鎌倉市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴基礎データ管轄地域の災害リスク消防課題運営体制)と、面接本番の流れ想定される質問評価の観点を、1ページに整理しました。

鎌倉市消防本部の面接試験では、「なぜ消防官という仕事を選んだのか」「なぜ鎌倉市消防本部を志望するのか」「古都・鎌倉ならではの消防の役割をどう理解しているか」といった、土地の個性を踏まえた理解を求める質問が想定されます。鎌倉市は古都としての性格と海に面した地形を併せ持つ都市であり、この特徴を知っておくことが準備の出発点になります。

以下の内容を、自分の強みや関心と鎌倉市消防本部の仕事の接点を考えるための材料として役立ててください。古都という個性を理解している受験生ほど、面接での説明に厚みが出ます。

第1部|組織研究編

鎌倉市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは鎌倉市消防本部の全体像をしっかりとつかんでおきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。

  • 鎌倉市消防本部は、古都として知られる鎌倉市の全域を単独で管轄する消防本部である。採用は市長部局とは別に消防本部が独自に実施している。
  • 消防吏員数は249人(うち女性8人・令和7年4月1日現在)である。
  • 出動件数は令和6年中で火災24件・救急12,648件・救助28件と、救急が出動全体の大半を占めている
  • 庁舎は1本部2消防署6出張所の合計8か所で構成され、消防車・救急車・救助工作車など計44台の車両を保有している(職業紹介パンフレットによる)。
  • 令和9年4月1日付け採用に向けた消防職員採用試験では、採用予定人数を12人程度と示している。
  • 試験方法は書類選考・体力試験、適性検査、個別面接の三段階で構成される。
  • 職員の平均年齢は44歳で、大型自動車免許取得補助や救急救命士養成といった人材育成の仕組みが設けられている(職業紹介パンフレットによる)。

鎌倉市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「鎌倉市消防本部の大まかな規模感」をつかんでおくことは重要です。

17万人の市を1本部2消防署6出張所で受け持つ体制がどれくらいの厚みなのかを、人口・職員数・署所数・出動件数の順に並べて確かめておきましょう。

項目内容
管内人口173,602人(住民基本台帳人口・令和8年1月1日現在)
管轄区域鎌倉市全域(単独設置)
消防吏員数249人(うち女性8人)※令和7年4月1日現在
庁舎数1本部2消防署6出張所(合計8か所)
火災出動件数24件(令和6年中)
救急出動件数12,648件(令和6年中)
救助出動件数28件(令和6年中)
高齢化率30.6%(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)

管内人口・高齢化率は住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和8年1月1日現在)、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する消防本部データ検索、庁舎数は職業紹介パンフレット「鎌倉消防について」によります(全国消防本部データ検索|鎌倉市消防本部)。

数字から考えられる鎌倉消防の課題

鎌倉の消防の仕事の実像は、火災よりも救急の数字に表れています。火災の出動件数が年間でわずか24件にとどまるのに対し、救急出動は12,648件と、500倍を超える開きがあります。令和6年中には全国で771万8,380件の救急出動があり、これは集計を始めてから最も多い件数です。

高齢化率が3割を超える鎌倉市で救急が出動の大半を占めるのは、この全国的な傾向が地域の人口構成と重なって表れた結果だと理解できます。(出典:令和7年版 救急・救助の現況

鎌倉市の高齢化率は30.6%(令和8年1月1日現在)と、神奈川県平均の26.0%(令和7年1月1日現在)を明確に上回る水準です。249人という職員体制で17万人超の人口を支えていることを踏まえ、この規模感をきちんと自分の言葉で語れるようにしておきましょう。

「鎌倉市消防本部では、令和6年中の救急出動が1万2千件を超えたと聞きました。高齢化率が3割を超えていることを踏まえると、限られた人員体制で救急需要にどう対応していくかが、大きな課題になっているのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 鎌倉市は、鎌倉時代から続く古都として広く知られ、寺社仏閣をはじめとする歴史的資源が市内各所に幅広く点在している。
  • 市域は相模湾に面しており、海と山に囲まれた地形が特徴である。由比ヶ浜など、海水浴シーズンに多くの人が訪れる海岸も抱えている。
  • 市の新しい総合計画「鎌倉ビジョン2034」は、将来都市像を「古都としての風格を保ちながら、生きる喜びと新しい魅力を創造するまち」と明確に掲げている。

