本記事では、茨城県職員採用試験の面接対策で必要な、茨城県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
茨城県庁の面接試験では、「なぜ茨城県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や計画を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、茨城県ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と茨城県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
茨城県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは茨城県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は水戸市で、知事は大井川和彦。関東地方の北東部に位置し、北で福島県、西で栃木県、南西で埼玉県・千葉県と接し、東は太平洋(鹿島灘)に面する。
- 総面積は6,097.56km²(全国24位)だが、可住地面積は3,888.92km²で全国第4位。関東平野に広がる平地の広さが県土の大きな特徴で、住宅地・農地・工業用地に使いやすい土地が多い。
- 人口は約279万人で全国第11位(令和7年国勢調査速報)。前回調査から約7万6千人減り、人口減少の局面に入っている。
- 農業産出額は全国第3位(8年連続)で、生産農業所得は全国第2位。園芸・米・畜産のバランスがよく、栗の生産量は全国1位。
- 東部の鹿嶋市・神栖市には鹿島臨海工業地帯が広がり、県全体の製造品出荷額等は全国第7位(令和2年)。化学など重化学工業が中心。
- 南部のつくば市には筑波研究学園都市があり、国の研究機関や大学が集積。県は宇宙関連産業やスタートアップの育成にも力を入れている。
- つくばエクスプレス(TX)や茨城空港、鹿島港・茨城港など交通・物流の基盤を持ち、TXの土浦方面への延伸も計画されている。
- 1人当たり県民所得は3年連続で全国第3位と潜在力が高い一方、県債残高の圧縮を進めており、令和7年度末見込では14年ぶりに2兆円を下回る見通し。
茨城県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「茨城県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、地域構成、財政の状況など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 2,791,207人(全国11位) |
| 高齢化率(65歳以上) | 31.2%(852,737人・過去最高) |
| 総面積 | 6,097.56km²(全国24位) |
| 可住地面積 | 3,888.92km²(全国4位) |
| 総世帯数 | 1,221,422世帯 |
| 人口密度 | 463.3人/km²(全国12位) |
| 地域区分 | 県北・県央・鹿行・県南・県西の5地域 |
| 財政力指数 | 0.61671(令和5年度) |
総人口・世帯数は令和7年国勢調査人口速報集計(令和7年10月1日現在)、高齢化率は県推計(令和7年9月15日現在)、面積・可住地面積・人口密度は「指標から見た茨城」(令和5年)、財政力指数は総務省「令和5年度地方公共団体の主要財政指標一覧」による数値です。(参考:地方公共団体の主要財政指標一覧|令和5年度)
数字から考えられる県政課題
茨城県は全国11位の人口規模を保っていますが、人口が多いことだけを強みと捉えるのは不十分です。人口減少への転換、高齢化率が3割を超えた状況、県北と県南の地域差、医療・介護分野の人材不足などをあわせて考える必要があります。
たとえば面接では、茨城県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
茨城県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 農業産出額は5,494億円で全国第3位(2024年・8年連続3位)、生産農業所得は2,002億円で全国第2位。
- 製造品出荷額等は12兆1,773億円で全国第7位(令和2年)。重化学工業が全体の65.1%を占める。
- 1人当たりの県民所得は3年連続で全国第3位(令和8年2月・知事説明)。首都圏に近く、平地が広いことが産業の基盤となっている。
- つくば市の筑波研究学園都市を核に、国の研究機関や大学が集積し、研究開発機能が厚い。
つまり、「農業産出額が全国3位の農業県でありながら、鹿島臨海工業地帯を抱える工業県でもある」二つの顔を持つ産業構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。
農林水産業
都市のイメージも強い茨城県ですが、実は全国有数の農業県です。農業産出額は全国第3位で、2017年から8年連続の3位。生産農業所得にいたっては全国第2位です。
産出額の内訳は園芸が約5割(2,629億円)、米が約4分の1(1,399億円)、畜産が約23%(1,286億円)と、特定の品目に偏らないバランスの良さが特徴で、栗の生産量は全国1位です。県は有機農業やウナギ資源の増大、海外市場への進出などを通じて、国や県の支援に頼らずに成長できる「儲かる農業」を掲げています。
