本記事では、取手市職員採用試験の面接対策で必要な、取手市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

取手市役所の面接試験では、「なぜ取手市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。取手市の採用試験は筆記の教養試験を課さない構成をとっているため、市をどれだけ理解しているかが、そのまま受け答えの厚みとして表れます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と取手市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

取手市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは取手市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口は105,978人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は69.94km²。茨城県内では、人口10万人台の市にあたる。
  • 人口密度1,515人/km²は、茨城県全体の463.3人/km²(令和5年10月1日現在)の3倍を超える。県内では、人が密に集まって暮らしている市にあたる。
  • つくばみらい市・龍ケ崎市・守谷市・北相馬郡利根町と接し、さらに県境をまたいで千葉県の我孫子市・柏市とも隣接する。生活圏が県境の外側にも広がっている点が、位置関係の特徴である。
  • 市役所は〒302-8585 取手市寺田5139番地に置かれている(団体コード08217-1)。
  • 市の花はツツジとフジ、市の木はモクセイとゲッケイジュで、花も木も2種類ずつ定められている。
  • 市は職員採用の実施要項で「住み続けるほど好きになるまち“取手”」という言葉を掲げ、その未来づくりへの参加を受験者に呼びかけている。
  • 令和8年度の採用試験には筆記の教養試験がない。実施要項も「人物重視の試験となっており、特別な公務員試験対策は不要です」と明記している。
  • 茨城県全体の人口は令和7年国勢調査の速報集計で2,791,207人となり、前回(令和2年)から75,802人(2.6%)減った。人口10万人台を保つ取手市にとっても、この減少は無関係ではない。

取手市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「取手市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。規模を測るときの比較先として、茨城県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口105,978人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積69.94km²
人口密度1,515人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体つくばみらい市、龍ケ崎市、守谷市、北相馬郡利根町、千葉県我孫子市、千葉県柏市
市役所所在地〒302-8585 茨城県取手市寺田5139番地
市の花・市の木花:ツツジ、フジ/木:モクセイ、ゲッケイジュ
(参考)茨城県の総人口2,791,207人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報集計)
(参考)茨城県の人口密度463.3人/km²(令和5年10月1日現在・全国第12位)
(参考)茨城県の高齢化率31.2%(令和7年9月15日現在・推計値)

取手市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。茨城県の総人口・人口密度・高齢化率は茨城県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、取手市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

人口10万人という規模は、それ単独では良し悪しを判断できません。読み方が変わるのは、面積69.94km²という数字と並べたときです。

市域は県内では広いほうではなく、そこに10万人余りが暮らしています。だから人口密度は県全体の3倍を超えます。住まいも人も比較的狭い範囲にまとまっている市だといえます。

まとまっていることは、行政にとっては利点になります。道路や上下水道、公共施設を同じ人数で支えるなら、広く薄く散らばっているより効率がよいからです。

問題は、その人数が今後どう動くかです。茨城県全体では、令和6年の1年間に出生14,556人に対し死亡38,951人と24,395人の自然減、転入125,457人に対し転出118,116人と7,341人の転入超過でした(出典:茨城県の人口(年報)|令和6年

生まれる人の数では埋まらない減少を、県外から移り住む人が部分的に補っている構図です。千葉県側と市域を接する取手市は、その人の流れの通り道に位置しています。県境という位置と県全体の人の動きを重ねれば、面接では次のように話せます。

「取手市は人口が10万人ほどのまちですが、面積はそれほど広くないので、人口密度は茨城県全体の3倍を超えると知りました。千葉県の我孫子市や柏市とも接していますので、県境をまたいで動く人の流れを、住み続けてもらう方向にどう向けるかが大事なのではと感じています」

取手市の経済・産業

農業と工業の両輪で成り立つ県の中で

10万人規模の市の産業は、県全体の姿と重ねると位置づけが見えてきます。茨城県の農業産出額は5,494億円で全国第3位(2024年)。

2017年から8年連続で3位を保ち、生産農業所得2,002億円は全国第2位です。内訳は園芸2,629億円(48%)、米1,399億円(26%)、畜産1,286億円(23%)と続きます(出典:茨城県の農業産出額|令和6年