鎌倉市消防本部は、歴史的資源が集積する古都としての顔と、相模湾に面した海辺のまちとしての顔を併せ持つ管内を担う本部だと整理できます。文化財防火と海辺の災害対応、どちらの視点も等しく欠かせません。(出典:鎌倉ビジョン2034・鎌倉ミライ共創プラン2030

地震・津波のリスク

神奈川県は、都心南部直下地震・三浦半島断層群の地震・神奈川県西部地震・東海地震・南海トラフ巨大地震・大正型関東地震について、地震被害想定調査を実施しています。相模湾に面する鎌倉市にとって、その中でも特に関わりの深いのが大正型関東地震(冬18時想定)で、県全体では死者19,780人(うち揺れ等13,360人・火災350人・津波6,070人)、建物全壊303,300棟という大きな被害が想定されています。

これはあくまでも県全体を対象にした想定であり、鎌倉市に固有の被害数値ではありませんが、海に面した立地を踏まえると、津波への備えが欠かせないことがわかります。

同じ調査では都心南部直下地震についても、県全体で死者1,850人・建物全壊42,920棟という被害が想定されており、地震のタイプによって被害の性格が異なる点も、鎌倉市消防本部の管轄理解には欠かせません。(出典:神奈川県地震被害想定調査|令和5〜6年度調査

古都ならではの文化財防火

鎌倉市には多くの寺社仏閣や史跡が集積しており、木造建築を中心とする歴史的資源をどう火災から守るかは、鎌倉市消防本部の組織研究に欠かせない視点です。観光地として多くの人が訪れる点も踏まえると、来訪者の避難誘導まで含めた備えが求められます。

鎌倉市消防本部の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、鎌倉市消防本部が今まさに向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

増加する救急需要への対応

令和6年中の救急出動12,648件は、鎌倉市消防本部の日々の活動量の大部分を占めています。

全国的にも救急搬送人員に占める65歳以上の割合は63.3%(令和6年中)に上っており、30.6%という高い高齢化率のもとで、今後も救急需要は高水準で推移すると考えられます。限られた人員体制でどう対応していくかが、継続的な課題です。(出典:前掲「令和7年版 救急・救助の現況」)

文化財・観光地としての火災予防

寺社仏閣をはじめとする木造の歴史的建造物が市内各所に数多く集積する鎌倉市では、火災そのものの発生を未然に防ぐ予防業務の重みが増します。観光客が年間を通じて多く訪れる土地柄、平時からの査察や広報に加えて、繁忙期の混雑を踏まえた避難誘導の想定も求められます。

全国的にも住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)の74.5%を65歳以上が占めており(令和5年中)、高齢化が進む地域での住宅防火の呼びかけと、歴史的資源を火災から守る取組とを両立させる視点が欠かせません。(出典:令和6年版消防白書

相模湾に面した地域の津波対策

相模湾に面する鎌倉市は、大正型関東地震のような大規模な地震が発生した場合、揺れに加えて津波への対応も求められる立地にあります。海水浴や観光で市外から訪れる人が多い時期の避難誘導も含めて、備えを考える必要があります。

市外からの来訪者が多い分、地理に不慣れな人をいかに安全に避難させるかという視点も重要になります。地元住民と観光客の双方を同時に守るという難しさが、鎌倉市消防本部の津波対策には重なってきます。

人材確保と女性消防吏員の活躍

消防吏員249人のうち女性は8人で、割合は約3.2%です。全国では、令和7年4月1日現在で消防吏員168,230人のうち女性が6,386人、割合にして約3.8%です。

国が「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げるなかで、鎌倉市消防本部の水準はこの全国平均をやや下回っており、女性消防吏員の確保は今後の重要な課題の一つといえます。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁

重点方針|鎌倉市の総合計画と鎌倉市消防本部

鎌倉市消防本部の単独の運営方針・重点計画にあたる公表文書は見当たりません(2026年9月時点・当研究会調べ)。そのため、鎌倉市全体の最上位計画を手がかりに、消防本部の位置づけを考えてみます。

令和8年度を初年度とする鎌倉市の総合計画は、基本構想の名称が「鎌倉ビジョン2034」(計画期間は令和8年度から令和16年度まで)、基本計画の名称が「鎌倉ミライ共創プラン2030」(同 令和8年度から令和12年度まで)で、令和7年9月30日開催の市議会本会議で議案が可決されました。

基本理念は「平和都市宣言」(昭和33年8月10日制定)と「鎌倉市民憲章」(昭和48年11月3日制定)の精神とされています。(出典:鎌倉ビジョン2034・鎌倉ミライ共創プラン2030

消防本部を含む職員全体に向けた考え方としては、「鎌倉市職員育成基本方針【改訂版】」(令和2年4月改訂)が定める「鎌倉市のあるべき人財・職員像」が参考になります。

市民憲章と鎌倉市総合計画及び各種行政計画を実践する職員、市民に信頼され市民と協働してまちづくりを進める職員、広い視野と時代の先を読む目を持つ職員、知識・行動力・仲間と連携する力・コミュニケーション能力を合わせ持つ職員、公平性を保ち高い公務員倫理を持ち行動する職員、迅速性・効率性などのサービスの質的向上に日々取り組む職員という6項目にわたって示されています。

これは消防本部に限らず市全体の職員に向けた考え方ですが、公務に携わる姿勢の土台として押さえておく価値が十分にあります。(出典:鎌倉市職員育成基本方針【改訂版】

古都・鎌倉という土地の理解

総合計画の正式名称や理念をすべて暗記する必要はありません。鎌倉が「古都としての風格」を大切にするまちだと知ったうえで、自分がその中で消防吏員としてどのように貢献したいかを考えれば十分です。

悪い例「歴史のあるまちが好きなので、消防官を志望します」

改善例「大学の観光ボランティアの経験を通じて、来訪者に丁寧に対応する大切さを学びました。鎌倉市消防本部は文化財と観光地という特性を持つと知りましたので、その経験を生かして、地域住民と観光客の双方を守れる消防吏員になりたいです」

あわせて確認したい公式資料

下の5点は、試験の手続を確かめるものと、志望動機の材料になるものに分かれます。1点目は公表のたびに見に行き、残りの4点は答えを練るときの引き出しとして手元に置いておくと効率的です。

  • 鎌倉市消防職員採用試験の案内ページ
  • 鎌倉ビジョン2034・鎌倉ミライ共創プラン2030
  • 鎌倉市職員育成基本方針【改訂版】
  • 神奈川県地震被害想定調査(大正型関東地震)
  • 職業紹介パンフレット「鎌倉消防について」(庁舎・車両・人材育成の概要)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」までしっかりと仕上げるためのテキストとして、鎌倉市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。鎌倉市消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

鎌倉市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

鎌倉市消防本部の面接の概要

ここからは、鎌倉市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。公表されていない項目もありますが、確認できる範囲を着実に押さえていきましょう。

鎌倉市消防本部の面接の流れ

鎌倉市消防職員(消防吏員)の採用試験は、市長部局の職員採用試験とは別枠で、消防本部が独自に実施する三段階の試験です。1次で書類選考と体力試験、2次で適性検査、3次で個別面接をそれぞれ行います。

