました(出典:産業と雇用のすがた|令和7年度版)。
県の経済は縮んでおらず、縮んでいるのは人口の側だという組み合わせが、いまの埼玉県の状況です。働く場は残る一方で、担う人が減っていく。市の産業政策も、企業を呼ぶ話と人を確保する話が切り離せなくなります。
人が集まる場所としての越谷
越谷市が接しているのは、さいたま市や川口市をはじめ、県内でも人口の多い市が並ぶ一帯です。この位置は、市の経済を考えるときに二つの意味を持ちます。
一つは、市内に住む人の職場が市外にも広く分布するということ。もう一つは、市外に住む人にとっても越谷市が買い物や通勤の行き先になりうるということです。
市の経済を語るなら、市内の統計だけを見るのではなく、人がどちら向きに動いているかという視点を持っておきましょう。市の税収を支えるのは市内で働く人だけではなく、平日の混雑をつくるのも市民だけではない、という前提です。
日帰りが中心という県の観光構造
県全体では、令和5年の観光入込客数100,204千人のうち日帰りが98,299千人と大半を占めます。観光消費額は県外からの日帰りが2,565億円、県内からの日帰りが2,704億円で、1人当たりの単価は県外日帰りが6,752円、県内日帰りが4,484円です(出典:観光入込客統計|令和5年)。
宿泊を伴わない来訪が中心ということは、来た人が数時間のあいだにどれだけ市内で過ごすかで、地域に落ちるお金が決まるということです。前の項で見たとおり、越谷市は近隣の市から人が流れ込みうる位置にあります。
にぎわいづくりを志望動機に据えるなら、催しを増やすという話ではなく、その日のうちに帰る人の滞在時間をどう伸ばすかという言い方に変えてみてください。
越谷市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、越谷市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
県の人口が減少に転じたあとの34万人都市
埼玉県の生産年齢人口(15歳から64歳)は、平成12年(2000年)の501万人をピークに、令和22年(2040年)には380万人へ減少する見込みです。県の5か年計画は、県人口は間もなく減少に転じると見通しており、令和7年国勢調査の速報結果ではその見通しどおり調査開始以来はじめての減少となりました(出典:埼玉県5か年計画(ダイジェスト版)|令和4年3月策定)。
人口の多い市ほど、減少の始まりは行政サービスの量の変化として遅れて表れます。学校も、保育所も、道路も、いまの利用者数を前提に整えられているからです。
何をどの順で見直すのかという判断が、これから重みを増していきます。
高齢化は率ではなく人数で読む
県の高齢化率は、令和2年の27.0%から令和7年に27.8%、令和22年(2040年)には33.3%へ上がる見通しです。ただし、面接で使いたいのは率ではなく内訳のほうです。85歳以上人口は令和22年(2040年)に約57万人となり、令和2年に比べて2倍以上に増加する見込みとされています(出典:埼玉県の高齢化の状況)。
65歳以上が増えるという話と、85歳以上が倍になるという話は、行政にとって意味が違います。前者は制度の対象者が増えるという話ですが、後者は介護や医療、見守りといった手のかかる支援が必要な人が増えるという話です。
越谷市自身の位置も見ておきましょう。住民基本台帳にもとづく令和8年1月1日現在の値では、越谷市の高齢化率は25.7%、75歳以上の割合は15.7%で、同じ住民基本台帳ベースの埼玉県全体である27.0%・16.0%をやや下回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
なお、先に挙げた県の高齢化率は国勢調査にもとづく値で、調査の方法が違うため直接は比べられません。
ここで止まると読み違えます。率としては県平均を下回っていても、越谷市の65歳以上は87,779人にのぼります。
34万人規模の市では、この絶対数がそのまま人手の必要量になります。「越谷市はまだ高齢化が進んでいないほうだ」と率でまとめてしまえば、8万7千人という現実から離れた話になります。
面接では、率ではなく人数で考えていることを示してください。
県南東部を襲う地震と液状化
埼玉県地震被害想定調査は5つの地震を想定しています。最大の被害が見込まれるのは関東平野北西縁断層帯地震(深谷断層と綾瀬川断層を一体として想定)で、死者3,599人・避難所避難者144,968人。
一方、越谷市が位置する県南東部を中心に被害が広がるのが東京湾北部地震(マグニチュード7.3)で、建物全壊は揺れによるものが8,127棟、液状化によるものが5,253棟と想定されています。避難所避難者は54,180人、南関東でのマグニチュード7級地震の30年以内発生確率は70%とされます(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24〜25年度)。
