本記事では、中津川市職員採用試験の面接対策で必要な、中津川市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
中津川市役所の面接試験では、「なぜ中津川市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
令和8年度の試験案内は、変更点の第一に教養試験の廃止を挙げました。一般行政職の第1次試験はWEBの適性検査だけになり、その先はグループディスカッションと個人面接です。
筆記で稼ぐという道が閉じた分、話す場面の重みが増しました。以下の各章は、その場面で持ち出せる材料を集めるために並べています。
第1部|自治体研究編
中津川市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは中津川市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 岐阜県の東端に位置し、長野県との県境を長く共有する市です。接している自治体は恵那市・下呂市・白川町・東白川村に加え、長野県の南木曽町・王滝村・大桑村・阿智村・平谷村で、県外の隣接団体のほうが多くなっています。
- 市域は676.45km²、人口は72,453人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は107人/km²です。
- 65歳以上の割合は34.3%、75歳以上は20.6%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、岐阜県全体の31.2%・18.5%を大きく上回ります。
- 市の花はサラサドウダン、市の木はこうやまきです。
- 中山道の中津川宿・落合宿・馬籠宿を市内に持ちます。馬籠宿は石畳の敷かれた坂道沿いに町並みが続く「坂の宿場町」として紹介されています。
- リニア中央新幹線の中間駅「岐阜県駅」が置かれる市で、市施行のリニア岐阜県駅周辺土地区画整理事業が進行中です。
- 令和8年度の職員採用試験は「大卒・短大卒・専門職区分(4月試験)」と「高卒区分(9月試験)」の2本立てで、1つの案内に両区分がまとめて掲載されています。
- 試験案内は昨年からの変更点として、第1次試験の教養試験の廃止と、適性検査のWEB受検化を挙げています。
- 4月試験の一般行政職(一般枠)の募集は大卒・短大卒を合わせて10人程度。選考は第1次から第3次までの3段階です。
中津川市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「中津川市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
中津川市は、7万2千人台の人口と676.45km²の市域を併せ持ちます。この面積は岐阜県全体の約6%にあたり、人口密度は107人/km²です。
市街地から山あいの集落まで、行政が受け持つ条件の幅が広い市だといえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 72,453人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 676.45km² |
| 人口密度 | 107人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 34.3%(岐阜県全体は31.2%) |
| 75歳以上の割合 | 20.6%(岐阜県全体は18.5%) |
| 隣接自治体 | 恵那市・下呂市・白川町・東白川村/長野県南木曽町・王滝村・大桑村・阿智村・平谷村 |
| 市役所所在地 | 中津川市かやの木町2番1号 |
| 市の花・市の木 | サラサドウダン・こうやまき |
| (参考)岐阜県の面積 | 約10,621km²(全国7位) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計上の中津川市の人口は72,453人(うち65歳以上24,853人・75歳以上14,898人)、岐阜県全体は1,935,253人で、割合の分母にもこの数値を用いています。なお岐阜県が公表する推計人口1,879,539人(令和8年4月1日現在)は令和7年国勢調査の速報値を基準とした推計で、住民基本台帳とは調査の基準そのものが異なりますので、両者を同じ計算の中で並べることはできません。
数字から考えられる市政課題
高齢化の水準は、県全体をはっきり上回っています。65歳以上34.3%・75歳以上20.6%に対し、岐阜県全体は31.2%・18.5%(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
65歳以上は24,853人、75歳以上は14,898人です。
県より3ポイント高い高齢化率を、107人/km²という密度の市域で受け止めているのが中津川市の現在地になります。同じ介護の制度でも、市街地と山あいの集落とでは、届くまでの段取りが変わるということです。
もう一つ、地理の条件が効きます。岐阜県は面積約10,621km²で全国第7位、7つの県に囲まれた内陸県です(出典:岐阜県の概要)。
その中で中津川市は長野県側の5町村と接しており、生活圏や災害時の応援が県境をまたいで動く可能性があります。この2つの条件を重ねると、面接では次のように話せます。