応募から最終合格までの各段階で、異なる観点から人物が確かめられる構成だと、あらかじめ理解しておきましょう。

項目内容(令和9年4月1日付け採用)
試験の段階三次試験制。1次=書類選考および体力試験、2次=適性検査、3次=個別面接
面接の種類3次試験は「個別面接」と受験案内に明記。1次・2次に集団討論・グループワークの実施記載はない
申込方法神奈川県電子自治共同運営サービス(e-kanagawa電子申請)を通じて、申込・受験案内・受験番号の送付を行う
受験資格・身体的条件・体力試験の種目令和8年度は申込受付の終了に伴い受験案内が採用ページに掲出されておらず、公表は確認できず。最新の受験案内でご確認ください
初任給(職業紹介パンフレット掲載・地域手当を含む)大学卒(31号給)275,770円、短期大学卒(23号給)263,120円、高等学校卒(16号給)250,930円
採用後の教育・配属神奈川県消防学校及び消防大学校への専科教育派遣制度があり、大型自動車免許や救急救命士資格の取得を補助する制度も整備されている

勤務体制は、本部等の日勤職員が平日8時30分から17時15分まで(土日祝日は休日)、警備課等の当直職員が8時30分から翌朝8時30分までの24時間勤務2交代制で、1担当と2担当が交代で勤務する仕組みです。福利厚生としては、年次休暇(暦年で20日付与)のほか夏季休暇・結婚休暇・出産休暇・育児休暇などが整備されており、保養所の利用補助制度もあります。(出典:鎌倉市消防職員(消防吏員)採用案内

上記の試験構成は、鎌倉市消防本部が公表する令和9年4月1日付け採用の消防職員採用試験情報にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の試験情報をご確認ください。

鎌倉市消防本部が求める人材

鎌倉市消防本部は、消防吏員に向けた「求める人物像」という項目を独自には公表していません(2026年9月時点・当研究会調べ)。その手がかりになるのが、前章で紹介した「鎌倉市のあるべき人財・職員像」です。市全体の職員に向けた文書であり、消防本部固有の公表文言ではありませんが、公務に携わる者としての土台となる考え方として十分に参考にできます。

あわせて、「鎌倉市職員行動憲章」(平成21年7月制定)が掲げる5つの理念(市民のための市役所であることを意識し市民の立場で行動する、法令や社会規範を守り誠実・公平に職責を果たす、コスト感覚を持ち迅速な対応を心がける等)も、公務員として働くうえでの基本姿勢を確認する材料になります。

一般論として、人口十数万人規模の市を1つの本部で受け持つ組織では、専任の救助隊や予防部門を置きながらも、出動件数では救急が業務量の大半を占める構造になりやすいといわれます。

現場活動と、査察・広報などの行政的な業務の両面に対応できる適性に加えて、鎌倉市消防本部の場合は文化財と観光地の双方を守る視点を持てるかどうかが、志望動機の厚みを左右します。庁舎が1本部2消防署6出張所に分かれて配置されている点からも、地域に密着した体制で活動していることがうかがえます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。鎌倉市消防本部の面接も、この見取り図の上で着実に準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやってここまで来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ鎌倉市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と鎌倉という土地を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの長所と短所を教えてください自分を客観視できているか。短所への向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴これまでで一番長く続けてきたことは何ですか一つの物事にどれだけ粘り強く向き合ってこられたか
⑥ 適性・将来24時間勤務2交代制の働き方に不安はありませんか?不規則な勤務を続けるための体調管理と、仕事への覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7つの枠組みは、古都を管轄する本部でも他の本部でもおおむね共通します。まずこの型で基本の受け答えをしっかりと固めたうえで、ここから先、鎌倉を受ける理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問で決まります。

合否を分けるのは鎌倉市消防本部に固有の質問

「消防官という仕事を、警察官や自衛官ではなく選んだ理由を聞かせてください」
「古都である鎌倉ならではの消防の役割には、どのようなものがあると思いますか?」

1問目で見られるのは、近い職業と見比べたうえで消防を選んだ理由の筋道です。2問目は、古都という土地の性格を消防の役割に引き寄せて語れるかどうかを試しています。

当日その場で思いついた言葉では説得力が出にくく、鎌倉という土地をどれだけ自分ごととして調べたかが伝わります。鎌倉ならではの事実を、面接で口に出すときの運び方まで含めて表にしました。