県南東部では、揺れそのものと同じくらい液状化による被害が大きく見積もられている点が特徴です。市のハザードマップで、自分の関わる地区が液状化の想定区域に入っていないかを確かめておきましょう。
ゆとりの小さい財政という前提
ここで挙げるのは越谷市ではなく埼玉県の指標ですが、市の仕事もこの財政環境の上に成り立っています。埼玉県の財政力指数は0.73、経常収支比率は96.2%です(いずれも令和5年度決算)(参考:令和5年度財政状況資料集(埼玉県)|総務省)。
健全化判断比率は実質公債費比率10.8%、将来負担比率151.9%で、実質赤字比率・連結実質赤字比率は黒字、いずれも早期健全化基準を下回っています(出典:健全化判断比率の公表|令和5年度決算)。
基準は下回っていても、毎年決まって入る収入の9割以上が固定的な支出で埋まる構造は、新しいことを始めるための余地が小さいということを意味します。面接で「やりたいこと」を語るときは、何かを足す提案だけでなく、限られた条件のなかで優先順位をつけるという視点を添えられると、話に現実味が出ます。
なお越谷市自身の財政指標は市の財政状況の公表資料で確認できますので、財政の話を志望動機に持ち込むなら、県の数字ではなく市の数字を自分で見ておきましょう。
越谷市の重点政策|人材育成基本方針と埼玉県5か年計画
越谷市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。この章では、市が募集要項に掲げた4つの職員像と、それを入庁後に支える研修の体系、そして背景となる県の計画を順に押さえます。34万人の市が職員に何を求めているのかが、ここではっきりします。
人材育成基本方針が描く職員像
越谷市は、越谷市人材育成基本方針から抜粋した形で、求める人材を4項目にまとめて募集要項に掲げています(出典:越谷市職員募集要項Ⅰ|令和9年4月1日付採用予定)。
- 市民と共に考え、行動する職員
- 広い視野と先見性を持った職員
- 自ら考え責任を持ち、挑戦する職員
- 市民に対し公正・公平・誠実に対応し、信頼される職員
4項目を並べてみると、市民と同じ位置に立つことと、自分で判断して動くことの両方が求められていることがわかります。指示を待つのでも、独りよがりに進めるのでもない働き方です。
そして市は、この職員像を採用したあとの仕組みでも支えています。職員研修は、新採用職員研修をはじめとする階層別研修、法令関係や法務能力・政策形成能力の向上を目的とした専門研修、市民ニーズに的確に対応できる能力の開発や実務に即した能力を身につける特別研修、自発的に自己研鑽を図る職員に対する自己啓発研修という4本立てで組まれています。
入ってから育てるという前提があるからこそ、面接では完成度ではなく伸びしろが見られます。
埼玉県5か年計画が示す前提
市政の背景には、県の計画もあります。県が令和4年3月に定めた埼玉県5か年計画(令和4年度から令和8年度)は、「日本一暮らしやすい埼玉へ」を掲げ、超少子高齢社会への対応を最大の課題に据えています。
3つの将来像と12の針路のもとに54の分野別施策が並び、災害や感染症への備えも「待ったなし」と位置づけられました。
県がこうして全体の方向を描き、市が34万人の暮らしの現場でそれを形にしていく。越谷市の場合、その受け止め方は制度としても一段深くなっています。
市は平成27年4月1日に中核市へ移行し、福祉・保健衛生・環境などの分野で県から2,000項目を超える事務が移譲されたうえ、市独自の保健所も設置されました(出典:越谷市の中核市移行|平成27年4月1日)。この分担を自分の言葉で説明できるようになると、後で触れる「なぜ県庁ではなく市役所なのか」という質問への答えが自然に出てきます。
POINT|4項目を覚えるだけでは足りない
求める人材の文言を暗記することが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな取り組みがあるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かせるか」の順に調べていきましょう。
悪い例「市民と共に考え、行動する職員になりたいです」
改善例「サークルで意見が割れたとき、まず全員から個別に話を聞いてから案を出し直したことがあります。34万人が暮らす市では声の大きさも数もばらばらだと思いますので、届きにくい方の声を拾うところから関わっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 越谷市職員募集要項(受験する試験区分・職種のもの)
- 越谷市公式サイトの市政情報・総合計画・人材育成基本方針
- 市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