中津川市の経済・産業
中山道の宿場が並ぶ市
中津川市には中山道の中津川宿・落合宿・馬籠宿があります。市は馬籠宿を、石畳の敷かれた坂道沿いに町並みが続く「坂の宿場町」と紹介し、江戸と京都、そして木曽路との接点として商業・文化の面で重要な役割を果たしてきたと説明しています(出典:中津川市の観光(中山道))。
街道が通っていたからこの市がある、という成り立ちの市です。観光を志望分野に挙げるなら、宿場を観光資源として紹介するだけでなく、その町並みに人が住み続けていることまで含めて考える必要があります。
製造業の比率が高い県という背景
岐阜県は、就業者に占める製造業の割合が25.0%で全国6位(全国の割合は16.0%)で、県はこれを就業構造上の特徴として挙げています(出典:岐阜県の概要)。
就業者別の産業構成比(令和2年国勢調査)でも第2次産業が32.6%と高い水準にあります(出典:都道府県財政指数表|令和5年度)。
中津川市の志望動機を宿場町と自然だけで組み立てると、この足元の雇用構造が抜け落ちます。働く人の住まいや子どもの預け先を支えているのは、その市の行政です。
観光消費額が過去最高を更新した県の中で
令和6年の岐阜県の観光入込客数は延べ6,655万7千人、観光消費額は総額4,012億73百万円で、前年比31.8%増と過去最高を更新しました。
内訳は宿泊客分2,611億83百万円、日帰り客分1,400億90百万円で、外国人延べ宿泊者数は192.9万人です(出典:令和6年岐阜県観光入込客統計調査|令和6年)。県全体では宿泊分が消費額の6割超を占めています。
中山道の宿場を持つ市として、通過する人をどう滞在に変えるかは、そのまま実務の問いになります。
中津川市の主な行政課題
高齢化の水準、県境の位置、そして駅の計画。これらを重ねたところに、中津川市の論点があります。
面接で市の課題を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
県を大きく上回る高齢化と広い市域
65歳以上34.3%・75歳以上20.6%という水準は、県全体より65歳以上で3ポイント前後、75歳以上で2ポイント前後高い位置にあります。しかも市域は676.45km²です。
医療・介護・移動支援のどれをとっても、市街地の基準で組んだ仕組みがそのままでは届きません。何をどこまで維持し、どこを組み替えるかという判断が、毎年の予算編成の中で問われ続けます。
若年層の転出と、若年女性の流出
岐阜県人口問題研究会の中間報告(令和6年12月)は、若年女性の流出を最大の課題と位置づけ、15歳から34歳の就職・転職期の転出超過が出産数の減少に影響していると指摘しています。転出先としては愛知県が最大です(出典:岐阜県人口問題研究会中間報告|令和6年12月)。
同報告は、社会減対策で各自治体が類似の施策を実施し人口の奪い合いになっている状況も課題として挙げています。中津川市で若者定着を語るなら、他市と同じ支援策を並べるのではなく、この市に残る理由をどう作るかという角度が要ります。
リニア岐阜県駅という長期の条件
リニア中央新幹線の中間駅「岐阜県駅」は、中津川市千旦林地区、JR中央本線美乃坂本駅に近接する場所に整備が進められています。品川と名古屋の間には、相模原市・甲府市・飯田市とともに中津川市に中間駅が置かれる計画です(出典:リニア中央新幹線について(岐阜県))。
駅周辺の土地区画整理事業は中津川市自身が施行者で、県はリニア中央新幹線活用戦略を策定しています。市の職員にとっては、用地・都市計画・交通・産業振興が一つの事業の中で交差する現場だということです。
志望動機でリニアに触れるなら、開業の時期を語るより、駅ができるまでに市が積んでおくべきものは何かという角度のほうが実務に近づきます。
豪雨災害への備え
令和2年7月豪雨では、7月7日から8日にかけて中濃から飛騨地方を中心に断続的な豪雨となり、高山市・中津川市・恵那市・飛騨市・郡上市・下呂市の6市に大雨特別警報が発表されました。降り始めからの降水量は県内11地点で1,000ミリを超え、中津川市付知では1,094.5ミリを記録しています。
飛騨川を中心とする河川の氾濫や土砂災害が発生し、県内では死者・行方不明者は生じませんでした(出典:令和2年7月豪雨災害検証報告書の概要|令和2年)。
平成30年7月豪雨のときも、中津川市は大雨特別警報が発表された県内16市町村に含まれていました(出典:平成30年7月豪雨に関する情報|岐阜県)。山あいに集落が点在する市では、孤立をどう防ぎ、どう早く解消するかが備えの中心になります。
広い市域を10人程度の新規採用で受け持つこと
4月試験の一般行政職(一般枠)は、大卒・短大卒を合わせて10人程度の募集です。7万2千人が暮らす市の仕事を、こうした規模の採用を重ねて引き継いでいることになります。
しかも市域は676.45km²あり、扱う地域の条件は市街地から山間部まで幅があります。
同じ制度でも、届ける先の地区が変われば段取りから組み直しになるということです。
入って早い時期から、制度の入口と出口の両方に触れられる環境でもあります。
重点政策|リニア岐阜県駅と中山道のまち
中津川市の総合計画は、市公式サイトの最新版で直接お読みください。この節が扱うのは計画の中身ではなく、どの計画のもとでも動かない前提のほうです。
