本記事では、逗子市職員採用試験の面接対策で必要な、逗子市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

逗子市役所の面接では、「なぜ逗子市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを逗子市の仕事にどう結び付けるのか」といった質問が想定されます。市は採用試験の特徴として専門試験を課さず、人物重視で選考する方針を公式サイトに掲げていますので、準備の重心は最初から面接の側に置く必要があります。

以下でまとめた逗子市の事実を材料に、自分の経験と市政のどこが重なるのかを書き出しながら読み進めてみてください。

第1部|自治体研究編

逗子市の特徴

対策に入る前に、逗子市がどういう市なのかを押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 三浦半島の付け根にある市で、横浜市、鎌倉市、横須賀市、三浦郡葉山町と接している。
  • 人口は57,326人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は17.28平方キロメートル、人口密度は3,317人/km²。
  • 面積17.28平方キロメートルは、神奈川県内19市の中でもっとも小さい(当研究会による集計)。
  • 住民基本台帳をもとにした令和8年1月1日現在の集計で、高齢化率は31.7%。65歳以上が18,172人、うち75歳以上が11,647人。
  • 市の花はほととぎす、市の木はツバキ
  • 市内唯一の下水処理場である浄水管理センターを、地震と津波への対策を備えた強靭な施設として再整備する計画が進んでいる。
  • 市が掲げる採用試験の特徴は、能力・適性検査にSPI試験を用いること、専門試験を実施せず面接等で人物を重視することの2点。
  • 人材育成基本方針では、目指す職員像の基本テーマを「お互いに助け合い 柔軟に考え 逗子のために挑戦する職員」と定めている。
  • 年間を通じて複数回、複数の区分で採用試験を実施しており、事務職には既卒・第2新卒の枠や冬期チャレンジの枠がある。技術職(建築)は随時募集。

逗子市の基礎データ

面接で数字が効くのは、逗子市という市の輪郭を一息で説明できるときだけです。

表の前半が逗子市の値、末尾の2行が神奈川県の値になっています。県の高齢化率は市と同じ住民基本台帳の集計ですので並べて読めますが、県の人口だけは国勢調査の速報値で調査のつくりが別物ですから、市の値と直接突き合わせる使い方はしないでください。

項目内容
総人口57,326人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口18,172人(うち75歳以上11,647人・令和8年1月1日現在)
高齢化率(住民基本台帳)31.7%(令和8年1月1日現在)/75歳以上は20.3%
総面積17.28平方キロメートル(神奈川県内19市の中で最小)
人口密度3,317人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体横浜市、鎌倉市、横須賀市、三浦郡葉山町
市役所所在地〒249-8686 神奈川県逗子市逗子五丁目2番16号
市の花・市の木ほととぎす/ツバキ
(参考)神奈川県の人口9,193,657人(令和7年10月1日現在・令和7年国勢調査速報)
(参考)神奈川県の高齢化率25.8%、75歳以上率15.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)

総人口・総面積・人口密度・隣接自治体・市の花と市の木は、市の公表値をもとに当研究会が整理した基礎データです(総人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在で、人口密度はこれを総面積で割って算出しています)。県内19市の中で最小という記述は、同じ基礎データを当研究会が比較したものです。高齢化率と75歳以上の割合は、市の値も県の値も、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の集計から引いています。神奈川県の人口だけは令和7年国勢調査の速報値で、市の住民基本台帳の値とは集計の系統が異なりますので、直接の比較はお控えください。最新の統計は逗子市公式サイトであわせてご確認ください。

県内でいちばん小さい市域

17.28平方キロメートルという面積は、神奈川県全体(2,416.55平方キロメートル)のおよそ0.7%にすぎません。県内19市の中では最小です。

人口密度は3,317人/km²で、令和7年国勢調査速報の県人口を県の面積で割ったおよそ3,800人/km²(当研究会による単純計算)と比べると、やや低い水準にあたります。(出典:令和7年国勢調査結果速報(神奈川県)|令和7年10月1日現在

