本記事では、関市職員採用試験の面接対策で必要な、関市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

関市役所の面接試験では、「なぜ関市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

関市の新卒等採用Ⅰは、第1次と第2次の2段階で完結する短い選考です。そのぶん申込時に入力する内容の比重が大きく、書いた時点で面接はもう始まっていると考えたほうが実態に合います。

市の姿を数字で押さえ、申込フォームに書く内容と面接での答えを一本の線でつなげていきましょう。

第1部|自治体研究編

関市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは関市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 刃物産業の集積地であり、関鍛冶伝承館や刃物まつりなど、刃物を軸にした施策と行事が市公式に位置づけられています。
  • 住民基本台帳の人口は83,152人で、岐阜県内21市のうち6番目の規模です(令和8年1月1日現在)。
  • 市域は472.33km²と広く、人口密度は176人/km²にとどまります。
  • 接している自治体は12で、岐阜市・美濃市・美濃加茂市・各務原市・郡上市など県内の11市町のほか、福井県大野市とも境を接しています。
  • 65歳以上の割合は32.2%、75歳以上は18.5%で、岐阜県全体の31.2%・18.5%とほぼ同じ水準です(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
  • 平成30年7月豪雨では岐阜県内で死者1名・軽傷1名が関市で発生し、関市を含む県内16市町村に大雨特別警報が発表されました。
  • 市の花はきく、市の木は杉。市役所は関市若草通三丁目1番地にあります。
  • 職員採用は新卒等採用Ⅰのほか、短大卒・高校卒程度の新卒等採用Ⅱ、実務経験者、技能労務職、障がい者を対象とした区分と、年度内に複数の枠が設けられています。

関市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「関市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

関市を数字で捉えるときの特徴は、8万人という人口に対して市域が472.33km²と広いことです。人口密度は176人/km²。市街地から車で走れば景色が変わる、という広がりの中に8万人が分かれて暮らしています。

項目内容
総人口83,152人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
65歳以上人口26,760人(32.2%。岐阜県全体は31.2%)
75歳以上人口15,349人(18.5%。岐阜県全体も18.5%)
総面積472.33km²
人口密度176人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体岐阜市・美濃市・美濃加茂市・本巣市・各務原市・下呂市・郡上市・山県市・加茂郡富加町・坂祝町・七宗町、福井県大野市
市役所所在地関市若草通三丁目1番地
(参考)岐阜県の人口1,879,539人(令和8年4月1日現在の推計人口)

65歳以上・75歳以上の人口と割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における関市の総人口は83,152人、岐阜県全体は1,935,253人で、割合の分母にもこれらを用いています。表に併記した岐阜県の人口1,879,539人は令和7年国勢調査の速報値を基準とした県の推計人口であり、調査の基準が異なるため住民基本台帳の数値とそのまま比較することはできません。面積・隣接自治体・市役所所在地の各行は、公表されている値を当研究会がまとめたものです。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

関市の年齢構成は、65歳以上32.2%・75歳以上18.5%と、岐阜県全体の水準に重なります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

県の平均像に近いということは、岐阜県が全体として直面している問題が、そのままの形で関市にも現れるということでもあります。特別な事情に頼らず、県全体の課題を自分の市の話として引き受ける必要があるわけです。

そこに、472.33km²という広さが重なります。同じサービスを届けるにも、移動の距離が長ければ手間も時間もかかります。

施設をどこに置くか、巡回するのか集約するのかという判断が、他の市より重い意味を持ちます。面接でこの広さに触れるなら、次のような言い方が考えられます。

「関市は65歳以上の方が3割を超えていて、県全体とほぼ同じ水準だと知りました。ただ市域が広く人口密度は低いので、同じ内容のサービスでも届けるまでの距離が長くなります。どこに拠点を置くかという判断に関わる仕事に関心があります」