駅ができるまでの十数年をどう使うか
リニア岐阜県駅の周辺では、中津川市が施行者となって土地区画整理事業が進んでいます。県はリニア中央新幹線活用戦略を策定し、開業によって東京・大阪間が約1時間で結ばれるという前提で構想を組み立てています。
駅ができてから考えるのでは間に合わない仕事が、いま市役所の中にあるということです。用地の取りまとめ、道路と公共交通の再編、企業立地や観光の受け皿づくりが同時に動きます。
面接でこの話題を使うなら、ひとつの分野に絞って、そこで自分が何を担いたいのかまで言えるようにしておきましょう。
宿場町という資産と、そこに住む人
中山道の3つの宿場は、市の観光の柱であると同時に、住民の生活の場でもあります。町並みを保つということは、そこに住み続けられる条件を保つということです。
観光の受け入れと生活環境の維持は、同じ場所で両立させなければならない課題になります。同じ場所で両立させるという捉え方は当研究会のものですが、文化財や観光を志望分野に挙げる方は、この二面性まで押さえておくと話に厚みが出ます。
県の人口の見通しという外枠
岐阜県は、このまま人口減少が進めば2050年に137万人になると推計しています。2020年と比べて61万人、約31%の減少で、内訳は15歳から64歳が47万人減、0歳から14歳が11万人減、65歳以上が4万人減です(出典:岐阜県人口問題研究会 中間報告|令和6年12月)。
近年は6千人に及ぶ勢いで転出超過が続いています。61万人という減少の見通しは、一つの市の努力で覆せる規模ではありません。
だからこそ、中津川市が何を選んで残そうとしているのかに、施策の性格が出ます。
POINT|計画名より、つなげ方を用意する
計画の項目名を暗記しても、グループディスカッションでは使えません。中津川市の数字を一つ選び、その裏で困っている人を思い浮かべ、市がそこに何をしているかを調べ、最後に自分の経験をあてはめる。この4段まで作ったものだけが、議論の場で人に伝わります。
悪い例「リニアが来る中津川市で、まちを盛り上げる仕事がしたいです」
改善例「中津川市は高齢化率が県より高くて、市域も広いと聞きました。まずは配属された部署の仕事を覚えたいですけれども、いずれは山あいの地区にどうサービスを届けるかという仕事に関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
次の4つは目的が違います。1つ目は申込のために、2つ目以降は議論と面接で話す中身のために開いてください。
- 中津川市職員採用試験案内の最新年度版(4月試験と9月試験の欄を取り違えないこと)
- 中津川市の総合計画と、市が公表している当年度予算の概要
- リニア岐阜県駅周辺の整備に関する市の資料(まちづくり分野を志望する場合)
- 岐阜県人口問題研究会の中間報告(県全体の人口の見通しを押さえるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、中津川市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。中津川市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
中津川市役所の面接の概要
ここからは、教養試験をやめた中津川市の選考が、いま受験者の何を見ようとしているのかを、試験案内の記述と当研究会の見方の両面から追っていきます。
中津川市役所の試験の構成
令和8年度の中津川市職員採用試験は、「大卒・短大卒・専門職区分(4月試験)」と「高卒区分(9月試験)」の2本立てです。1つの案内に両区分がまとめて載っていますが、段階の数もグループディスカッションを行う段階も異なりますので、自分が受ける区分の欄だけを読み違えずに追ってください。
そのうえで押さえたいのが、案内の冒頭に置かれた変更点です。第1次試験から教養試験が廃止され、適性検査はWEBで自宅から受検できるようになりました。
4月試験の一般行政職の場合、第1次試験は1時間のWEB適性検査だけで構成されます。
| 項目 | 内容(令和8年度・令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 試験の枠組み | 大卒・短大卒・専門職区分(4月試験)と、高卒区分(9月試験)の2本立て |
| 4月試験の段階 | 第1次・第2次・第3次の3段階 |
| 4月試験の第1次(一般行政職) | 適性検査(WEB)1時間。職務遂行上必要な素質及び適性についての検査。一般行政職には専門試験も体力試験も課されない |
| 4月試験の第2次・第3次 | 第2次でグループディスカッション、第3次で個人面接を実施予定 |
| 9月試験の段階 | 第1次・第2次の2段階 |
| 9月試験の第1次 | 一般行政職・技術職(土木)・消防職について、適性検査(WEB)1時間とグループディスカッション1時間程度の2種目 |
| 9月試験の第2次 | 個人面接を実施予定 |
| 他職種の第1次(4月試験) | 技術職(土木)(建築)には専門試験2時間(択一式)、消防職・救急救命士には体力試験1時間程度が課される |
| 募集人数(4月試験) | 一般行政職の一般枠(大卒・短大卒)が合わせて10人程度。一般行政職の障がい者枠・技術職(土木)(建築)・消防職・救急救命士・保育士幼稚園教諭はいずれも若干人 |
