本記事では、栃木県職員採用試験の面接対策で必要な、栃木県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
栃木県庁の面接試験では、「なぜ栃木県を志望したのか」、「県職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、栃木県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と栃木県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
栃木県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは栃木県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は宇都宮市。関東平野の中北部に位置する内陸県で、福島県、茨城県、群馬県、埼玉県と接する。
- 県土は6,408.09平方キロメートルで、関東地方では最も広い(全国20位)。県内は14市11町で構成され、村はない。
- 人口は約188万人で全国19位。県庁所在地の宇都宮市は、県人口の約4分の1にあたる約51万人を抱える中核市。
- 県の北西部には日光国立公園や尾瀬国立公園が広がり、「日光の社寺」は世界文化遺産に登録されている。約37キロメートルにわたる日光杉並木街道は、世界一長い並木道としてギネスブックに認定されている。
- いちごの生産量は半世紀以上にわたり日本一。「とちおとめ」「とちあいか」を産する農業県であると同時に、大手企業の生産拠点や技術力の高い中小企業が集積するものづくり県でもある。
- 東北新幹線で東京まで約50分と交通の便がよく、東北自動車道・北関東自動車道・圏央道が県内を通る。県都・宇都宮市では、令和5年に芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)が開業し、累計利用者数は700万人を超えた。
- 関東平野の中北部にありながら、地震や風水害といった大規模な自然災害が比較的少ない地域とされる。一方で寒暖の差は大きく、日最高気温と日最低気温の月平均の差は34.5度と全国7位で、はっきりとした四季を感じられる。
- 県財政は全国的にも健全な水準を保っている。将来負担比率や実質公債費比率は全国平均を下回るが、今後は人口減少に伴う税収の伸び悩みや社会保障費の増加を見据えた運営が課題となる。
栃木県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「栃木県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、経済規模、市町村構成など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約188万人(令和6年10月1日現在・全国19位) |
| 年少人口(0-14歳) | 約23万人(約12.0%) |
| 生産年齢人口(15-64歳) | 約114万人(約58.8%) |
| 老年人口(65歳以上) | 約57万人(約29.2%) |
| 総面積 | 6,408.09km²(全国20位・関東地方で最大) |
| 総世帯数 | 約84万世帯(令和8年6月1日現在) |
| 市町村数 | 14市11町(村はなし) |
| 1人当たり県民所得 | 330万7千円(令和3年度・全国5位) |
総人口・面積・市町村数は栃木県が公表する令和6年10月1日現在の数値、世帯数は毎月人口推計(令和8年6月1日現在)、年齢別人口の割合は令和2年国勢調査ベースの実績値、1人当たり県民所得は県民経済計算(令和3年度)による数値です。割合は四捨五入のため合計は一致しません。(出典:栃木県の人口・面積|令和6年)
数字から考えられる県政課題
栃木県は今も関東で有数の人口規模を持ちますが、人口が多いことだけを強みと捉えるのは十分ではありません。人口は平成17年をピークに減少へ転じており、出生数の落ち込み、若い世代の県外流出、高齢化の進行、地域による人口動向の違いをあわせて考える必要があります。
とりわけ、社会や地域を支える生産年齢人口の減少は、産業の担い手不足、公共交通の縮小、税収と社会保障費のバランスといった課題に直結します。
たとえば面接では、栃木県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
栃木県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 県内総生産に占める製造業の割合は約39.6%で全国第3位(令和3年度)。大手企業の生産拠点や技術力の高い中小企業が集積している。
- 1人当たりの県民所得は330万7千円(令和3年度)で全国5位と、所得水準は全国的に高い方に位置する。
- 農業産出額は2,718億円(令和4年度)で全国9位。いちごを中心に、首都圏に近い立地を生かした園芸農業が盛ん。
- 製造品出荷額等は全国12位(令和3年)で、医療用X線装置やシャッターなど、全国出荷額1位の品目を複数持つ。
つまり、製造業が県内総生産の約4割を占める、全国有数のものづくり県という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:栃木県の財政状況(IR資料)|令和6年)
農林水産業
栃木県は北関東を代表する農業県です。いちごの生産量は昭和43年から半世紀以上にわたって日本一で、「とちおとめ」に加え、近年は「とちあいか」といった新品種のブランド化も進んでいます。