神奈川県は、西部が山地、中央が平野と台地、東部が丘陵と沿岸部という三つの地形に分けられ、海岸線の長さは435キロメートルに及びます。逗子市はその東部にあたり、丘陵と海に挟まれた地形の中に市街地が収まっています。

面積が小さく、地形の制約がある市域では、土地の使い方そのものが政策になります

住宅、道路、公共施設、そして緑をどう配置するかという判断が、他の市より近い距離で市民の暮らしに響くということです。(参考:神奈川県のプロフィール(位置・地勢)

高齢化率31.7%の内訳

総務省が住民基本台帳をもとに集計した令和8年1月1日現在の値では、逗子市の人口57,326人のうち65歳以上が18,172人で、高齢化率は31.7%です。

注目したいのは内訳で、75歳以上が11,647人。65歳以上のうち6割以上を75歳以上が占めています

同じ集計で県内19市を並べると、逗子市の31.7%は秦野市と並んで高いほうから4番目です(当研究会による集計)。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在

同じ集計で神奈川県全体を見ると、高齢化率は25.8%、75歳以上率は15.4%です。逗子市はどちらも県の水準を5ポイント前後上回っており、県の平均像より高齢の層が厚い市だと読み取れます。

高齢化を語るときに65歳以上という一つの数字で済ませず、75歳以上がどれだけを占めるかまで見る。この癖をつけておくと、介護や医療、移動手段の話に自然につながります。

「逗子市は5万人ほどが暮らす市で、65歳以上の方が3割を超えていると知りました。しかもそのうち6割以上が75歳以上の方だと聞きまして、支援の中身も変わってくるのではと感じています。坂の多い地形ですから、移動のしやすさも大きな課題になると思っています」

逗子市の経済・産業

暮らしの場という性格

逗子市は、面積17.28平方キロメートルの中に5万人余りが暮らす市です。隣接するのは横浜市、鎌倉市、横須賀市、三浦郡葉山町で、いずれも生活圏が重なる距離にあります。市域が小さく、周囲の都市が近いということは、働く場所も買い物の場所も市の外にある人が一定数いるということです。市の経済を市内だけで説明しようとすると、実態から離れます

経済の規模を示す統計は、県民経済計算のように県単位でまとめられたものが中心です。逗子市について語るなら、産業規模の数字を探すより、暮らしの場としての条件をどう保つかという角度から準備するほうが、面接では話しやすくなります。

三浦半島の観光の中の逗子

神奈川県の入込観光客調査によると、令和6年(1月から12月)の三浦半島エリアの入込観光客数は1,627万人でした。県全体では同じ年に2億806万人(前年比8.9%増)と過去最高を記録し、日帰りが1億8,783万人、宿泊が2,023万人という内訳です。(出典:神奈川県入込観光客調査|令和6年

逗子市は、鎌倉市と葉山町に挟まれた位置にあります。三浦半島を訪れる人の流れの中にあるということですが、その流れは市域の外から来て、市域の外へ抜けていくものでもあります。

海と丘陵に囲まれた小さな市で、訪れる人と暮らす人の折り合いをどうつけるか。観光を志望分野にするなら、集客の話より先に、この折り合いの話を用意しておくとよいでしょう。

神奈川県全体の産業という背景

背景として押さえたいのは、県全体の経済規模です。令和5年度の神奈川県の名目県内総生産は37兆3,313億円(前年度比5.4%増)、1人当たり県民所得は334万9千円でした。

経済活動別に見ると第3次産業が76.5%、第2次産業が22.6%、第1次産業が0.1%という構成で、業種別では製造業の18.3%が最大となります。(出典:神奈川県県民経済計算|令和5年度

県全体としては製造業とサービス業が支える構造です。逗子市はその中で、生産の拠点というより暮らしの拠点として位置づく市になります

志望動機を組み立てるときは、県の構造の話をした後に、それとは違う逗子市の性格へ話を移す順番が分かりやすいはずです。

逗子市の主な行政課題

ここまでに見た大きさと人口構成から、逗子市の課題を4つの角度に分けて整理します。市の課題を問われたときの引き出しにしてください。

人口減少局面と、厚みのある高齢層

神奈川県の人口は、令和7年国勢調査の速報値で9,193,657人。前回の令和2年調査から43,680人(0.5%)減りました。

神奈川県は、この5年間で人口が増加から減少へ転じた6つの府県の一つです。県は基本構想で、2040年ごろに高齢者数と高齢化率がともにピークを迎え、総人口が900万人を下回るという見通しを示しています。