| 申込方法 | 原則として応募フォーム(LoGoフォーム)。フォーム内の「Q17.自己PR」は自由記載で、文書作成ソフト等で作る場合は指定のエントリーシートを添付する |
| 郵送提出の場合の書類 | 中津川市職員採用試験申込書(顔写真たて4cm×よこ3cm貼付)、中津川市職員採用試験エントリーシート、職務経験調書(技術職で職務経験のある受験者のみ)、資格認定証等の写し(一部免除を申請する受験者のみ)、手帳の写し(一般行政職の障がい者枠のみ) |
| 受験資格の共通注意 | 令和9年4月1日時点で年齢60歳以上となる人は受験できない。同一年度内に受験済みの場合、同一職種への応募はできない |
| 第1次試験の会場 | 4月試験・9月試験とも、中津川市役所 本庁会議棟大会議室及び中津川市消防本部 |
| 初任給 | 一般行政職の新規採用者は大卒232,000円、短大卒216,500円、高卒200,300円(令和9年4月採用の場合) |
上記は中津川市の令和8年度職員採用試験案内(令和9年4月1日採用)にもとづく内容です。同案内の【筆記試験の一部免除について】欄には教養試験および専門試験の免除に関する記載が残っていますが、同じ案内の冒頭は昨年からの変更点として教養試験の廃止を明示しています。第1次試験の科目は各職種の【試験の方法】表が正であり、教養試験は課されません。また体力試験は消防職・救急救命士に課されるもので、一般行政職の試験内容ではありません。各試験種目の配点や人物試験の比重については、案内に記載がありません。受験の際は必ずご自身が受ける区分・職種の最新の案内をご確認ください。
中津川市役所が求める人物像
中津川市の職員採用試験案内と採用情報ページの本文には、項目立てされた「求める人物像」の一覧は置かれていません。採用のページには、まちづくりに興味があり、やる気のある方を歓迎するという趣旨の記述が置かれています。
評価の手がかりは、むしろ試験の組み立て方のほうにはっきり現れています(出典:中津川市職員採用試験案内|令和8年度)。
ここから先は、案内の行間を当研究会なりに読んだ話になります。教養試験をやめたということは、知識量で受験者を並べる工程を市が手放したということです。
残った関門は、WEBの適性検査と、グループディスカッションと、個人面接。合否の材料の大半が、人と関わる場面から取られる設計に変わっています。
一般行政職の一般枠が10人程度という規模で、676.45km²の市域と7万2千人の市民を担う組織ですから、一人が受け持つ制度の幅は最初から広くなります。前例のない相談を持ち込まれたときに、必要なことを聞いて回りながら答えを組み立てられる人が働きやすい環境でしょう。
申込の手続にも、同じ方向を向いた仕掛けがあります。応募フォームの「Q17.自己PR」は自由記載です。
書式が決まっていないということは、何を選んで書くかまで含めて受験者に委ねられているということになります。ここで選んだ話題は、グループディスカッションでも個人面接でも自分の立ち位置を決めます。
自己PRの欄を埋める作業を、面接対策の後回しにしないでください。書く順番が、話す順番になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。中津川市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは遠かったですか | グループディスカッションを終えた後でも、口調を切り替えられるか |
| ② 動機・志望 | 公務員を志望した理由を教えてください | 応募フォームの自己PRに書いた内容と、話の芯が同じか |
| ③ 自己理解 | ご自身の短所はどこだと思いますか | 教養試験がない分、人物面の質問に時間が割かれる。取り繕わずに述べられるか |
| ④ 経験・行動 | 意見の違う相手とどう折り合いをつけましたか | グループディスカッションでの振る舞いと、過去の行動が一致しているか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学校で力を入れたことは何ですか | 適性検査では測れない部分、つまり取り組みの中身の語り方 |
| ⑥ 適性・将来 | 一般行政職はどの部署にも配属されますが大丈夫ですか | 676.45km²の市域を担う組織で、幅広い業務に就くことへの構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 関心を持っている社会の動きはありますか | リニアや人口減少など、議論の題材になりうる話題を扱えるか |
ここまでの7区分は、準備の抜けを潰すための枠です。枠を埋めた状態が出発点になります。
受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「中津川市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「中津川市ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「中津川市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい中津川市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 4月試験の一般行政職(一般枠)は大卒・短大卒を合わせて10人程度。676.45km²に暮らす7万2千人規模の市を、この人数の新規採用で支えている | 県は東濃地域全体を見る立場、市は地区ごとの事情まで見る立場です。県境をまたいだ生活圏を持つ市であることも添えると、市を選んだ理由に厚みが出ます |
