本記事では、小田原市職員採用試験の面接対策で必要な、小田原市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

小田原市役所の面接試験では、「なぜ小田原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「あなたの強みを市政のどこで生かすのか」といった質問が想定されます。

小田原市は受験案内のなかで求める人物像を3つ明示しているため、評価の物差しが受験生の側にも見えている試験だといえます。

その物差しに自分の経験をどう重ねるかを考えながら、本記事の内容を回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

小田原市の特徴

志望動機を組み立てる前に、小田原市がどんな輪郭をもった市なのかを確認しておきましょう。ここだけでも読んでおくと、市政の話題に接続しやすくなります。

  • 神奈川県の西部に位置し、8つの市町と境を接する県西地域の拠点都市。隣接するのは南足柄市、二宮町、大井町、開成町、中井町、箱根町、真鶴町、湯河原町。
  • 市域は113.60平方キロメートル。神奈川県内の19市では横浜市・相模原市・川崎市に次ぐ4番目の広さで、政令指定都市3市を除けば県内で最も広い市域をもつ。
  • 人口は18万5,424人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。人口密度は1,632人/平方キロメートルで、県内19市のなかでは低い側にあたる。
  • 高齢化率は31.2%で、同じ調査の神奈川県全体(25.8%)を上回る。
  • 平成27年4月1日の改正地方自治法施行の時点で特例市だったため、現在は施行時特例市に位置づけられている。
  • 中核市への移行を庁内で検討したが、平成31年度末までの移行は見送られた。背景には、平成28年10月に始まった南足柄市との「中心市のあり方」に関する協議がある。
  • 市の花はウメ、市の木はクロマツ。神奈川県の農業産出額ではうめとキウイフルーツが全国4位で、その主産地は県西部にあたる。
  • 隣接する箱根町を含む箱根エリアの入込観光客数は、令和6年で3,377万人。県西の玄関口という立地が、市の産業にも生活にも影響している。

小田原市の基礎データ

面接で統計値を細かく暗記している必要はありません。ただし、自分が働こうとしている市がどのくらいの規模なのかを言葉にできることは、志望度の見え方を左右します。

下の表は、人口と年齢構成に、113平方キロメートルを超える市域と8つの隣接市町という条件を並べたものです。小田原市の話は、この2つの軸から始まります。

項目内容
総人口185,424人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
高齢化率(65歳以上)31.2%(神奈川県全体は25.8%)
75歳以上の割合18.5%(神奈川県全体は15.4%)
総面積113.60平方キロメートル(県内19市で4番目・政令指定都市を除けば最大)
人口密度1,632人/平方キロメートル(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体8市町(南足柄市、二宮町、大井町、開成町、中井町、箱根町、真鶴町、湯河原町)
市の花・市の木ウメ・クロマツ
市役所の所在地小田原市荻窪300番地

総人口・高齢化率・75歳以上の割合は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。面積・隣接自治体は当研究会が整理した基礎データによるもので、人口密度は上記の総人口を総面積で割って算出した値です。住民基本台帳による集計と国勢調査は調査の方法が異なるため、後述する国勢調査ベースの県の数値とそのまま突き合わせることはできません。

数字から見えてくる市政の論点

まず目を引くのは年齢構成です。令和8年1月1日現在の高齢化率31.2%は、同じ調査による神奈川県全体の25.8%を5ポイント以上上回ります。

75歳以上の割合も18.5%で、県全体の15.4%より高い水準です。

同じ資料で県内19市を並べると、小田原市の高齢化率は6番目に高い位置にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在

もう一つは、広い市域と低い人口密度の組み合わせです。県内で4番目に広い市域に18万人台の人口が住んでいるということは、市街地から離れた地域まで含めて、交通や買い物、医療や介護の環境を維持しなければならないということでもあります。

面接では、この2つを重ねて現状認識を示すと、規模の紹介で終わらない答えになります。

「小田原市は人口が18万人台で、高齢化率は3割を超えています。県全体より5ポイントほど高い水準です。市域が広い分、中心部から離れた地域でも暮らしを続けられるかどうかが問われると考えていて、そこに関わる仕事に興味があります」