米や麦、かんぴょう、こんにゃくなども産し、県は「いちご王国・栃木」を掲げて国内外への発信に力を入れています。首都圏という大消費地に近い立地が、園芸農業の強みを支えています。
令和8年度は、暑さに強い産地づくりや化学肥料・農薬を減らすグリーン農業への転換、スマート農業の実用化など、生産者の所得向上に向けた支援も進められます。伝統的工芸品としては、ユネスコの無形文化遺産に登録された結城紬や、益子焼も知られています。
工業(ものづくり)
「ものづくり県」と呼ばれるとおり、栃木県は製造業の比重が全国屈指です。県内総生産に占める製造業の割合は約39.6%で全国3位、輸送用機械や電気機械、食料品などの工場が県内各地に立地しています。
医療用X線装置や歯科用機械器具、シャッター、砕石などは全国1位の出荷額を誇り、令和8年度からは半導体、ロボット、宇宙産業を重点支援成長分野に位置づけ、中小企業の新規参入を後押ししています。
観光業
令和6年の観光客入込数は延べ8,997.3万人(前年比107.3%)と回復し、外国人宿泊数は延べ27.9万人で過去最高を更新しました。市町別では宇都宮市、日光市、那須塩原市の順に多く、世界文化遺産「日光の社寺」を擁する日光国立公園には年間1,200万人以上が訪れます。
一方で、特定の地域や時期に観光客が集中しやすく、混雑への対応や宿泊・県内消費への波及が課題です。
県は宿泊税を含めた新たな観光振興財源の検討や、持続可能な観光地づくりを進めており、増える来訪者を地域の稼ぐ力にどうつなげるかが問われています。(出典:栃木県観光客入込数・宿泊数調査|令和6年)
栃木県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、栃木県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
栃木県の人口は平成17年の約201万人をピークに減少に転じ、県の推計では令和42年(2060年)に約128万人まで減ると見込まれています。令和5年の出生数は9,958人と初めて1万人を割り込み、合計特殊出生率も1.19と過去最低を記録しました。
子育て支援に加え、教育、住宅、雇用、地域交通、医療・介護人材などを関連づけて考える必要があります。(出典:栃木県人口未来会議資料|令和7年)
若い世代、特に女性の県外流出
栃木県では平成17年以降、転出が転入を上回る状態が続いています。なかでも20歳代前半の女性を中心に、東京都・埼玉県・神奈川県への転出超過が顕著です。
県は、地方創生に取り組んできた10年間でも東京圏への一極集中の流れを変えるには至らなかったとし、若者や女性から選ばれる県づくりを大きな課題に位置づけています。首都圏に近く通勤圏でもあるという立地は、強みであると同時に人口流出の要因にもなっています。
令和8年度は、広く県民を対象とする「とちぎ結婚サポーター制度」の創設や、男性の育児休業取得を促す中小企業への奨励金、社会全体でのアンコンシャス・バイアスやジェンダーギャップの解消など、結婚・子育てと働き方の両面から対策を強めています。
ものづくり県の持続と産業人材の確保
製造業の比重が高い栃木県にとって、産業の高付加価値化と担い手の確保は生命線です。県は半導体、ロボット、宇宙といった成長分野への参入支援や、DX・事業承継の伴走支援、賃上げに取り組む企業への支援を進めています。
令和8年度には、とちぎビジネスAIセンターの機能拡充や、産業技術専門校への技能五輪支援コースの新設など、ものづくりの技術を次の世代へ引き継ぐ取り組みも始まります。
人手不足のなかで賃金水準をどう引き上げ、若い人材を県内にとどめるかが、産業政策と人口対策の双方に関わる課題です。
大規模災害への備え
栃木県は地震や風水害が比較的少ない地域とされてきましたが、県の地震被害想定調査は、県庁直下地震(マグニチュード7.3)が起きた場合に建物全壊約7万棟、冬の深夜には死者約3,900人という被害を見込んでいます。近年は気候変動による豪雨リスクも高まっており、河川の堆積土除去や堤防強化、防災を担う人材の育成が進められています。(出典:栃木県地震被害想定調査(概要版))
地域による状況の違いと中山間地域の維持
県都・宇都宮市に人口や都市機能が集まる一方、日光市は県面積の約23%を占め、全国3位の広さを持つなど、県内には条件の異なる地域が併存します。県北の那須地域は観光と医療体制の確保、中山間地域は人口減少と生活サービスの維持、両毛地域は繊維をはじめとする地場産業の再生と、地域ごとに課題が異なります。
宇都宮市では、令和5年に開業したライトラインを軸に、ネットワーク型コンパクトシティを目指すまちづくりが進んでいます。
県は令和8年度、中山間地域を抱える市町にアドバイザーを派遣するなど、地域ごとの事情に寄り添った伴走支援に取り組む方針を示しており、県内どの地域の課題を思い描くかによって、志望の説得力は大きく変わります。
栃木県の重点政策|新とちぎ未来創造プラン
栃木県の総合計画は「新とちぎ未来創造プラン(2026-2030)」(令和8年2月策定)です。前計画「とちぎ未来創造プラン」が令和7年度で満了したことを受けて策定された、県政の基本指針にあたる計画で、まち・ひと・しごと創生総合戦略も兼ねています。(出典:新とちぎ未来創造プラン)
計画を貫く考え方
プランが掲げる将来像は「共に創る 人も地域も輝く"元気なとちぎ"」です。その実現に向けて、県は「県民主役」「連携・協働・共創」「地域間連携」という3つの基本姿勢を示しています。
受験生としては、県民一人ひとりや市町、企業などと県が力を合わせて課題に向き合う、という県政の姿勢として理解しておくとよいでしょう。
五つの重点戦略と15のプロジェクト
