本記事では、三郷市職員採用試験の面接対策で必要な、三郷市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
三郷市役所の面接試験では、「なぜ三郷市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。三郷市の試験は、2次試験と3次試験の科目がどちらも個別面接だけという構成です。筆記を終えたあとは、一対一で話す場が二度続きます。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と三郷市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
三郷市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは三郷市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口141,971人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積30.13km²・人口密度4,712人/km²の市である。
- 東京都葛飾区と、千葉県の流山市・松戸市に接する。ひとつの市で2つの都県と境を接している。
- 県内では吉川市・草加市・八潮市と隣り合う。人口密度は草加市(9,198人/km²)や八潮市(5,204人/km²)より低く、吉川市(2,279人/km²)より高い(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在。人口密度は総人口÷総面積)。
- 市役所は〒341-8501 埼玉県三郷市花和田648番地1に置かれている。団体コードは11237-2。
- 市の花はサツキ、市の木はシイノキ。
- 職員採用試験は年2回実施される。第1回と第2回では募集する区分と学歴要件が異なる。
- 三郷市は消防職員も市の採用試験で募集する(第2回に消防士の区分が置かれる)。
- 令和8年度第1回の採用予定人数は、一般事務10名程度、一般事務(民間等職務経験者)が職務経験5年以上で2名程度・3年以上で若干名、保健師2名程度、そのほかの職種は各若干名。
三郷市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「三郷市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。規模感をつかむための参照値として、埼玉県全体の数値も添えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 141,971人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 30.13km² |
| 人口密度 | 4,712人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 吉川市、草加市、八潮市、東京都葛飾区、千葉県流山市、松戸市 |
| 市役所所在地 | 〒341-8501 埼玉県三郷市花和田648番地1 |
| 市の花・市の木 | サツキ・シイノキ |
| (参考)埼玉県の総人口 | 7,287,169人(令和7年国勢調査速報/前回調査から0.8%減) |
| (参考)埼玉県の市部人口比率 | 93.6%(令和7年国勢調査速報) |
| (参考)埼玉県の製造品出荷額等 | 15兆3,297億円(令和5年・全国第6位) |
三郷市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。隣接市との人口密度の比較は、各市の総人口(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)を総面積で割って算出し、同じ基準で並べたものです。埼玉県の総人口・市部人口比率・製造品出荷額等は、埼玉県公式サイトおよび県の資料による数値です。市の統計の最新値は、三郷市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
三郷市の位置を地図で確かめると、市政の性格が見えてきます。県内では吉川市・草加市・八潮市と接する一方、東側と南側では東京都葛飾区、千葉県の流山市・松戸市と境を接しています。
行政の区域を一歩出ると、そこは別の都県という土地です。
この条件は、通勤・通学・買い物・通院といった暮らしの動線が、市の境界とも県の境界とも一致しないことを意味します。人口141,971人が30.13km²に暮らし、密度は4,712人/km²。
埼玉県全体でみれば、令和7年国勢調査の速報結果は7,287,169人で、前回調査から0.8%減りました。そのうち93.6%が市部の住民です(出典:令和7年国勢調査速報結果(埼玉県)|令和8年5月公表)。都県境をまたぐ生活圏のなかで、市として何を担うのかを言葉にできるかどうかが、面接での説得力を左右します。
都県境という位置を軸にすれば、面接では次のように話せます。
三郷市の経済・産業
1都6県に接する県の、端にある市
埼玉県は東に茨城・千葉、西に長野・山梨、南に東京、北に群馬・栃木と、1都6県に接する内陸県です。面積は約3,798㎢で全国第39位。
