箱根町消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴基礎データ管轄地域の特性と災害リスク主な消防課題重点方針)と、面接本番の流れ想定される質問評価の観点を、1ページに整理しました。

箱根町消防本部の面接試験では、「なぜ警察官・自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ箱根町消防本部なのか」「消防士として何に取り組みたいのか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。表面的な言葉だけで答えようとすると、深掘りの質問に対応できなくなってしまいます。

また、箱根町は活火山である箱根山(大涌谷)を管内に抱え、火山災害への備えが日々の消防業務と地続きになっている地域です。管轄地域の理解を深めておくことが、他の受験生と差がつく準備になります。

一つひとつの事実を、これまで自分が積み重ねてきたことと重ね合わせながら読み進めてください。

第1部|組織研究編

箱根町消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは箱根町消防本部の全体像をしっかり押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 箱根町消防本部は、箱根町が単独で設置する消防本部である。管轄区域は箱根町の1団体のみだが、消防吏員103名(うち女性3名・令和7年4月1日現在)を擁し、人口1万人規模の町としては厚い体制を敷いている。
  • 消防署は警備第1課・第2課(消防係・救助係・救急係・指令係)に加え、湯本分署・仙石原分署・箱根分署の1署3分署体制。消防本部には庶務係・予防係・警防係からなる消防総務課が置かれている。
  • 出動件数は令和6年中で火災8件・救急2,088件・救助19件であり、救急が中心を占めている(詳しくは第1部2章)。
  • 大規模災害時の応援部隊として、消防車・救急車を緊急消防援助隊に登録している。
  • NET119緊急通報システムを運用しており、聴覚や発話に困難のある方でもスマートフォン等から通報できる体制を整えている。
  • 管内には活火山である箱根山(大涌谷)があり、箱根町消防本部は箱根山火山防災協議会の構成機関の一つとして、平常時から役割を担っている(詳しくは第1部3章)。
  • 消防士の採用は箱根町職員採用試験の職種「消防士」として実施され、町は「箱根町を想う。その気持ちが、仕事になる。」を掲げて求める人材像を公表している(詳しくは第1部5章)。

箱根町消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「箱根町消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

箱根町が単独で置く消防本部ですから、町の人口と管内人口は一致します。その人口に、103名という職員体制、令和6年中の出動件数を添えて並べたのが下の表です。

項目内容
設置形態単独(箱根町)
管内人口10,719人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
消防吏員数(うち女性)103名(うち女性3名)※令和7年4月1日現在
出動件数(火災/救急/救助)8件/2,088件/19件(令和6年中)
採用試験箱根町職員採用試験「消防士」区分(若干名募集)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在によります。消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の本部別データ検索によります。

人口1万人余りに103名という体制の意味

管内人口10,719人に対して消防吏員103名という体制は、住民数だけで単純に比べれば手厚い部類に入ります。これは、年間を通じて多くの観光客が訪れる箱根町ならではの事情です。

また、住民登録のある人口だけでなく、日々訪れる観光客への対応も想定した体制になっていると考えられます。管内には湯本・仙石原・強羅・箱根といった複数の温泉地・観光地が点在しており、1署3分署という配置も、こうした広がりのある地域を分担してカバーする狙いがあるとみられます。

なお、火災8件に対し救急は2,088件(いずれも令和6年中)で、件数の差は250倍を超えます。

「箱根町は人口1万人余りのまちですが、消防吏員は103名と伺いました。観光地として多くの方が訪れることを踏まえると、住民の方だけでなく観光客の安全も守る体制になっているのだと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 箱根町消防本部は箱根町を単独で管轄する消防本部で、神奈川県西部、足柄下郡に属する。管内人口は10,719人(令和8年1月1日現在)で、高齢化率37.4%・75歳以上率23.0%となっている。
  • 湯本・仙石原・強羅・箱根など複数の温泉地・観光地を抱え、全国有数の温泉観光地として知られる。
  • 神奈川県全体では令和7年国勢調査結果速報で人口919万3,657人となり、東京都に次ぐ全国第2位の規模を維持している(出典:令和7年国勢調査結果速報|神奈川県

つまり箱根町消防本部は、観光地としての賑わいと、活火山を抱える地形の両方に向き合う消防本部だと整理できます。管内には全国111ある火山のうち、気象庁が24時間体制で観測する常時観測火山50のひとつである箱根山があります(出典:箱根山(大涌谷)火山避難計画|令和7年3月

箱根山(大涌谷)の火山リスク

箱根山はおよそ40万年前に活動を始めた比較的古い活火山で、およそ3,000年の間に大涌谷周辺で複数回の水蒸気噴火が起きており、直近では平成27年に大涌谷でごく小規模な水蒸気噴火が発生しました(令和7年3月・箱根山火山防災協議会「箱根山(大涌谷)火山避難計画」による)。