一方で、製造品出荷額等は12兆1,773億円で全国第7位(令和2年)。重化学工業が全体の65.1%を占め、化学工業が最多、次いで生産用機械器具製造業、電気機械器具製造業と続きます(茨城県統計課の公表による令和2年の値)。

つまり全国有数の農業県でありながら、工業でも上位に入るのが茨城県の産業構造です。取手市のように市域が狭く人口密度の高い市は、その中では都市的な性格が強い側に位置します。面接で産業の話に触れるなら、県の厚みと市の性格の違いを分けて話せると、理解の深さが伝わります。

広い平地という土台

この産業構造を支えているのが、平地の広さです。茨城県の総面積6,097.56平方キロメートルは全国第24位ですが、可住地面積3,888.92平方キロメートルは全国第4位にあたります(いずれも令和5年時点)(出典:指標から見た茨城|令和5年

住める土地も耕せる土地も広く、工場の立地余地もある県だということです。取手市はその中で、限られた市域に人口が集中している市にあたります。県の平均像をそのまま市に当てはめないよう、面接では市の数字を手元に置いて話しましょう。

観光と交流人口

令和6年の茨城県の観光入込客数は延べ約6,180万人(前年比101.2%)、実人数では約3,777万人(前年比110.1%)で、このうち日帰り観光客が82.1%を占めます。観光消費額は約4,447億円で、前年より約24%増えました(出典:茨城県観光客動態調査|令和6年

人数の伸びより消費額の伸びが大きいという点が読みどころです。日帰りが中心の県で消費額が伸びたということは、訪れた人の使い方が変わってきたことを意味します。

定住人口が減る局面では、訪れる人や関わる人をどう増やすかが市町村共通のテーマになりますが、取手市のように首都圏の側と接する市では、日帰りで立ち寄れる距離であること自体が材料になります

取手市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、取手市を含む茨城県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

10万人という規模をどう保つか

茨城県の総人口は令和7年国勢調査の速報集計で2,791,207人となり、前回から75,802人(2.6%)減りました。世帯数は1,221,422世帯です(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|茨城県

一方、令和6年の推計人口の減少幅は対前年17,054人(0.60%減)にとどまっています。県全体の人口減少は、県外からの転入によっていくらか和らげられている状態です。

裏を返せば、転入の流れが弱まれば減少は速まります。人口10万人規模の市にとって、住まいや子育ての環境をどう整えるかは、規模を保てるかどうかに直結する問題です

過去最高を更新し続ける高齢化

茨城県の65歳以上人口は852,737人、県人口に占める割合は31.2%で、いずれも過去最高を更新しました(令和7年9月15日現在の推計値)(出典:茨城県の高齢者人口|令和7年9月県民のおよそ3人に1人が65歳以上という水準です。

人口が密に集まる市では、高齢の住民が身近に多く暮らすぶん、通いやすい距離に居場所や相談先をどう置くかが問われます。人口密度の高さは、支え合いの仕組みをつくりやすいという意味では追い風にもなります

県境をまたぐ生活圏との関係

取手市は千葉県の我孫子市・柏市と市域を接しています。買い物、通勤、通学、通院といった日常の行動は、県境で止まりません。

行政の区域と暮らしの範囲がずれるとき、市の仕事は「自分の市の中だけを見ていれば足りる」ものではなくなります。県をまたぐ市町村との調整や広域での連携をどう組み立てるかは、県境に位置する市ならではの論点です。面接で「取手市ならでは」を語るとき、この位置は使いやすい材料になります。

財政の制約の中での優先順位

市の財政状況は市の公表資料で確認する必要がありますが、背景となる県全体の指標は把握しておけます。茨城県の財政力指数は0.61671、経常収支比率は93.3%、実質公債費比率は9.3%、将来負担比率は166.0%です(いずれも令和5年度)(出典:地方公共団体の主要財政指標一覧|令和5年度

経常収支比率が9割を超えるということは、毎年決まって入る収入の大半が、人件費など毎年固定的にかかる支出で埋まっているということです。何かを増やすには何かを見直すという判断は、県でも市でも同じように求められます。