- 埼玉県5か年計画、埼玉県の統計資料(市政の背景を知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、越谷市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。越谷市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
越谷市役所の面接の概要
ここからは、越谷市役所の採用試験の構成と、公表されている求める人材、面接で問われやすい質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
試験区分1(事務職員・技術職員)の構成
越谷市は年度内に試験区分1・試験区分2・試験区分3といった複数回の採用試験を実施しており、区分ごとに職種・試験内容・段階数が異なります。ここでは、事務職員(大学卒)を含む試験区分1を主軸に整理します。
令和9年4月1日付採用予定の試験区分1では、事務職員(大学卒)40人程度、技術職員(大学卒)および技術職員(民間企業等職務経験者)10人程度が募集され、これ以外の職種は別途募集が行われる予定とされています。
事務職員(大学卒)の選抜は三段階です。第1次試験はテストセンター方式で基礎能力と事務能力を測り、第2次試験で適性検査と面接試験、第3次試験で再び面接試験が行われます。
教養試験も専門試験も課されず、面接が2回置かれているという組み立てです。
| 項目 | 内容(令和9年4月1日付採用・試験区分1) |
|---|---|
| 募集職種と人数 | 事務職員(大学卒)40人程度、技術職員(大学卒)及び技術職員(民間企業等職務経験者)(建築・土木・電気・機械)10人程度 |
| 試験の段階(事務職員) | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階 |
| 第1次試験(事務職員) | テストセンター方式。基礎能力(SCOA-A・60分)と事務能力(SCOA-C・50分) |
| SCOA-Aの内容 | 実社会で必要とされる基礎的な知的能力および学力を総合的に測定する試験。出題分野は文章読解能力、数的能力、論理的思考能力、人文・社会、自然に関する一般知識、基礎英語 |
| SCOA-Cの内容 | 職務を遂行する上での具体的な処理能力を測定する試験。出題分野は事務能力診断検査 |
| 第2次試験 | 適性検査(Web方式)と面接試験 |
| 第3次試験 | 面接試験(事務職員のみ実施) |
| 教養試験・専門試験 | 事務職員には課されない。技術職員は第1次でテストセンター方式か集合形式の専門試験(120分・各分野30問)のいずれかを選択 |
| 集団形式 | 募集要項に集団討論・グループワークの記載はない |
| 申込方法 | 越谷市職員採用管理システムによるWeb申込。マイページから学歴・職歴・志望動機・自己PRなどを入力して本登録する |
| 準備が必要なもの | 本人のメールアドレスと顔写真データ(縦4×横3の比率、直近3か月以内撮影、背景無地・上半身・正面向き・無帽)等。別途の面接カード様式は募集要項に記載がない |
| 合格後の扱い | 最終合格者は得点順に採用候補者名簿に登載され、名簿の順位に従って採用が決定される |
| 配点 | 募集要項に記載がなく未公表 |
上表は令和9年4月1日付採用予定の越谷市職員募集要項Ⅰ(試験区分1・前掲)にもとづく内容です。第2次・第3次はいずれも「面接試験」とのみ記載され、個別面接か集団面接かの明示はありません。試験区分・職種によって内容は異なります。受験の際は、必ず最新の募集要項でご自身の区分の試験情報をご確認ください。
この構成で押さえておきたいのは、筆記で測られるものの中身です。SCOA-Aは知識の量というより基礎的な知的能力と学力を総合的に測る検査で、SCOA-Cは事務処理そのものの速さと正確さを見る検査です。
暗記量で差をつける設計になっていないぶん、第2次・第3次の面接が結果を左右する比重は大きくなります。最終合格者が得点順に名簿へ登載されるという点も、面接で何点取るかが最後まで効いてくることを示しています。
採用数の読み方にも触れておきます。事務職員(大学卒)40人程度という枠は、一つの区分で採る人数として小さくありません。
しかも越谷市は、この区分1のほかに区分2・区分3の試験を年度内に行い、これ以外の職種も別途募集する予定としています。ただし、採用数が多いことは倍率が低いことを意味しません。
規模の大きい市には、それだけ多くの応募も集まるからです。
40人程度を採る試験でむしろ考えておきたいのは、面接官が同じ時期に何十人分もの志望動機を聞くという事実のほうです。珍しい経験を探しにいくよりも、越谷市の実情に自分の経験をつないだ具体的な話のほうが、最後まで残ります。