プランは、「人づくり戦略」を第1の柱とする5つの重点戦略のもとに、15のプロジェクトを位置づけています。
| 重点戦略 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| Ⅰ 人づくり戦略 | こども・子育て、女性や若者の活躍、教育・人材育成 |
| Ⅱ 産業成長戦略 | 産業創出・成長、農林業、観光立県・国際戦略 |
| Ⅲ 健康・共生戦略 | 健康長寿、地域医療・介護、共生社会づくり |
| Ⅳ 安全・安心戦略 | 危機管理・災害対応、県土づくり、安全・安心なまち |
| Ⅴ 地域・環境戦略 | ふるさとの魅力創造、まちづくり、環境立県 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がどの戦略に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の一般会計当初予算は9,606億8,000万円(前年度当初比プラス3.9%)で、当初予算としては5年ぶりの増額となりました。
「新とちぎ未来創造プランに掲げる重要施策の積極的な展開」をテーマに、公立小中学校の学校給食費への助成(国の制度の対象外である中学校分を県と市町が協調して負担軽減)、児童相談所への生成AI導入、半導体・ロボット・宇宙産業への支援、JR宇都宮駅周辺へのAI街頭防犯カメラの設置、令和9年3月開幕の国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)への出展準備などが重点に挙げられました。県はこの予算を「みんなで咲かせるとちぎ未来共創予算」と名づけています。
一方で、保健・医療分野のDX推進などによって、年あたり約25.4万時間、約6.5億円相当の業務削減効果を見込む行財政改革も並行して進められています。(出典:知事記者発表|令和8年2月)
POINT|15のプロジェクトをすべて暗記しなくてよい
戦略やプロジェクトの名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③今どんな事業をしているか → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験や強みをどう生かすか」の順に調べてみましょう。
悪い例「栃木県のいちごのブランド化に携わりたいです」
改善例「いちご王国として全国に知られる強みを生かして、海外向けの発信や新しい品種のブランドづくりに関わり、若い人が農業で稼げるような環境づくりにつなげたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 栃木県職員採用試験の受験案内/職員採用案内
- 新とちぎ未来創造プラン(概要版)
- 令和8年度当初予算の概要/関心分野の個別計画
- 栃木県統計年鑑・県勢のあらまし(人口・産業・観光などの統計)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、栃木県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。栃木県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」、「質問の意図」、「回答のコツ」、「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
栃木県の面接の概要
ここからは、栃木県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
栃木県の面接(口述試験)の流れ
栃木県の職員採用試験(大学卒業程度)は、第1次試験と第2次試験による段階選抜で、第2次試験は「口述試験」として実施されます。受験生は、指定様式の「口述試験面接カード」を作成して当日に持参します。
用意した答えを言えるかどうかよりも、面接カードに書いた経験や志望を、掘り下げられても自分の言葉で語れるかどうかが問われる構造だと言えます。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験(口述試験)による段階選抜 |
| 第2次試験 | 口述試験として実施(面接の形式・時間などの詳細は受験案内で公表) |
| 提出書類 | 口述試験面接カード(指定様式・使用必須)、住民票記載事項証明書 |
| 早期枠の第1次試験 | テストセンター方式で実施 |
| 人物試験の配点 | 最新の受験案内でご確認ください |
注目してほしいのは、第2次試験が「口述試験」と位置づけられている点です。第1次を通過したうえで、最終的な合否は口述試験での受け答えに大きく左右されると考えて準備を進めるとよいでしょう。
面接カードは、当日に自分の経験や志望を語るための地図になります。書いた内容を自分でもう一度たどりながら、「なぜそう書いたのか」「そこで何をしたのか」という深掘りに備えておくと安心です。
上記の試験構成は、栃木県人事委員会が公表する令和8年度の試験日程・受験案内および第2次試験の案内にもとづく大学卒業程度のものです。人物試験の配点・比重や面接の形式など詳細は受験案内(PDF)に委ねられており、試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
栃木県が求める人物像
栃木県は、試験日程や受験案内のページ上では「求める人物像」を一覧のかたちでは示していません。ただし、総合計画「新とちぎ未来創造プラン」が基本姿勢として掲げる「県民主役」「連携・協働・共創」「地域間連携」は、県が職員に期待する働き方を読み解く手がかりになります。
