本記事では、下呂市職員採用試験の面接対策で必要な、下呂市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

下呂市役所の面接試験では、「なぜ下呂市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

令和8年度第3回(高校卒程度試験)では、一次試験の段階で「筆記面接」という種目が置かれ、二次試験で個人面接と作文試験が課されます。答えを口で言う前に、書いて出す場面が先にあるということです。

書く場面と話す場面の両方で、同じ自分が出てくるかどうか。第1部の事実は、その一貫性を支える材料として集めています。

第1部|自治体研究編

下呂市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは下呂市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 飛騨川の流域に湧く下呂温泉を抱える市です。江戸時代の儒学者・林羅山が有馬温泉・草津温泉と並ぶ「日本三名泉」の一つに記したことが、この名泉の由来とされています。
  • 市域は851.21平方キロメートル、人口は28,297人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は33.2人/km²です。
  • 接している自治体は高山市・関市・中津川市・郡上市・加茂郡七宗町・白川町と、長野県の木曽郡木曽町・王滝村。県境をまたいで境を接しています。
  • 65歳以上の割合は41.3%、75歳以上は25.8%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、岐阜県全体の31.2%・18.5%を大きく上回ります。
  • 令和2年7月豪雨では、下呂市萩原で1,810.0ミリという県内でも突出した降水量が観測され、市には大雨特別警報が発表されました。
  • 市の花は岩つつじ(さつき)、市の木はもみじ。市役所下呂庁舎は下呂市森960番地にあります。
  • 令和8年度第3回(高校卒程度試験)の職員採用試験は一次試験・二次試験の2段階で、一次試験に「質問に対して、筆記で回答する試験」である筆記面接が含まれます。

下呂市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「下呂市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下呂市の輪郭は、851.21平方キロメートルという市域と、そこに2万8千人という人口の対比でつかめます。岐阜県の面積が約1万621平方キロメートルですから、県土のおよそ8%を占める広さです。

項目内容
総人口28,297人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積851.21km²
人口密度33.2人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合41.3%(岐阜県全体は31.2%)
75歳以上の割合25.8%(岐阜県全体は18.5%)
隣接自治体高山市・関市・中津川市・郡上市・加茂郡七宗町・白川町/長野県木曽郡木曽町・王滝村
市の花・市の木岩つつじ(さつき)・もみじ
市役所所在地下呂市森960番地(下呂庁舎)
(参考)岐阜県の人口1,879,539人(令和8年4月1日現在の推計人口)
(参考)岐阜県の面積約1万621km²(全国第7位)

表の65歳以上・75歳以上の割合には、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値を用いています。この統計における下呂市の総人口は28,297人、岐阜県全体は1,935,253人で、割合の分母にもこれらを用いています。表の総人口・総面積・人口密度・隣接自治体・市の花・市の木・市役所所在地は、公表されている値をもとに整理しました。参考に併記した県の人口は令和7年国勢調査の速報値を基準とする推計値で、調査の基準が異なるため、住民基本台帳の数値と同じ列で比べることはできません。

数字から考えられる市政課題

65歳以上41.3%という水準は、岐阜県全体を10.1ポイント上回ります。同じ統計で県内21市を並べると、下呂市の高齢化率が最も高い値になります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

市民の10人に4人が65歳以上、4人に1人が75歳以上という構成は、行政サービスの中身そのものを変えていきます。

しかも人口密度は33.2人/km²です。支える相手が多いだけでなく、その相手が851.21平方キロメートルの中に散らばっています。

同じ内容の支援を届けるにも、移動と段取りに時間がかかります。面接では、下呂市の状況を次のように具体的な場面へ置き換えて話せます。

「下呂市は市民の4割が65歳以上だと知りました。市域も広くて人が散らばっていますので、同じサービスでも届けるまでに手間がかかるのではと感じています。その手間を減らす側の仕事に関わりたいです」

下呂市の経済・産業

日本三名泉という看板

下呂温泉は飛騨川の流域に湧く温泉で、江戸時代の儒学者・林羅山が有馬温泉(兵庫)・草津温泉(群馬)と並ぶ日本三名泉の一つと記したことに由来する名泉です。下呂温泉観光協会は、平成4年に宿泊客150万人の達成を記念して、白鷺橋に林羅山像を建立しています(参考:下呂温泉(下呂市公式))。