小田原市の経済・産業

県西地域の拠点という立地

小田原市の経済を語るうえで外せないのが、県西地域における位置です。市は8つの市町と接し、その先には箱根町や湯河原町といった観光地、山地の山北町方面が広がります。

神奈川県は33市町村(19市13町1村)で構成されており、県西部は面積が広く人口密度の低い自治体が多い地域です。

そのなかで、人口18万人台という規模をもつ小田原市は、商業や医療、交通の結節点としての役割を担うことになります。

市役所の仕事を考えるうえでも、「自分の市の住民だけを相手にしていればよい市ではない」という前提は押さえておきたいところです。

神奈川県の産業構造のなかで見る

市単位の経済統計は限られるため、面接では県全体の構造を押さえたうえで市の位置づけを語るのが現実的です。

令和5年度の神奈川県の名目県内総生産は37兆3,313億円(前年度比5.4%増)、1人当たり県民所得は334万9千円でした。

経済活動別の構成は第3次産業76.5%、第2次産業22.6%、第1次産業0.1%です。(出典:令和5年度神奈川県県民経済計算

業種別に見ると、県内総生産に占める割合が最も大きいのは製造業(18.3%)で、不動産業(17.5%)が続きます。

サービス経済化が進みつつ、製造業が最大の柱として残っているのが神奈川県の姿です。

小田原市を志望する場合も、この県全体の骨格の上に、県西という地域の事情を重ねて説明できると説得力が増します。

なお、製造業を細かく見ると、神奈川県の製造品出荷額等は2023年実績で18兆4,795億円と全国4位で、輸送用機械が21.8%、石油・石炭製品が13.7%、化学が11.1%を占めます。県内の製造業の従業者数は36万1,006人です。

観光と農業という県西の資源

神奈川県の令和6年(1月から12月)の入込観光客数は延べ2億806万人で、前年比8.9%増と過去最高を更新しました。

エリア別では横浜・川崎が7,887万人、湘南が5,036万人、箱根が3,377万人、三浦半島が1,627万人です。

小田原市は箱根エリアに隣接する位置にあり、観光客の流れがそのまま通り過ぎるのか、市内で滞在や消費につながるのかは、市の産業政策に直結する論点です。(出典:令和6年神奈川県入込観光客調査

農業では、神奈川県の令和6年の農業産出額744億円のうち、うめとキウイフルーツがそれぞれ全国4位に入り、その主産地は県西部です。

小田原市の市の花がウメであることも、この地域の農の歴史と無関係ではありません。

県全体では農家一戸当たりの耕地面積が0.84ヘクタール(全国平均2.5ヘクタール)と小さく、集約型の都市農業という性格をもっています。

担い手の確保や販路づくりは、市の農政の現場で扱われるテーマです。(出典:神奈川県の農業概要|令和7年

小田原市の主な行政課題

ここまでの数字を、面接で使える課題の形にほぐしておきます。「市の課題は何だと思いますか」という質問に対して、次の5つのうち自分の関心に近いものを1〜2つ選び、深く語れるようにしておきましょう。

人口減少局面への転換と高齢化の進行

神奈川県全体の人口は、令和7年国勢調査の速報値で9,193,657人となり、前回の令和2年調査から43,680人(0.5%)減りました。

神奈川県は、この5年間で増加から減少へ転換した6府県の一つです。

県が策定した新かながわグランドデザインの基本構想も、2040年頃に団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者数と高齢化率がそろってピークに達し、県の総人口は900万人を割り込むとの見通しを示しています。

県平均より高齢化が進んでいる小田原市にとっては、この転換がより早く実感される形で現れます。(出典:令和7年国勢調査人口速報集計|神奈川県の結果

広い市域で暮らしを支え続けること

県内で4番目に広い市域と、19市のなかでは低い人口密度という条件は、生活を支える機能の維持を難しくします。

神奈川県も基本構想の骨子で、空き家や空き店舗が増える「都市のスポンジ化」を背景に、地域コミュニティや経済活動の衰退が予測されると指摘しています。

移動手段の確保も同じ文脈にあり、県は地域公共交通の課題に対して「かなライド」と呼ばれる神奈川版ライドシェアなどの取り組みを進めています。

市の窓口では、こうした地域差のある課題に、地区ごとの事情を踏まえて向き合うことになります。

大規模地震と県西部の災害リスク

神奈川県は、県内に影響を与える6つの想定地震について被害想定調査を行っています。その一つが神奈川県西部地震で、小田原市を含む県西部が想定の中心となる地震です。

県全体で最も被害が大きいとされる大正型関東地震では、冬の18時に発生した場合の想定として死者19,780人、建物全壊303,300棟、最大避難者数2,365,850人という数字が示されています。