逗子市の高齢化率31.7%と、そのうち6割以上を占める75歳以上という構成は、県の平均より先を行く姿です。

支援を必要とする人が増える一方で、市の規模は5万人余り

使える人手も予算も限られる中で、どこから手をつけるかという判断が続くことになります。

市内唯一の下水処理場をどう更新するか

逗子市は、老朽化した市内唯一の下水処理場である浄水管理センターを、地震と津波への対策を備えた強靭な施設として再整備する計画を進めています。特徴は期間で、完成までに20年程度の長期間を想定しており、市はそれを前提に技術職の採用募集を行っています。(出典:逗子市 職員採用情報

市内に一つしかない施設を、動かしながら建て替える。しかも20年という時間がかかる。

事務職を志望する場合でも、この事業は覚えておく価値があります。長い期間の事業は、予算の組み方も、住民への説明の仕方も、通常の事業とは異なるからです。

地震と津波への備え

神奈川県は、県内に影響を与える6つの想定地震について被害想定調査を行っています。都心南部直下地震、三浦半島断層群の地震、神奈川県西部地震、東海地震、南海トラフ巨大地震、大正型関東地震の6つで、三浦半島断層群の地震が挙がっている点は逗子市にも関わります。

県の被害想定のうち最も深刻なのは大正型関東地震で、冬18時に発生した場合、死者19,780人(うち揺れ等13,360人、津波6,070人)、建物全壊303,300棟、最大避難者数2,365,850人と見込まれています。これは県全体の想定です。

逗子市の場合、下水処理場の再整備そのものが地震と津波への対策を掲げていることからも分かるとおり、防災はインフラの更新と一体で語られる課題になっています(出典:神奈川県地震被害想定調査

年に何度も試験を行うという人材確保

逗子市は、年間を通じて複数回、複数の区分で職員採用試験を実施しています。

事務職には既卒・第2新卒を対象とする枠や冬期チャレンジの枠があり、技術職(建築)は随時募集です。区分ごとに段階の数も試験の内容も採用予定日も異なります

これだけの回数を重ねているということは、必要な人を必要な時期に確保することが市政の課題になっているということでもあります。受験する側にとっては入口が複数あるという意味ですが、同時に、自分が申し込む区分の受験案内を正確に読む必要があるということでもあります。

逗子市の重点政策|人材育成基本方針が掲げる目指す職員像

逗子市は、目指す職員像を人材育成基本方針の中で言葉にしています。面接対策としては、まずこの一文から出発しましょう。

「逗子のために挑戦する職員」という基本テーマ

市が定めている目指す職員像の基本テーマは、「お互いに助け合い 柔軟に考え 逗子のために挑戦する職員」です。

令和8年度の受験案内は、これを受けて「~求む!逗子のために挑戦する職員~」というキャッチコピーを掲げています。

令和6年度以前は「求む!逗子を想い未来を創造(つく)る職員」でしたので、想いや創造という語から、挑戦という語へ重心が移った形です。(出典:令和8年度逗子市職員採用試験受験案内(事務職・既卒・第2新卒)

基本テーマは三つの部分でできています。お互いに助け合うこと、柔軟に考えること、逗子のために挑戦すること。

この三つは、面接での問いにそのまま置き換えられます。

助け合いの話なら、誰かを支えた場面と支えられた場面。柔軟さの話なら、途中でやり方を変えた場面。挑戦の話なら、うまくいくと決まっていないことに手を出した場面です。

三つのうちどれで自分を語るかを、先に決めておくと準備が速く進みます。

基本テーマの三つを、市の大きさに重ねてみる

市の説明は、この一文で止まっています。

ここから先は、逗子市の規模と抱えている事業をもとに当研究会が考えたことです。市が公表している内容ではありませんので、そのつもりで読み進めてください。

人口5万人余り、面積は県内19市で最小、そして市内に下水処理場は一つだけ。市の規模がこれだけ絞られていると、担当ごとに人を厚く置く余裕は生まれにくいと考えられます。