泊まってもらうことで成り立つ観光は、宿と交通と食を担う事業者が地域経済の中心にいるということを意味します。観光を志望分野に挙げるなら、来訪者を増やす話だけでなく、受け入れる側の担い手をどう保つかまで踏み込みましょう。

岐阜県全体の観光という追い風

岐阜県全体の観光は伸びています。令和6年の観光入込客統計調査によれば、入込客数は6,655万7千人、観光消費額は総額4,012億73百万円で前年より31.8%増え、過去最高を更新しました。

うち宿泊客分が2,611億83百万円と過半を占め、外国人の延べ宿泊者数は192.9万人です(出典:岐阜県観光入込客統計調査|令和6年)。

県全体で宿泊の比重が高いという構造は、温泉地を抱える下呂市にとって追い風です。ただし追い風は放っておいて続くものではありません。

宿の人手をどう確保するかという論点は、市政の側の課題でもあります。

山あいの市域と、県のものづくり

市域の大部分は山地で、飛騨川に沿って集落と市街地が並びます。一方、岐阜県全体では就業者に占める製造業の割合が25.0%と全国順位6位(全国の割合は16.0%)で、産業別構成比は第1次産業2.9%、第2次産業32.6%です(令和2年国勢調査)(出典:岐阜県の概要)。

温泉のイメージが強い市であっても、若い世代の働く場という論点は、この県の産業構造と切り離せません。

下呂市の主な行政課題

第1部でここまで見てきた数字と産業の姿は、そのまま下呂市の課題の輪郭でもあります。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

県内の市で最も高い高齢化率

65歳以上41.3%、75歳以上25.8%という水準は、令和8年1月1日現在の住民基本台帳で県内21市を並べたときに最も高い高齢化率です。

岐阜県の人口問題研究会中間報告(令和6年12月)は、県の総人口が2050年に137万人(2020年比で約31%減)まで落ち込むと見込んでいます。

若い世代の流出も大きく、15歳から34歳の転出超過が目立ち、その行き先としては愛知県が最も多いと同報告は指摘しています(出典:岐阜県人口問題研究会中間報告|令和6年12月)。県が2050年に迎える姿の一部を、下呂市はすでに引き受けている位置にあります。

飛騨川流域の水害

令和2年7月豪雨では、7月7日から8日にかけて中濃から飛騨地方を中心に断続的な豪雨となり、下呂市を含む6市に大雨特別警報が発表されました。

降り始めからの降水量は県内11地点で1,000ミリを超え、下呂市萩原の1,810.0ミリは県内の主な観測値の中で最も多い雨量です。

飛騨川を中心とする河川の氾濫や土砂災害が発生し、孤立した集落は道路啓開により2日間で解消されました(出典:令和2年7月豪雨災害検証報告書の概要(岐阜県)|令和2年)。

その2年前の平成30年7月豪雨でも、下呂市は大雨特別警報が発表された県内16市町村の一つでした。豪雨は下呂市にとって、備えの想定ではなく経験です。

地震と雪という別種の備え

岐阜県の被害想定調査は、阿寺断層系地震について死者最大900人・建物全壊16,000棟を見込んでいます(出典:岐阜県南海トラフの巨大地震等被害想定調査|平成23〜24年度)。

加えて岐阜県は、県土の半分以上にあたる54.9%が豪雪地帯です。雪崩危険箇所も県内に1,630箇所あります。

雨の季節と雪の季節で、市が構えるべき備えの中身は入れ替わります。防災を語るなら、季節ごとに脅威が変わる市域だという前提から入ると、話が具体になります。

若干人の採用で、出先機関まで含めて回すこと

令和8年度第3回試験の募集職種は、行政職(一般事務)・消防職・福祉職(介護士)・技能労務職(環境施設)で、いずれも採用予定人数は若干人です。

行政職の職務内容は「市長部局、教育委員会事務局等の部課及びそれらの出先機関で一般行政事務に従事します。」とされています(出典:下呂市職員採用試験案内|令和8年度第3回)。

本庁だけでなく出先機関が勤務先に入り、しかも組織の改廃・再編等により職種の任用替えが行われることもあると明記されています。配属も職種も固定ではないという前提で、この市の仕事は組み立てられています。