相模湾に面する小田原市では、揺れに加えて津波への備えも論点になります。(出典:神奈川県地震被害想定調査

広域のなかで市の枠組みをどうするか

小田原市は施行時特例市として、中核市への移行を庁内で検討してきました。平成27年6月に中核市移行推進本部を設置し、平成28年3月には基本計画案の骨子を公表しています。しかし平成28年10月から南足柄市との「中心市のあり方」に関する協議が始まったことで単独移行の検討は休止となり、市は「平成31年度末までの中核市への移行を見送ることとしました」と説明しています。市の権限や枠組みそのものを市自身が問い直してきた経緯は、他の市にはない小田原市の論点です。

観光と農の力を市内の経済に取り込む

県西部には箱根エリアという大きな観光の集積があり、県全体の入込観光客数も令和6年に過去最高を更新しています。一方で、県の観光消費額の調査は市町村ごとに実施状況が異なり、市町村別の上位には藤沢市、鎌倉市、箱根町が並びます。

訪れる人の流れを市内の宿泊や飲食、農産物の購入にどう結び付けるかは、産業振興の実務的なテーマです。

志望分野が観光や産業であれば、「人を呼ぶ」から一歩進んで「市内にお金と仕事を残す」という視点まで用意しておきましょう。

市政の方向|中核市をめぐる判断と広域連携

小田原市の総合計画や最新年度の施政方針は、年度ごとに更新されます。志望動機に直結する部分なので、市公式サイトで現行版に目を通し、自分の関心と重なる施策を具体的に確認しておいてください。ここでは、その手前にある「市がどんな判断をしてきたか」を押さえます。

中核市への移行を見送った判断

市が公表している「中核市への移行に対する本市の考え方」には、検討の経過が時系列で整理されています。庁内に中核市移行推進本部を設けて基本計画案の骨子まで進めながら、南足柄市との協議を優先して単独移行の検討を休止し、結果として平成31年度末までの中核市への移行を見送る判断に至ったという流れです。同じ資料には、その南足柄市との協議も終結したことが記されています。(出典:中核市への移行に対する本市の考え方|小田原市

ここで注意したいのは、この経緯を「移行の準備が進んでいる」と読み替えないことです。公表されているのは見送りの判断までで、その後の方針は最新の市の発表で確認する必要があります。

面接で触れる場合は、結論の当て推量ではなく、市が広域のなかでの立ち位置を真剣に検討してきたという事実のほうを語りましょう。

県の長期構想が示す前提

市の判断の背景には、県全体の見通しがあります。新かながわグランドデザインの基本構想は、神奈川においても人口減少局面に入り、超高齢社会の到来が現実のものとして訪れ始めていると現状を整理しています。

県西部はその変化が先に表れる地域であり、市単独で完結しない課題が増えるという前提は、日々の業務の考え方にも影響します。(参考:新かながわグランドデザイン|神奈川県

POINT|「関心のある分野」を一つに絞って掘る

市の施策を広く浅く覚えるより、関心のある分野を一つ選び、その分野で市が何に困り、何をしようとしているかを追いかけるほうが面接では強くなります。話す順番は、現状の数字、市の対応、自分ならどう関わりたいか、の3段です。

悪い例「小田原市の高齢者福祉に貢献したいです」

改善例「小田原市は高齢化率が3割を超えていて、市域も広いと聞きました。中心部から離れた地域でも介護や見守りのサービスが届く仕組みづくりに、窓口や地域の団体とやりとりする立場で関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

全部を読む必要はありません。志望動機に関係するものを選び、要点を自分の言葉で言い直せる状態にしておきましょう。

  • 小田原市職員採用試験の受験案内(最新年度・受験する区分のもの)
  • 小田原市の総合計画と、最新年度の予算や市政運営に関する資料
  • 中核市への移行に対する本市の考え方(広域連携の経緯がまとまっている)
  • 関心分野の個別計画(福祉、防災、産業振興、都市計画など)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、小田原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。小田原市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

小田原市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

小田原市役所の面接の概要

ここからは、公表されている受験案内と当研究会の分析をもとに、小田原市役所の試験の形式、質問の全体像、評価の観点を整理します。

小田原市役所の試験の流れ

令和8年度の前期試験は、第1次から第3次までの3段階で構成されています。特徴的なのは第1次の中身で、最初の関門から録画面接が課され、3つの段階すべてに人物を見る種目が置かれている点です。一般事務をはじめとする多くの区分では、受験案内の試験種目に教養試験は挙げられていません。