県南部を襲う地震への備え

茨城県地震被害想定調査報告書(平成30年12月公表)は、3つのタイプの地震を想定しています。このうち県南部に大きな被害をもたらす「茨城県南部の地震」では、死者数が全県で90人から180人(夏12時のケースで90人)、建物の全壊・焼失が3,400棟(夏12時)と見込まれています。

死者の内訳は揺れによる建物倒壊がほとんどを占めるとされています(出典:茨城県地震被害想定調査報告書の概要|平成30年。取手市は県南に位置します。

住宅が密集する地域では、倒壊と火災が同時に起きたときの避難のしかたが課題になります。自分の住む地区がどの想定に当たるかは、市のハザードマップで確認しておきましょう。

取手市の重点政策|第3次茨城県総合計画と取手市

取手市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。この章で扱うのは、市政の背景にある第3次茨城県総合計画と、令和8年度の実施要項が掲げる「住み続けるほど好きになるまち“取手”」という言葉の二つです。

第3次茨城県総合計画が掲げる基本理念

県の最上位計画は、計画期間を令和8年度から11年度とする第3次茨城県総合計画(〜「新しい茨城」への挑戦〜)です。基本理念に「活力があり、県民が日本一幸せな県」を掲げ、加速する人口減少や超高齢社会への対応、大規模災害リスクへの対応、飛躍的に進化するデジタル技術がもたらす社会変革といった時代の変化を、「新しい茨城」づくりに向けて留意すべき重要な視点として整理しています(出典:第3次茨城県総合計画|令和8〜11年度

計画は加えて、激動する国際情勢や気候変動による影響の拡大も、県を取り巻く環境の変化として明記しています。

これは県の計画であって、取手市の計画ではありません。ただ、県が示す方向と市の施策は無関係ではいられません。市の総合計画を読むときは、県が挙げたこれらの環境変化に対して、市がどの順番で答えようとしているかという目線で見ると、理解が早くなります。

県のプロジェクトと取手市の距離

県が進める大型プロジェクトのうち、県南に関わりが深いのがつくばエクスプレスの県内延伸です。延伸方面は2024年に「土浦方面」に決定し、JR常磐線と接続する駅は土浦駅とされました。

県は採算性を確保するための需要拡大やコスト削減の方策を検討しながら、延伸計画素案の策定を進めています(県の公表による2024年6月時点の状況)。取手市の中を通る計画ではありませんが、県南の交通の骨格が変われば、人の動きも住まいの選ばれ方も変わります。

自分の市の外側で起きている変化を知っているかどうかは、面接での視野の広さとして表れます

市が採用の場面で掲げている言葉

取手市の令和8年度職員採用試験の実施要項は、冒頭で「住み続けるほど好きになるまち“取手”」の未来づくりへの参加を呼びかけています。そして同じ文で「人物重視の試験となっており、特別な公務員試験対策は不要です」と述べています(出典:令和8年度取手市職員採用試験(第1回)実施要項

短い一文ですが、市が職員に何を期待しているかがよく表れています。住み続けたいと思える理由を積み上げていく仕事に、自分の何を持ち込めるのか。志望動機を組み立てるときの出発点として使える言葉です。

POINT|市の資料が少ないときほど、順番が効く

公表資料の量は自治体によって差があります。少ないときは、①取手市の人口規模と市域の狭さ、県境という位置を知る → ②茨城県全体の人口・産業・防災の見通しの中に市を置く → ③その中で自分が携わりたい仕事を選ぶ → ④その仕事に自分の経験がどう使えるかを言葉にする、という順で準備すれば十分に戦えます。

悪い例「取手市のまちづくりに貢献したいです」

改善例「まずは窓口の仕事で、市民の方の相談を受けるところから始めたいです。その上で、取手市は千葉県側とも接していて、暮らしの行き来が県境を越えていますので、市の外に出ていく人にも住み続けたいと思ってもらえる材料をつくる仕事に関わりたいと思っています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 取手市職員採用試験の実施要項(最新年度・受験する職種のもの)
  • 取手市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
  • 第3次茨城県総合計画、茨城県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、取手市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。取手市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

