本記事では、横浜市職員採用試験の面接対策で必要な、横浜市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

横浜市役所の面接試験では、「なぜ横浜市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、横浜市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と横浜市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

横浜市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは横浜市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 神奈川県の県庁所在地であり、18の行政区で構成される政令指定都市
  • 人口は約375万人。令和7年国勢調査の人口速報集計では東京都特別区部(23区)に次ぐ規模で、市としては全国最大となる。
  • その令和7年国勢調査の速報値では、前回調査から0.6%減となり、はじめて人口減少に転じた。一方、20〜40代の社会増加(転入超過)は過去20年で最大となっており、働く世代の流入は続いている。
  • 日本の近代化に大きく貢献した横浜港を擁し、現在も日本を代表する国際貿易港のひとつ。コンテナ取扱個数は直近10年間で最多を更新している。
  • 都心臨海部のみなとみらい21地区には企業と働く人の集積が進み(就業者数は過去最多を更新)、業務・商業・観光が一体となった都心を形成している。
  • 赤レンガ倉庫や山下公園などのウォーターフロントを中心に観光都市としての性格も強く、観光入込客数・観光消費額はともに統計開始以降の過去最高を更新している。
  • 2027年には、旧上瀬谷通信施設の跡地でGREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)の開催が予定されている。
  • 市財政は余裕のない状況が続いている。市民サービスの維持・充実と両立させるため、歳出改革と財源創出が続けられている。

横浜市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「横浜市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、経済規模、行政区構成など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口約375万人(市としては全国最大)
年少人口(0-14歳)約41万人(11.2%、全国値11.2%)
生産年齢人口(15-64歳)約233万人(63.4%、全国値59.6%)
老年人口(65歳以上)約93万人(25.5%、全国値29.3%)
総面積約438km²(神奈川県の約18%)
総世帯数約179万世帯(過去最多)
行政区数18区
名目市内総生産約15兆2,130億円(県内シェア40.8%)

総人口・総面積・総世帯数は令和7年国勢調査速報値(令和7年10月1日現在)、年齢別人口は横浜市の推計人口(令和7年1月1日現在)、市内総生産は令和5年度の横浜市民経済計算による数値です。年齢別人口の全国値は総務省「人口推計」の令和6年10月1日現在(確定値)の値です。年少・生産年齢・老年の3区分は推計人口(令和7年1月1日現在)にもとづく値で、総人口として掲げた国勢調査速報値(令和7年10月1日現在)とは基準日も集計の系統も異なります。そのため3区分を足し合わせても総人口とは一致しません(この表では8万人ほどの開きがあります)。3区分の割合も、それぞれの系統の中での構成比としてお読みください。

数字から考えられる市政課題

横浜市は全国最大の市ですが、規模の大きさだけを強みと捉えるのは不十分です。年齢構成を全国と比べると、生産年齢人口の割合が高く老年人口の割合が低い「働く世代の多い大都市」ですが、老年人口のうち75歳以上は約55万人と6割近くを占め、すでに年少人口を上回っています。(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計(総務省)横浜市の推計人口|令和7年1月1日現在

また、世帯数は過去最多を更新する一方で、1世帯当たり人員は2.09人と過去最少です。

人口の減少と、単身・小規模世帯の増加が同時に進んでいます

この二つを一続きにして話せると、規模の紹介で終わらない現状説明になります。

「横浜市は約375万人が暮らす全国最大の市ですが、令和7年国勢調査の速報値でははじめて人口が減少に転じました。今後は、転入してくる働く世代に選ばれ続けると同時に、増えていく高齢の市民や単身世帯の暮らしを支える行政サービスとの両立が重要になると考えています」

横浜市の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 名目市内総生産は約15兆2,130億円(令和5年度・前年度比4.7%増)。県内総生産に占めるシェアは40.8%で、全国の総生産の2.6%を1つの市で生み出している。
  • 1人当たり市民所得は345万7千円(令和5年度)。
  • 産業別の構成は第三次産業86.9%・第二次産業12.2%・第一次産業0.0%。全国有数の大都市らしいサービス経済型の構造。
  • 業種別の構成比は不動産業(18.3%)が最大で、卸売・小売業(13.6%)、研究開発などを含む専門・科学技術、業務支援サービス業(12.4%)が続く。