関市の経済・産業

刃物が市の看板になっている

関市は刃物産業の集積地で、関鍛冶伝承館や刃物まつりといった施設・行事が市公式の観光施策として位置づけられています(参考:関の刃物|関市公式サイト)。

産業がそのまま市の名前と結び付いているという状態は、行政にとって強みであると同時に責任でもあります。

技術の継承、担い手の確保、販路の広がりといった論点は、産業振興の担当だけでなく、教育や移住定住の施策とも接点を持ちます。面接で関市の産業に触れるなら、名産の紹介で終わらせず、この産業を次の世代へどう渡すかという角度まで進めておきましょう。

県全体のものづくりという背景

岐阜県の就業者のうち25.0%が製造業に従事しており、これは全国6位の水準です(全国は16.0%)(出典:岐阜県の概要)。

関市の刃物産業は、この県の就業構造の一角を占める存在です。市の産業支援は、補助金の窓口という側面だけでなく、事業を続けてもらうための相談相手という側面を持ちます。

規模の大きくない市では、担当者が同じ事業者と何年も関係を続けることも珍しくありません。

広い市域が抱える二つの顔

472.33km²という市域には、市街地と山間部の両方が含まれます。接する自治体は12にのぼり、県内の11市町に加えて福井県大野市とも境を接しています。

市の中に都市の暮らしと山間の暮らしが同居しているという条件は、公共交通、医療、防災のどれをとっても、一律の解が使えないことを意味します。

県全体で見れば、令和6年の観光消費額は4,012億73百万円で前年より31.8%増え、過去最高を更新しました(出典:岐阜県観光入込客統計調査|令和6年)。

この流れを市域のどこで受け止めるかも、関市にとっては選択の問題です。

関市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を重ねると、関市が向き合っている論点が見えてきます。市の課題を尋ねられた場面で取り出せるよう、次の4つを整理しておきます。

県の平均像がそのまま課題になる

65歳以上32.2%、75歳以上18.5%という構成は、岐阜県全体とほぼ同じです。県は2050年に人口137万人まで減ると推計しており、その内訳は15歳から64歳が47万人減、0歳から14歳が11万人減、65歳以上が4万人減とされています(出典:岐阜県人口問題研究会中間報告|令和6年12月)。

減るのは主として働く世代です。介護や医療の需要が増える一方で、それを支える職員も担い手も減っていくという二重の圧力を、県の平均に近い市はそのまま受けることになります。

若い世代の転出と産業の担い手

県の人口問題研究会が第一に挙げる課題は、若い女性が県外へ移っていくことです。岐阜県全体では近年、転出超過が年6千人という水準で続き、その多くを15歳から34歳の層が占めます。

刃物という技術産業を抱える関市にとって、この流れは市の看板の存続にも関わります。産業の担い手確保と、若い世代の定着は、関市では同じ問題の表と裏だと捉えておくと、志望動機に筋が通ります。

豪雨で被害が出た市であること

平成30年7月豪雨では、岐阜県内の死者1名と軽傷1名がいずれも関市で発生しました。関市を含む県内16市町村に大雨特別警報が発表され、県全体では避難指示(緊急)の対象が102,094人にのぼっています(出典:平成30年7月豪雨(岐阜県まとめ)|平成30年)。

さらに令和2年7月豪雨では、関市板取で降り始めからの降水量が1,220.5mmを観測しました(出典:令和2年7月豪雨災害検証報告書の概要|令和2年)。

平成30年と令和2年、2度にわたって記録的な大雨に見舞われた市です。防災を志望分野に選ぶなら、一般論ではなくこの2つの経験を前提に語ってください。

濃尾断層帯の関係市町村であること

1891年の濃尾地震を起こした濃尾断層帯について、地震本部は関係市町村として岐阜県側の本巣市・岐阜市・山県市・関市・美濃加茂市・加茂郡坂祝町などを挙げています。

同帯の主部では、根尾谷断層帯でマグニチュード7.3程度、梅原断層帯で7.4程度の地震が想定されています(いずれも30年以内の発生確率はほぼ0%)(出典:濃尾断層帯の長期評価)。

水害の記憶が新しい市ですが、地震への備えを後ろに回してよい理由にはなりません。広い市域では、被害の状況を把握するまでの時間そのものが課題になります。

重点政策|刃物のまちと広い市域という前提

関市の計画に何が書かれているかは、市公式サイトの現行版で確かめてください。予算と人がどの分野に配分されているかまで見ておくと、志望動機の解像度が上がります。以下で整理するのは、計画が入れ替わっても消えない2つの前提のほうです。