想定される火山現象は大きな噴石・火砕流や火砕サージ、火口噴出型泥流、降灰などで、なかでも大きな噴石や火砕流・火砕サージは避難までの時間的猶予がほとんどなく、生命に対する危険性が高いとされています。

現在の噴火警戒レベルは1(活火山であることに留意)です。令和元年10月7日に気象庁地震火山部が発表したもので、「入山規制などの特段の警戒が必要なくなりました」とされる一方、「大涌谷周辺の想定火口域では、噴気活動が活発なところがありますので、火口や噴気孔周辺では噴気や火山ガスに注意してください」と付記されています(出典:箱根山の火山活動解説資料|気象庁

令和7年3月の計画改定では、最新の調査で大涌谷以外にも古い火口跡とみられる地形が確認されたことを受け、新たな想定火口域が設定され、ハザードマップも改定されました。

噴火警報(火口周辺)のレベル2では大涌谷園地、レベル3では姥子、噴火警報(居住地域)のレベル4又は5では強羅南・強羅北・仙石原・湖尻が、それぞれ想定される避難対象エリアとされています。ただし計画は「エリア全体が規制区域に含まれているわけではなく、エリア内のすべての住民が避難対象となるわけではないので留意すること」と明記しており、エリア名がそのまま一律の避難対象を意味するわけではありません(出典:箱根山(大涌谷)火山避難計画|令和7年3月

この避難計画では、平常時から関係機関の役割が次のように分担されています。

主体平常時からの主な役割
気象庁横浜地方気象台噴火警報・噴火警戒レベル・噴火速報等の発表、関係機関への情報提供・解説、噴火時等の現地調査
気象庁東京管区気象台火山活動の監視・観測・情報提供
箱根町火山情報の収集・伝達、登山道及び町道の規制・情報提供、自衛隊災害派遣要請の依頼、土砂災害対策、避難指示等の発令、避難所の開設・運営、観光客等の安全確保、住民等の防災活動の推進、報道機関対応
神奈川県火山情報の収集・伝達、自然公園歩道及び県道の規制・情報提供、自衛隊災害派遣要請、土砂災害対策、観光客等の安全確保、報道機関対応
箱根町消防本部火山情報・被害状況の収集、通報、伝達/救助活動、避難誘導、道路規制/林野火災の消火

役割分担は神奈川県「箱根山(大涌谷)火山避難計画」(令和7年3月・箱根山火山防災協議会)による構成機関の一覧を要約したものです。箱根町消防本部の役割は「対応する側」として、避難指示等を発令する箱根町とは別に整理されています。

箱根町消防本部の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、箱根町消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

火山災害への備え

平成27年には、4月下旬からおよそ7か月にわたって箱根山の火山活動が活発化し、体に感じないごく小規模なものまで含めると約12,500回の火山性地震が観測されました。6月29日から7月1日にかけてはごく小規模な噴火が断続的に発生し、新たな噴気孔も確認されています。

箱根町はこの間に警戒区域を設定し、その後の沈静化にあわせて段階的に解除・縮小していきました。令和元年にも、平成31年4月下旬ごろから火山性地震がやや増加し5月中旬に急増したことを受けて気象庁が噴火警戒レベルを一時引き上げ、その後9月以降は活発化前の状態に戻っています。

また、噴火はこうした地震の増加を経ずに突然発生するケースも想定されており、避難計画も「噴火警戒レベルが必ずしも段階を追って発表されるとは限らない」と注意を促しています。

こうした経験を踏まえて改定されたのが、令和7年3月の最新の火山避難計画です。1署3分署の体制で、平常時とは異なる特殊な災害にも備え続けることが、この本部で働くうえでの大きな特徴になります。

救急需要の増加

救急出動は全国的に増え続けており、令和6年中は771万8,380件(前年比1.0%増)と、集計開始以降で最多を更新しました(出典:令和7年版 救急・救助の現況

前述の箱根町の2,088件(令和6年中)という数字も、この流れの中にあります。観光地であるがゆえに、住民だけでなく観光客への対応も含めた需要にどう応えるかが、この本部ならではの課題です。

大規模地震への備え

神奈川県は、都心南部直下地震・三浦半島断層群の地震・神奈川県西部地震・東海地震・南海トラフ巨大地震・大正型関東地震の6つの地震を対象に被害想定調査を実施しています(出典:神奈川県地震被害想定調査

神奈川県西部に位置する箱根町にとっては、名称からも直結する神奈川県西部地震への理解が欠かせません。もっとも被害規模が大きいと想定される大正型関東地震では、冬の18時に発生した場合、県内で死者19,780人、建物全壊303,300棟という想定が示されています(神奈川県地震被害想定調査・令和5〜6年度調査「冬18時の場合」。出典:神奈川県地震被害想定調査の概要)。