項目内容(令和8年度前期・一般事務等)
試験の段階第1次、第2次、第3次の3段階
第1次試験録画面接とウェブ適性検査(いずれもオンライン)
第2次試験個別面接
第3次試験グループワークと個別面接(会場は小田原市役所)
録画面接とは出題された質問にスマートフォン等で回答動画を撮影してアップロードする方式。撮り直しは何度でも可能
対面の面接回数個別面接が2回(第2次・第3次)。第1次の録画面接はこれとは別の種目
適性検査能力適性検査と性格適性検査の2種。能力適性検査は「事前の公務員試験対策を必要としない内容です」と案内に明記
集団形式集団討論の実施記載はなく、第3次のグループワークのみ
提出書類原則インターネット申込。案内には「履歴書等の紙媒体での書類の郵送や提出は不要です」と記載
配点非公表。試験結果の開示項目は適性検査及び専門試験の得点等のみ

上記は令和8年度小田原市職員採用試験(前期)の受験案内にもとづく、一般事務などの区分の構成です。技術職や学芸員は第2次に専門試験があり第3次のグループワークがない、保育士・幼稚園教諭は第2次に論文試験があるなど、区分によって内容が異なります。試験の構成・日程・実施区分は年度によって変わる可能性があるため、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。(出典:令和8年度小田原市職員採用試験(前期)受験案内

配点が公表されていない以上、「面接が何割を占める」といった断定はできません。ただし、第1次で録画面接、第2次で個別面接、第3次でグループワークと個別面接という並びを見れば、受け答えと振る舞いを確かめる場が繰り返し用意されていることは読み取れます。同じテーマを別の面接官から角度を変えて聞かれる前提で準備しておきましょう。令和8年度前期の採用予定人員は、一般事務Aが30人程度と示されています。

申込は原則としてインターネットのみで、申込時に職歴や志望動機などを入力します。受付期間中はエントリーシートを修正できますが、期間が終わるとマイページからは直せません。面接で話す内容と申込時の記載が食い違わないよう、入力の段階で答えの方向をそろえておきましょう。

小田原市役所が求める人物像

小田原市は、全試験区分に共通する求める人物像を受験案内で3つ示しています。「情熱をもって職務に取り組むことができる人」「自ら考えて行動することができる人」「課題や目標に果敢にチャレンジすることができる人」の3点です。抽象的に見えますが、面接での評価はここに紐づくと考えて差し支えありません。

以上は市が公表している文言です。ここからは、当研究会が同じ規模帯の市役所を見てきた経験からの補足になります。

人口18万人台で、県西の8市町と接する広い市域を抱える市役所では、一つの部署が扱う範囲が大きな組織ほどは細分化されにくく、制度の運用と現場のやりとりの両方に同じ職員が関わる場面が出やすくなります。

地区ごとに人口密度も生活の形も違うため、同じ説明が全ての相手に通じるとは限りません。

こうした環境では、知らない分野でも自分で調べて理解しようとする姿勢と、相手に合わせて説明を組み替えられる柔らかさが、選考の場でも重く見られやすいはずです。

小田原市の場合、公表された3つの人物像はこの環境とよく重なります。「自ら考えて行動する」は指示待ちでない仕事の進め方を、「果敢にチャレンジする」は中核市の検討のように前例のない判断を扱ってきた市の姿勢を、それぞれ映しているとも読めます。自己PRでは資質の名前を挙げて終わりにせず、その資質が実際に動いた場面を一つ選び、そこで自分が下した判断と、話がどう決着したかまで話しましょう。応募先ごとに人柄を作り直す発想は、ここでは要りません。すでに持っている経験を、この市の仕事の進み方に合う言葉に置き換えるだけで十分です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。小田原市の面接も、この見取り図の上で準備すれば大きな抜けは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷いませんでしたか?準備してきた文章ではない、素の受け答えのトーン
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間企業でも実現できる動機で止まっていないか
③ 自己理解あなたの短所を教えてください自分を客観視できているか。短所との付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も苦労した経験を教えてください苦労の大きさではなく、その場で何を考えどう動いたか
⑤ 学業・経歴専攻や研究の内容を簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ言い換える力
⑥ 適性・将来入庁後はどんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の細かさと、配属が希望どおりでない場合の受け止め方
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースはありますか?社会の動きへの関心と、自分の意見を短く言えるか