POINT|形式が公表されていないぶんの備え方
越谷市の募集要項は、第2次・第3次のいずれも「面接試験」と記すだけで、個別面接か集団面接かは示していません。ここは推測で決めつけず、どちらであっても通用する形に整えておくのが安全です。
用意しておきたいのは、話す長さの二通りです。一つの経験について、1分弱で言い切る短い版と、深掘りに耐える詳しい版の両方を作っておけば、持ち時間の見当がつかない場でも形が崩れません。複数人で受ける可能性がある以上、自分が話していない時間の姿勢も準備のうちだと考えておきましょう。
もう一点、越谷市では申込そのものが面接の準備になります。申込は採用管理システムのマイページで行い、そこに志望動機や自己PRを入力して本登録します。別途の面接カード様式が募集要項に見当たらないぶん、入力した内容が面接で手元に置かれる資料になる可能性があります。送信前に必ず控えを取り、書いた一文ずつに「なぜそう書いたのか」を答えられる状態にしてから本番へ進んでください。
越谷市が求める人材
第1部で見たとおり、越谷市は求める人材を4項目で公表しています。面接対策としては、この4つを別々の資質として捉えるより、市民と考える → 広く見る → 自分で決めて動く → 公正に対応するという一連の流れとして読むほうが使いやすくなります。
どれか一つだけが突出していても、市の仕事は回らないからです。自己PRでは「主体性があります」と言い切るのではなく、誰の話を聞いたうえで、自分は何を決めたのかまで話せるようにしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。越谷市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | ここまでの試験を受けてみて、いかがでしたか | 構えていない場面での表情と、会話の入り方 |
| ② 動機・志望 | 近隣にも大きな市があるなかで、なぜ越谷市なのですか | 規模の似た市と比べたうえで選んでいるかどうか |
| ③ 自己理解 | あなたが自分に足りないと感じている力は何ですか | 弱みを認めたうえで、補う行動まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | 意見が割れた場面で、あなたはどう動きましたか | 立場の違いを前にしたときの行動の型 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことのうち、いま役に立っていることは何ですか | 学びを実際の場面に結び付けられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 同期が多い職場で、どんな存在になりたいですか | 大きな組織のなかでの自分の置き方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 公正・公平に対応するとは、どういうことだと思いますか | 要項の言葉を自分の言葉に置き換えられるか |
ただし、この7カテゴリーは越谷市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「越谷市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「越谷市役所ならでは」の質問
どちらも越谷市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料を持っている人だけが、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「越谷市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい越谷市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と市域 | 人口341,437人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積60.24km²、人口密度5,668人/km²。県人口の93.6%が市部に居住している | 34万人という量を前提に、一人ひとりへの対応と全体の仕組みづくりのどちらに関わりたいのかを言い切ります |
| 求める人材 | 越谷市人材育成基本方針から抜粋した4項目(市民と共に考え行動する、広い視野と先見性、自ら考え責任を持ち挑戦する、公正・公平・誠実で信頼される) | 4つを暗唱するのではなく、自分の経験がどの項目に当たるのかを一つ選んで具体例で語ります |
| 育てる仕組み | 職員研修は階層別研修・専門研修・特別研修・自己啓発研修の4本立て | 入ってから学ぶ前提の市であることを踏まえ、これまで自分から学びに行った経験を一つ添えます |
