本記事では、神奈川県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、神奈川県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・重点方針・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
神奈川県警察の面接試験では、「なぜ神奈川県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。神奈川県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、神奈川県警察ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と神奈川県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
神奈川県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは神奈川県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 神奈川県全域を管轄し、管轄人口は約921万人。東京都に次ぐ全国2位の人口規模を持つ県を、ひとつの警察組織で受け持つ。
- 管轄区域には横浜市・川崎市・相模原市の3つの政令指定都市を含む33市町村があり、都市部から山間部・海岸部まで、地域ごとに人口構成も治安需要も大きく異なる。
- 組織は、警察本部(7部)のほか、政令指定都市に対応する3つの市警察部(横浜・川崎・相模原)、相模方面本部、サイバーセキュリティ対策本部、警察学校で構成される。(出典:事務概要|令和7年)
- 職員定数は17,489人(警察官15,767人・一般職員1,722人。令和7年4月1日現在)。
- 第一線の拠点として54の警察署が置かれ、その下に交番428か所・駐在所136か所(警備派出所1か所を含め計565か所)が配置されている。
- 管内には、日本を代表する国際貿易港の横浜港、京浜工業地帯、箱根・湘南・鎌倉などの観光地が併存し、都市型犯罪への対応から、お祭りやイベントで人が密集する場所の事故を防ぐ雑踏警備まで、求められる警察活動の幅が広い。
- 県内には12か所の米軍基地が残るほか、2027年には国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の開催を控えており、警備・交通対策の面でも大きな行事が続く。
神奈川県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「神奈川県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄人口、警察署の数、職員定数、犯罪情勢など、組織の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄人口 | 約921万人(全国2位) |
| 管轄区域 | 神奈川県全域・33市町村(うち政令指定都市3:横浜市・川崎市・相模原市) |
| 警察署数 | 54署 |
| 交番・駐在所 | 交番428か所・駐在所136か所(警備派出所1か所を含め計565か所) |
| 職員定数 | 17,489人(警察官15,767人・一般職員1,722人) |
| 刑法犯認知件数 | 50,059件(令和7年・前年比9.5%増) |
| 刑法犯検挙率 | 39.8%(令和7年) |
警察署数・交番等の数・職員定数は神奈川県警察「事務概要」(令和7年4月1日現在)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)・検挙率は神奈川県警察の犯罪統計(令和7年)、管轄人口は神奈川県人口統計調査(令和7年9月1日現在)、全国順位は令和7年国勢調査速報にもとづく数値です。
数字から考えられる治安課題
まず押さえたいのは、規模と情勢の組み合わせです。神奈川県警察は約921万人の暮らしを1万5,000人余りの警察官で受け持っていますが、その管内で刑法犯認知件数は増加に転じています。
件数が増えれば、捜査も抑止活動も、限られた人員で優先順位を付けながら進めることになります。数字を単体で覚えるのではなく、「規模の大きさ×増加局面」という組み合わせで理解しておきましょう。
治安の現状を聞かれたときは、この「規模」と「増加局面」を一続きにして話すと、統計をなぞるだけの説明になりません。
神奈川県の治安情勢
刑法犯認知件数の推移
神奈川県内の刑法犯認知件数は、平成14年(2002年)をピークに長く減少を続けてきましたが、令和3年の33,252件を底に4年連続で増加し、令和7年は50,059件(前年比9.5%増)となりました。「治安は年々良くなっている」という説明は、今の神奈川県には当てはまりません。(出典:犯罪統計|令和7年)
| 年次 | 刑法犯認知件数 |
|---|---|
| 令和3年 | 33,252件(底) |
| 令和4年 | 36,575件 |
| 令和5年 | 43,846件 |
| 令和6年 | 45,716件 |
| 令和7年 | 50,059件(前年比9.5%増) |
面接で治安の現状を問われたら、この転換点から話を始めるのが基本です。
刑法犯の検挙率
件数とあわせて押さえたいのが検挙の状況です。刑法犯全体の検挙率は39.8%(令和7年)。
認知件数が4年連続で増える局面では捜査の負担も増えるため、検挙を追い付かせること自体が課題になります。面接では、検挙(起きた犯罪への対応)と抑止(犯罪を発生させない取組)の両輪で治安を語れると、仕事理解の深さが伝わります。
特殊詐欺・SNS型投資詐欺の被害
県内の特殊詐欺は、令和7年(確定値)で認知件数2,479件、被害額は約135億4,100万円と前年の約2倍に急増しました。手口ではSNS型投資詐欺と、警察官を装って現金やキャッシュカードをだまし取るニセ警察詐欺が上位を占め、被害者は60代以上の高齢層が中心です。
志望動機で詐欺対策に触れるなら、この数字が出発点になります。(出典:特殊詐欺被害状況|令和7年)
交通事故の情勢
