ひたちなか・東海広域事務組合消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴基礎データ管轄地域の特性と災害リスク消防課題重点方針)と、面接本番の流れ想定される質問評価の観点を、1ページに整理しました。

ひたちなか・東海広域事務組合消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜひたちなか・東海広域事務組合消防本部なのか」「自分の経験や強みを消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。

2つの市村を管轄する組合であることや、原子力施設が集積する地域を管轄しているという事情を知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、この本部に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

組織研究と面接対策をあわせて1ページに整理していますので、この記事を志望動機づくりの土台として活用してください。

第1部|組織研究編

ひたちなか・東海広域事務組合消防本部の特徴

面接対策を本格的に始める前に、まずはこの本部の全体像をつかんでおきましょう。

  • ひたちなか・東海広域事務組合消防本部は、ひたちなか市と東海村の2市村を管轄する一部事務組合の消防本部。正式名称の中黒(・)は「ひたちなか」と「東海」の間に入る。
  • 平成24年4月1日に、それまで別々だったひたちなか市消防本部と東海村消防本部が広域化して発足した。
  • 組織は1消防本部5課4消防署体制で、消防署は笹野・神敷台・田彦(いずれもひたちなか市)・東海(東海村)の4署にわかれる。
  • 5課のうち通信指令課・消防総務課・予防課・警防課は本部庁舎(笹野消防署と同住所)に、防災指導課のみ東海消防署(東海村)と同住所に置かれている。
  • 4署を回す消防吏員(消防士などの階級を持つ職員)は237人で、うち女性は11人となっている(令和7年4月1日現在)。
  • 令和6年中の出動件数は火災65件・救急10,027件・救助102件で、救急が業務量の大半を占める。
  • 採用試験は組合が直接実施しており、ひたちなか市・東海村それぞれの職員採用試験とは別の試験にあたる。

ひたちなか・東海広域事務組合消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、統計値をすべて暗記する必要はありませんが、「この本部の大体のスケール感」をつかんでおくことは重要です。

以下の表に、管内人口や吏員体制、出動件数など、規模感を説明できる項目をまとめました。

項目内容
管内人口191,567人(ひたちなか市153,446人+東海村38,121人の合算・住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
高齢化率ひたちなか市27.2%/東海村25.4%(いずれも令和8年1月1日現在・団体別)
設置形態一部事務組合。構成市町村はひたちなか市・東海村の2団体
消防吏員数237人(うち女性11人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数65件(令和6年中)
救急出動件数10,027件(令和6年中)
救助出動件数102件(令和6年中)
署所笹野・神敷台・田彦・東海の4消防署

管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在によります(ひたちなか市・東海村の合算)。消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の全国消防本部データ検索の年次明記値によります。組織構成は組合公式サイトの消防本部紹介ページによります。

件数の差から見えるこの本部の仕事の重心

表を見ると、火災65件に対して救急は10,027件と、およそ154倍もの開きがあります。ひたちなか市・東海村をあわせた管内人口19万人余りを、4つの署で分担してカバーしている体制と考え合わせると、救急対応力の維持がこの本部の日常業務の中心にあることがわかります

ひたちなか市の高齢化率は27.2%、東海村は25.4%(いずれも令和8年1月1日現在)です。同じ住民基本台帳・令和8年1月1日現在で見た茨城県全体の30.5%と比べると、構成2市村とも県平均を下回る水準にあります

「この本部の救急出動は、令和6年に1万件を超えたと聞きました。火災の件数と比べても救急の比重が大きいので、増え続ける救急需要への対応力が重要になっているのだと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 管内人口191,567人の内訳は、ひたちなか市が153,446人、東海村が38,121人です(前章参照)。
  • 署所の置き方もこの比率に沿っており、笹野・神敷台・田彦の3署がひたちなか市に、東海消防署が東海村に置かれています。
  • 東海村には「多種多様な原子力施設が集積」しており、原子力災害への備えがこの管轄地域を理解するうえで欠かせない要素になっています。