重点政策|飛騨川がつなぐ市域と県の枠組み

下呂市の計画名も予算の数字も、年度が変わればそのまま古くなります。志望動機に引く前に、市公式サイトで最新のものへ差し替えておいてください。

この節で扱うのは、下呂市の判断を外側から縛っている2つの前提です。

飛騨川に沿って市域が並ぶということ

下呂市の市街地も集落も、飛騨川の流れに沿って南北に並んでいます。この地形は、温泉という資源をもたらすと同時に、豪雨のたびに市域全体が同じ河川の水位に左右されるという条件でもあります。

恵みと危険が同じ川から来ているのが、この市の地理的な前提です。観光振興も防災も、この1本の川を軸に読み解くと筋が通ります。

市の施策を見るときは、それが川の恵みを伸ばす取組なのか、川の危険を抑える取組なのかを分けて理解しておくと整理しやすくなります。

岐阜県の財政という背景

下呂市が使える財源の前提には、県全体の財政の状況があります。県の令和7年度当初予算(一般会計)は9,020億円です。

前年度から159億円(1.8%)増えていますが、知事改選期にあたるため骨格的予算として組まれました(参考:岐阜県当初予算の概要|令和7年度)。

令和5年度決算に基づく県の財政力指数は0.54003、経常収支比率は92.1%でした。上も下も、手元の自由度は限られています。

何かを始めるには何かを見直す、という前提で優先順位を判断する場面が、市職員には日常的に訪れます。

POINT|市が言葉にした「求める人」から逆算する

下呂市は試験案内の中で、どんな人に来てほしいかを5点にまとめて公表しています。これは受験者にとって出題範囲の提示に近いものです。5点のどれか1つを選び、それに当てはまる自分の経験を先に決めてから、市の課題や施策を調べる。この順番のほうが、志望動機は早く固まります。

悪い例「日本三名泉の下呂温泉を全国に発信する仕事がしたいです」

改善例「高校の文化祭で地域の店をまわって協賛をお願いした経験があります。断られることも多かったのですが、通ううちに話を聞いてもらえるようになりました。温泉の街の魅力を届ける仕事でも、まず地元の方と関係をつくるところから始めたいです」

あわせて確認したい公式資料

まず手に取ってほしいのは試験案内です。「この採用試験のポイント」と「こんな人を求めています」の2か所は、面接の準備に直結します。

  • 下呂市職員採用試験案内(受験する回次のもの)と、市の職員採用のページ
  • 下呂市の総合計画と、最新年度の予算に関する市の説明資料
  • 岐阜県の令和2年7月豪雨災害検証報告書(市域の水害の経緯を押さえるため)
  • 岐阜県人口問題研究会の中間報告(県全体の人口の見通しを押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、下呂市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。下呂市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

下呂市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

下呂市役所の面接の概要

ここからは、下呂市の選考がどう進むのか、そして市が言葉にしている「求める人」をどう受け止めればよいのかを、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

下呂市役所の試験の構成

令和8年度第3回の下呂市職員採用試験(高校卒程度試験)は、一次試験・二次試験の2段階です。案内は「二次試験は、一次試験を合格された人のみが受験することができます。」と明記しています。

特徴的なのは一次試験の中身で、検査3種目に加えて筆記面接という種目が置かれています。

項目内容(令和8年度第3回・高校卒程度試験)
試験の段階一次試験・二次試験の2段階。二次試験は一次試験の合格者のみが受験
一次試験の科目基礎能力検査(SCOA)・事務能力検査(SCOA)・性格検査(SPI3)・筆記面接の4種目
筆記面接「質問に対して、筆記で回答する試験」と説明されています
基礎能力検査(SCOA)「公務員試験対策不要の試験(高卒程度)」。文章読解、数的、推理判断に関する能力を問う問題と、人文・社会、自然、基礎英語に関する一般知識を問う問題
二次試験の科目個人面接・作文試験(消防職はさらに体力検査)
個人面接「複数の面接官に対して受験者が一人で実施する個人面接」と定義されています。集団討論や集団面接を課すという記載は案内にありません
作文試験「与えられた課題についての記述式試験」
試験のポイント案内は「(1) 試験は、公務員試験対策不要の総合適性検査(SCOA)を採用しています。」「(2) 人物試験(面接など)の結果を重視しています。」と明記
試験区分「※試験区分は、総合適性検査(SCOA)の対象レベルを示します。」とされ、試験区分は出題レベルの区分です
募集職種と採用予定行政職(一般事務)・消防職・福祉職(介護士)・技能労務職(環境施設)で、いずれも高卒程度・若干人
申込方法「原則、オンライン申請」(LoGoフォーム)。添付書類は該当する場合の障がい者手帳等の写しのみで、運転免許証の写しは内定承諾の際に提出
加点「障がい者の人には試験に加点があります。」
職種に関する定め消防職は「採用後下呂市内在住が必須です。初年度に消防学校に入校していただきます。」。いずれの職種でも組織の改廃・再編等により職種の任用替えを行うことがあります
初任給の目安行政職・消防職(高卒程度)200,300円、福祉職(高卒程度)212,700円、技能労務職(高卒程度)198,200円。賞与は年間4.65か月(令和8年4月1日現在)
試験会場・担当下呂市役所下呂庁舎(下呂市森960番地)。担当は総務部人事課

