可茂消防事務組合消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

可茂消防事務組合消防本部の面接試験では、「なぜ可茂消防事務組合消防本部を志望したのか」「消防官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。可茂消防事務組合は10の市町村が構成する広域の一部事務組合であり、管内の地域ごとに人口や高齢化の水準が大きく異なる成り立ちを知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、この本部に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容をもとに、自分の経験や関心と可茂消防事務組合消防本部の仕事の接点を見つけ、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|組織研究編

可茂消防事務組合消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは可茂消防事務組合消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 可茂消防事務組合消防本部は、美濃加茂市・可児市・坂祝町・富加町・川辺町・八百津町・御嵩町・七宗町・白川町・東白川村の10市町村が構成する一部事務組合が設置する消防本部である。採用は組合が直接行い、試験名は「可茂消防事務組合職員採用試験」とされている。
  • この10市町村の管内を受け持つ消防吏員は283人で、うち女性は2人(令和7年4月1日現在)。
  • 令和6年中の出動件数は、火災89件に対し救急10,785件・救助90件で、救急が出動全体の大半を占めている。
  • 採用試験は年2回実施される。第1回は大学卒・短大卒・高校卒業を対象に採用予定10人程度、第2回は高等学校卒業見込みの人を対象に2人程度が募集される。
  • 試験は2段階で、第2次試験に集団討論と個人面接が課される構成である。
  • 受験できない人として「日本国籍を有しない人」が定められ、日本国籍が受験の要件となっている。
  • 採用後は約8か月間、岐阜県消防学校で消防職員の基礎と救急隊員としての専門知識を学ぶ教育訓練が行われる。

可茂消防事務組合消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「可茂消防事務組合消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表は、10市町村にまたがる管内を一つの本部で受け持つ体制の輪郭がつかめるよう、管内人口・吏員数・出動件数を並べたものです。

項目内容
設置形態一部事務組合(構成10団体)
所在地美濃加茂市加茂川町3-7-7
構成市町村美濃加茂市・可児市・坂祝町・富加町・川辺町・八百津町・御嵩町・七宗町・白川町・東白川村
管内人口219,402人(10団体合算・令和8年1月1日現在)
消防吏員数283人(うち女性2人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数89件(令和6年中)
救急出動件数10,785件(令和6年中)
救助出動件数90件(令和6年中)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の構成10団体の合算、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する全国の消防本部のデータによります。

構成10市町村の人口と高齢化率

可茂消防事務組合の管内は、人口10万人に迫る可児市から人口2千人に満たない東白川村まで、規模の異なる10市町村で構成されています。構成市町村ごとの人口・高齢化率の差が大きいことが、この組合ならではの特徴です。

構成市町村人口高齢化率
美濃加茂市57,649人23.7%
可児市99,275人29.3%
坂祝町8,231人28.8%
富加町5,853人30.5%
川辺町9,704人33.4%
八百津町9,692人42.3%
御嵩町17,255人34.3%
七宗町3,066人50.2%
白川町6,707人49.2%
東白川村1,970人45.9%

総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)による構成市町村ごとの数値です。管内人口の合算値はこの10団体の総和です。

表を見ると、美濃加茂市・可児市の高齢化率が2割台であるのに対し、七宗町・白川町・東白川村では高齢化率が5割前後に達しています。同じ本部の管内でも地域によって高齢化の進み方がまったく異なるという事実は、救急需要や地域防災力を考えるうえでの重要な前提です。

「可茂消防事務組合は10の市町村で構成されていて、高齢化率は美濃加茂市の2割台から七宗町の5割程度まで幅があると知りました。地域によって求められる備えが違うことを理解したうえで、どの管内でも同じ水準の対応ができる消防士になりたいと考えています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 美濃加茂市は外国人住民が人口の約1割を占める(57,442人中6,570人・令和8年7月1日現在)、可茂消防事務組合の管内でも国際色の強い地域である。(出典:人口異動状況|美濃加茂市)
  • 可児市は人口99,275人(住民基本台帳、令和8年1月1日現在)と構成団体の中で最も大きく、高齢化率は29.3%と管内では低い部類に入る。
  • 七宗町・白川町・東白川村など飛騨川流域の町村は山間部を多く抱え、豪雨時の河川氾濫・土砂災害への警戒が求められる地域である。

外国人住民の割合が高い地域から山間の過疎地域まで、一つの本部が受け持つ地域の幅の広さが可茂消防事務組合の管轄の特徴です。管内のどこに配属されても、地域ごとの住民構成や生活実態を理解した対応が求められます。

