本記事では、加須市職員採用試験の面接対策で必要な、加須市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

加須市役所の面接試験では、「加須市を志望した理由は何ですか」「市職員としてどんな役割を果たしたいですか」「あなたの経験を市政でどう活かしますか」といった質問が想定されます。加須市の採用案内には、一次試験の結果は二次試験に反映されないこと、最終合格者は二次試験の得点順に決定することが明記されています。

最終的な順位は、二次試験の個人面接だけで決まる試験です。

本記事の掲載内容を参考に、自分の経験と加須市政の重なりを整理し、二次試験で語り切れる材料をそろえてください。

第1部|自治体研究編

加須市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは加須市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口111,846人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積133.30km²・人口密度839人/km²の市である。
  • 群馬県・栃木県・茨城県の3県と境を接する、埼玉県北東部の市である。県内では行田市、久喜市、羽生市、鴻巣市と接し、県外では群馬県邑楽郡板倉町、栃木県栃木市、茨城県古河市に接する。
  • 接する自治体は7市町で、そのうち3つが県外。行政の区域が三つの県境で交わる場所にある。
  • 市役所は〒347-8501 加須市三俣二丁目1番地1に置かれている(団体コード11210-1)。
  • 市の花はコスモス、市の木はさくらである。
  • 埼玉県は面積約3,798km²で47都道府県中第39位の小さな県だが、東は茨城・千葉、西は長野・山梨、南は東京、北は群馬・栃木と、1都6県に接する内陸県である。加須市はその北東の接点にあたる。
  • 令和7年国勢調査の速報結果による埼玉県の人口は7,287,169人。令和2年の前回調査から0.8%減り、大正9年の調査開始以来はじめて前回を下回った。

加須市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「加須市の大体のスケール感」を押さえておくことは重要です。

加須市を数字で押さえるときの要点は、11万人規模の市が受け持つ市域の広さと、群馬・栃木・茨城の3県に接する位置関係です。表はこの二つが分かる項目から並べています。

規模を測るときの比較先として、埼玉県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口111,846人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積133.30km²
人口密度839人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体行田市、久喜市、羽生市、鴻巣市、邑楽郡板倉町(群馬県)、栃木市(栃木県)、古河市(茨城県)
市役所所在地〒347-8501 埼玉県加須市三俣二丁目1番地1
市の花・市の木コスモス・さくら
(参考)埼玉県の総人口7,287,169人(令和7年国勢調査速報結果・令和8年5月20日公表)
(参考)埼玉県の面積約3,798km²(47都道府県中第39位)。平地が総面積の約61%
(参考)埼玉県の県内総生産24兆6,656億円(令和4年度・名目/全国第5位)

加須市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理したものです。埼玉県に関する数値は、県公式サイトの統計資料と計画資料によります。市の統計の最新値は、加須市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から読み取れる市政の論点

人口111,846人に対して面積は133.30km²、人口密度は839人/km²です。埼玉県全体の面積約3,798km²と人口7,287,169人から県平均の密度を出すと1平方キロメートルあたり1,900人台になりますから、加須市の密度は県平均の半分にも届きません

人口11万人規模の市としては、広い土地を受け持っているということです。

広さは、そのまま仕事の量に変わります。道路も水路も公共施設も、面積に応じて必要になるからです。

加えて加須市は群馬・栃木・茨城の3県と接しています。住民の生活圏が三つの県にまたがり、行政の区域だけが県境で切れているという状態です。

買い物も通勤も通院も県をまたいで動く地域で、市の仕事は隣接自治体との調整を前提にせざるを得ません。面接では、次のように立地と課題を一続きにして話せます。

「加須市は群馬と栃木と茨城の3つの県に接していると知りました。県の平均と比べると人口密度は半分以下だそうで、広い市域を11万人ほどで支えている形だと感じています。県をまたいで暮らしている方も多いと思いますので、隣の自治体と一緒に進める仕事に関わりたいです」

加須市の経済・産業

平地の県の、三つの県境が交わる場所

加須市の産業を考えるときは、埼玉県の地形から入ると位置づけが見えてきます。埼玉県の地形は大きく西部の山地と東部の平地に二分され、平地は総面積の約61%を占めます。

この割合は全国的にも高い水準です。県内の最高峰は秩父山地の三宝山(標高2,483m)で、山地は西に偏っています(出典:埼玉県統計年鑑(地勢)|令和2年

加須市はその東側の平地に位置し、面積133.30km²を持ちながら人口密度は839人/km²です。土地に余裕があり、しかも3県の県境が交わる場所という条件を同時に備えていることになります。