ここで見落としたくないのは、検査の出どころが1つではないことです。基礎能力検査と事務能力検査はSCOA、性格検査はSPI3と、別のベンダーの検査が組み合わされています。

SCOAだけを想定した準備でも、SPI3だけを想定した準備でも足りません。

そして案内は「人物試験(面接など)の結果を重視しています。」と正面から書いています。検査は入口であり、勝負は人物を見る側の種目にあるという設計です。

上記の試験構成は、下呂市の令和8年度第3回(高校卒程度試験)の職員採用試験案内にもとづくものです。大学卒業程度を対象とする回次の試験内容は、この案内の範囲外です。各試験種目の配点は案内に記載がなく、公表されていません。面接カードに相当する事前提出様式についても案内に記載はありません。試験の構成・区分・日程は回次や年度によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が受ける回次の最新の試験案内をご確認ください。

下呂市役所が求める人物像

下呂市は、求める人物像を試験案内の中に「◇こんな人を求めています◇」として5点掲げています。他の自治体では別の方針文書を探しに行く必要がある内容が、受験案内の本文に直接書かれているということです。

  • 地域の魅力ある資源を活用したり内外に発信する仕事がしたい。
  • 地域の人と関わりながら地域づくりを進めたい。
  • とにかく下呂市を元気にしたい。
  • 人との関わり合いが得意で誰とでも仲良くなれる。
  • 責任感は誰にも負けない自信がある。

5点のうち3点までが、地域や人との関わりに関する項目です。下呂市が言葉にしているのは、能力の高さよりも、人の中に入っていく姿勢のほうだといえます。

この5点は市が自分の言葉で書いたものですから、面接の準備はここを起点にするのが最短です。以下は、5点を準備の行動へ置き換える当研究会の整理になります。

まず、5点すべてに自分を当てはめる必要はありません。1つか2つを選び、それに対応する自分の経験を先に決めてしまうほうが、話は具体になります。

そのうえで、下呂市という市の条件を重ねてください。人口2万8千人、採用は各職種とも若干人、行政職の勤務先には出先機関も含まれ、任用替えもあり得ます。

この規模では、担当する分野が入れ替わりながら、住民と直接やり取りする場面が繰り返し訪れます。

手順書のない用件を任されたときに、まず何を確かめれば前に進めるかを自分で組み立てられるか。下呂市の規模では、その力が早い段階から要る場面が多いでしょう。

もう一点、忘れずに準備したいのが一次試験の筆記面接です。これは書いて答える試験ですから、その場で言葉を取り繕う余地がありません。

二次試験の作文試験と個人面接も含めると、下呂市は書く場面と話す場面の両方で同じ人物を確かめる構成になっています。筆記面接に書いた答えは記録として残りますから、二次試験の個人面接でその内容が話の起点になることも考えられます。

市が掲げる5点のどれに自分の経験が届いているのかを、書く前に決めておく。準備の順序としては、それが一番早いはずです。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。下呂市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク下呂庁舎までは迷わずに来られましたか複数の面接官を前にした最初の一言に出る、受け答えの落ち着き
② 動機・志望公務員という仕事のどこに引かれましたか市が掲げる5点のどれと自分が重なるのかを、言葉にできているか
③ 自己理解責任感が問われた場面を教えてください市が挙げた「責任感」を、自分の経験の側から説明できるか
④ 経験・行動初対面の人と関わって何かを進めた経験はありますか「誰とでも仲良くなれる」という項目の裏づけになる出来事の有無
⑤ 学業・経歴学校で力を入れて取り組んだことは何ですか筆記面接に書いた内容と、口頭で話す内容が食い違っていないか
⑥ 適性・将来出先機関への配属や職種の変更をどう考えていますか任用替えがあり得るという市の説明を、理解したうえで受け止めているか
⑦ 公共性・社会性地域の行事に関わった経験はありますか地域づくりを掲げる市として、住民の輪に入る構えがあるか