つまり、「第三次産業が9割近くを占め、最大の業種は不動産業」という都市型の産業構造を押さえておくと、経済活性化や雇用の話題に対応しやすくなります。住宅・オフィスの集積そのものが横浜経済の土台になっている、と読み替えることもできます。(出典:横浜市民経済計算|令和5年度

事業所と雇用

民営事業所数は116,479事業所で、全国の市では大阪市・名古屋市に次ぐ3番目。従業者数は約153万人と大阪市に次ぐ2番目の規模です(令和3年経済センサス‐活動調査)。

事業所数・従業者数とも最多の産業は卸売業・小売業で、医療・福祉の従業者は5年前より約3万人増と伸びが目立ちます。

雇用の受け皿の大きさと、福祉分野の人材需要の高まりは、雇用・労働の話題で使える視点です。(出典:経済センサス‐活動調査の横浜市集計|令和3年

みなとみらい21地区と都心の集積

横浜駅から関内へつながる都心臨海部の中核が、みなとみらい21地区です。就業者数は約14万7,000人と過去最多を更新し、事業所数は約2,050社(令和7年12月時点)。

令和7年の年間来街者数は約1億180万人(推計値)にのぼり、企業の本社・研究開発拠点と、MICE(国際会議や展示会などのビジネスイベント)・商業・観光の機能が重なり合っています

面接で企業誘致やにぎわい創出を語るときは、この地区を具体的な舞台として押さえておきましょう。(出典:みなとみらい21地区の就業者数・来街者数|令和7年

横浜港と物流

横浜港の令和6年のコンテナ貨物量は前年比6.4%増の4,598万トン、取扱個数は308万個で2年連続の300万個超・直近10年間で最多となりました。

横浜市中期計画2026〜2029も、国際基幹航路の維持・拡大による横浜港の国際競争力強化を産業政策の柱に位置づけています

港湾・物流の仕事を志望する場合はもちろん、災害時の物流網の強靭化といった防災の話題にもつながる素材です。(出典:横浜港のコンテナ取扱状況(年間速報)|令和6年

観光業

2025年の観光入込客数(実人数)は3,915万人、観光消費額は5,077億円で、ともに統計開始以降の過去最高を更新しました。

消費額の内訳は宿泊分2,773億円・日帰り分2,304億円と宿泊分が過半を占めます。

市は観光をにぎわいづくりにとどめず、横浜経済の成長の柱の一つと位置づけており、GREEN×EXPO 2027はその試金石です。

観光を語るなら「名所の紹介」ではなく「観光消費をどう市内経済に波及させるか」という視点で準備しましょう。(出典:横浜市観光集客指標|2025年

横浜市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、横浜市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少局面への転換と少子高齢化

横浜市の将来人口推計(中位推計)では、人口のピークは2021年で、2070年には約2割減の約301万人となる見通しです。

65歳以上人口は2047年にピークを迎え、人口の約35%に達します。

20〜40代の転入増という追い風があるうちに、子育て・住まい・教育・医療介護の基盤を整え、「選ばれる都市」であり続けられるかが問われています。(出典:横浜市将来人口推計

大規模地震への備え

市の被害想定が主たる想定地震とするのは、元禄型関東地震(マグニチュード8.1・市内最大震度7)です。

津波は慶長型地震を想定し、満潮時には海抜約4.9メートルまでの浸水が見込まれています。

想定される避難者は約57万7,000人、帰宅困難者は約45万5,000人。

375万人都市の避難と帰宅困難者対策は桁違いの規模になるため、市は避難所となる体育館へのエアコン設置やトイレの洋式化、全避難所での応急給水施設の整備、中学生向け防災教育などを進めています。

余裕のない財政と行政運営の改革

令和6年度決算の経常収支比率(毎年決まって入る収入が、人件費など毎年固定的にかかる支出でどれだけ埋まっているかを示す指標)は99.0%で、自由に使える財源はごくわずかです。

財政の健全性を測る国の基準そのものは下回っているものの、市は財源不足を補ってきた減債基金の臨時活用を段階的に縮減し、2030年度までの脱却を掲げています。

令和8年度も1,280件・212億円の財源創出を進めており、「何かを増やすには何かを見直す」財政の下で優先順位を判断する力が、市職員に求められています。

脱炭素と循環型都市への移行

中期計画は、温室効果ガス排出量を2030年度までに半減(2013年度比50%削減)させるハーフカーボンの達成を確実なものにすることを掲げています。さらに横浜市は、生産・消費・再資源化のあらゆる段階で循環を生み出す「YOKOHAMA CIRCULAR LINK」を展開し、アジア版の「循環型都市宣言制度」の創設を国際機関に呼びかけて実現させるなど、環境政策で国内外の都市をリードする立場を意識しています。環境分野を志望するなら、脱炭素と経済成長を両立させる視点まで踏み込みましょう。