広い平地は、住宅にも農地にも事業所にも使える資源です。同時に、三つの県のどこからも人と物が入ってくる場所でもあります。

産業を志望分野にするなら、この二つの条件がどう組み合わさるかという視点を持っておきましょう。

全国第5位の経済規模を持つ県の北東端で

埼玉県の県内総生産(名目)は令和4年度で24兆6,656億円、全国第5位です。この順位は20年続いており、実質でも24兆467億円と2年連続で増加しています(出典:県民経済計算(産業と雇用のすがた)|令和4年度

経済規模の大きな県ですが、その中身は地域によって異なります。都心に近い南部と、加須市のある北東部では、土地の使われ方も産業の構成も同じではありません。

面接で市の産業について語るときは、県全体の順位をそのまま市の話にしないよう気をつけてください。県が全国第5位だという事実は、加須市の経済を説明したことにはならないからです。

県の規模を背景として置いたうえで、広い平地と三つの県境という加須市固有の条件から話を組み立てると、自分の言葉になります。

加須市の主な行政課題

ここまでの内容を踏まえると、加須市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

減少に転じた県の中での位置取り

埼玉県の人口は令和7年国勢調査の速報結果で7,287,169人となり、前回調査から57,596人(0.8%)減りました。大正9年の調査開始以来はじめて前回を下回った調査です。

県内で人口が増えたのは10市町、減ったのは53市町村で、県人口の93.6%が市部に住んでいます(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計結果|埼玉県

県全体が減少局面に入り、増える自治体のほうが例外になったということです。三つの県境に接する加須市は、隣県の町からも県内の市からも人の出入りがある位置にあります。

どの方向から選ばれる市になるかという判断が問われます。

広い市域を、少ない密度で支える

県平均の半分に届かない人口密度で133.30km²を受け持つということは、住民一人あたりに必要な道路や施設の負担が相対的に重くなるということでもあります。加えて、平地が広がる地域では市街地が一か所に集中せず、集落や住宅地が分散しがちです。

行政サービスの窓口をどこに置き、移動手段をどう確保するかは、こうした市に共通する論点になります。効率と公平のどちらを取るかではなく、両方をどう成り立たせるかという問いとして考えておきましょう。

働き手が減る中での人材確保

埼玉県の生産年齢人口(15歳から64歳)は平成12年の501万人をピークに、令和22年(2040年)には380万人まで減る見込みです。5か年計画も、県人口が間もなく減少に転じるという前提で組み立てられています。

人手が減るのは市役所の中も同じです。加須市は令和8年度第2回の採用試験で、国や地方公共団体での行政実務経験を活かせる「一般事務(行政経験者)」職種を新設し、民間企業等職務経験者枠の対象年齢の下限を32歳から27歳へ引き下げました。

27歳から31歳の人は一般採用枠と経験者採用枠のどちらかを選べるようになっています(出典:加須市職員採用試験の実施について|令和8年度第2回

入口を広げて経験のある人を取りに行く方向に、市が舵を切っていると読めます。

広い市域と高齢化が重なるとき

令和2年の埼玉県の高齢化率は27.0%で、65歳以上の人口は過去最高の約193万人でした。県はこの割合が令和7年に27.8%、令和22年(2040年)には33.3%に達すると見込んでおり、5か年計画には「2040年には県民の3人に1人が高齢者」と記されています(出典:埼玉県の高齢化の状況|令和7年・令和22年推計

加須市はその平均より前を歩いています。基準をそろえて住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で見ると、加須市の高齢化率は31.6%で、同じ基準の埼玉県全体27.0%を4ポイント以上上回ります。

75歳以上の割合は16.8%で、県全体の16.0%をやや上回る水準です(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在

なお、先に挙げた県の27.0%は国勢調査による値のため、住民基本台帳の集計とは調査が異なり、直接は比べられません。ここで効いてくるのが市域の広さです。

市域が広く住まいが分散する地域では、高齢化は移動の問題として現れやすくなります。通院、買い物、行政手続きのそれぞれで、距離が壁になるからです。

県平均より高い高齢化率と、県平均の半分に届かない人口密度が同じ市に重なっている。この組み合わせを自分の言葉で説明できると、福祉や交通を志望分野にしたときの話に厚みが出ます。