この強みは、志望動機を「自立した産業に育てる」視点に結び付けやすい材料です。(出典:茨城県の農業産出額|令和6年)
工業
茨城県は農業県であると同時に、全国有数の工業県でもあります。製造品出荷額等は12兆1,773億円で全国第7位(令和2年)。重化学工業が全体の65.1%を占め、化学工業が最も多く、次いで生産用機械器具、電気機械器具が続きます。
中でも東部の鹿嶋市には鹿島臨海工業地帯があり、鹿嶋市だけで製造品出荷額等5,176億円(令和2年)を生み出し、鉄鋼などが主要品目です。
臨海部の素材・エネルギー産業という顔を押さえておくと、産業政策と防災の両面で話を広げやすくなります。(出典:茨城県の工業統計|令和2年)
研究開発・先端産業
つくば市の筑波研究学園都市には、国の研究機関や大学、企業の研究所が数多く集まり、全国的にも突出した研究開発の集積地です。県はこのポテンシャルを活かし、宇宙関連産業のクラスター形成やスタートアップ支援に加え、令和8年度からはアニメやeスポーツなどのクリエイティブ産業の育成にも新たに取り組みます。
デジタル技術の活用は、産業政策と行政運営の両面で最重要テーマの一つです。研究開発という強みは、他県との「差別化」を語るうえで欠かせない材料になります。
観光業
観光入込客数(延べ人数)は約6,180万人(令和6年・前年比101.2%)で、コロナ禍以前の水準へ回復してきています。実人数は約3,777万人で、そのうち日帰り客が82.1%を占めるのが特徴です。
観光消費額は約4,447億円(前年比約24%増)と伸びており、日帰り中心の構造をどう宿泊や地域内の消費につなげるかが政策課題になります。県は欧米豪などに向けたインバウンド誘致にも力を入れています。(出典:観光客動態調査報告|令和6年)
茨城県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、茨城県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
令和7年国勢調査の速報では、前回調査から人口が約2.6%減りました。県の総合計画は、人口が2035年に263万人、2050年に241万人まで減っていくという見通しを示しています。
もっとも、令和6年の人口動態を見ると、出生と死亡の差である自然減が続く一方、社会動態は7,341人の転入超過で、首都圏に近い立地が人口の流出を一定程度抑えています。
子育て支援だけでなく、若者の定着、教育、雇用、医療・介護人材までを関連付けて考える必要があります。(参考:国勢調査人口速報集計|令和7年)
大規模災害への備え
地震、津波、台風、豪雨など、地域によって異なる災害リスクがあります。県の地震被害想定調査(平成30年12月公表)では、県北部に大きな被害をもたらす「F1断層などの連動による地震」で死者330人・建物全壊焼失11,000棟(夏12時のケース)が想定3地震の中で最大とされています。
太平洋沿岸には津波のリスクもあり、鹿島臨海工業地帯という産業集積地を抱える県ならではの危機管理が求められます。(参考:茨城県地震被害想定調査|平成30年)
地域間の状況の違いと県北振興
茨城県は、地域による事情の違いが大きい県です。総合計画は県内を県北・県央・鹿行・県南・県西の5地域に分けて整理していますが、特に県北地域は人口流出が続いているため、県は「県北振興チャレンジプラン」や日立市での日立共創プロジェクト、里山資源を活用したコンテンツづくりに力を入れています。
一方で県南のつくば・土浦エリアはTX沿線を中心に人口が増える傾向にあり、同じ県内でも課題の中身が大きく異なります。
| 地域 | 主な市など | 特徴・課題のキーワード |
|---|---|---|
| 県北 | 日立市、常陸太田市、高萩市など | 人口流出が続く。日立共創プロジェクト、里山資源の活用、県北振興チャレンジプラン |
| 県央 | 水戸市、ひたちなか市、笠間市など | 県都と商業の中心。都市機能の維持、中心市街地のにぎわい |
| 鹿行 | 鹿嶋市、神栖市、潮来市など | 鹿島臨海工業地帯、農業、カシマサッカースタジアム、沿岸部の防災 |
| 県南 | つくば市、土浦市、牛久市など | 筑波研究学園都市、TX沿線の人口増、TXの土浦延伸計画 |
| 県西 | 古河市、筑西市、常総市など | 首都圏近郊の農業地帯。園芸産地、広い平地を活かした土地利用 |
「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域のどんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。
安全・安心の確保
知事は令和8年度当初予算案の説明で、県の幸福度指標の中で犯罪の多さが全国的にトップレベルにあり、順位の足を引っ張っていると述べ、県警本部の体制を抜本的に強化して犯罪対策を進める方針を示しました。
あわせて、救急を受け入れた後の転院がスムーズに進むよう、中核医療機関の救急受入病床と後方支援病床の確保にも取り組みます。治安や救急医療は、県民の暮らしの安心に直結する分野です。
多文化共生と秩序ある共生社会
茨城県では外国人が毎年1万人程度増えており、経済活動が活発化するほどそのニーズは高まります。県は、児童・生徒への日本語教育の支援を進めるとともに、ルールを守ってもらうための雇用の適正化などにも取り組み、外国人との「秩序ある共生社会」の実現を掲げています。
生活情報の多言語化や教育、就労、災害時の情報提供などが具体的な課題です。
茨城県の重点政策|第3次茨城県総合計画