火山と地震、2つの異なる災害リスクへの理解が求められる点も、この本部の特徴です。地形の面でも、箱根町は山間部に位置するため、地震の揺れによる土砂災害への備えも欠かせません。

人材確保と女性消防吏員の活躍

消防吏員103名のうち女性は3名(令和7年4月1日現在)で、割合は約2.9%です。全国の消防吏員に占める女性の割合は約3.8%(168,230人中6,386人・令和7年4月1日現在)で、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁

箱根町消防本部の水準は全国平均をやや下回っており、火山・地震という特殊な災害リスクに向き合う組織だからこそ、多様な人材が長く活躍できる環境づくりは重要な課題です。

重点方針|「箱根町を想う」箱根町が求める人材

箱根町は、職員採用試験案内で「箱根町を想う。その気持ちが、仕事になる。」というキャッチフレーズを掲げ、求める人材像を明確に公表しています。

3つの人物像

箱根町が公表する求める人材は、「向上心や使命感のある人」「課題や目標に向かって自ら考えて行動ができる人」「箱根町に愛着を持ち、箱根町の発展のために一緒に取り組んでくれる人」の3項目です(出典:令和8年度箱根町職員採用試験案内。消防士の仕事に引き寄せれば、火山・地震という特殊なリスクに向き合いながらも、自ら考えて行動できる姿勢と、観光地としての箱根町への愛着の両方が問われていると読み取れます。

POINT|3つの人物像を自分の経験に結びつける

「向上心がある」「愛着がある」という言葉を借りてくるだけでは、面接での答えになりません。自分がこれまで、どんな場面で自ら考えて行動してきたか、なぜ箱根町という土地に関わりたいのか、具体的な経験を用意しておきましょう。

悪い例「温泉や自然が好きなので、箱根町を志望しました」

改善例「箱根町が活火山である箱根山を抱えていることを知り、観光地としての賑わいと、火山災害への備えの両方に向き合う消防士の仕事に興味を持ちました。課題に対して自分から考えて動く姿勢を大切にしてきましたので、その力を箱根町の安全のために役立てたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

箱根町消防本部は求める人材像を明確に公表しています。受験案内でその文言を読み込んでから箱根山の火山避難計画にあたると、志望動機と地域理解の両方を無理なく組み立てられます

  • 令和8年度箱根町職員採用試験案内(消防士)
  • 箱根山(大涌谷)火山避難計画(令和7年3月・箱根山火山防災協議会)
  • 箱根町消防署の紹介ページ
  • 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、箱根町消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。箱根町消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

箱根町消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

箱根町消防本部の面接の概要

ここからは、箱根町消防本部の採用試験(消防士)の面接について、試験の流れと想定される質問、評価の観点を、公式の受験案内と当研究会の分析に基づいて具体的に整理していきます。

箱根町消防本部の面接の流れ

箱根町の消防士は、箱根町職員採用試験の職種「消防士」として募集されます。試験は第一次=教養試験・性格検査・適性検査・作文試験・体力試験、第二次=面接試験という2段階制です。

体力試験は3職種(一般行政職・保育士等・消防士)のうち消防士だけに課されます。

項目内容(令和8年度・消防士)
試験の段階2段階。第一次=筆記・性格検査・適性検査・作文・体力試験、第二次=面接試験
面接の種類第二次試験の面接試験の中で、集団面接(10月下旬)と個人面接(11月上旬)を別日程で実施
面接以外の検査教養試験(高校卒業程度)・性格検査・適性検査・作文試験・体力試験(消防士のみ)
受験資格(身体要件)視力(矯正視力を含む)両眼0.7以上・一眼それぞれ0.3以上で赤色・青色・黄色の識別可、聴力左右正常
居住要件町内居住者、または町外でも消防署まで概ね1時間以内に参集できる地域の居住者(令和8年4月1日改正)

上記は令和8年度・消防士の職員採用試験案内にもとづくものです。試験の構成・日程等は年度によって異なる可能性があるため、受験の際は必ず最新の受験案内をご確認ください。

注目したいのは、第二次試験という一つの区分の中に、集団面接と個人面接という2つの形式が組み込まれている点です。

集団の中での立ち居振る舞いと、個人としての深掘りの両方が、同じ選考段階の中で確認される構成だと考えられます。第一次試験の筆記は全職種共通の会場で実施される一方、体力試験は消防士だけを対象に別会場で行われるため、当日の動き方も他の職種とは異なります。

箱根町が求める人材

前章で見たとおり、箱根町は「箱根町を想う。その気持ちが、仕事になる。」を掲げ、「向上心や使命感のある人」「課題や目標に向かって自ら考えて行動ができる人」「箱根町に愛着を持ち、箱根町の発展のために一緒に取り組んでくれる人」という3つの人物像を公表しています。