加須市の重点政策|市が示す人材の方向と埼玉県5か年計画

加須市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。加須市が採用案内で掲げる人材像を先に確かめ、それを県全体の計画の中に置き直すという順序で進みます。

市が採用案内で掲げる人材像

加須市は職員採用案内で、求める人材を「加須市への深い愛着と、公務への確かな熱意を持ち、地域の未来をともに築いていける人」と定義しています。そのうえで、次の5つの要素を挙げています(出典:令和8年度第2回 加須市職員採用試験案内

  • 責任・信頼
    使命感と責任感を持ち、誠実に信頼を積み重ねられる人
  • 市民感覚
    市民の声に耳を傾け、相手の立場に立って行動できる人
  • 経営感覚
    コストと成果を意識し、スピード感を持って仕事を進められる人
  • 挑戦・積極性
    広い視野と柔軟な発想で、変化を恐れず挑戦できる人
  • 自己研鑽
    学び続ける向上心を持ち、自らを高め続けられる人

この5つのうち、民間企業の採用でも見かける言葉が並ぶ中で、行政らしさが出ているのは経営感覚です。コストと成果、そしてスピードが名指しされています。

税で運営される組織で費用対効果を意識するという意味であり、志望動機に厚みを出したいなら、この観点に自分の経験を寄せるのは一つの手になります。

県の計画との関係

県の計画体系の頂点にあるのは埼玉県5か年計画(令和4年度〜令和8年度)です。「日本一暮らしやすい埼玉へ」という副題のもと、最大の課題に「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」を据えています

2040年を見据えた3つの将来像、12の針路、54の分野別施策からなり、激甚化する自然災害や感染症の拡大への対応も「待ったなし」と位置づけられています(出典:埼玉県5か年計画|令和4〜8年度

県が掲げる「暮らしやすさ」は、加須市のように市域が広い自治体では移動と距離の問題に置き換わります。県の計画と市の総合計画を並べて読むと、同じ言葉が現場ではどんな課題に置き換わるのかが見えてきます。

市の計画を読むときは、その差に注目してください。

加須市の採用情報をどこで見るか

加須市の職員採用情報は、市公式サイトの職員課のページにまとめられています。申込は電子申請・届出サービスによるWeb申込のみで、必要なものはパソコンまたはスマートフォン、本人のメールアドレス、3か月以内に撮影した上半身・脱帽・正面向き・背景なし、縦横比4対3の顔写真データです。

案内には面接カード等を別途提出する旨の記載はありません。

令和8年度第2回の採用予定人数は、上級試験で一般事務15名程度、一般事務(手話通訳士)若干名、社会福祉士若干名、土木・建築・電気・機械が各若干名。中級試験は保育士・幼稚園教諭が3名程度、初級試験は一般事務(障がい者対象)が若干名です。

いずれも民間企業等職務経験者の採用試験による採用予定人数を含みます。

どの回に申し込むかを先に決める

加須市は年度内に第1回と第2回の採用試験を実施しており、回によって募集職種、年齢要件、筆記試験の選択制の扱いが異なります。第1回を受験した人が第2回を受験できるかどうかにも条件があり、二次試験を受験して不合格だった場合は受験できません。本記事で扱う試験の流れは令和8年度第2回の案内に記載された内容です。受験の際は、必ず最新の案内でご自身が受ける回と職種の内容をご確認ください。

悪い例「加須市の魅力を発信する仕事に携わりたいです」

改善例「まずは窓口の仕事で、市民の方の困りごとを直接うかがうところから始めたいです。その上で、加須市は3つの県と接していて市域も広いですので、離れた地域に住む方にも同じように手続きが届く仕組みを考える仕事に関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 加須市職員採用試験案内(自分が受ける回・試験区分のもの)
  • 加須市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 加須市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
  • 埼玉県5か年計画、埼玉県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、加須市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。加須市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

加須市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

加須市役所の面接の概要

ここからは、加須市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

合否の決まり方が示す、この試験の性格

加須市の採用試験は2段階です。一次試験は筆記試験と動画投稿型面接、二次試験は個人面接による試験および受験資格等の確認。

ここまでは他の市とも似ていますが、案内に書かれた合否の決め方が独特です。「一次試験の結果は、二次試験に反映されません」「最終合格者は、職種ごとの二次試験の得点順に、男女を問わず決定します」と明記されています。