人身交通事故は令和7年に21,324件(前年比2.8%増)発生し、負傷者は24,463人にのぼりました。中でも死者は139人と、前年から27.5%増という急増を示しています。
事故件数の伸びを大きく上回るペースで死者が増えている点が、今の神奈川の交通情勢の最大の特徴です。交通警察を志望する場合はもちろん、治安課題を問われた際の引き出しとしても使えます。(出典:交通事故発生状況|令和7年)
神奈川県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、神奈川県警察が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「神奈川県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
体感治安の回復と身近な犯罪の抑止
刑法犯認知件数が再び5万件台に達したことは、単なる統計の変化ではなく、県民の体感治安に直結する問題です。自宅の近くで犯罪が起きたという実感は、統計の数字以上の速さで「この街は大丈夫か」という不安に変わります。
だからこそ、起きた犯罪を確実に検挙することに加えて、パトロールなどで街頭に警察官の姿が見える安心感まで含めた、身近な犯罪への向き合い方が問われています。
特殊詐欺と匿名・流動型犯罪グループ
令和7年に被害額が前年の約2倍となった特殊詐欺の背後には、SNSなどで実行役を募って犯行を繰り返す匿名・流動型犯罪グループの存在があります。指示役は匿名の陰に隠れ、末端の実行役だけが短期間で入れ替わっていく構造のため、実行役の検挙だけでは被害が止まりません。
実態解明と取締りに加えて、犯罪組織の資金源を断つ取組や、実行役の募集に応じてしまう若者を出さないための対策までが、一続きの課題になっています。
サイバー空間の脅威
SNS型投資詐欺やニセ警察詐欺がそうであるように、今の犯罪の多くはSNSやインターネットを入口にしています。相手の顔が見えないサイバー空間で被害が広がるため、被害に気づいたときには相手をたどる手がかりが乏しいことも珍しくありません。
神奈川県警察が専門部門としてサイバーセキュリティ対策本部を置いているのは、この領域の重みの表れです。デジタル分野の知識や経験がある人にとっては、志望動機と接続しやすいテーマでもあります。
交通死者の急増と道路利用者の安全
令和7年の人身交通事故による死者は139人(前年比27.5%増)と、事故件数の伸び(同2.8%増)をはるかに上回るペースで増えました。件数より先に死者が増えるのは、ひとつの事故が命に直結する重大事案の割合が高まっているということです。
運転者への取締りだけで解決できる段階ではなく、道路を使うすべての人の行動と意識にどう働きかけるかが問われています。
大規模イベント・大規模災害への備え
神奈川県の入込観光客数は延べ2億806万人(令和6年)と過去最高を更新し、2027年には国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」が横浜市の旧上瀬谷通信施設で開催されます。1都3県で初めて開催される万博であり、国内外から人が集まる大規模イベントの雑踏警備・交通対策は、開催地の警察にとって大きな仕事になります。(出典:入込観光客調査|令和6年)
災害への備えも警察の重要な仕事です。県の地震被害想定調査では、最大となる大正型関東地震で死者19,780人・建物全壊303,300棟(冬18時のケース)が想定されており、災害用資機材の整備と実践的訓練による災害対処能力の向上が運営重点にも位置づけられています。
警備部門を志望する人だけでなく、すべての受験者が押さえておきたい前提です。(出典:神奈川県地震被害想定調査|令和5〜6年度)
重点方針|令和8年神奈川県警察運営重点
神奈川県警察は、毎年の警察活動の大綱方針として「神奈川県警察運営重点」を策定しています。令和8年の運営指針は「安全で安心して暮らせる地域社会の実現」で、サブタイトルには「県民に寄り添い社会の変化に適応する組織一丸となった警察活動の展開」が掲げられました。(出典:神奈川県警察運営重点|令和8年)
方針を貫く考え方
令和8年の運営重点には、はっきりした特徴が2つあります。ひとつは、前年に10項目あった重点目標を6項目に集約し、部門の垣根を越えて組織一体で治安課題に当たる姿勢を打ち出したこと。
もうひとつは、サブタイトルに「県民に寄り添い」という言葉を加え、県民が望んでいることを常に意識し、それを県民が実感できる警察活動を目指すと明確にしたことです。面接で「どんな警察官になりたいか」を考えるときも、この方向性は軸になります。
6つの重点目標
重点目標は次の6項目です。あわせて、それぞれが指す内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 重点目標(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① 被害者等の安全確保を最優先とした人身安全関連事案への迅速かつ的確な対処 | ストーカー・DV・児童虐待など命や身体に危害が及ぶおそれのある事案に、警察本部と警察署の連携で組織的・継続的に対処する |
| ② 匿名・流動型犯罪グループ等による組織犯罪の撲滅に向けた戦略的な実態解明・取締り | 特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺などの取締り強化、犯罪組織の資金源を断つ取組、実行役募集への加担防止 |
| ③ サイバー空間の脅威に対する対策の強化 | 匿名性を悪用した犯罪の捜査、民間事業者等と連携した攻撃対策、被害防止の広報啓発と対処能力の向上 |
| ④ 道路利用者の安全確保のための意識の醸成と交通秩序の維持 | 事故分析に基づく制服警察官の街頭警戒、自転車・小型モビリティ利用者への安全意識の醸成、高齢運転者の支援 |
| ⑤ テロ等に対する警備諸対策及び大規模災害総合対策の強化 | 経済安全保障のための技術情報流出防止、不特定多数に危害を加えるおそれのある者への対策、災害用資機材の整備と実践的訓練 |