看板産業を持つ市の政策は一本に絞れない

刃物という産業が市の名前と結び付いている以上、産業振興、観光、教育、移住定住のどれもが「刃物のまち」という軸に触れます。一つの分野の施策が、別の分野の目的も同時に背負うという構造です。

面接で自分のやりたい仕事を語るとき、その仕事が市の軸とどこで交わるかを一言添えられると、市を理解している人だと伝わります。逆に、軸と無関係な話として語ってしまうと、どの市でも通じる志望動機になってしまいます。

広さが生む優先順位の問題

472.33km²に8万3千人。この密度で行政サービスを組み立てるとき、避けて通れないのが集約と巡回のどちらを選ぶかという判断です。

施設を1か所に集めれば効率は上がりますが、遠い地域の住民には届きにくくなります。逆に分散させれば、維持にかかる費用が増えます。

正解のない配分を決め続けるのが、この規模と広さを持つ市の仕事です。関市を志望するなら、この判断の難しさに触れておくと、現実を見ている人だと受け取られます。

POINT|事業名を覚えても差はつかない

覚えた事業名の数は、面接の評価にほとんど影響しません。受験案内の6項目から1つ選び、その言葉に当てはまる自分の経験を1つ思い出し、その経験が関市のどの仕事と重なるかを考える。この3手順で、話す材料は十分に足ります。

悪い例「刃物のまち関市で、地域の魅力を発信する仕事がしたいです」

改善例「まずは担当する仕事をきちんと回せるようになりたいです。そのうえで、関市は市域が広く、山あいの地域と市街地の両方を抱えていると知りましたので、どこに何を置けば届くのかを考える仕事に関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

読む順番を決めておきましょう。最初は自分が受ける区分の受験案内、次に志望分野に近いものを1つ選び、要点を自分の言葉で言い直せるところまで進めれば十分です。

  • 令和8年度関市職員採用試験案内(自分が受ける区分のもの。求める人材6項目が表紙に載っています)
  • 関市の総合計画と、直近年度の予算に関する市の説明資料
  • 関市公式サイトの「関の刃物」のページ(市が産業をどう位置づけているかを知るため)
  • 平成30年7月豪雨の岐阜県まとめと、令和2年7月豪雨災害検証報告書の概要

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、関市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。関市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

関市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

関市役所の面接の概要

ここからは、令和8年度の受験案内から読み取れる関市の選考の形と、申込の段階でやっておくべきことを整理していきます。

関市役所の試験の流れ

関市の新卒等採用Ⅰは、第1次試験と第2次試験の2段階で構成されます。第1次はすべての職種で適性検査(事務適性検査、性格適性検査)を実施し、事務職と児童指導員はこれに基礎能力検査、保健師と保育士は専門試験が加わります。

第2次は、事務職と保健師が面接、保育士と児童指導員が面接および実技試験です。人物を見る場面が第2次の一度に集約されており、そこまでに書いた内容と当日の受け答えがすべてという構造になっています。

項目内容(令和8年度・新卒等採用Ⅰ/大学卒)
試験の段階第1次試験→第2次試験の2段階
第1次試験すべての職種で適性検査(事務適性検査、性格適性検査。テストセンター会場を選択した方はWebによる受検)。加えて事務職・児童指導員は基礎能力検査、保健師・保育士は専門試験
基礎能力検査の内容文章読解能力、数的能力、論理的思考能力、人文・社会、自然に関する一般知識、基礎英語
第2次試験事務職・保健師は面接。保育士・児童指導員は面接及び実技試験。採用試験案内ページには第2次試験の面接について「個人面接」と記載されています
試験会場事務職の第1次は「全国のテストセンター会場(適性検査はWeb受検)」と「関市役所 6階 会議室」のいずれかを申込時に選択。保健師・保育士・児童指導員は第1次・第2次とも関市役所
採用予定人員事務職15人程度、保健師1人程度、保育士2人程度(採用後は関市内3ヶ所の親子教室に配属される場合あり)、児童指導員1人程度。試験区分は1つのみ選択でき、複数受験はできません
各種目の配点令和8年度の受験案内に、各試験の配点・満点や人物試験の比重の記載はありません
提出書類受験案内に別途の面接カード提出の記載はありません。申込フォームの入力事項が実質的にその役割を担います(次項参照)