段階試験種目内容
一次試験筆記試験(選択制)教養試験(一般事務は120分)または専門試験と、総合適性検査SCOA(90分・基礎能力検査と性格検査)のいずれかを受験者が選択
論文試験全職種共通70分・1,000字程度。文章による表現力、課題に対する理解力、思考力、その他の能力について記述式
適性検査20分。公務員としての職業生活への適応性、職務への対応や対人関係面
動画投稿型面接試験期間中の都合のよい時間に、スマートフォンまたはカメラ機能付きのパソコンで専用のインターネットサイトへ入り、設定された質問への回答を録画して送信する
二次試験個人面接による試験受験資格等の確認をあわせて実施。保育士・幼稚園教諭は面接時に実技試験(本の読み聞かせ、オルガンで課題曲を弾きながら歌う)を併せて行う

この仕組みが意味するところは重要です。一次試験でどれだけ高い点を取っても、その得点は二次試験に持ち越されません。

一次は通過するための関門であり、順位を決めるのは二次試験の個人面接だけということになります。各試験の配点は案内に記載がなく公表されていませんが、面接の決定力はこの一文だけで十分に読み取れます(出典:令和8年度第2回 加須市職員採用試験案内

一次試験の動画投稿型面接は、令和8年度第1回に引き続いて実施されているものです。案内には、一次試験の段階から受験者の人物面も考慮した選考を行うためだと説明されています。

つまり動画は、二次に進む人を選ぶための人物確認という位置づけです。集団面接や集団討論の実施記載はありませんので、人物試験の準備は動画と個人面接の二つに向けることになります。

上記は令和8年度第2回加須市職員採用試験案内および市公式サイトの採用ページに基づく内容です。各試験種目の配点は公表されていません。また、加須市の職員採用ページでは過去の受験者数・最終合格者数・倍率の公表が確認できないため、本記事では倍率に触れていません。申込の前に、市公式サイトで最新の採用試験案内をご確認ください。

筆記を選べるという設計

一次試験の筆記は選択制です。受験者は「教養試験(一般事務)または専門試験(一般事務以外)」と「総合適性検査SCOA」のどちらかを選びます。

教養試験を選んだ場合、一般事務は120分の教養試験のみで専門試験はありません。出題分野は、教養試験が時事、社会・人文、自然に関する一般知識、文書理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力等。

SCOAは文書読解能力、数的能力、論理的思考能力、人文・社会、自然に関する一般知識、基礎英語です。

加えて、一次試験では全職種共通で70分・1,000字程度の論文試験と、20分の適性検査が行われます。公務員試験の勉強を積んできた人はそのまま教養試験を、民間の就職活動と並行してきた人はSCOAを選べるという設計です。

どちらを選ぶかは、これまでの準備の中身で決めることになります。なお、一次試験・二次試験それぞれの不合格者は、本人に限り点数および順位の開示請求ができます(顔写真付きの本人確認書類を総務部職員課の窓口へ持参する方式で、電話等による請求はできません)。

加須市役所が求める人材

先に紹介したとおり、加須市は「加須市への深い愛着と、公務への確かな熱意を持ち、地域の未来をともに築いていける人」を求める人材として掲げ、責任・信頼、市民感覚、経営感覚、挑戦・積極性、自己研鑽という5つの要素を示しています。

面接で意識したいのは、この定義文の順番です。最初に来ているのは「加須市への深い愛着」で、次が「公務への確かな熱意」。

市への思いが先で、公務への志望はその次に置かれているという並びになっています。公務員になりたい理由だけを語ると、この順番とは逆の答えになります。

なぜ加須市なのかを先に述べ、そのうえで市の職員としてどう働きたいかへつなげる。定義文の並びは、答えの組み立て方のヒントでもあります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。加須市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイクここまでどのくらい時間がかかりましたか力の抜けた場面での表情と、返しの速さ
② 動機・志望この市に対してどんな思い入れがありますか市そのものへの関心が本物かどうか
③ 自己理解自分の性格で、仕事に向いていると思う点はどこですか自己評価に具体的な裏づけがあるか
④ 経験・行動限られた時間やお金の中で工夫した経験はありますか制約の中で成果を出す発想を持っているか
⑤ 学業・経歴これまでで一番長く続けたことは何ですか続ける力と、続けた理由の言語化
⑥ 適性・将来市の中で、行ってみたい地域はありますか市域を具体的な場所として捉えているか
⑦ 公共性・社会性税金を使う仕事で大切なことは何だと思いますか費用と成果を意識する視点があるか

ただし、この7カテゴリーは加須市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「加須市ならでは」の質問です。