豪雨・水害の経験

令和2年7月豪雨では、飛騨川を中心とする河川の氾濫や土砂災害が管内で発生し、可茂消防事務組合の構成団体である白川町ではバックウォーター現象による浸水被害、八百津町では短時間の突風による家屋損壊が発生しました(令和2年7月豪雨災害検証報告書の概要による)。

また平成30年7月豪雨でも、県内で大雨特別警報が発表された16市町村の中に、構成団体の富加町・川辺町・七宗町・白川町・東白川村の5町村が含まれています。(出典:令和2年7月豪雨災害検証報告書の概要|岐阜県/平成30年7月豪雨(岐阜県)|岐阜県)

岐阜県が抱える地震リスク

岐阜県内には濃尾断層帯をはじめとする複数の活断層帯が分布しています。地震調査研究推進本部の評価では、濃尾断層帯のうち根尾谷断層帯でマグニチュード7.3程度、梅原断層帯で同7.4程度の地震が想定されており(いずれも30年以内の発生確率は「ほぼ0%」)、関係市町村には可茂消防事務組合の構成団体である美濃加茂市・坂祝町が含まれます。(出典:濃尾断層帯の評価|地震調査研究推進本部)

可茂消防事務組合消防本部の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、可茂消防事務組合消防本部が向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

救急需要の増加

全国に目を移すと、救急自動車の出動は令和6年中に771万8,380件(前年比1.0%増)を数え、昭和38年の統計開始以来で最も多い水準となりました。

搬送された人の63.3%が65歳以上です(いずれも令和6年中)。可茂消防事務組合管内の救急出動10,785件(令和6年中)は火災89件の120倍を超え、構成市町村によっては高齢化率が5割前後に達する地域もあることから、地域差を踏まえた救急体制の維持が課題となります。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

大規模災害・広域連携への備え

10市町村にまたがる管内で山間部と都市部の両方を抱える可茂消防事務組合にとって、豪雨時の河川氾濫や土砂災害への備えは日常的な課題です。全国的にも、緊急消防援助隊には全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が登録されており、可茂消防事務組合消防本部もこうした広域応援の枠組みの一角を担う立場にあります。(出典:令和6年版 消防白書)

人材確保と女性消防吏員の活躍

可茂消防事務組合消防本部の消防吏員283人のうち女性は2人で、割合は約0.7%にとどまります。

全国では消防吏員168,230人中女性6,386人(約3.8%・令和7年4月1日現在)で、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています(平成27年度策定)。全国水準と比べても、女性吏員の確保は取り組みの余地が大きい領域だとうかがえます。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

管内10市町村の地域差への対応

可茂消防事務組合の管内は、高齢化率が2割台の美濃加茂市・可児市から、5割前後に達する七宗町・白川町・東白川村まで幅があります。同じ組合の職員でありながら、配属される地域によって求められる知識や関わり方が変わってくることは、この本部ならではの特徴です。

都市部では外国人住民への対応も含めた多様な住民とのやり取りが、山間部では高齢者の多い集落での見守りに近い関わり方が、それぞれ求められる場面が出てくると考えられます。どの構成市町村に配属されても地域の実情を理解して動ける姿勢は、面接でも重視されるポイントになります。

重点方針|基本理念に見る組織の方向性

可茂消防事務組合は、採用試験案内の末尾に「住民に寄り添い、共に歩み 安全・安心で 住みよい街を目指して」という基本理念を掲げています。これは組織としての理念であり、公表された求める人物像そのものではありませんが、10市町村という広い管内を抱える組合の方向性を理解するうえでの手がかりになります。(出典:可茂消防事務組合職員採用試験案内|令和8年度第1回)

「住民に寄り添い、共に歩み」という言葉には、都市部の美濃加茂市・可児市から山間部の七宗町・白川町・東白川村まで、規模も特性も異なる10市町村のそれぞれに向き合う姿勢が込められていると考えられます。地域ごとの違いを理解したうえで、住民との距離を縮めていくという方向性は、志望動機を組み立てる際の軸として使いやすい事実です。

POINT|基本理念をどう志望動機に落とし込むか

基本理念の文言を暗記することが目的ではありません。この組合が10の市町村にまたがる広い管内を持つことを理解したうえで、自分がどの地域でどんな役割を担いたいのかを具体的にイメージし、その考えを基本理念の言葉と結び付けて語れるように整理しましょう。