この3項目は消防士に限らず箱根町職員全体に向けたものですが、面接準備の物差しとしてそのまま使えます。自己PRでは、体力面の強みだけでなく、自ら課題を見つけて行動してきた経験まで語れるように準備しておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。箱根町消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ消防官を、それも箱根町消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とこの地域を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解自分の性格の長所と短所を、それぞれ教えてください自分自身を客観視できているか。短所への向き合い方に人柄が表れます
④ 経験・行動集団の中で困難にぶつかり、乗り越えた経験を教えてください集団での行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴学生時代に打ち込んだことと、そこから学んだことを教えてください取り組みの過程と、そこで得た学びを具体的に説明できるか
⑥ 適性・将来不規則な勤務や体力面に不安はありませんか?交替制勤務を続けていくための体力・生活管理・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官に限らず、公務員に必要な資質は何だと思いますか?公共の仕事への理解と、社会の出来事に対する当事者としての目線

7つの切り口を先に押さえておけば、どんな順番で聞かれても対応しやすくなります。特に集団面接では、他の受験者の発言を聞きながら自分の考えを整理する力も試されます。

ここから先は、箱根町ならではの質問にどう備えるかがポイントです。

合否を分けるのは箱根町消防本部に固有の質問

「消防官という仕事を意識したきっかけと、警察官や自衛官ではなくこの道を選んだ理由を教えてください」
「箱根町消防本部を志望する理由と、箱根山という活火山を抱える地域で働くことについて、どう考えていますか」

1問目は消防という仕事そのものへの理解を、2問目は箱根町という地域特有の火山リスクへの理解を確かめる質問です。

後者は、火山があるという事実を知っているだけでなく、それが消防の仕事にどうつながるかまで自分の言葉で語れるかが分かれ目になる質問です。面接で使いやすい「箱根の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい箱根の事実答え方のヒント
箱根山の火山リスク直近では平成27年にごく小規模な水蒸気噴火が発生。現在の警戒レベルは1(第1部3章・第1部4章)「大噴火」等の誇張をせず、事実にもとづいて落ち着いて説明できると信頼感が伝わります
組織の役割火山避難計画の中で、箱根町消防本部は情報の収集・伝達や救助活動、道路規制、林野火災の消火を担う(第1部3章)避難指示等を発令する町とは役割が違うことを理解していると、地域理解の深さが伝わります
観光地としての体制人口10,719人に対し消防吏員103名という手厚い体制(第1部2章)観光客への対応も含めた体制であることを踏まえて説明できると具体性が増します

使い方のコツは、3つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防士としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

箱根町は試験の段階と種目を公表していますが、配点までは公表していません。第二次試験の中に集団面接・個人面接の2つの形式が組み込まれている構成から、集団での振る舞いと個人としての深掘りの両方が確かめられると読み取れます。

あわせて、公務員の採用面接で広く使われるコンピテンシー評価という考え方も、あらかじめ知っておくと準備が組み立てやすくなります。箱根町が公表する3つの人物像を、面接準備の物差しとして次のように整理しました。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
向上心・使命感与えられた役割にとどまらず、自分から学び続けてきた経験があるか目標に向けて努力を重ねた経験を、結果だけでなく過程まで語れるようにする
自ら考えて行動する力集団の中で、指示を待つだけでなく自分で判断して動いた経験があるか集団面接では特に、周囲との関わり方まで意識して受け答えする
地域への愛着数ある消防本部の中から箱根町を選んだ理由を、具体的に語れるか火山リスクや観光地としての特性と、自分の関心を結び付けて説明する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 箱根町職員採用試験案内を読み、消防士の欄を中心に受験資格と居住要件を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。自ら課題を見つけて行動した経験を、部活動やアルバイトから1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。第一次試験の体力試験に向けたトレーニングも並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で箱根町の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。第二次試験には集団面接が含まれますので、集団の中での振る舞い方も意識して練習しておきましょう。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、箱根町消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

箱根町消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。求める人材像が明確に公表されている試験だからこそ、その3項目に沿った準備を早めに進めておくと安心です。

箱根町消防本部の想定問答集を見る

さいごに

箱根町消防本部は、箱根町が単独で設置する103名体制の消防本部です。試験は教養・性格・適性・作文・体力からなる第一次を経て、集団面接と個人面接を含む第二次で人物が確かめられる構成で、町は「箱根町を想う。その気持ちが、仕事になる。」を掲げて求める人材像を公表しています。

また、活火山である箱根山を抱え、観光地としての賑わいと火山災害への備えの両方に向き合うこの組織の実情を踏まえたうえで、自分の経験のどこが結びつくのかを言葉にしていってください。求める人材像がはっきり示されている試験だからこそ、その言葉を自分なりに読み解き、これまでの経験と重ね合わせながら面接での回答に落とし込んでいきましょう。