もっとも、この7つの範囲は誰もが一通り準備してきます。市が5点を公表している以上、それに寄せた答えも似通いやすくなります。

下呂市の個人面接で評価が分かれるのは、その先の市固有の問いです。

合否を分けるのは「下呂市役所ならでは」の質問

「なぜ岐阜県庁ではなく、下呂市役所なのですか」
「下呂市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「下呂市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい下呂市の事実答え方のヒント
下呂市の魅力下呂温泉は林羅山が有馬温泉・草津温泉と並ぶ「日本三名泉」の一つと記した名泉。飛騨川の流域に湧く温泉の由緒を語って終わらせず、泊まる客が地域の宿や食にどうお金を落としているかという経済の話まで進めてください
なぜ県庁ではなく市役所か行政職の勤務先は市長部局・教育委員会事務局等の部課とそれらの出先機関。採用予定人数はいずれも若干人住民と直接やり取りする距離の近さを選んだ理由として述べ、市が掲げる「地域の人と関わりながら」という項目に接続させましょう
高齢化の水準65歳以上41.3%、75歳以上25.8%で、住民基本台帳の統計では県内21市の中で最も高い高齢化率(令和8年1月1日現在)数字を挙げるだけでなく、人口密度33.2人/km²という散らばりと重ねると、支援を届ける難しさが立体的に伝わります
豪雨の記憶令和2年7月豪雨では下呂市萩原で1,810.0ミリを観測し、市に大雨特別警報が発表。孤立集落は道路啓開により2日間で解消された被害の大きさだけでなく、道路を開けることが暮らしの回復に直結したという復旧の側面に触れると、行政の役割の理解が伝わります
下呂市の課題県の人口問題研究会は15歳から34歳の転出超過を課題に挙げ、愛知県への転出が最大と指摘している若い世代が出ていくという事実に対し、観光の担い手をどう残すかという市の側の論点まで進めると、答えに厚みが出ます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「求める人物像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
人の中に入っていく姿勢初対面の相手と関係をつくった場面で、自分から何をしたか市が掲げる5点のうち3点が地域や人との関わりに関する項目です。相手の名前と場面を思い出せる出来事を1つ選んでおきましょう
書いて伝える力筆記面接と作文試験で、限られた時間に要点をどう置いたか下呂市は書く種目が一次と二次の両方にあります。テーマを1つ決めて時間を計り、手書きで最後まで書き切る練習をしておいてください
担当が変わっても働けるか出先機関への配属や職種の任用替えを、どう受け止めているか案内には組織の改廃・再編等による任用替えの記載があります。想定と違う役割を任されたときにどう動いたかという経験が効きます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

下呂市の個人面接は複数の面接官が相手ですから、角度を変えた問いが続くと考えておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておいてください。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する回次の試験案内を入手し、自分が申し込む職種と試験区分を先に確定させる
  2. 「こんな人を求めています」の5点から1つか2つを選び、対応する自分の経験を書き出す
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 筆記面接と作文試験に備えて、テーマを決めて時間を計り、手書きで書き切る練習をする
  5. 固有質問の対応表から材料を2つ選び、下呂市の課題と自分の経験をつなぐ話を作る
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の書き出しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、下呂市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

下呂市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

下呂市役所の想定問答集を見る

さいごに

下呂市の試験は、一次で筆記面接、二次で作文試験と個人面接と、書く場面と話す場面が交互に置かれています。案内が「人物試験の結果を重視しています」と書いているとおり、検査を越えた先が本番です。

そして市は、どんな人に来てほしいかを5点の言葉で先に示してくれています。そこに自分の経験を照らして、正直に重なる部分を選ぶこと。

市民の4割が65歳以上という市で、飛騨川の恵みと危険の両方を引き受けながら働く自分を想像できたなら、書く場面でも話す場面でも、言葉は自然に出てくるはずです。