本記事では、相模原市職員採用試験の面接対策で必要な、相模原市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
相模原市役所の面接試験では、「なぜ相模原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、相模原市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と相模原市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
相模原市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは相模原市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 神奈川県内に3つある政令指定都市のひとつで、緑区・中央区・南区の3区で構成される。政令指定都市を3市抱えるのは全国で神奈川県だけである。
- 人口は約72万人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在で714,436人)。
- 市域は328.91km²と広い。神奈川県全体の面積2,416.55km²の約13.6%にあたる。
- 接している自治体は、県内が大和市・座間市・厚木市・愛甲郡愛川町・清川村・足柄上郡山北町。県外では東京都(町田市・八王子市・西多摩郡檜原村)と山梨県(上野原市・南都留郡道志村)の両方に接している。
- 人口密度は1平方キロメートルあたり2,172人。県全体(人口約919万人・面積2,416.55km²)を平均すると約3,800人になるため、市域に空間のゆとりがある市だといえる。
- 住民基本台帳に基づく高齢化率は26.9%(令和8年1月1日現在)で、75歳以上の割合は16.1%。
- 県の交通施策には、リニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)の建設や、神奈川東部方面線、かながわ交通計画などが位置づけられている。
- 市の花はアジサイ、市の木はケヤキ。市役所は中央区中央二丁目にある。
相模原市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「相模原市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
相模原市の場合、覚えておきたいのは人口と面積、3つの区、そして年齢構成です。数字そのものより、この4つがどう噛み合っているかを説明できる状態を目指してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 714,436人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 328.91km²(神奈川県の面積の約13.6%) |
| 人口密度 | 2,172人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 行政区数 | 3区(緑区・中央区・南区) |
| 住民基本台帳人口 | 714,436人(令和8年1月1日現在。次の2行の割合はこの値が分母) |
| 65歳以上人口・高齢化率 | 191,853人・26.9%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 75歳以上人口・75歳以上率 | 115,093人・16.1%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 区別の高齢化率 | 緑区29.6%、中央区26.0%、南区26.1%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 隣接自治体 | 大和市、座間市、厚木市、愛甲郡愛川町、清川村、足柄上郡山北町、東京都町田市・八王子市・西多摩郡檜原村、山梨県上野原市・南都留郡道志村 |
| 市の花・市の木 | アジサイ・ケヤキ |
| 市役所所在地 | 〒252-5277 神奈川県相模原市中央区中央二丁目11番15号 |
| (参考)神奈川県の人口 | 9,193,657人(令和7年10月1日現在・令和7年国勢調査速報。前回調査から0.5%減) |
相模原市の人口・面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は、公表値をもとに当研究会が整理したものです(総人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在で、人口密度はこれを総面積で割って算出しています)。65歳以上と75歳以上の人口・割合は、総務省が公表する住民基本台帳の集計(令和8年1月1日現在)から引用しています。参考として並べた神奈川県の人口は国勢調査の速報値で、住民基本台帳とは調査の枠組みが異なります。市と県の数字を並べるときは、出所をそろえてから比べてください。
数字から考えられる市政課題