質問テーマ知っておきたい鎌倉市の事実答え方のヒント
地震・津波のリスク相模湾に面し、大正型関東地震では県全体で死者19,780人・津波による死者6,070人、都心南部直下地震では死者1,850人を想定(詳細は第1部3章)被害の数字だけで終えず、海辺のまち特有の避難対策にも触れる
文化財防火寺社仏閣をはじめとする木造の歴史的建造物が集積し、観光客も多く訪れる(詳細は第1部3章・4章)予防業務の重要性と、来訪者への対応の両方に触れる
救急需要の増加令和6年中の救急出動は12,648件で、火災の500倍超。高齢化率は30.6%(詳細は第1部2章・4章)火災と救急の桁違いの差を挙げ、消防の仕事を消火だけで語らない姿勢を示す
総合計画と鎌倉の将来像「鎌倉ビジョン2034」の将来都市像は「古都としての風格を保ちながら、生きる喜びと新しい魅力を創造するまち」(詳細は第1部5章)まちの目指す姿と、消防本部の役割を結び付けて語る
女性消防吏員の状況女性吏員の割合は約3.2%で全国平均をやや下回る(詳細は第1部4章)多様な人材が活躍できる組織づくりへの関心を示す

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

鎌倉市消防本部は、試験の段階と種目を公表していますが、配点は公表されていません。最新の受験案内でご確認ください。

そのため観点は、一般論として知っておくと役立つ考え方をもとに組み立てることになります。市町村の採用面接では、これまでにとってきた行動を具体的にたどり、その事実から採用後の姿を見立てるコンピテンシー評価の考え方が広く用いられているとされます。

鎌倉市消防本部が評価方法として公表しているわけではありませんが、1次の書類選考・体力試験から2次の適性検査、3次の個別面接へと段階を重ねる構造を踏まえると、この見方が準備の助けになります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
公務への理解「鎌倉市のあるべき人財・職員像」に通じる、公平性や高い倫理観を持って行動してきたかルールや役割を守りながら成果を出した経験を選ぶ
地域理解の深さ古都・観光地としての鎌倉の特性を、自分の言葉でどこまで語れるか文化財防火と海辺の災害対応、両方への理解を用意する
体力・健康管理1次の体力試験に向けて、どのように自己管理をしてきたか継続的な取り組みを、具体的なエピソードとともに説明できるようにする
組織への適応力1本部2消防署6出張所という分散した組織配置の中で、どの部署に配属されても力を発揮できるか環境の変化に応じて自分の役割をうまく調整した経験を用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内をしっかりと確認し、受験資格・身体的条件・体力試験の種目など、その年度に公表されている情報を漏れなく把握する。e-kanagawa電子申請の利用者登録も早めに済ませておく
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、粘り強く取り組んだ具体例をそれぞれ1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の第1部に戻り、文化財防火・津波対策・救急需要のうち関心の近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 対応表から固有質問の材料を選び、事実・自分の問題意識・鎌倉で担いたい仕事の順につながる一続きの話に組み立てる
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力試験に向けたトレーニングも並行して計画的に進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で鎌倉市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。受験資格や種目の公表が遅れる年度もあるからこそ、自己分析は早めに済ませておく価値があります。

受験資格や体力試験の種目が非公表の時期もあるからこそ、公式サイトのこまめな確認と並行した準備が欠かせません。独学で最短ルートを仕上げたい場合は、鎌倉市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

鎌倉市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接本番での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

鎌倉市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

鎌倉市消防本部は、249人の消防吏員が17万人超の鎌倉市を守る本部で、書類選考・体力試験、適性検査、個別面接という三段階の試験を通じて人物を確かめています。1本部2消防署6出張所という地域に密着した体制で、令和6年中は12,648件の救急に対応しました。

寺社仏閣が集積する古都としての顔と、相模湾に面した海辺のまちとしての顔を併せ持つ管内は、文化財防火と津波への備えという二重の視点を求めます。

受験資格や体力試験の種目が公表されない時期もありますが、公表され次第の確実な確認と、自分の経験を語る準備の両方を並行して進めていってください。