悪い例「地域の安全を守りたいので、可茂消防事務組合消防本部を志望します」

改善例「可茂消防事務組合は10の市町村で構成され、地域ごとに高齢化の水準も異なると知りました。基本理念にある『住民に寄り添い』という姿勢を大切にし、配属先がどの地域であっても、その土地の事情を理解しながら消防の仕事に取り組みたいです」

あわせて確認したい公式資料

採用試験を組合が直接実施する型なので、参照先も市役所ではなく組合が中心になります。次の4点のうち、はじめの2つが手続と組織の確認、あとの2つが志望動機の裏づけを作るための資料です。

  • 可茂消防事務組合職員採用試験の受験案内(第1回・第2回)
  • 可茂消防事務組合消防本部の組織・出動体制に関する公式ページ
  • 構成市町村(10団体)それぞれの公式ページ
  • 総務省消防庁が公表する全国の消防本部のデータ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字や理念の言葉を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、可茂消防事務組合消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。可茂消防事務組合消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

可茂消防事務組合消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

可茂消防事務組合消防本部の面接の概要

ここからは、可茂消防事務組合消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

可茂消防事務組合消防本部の面接の流れ

可茂消防事務組合職員採用試験は、組合が構成市町村に代わって直接実施する試験です。第1次の職務能力試験・消防適性検査・体力測定を経て、第2次で集団討論と個人面接が課される2段階構成です。

項目内容(令和8年度・第1回)
受験資格平成3年4月2日以降に生まれた人で、大学・短期大学(同等以上を含む)を卒業した人、または高等学校を卒業した人
試験の段階2段階。第1次=職務能力試験(60題・1時間)+消防適性検査、翌日に体力測定。第2次=集団討論+個人面接
面接の種類集団討論と個人面接(いずれも第2次試験)
面接以外の検査体力測定(上体起こし・握力・長座体前屈・反復横跳び・立ち幅跳び・シャトルラン)
身体基準視力は両目とも0.8以上(矯正視力を含む)で赤色・青色・黄色の識別ができること、聴力は左右正常であること

注目したいのは、職務能力試験の見出しに「公務員試験対策不要」と明記されている点です。出題は論理的思考力や文章理解力、社会情勢への関心など基礎的な内容が中心とされており、いわゆる専門的な公務員試験対策よりも、日頃のニュースへの関心や基本的な思考力が問われる設計だと読み取れます。

第2次では集団討論が課される点も特徴で、他の受験者とのやり取りの中でどう振る舞うかが見られます。年2回の実施のうち、第2回は高等学校卒業見込みの人を対象とした採用予定2人程度の枠で、第1回とは受験資格・年齢要件が異なるため、自分がどちらの回の対象かを申込前に必ず確認しておく必要があります。

上記の試験構成は、可茂消防事務組合が公表する令和8年度第1回の採用試験案内にもとづくものです。試験の構成・内容は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内をご確認ください。

可茂消防事務組合消防本部が求める人材

可茂消防事務組合は、採用向けの「求める人物像」を明文では公表していません(2026年9月時点・当研究会調べ)。読み取る足がかりになるのは、設置形態そのものです。

複数の市町村が持ち寄って一つの本部をつくる一部事務組合については、一般にどの構成市町村に配属されても対応できる柔軟さが土台に置かれると語られます。管内が広く署所が分散するため、地域ごとの人口や災害リスクの違いを踏まえながら、離れた署所の間でも活動の水準をそろえられる訓練意識と連携力が効いてくるからです。

可茂消防事務組合消防本部の場合は、美濃加茂市のような都市部から七宗町のような山間部まで構成10市町村の地域差が大きいことをふまえ、特定の地域だけで完結しない管内全体への視点を自分の経験に結び付けて語れると、説得力が増すはずです。

繰り返しになりますが、ここまでは設置形態から当研究会が組み立てた見立てであり、組合が公式に示している人物像ではありません。面接で持ち出す言葉ではなく、話す経験を選ぶときの目安として使ってください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。可茂消防事務組合消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやってここまで来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ可茂消防事務組合消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とこの管内を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことは何ですか?物事への取り組み方。継続力や工夫の跡を自分の言葉で語れるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

組合が設置する本部でも単独の市が設置する本部でも、この7項目の顔ぶれはほとんど変わりません。共通部分だけで終わらせず、可茂消防事務組合を選んだ理由へ踏み込めるかどうか。それを正面から問うのが、次の2問です。