この試験でとくに注意したいのが、申込の段階です。関市の受験申込は原則web申込で、入力事項には志望動機(150字以内)、志望する分野・職務内容(80字以内)、得意な科目や研究している課題(50字以内)、趣味・特技(50字以内)、サークルやボランティア、アルバイト(50字以内)、最近関心を持ったニュース(50字以内)、自覚している性格(150字以内)、日頃から心がけていること(150字以内)、自己アピール(200字以内)が含まれます。

加えて、証明写真と同等の鮮明な画質で無加工、直近6ヶ月以内に撮影した顔写真の添付が必要です。別に面接カードを出さないということは、この9項目がそのまま面接官の手元の資料になるということです。

上記の試験構成は、令和8年度関市職員採用試験案内(新卒等採用Ⅰ)および関市の採用試験案内ページにもとづく内容です(出典:令和8年度関市職員採用試験案内|令和8年度/関市職員採用試験案内|令和8年度)。令和9年4月採用では、このほかに新卒等採用Ⅱ(短大卒・高校卒程度)、実務経験者、技能労務職、障がい者を対象とした区分も実施されます。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なりますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。なお、申込に用いる電子申請は申込期間中のみ公開されます。

関市役所が求める人材

関市は受験案内の表紙に「関市の求める人材・目指す職員像」として6項目を掲げています。

市民視点で考え行動する職員、高い倫理観を持ち自己研さんに努める職員、広い視野と柔軟性を持ち積極的に行政課題に挑戦する職員、社会情勢の変化を的確に把握し長期的視野に立つ職員、コスト意識を持ち効率的な行財政運営を遂行する職員、郷土を愛する職員の6つです。求める人材を受験案内の表紙という最も目立つ位置に置いている点からも、市がここを本気で見ていることが読み取れます。

6項目のうち、面接で扱いやすいのは1番目と3番目、そして6番目です。1番目は市民と協働した経験、3番目は前例のない場面での動き方、6番目はこの土地で働き続ける意思に、それぞれ対応します。

とくに6番目の「郷土を愛する職員」は、他の5項目のような能力の記述ではなく、姿勢や気持ちを問う書き方になっている点が目を引きます。

ここからは受験案内に書かれていない領域です。事務職15人程度に対して保健師・児童指導員は各1人程度、保育士2人程度という採用の内訳と、472.33km²という市域の広さを重ねると、一人の職員が受け持つ範囲は自然と広くなります。

専門職が少人数である以上、事務職の側にも分野を横断して動く場面が回ってくるでしょう。自分の担当だけで完結させず、隣の分野の担当者へ話をつなげられるかどうか。

そこが効いてくると当研究会は見ています。

関市の場合、向き合う相手は市民だけではありません。刃物という看板産業を抱える市では、同じ事業者と何年も関係が続きます。

前に聞いた話を覚えていて、次の相談のときに持ち出せるか。そうした続き方のある仕事が、この市には多いはずです。

この試験では、あなたが何者かは申込フォームの9項目で先に伝わっています。面接はその9項目の裏取りから始まると考えて差し支えありません。

送信前に控えを残し、一項目ずつ「では、そのとき何をしたのか」に答えられる状態まで詰めておく。それが2段階で終わる選考に対して打てる、いちばん効く手です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。関市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までどのくらいかかりましたか身構えていない場面での話し方と、答えの長さの調整
② 動機・志望申込書の志望動機を、150字より詳しく話してください字数を絞って書いた内容の背後に、実際の経験があるかどうか
③ 自己理解自覚している性格として書かれた内容について、具体例を挙げてください申込時の記載と、口頭での説明が一致するか
④ 経験・行動日頃から心がけていることを、実際に行動に移した場面を教えてください入力項目にある心がけが、言葉だけで終わっていないか
⑤ 学業・経歴得意な科目や研究している課題について説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ置き換えられるか
⑥ 適性・将来志望する分野として書いた仕事に就けなかった場合は、どうしますか広い市域と限られた職員数の中で、配属の幅をどう受け止めているか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースについて、もう少し聞かせてください申込時に50字で書いた話題を、その場で膨らませられるか