住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値では、相模原市の65歳以上人口は191,853人、高齢化率は26.9%で、75歳以上は115,093人(16.1%)です。
70万人規模の市で75歳以上が11万人を超えるということは、医療や介護の窓口だけでなく、移動や買い物といった日常の困りごとが同時に増えていくことを意味します(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在)。
ここで効いてくるのが区ごとの違いです。同じ住民基本台帳ベースで見ると、高齢化率は緑区29.6%、中央区26.0%、南区26.1%と、緑区だけが3ポイント以上高いという並びになります。
75歳以上率でも緑区が17.6%で、中央区15.5%・南区15.9%を上回ります。
市域が328.91km²と広く、区によって暮らし方の条件が違うため、同じ制度でも届き方が変わってくるという構造です。
人口密度で見ても、市全体では1平方キロメートルあたり2,172人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、県全体を平均した約3,800人を下回ります。
密集した市街地と、そうでない地域が同じ市の中にあるという前提を持っておくと、交通や地域包括ケアの話題で答えの解像度が上がります。
区ごとの差を手がかりにすると、答えはたとえば次のようになります。
相模原市の経済・産業
相模原市単独の経済統計は、公表されている範囲が限られます。面接で経済や産業の話をするときは、神奈川県全体の姿を土台に置き、そのうえで市の位置づけを語るほうが説明として安定します。
神奈川県の経済の全体像
令和5(2023)年度の神奈川県の名目県内総生産は37兆3,313億円(前年度比5.4%増)、1人当たり県民所得は334万9千円(同5.6%増)です。
経済活動別の構成は第3次産業76.5%・第2次産業22.6%・第1次産業0.1%で、業種別では製造業18.3%、不動産業17.5%、専門・科学技術、業務支援サービス業11.9%が上位を占めます(出典:神奈川県県民経済計算|令和5年度)。
ものづくりの県という背景
神奈川県の製造品出荷額等は18兆4,795億円(2023年実績)で全国4位です。
業種構成の上位は輸送用機械21.8%、石油・石炭製品13.7%、化学11.1%で、製造業の従業者数は36万1,006人、事業所数は9,856となっています。
これらはいずれも県単位の数値で、相模原市単独の出荷額ではありません。
ただし、県が製造業の厚い地域であるという背景は、内陸に広い市域を持つ相模原市で働くときの前提として知っておいて損はありません(出典:経済構造実態調査 製造業事業所調査|2023年)。
広域交通が変わる位置にある
県の道路・交通の施策には、リニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)の建設、神奈川東部方面線、神奈川版ライドシェア「かなライド」、かながわ交通計画などが位置づけられています。
東京都と山梨県の双方に接する相模原市にとって、広域の交通が変わることは、通勤や物流だけでなくまちの形そのものに関わる話です。
産業や雇用を語るときは、県内で完結しない人の流れを前提に組み立てると説得力が出ます(出典:神奈川県の道路・交通の取組)。
相模原市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、相模原市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
県全体が人口減少局面に入ったこと
令和7年国勢調査の速報値では、神奈川県の人口は9,193,657人で、前回(令和2年)調査より43,680人(0.5%)減りました。
神奈川県は、2020年から2025年にかけて人口が増加から減少へ転換した6府県のひとつです。
一方で世帯数は4,348,580世帯と124,874世帯(3.0%)増えており、人が減りながら世帯が増える、つまり1世帯あたりの人数が小さくなる動きが同時に起きています。
人口が減っても行政サービスの単位である世帯は減らない、という点は覚えておく価値があります(出典:令和7年国勢調査人口速報集計(神奈川県)|令和7年10月1日現在)。
区によって高齢化の速さが違うこと
先に見たとおり、相模原市の高齢化率は緑区29.6%、中央区26.0%、南区26.1%です(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)。
県が策定した新かながわグランドデザインの基本構想は、2040(令和22)年頃に団塊ジュニア世代が65歳以上となり、神奈川の高齢者数と高齢化率がともにピークを迎え、総人口は900万人を下回るとの見通しを示しています。
ピークまでの十数年をどう使うかという問いは、区ごとに進度の違う相模原市では、地域ごとに答えが変わる問いになります(出典:新かながわグランドデザイン基本構想)。
大規模地震への備え
神奈川県は、都心南部直下地震、三浦半島断層群の地震、神奈川県西部地震、東海地震、南海トラフ巨大地震、大正型関東地震という6つの想定地震について被害想定調査を行っています。