合否を分けるのは可茂消防事務組合消防本部に固有の質問

「警察官や自衛官ではなく消防を選んだのは、どうしてですか?」
「10の市町村で構成される可茂消防事務組合を志望する理由を教えてください」

1問目は近い仕事と見比べたうえでの職業理解を、2問目は10市町村にまたがる管内の姿をどこまで具体的につかんでいるかを見る質問です。

集団討論と個人面接の両方で角度を変えて聞かれる可能性があり、答えの軸がぶれないよう事前の準備が欠かせません。面接で使いやすい「可茂消防事務組合の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい可茂消防事務組合の事実答え方のヒント
救急需要の増加令和6年中の救急出動は10,785件で、火災89件の120倍を超える規模。構成市町村によって高齢化率は2割台から5割前後まで幅がある(詳細は第1部4章)件数を挙げるだけで止めず、構成団体ごとの高齢化の差まで結び付けて話す
管内の地域差可児市・美濃加茂市から七宗町・白川町・東白川村まで10市町村で構成され、人口も高齢化率も大きく異なる(詳細は第1部2章)どの地域に配属されても対応できる柔軟さを自分の経験に結び付けて語ると説得力が増します
豪雨への備え令和2年7月豪雨で白川町・八百津町が被害を受け、平成30年7月豪雨でも構成5町村に大雨特別警報が発表された(詳細は第1部3章)山間部を含む管内特有のリスクへの理解を示す材料になります
基本理念「住民に寄り添い、共に歩み 安全・安心で 住みよい街を目指して」という基本理念を掲げている(詳細は第1部5章)理念の言葉を自分がどう体現したいかまで具体的に語ると印象に残ります
採用試験の構成第1次は職務能力試験・消防適性検査・体力測定、第2次は集団討論と個人面接(詳細は第2部1章)集団討論での振る舞いも見られる前提で、他の受験者との関わり方も準備しておきます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

可茂消防事務組合は試験の段階と種目は公表していますが、各種目の配点までは明らかにしていません。配点の内訳が分からない中では、試験がどう組み立てられているかそのものが観点を読み解く手がかりになります。

ここで注目したいのは、第2次試験に集団討論と個人面接の両方が置かれているという構成です。集団の中での振る舞いと、1対1での受け答えの両面から人物を確かめる仕組みだと読み取れます。

その背景には、公務員の採用面接で広く共有されている一般的な考え方、つまり過去の行動の事実を掘って採用後の再現性を測るコンピテンシー評価があります。この2つを手がかりに、準備の段階で意識しておきたい観点を次の3点に絞りました。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
集団の中での協調性集団討論の中で、他の受験者の意見を聞きながら自分の考えを述べられるか自分の主張だけでなく、他者の発言を受けて話を発展させる練習をしておく
一貫性のある人物像集団討論と個人面接で、話す内容や志望動機がぶれていないか集団討論で述べた考えを、個人面接で具体的な経験に結び付けて説明できるようにしておく
消防吏員としての適性体力測定6種目と消防適性検査が示す傾向が、面接で語る自分の姿と重なるか体力づくりの過程で何を考え、どう続けてきたのかを語れるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

可茂消防事務組合消防本部のように集団討論と個人面接の両方がある試験ではなおさらです。集団討論で発言した内容についても、個人面接であらためて理由を尋ねられることがあるため、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の採用試験案内を読み、自分が対象となる回(第1回・第2回)と受験資格を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、チームで動いた具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力測定に向けたトレーニングと集団討論の練習も並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で可茂消防事務組合の知識だけを増やしても、集団討論での説得力にはつながりません。

可茂消防事務組合消防本部の選考は、集団討論と個人面接の両方が第2次試験にまとまって課されます。当日ぶっつけで臨むより、事前に想定問答を組み立てておくことで落ち着いて臨めます。面接対策を独学で仕上げたい場合は、可茂消防事務組合消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

可茂消防事務組合消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

可茂消防事務組合消防本部の想定問答集を見る

さいごに

可茂消防事務組合消防本部の試験は、集団討論と個人面接が第2次試験にまとまって課される2段階構成です。10市町村で構成される管内は、高齢化率が2割台の美濃加茂市・可児市から5割前後に達する七宗町・白川町・東白川村まで幅があり、令和2年7月豪雨のような山間部特有の水害の経験も持っています。

火災89件に対して救急10,785件という開きが表しているとおり、日々の活動の軸は救急にあり、そこに構成団体ごとの事情の違いが重なります。283人の消防吏員が支える体制の中で、自分がどの地域でどう関わっていきたいのかを、集団討論と個人面接の両方を通じて具体的に語れるよう、準備を積み重ねていってください。