ただし、ここまでは関市を受ける人だけが準備してくる領域ではありません。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。では、どこで差がつくのか。それが次の「関市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「関市役所ならでは」の質問

「なぜ岐阜県庁ではなく、関市役所なのですか」
「関市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「関市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい関市の事実答え方のヒント
市の看板産業刃物産業の集積地。関鍛冶伝承館や刃物まつりが市公式の施策・行事として位置づけられている名産としての紹介では止まらず、技術を次の世代へ渡すための施策という視点まで持っていくと、行政の目線で語れます
市域の広さ面積472.33km²に対し人口密度は176人/km²。接する自治体は12で、福井県大野市とも境を接する広さを不便さとしてではなく、集約と巡回のどちらを選ぶかという判断の問題として述べると、実務に近い答えになります
災害の経験平成30年7月豪雨で県内の死者1名・軽傷1名が関市で発生。令和2年7月豪雨では関市板取で1,220.5mmを観測2度の豪雨に触れたうえで、広い市域で状況を把握するまでの時間という論点を足すと、備えの話が具体になります
年齢構成65歳以上32.2%・75歳以上18.5%で、岐阜県全体とほぼ同水準(令和8年1月1日現在)県の平均に近いという事実を、特色がないと捉えず、県全体の課題を代表して引き受ける立場と言い換えると芯が通ります
市が求める人材受験案内の表紙に6項目。市民視点、高い倫理観と自己研さん、広い視野と挑戦、長期的視野、コスト意識、郷土を愛する職員6つのうち自分の経験と最も重なる項目を1つ選び、その言い回しで自己PRの結論を言い直しておくと、案内を読んできた人だと伝わります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「求める人材」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民視点で考え行動する相手の求めを聞き取ったうえで、自分の動きを変えた経験があるか受験案内の6項目のうち最初に置かれている観点です。申込フォームの「日頃から心がけていること」と重ねて書いておくと、書面と面接がつながります
広い視野と柔軟性を持ち挑戦する前例のない場面で、何を手がかりに動き出したか専門職の採用が各1人から2人程度という体制です。担当の外に出る場面を想定した経験を選んでおくと、この市の実務に届きます
郷土を愛するこの土地で働き続ける意思が、具体的な理由に支えられているか6項目の中で唯一、能力ではなく姿勢を問う項目です。市外から受ける方は、刃物のまちという看板や広い市域のどこに惹かれたのかを、自分の言葉で用意しておきましょう

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の受験案内を開き、自分の職種の第1次試験の種目(適性検査に何が加わるか)を確認する
  2. 申込フォームの9項目を、送信前に別のファイルへ下書きし、控えを手元に残す(面接ではここから聞かれます)
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 事務職は第1次の会場をテストセンターと関市役所のどちらにするか決め、受検環境を先に整える
  5. 刃物のまちという看板と広い市域のどちらを志望動機の柱にするかを決め、その理由を口に出して確かめる
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の下書きと、その内容を関市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、関市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

関市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

関市役所の想定問答集を見る

さいごに

関市の選考は2段階と短く、人物を見る場は第2次の面接に集約されます。その代わり、申込の時点で9項目にわたる記入を求められ、そこに書いた内容が面接の下敷きになります。

つまり準備の重心は、本番の1時間ではなく、申込までの数日にあるということです。

刃物のまちとして知られ、472.33km²の中に市街地と山あいを抱え、2度の豪雨を経験した市。その事実のどれかと、自分がやってきたことを結んだ一文を、まずは150字の志望動機の中に置いてみてください。

そこから先の準備は、その一文を掘り下げていく作業になります。