| 防災の想定 | 越谷市が位置する県南東部を中心に被害が広がる東京湾北部地震では、建物全壊が揺れで8,127棟、液状化で5,253棟と想定されている | 液状化という言葉を出したうえで、市のハザードマップで自分の関わる地区を確かめたことまで話します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は5か年計画で超少子高齢社会への対応という県全体の方向を示す。越谷市は中核市として、福祉や保健衛生の事務を県から移譲されたうえで、34万1千人分の保育・ごみ・道路の維持・窓口対応という日々の量を引き受ける | 役割の違いを述べて終わらせず、越谷市で自分が向き合いたい相手を具体的に挙げます。県庁を下げて市役所を持ち上げる言い方は避けます |
コツは、5つを丸ごと覚えることではありません。自分の関心に近いテーマを1〜2つ選び、事実から自分の問題意識へ、そして市職員としてやってみたいことへと一続きにつないでおくと、掘り下げられても話が崩れません。
想定される評価の観点
面接は、公表された人材像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民と共に考える力 | 相手の事情を聞いたうえで進め方を決めた経験があるか | 求める人材の1つ目が「市民と共に考え、行動する職員」であることを踏まえ、聞いた内容によって自分の案を変えた場面を用意しておく |
| 自ら決めて動く力 | 誰かの指示ではなく、自分の判断で始めた経験があるか | 「自ら考え責任を持ち、挑戦する職員」という項目に照らし、うまくいかなかったときに自分がどう責任を取ったかまで話せるようにしておく |
| 公正さを保つ姿勢 | 親しい相手と、そうでない相手を同じように扱えるか | 「公正・公平・誠実に対応し、信頼される職員」という文言を、34万人が相手の窓口で何を意味するのかという形で言い換えておく |
なお、公務員の面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。越谷市の事務職員は面接が2回ありますので、同じテーマを別の面接官から角度を変えて問われる前提で準備しておきましょう。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの備えになります。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受験する試験区分の募集要項を最後まで読む。越谷市は年度内に複数の区分で試験を行うため、自分がどの区分を受けるのかを最初にはっきりさせる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- テストセンター方式の検査に慣れておく。基礎能力と事務能力の両方が測られるため、時間を計って解く練習を早めに始める
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、市の規模と県全体の見通しから、志望分野に近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
- 声に出して練習する。求める人材の4項目それぞれに、自分の経験を1つずつ結び付けて話すところまでを型にしておく
優先順位に注意
ステップ4だけは後回しにできません。第1次を通らなければ面接に進めないうえ、テストセンター方式の検査は直前の詰め込みが効きにくいからです。逆にいえば、早い時期から時間を計って解く習慣をつけておけば、直前期はステップ2の棚卸しと自己分析に時間をすべて回せます。教養試験も専門試験もない試験では、覚えた知識の量が面接の結果を守ってくれることはありません。時間が足りないときのステップ5も、事実を増やす方向ではなく、すでに知っている2つか3つを自分の言葉に直す方向へ切り替えれば足ります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、越谷市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
越谷市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
越谷市の事務職員採用試験は、教養試験も専門試験も置かず、テストセンター方式の検査のあとに面接を2回重ねる形をとっています。知識の量ではなく、人物と考え方を時間をかけて確かめる試験だということです。
34万1千人が60.24km²に暮らし、県全体が人口減少に転じたあとも市部への集中が続くこの市で、求める人材の4項目に自分の経験をどう重ねるか。
得点順に採用候補者名簿へ登載されるという仕組みまで含めて考えれば、最後まで効いてくるのは、面接で語る一つひとつの経験の中身です。