県との二重行政と「特別市」構想

横浜市は、県と市が同じような仕事を重ねて担う二重行政の解消を課題に挙げ、新たな大都市制度「特別市」の早期実現を市政運営の基本方針に明記しています。

国でも第34次地方制度調査会が発足し、大都市制度を含む地方制度のあり方の議論が動き始めました。

この論点は、面接の定番質問「なぜ県庁ではなく市役所なのか」に直結します

県と市の役割の違いを自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

横浜市の重点政策|横浜市中期計画2026〜2029

横浜市の市政運営の基本方針となる4か年計画は「横浜市中期計画2026〜2029」(令和8年6月に議会の議決を経て確定)です。計画の最上位には長期ビジョンである横浜市基本構想があり、中期計画は、共にめざす都市像「明日をひらく都市」のもと、「市民生活の安心・安全」と「横浜の持続的な成長・発展」の2つの戦略、14の政策群・33の施策群、施策横断の「明日をひらく都市プロジェクト」で構成されています。(出典:横浜市中期計画2026〜2029

計画を貫く考え方

この計画の特徴は、「市民の実感」を最上位の目標に据えたデータ駆動型の市政運営への移行を宣言している点です。

受験生としては、①市民の声を聴く(無作為抽出の市民調査やデジタルプラットフォーム)②声を政策に転換し、KPIを設定して検証する ③成果を「治安の良いまちだと感じるか」といった市民の実感で評価する、という3段階の流れで理解しておくとよいでしょう。

「市民目線」という言葉を、仕組みにまで落とし込んでいるのが横浜市の市政運営です。

14の政策群と3つのプロジェクト

政策群扱う主な分野
1 毎日の安心・安全防犯、歩行者の安全、インフラ施設の安全確保
2 防災・減災地震防災対策、風水害対策
3 医療・保健医療・救急・保健、がん検診
4 こども・子育て子育て支援、保育・幼児教育、こどもの体験機会・居場所
5 教育教育環境の整備、学びの環境づくり、学力の向上、教職員
6 高齢・長寿高齢者支援、介護人材の確保
7 障害児・者障害児・者支援、インクルーシブなまちづくり
8 暮らし・コミュニティ地域の生活環境、多文化共生、困難を抱えた人の支援
9 交通市民の移動手段の確保、地域公共交通
10 にぎわい・スポーツ・文化観光・MICE、スポーツ、文化芸術
11 産業経済成長、スタートアップ支援、地域産業
12 まちづくり都心部・臨海部のまちづくり、郊外部のまちづくり
13 環境との共生カーボンニュートラル、GREEN×EXPO 2027、循環型社会
14 みどり公園・動物園、都市農業、みどりの保全と創出

これらに横串を通すのが「明日をひらく都市プロジェクト」の3テーマ(①循環型都市への移行 ②観光・経済活性化 ③未来を創るまちづくり)で、2040年の横浜の姿までを見据えた成長のエンジンと位置づけられています。面接では、自分の取り組みたい仕事がどの政策群に位置づくのかを一言添えられるだけで、市の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

令和8年度の市政運営のポイント

令和8年度の一般会計当初予算は2兆993億円(前年度比5.8%増)、全会計の総計は4兆700億円です。予算案は、安心・安全な暮らし、子育て世代への支援、暮らしの快適さ、都市の持続的な成長・発展という4つの柱に沿って組み立てられています。

施策では、中学校全員給食の開始(約8万人)、小学校給食の実質無償化小児医療費助成の18歳までの拡大など、子育ての時間的・経済的なゆとりを広げる事業が目立ちます。一方で、歳出改革による財源創出を続けるなど、財政規律との両立も貫かれています。(出典:令和8年度の市政運営の基本方針と予算案について|令和8年2月

POINT|33の施策群をすべて暗記しなくてよい

名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「横浜市の子育て支援に携わりたいです」

改善例「中学校全員給食や横浜独自の一時預かりのような、子育ての時間やお金のゆとりを広げる取り組みを、利用する親子の声を聞きながら改善していく仕事に携わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