県の地形は西部の山地と東部の平地に分かれ、平地が総面積の約61%を占めます。三郷市は、その平地が広がる県の南東側に位置します。
県人口の内訳を見ると、県人口の93.6%が市部に暮らしているという数字が出てきます。市町村別では、人口が増加したのは10市町にとどまり、53市町村は減少しました(令和7年国勢調査速報)。
県全体としては都市的な人口分布を保ちながら、内側では増える自治体と減る自治体に分かれ始めているということです。
全国第5位の経済規模という土台
埼玉県の名目県内総生産は令和4年度で24兆6,656億円にのぼり、この20年間ずっと全国第5位の位置を保っています。実質でみると24兆467億円で、2年続けての増加でした(出典:産業と雇用のすがた(県内総生産)|令和7年度版)。
製造品出荷額等は令和5年で15兆3,297億円(全国第6位・全国シェア4.1%)、付加価値額は5兆3,092億円(全国第5位)です。
製造業では、令和6年の事業所数が13,159、従業者数が385,901人で、この2つはどちらも全国第4位でした(出典:産業と雇用のすがた(製造業)|令和7年度版)。
出荷額の順位よりも事業所数の順位が上ということは、中小規模の事業所が数多く集まっている県だということです。大きな工場を一つ誘致すれば解決するという構図ではありません。
市の隣で動いている大きな事業
三郷市の産業を考えるとき、市域の外で進む事業も視野に入れておく価値があります。
埼玉県は八潮南部西地区土地区画整理事業を進めており、令和7年度当初予算でも保留地の売却(796百万円)を歳入確保策として計上しています(出典:埼玉県令和7年度当初予算案の概要|令和7年度)。八潮市は三郷市の隣接市です。
隣の市で新しい住宅地や事業用地が生まれれば、人の住み方も、店の立地も、道路の使われ方も動きます。市境の向こうの変化は、市の中の課題として返ってくるということです。
面接でまちづくりを語るなら、市域の中だけを見た話にならないよう注意しましょう。
三郷市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、三郷市を含む埼玉県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口は減り、世帯は増える
埼玉県の人口は、令和7年国勢調査の速報結果で7,287,169人となり、前回調査に比べ57,596人(0.8%)減少しました。大正9年の調査開始以来はじめて前回を下回った数字です。
一方で世帯数は3,285,878世帯と前回比3.9%増え、1世帯当たり人員は2.32人から2.22人へ縮んでいます。人が減っているのに世帯は増えているという動きは、単身世帯や少人数世帯が増えていることの表れです。
ごみ収集も、見守りも、災害時の連絡も、世帯の数を単位にして手間が発生します。人口の減少だけを見ていると、仕事量の見通しを誤ります。
85歳以上が2倍以上になる年
埼玉県では、令和2年の時点で高齢化率が27.0%、65歳以上の人口は過去最高の約193万人に達していました。この率は令和7年に27.8%、令和22年(2040年)には33.3%まで上がる見込みです。
さらに、85歳以上人口は令和22年(2040年)に約57万人となり、令和2年に比べ2倍以上に増える見通しが示されています(出典:埼玉県の高齢化の状況|令和7年・令和22年推計)。65歳以上という区切りより、介護が必要になりやすい85歳以上の増え方のほうが、市の仕事の重さを直接に決めます。
生産年齢人口は平成12年(2000年)の501万人をピークに2040年には380万人へ減る見通しで、支える側の人数も細っていきます。
三郷市の位置はどうでしょうか。住民基本台帳(令和8年1月1日現在)に基準をそろえると、市の高齢化率は27.1%、75歳以上の割合は16.3%となり、同じ台帳による埼玉県全体の27.0%・16.0%とほとんど変わりません(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
数字の扱いでひとつ落とし穴があります。この台帳ベースの県の値27.0%は、章の初めに挙げた令和2年の高齢化率27.0%と偶然そろっているだけで、後者は国勢調査による別系統の数値です。市の27.1%を比べる相手は、台帳ベースの27.0%のほうになります。
県平均どおりという結果は、裏を返せば市の特色が出ていないということでもあります。三郷市の場合、語る値打ちがあるのは高齢化率の高低よりも、都県境をまたぐ暮らしと高齢化が重なったときに何が起きるかのほうでしょう。
通院先が東京都や千葉県にある高齢の市民は、体力が落ちたときにその移動を続けられるのか。市の外に頼ってきた部分が、年齢とともに市の課題として戻ってくる。
面接ではその筋で話すと、数字を読み上げるだけの答えから抜け出せます。
県南東部を中心に想定されている地震
埼玉県地震被害想定調査は5つの想定地震を置いています。このうち東京湾北部地震(マグニチュード7.3)は、県南東部を中心に被害が想定されている地震で、建物の全壊は揺れによるものが8,127棟、液状化によるものが5,253棟、死者585人、避難所避難者54,180人と見込まれています。
南関東でのマグニチュード7級地震の30年以内発生確率は70%とされています。県全体で被害が最大となるのは関東平野北西縁断層帯地震(死者3,599人・避難所避難者144,968人)ですが、こちらの30年以内発生確率は0.008%以下です(出典:埼玉県地震被害想定調査|平成24~25年度)。