茨城県の総合計画は「第3次茨城県総合計画〜『新しい茨城』への挑戦〜」(令和8年3月策定)です。計画期間は令和8年度から令和11年度までの4年間で、概ね2050年頃を展望する「将来構想」と、その実現に向けた「基本計画」で構成されています。
この計画は、まち・ひと・しごと創生法に基づく県の総合戦略としても位置付けられています。(出典:第3次茨城県総合計画|令和8年)
計画を貫く考え方
計画が掲げる基本理念は「活力があり、県民が日本一幸せな県」です。加速する人口減少の時代でも「茨城に住みたい、住み続けたい」人を増やすことをめざし、県は「いばらき幸福度指標」を導入して県民の幸福度を客観的に評価しようとしています。
受験生としては、この計画が①挑戦できる環境づくり ②高付加価値体質への転換 ③国内外から選ばれる茨城 ④誰一人取り残さない社会づくり、という4つの視点で政策を進め、特に「差別化」「インフラへの投資」「多様な人財が活躍できる社会」の3つを重点に置いている、という骨格で理解しておくとよいでしょう。
4つのチャレンジと20政策
| チャレンジ | 扱う主な分野 |
|---|---|
| Ⅰ 新しい豊かさ | 質の高い雇用、新産業育成と中小企業、強い農林水産業、世界に飛躍する茨城、自然環境の保全 |
| Ⅱ 新しい安心安全 | 地域保健・医療・福祉、健康長寿、障害のある人、安心して暮らせる社会(治安)、災害・危機 |
| Ⅲ 新しい人財育成 | 次世代の人財、魅力ある教育、子どもを産み育てやすい県、多様性、外国人材との共生 |
| Ⅳ 新しい夢・希望 | 魅力発信、ビジット茨城(観光)、若者、デジタルトランスフォーメーション(DX)、活力を生むインフラとまち |
面接では、自分の取り組みたい仕事がどのチャレンジや政策に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の一般会計当初予算は1兆3,599億円と過去最大(前年度比7.6%増)で、県税収入も過去最大となりました。知事の3期目の最初の年度にあたり、「差別化」「インフラへの投資」「多様な人財」の3つに重点を置いています。
差別化では県北地域の振興やクリエイティブ産業の育成、儲かる農業を、インフラではTXの土浦延伸、茨城空港ターミナルビルの拡張、水戸医療圏の再編(県立中央病院とこども病院の統合)、阿見町の工業団地造成などを、多様な人財ではひとり親世帯の支援や外国人との秩序ある共生を掲げました。(参考:令和8年度当初予算案(知事記者会見)|令和8年)
POINT|20政策をすべて覚えなくてよい
名称をすべて頭に入れることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「茨城県の農業を盛り上げる仕事がしたいです」
改善例「農業産出額が全国3位という強みを、有機農業や海外への売り込みで『儲かる農業』に育てて、若い人が続けたくなる形にする仕事に携わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 茨城県職員採用試験の受験案内(茨城県人事委員会)
- 第3次茨城県総合計画(概要版)
- 最新年度の当初予算・知事記者会見の資料/関心分野の個別計画
- 「指標から見た茨城」など、人口・産業・観光の統計資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、茨城県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。茨城県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
茨城県の面接の概要
ここからは、茨城県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
茨城県の面接の流れ
茨城県の大学卒業程度試験(事務職)は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。満点は合計700点ですが、そのうち人物試験が総配点のちょうど5割を占めるのが大きな特徴です。
論文試験は第1次試験日に実施されますが、その評定は第1次試験の合格者だけに行われます。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度〈事務〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験・論文試験)→ 第2次試験(口述試験・適性検査・資格調査) |
| 面接の種類 | 個別面接2回(口述試験) |
| 集団形式 | 集団討論 |
| 配点(満点700点) | 第1次=教養150点・専門150点・論文50点/第2次=集団討論100点・個別面接(2回計)250点 |
| 人物試験の配点 | 集団討論100点+個別面接250点=350点(総配点の5割) |
| 各項目の基準点 | 個別面接は満点の5割、論文・集団討論は満点の4割、教養・専門は満点の4割 |
注目してほしいのは配点の重みです。個別面接2回だけで250点、集団討論とあわせた人物試験で350点が動きます。
しかも、個別面接の基準点は満点の5割と全項目で最も高く設定されており、用意した答えを言えるかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる構造だと言えます。
上記の試験構成は、茨城県人事委員会発出の令和8年度受験案内にもとづく大学卒業程度試験(事務職)のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(参考:令和8年度職員採用試験案内|大学卒業程度)