ただし、この7カテゴリーは小田原市に限らずどこの官公庁でもほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここだけでは差がつきません。差が出るのは次の「小田原市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「小田原市役所ならでは」の質問

「なぜ神奈川県庁ではなく、小田原市役所なのですか?」
「小田原市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも、市の現状を知らなければその場では答えようがない質問です。裏を返せば、材料を持って臨んだ受験者だけがはっきり差を示せる質問でもあります。以下に、小田原市について押さえておきたい事実と、それを回答へ変える方向を整理しました。

質問テーマ知っておきたい小田原市の事実答え方のヒント
市の規模と市域人口18万5,424人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。面積113.60平方キロメートルは県内19市で4番目で、政令指定都市を除けば最大人口の規模と市域の広さをセットで示し、「行政サービスを届ける距離が長い市」という読み方まで一言添えます
なぜ県庁ではなく市役所か中核市への移行を検討したうえで見送り、南足柄市との中心市協議も経験している。市の枠組みを市自身が検討してきた制度の説明で終わらせず、住民に近い立場で判断に関わりたいという自分の希望に接続させます
高齢化の現在地高齢化率31.2%、75歳以上18.5%。県全体の25.8%、15.4%を上回る「高齢化が進んでいる」で止めず、広い市域とあわせて、支える仕組みをどこまで届けるかという話に展開します
防災県が想定する6つの地震の一つが神奈川県西部地震。相模湾に面し津波の想定もある想定の名称を出したうえで、市の備えへの理解と、自分が生活者としてできることを両方語ります
市の魅力箱根エリアの入込観光客数は令和6年で3,377万人。県のうめとキウイフルーツは全国4位で主産地は県西部観光地の紹介ではなく、その人の流れや農産物を市内の経済にどう残すかという視点を示します

表の5行を丸ごと頭に入れる必要はありません。自分の志望分野に近い行を決め、そこに並ぶ事実から自分の考えへ、さらに市職員として関わりたいことへと、話が自然に流れる順番を作っておいてください。

想定される評価の観点

面接は、公表された人物像に照らして「これまで実際にどう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が土台にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と、その行動をまた再現できるかどうかが見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
情熱をもって職務に取り組む関心の対象が本物か。志望分野について、どこまで自分で調べ、考えてきたか録画面接では表情と声の熱量が最初に伝わります。志望分野の話題を、原稿を読まずに1分話せる状態にしておく
自ら考えて行動する誰かに指示される前に動いた経験があるか。動いた結果をどう見直したか広い市域を抱える市の窓口では、前例のない相談も持ち込まれます。自分で判断して動いた場面を、判断の理由まで説明できるようにする
課題や目標に果敢にチャレンジするうまくいかない可能性のあることに取り組んだ経験と、その後の向き合い方中核市の検討のように、答えが一つに決まらない課題を扱う市です。結果が出なかった経験も、次に何を変えたかまで話せるようにする

公務員の個人面接では、一つの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられることが多くあります。小田原市は個別面接が2回あるうえ、その前に録画面接で一度話しています。細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、実際の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内で、自分が受ける区分の試験構成を確認する。小田原市は区分によって第2次・第3次の内容が変わるため、他の区分の情報で準備しないこと
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業、課外活動、アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の対応表から材料を集め、事実、問題意識、やりたいことをひと続きの話に編む
  6. 録画面接に備えて、スマートフォンで自分の受け答えを撮って見返す。撮り直しができる分、話す速さと視線の置き方まで整えておく

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、他の受験者と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に終わらせてください。自分のことを語れないまま市の知識だけを増やしても、評価には結び付きません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、小田原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

小田原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

小田原市役所の想定問答集を見る

さいごに

小田原市の試験は、最初の関門から録画面接が置かれ、その後も個別面接が2回続きます。

話し方を整えるだけでは足りず、何度聞かれても崩れない中身が要ります。

県内で4番目に広い市域と、3割を超える高齢化率という条件のなかで、自分はどの仕事に手を挙げたいのか。

市が公表した3つの人物像を横に置きながら、その答えを自分の材料で組み立てていきましょう。皆さんの受験がよい結果につながることを願っています。