取手市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

取手市役所の面接の概要

ここからは、取手市役所の試験の構成と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

取手市役所の試験の流れ

令和8年度の試験(第1回)は、第1次から第3次までの3段階です。特徴は種目の並びにあります

筆記の教養試験が課されず、選考はエントリーシートと動画の審査から始まります。第2次で適性検査と記述試験を挟みつつ、グループワーク、個人面接、グループディスカッションと人物を見る種目が最後まで続く構成です。学力の得点で挽回する場面がない代わりに、応募の入り口から人物が評価され続ける試験だといえます。

項目内容(令和8年度・第1回・令和9年4月1日採用予定)
試験の段階第1次試験、第2次試験、第3次試験の3段階構成
第1次試験エントリーシート審査(申込時に登録。これまでに培った資質・能力や、知識、経験、意欲、文章の構成や分かりやすさ等を総合的に評価)と動画審査(人柄、話し方、熱意、志望動機等を総合的に評価。専用Webサイトに動画をアップロード)
第2次試験事務職適性検査TAPOC(択一式・約40分。照合、分類、言語、計算、読図、記憶)、記述試験(約20分。文章による表現力、課題に対する理解力等)、グループワーク(約60分。主として人柄や対人能力等を評価)
第3次試験個人面接(主として人柄や対人能力等を評価する個別面接による試験)と、グループディスカッション(約60分。主として人柄や対人能力等を評価)
面接の種類個人面接が1回(第3次試験)
集団形式第2次の「グループワーク」と第3次の「グループディスカッション」の2種目。名称が異なる別の種目です
配点各種目の配点・満点は実施要項に記載がありません(「人物重視の試験」という説明のみ公表されています)
提出書類・申込方法いばらき電子申請・届出サービス(取手市)による電子申請のみ。郵送や持参による申込みはできません。直近3か月以内に撮影した写真データ(縦横比4×3、上半身脱帽、正面向き)の提出が必要です
職種と採用予定人数行政職の事務職(A)10人程度のほか、建築技師、土木技師、保健師、心理職、保育士幼稚園教諭が各若干名、技能労務職の土木作業員が若干名。複数の職種への重複申込みはできません
資格による加点事務職には資格加点があり、実施要項の別表に掲げるIT系・福祉系・技師・管理栄養士・保健師・司書などの資格保有者は第2次試験の得点に加点されます

上記の試験構成は、取手市の令和8年度職員採用試験(第1回)実施要項にもとづくものです。試験の構成・種目・申込方法等は、年度や職種、募集の回によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の職種の最新の実施要項をご確認ください。

取手市役所が求める人物像

取手市は、実施要項の中で求める人物像を3つ挙げています。いずれも資質の名前だけでなく、その資質を発揮している状態が文章で説明されているのが特徴です。

掲げられている資質公表されている説明
主体性、積極性、実行力未経験の仕事にも、主体性をもって前向きに取り組むチャレンジ精神を持ち、数年後には、頼りがいのあるリーダーとして同僚を引っ張っていける。
協調性、コミュニケーション力職場において仲間への気遣いやコミュニケーション能力を発揮し、上司や同僚と共に喜びと苦労を分かち合う「職場の潤滑油」的な存在として活躍できる。
継続力、責任感困難な状況とも上手に向き合いながら、一つのことを最後まで投げ出さずにやり遂げ、地道な頑張りで職場に貢献できる。

読み比べると、3つとも職場という場面での振る舞いが基準になっていることが分かります。市民に対する姿勢ではなく、同僚との関係の中でどう動けるかが語られているのです。