最も深刻な大正型関東地震では、冬18時に発生した場合の想定として、死者19,780人、建物全壊303,300棟、最大避難者数2,365,850人という数字が示されています。
都心南部直下地震では、同じく冬18時の想定で死者1,850人、建物全壊42,920棟、最大避難者数1,064,620人です。
避難者の桁の大きさは、避難所の運営や物資の配分が県と市の連携なしには回らないことを示しています(出典:神奈川県地震被害想定調査)。
都市のスポンジ化とコミュニティの維持
新かながわグランドデザイン基本構想の骨子は、空き家や空き店舗が増加する「都市のスポンジ化」などを背景に、地域コミュニティや経済活動の衰退が予測されると指摘しています。
これは県全体の見立てですが、市域が広く区ごとの条件が異なる相模原市では、同じ市の中でも場所によって現れ方が変わります。
空き家対策や地域の担い手不足の話題は、「市全体で何%」ではなく「どの地域で何が起きるか」で語れると強くなります。
米軍基地と広域の課題
神奈川県内には現在も12か所の米軍基地(約17.38km²・県土の約1%)があり、県は基地の整理・縮小・返還の促進を国に働きかけています。平和条約が発効した昭和27年当時は162か所・約35.9km²でしたから、長い時間をかけて減ってきた経緯があります。県が挙げる主な施設には相模総合補給廠やキャンプ座間が含まれます。基地に関わる論点は、国と県と市が同じテーブルにつく典型的な広域課題であり、市役所の仕事が市域の中だけで完結しないことを示す例でもあります(出典:神奈川県内の米軍基地の現状)。
相模原市の重点政策|計画の押さえ方
相模原市の計画体系は、市の公式サイトで最新版が公開されています。受験する年によって計画の期や名称が変わるため、この記事で計画名を丸暗記するよりも、最新版を自分で開いて確かめる手順を持っておくほうが確実です。ここでは、開いたときに何を拾えばよいかを整理します。
市の計画を読むときに拾う3点
- 市がめざす姿を表す言葉(総合計画の将来像やまちづくりの目標)。面接で口に出すことがあるので、略さずに言える形で覚えます。
- 政策の柱の並び。自分がやりたい仕事がどの柱に入るのかを、一言で言えるようにしておきます。
- 直近年度の予算や市長の説明で、どの分野に重点が置かれたか。ここが「最近の市政の動き」を聞かれたときの材料になります。
県の計画が示す前提
市の計画を読む前に、県が置いている前提も押さえておくと理解が早くなります。県の最上位計画である新かながわグランドデザインの基本構想は、神奈川においても明らかに人口減少局面に入り、超高齢社会や本格的な人口減少社会の到来が現実のものとして訪れ始めている、という現状認識を出発点にしています。増やす前提ではなく、減る前提で組み立てられた計画だと理解しておくと、市の施策の意図も読みやすくなります。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 令和8年度相模原市職員採用試験の受験案内(大学卒業程度・免許資格職)/相模原市職員採用案内のリーフレット
- 相模原市の総合計画とその実施計画(市公式サイトの最新版)
- 最新年度の予算の説明資料と、志望する分野の個別計画
- 相模原市の統計情報のページ(区別の人口や世帯数などを収録)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、相模原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。相模原市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
相模原市役所の面接の概要
ここからは、相模原市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
相模原市役所の面接の流れ
相模原市の職員採用試験は相模原市人事委員会が実施します。令和8年度に行われる大学卒業程度・免許資格職の試験のうち、行政区分は三段階選抜です。第1次試験が筆記、第2次試験が個別面談、第3次試験が個別面接という構成になっています。第2次と第3次の対面試験は、受験案内の上で「個別面談」と「個別面接」という別々の名称の別の試験ですので、混同しないようにしてください。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度・行政区分) |
|---|---|
| 試験の段階 | 三段階選抜。第1次試験(筆記)→ 第2次試験(個別面談)→ 第3次試験(個別面接) |
| 受験の枠 | 【教養試験枠】65人程度、【SCOA枠】15人程度、【SPI3枠】15人程度。SCOA枠とSPI3枠は令和8年度からの新設 |
| 第1次試験 | 教養試験(択一式30問)またはSCOA(120問60分)またはSPI3の基礎能力検査(70問70分・性格検査は含まない)と、論述試験 |
| 論述試験 | 与えられた状況設定(ケース)に対して、発生している問題とその原因・解決策を記述する。60分・700字程度 |
| 配点 | 第1次試験は【教養試験枠】220点(教養試験120+論述試験100)、【SCOA枠】【SPI3枠】200点(SCOA又はSPI3 100+論述試験100)。第2次試験の個別面談240点、第3次試験の個別面接240点 |