| ⑥ 県民の平穏な暮らしを守るための犯罪抑止・検挙対策及び街頭活動の強化 | 身近な犯罪への迅速・的確な初動捜査と発生分析に基づく検挙、効果的な広報啓発、地域情勢に即した街頭活動 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの6つのどれに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各重点目標の下に置かれた推進事項の全文は、県警察の公式ページで確認できます。
POINT|6つの重点目標をすべて暗記しなくてよい
名称を丸暗記することが組織研究の目的ではありません。関心のある分野を一つか二つ選び、「①何が起きているか(数字) → ②県警察はどう対処しようとしているか(重点目標) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順で調べましょう。
悪い例「地域の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「まずは地域警察官として、地道に頑張りたいです。その上で、昨年は特殊詐欺の被害額が約135億円と前年から倍増した現状がありますので、特に高齢者の被害防止に向けた街頭活動や広報啓発などに積極的に取り組んでいきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
下の4点のうち、統計のページは毎年数字が入れ替わります。面接の直前にもう一度開き、最新の値で話せる状態にしておいてください。
- 警察官採用試験の受験案内(試験種目・受験資格・申込方法)
- 採用案内パンフレット・警察官募集ページ(仕事内容と職員の声)
- 令和8年神奈川県警察運営重点(重点目標と推進事項の全文)
- 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、神奈川県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。神奈川県警察の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
神奈川県警察の面接の概要
ここからは、神奈川県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
神奈川県警察の面接の流れ
神奈川県警察・警察官採用試験は年2回(第1回・第2回)実施され、いずれも第1次試験と第2次試験の2段階です。種目と配点の全体像は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度・警察官A/B区分) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階(第1回・第2回の年2回実施) |
| 第1次試験 | 教養試験(五肢択一式・100点)。論(作)文試験と適性検査は第2次試験の種目ですが、第1次試験日に実施されます |
| 論(作)文試験 | 警察官A=論文1題・800字程度、警察官B=作文1題・600字程度(いずれも1時間・100点) |
| 面接の種類 | 個別面接(1人約20分)。人柄・性向等についての「人物試験」として実施 |
| 人物試験の配点 | 400点満点中200点(教養試験100点・論(作)文試験100点。体格・体力・身体検査などは適否判定) |
| 面接の参考資料 | 性格等についての質問紙法(選択式のアンケート形式)による検査を第2次試験日に実施 |
| 体力検査 | 腕立て伏せ(男性20回・女性は膝つき10回)、上体起こし(男性20回・女性15回)、バーピーテスト10回、握力測定(左右各1回) |
注目してほしい点は2つあります。1つ目は日程の構造です。
論(作)文試験と適性検査が第1次試験日に行われるため、第1次試験の合格発表が出た時点で、残っている種目はほぼ面接と身体・体力系の検査だけになります。合格発表を見てから面接準備を始めるのでは、間に合わないと考えてください。
2つ目は配点です。人物試験の200点は教養試験と論(作)文試験の合計に等しく、面接の出来しだいで筆記の点差を十分に逆転できる構造です。
また、質問紙法検査の回答と面接での受け答えが大きく食い違うと、そこが深掘りの入口になります。検査で選んだ回答と面接で語る自分がずれないよう、どちらにも同じ自分で答えるのが最も確実です。
上記の試験構成は、神奈川県警察発出の令和8年度受験案内にもとづく警察官A・B区分のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
神奈川県警察が求める人材
神奈川県警察は、「求める警察官像」といった定式化した人物像を公表していません。手がかりになるのは、採用案内パンフレットの冒頭に掲げられた「守る」「戦う」「寄り添う」という3つの誓いです。
県民の暮らしを守り、社会の安全を脅かす脅威と正面から向き合い、被害や不安を抱える人に寄り添う、という組織としての決意表明であり、令和8年の運営指針のサブタイトル「県民に寄り添い」とも重なります。(出典:採用案内パンフレット|令和8年度)
3つの誓いが求めているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。自己PRでは、役割を最後までやり通した経験、困難から逃げずに向き合った経験、困っている人に自分から関わった経験など、3つの誓いに重なる自分の行動を具体的な場面で示すことが軸になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。神奈川県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか? | 他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの強み(自己PR)を教えてください | 自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | 学生時代に最も力を入れたことは何ですか? | 実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を筋道立てて話せるか。意思決定の一貫性 |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