自己PRでは、「積極性があります」と言うだけでなく、その姿勢を発揮して何を行い、周囲や相手にどんな変化をもたらしたのかまで説明しましょう。(参考:栃木県職員採用試験の受験案内)
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。栃木県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ栃木県を志望したのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も力を注いだ経験を教えてください | 過去の行動の仕方から、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れて学んだことは何ですか? | 自分の選択を説明できるか。学びと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 採用されたら、どんな仕事に取り組みたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、関心を持った出来事はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは栃木県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのが実情です。
差がつくのは、次の「栃木県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「栃木県ならでは」の質問
どちらも、栃木県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「栃木県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい栃木県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少 | 人口は平成17年の約201万人をピークに減少し、令和42年(2060年)には約128万人と推計。令和5年の出生数は9,958人で初めて1万人を割り込んだ | 「多い県でも減少が始まった」という転換点に触れると、課題認識に説得力が出ます |
| 若者・女性の流出 | 20歳代前半の女性を中心に東京圏への転出超過が続き、地方創生の10年でも一極集中の流れは変わっていない | 「選ばれる県」という視点で、働く場や暮らしやすさと自分の関心を結ぶと差がつきます |
| ものづくり県 | 県内総生産に占める製造業の割合は約39.6%で全国3位。半導体・ロボット・宇宙を重点支援成長分野に位置づけ | 強みである産業の足腰を、人材確保や賃上げの課題まで踏み込んで語れると印象に残ります |
| いちご王国・観光 | いちごの生産量は半世紀以上日本一。世界文化遺産「日光の社寺」を持ち、令和6年の観光入込は約9,000万人 | 「知られている強み」をどう次の世代や海外へ広げるか、という視点で自分の考えを添えましょう |
| LRT・まちづくり | 芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)が令和5年に開業し、累計利用者は700万人を超えた。県都のまちづくりの軸になっている | ライトラインを県都の公共交通とまちづくりの象徴として押さえ、自分の関心分野と結び付けて語れると、県の新しい動きへの理解が伝わります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の基本姿勢に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 県民主役の姿勢 | 相手の立場で考えた経験や、困っている人に自分から関わった経験があるか | 身近な人の困りごとに気づいて動いた場面を、そのとき何を考えたかまで言葉にしておく |
| 連携・協働の力 | 立場の違う人を巻き込み、一つの目標に向けて協力した経験 | 役割分担や意見の食い違いをどう調整したか、自分が果たした役割を具体的に振り返る |
| 粘り強い課題解決 | うまくいかない状況で、原因を考えて工夫を重ねた経験 | 結果の大小より、つまずきの原因をどう見立て、次の一手をどう選んだかを話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の受験案内を読み、試験日程と口述試験面接カードの記入項目を確認する
- これまでの学業や部活動、アルバイト、ボランティアなどから、自分の言葉で語れる経験を一つずつ書き出す
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、栃木県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
栃木県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
栃木県の採用試験は、第1次を通過したうえで、第2次の口述試験で自分の経験や志望をどれだけ自分の言葉で語れるかが問われます。
面接カードに書いた一行の裏側にある「なぜそう考えたのか」「そのとき何をしたのか」を落ち着いて説明できるように備えておけば、緊張する場面でも自分の強みは伝わります。この記事でつかんだ栃木県の姿を土台に、あなた自身の経験と県の仕事のつながりを、少しずつ言葉にしていってください。
栃木で暮らし、働くこれからの自分を具体的に思い描くことが、なによりの準備になります。