グループワークとグループディスカッションが2段階に置かれているのも、この基準と重なります。自己PRでは「協調性があります」と述べるだけでなく、その協調性が職場でどんな行動になり、同僚の動きがどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。取手市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずに来られましたか身構えていない場面での声量と表情。会話の入り口での自然さ
② 動機・志望公務員という働き方を選んだ理由を教えてください安定という言葉以外で職業選択を説明できるか
③ 自己理解周りの人からは、どんな人だと言われますか他者から見た自分を把握しているか。自己評価とのずれに気づいているか
④ 経験・行動人と意見が合わなかったとき、どう折り合いをつけましたか対立の場面で何を優先し、どう働きかけたか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて学んだことを教えてください取り組みの中身と、そこから何を持ち帰ったか
⑥ 適性・将来希望しない部署に配属されたら、どうしますか配属の現実を受け止めた上で働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近気になった行政の動きはありますか社会の動きへの関心と、それを一言で述べる力

ただし、この7カテゴリーは取手市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「取手市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「取手市役所ならでは」の質問

「なぜ茨城県庁ではなく、取手市役所なのですか」
「取手市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも取手市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「取手市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい取手市の事実答え方のヒント
市の規模と位置人口105,978人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積69.94km²、人口密度1,515人/km²で県全体の3倍超。千葉県我孫子市・柏市とも市域を接する「県南のまち」で終わらせず、狭い市域に10万人が集まっているという密度まで話を進めると、取手市を自分で調べた人の答えになります
なぜ県庁ではなく市役所か第3次茨城県総合計画(令和8〜11年度)が県全体の方向を定める一方、住民票の交付や福祉の相談といった日々の手続は市が受け持つ役割の違いを述べて止めず、取手市の窓口で自分が向き合いたい相手を一人思い浮かべて具体的に語ります
市の課題県人口は令和7年国勢調査の速報集計で2,791,207人と、前回から2.6%減少。令和6年は転入が転出を7,341人上回る一方、死亡が出生を24,395人上回った。高齢化率は31.2%減少と転入超過という逆向きの二つの流れを整理し、取手市がどちらの流れを取りに行くべきかで自分の考えを述べます
試験の性格を踏まえた志望第1次はエントリーシートと動画の審査、第2次はグループワーク、第3次は個人面接とグループディスカッション。筆記の教養試験はない市が「人物重視」と明言している試験なので、実施要項のこの一文を読んだ上で志望を決めたと言えるようにしておきます
防災・危機管理県の被害想定では県南部の地震で全県の死者が90人から180人、建物の全壊焼失が3,400棟(夏12時のケース)。死者の大半は揺れによる建物倒壊とされる取手市が県南に位置することに触れ、住宅が密集する地域での避難という角度から、自分に手伝えることを一つ挙げます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「求める人物像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
主体性、積極性、実行力やったことのない役目を引き受け、最後まで動かした経験があるか市が「数年後には、頼りがいのあるリーダーとして同僚を引っ張っていける」人を挙げていることを踏まえ、人を巻き込んだ場面を一つ選んで話せるようにする
協調性、コミュニケーション力集団の中で、意見の違いをどう扱ってきたか取手市は集団の種目を2段階に置いているので、グループの中で自分がどの役回りをとりやすいかを把握し、言葉にできるようにしておく
継続力、責任感思うようにいかない期間を、どう乗り切ったか市の言葉である「地道な頑張りで職場に貢献できる」に照らし、成果が出るまで時間のかかった取り組みを、経過を追って説明できるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の実施要項を読み、3段階の種目と、電子申請で登録するエントリーシートの設問を確認する(職種によって設問が異なります)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、市の人口と市域、県境という位置から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 動画審査があるため、自分が話す様子を録画して見返す。表情と話す速さ、最初の一文の分かりやすさを、他人の目で確かめる

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、取手市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

取手市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

取手市役所の想定問答集を見る

さいごに

取手市の試験は、筆記の教養試験を置かず、書いたもの、話す姿、集団での振る舞い、そして個人面接という順で人を見ていく形をとっています。実施要項が「特別な公務員試験対策は不要です」と書いているのは、対策が要らないという意味ではなく、見るところが人物に寄っているという宣言です

だからこそ、準備の中身は変わります。10万人が69.94km²に暮らし、県境の向こう側にも生活圏が広がるこのまちで、自分は誰のどんな困りごとに関わりたいのか。市が掲げる「住み続けるほど好きになるまち“取手”」という言葉に、自分なりの続きを書けるようになったとき、受け答えは自然と自分のものになります