ひとつの案件を、企画の段階から住民への説明、事業者や県とのやり取りまで同じ職員が追いかけることもあるでしょう。基本テーマの先頭に「お互いに助け合い」が置かれているのは、そうした環境で仕事が回るための前提を、市が言葉にしたものとも読めます。

この読みは、市が抱えている事業からも裏づけられます。20年という期間を見込んだ下水処理場の再整備は、途中で担当者が何度も入れ替わる事業です。

引き継ぐこと、記録を残すこと、前任者のやり方を尊重しつつ必要なら変えること。個人の力量より、仕事を次の人へ渡していく力が効く場面の多い職場だと見ておくのがよさそうです。

県内19市でいちばん狭い市域に5万人余りが暮らす市ですから、一度の説明の仕方が次の相談のしやすさまで左右します。日々のやり取りを丁寧に重ねられる人ほど働きやすい環境でしょう。

なお、この見立ては逗子市向けの自分を組み立てるための材料ではありません。基本テーマの三つは、学校でも職場でも誰かが一度は通る場面を指しています。

支え合って進めたとき、途中でやり方を変えたとき。その記憶を持ち込めば、それで足ります。

POINT|「挑戦」を、大きな話にしない

挑戦という言葉を聞くと、大きな成果を話さなければと構えてしまいがちです。ですが面接で見られているのは規模ではありません。①何がうまくいっていなかったか → ②なぜ自分がやろうと思ったか → ③周りをどう巻き込んだか → ④何が変わったか、の4点がそろっていれば、身近な話でも十分に伝わります。

悪い例「私は挑戦する姿勢を大切にしており、逗子市でも新しいことに挑戦したいです」

改善例「アルバイト先で、来た人が案内の紙を読まずに困っている場面が続いていました。作り直しませんかと店長に相談して、写真を入れた案内に変えたんですけれども、最初は反対もありました。結局、聞かれる回数が減ったので続けてもらえています」

あわせて確認したい公式資料

優先順位をつけるなら、上から順に当たるのが確実です。逗子市は区分ごとに試験の中身が変わりますから、受験案内の読み違いがそのまま準備の遠回りになります。

要点は、資料なしで説明できるところまで持っていきましょう。

  • 自分が申し込む区分の受験案内(区分ごとに段階数と試験内容が異なります)
  • 逗子市の職員採用情報のページ(採用試験の特徴、募集中の区分)
  • 逗子市人材育成基本方針(目指す職員像とその考え方)
  • 逗子市の総合計画と、最新年度の予算に関する資料

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、逗子市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。逗子市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