管内人口の約8割はひたちなか市が占め、原子力施設が集積するのは人口およそ2割の東海村です人口の比重と、原子力災害への備えという重さが同じ方向を向いていない点に、この管轄地域の特徴があります

原子力施設の集積とPAZ・UPZへの備え

東海村には、原子力災害対策重点区域として、発電用原子炉施設に「PAZ」(予防的防護措置を準備する区域)が、試験研究用等原子炉施設・再処理施設・加工施設に「UPZ」(緊急時防護措置を準備する区域)が設定されています。村はPAZに係る広域避難計画とUPZに係る屋内退避及び避難誘導計画を一体化し、「原子力災害に備えた東海村住民避難計画」を令和5年12月に策定、令和7年3月に改定しました(出典:原子力災害に備えた東海村住民避難計画

第1部1章で触れた、5課のうち防災指導課だけが東海消防署と同じ住所に置かれているという配置は、原子力施設が集積する地域を管轄する本部の組織の形として押さえておきたい事実です。一方で、組合消防本部が原子力災害時に担う役割そのものを定めた規定は公表資料の中に見当たりません。

組織の配置から役割を推測して語らないよう、線を引いておく必要があります

広域避難訓練の積み重ね

東海村の広域避難訓練は、平成29年7月の第1回(村内完結型・一時集合場所への集合と高速道路の試走)から始まり、平成30年7月の第2回(取手市への住民避難活動訓練)、令和元年6月の第3回(つくばみらい市へ)、令和4年3月の屋内退避・避難誘導訓練第1回(那珂市へ)、令和4年10月の第4回(守谷市へ)と、回を重ねるごとに避難先を変えながら実施されてきました。

訓練の積み重ねそのものが、この地域の防災体制の厚みを示しています。村内で完結する訓練から始まり、複数の市へ実際に避難する訓練へと段階的に発展してきた経緯を知っておくと、原子力防災を「計画上の話」で終わらせず、実際に動かしてきた取組として説明できるようになります。

県による原子力防災の訓練・資機材整備

茨城県は、原子力災害時の応急対策活動に従事する県・市町村・警察・消防などの職員に対し、各種の防災研修を実施しています。原子力防災訓練の実績は、令和6年度が東海第二発電所を対象事業所として6機関・134名(施設敷地緊急事態を対象としたブラインド型訓練)、令和7年度が同じく6機関・121名(全面緊急事態以降を対象)でした(出典:茨城県の原子力防災研修・訓練。あわせて県は、令和7年4月30日現在で防護服37,335式(県7,220式・関係14市町村30,115式)、防護マスク4,900式、各種サーベイメータ計810台、個人線量計5,140個、避難用バス14台などの資機材を整備し、サーベイメータや個人線量計は東海村を含む関係14市町村に貸与しています(出典:茨城県の原子力防災資機材整備

管内の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、ひたちなか・東海広域事務組合消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

救急需要の増加

全国の救急出動は令和6年中で771万8,380件を数え、昭和38年の集計開始以降で最も多くなりました(出典:令和7年版 救急・救助の現況

同じ令和6年中に1万件を超えたこの本部の10,027件も、その全国的な水準の上にあります。4つの署でこの件数を受け止め続けられるかどうかが、日々の体制づくりの中心にあります

原子力施設を抱える管内での災害対応

原子力施設が集積する地域を管轄しているということは、火災や救急に加えて原子力災害を含めた多様かつ高度な災害対応まで視野に入れた備えが必要になるということです。

対応の幅が広いということは、それだけ隊として動ける力や、管轄地域の事情を正確に理解しておく姿勢が、日々の勤務でも選考でも意味を持つということです。なお、管内で対応しきれない規模の災害に備えた仕組みとしては、全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が加わる緊急消防援助隊があります。2つの市村を受け持つ本部の外側に、こうした応援の枠組みが控えていることも押さえておきましょう