| 段階ごとの扱い | 第2次試験の合否判定に第1次試験の得点は反映されず、第3次試験の合否判定にも第1次・第2次試験の得点は反映されない。各段階で得点の高い順に合格 |
| 適性検査 | 第3次試験では、個別面接の参考資料とするための適性検査を自宅等でパソコンやスマートフォンから受検(回答時間15分程度)。指定期日までに受検しないと個別面接を受験できない |
| 集団形式 | グループワーク(対話形式)は管理栄養士等一部区分の第2次試験で実施。行政区分は令和8年度から対象外 |
| 受験の申込 | 自治体専用求人サイト「パブリックコネクト」からの電子申請のみ(郵送不可) |
この試験でいちばん意識してほしいのは、段階ごとに得点がリセットされ、2次も3次もその場の240点満点だけで判定されるという設計です。第1次でどれだけ良い点を取っても、第2次の合否には持ち越されません。
どの段階でも、いずれかの科目が一定の基準に達しない場合は、他の成績にかかわらず不合格となります。
令和8年度からは適性検査(事務適性検査・基礎能力検査・消防適性検査)が廃止され、行政区分の第2次試験がグループワークから個別面談へ変わりました。
過去の受験体験談を参考にする場合は、この変更の前後を必ず確認してください(出典:令和8年度相模原市職員採用試験受験案内(大学卒業程度・免許資格職)|令和8年度)。
上記の試験構成は、相模原市の令和8年度・大学卒業程度・免許資格職の受験案内にもとづく行政区分のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
相模原市役所が求める人物像
確認した相模原市の令和8年度受験案内と職員採用案内2026のリーフレットには、「求める人物像」にあたる定型の記載が見当たりませんでした。
ただし、この試験には人物像の代わりになる手がかりが十分にあります。
申込の段階で、志望動機(400字以内)、自己PR(200字以内)、アピールしたい免許資格(100字以内)、学生時代や社会人時代に力を入れたこと(200字以内)、今までで一番困難だったこととどのように乗り越えたか(200字以内)、採用されたらチャレンジしたい仕事や興味のある分野(200字以内)、最近関心を持ったニュースや事柄(200字以内)などを入力させているからです。
市が知りたいことは、この設問の並びにそのまま表れています。過去の行動、困難への向き合い方、将来やりたい仕事、社会への関心。
さらに第1次試験の論述はケース型で、問題と原因と解決策を書かせます。
経験を語る力と、目の前の状況を分解する力の両方が、入口から一貫して問われている試験だと読めます。
自己PRでは「行動力があります」と述べるだけでなく、何を見て動き、その結果まわりがどう変わったのかまで話しましょう。
評価基準として公表されているのは以上です。ここに一つ、当研究会の推測を書き添えます。
相模原市は72万人規模の政令指定都市でありながら、328.91km²という広い市域を3つの区で受け持ち、しかも東京都と山梨県に接しています。同じ市の中に条件の違う地域が並び、県境をまたぐ課題も日常的に出てくるということです。
この環境では、決められた手順をそのまま当てはめるより、目の前の地域や相手の事情に合わせて段取りを組み直せる人が力を発揮しやすいと考えられます。
同時に、政令指定都市は組織が大きく分業も進むため、自分の担当の外側で起きていることに気づいて声をかけられるかどうかも効いてきます。
必要なのは新しい自分を用意することではなく、すでにある経験の並べ替えです。広い市域と地域差という条件に、自分のどの経験が噛み合うのかを探してみてください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。相模原市の個別面談・個別面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 用意した答えを出す場面ではなく、その場で返す一言に人柄が表れる。声の調子や表情も含めて見られている |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が自分の経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。短所を認めたうえで、その付き合い方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 乗り越えた結果よりも、どこで迷い、誰に相談し、どう手を打ったかという過程 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学んだことを仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは相模原市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。では、どこで差がつくのか。それが次の「相模原市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「相模原市役所ならでは」の質問