逗子市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

逗子市役所の面接の概要

ここからは、逗子市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。

逗子市役所の試験の流れ

ここで扱うのは、令和8年度の事務職【既卒・第2新卒】(令和8年10月1日採用)の内容です。

この区分は三段階で、第1次試験が能力・適性検査、第2次試験と最終試験がいずれも個別面接という構成になっています。

専門試験がなく、人物試験が二度続く形です。

項目内容(令和8年度・事務職【既卒・第2新卒】)
試験の段階三段階。第1次試験(能力・適性検査)、第2次試験(個別面接)、最終試験(個別面接)の順に進みます
第1次試験の内容能力・適性検査。受験者がテストセンター、リアル会場、オンライン会場から選んで受験します。受験案内には「逗子市職員(公務員)として必要な基礎能力等を判定します」とあり、専門知識や法律知識を求める試験ではありません
専門試験実施されません。市は採用試験の特徴として「専門試験はありません。面接やグループワークにて人物重視の採用試験を行っています。」と公式サイトに記載しています
人物試験第2次試験と最終試験がいずれも個別面接(会場は逗子市役所)。この区分の受験案内にグループワークの記載はありません
提出書類履歴書。第1次試験の合格者のみが第2次試験の当日に持参します。申込時に入力した情報をもとに電子申請システムから出力し、A4サイズに両面印刷して証明写真を貼付し、署名欄を記載します
申込方法電子申請のみ。市ホームページから電子申請システムに接続し、利用者情報を登録してから申し込みます。携帯電話のキャリアメールのアドレスは利用できません
他の区分との違い技術職(建築)は第2次試験が個別面接及びプレゼンテーションで、最終試験が個別面接。事務職とは人物試験の内容が異なります
実施の回数年間を通じて複数回、複数の区分で実施されます。事務職には冬期チャレンジの枠(令和8年4月1日採用)もあり、技術職(建築)は随時募集です
(参考)給与大学卒は給料242,000円に地域手当29,040円を加えた271,040円。大学卒業後に民間企業等で5年勤務した場合は254,100円に30,492円を加えた284,592円。期末勤勉手当は年2回で、令和7年度の支給実績は年4.65月分(令和8年4月1日現在)

上記は逗子市の令和8年度職員採用試験・事務職【既卒・第2新卒】の受験案内にもとづく内容です。市は採用試験の特徴として面接やグループワークによる人物重視の選考を掲げていますが、この区分の受験案内にグループワークの記載はなく、年度や区分によって実施の有無が異なります。逗子市は年度内に複数の区分で試験を行い、区分ごとに段階数、試験内容、採用予定日が異なりますので、一つの受験案内の内容を市全体の試験として一般化しないでください。段階ごとの配点や合否の決め方までは、受験案内に書かれていません。受験の際は、必ずご自身が申し込む区分の最新の受験案内をご確認ください。(出典:令和8年度逗子市職員採用試験受験案内(事務職・既卒・第2新卒)

基礎能力を見る試験の後は、すべて面接

第1次試験は、専門知識ではなく基礎能力と適性を見る検査です。会場の形式を自分で選べますので、日程の都合をつけやすい代わりに、早く済ませて面接の準備に時間を回すという組み立てもできます。

そこから先は個別面接が二度続きます。同じ話題を別の面接官から角度を変えて問われる前提で準備しておきましょう

履歴書を第2次試験の当日に持参する形ですから、面接官が読むのは、自分が申込時に入力した情報から出力された履歴書です。書いた内容と話す内容がずれないように、提出前にひととおり読み返しておいてください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。逗子市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずにいらっしゃいましたか用意していない問いへの反応。個別面接が二度続く試験では、最初の場の空気があとまで残ります
② 動機・志望数ある自治体の中で、なぜ逗子市なのですか比べたうえでの選択か。市の規模や性格を分かったうえで選んでいるか
③ 自己理解ご自身の弱みは何だと思いますか自分を客観視できているか。弱みとの付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動周りと助け合って進めた経験を教えてください市が掲げる目指す職員像との相性。自分の役割と、他の人の役割をどう見ていたか
⑤ 学業・経歴これまでの職務や学びを、事情を知らない人にも伝わるように話してください前提を知らない相手に向けて、話を組み立て直せるか。市民からの問い合わせに答える場面と同じ力です
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースがあれば教えてください世の中の出来事をどこまで自分に引き付けて考えているか

ここまでの7項目は、どの自治体を受けても形を変えて出てくる問いです。受験者の側も当然そこは準備してきますので、実際に差が出るのは、次の逗子市ならではの質問のほうです。

差がつくのは「逗子市役所ならでは」の質問

「なぜ神奈川県庁ではなく、逗子市役所なのですか」
「逗子市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