予防・住宅防火

この本部の令和6年中の火災は65件で、救急の10,027件とは比べものになりません。ただし東海村の公式サイトには、東海第二発電所や核燃料サイクル工学研究所、加速器の建家など村内の原子力事業所で発生した火災事案が令和5年から令和7年にかけて継続的に掲載されています。

令和5年10月31日に東海第二発電所の原子炉建屋2階で焦げ跡が確認された事案でも、通報を受けた公設消防が「火災」と判断し鎮火を確認した経過が記録されています(出典:東海村|原子力施設の事象の公表

住宅の防火だけでなく、こうした事業所への予防業務まで守備範囲に入る点が、この管内の予防の特徴です

人材確保と女性吏員の活躍

この本部の吏員237人のうち、女性は11人で、割合は約4.6%と、全国平均(約3.8%・168,230人中6,386人・令和7年4月1日現在)を上回る水準にあります(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁。国が掲げる「令和8年度当初までに5%」という目標にも近い水準であり、この流れをどう維持・拡大していくかが課題になります。

管轄2市村を通じた地域防災力

笹野・神敷台・田彦の3署がひたちなか市に、東海消防署が東海村に置かれ、防災指導課だけが東海村側に置かれているというのが、この本部の組織の形です。

管内人口の約8割を占めるひたちなか市側と、多種多様な原子力施設が集積する東海村側の双方を視野に入れた地域防災力の底上げが、管轄全域の課題になります。平成24年の広域化から10年以上を経て、旧2本部それぞれの土地勘や地域とのつながりを、組合という1つの組織の中でどう受け継いでいくかも問われ続けています

重点方針|ひたちなか市・東海村の地域防災の取組と消防

組合が独自に掲げる運営方針や中期戦略にあたる文書は、公表されている資料の中にはありません。そこでこの章では、構成2市村が進める原子力防災の取組から、行政の側がどこまで備えを進めてきたのかを追っていきます。中心にあるのは、東海村が令和5年12月に策定し令和7年3月に改定した住民避難計画と、それを支える県の訓練・資機材整備です。

平成29年から令和4年にかけて5回重ねられてきた広域避難訓練は、村内完結型から始まり、取手市・つくばみらい市・那珂市・守谷市と、避難先を広げながら実施されてきました。面接で問われたときに効くのは、訓練の名称や年を覚えていることではなく、こうした積み重ねが続いている事実を押さえているかどうかです

POINT|原子力施設の集積を語るときの線引き

東海村に原子力施設が集積しているという事実を知っているだけでは、面接での評価にはつながりません。公表されている事実は、村が住民避難計画を策定・改定していること、県が研修と資機材整備を進めていること、そして防災指導課が東海消防署と同じ住所に置かれていることまでです。ここから先の役割を推測で足さずに、公表されている範囲を正確に語ったうえで、自分の経験や強みをその中のどこに置きたいのかへ話をつなげてください。

悪い例「原子力に関わる仕事に興味があったので、消防官になろうと思いました」

改善例「東海村には原子力施設が集積していて、この本部は原子力災害まで含めた幅広い対応が求められる地域を管轄していると知りました。口述試験は1回だけと聞いていますので、その場で崩れずに話せるよう、経験を整理して準備を進めています」

あわせて確認したい公式資料

体力検査の得点換算表は自分の到達度を測るために早めに、住民避難計画は管轄地域への理解を深めるために時間をかけて読んでおくと、それぞれの資料を無駄なく使えます。

  • 令和8年度消防職員採用試験案内(ひたちなか・東海広域事務組合)
  • 組合公式サイトの消防本部紹介ページ
  • 東海村「原子力災害に備えた東海村住民避難計画」
  • 茨城県の原子力防災研修・訓練の実績ページ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、ひたちなか・東海広域事務組合消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。この本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