どこから手をつけるか迷ったら、下の4点から始めてください。横浜市は公表資料が多く、順番を決めずに開くと時間だけが過ぎていきます。

  • 横浜市職員採用試験の受験案内(最新年度)/職員採用のパンフレット・仕事紹介
  • 横浜市中期計画2026〜2029(概要版)
  • 最新年度の予算・市政運営の基本方針に関する資料/関心分野の個別計画
  • 横浜市統計ポータルサイト(推計人口・市民経済計算・観光集客指標などの統計を分野別に収録)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、横浜市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。横浜市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

横浜市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

横浜市役所の面接の概要

ここからは、横浜市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

横浜市役所の面接の流れ

横浜市の大学卒程度等・事務区分は、三段階選抜の後半2段階がどちらも個別面接という構成です。

しかも、最終合格を決める総合660点のうち、面接Ⅱだけで600点という配点で、筆記の得点差は最終盤でほとんど持ち越されません。

面接の準備がそのまま結果に直結する試験だといえます。

項目内容(令和8年度・大学卒程度等・事務区分)
試験の段階三段階選抜。第一次試験 → 第二次試験(面接Ⅰ)→ 第三次試験(面接Ⅱ)と、段階ごとに合格者を絞り込みます
筆記試験教養試験(択一式50問・2時間30分)。論文(750字以内・1時間)は第二次試験の科目ですが、第一次試験日に実施され、採点は第一次合格者のみ行われます
面接の種類個別面接が2回(面接Ⅰ・面接Ⅱ)
集団形式なし(事務区分の試験科目に集団討論・グループワークの記載はありません)
配点第一次=教養試験510点。第二次=面接Ⅰ200点+論文100点。第三次=総合660点(教養15点・面接Ⅰ30点・論文15点・面接Ⅱ600点)
提出書類申込時にインターネット受付でエントリーシートを提出。「面接カード」という名称の様式は受験案内に記載がありません

注目してほしいのは、第三次試験での配点の圧縮のされ方です。

それまでの科目の得点は小さく圧縮され、面接Ⅱが総合660点の9割超を占めます。

加えて、どの段階でも、基準に達しない試験科目が1つでもあれば他の成績にかかわらず不合格となります。

個別面接が2回ある試験では、1回目で人物の基礎を幅広く確認し、最終面接で志望度と考えの深さを突っ込んで確かめるのが一般的な役割分担です。

同じテーマを別の面接官から角度を変えて問われる前提で、暗記した答えの再生ではなく、掘り下げに耐える準備をしておきましょう。

上記の試験構成は、横浜市の令和8年度受験案内にもとづく大学卒程度等・事務区分のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

横浜市役所が求める人物像

横浜市の受験案内には、他の自治体でみられる定型の「求める人物像」にあたる記載は確認できません(当研究会調べ)。そこで、市政運営の最上位方針である横浜市中期計画2026〜2029と、令和8年度の市政運営の基本方針から、面接で評価されやすい資質を読み解きます。

両者で繰り返し登場するのは、市民の声を聴いて政策に転換するという意味での「市民目線」、データ駆動型経営、そして縮小する社会での新たな挑戦です。

これを受験者の側から言い直すと、「市民目線で考える力」「データや事実に基づいて課題を解決する力」「変化に向き合い挑戦する姿勢」の3つが評価の軸になると考えられます。

自己PRでは「共感力があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、相手や周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。横浜市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?場慣れしているかではなく、不意の一言に自然に返せるか。素の表情と受け答えのトーン
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が自分の経験とつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。短所を認めたうえで、その付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください出来事の派手さではなく、行き詰まったときに何を判断材料にして次の手を選んだか
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学んだことを仕事へつなげる視点
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか

この7つを埋めれば土台はできます。ただしそれだけでは、数ある自治体の中から横浜市を選んだ理由の説明にはなりません。

その部分を埋めるのが、次の固有質問です。

合否を分けるのは「横浜市役所ならでは」の質問

「なぜ神奈川県庁ではなく、横浜市役所なのですか?」
「横浜市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