1問目は、相模原市を受けるなら必ず用意しておきたい質問です。第1部で見たとおり、神奈川県には政令指定都市が3市あり、その一つが相模原市です。同じ県のなかに県庁と3つの政令指定都市が並ぶ以上、どこで何がしたいのかを自分で切り分けて説明できないと、志望の輪郭がぼやけてしまいます。どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「相模原市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい相模原市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口714,436人、面積328.91km²で県面積の約13.6%。緑区・中央区・南区の3区制で、東京都と山梨県の両方に接する | 大きい市ですと言うだけで終わらせず、都県境をまたいで人が動く市では、交通や防災で隣接自治体と歩調を合わせる場面が出てくるという話につなげます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 神奈川県内の政令指定都市は横浜・川崎・相模原の3市で、政令市を3つ抱えるのは全国で神奈川県のみ | 制度の説明で満足せず、区役所という単位で住民の暮らしに直接関わる仕事があることを、自分が関わりたい場面に引きつけて語ります |
| 市の課題 | 高齢化率26.9%・75歳以上率16.1%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)。区別では緑区29.6%、中央区26.0%、南区26.1% | 高齢化という言葉で止めず、区ごとに3ポイント以上の差がある市では、平均値で施策を設計すると届かない層が出るという読み替えを添えます |
| 防災・危機管理 | 県の被害想定では、大正型関東地震(冬18時)で死者19,780人・建物全壊303,300棟・最大避難者数2,365,850人。県は6つの想定地震を設定している | 県の想定は桁が大きいので、数字を言うだけで終わらせず、避難所運営など市が担う場面に落として話します |
| 広域の課題 | 県内には12か所の米軍基地(約17.38km²・県土の約1%)があり、県は整理・縮小・返還の促進を国に働きかけている。リニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)の建設も進む | 賛否を論じる場ではないので立場の表明は避け、国と県と市が関わる課題では調整の手数が増えるという仕事の実感に寄せて話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、申込時の記入項目や論述試験で問われていることに照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 経験を語る力 | 力を入れたこと、困難を乗り越えた経験を、事実の順序どおりに説明できるか | 申込時に200字で書いた内容の控えを残し、個別面談と個別面接で同じ話をしても矛盾しない骨格を先に決めておく |
| 状況を分解する力 | 問題と原因と解決策を切り分けて話せるか | 第1次の論述がケース型で700字なので、身近な出来事を一つ選び、問題と原因と対策の3つに分けて口頭で説明する練習をしておく |
| 地域差への感度 | 市全体の平均ではなく、地域ごとの違いを踏まえて考えられるか | 緑区と中央区・南区で高齢化率が3ポイント以上違うという事実を出発点に、自分なら何を確かめてから動くかを言えるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。相模原市は個別面談と個別面接で対面の場が二度あるため、同じ経験を別の面接官から問われる可能性があります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受験する区分と枠(教養試験枠・SCOA枠・SPI3枠)を決め、最新の受験案内で試験の段階と配点を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。申込時に入力した文章の控えを手元に置き、話す内容とずれていないかを確かめる
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、相模原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
相模原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
相模原市の試験は、段階ごとに得点が持ち越されない三段階選抜で、対面の試験が二度あります。申込の時点で7項目ほどの設問に文章を書かせ、第1次では問題と原因と解決策を700字で書かせ、そのうえで個別面談と個別面接が待っている。
書いたことと話すことが同じ人物から出ているかを、何度も確かめる試験だといえます。
区によって高齢化の進み方が違う72万人の市で、自分はどの地域のどんな場面に立ちたいのか。
書いた文章を読み返しながら、その答えを少しずつ具体的にしていってください。