液状化による全壊が揺れによる全壊の6割を超えるという内訳は、県南東部の地盤の性格を示しています。
予算は過去最大でも、自由に使える部分は小さい
埼玉県の令和7年度一般会計当初予算は2兆2,308億9,000万円で、前年度比5.2%増の過去最大となりました。県税収入は当初予算額として過去最高の8,794億円、県債は1,687億円を計上し、令和7年度末の県債残高は3兆5,534億円(前年度比805億円・2.2%の減)となる見込みです。
一方で財政力指数は0.73、経常収支比率は96.2%、実質公債費比率は10.8%、将来負担比率は151.9%です(いずれも令和5年度決算)(出典:令和7年度当初予算案の概要|埼玉県/財政指標は令和5年度決算に基づく健全化判断比率|埼玉県)。
総額が伸びていても、毎年決まって出ていく支出に経常的な収入のほとんどが充てられている構造は変わりません。新しい事業には、必ず見直しの相手が要るという前提を持っておきましょう。
三郷市の重点政策|埼玉県5か年計画と三郷市
三郷市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。以下では、埼玉県の計画が最大の課題として挙げているものを確かめ、そのうえで年2回ある募集の違いへ話を進めます。
県の計画が示す最大の課題
埼玉県5か年計画(令和4年度から令和8年度、日本一暮らしやすい埼玉へ)は、県が直面する最大の課題を「人類が経験したことのない超少子高齢社会への対応」と位置づけ、2040年を見据えて3つの将来像・12の針路・54の分野別施策を設定しています。
感染症の拡大や、激甚化・頻発化する自然災害への対応も、待ったなしの課題として明記されています(出典:埼玉県5か年計画(概要版)|令和4年3月策定)。
県の計画は、市の施策を読むときの物差しになります。市の計画に並ぶ施策が、この超少子高齢社会という課題にどう答えようとしているのか。
どの施策を先に置くかは、市の優先順位そのものを表しています。
年2回の募集と、区分ごとの違い
三郷市の採用情報を読むうえで、最初に確かめるべきは日程ではなく回次です。三郷市の職員採用試験は年2回実施され、回次によって募集する区分と学歴要件が異なります。
第2回では一般事務の短大卒・高校卒の区分が置かれ、消防士(大学卒・短大卒・高校卒、救急救命士)も市の試験として募集されます。
受験案内のPDFも回次ごとに別のファイルで公開されています。第1回の案内を読んで第2回に申し込むと、募集区分も要件も食い違ってしまいます。
なお、三郷市の消防職員は市の採用試験で募集されるため、県内にある一部事務組合の消防と混同しないよう注意してください。
POINT|自分が受けるのは第何回かを先に確定させる
三郷市は第1回と第2回で募集区分・学歴要件が変わります。大学卒で一般事務を目指すのか、短大卒・高校卒の区分を狙うのか、消防士を受けるのかによって、読むべき受験案内そのものが変わります。志望動機を書き始める前に、自分が受ける回次と区分を決めてしまうのが遠回りに見えて確実です。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 三郷市職員採用試験の受験案内(受験する年度・回次のもの。ファイルが回次ごとに分かれている)
- 三郷市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
- 市のハザードマップ(液状化による被害想定を確かめる材料として)
- 埼玉県5か年計画、県の統計資料(市政の背景を知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、三郷市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。三郷市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
三郷市役所の面接の概要
ここからは、三郷市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
三郷市役所の試験の流れ
令和8年度第1回の三郷市職員採用試験は1次・2次・3次の3段階で、2次は1次合格者、3次は2次合格者を対象に実施されます。構成を見て最初に気づくのは、2次試験と3次試験の試験科目が、どちらも個別面接試験だけであることです。
| 項目 | 内容(令和8年度第1回) |
|---|---|
| 試験の段階 | 1次試験・2次試験・3次試験の3段階。2次は1次合格者、3次は2次合格者を対象に実施 |
| 1次試験(大半の区分) | 職務能力試験と職場適応性検査 |
| 1次試験(土木技師(A)・建築技師(A)) | 専門試験と職場適応性検査 |
| 職務能力試験 | 「論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認するための択一式による筆記試験(60分)」。市は「基礎的な内容が出題されますので、特別な対策や勉強は不要です」と明記している |
| 社会情勢の出題内容 | 公務部門の職員として必要な基礎知識(社会常識や義務教育の中で学んできたことなど)や、ニュース等で報道された内容が出題される |