とくに1問目は、横浜市では他の市よりも重みのある質問です。第1部で見たとおり、県と市の役割の違いは市自身が正面から問い続けているテーマだからです。

2問目も、観光名所への賛辞と一般的な課題を並べるだけでは、600点が置かれた面接Ⅱの掘り下げには耐えません

どちらも、答えを支える材料はあらかじめ集めておけるものです。

面接で使いやすい「横浜市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい横浜市の事実答え方のヒント
人口の現在地令和7年国勢調査速報値の人口は375万4,840人と、市としては全国最大。一方、前回調査から0.6%減と、はじめて減少に転じた。20〜40代の社会増加は過去20年で最大「全国最大の市でも減少が始まった」という転換点と、働く世代の転入増の両面を押さえ、悲観でも楽観でもない現状認識を示します
なぜ県庁ではなく市役所か市は県との二重行政の解消を課題に挙げ、新たな大都市制度「特別市」の早期実現を市政運営の基本方針に明記制度論を暗記して披露するのではなく、市が担う仕事のどこに自分が惹かれたのかを、具体的な場面で説明できるようにしておく
市の総合計画「横浜市中期計画2026〜2029」(令和8年6月確定)。都市像「明日をひらく都市」のもと、14の政策群・33の施策群で施策を体系化やりたい仕事を14の政策群のどれかに位置づけて話せると、市の方向性を踏まえた志望だと伝わります
防災・危機管理市の被害想定の主たる想定地震は元禄型関東地震(マグニチュード8.1・市内最大震度7)。避難者は約57万7,000人と想定され、避難所となる体育館へのエアコン設置などが進む被害想定の規模感に触れたうえで、市の備えへの理解と、自助・共助で自分にできる行動をセットで語ります
横浜市の魅力2025年の観光入込客数3,915万人・観光消費額5,077億円はともに過去最高。2027年にはGREEN×EXPO 2027を旧上瀬谷通信施設の跡地で開催予定観光名所の列挙ではなく、市が魅力をどう経済の柱に育てようとしているかまで踏み込みます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

横浜市は定型の人物像こそ掲げていませんが、選考の設計は数字まで公表しています。評価の観点は、まずそこから読むのが確実です。

第三次試験の総合660点のうち600点が面接Ⅱに置かれ、それ以前の教養・論文・面接Ⅰは合わせて60点まで圧縮されます。

しかもどの段階でも、基準に達しない科目が一つあれば他の成績にかかわらず不合格です。

全科目で一定の水準を満たしたうえで、最後は一対一の対話の中身だけで順位が決まる設計だと読み取れます。

もう一点、公表資料の外側の話も添えておきます。自治体の採用面接で広く使われているのが、過去にとった行動の事実から採用後の再現性を見るコンピテンシー評価という考え方です。

横浜市がこの方法を明示しているわけではありませんが、面接Ⅱに600点を置く設計とは相性のよい枠組みだといえます。

先ほど中期計画から読み取った3点を、この設計に照らして具体化すると次のようになります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民目線で考える力相手が何を必要としているかを、自分で確かめてから動いた場面があるか市は市民の実感を最上位の目標に据えています。自分の経験でも、相手の反応がどう変わったかまで話せる出来事を選ぶ
データ・事実に基づく課題解決思い込みではなく、調べた事実を根拠に判断した経験があるか市政がKPIで検証する仕組みをとる以上、「何を見て、どう判断が変わったか」を数字や記録つきで語れると強い
変化への挑戦状況が変わったときに、自分から動き方を組み替えた経験があるか面接が2回ある試験です。1回目で話した挑戦を、2回目にさらに掘られても崩れない粒度まで思い出しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

横浜市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内を読み、試験の構成と、申込時に提出するエントリーシートの記入項目を確認する(面接での発言と食い違わないように)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、横浜市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

横浜市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

横浜市役所の想定問答集を見る

さいごに

横浜市の試験は、段階が進むほど筆記の比重が小さくなり、最終盤の合否は、総合660点のうち600点を占める面接Ⅱでほぼ決まります。

裏を返せば、面接Ⅱまで進んだ全員が、筆記の貯金をほとんど持たない同じ位置から最終選考に臨むということです。

全国最大の市が人口減少という転換点をどう越えようとしているのか、その仕事に自分のどんな経験が使えるのか

ここを自分の言葉にできるまで、経験の棚卸しと声に出す練習を重ねてください。

面接Ⅱの600点に見合うだけの準備を持って、本番の席に着いてください。