ひたちなか・東海広域事務組合消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

ひたちなか・東海広域事務組合消防本部の面接の概要

ここからは、この本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

消防職員採用試験の流れ(令和8年度時点)

この本部の採用試験はひたちなか・東海広域事務組合消防吏員試験委員会が実施する、組合直接採用の試験です。消防A(大学卒業程度)と消防B(高校卒業程度)の2区分で計4名程度を募集し、第1次(教養試験・適性検査・体力検査)、第2次(口述試験・身体検査)の2段階で構成されています。

項目内容(令和8年度)
試験の段階2段階。第1次=教養試験(120分)・適性検査(20分)・体力検査(5種目)、第2次=口述試験・身体検査
面接の種類個人面接(第2次の口述試験・1回)。集団討論・集団面接の記載はない
体力検査懸垂(女子は斜め懸垂)、上体起こし、腕立て伏せ、反復横とび、疾走の5種目。男女別の得点換算表にもとづき1級〜5級及び級外の6段階で評価
申込方法紙の申込書と写真を消防本部消防総務課へ持参又は郵送(電子申請ではない)
令和7年度の実施状況消防A=申込14名・受験8名・採用2名・倍率4.0倍、消防B=申込25名・受験25名・採用5名・倍率5.0倍

上記は組合が公表する令和8年度消防職員採用試験案内にもとづくものです。試験の構成・内容は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内をご確認ください。市報等での回次表記が紛らわしい場合があるため、募集年度と採用年月日は受験案内本文で必ず確認しましょう。

身体検査は、職務遂行に必要な身体機能を有するかどうかについて、視力・色覚・聴力、胸部疾患の有無等を医師の診断による身体検査書(指定様式)で確認するものです。数値基準そのものは公表されていませんが、日頃の健康管理が受検の前提になることは押さえておきましょう。

学校卒業直後に採用された場合の給料月額(地域手当6%を含む)は、大学卒281,536円、短大卒258,958円、高校卒239,136円(令和8年4月1日現在)です。勤務形態は3交替制(1勤務15時間30分)で、休日等は4週8休となっています。

試験結果は第1次・第2次いずれかの不合格者本人に限り、総得点と順位を口頭で開示する仕組みで、インターネットや電話、はがきによる開示請求はできません

この本部が求める人材

令和8年度の消防職員採用試験案内にも組合公式サイトにも、「求める人物像」にあたる文言は掲げられていません。代わりに態度が読み取れるのが、体力検査の得点を1級から5級及び級外まで6段階で示す換算表と、検査要領の説明動画を公開し、受験を考えている人に必ず視聴するよう求めているという運用です。

基準をあいまいにせず、受験者が自分の到達度を先に把握できるようにしている組織だといえます

もう一点、2つの市村が費用と職員を出し合って1つの本部を持つ形では、勤務する署が市域を越えて変わりますし、ひたちなか市側と東海村側では備えるべき事柄も同じではありません。

特定の市村だけに向いた志望動機は、管内全体をどう見ているかを問われたときに答えに詰まりやすくなります。もっともこれは組合が選考基準として示したものではなく、同じ設置形態の本部から引き出した一般論の域を出ません。

口述試験が1回きりの一発勝負である以上、体力検査の得点換算表でどの水準を目指しているかを、自分の言葉で具体的に説明できるかも、日頃の準備の姿勢を伝える手がかりになります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。この本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやってここまで来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜひたちなか・東海広域事務組合消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とひたちなか市・東海村という地域を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴学生生活で最も力を入れたことは何ですか?物事への取り組み方の筋道を、自分の言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7つの型は面接準備の骨格として使えますが、この本部ならではの答えになるかどうかは、次の固有質問で決まります。

合否を分けるのはこの本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官を志望するのですか」
「なぜこの本部を志望するのですか」

口述試験は1回のみだからこそ、その場の思いつきではなく、事前にどれだけ自分の考えを固めておけたかがそのまま差になります。似た仕事との違いや、この本部ならではの事情を、自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