| 職場適応性検査 | 「公務員としての職業生活への適応性についての検査(20分)」 |
| 2次試験・3次試験 | いずれも個別面接試験のみ。集団面接・集団討論は課されない |
| 採用予定人数 | 一般事務10名程度、一般事務(民間等職務経験者)は職務経験5年以上2名程度・3年以上若干名、保健師2名程度、福祉・保育士・看護師(保育所)・土木技師・建築技師・情報処理技師が各若干名 |
| 提出書類 | 電子申請時の提出書類は該当者のみ。一般事務(民間等職務経験者)は職務経歴書(システムの入力欄5枠に入力しきれない場合のみ)、資格要件のある職種は資格証書の写し、短大卒扱いとなる者は学校証明書を添付する |
| 実施回数 | 年2回。第2回では一般事務(短大卒・高校卒)や消防士(大学卒・短大卒・高校卒、救急救命士)も募集される |
| 受験の条件 | 全試験区分について、活字印刷文による筆記試験に対応できることを要する |
| 配点・面接カード | 三郷市は試験種目ごとの配点・満点を公表しておらず、面接カードに相当する様式も受験案内に記載がありません |
| 初任給(地域手当を含む) | 全職種(消防士を除く)で大学卒22歳251,856円、短大卒20歳239,136円、高校卒18歳225,886円。消防士は大学卒22歳256,520円、短大卒20歳245,920円、高校卒18歳232,564円 |
上記は、三郷市が公表している令和8年度第1回職員採用試験の受験案内にもとづくものです。三郷市の受験案内は回次ごとに別のファイルで公開され、第1回と第2回で募集区分・学歴要件が異なります。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。(出典:三郷市職員採用試験受験案内|令和8年度第1回)
筆記を軽くした先に、面接だけが残る
この試験の設計には、はっきりした方針が読み取れます。1次試験は職務能力試験と職場適応性検査だけで、市自身が「特別な対策や勉強は不要です」と書いています。
そのうえで、2次と3次はどちらも個別面接です。つまり筆記で細かく差をつける仕組みを置かず、人物を見る場面を二度重ねる形になっています。
ただし「対策不要」を、準備しなくてよいという意味に取ってはいけません。出題範囲には社会常識やニュースで報道された内容が含まれます。特別な受験勉強は要らなくても、日ごろから社会の動きに触れているかどうかは出ます。
そして、筆記で稼げないぶん、面接での評価がそのまま結果になります。
三郷市役所が求める人物像
三郷市は、採用試験向けの「求める人物像」を定型の文言としては公表していません。三郷市の採用情報ページと令和8年度第1回の受験案内にも、めざすべき職員像にあたる記載は置かれていませんでした。
そのぶん手がかりになるのが、受験案内に書かれた試験の中身そのものです。
職務能力試験が測るとされているのは、論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、そして国内外の社会情勢への理解です。職場適応性検査は「公務員としての職業生活への適応性」を見ます。ここに2回の個別面接が加わる。面接対策の言葉に翻訳すれば、評価の軸は「基礎的な力を平常心で出せること」「社会の動きに日ごろから触れていること」「一対一で自分を説明できること」の3点に整理できます。「落ち着いて対応できます」と述べるだけでは、適応性検査で測れる範囲と重なってしまい、面接で語る意味が薄くなります。地道に続けた対象を具体的に示し、続けたことで周りの何が変わったのかまで書き出しておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。三郷市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | ここまでの道のりはいかがでしたか | 構えのない一言に返せる余裕があるか |
| ② 動機・志望 | なぜ三郷市で働きたいのですか | 市を選んだ理由が具体的な観察に支えられているか |
| ③ 自己理解 | 自分を一言で表すと、どんな人ですか | 自己像を短くまとめて示せるか |
| ④ 経験・行動 | 苦手な相手と協力しなければならなかった経験はありますか | 相性に左右されずに結果を出そうとする姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの経験で、仕事に生きると思うものは何ですか | 経験と職務のつなぎ方 |
| ⑥ 適性・将来 | 市の仕事のうち、大変そうだと思うものは何ですか | 仕事の現実をどこまで想像できているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 税金で仕事をするとは、どういうことだと思いますか | 公費で働くことへの自覚 |
ただし、この7カテゴリーは三郷市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「三郷市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「三郷市役所ならでは」の質問