7つの枠組み自体は他の官公庁と共通ですが、警察官の採用面接には、これに重ねて確かめられる領域があります。具体的には、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。
そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは「神奈川県警察ならでは」の質問
受験先を複数選べる警察官採用だからこそ、1問目は避けて通れません。2問目は管轄の現在地の把握を確かめる質問です。
個別面接は約20分と短く、話を組み立て直す時間はありません。答えを支える材料は、事前に集めておけるものです。
面接で使いやすい「神奈川県警察の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい神奈川県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 刑法犯認知件数は令和3年の33,252件を底に4年連続で増加し、令和7年は50,059件。検挙率は39.8% | 減少から増加へ転じた流れを踏まえて話すと、現状認識の確かさが伝わる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の運営指針は「安全で安心して暮らせる地域社会の実現」。人身安全関連事案、匿名・流動型犯罪グループ、サイバー、交通、警備・災害、犯罪抑止・街頭活動の6つの重点目標を掲げる | やりたい仕事が6つの重点のどれに当たるかを一言添えると、組織研究の深さが伝わる |
| 神奈川で働く規模感 | 管轄人口は約921万人で全国2位。54警察署・職員定数17,489人の体制で、3つの政令指定都市を含む33市町村を受け持つ | 規模の大きさを「憧れ」で終わらせず、多様な現場で経験を積みたいという自分の言葉に変換する |
| 災害への備え | 県の地震被害想定調査は、最大の大正型関東地震で死者19,780人・建物全壊303,300棟(冬18時のケース)を想定 | 運営重点にも災害用資機材の整備と実践的訓練が挙がっています。想定の規模を踏まえて、災害警備や救出救助への関心を語る |
| 大規模イベントの安全 | 県の入込観光客数は延べ2億806万人(令和6年)で過去最高。2027年には1都3県初の万博となるGREEN×EXPO 2027が横浜市で開催予定 | 人が集まる場所の安全確保という視点は、神奈川ならではの答えを作りやすい |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
神奈川県警察は人物像を定式化していない一方で、選考の設計は受験案内で明らかにしています。評価の観点は、まずそこから読むのが確実です。
人物試験は「人柄、性向等についての個別面接試験」と位置づけられ、約20分で200点。これは教養試験と論(作)文試験の合計と同じ重みです。
さらに、性格等についての質問紙法検査がその参考資料に置かれています。短い面接時間で人柄と性向を見極めるための設計であり、経歴の量より、話す内容の一貫性が効く構造だと読み取れます。
これは県警察の公表事項ではなく一般論としての補足ですが、公務員の採用面接では、過去にとった行動の事実から採用後の再現性を見るコンピテンシー評価の考え方が広く用いられています。面接で具体的な場面を繰り返し尋ねられるのは、この考え方に沿えば自然なことです。
以下は、パンフレットの3つの誓いを面接準備の物差しに置き直したものです。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 守る=役割を果たす責任感 | 注目されない役割でも、任された範囲を最後まで引き受けたか | 交替制勤務と組織行動が前提の仕事です。続けた期間と、途中でやめたくなった局面をどう越えたかまで話せるようにする |
| 戦う=困難に向き合う行動力 | 結果が見えない段階でも、自分から次の手を選んだか | 面接は約20分と短く、話せる出来事は限られます。ひとつの場面を、判断の順序まで語れる深さで用意する |
| 寄り添う=相手の立場に立つ姿勢 | 感情的になっている相手や、意見の異なる相手に、どう向き合ったか | 特殊詐欺の被害者は60代以上が中心です。年齢や立場の違う相手と接した経験を、具体的な場面で用意しておく |
評価の観点の3項目は、採用案内パンフレットの3つの誓いをもとに当研究会が面接対策用に翻訳したものです。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、試験の種目・配点と日程の構造、申込方法を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、行動の事実を話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自前の言葉に置き換えておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、体力検査の基準種目(腕立て伏せ・上体起こし・バーピーテストなど)を日々のトレーニングに組み込み、体づくりと生活リズムづくりを並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、神奈川県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
神奈川県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
神奈川県警察の試験は、400点満点のうち200点が約20分の個別面接に置かれ、しかも年2回の受験機会があります。筆記の出来に自信が持てない人にも、面接の準備の質しだいで届く道が開かれている試験です。
面接で求められるのは特別な経歴ではありません。部活動やアルバイトのような身近な経験を、自分の言葉で語れる形に仕上げてください。
年2回という機会があることを心の支えにしつつ、一度目から出しきるつもりで臨んでください。