差がつくのは「加須市役所ならでは」の質問

「なぜ埼玉県庁ではなく、加須市役所なのですか」
「加須市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも加須市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、最終順位を決める二次試験の中で、自分の下調べがそのまま差になる質問でもあります。こうした質問に答えるための「加須市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい加須市の事実答え方のヒント
市の規模と位置人口111,846人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積133.30km²、人口密度839人/km²。群馬・栃木・茨城の3県と接する3県に接するという事実を並べるだけでなく、県平均の半分に届かない密度で広い市域を支える意味まで踏み込みます
なぜ県庁ではなく市役所か埼玉県は5か年計画で県全体の方向を定め、加須市は自ら人材像を掲げて職員を募集している組織の大小で語らず、市が定義文の冒頭に「加須市への深い愛着」を置いている点に触れて、自分の距離感を説明します
市の地形と土地埼玉県は平地が総面積の約61%を占め、加須市は東側の平地に位置する。市域133.30km²は人口規模に比して広い広さを不便さの話にせず、土地に余裕があることを何に使えるかという前向きな論点として述べます
求める人材「加須市への深い愛着と、公務への確かな熱意を持ち、地域の未来をともに築いていける人」を掲げ、責任・信頼、市民感覚、経営感覚、挑戦・積極性、自己研鑽の5要素を示す5つを暗記して並べるのではなく、経営感覚のように行政らしさが出ている項目を選び、自分の経験を当てはめます
採用制度の見直し令和8年度第2回で一般事務(行政経験者)を新設し、民間企業等職務経験者枠の年齢下限を32歳から27歳へ引き下げた制度の変更を知っていると示すだけでなく、経験のある人を求める市の姿勢を自分の立ち位置と結び付けて述べます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1つか2つに絞り、事実から自分の問題意識、そして市職員として関わりたい仕事までを一息で話せる形にしておくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が掲げる5つの要素に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
経営感覚限られた資源の中でどう判断したかを問われる市が5要素の一つにコストと成果、スピードを挙げている以上、時間やお金の制約がある中で何を選び何を捨てたかを語れる材料を用意しておく
録画に耐える受け答え一次試験の動画投稿型面接では、相手のいない画面に向かって設定された質問へ答える撮り直しができる形式でも、作り込んだ台詞は硬く映る。話す内容を決めたうえで、言い回しは固定せずに録る練習をしておく
二次試験で語り切る力最終合格は二次試験の得点順で決まり、一次試験の結果は加算されない一次を通ったところが出発点だと考え、二次試験で話す内容の準備に最も多くの時間を配分する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 加須市公式サイトの職員採用のページで、今年度のどの回に何の職種が募集されているかを確認する。回ごとに年齢要件や職種が変わるため、ここが出発点になる
  2. 一次試験の筆記をどちらで受けるかを決める。教養試験とSCOAのどちらが自分の準備に合うかを、出題分野を見比べて判断する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、3県に接する立地と広い市域、市が掲げる5つの要素から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、事実から問題意識、やりたい仕事までを一続きの話に編む
  6. 二次試験の個人面接を想定した練習に、準備時間の大半を充てる。動画の練習と並行しながらも、最終順位が決まる場はこちらだと意識して配分する

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2と6を優先してください。一次試験の得点が二次試験に反映されない以上、筆記の点を積み増しても最終順位には効きません。まず一次を通り、そのうえで二次試験の面接に力を残す配分が必要です。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、加須市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

加須市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

加須市役所の想定問答集を見る

さいごに

加須市の採用試験で、対策の重心をどこに置くべきかは案内の一文がはっきり示しています。一次試験の結果は二次試験に反映されず、最終合格者は二次試験の得点順に決まる

この一文を読み違えなければ、時間の配分で迷うことはありません。もちろん一次を通らなければ話は始まりませんから、教養試験とSCOAのどちらで受けるかを早めに決め、70分1,000字の論文と動画投稿型面接にも手を打っておく必要があります。

そのうえで、残った時間はすべて個人面接に向けてください。市が掲げる人材像は「加須市への深い愛着と、公務への確かな熱意を持ち、地域の未来をともに築いていける人」で、愛着が先、熱意が後という順番になっています。

群馬と栃木と茨城に接し、県平均の半分に届かない密度で133.30km²を受け持つこの市で、あなたは何に愛着を持ち、何を築きたいのか。二次試験の面接は、その答えを聞く場です。