どちらも三郷市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「三郷市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい三郷市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の位置と生活圏 | 人口141,971人、面積30.13km²、人口密度4,712人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。県内では吉川市・草加市・八潮市と接し、東京都葛飾区、千葉県流山市・松戸市とも境を接する | 都心に近いという言い方で終わらせず、市の外へ出ていく暮らしの動線を前提にして、市が担うべき役割を自分の言葉で線引きします |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は1都6県と接する約3,798㎢の全域を見るが、三郷市は30.13km²の市域と14万人余りの暮らしを直接担う。市は消防職員も自前の採用試験で募集している | 広域と基礎という役割の違いを述べたうえで、消防まで市が抱えるという事実に触れ、暮らしの現場に近い組織で働きたい理由を具体化します |
| 市の課題 | 県の85歳以上人口は令和22年(2040年)に約57万人となり令和2年比で2倍以上、生産年齢人口は2000年の501万人から2040年に380万人へ減る見通し | 高齢化ではなく85歳以上の増え方に焦点を当て、支える側の人数も減るという二重の変化として説明すると、話に厚みが出ます |
| 防災への備え | 東京湾北部地震(マグニチュード7.3)は県南東部を中心に想定され、液状化による全壊5,253棟は揺れによる全壊8,127棟の6割を超える。南関東のマグニチュード7級は30年以内70%の確率 | 被害の大きさだけを挙げるのではなく、液状化の比重が大きいという内訳に触れ、地盤の性格を踏まえた備えという角度で述べます |
| 周辺で動く事業 | 埼玉県は隣接する八潮市で八潮南部西地区土地区画整理事業を進め、令和7年度当初予算でも保留地の売却796百万円を計上している | 市域の外の開発が人の住み方や道路の使われ方を変えるという見方を示し、市境をまたいだ調整の必要性まで話を伸ばします |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「評価の軸」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 基礎的な力を平常心で出せること | 2次の個別面接で、飾らない受け答えができているか | 三郷市は職務能力試験を「特別な対策や勉強は不要」と説明しています。用意した文章を読み上げる練習ではなく、質問の意味を取り違えずに答える練習に時間を割いておく |
| 社会の動きに触れていること | ニュースや行政の話題を振られたときに、自分の受け止めまで言えるか | 職務能力試験の出題にはニュース等で報道された内容が含まれます。週に一度でよいので気になった記事を一つ選び、なぜ気になったのかを一言で言える状態にしておく |
| 一対一で自分を説明できること | 2次と3次で異なる面接官から同じ話題を掘られたとき、説明が揺れないか | 三郷市の面接は個別面接だけが二度続きます。中心になる経験を一つ決め、どの角度から聞かれても同じ事実にたどり着くよう、細部まで思い出しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。三郷市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 三郷市の受験案内を、自分が受ける回次のファイルで入手する。第1回と第2回では募集区分と学歴要件が異なるため、古い回次の案内で準備を組まない
- 学校生活や職務経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイト・前職の仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、東京都と千葉県に接する市という位置から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。個別面接が2回続くため、同じ話題を別の面接官に話す想定で繰り返す
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、三郷市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
三郷市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
三郷市の試験は、筆記の負荷を軽くし、そのぶん個別面接を二度置く形になっています。市自身が「特別な対策や勉強は不要」と書いている以上、差がつくのは面接での受け答えです。
まず自分が受けるのが第1回か第2回かを確定させ、そのうえで、東京都葛飾区と千葉県の流山市・松戸市に接するという市の位置を、自分の関心と結び付けてみてください。
市の外へ出ていく暮らしの動線があるからこそ、市が担う役割をどう考えるかが問われます。求める職員像の公表文言に頼れないぶん、受験案内に書かれた試験の中身を丁寧に読み、そこから市の意図を読み取った人が強くなる試験です。