いずれも、市の中身を知らないまま答えを組み立てるのは難しい質問です。

裏を返せば、調べた事実を持ち込めるかどうかで、答えの厚みが変わる質問だということです。

面接で使いやすい逗子市の事実を、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい逗子市の事実答え方のヒント
市の大きさ面積17.28平方キロメートルは県内19市で最小。人口57,326人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度3,317人/km²小ささを弱点として語らず、市域全体を実感として持てる規模だという方向へ進めます。現場を見てから考えられる、という言い方が自然です
人口構成住民基本台帳による令和8年1月1日現在の高齢化率は31.7%。65歳以上18,172人のうち75歳以上が11,647人65歳以上という一括りで終えず、75歳以上が6割以上を占める点に触れます。必要な支援の中身が変わるという話につなげられます
なぜ県庁ではなく市役所か市内唯一の下水処理場である浄水管理センターの再整備を、完成まで20年程度を見込んで進めている県が用意する制度を、5万人余りのまちの実情に合わせて届け直す立場に立ちたい、という言い方ができます。長期の事業に触れると、腰を据えて働く意思も伝わります
目指す職員像人材育成基本方針の基本テーマは「お互いに助け合い 柔軟に考え 逗子のために挑戦する職員」。受験案内のキャッチコピーは「~求む!逗子のために挑戦する職員~」三つの要素のうち一つを選び、自分の経験を先に話します。市の言葉は最後に短く添えるほうが、借り物に聞こえません
防災とインフラ三浦半島断層群の地震など、県が被害想定の対象とした想定地震は6つ。市の下水処理場再整備も地震と津波への対策を掲げている防災を訓練や避難所の話だけで語らず、施設の更新と一体で進む課題として述べます。行政の仕事の理解が伝わります
試験の性格専門試験がなく、第1次は基礎能力と適性の検査。第2次と最終はいずれも個別面接で、会場は逗子市役所知識で差がつかないぶん、経験を具体的に語れるように準備してきたと示せます。二度の面接で話がぶれない準備をしてきた、と言えると強いです

全部を覚えようとしないでください。自分が語りたい分野に近いものを2つに絞り、事実から出発して、そこで感じた問題と、市職員としてやりたいことまでを続けて話せるようにしておけば十分です。

想定される評価の観点

面接は、市が掲げる目指す職員像に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
助け合って進める力自分の役割をどう定め、他の人の手をどう借りたか市の基本テーマは「お互いに助け合い」から始まります。支えた場面だけでなく、支えてもらった場面も一つ用意しておく
柔軟に考える力途中で状況が変わったときに、何をどう変えたか基本テーマの二つ目は「柔軟に考え」です。最初の計画と最終的なやり方の違いを、理由つきで説明できるようにしておく
長く関わる意思この市で働き続ける理由を、地域の事実に結び付けて語れるか下水処理場の再整備は完成まで20年程度を見込む事業です。腰を据えて取り組みたい分野を一つ挙げられるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

逗子市は個別面接が二度続きますので、同じ経験を別の面接官へ語る場面もあり得ます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が申し込む区分の受験案内を読み、段階の数と試験内容、採用予定日を確認する。逗子市は区分ごとに構成が異なります
  2. 電子申請の利用者登録を済ませ、市からのメールを受信できるようメールの設定を確かめる
  3. これまでの経験を整理する。学業、部活動、アルバイト、職務、地域での関わりから、話せる場面を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、県内最小の市域と人口5万人余り、高齢化率31.7%、そして20年がかりの下水処理場再整備という三つを、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 声に出して練習する。個別面接が二度あることを踏まえ、同じ経験を別の角度から掘られたときの返し方も書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、ほかの受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ3で経験を整理し、それが市の仕事とどうつながるかを考える作業を先に終わらせてください。自分のことを語れないまま市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、逗子市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

逗子市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

逗子市役所の想定問答集を見る

さいごに

逗子市の試験には、専門知識で差をつけるという道がありません。

基礎能力の検査を抜けたあとは、個別面接が二度。そこで確かめられるのは、市が言葉にした「お互いに助け合い 柔軟に考え 逗子のために挑戦する職員」に、自分のどの経験が重なるのかという一点です。

県内でいちばん小さい市域に5万人余りが暮らし、65歳以上の6割以上が75歳以上で、市内に一つしかない下水処理場を20年かけて造り替えようとしている。小さな市ですが、抱えているものは軽くありません

だからこそ、大きな成果より、途中で工夫した話のほうが届きます。自分が実際にやってきたことを、この市の条件に置き直して話してみてください。