| 高齢化の水準 | 65歳以上34.3%・75歳以上20.6%で、岐阜県全体を65歳以上は3ポイント前後、75歳以上は2ポイント前後上回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) | 県との差をポイントで述べたうえで、107人/km²という密度と重ねてください。割合と距離を一緒に語ると、統計の紹介では終わりません |
| リニア岐阜県駅 | 中間駅が千旦林地区に整備中で、周辺の土地区画整理事業は中津川市が施行者。品川と名古屋の間には相模原市・甲府市・飯田市とともに中間駅が置かれる | 開業後の姿を語る前に、区画整理を市自身が担っているという事実を置いてください。他人事ではなく自分の職場の仕事として話せます |
| 豪雨への備え | 令和2年7月豪雨で6市に大雨特別警報。中津川市付知の降水量は1,094.5ミリ。平成30年7月豪雨でも大雨特別警報の対象16市町村に含まれた | 被害の大きさを語るより、山あいの集落が孤立したときにどう解消するかという段取りの話へ進めると、実務の理解が伝わります |
| 中津川市の魅力と課題 | 中山道の中津川宿・落合宿・馬籠宿を持つ。一方、県は若年女性の流出を最大の課題とし、15歳から34歳の転出超過は愛知県への転出が最大 | 魅力を宿場町で語ったら、課題は若い世代の転出まで戻してください。町並みに住み続ける人の話として、2つが一本につながります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接では、応募フォームや議論の場で示した姿勢の裏づけが、これまでの経験の中に見つかるかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 議論の中での役割の取り方 | 第2次のグループディスカッションで、論点を整理するか、意見を足すか、進行を支えるか | 4月試験ではグループディスカッションが個人面接の前に置かれます。役割を決め打ちせず、その場に足りない役を引き受ける練習をしておきましょう |
| 自分で選んで書く力 | 応募フォームの自己PRが自由記載であるため、何を選んだかがそのまま材料になる | 書式が決まっていない欄ほど、選択が評価されます。書き始める前に、話題の候補を3つ挙げて優先順位をつけてください |
| 幅広い業務への構え | 一般行政職として、市街地から山間部までを対象とする仕事に就くことへの理解 | 676.45km²という市域の広さを、志望動機の中で一度は自分の言葉に置き換えておきましょう。配属の話に説得力が出ます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
中津川市は教養試験を廃止した分、人物を見る場面に判断の重みが移っています。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、応募フォームを開く前から用意しておいてください。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の試験案内を読み、自分が受けるのが4月試験か9月試験か、どの職種かを確定させる(段階の数もグループディスカッションの位置も区分で違います)
- 応募フォームの入力項目を先に確認し、自己PR欄に書く話題の候補を書き出す
- 適性検査はWEBで自宅から受検します。通信環境と受検する時間帯を先に決めておく
- これまでの経験から、議論の場でも一対一の場でも使える出来事を2件そろえる
- 第1部の事実から2つを選び、討論の場でも一言で差し出せる長さにまとめ直す
- グループディスカッションを想定し、人の意見を受けて自分の考えを足す練習を声に出して行う
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を中津川市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、中津川市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
中津川市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
中津川市は、昨年からの変更点の一番目に教養試験の廃止を掲げました。参考書を積み上げた分だけ有利になる部分が、この試験からは減ったということです。
代わりに残ったのは、WEBの適性検査と、他の受験者と机を囲む時間と、面接官と向かい合う時間。どれも、その場で借りてきた言葉が通用しにくい場面ばかりです。
市域は676.45km²あり、高齢化率は県を3ポイント上回り、駅の周りでは市自身が施行する区画整理が動いています。この3つを自分の言葉で説明できるようになったとき、志望動機は借り物でなくなります。
応募フォームの自己PR欄を開く前に、まずはそこから始めてください。