茨城県が求める人物像
茨城県の受験案内では、一つの定型文としての「求める人物像」は見当たりません。ただし、県の総合計画は「挑戦する県庁」への変革を掲げ、職員が共有すべき基本姿勢として「県民本位」「積極果敢」「選択と集中」を示しています。面接でも、この方向性に沿った経験や考え方が伝わると好印象です。
自己PRでは「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲や相手にどんな変化をもたらしたのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。茨城県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは茨城県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「茨城県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「茨城県ならでは」の質問
どちらも、茨城県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「茨城県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい茨城県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少 | 令和7年国勢調査速報で人口は約279万人と全国11位ながら、前回比2.6%減。一方で令和6年は7,341人の転入超過で、社会増が下支えしている | 「自然減が進む中でも転入超過で支えている」という構図を押さえると、課題認識の一言に厚みが出ます |
| 県の総合計画 | 「第3次茨城県総合計画〜『新しい茨城』への挑戦〜」(令和8年3月策定・令和8〜11年度)。基本理念は「活力があり、県民が日本一幸せな県」、4つのチャレンジと20政策で構成 | やりたい仕事を20政策のどれかに位置づけて話せると、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります |
| 農業・産業 | 農業産出額は全国3位(8年連続)、生産農業所得は全国2位。県は有機農業や海外販路で「儲かる農業」を掲げ、自立した産業への転換をめざす | 農業の強みを「支援に頼らず育てる」視点で語ると、県の方針と噛み合います |
| 防災・危機管理 | 地震被害想定では「F1断層などの連動による地震」で死者330人・建物全壊焼失11,000棟(夏12時)が想定最大。太平洋沿岸には津波リスクもある | 臨海工業地帯や沿岸を抱える県の備えに触れ、事前の対策の話へつなげます |
| 県北振興 | 県北地域は人口流出が続き、県は「県北振興チャレンジプラン」や日立共創プロジェクト、里山資源の活用に取り組む | 地域による差を踏まえ、どの地域のどんな課題に関わりたいかまで具体化すると説得力が出ます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、県が求める職員の姿に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
ここでは、総合計画が示す県庁の基本姿勢を、面接で確かめられる観点に置き換えて整理しました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 県民本位 | 人物試験に350点を割く茨城県の面接では、相手の目線で考えて動いた経験や、困っている人とどう向き合ったかが、繰り返し掘り下げられます | 茨城県は県北と県南で事情が大きく異なる県です。相手や地域によって求められるものが違うと実感した経験を、具体的な場面で話せるようにしておきましょう |
| 積極果敢 | 横並びに満足せず、自分から動いた経験。失敗しても工夫して続けた経験 | 県は「差別化」や新産業への挑戦を掲げています。結果の大小よりも、なぜやろうと思い、どこを変えようとしたのかを語れるようにしておきましょう |
| 選択と集中 | 限られた時間や資源の中で、優先順位をつけて成果を出す力 | 県も財政の余裕がない中で重点を絞っています。学業や部活動で「あれもこれもできない中で何を優先したか」を筋道立てて説明できるよう整理しておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の受験案内を読み、第1次・第2次試験の構成と、論文・集団討論・個別面接2回の配点を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、茨城県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
茨城県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
茨城県の試験は、人物試験が総配点700点のちょうど5割を占め、なかでも個別面接の基準点が最も高く設定されています。
筆記の力だけで決まる試験ではなく、自分の経験と茨城県の課題を結び付けて語れる人ほど、面接で評価が伸びる設計になっています。この記事でつかんだ県の全体像を、ぜひ「自分ならこの地域のこの課題に関わりたい」という一言まで落とし込んでみてください。
あなたの受験が実り多いものになるよう応援しています。