質問テーマ知っておきたいこの本部の事実答え方のヒント
管轄地域の理解ひたちなか市と東海村の2市村を管轄。管内人口は191,567人(詳細は第1部2章)ひたちなか市側と東海村側の事情の違いに触れながら話す
原子力災害への備え東海村にはPAZ・UPZが設定され、住民避難計画が策定・改定されている(詳細は第1部3章)公表されている村と県の枠組みの範囲で話し、組合の役割には踏み込まない
広域避難訓練の実績平成29年から令和4年にかけて5回の訓練が積み重ねられてきた(詳細は第1部3章)訓練の回数や避難先の広がりを、自分の言葉で具体的に語れるようにする
救急需要への理解令和6年中の救急出動は10,027件、火災は65件(詳細は第1部2章・4章)2市村分の管内人口と結びつけて、4署で受け止める体制まで話す
人材確保・女性吏員吏員237人中女性11人・約4.6%(全国平均は約3.8%、詳細は第1部4章)全国平均を上回る水準であることを踏まえ、活躍できる職場づくりへの関心を示す

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

組合は、試験の段階・種目・体力検査の評価方法までは具体的に公表していますが、口述試験や体力検査の配点そのものは明らかにしていません。得点換算表という形で基準を明確にする姿勢がある一方、口述試験の評価軸は非公表であるため、ここは公務員試験で広く使われるコンピテンシー評価という一般的な考え方を補って整理します。口述試験が1回だけという設計を踏まえれば、限られた時間の中で一貫した人物像をどこまで具体的に伝えられるかに、評価の重心が寄ることになります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
災害への理解と当事者意識原子力災害を含む多様な災害リスクをどこまで自分の言葉で説明できるか確認できている事実と、断定できない範囲を分けて整理しておく
体力検査の水準への到達体力検査5種目の得点換算表にもとづき、実際に現場で動ける準備ができているか日頃の体づくりの取組を、換算表の水準を意識しながら具体的に説明する
広域を担う覚悟2市村のどの署所に配属されても対応できる意識があるか特定の市村だけでなく管轄全体への関心を、自分の言葉で示せるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

口述試験が1回だけのこの本部ではなおさら、その1回で語りきれる準備が必要です。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、消防A・消防Bのどちらで受験するかと、申込方法(持参又は郵送)、提出書類を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。人と組んで何かを進めた経験を、部活動やアルバイト、学業から1つずつ拾い出しておく
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力検査の得点換算表で目標の級を決め、そこへ届くトレーニングを並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態でこの本部の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、口述試験が1回しかない選考を独学で仕上げていく場合は、この本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

この本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。やり直しのきかない口述試験に一度で臨む以上、準備は早いほど有利に働きます

ひたちなか・東海広域事務組合消防本部の想定問答集を見る

さいごに

ひたちなか・東海広域事務組合消防本部の採用試験は、教養試験・適性検査・体力検査からなる第1次と、口述試験・身体検査からなる第2次の2段階構成です。消防A・消防Bをあわせて4名程度という採用予定数に対し、令和7年度の実施状況は倍率4.0倍から5.0倍と、決して広き門ではありません。

体力検査の得点を6段階で示す換算表を公開している点に、基準を明確にしようとする姿勢が表れています。管内人口の8割を占めるひたちなか市と、多種多様な原子力施設が集積する東海村の両方を受け持つ本部であり、東海村側については村の住民避難計画や県の訓練という公表された枠組みまで理解しておきたいところです。

平成24年の広域化から積み重ねてきた組織の歩みも、あわせて押さえておきたい前提です。救急需要の増加や女性吏員の活躍水準まで踏まえたうえで、限られた口述試験の機会で崩れずに語れる自分の言葉を用意していってください

19万人余りの暮らしを預かる仕事を志す皆さんの準備を、当研究会は最後まで支えていきます。