本記事では、鹿沼市職員採用試験の面接対策で必要な、鹿沼市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

鹿沼市役所の面接試験では、「なぜ鹿沼市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

鹿沼市の第Ⅰ類試験は筆記より先に集団面接が置かれる構成で、しかも市は求める人材を5項目にまとめて公表しています。準備の方向がはっきりしている試験だといえます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と鹿沼市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

鹿沼市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは鹿沼市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口91,847人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)に対して面積490.64km²と広く、人口密度は187人/km²の市である。
  • 市域は栃木県全体6,408.09km²のおよそ7.7%を占める。県内でも面積の大きい市のひとつである。
  • 県庁所在地の宇都宮市と市域を接し、栃木市・佐野市・日光市・下都賀郡壬生町、さらに群馬県みどり市とも隣接する。県内有数の都市と山地の双方に接する位置にある。
  • 市の花はサツキ、市の木はスギ。市役所は〒322-8601 鹿沼市今宮町1688-1に置かれ、団体コードは09205-3。
  • 採用試験案内は「鹿沼の未来を一緒に作る、志が高く、主体性・協調性・地域への貢献意欲を備えた『人物』重視の採用試験です」と明記している
  • 市は「鹿沼市が求める人材」として5項目を公表しており、面接対策の軸をそこに置ける。
  • 第Ⅰ類試験の募集職種は一般事務・土木・建築・電気・保健師・保育士・司書・学芸員と幅広い。採用予定は一般事務Bが10人程度、一般事務C(障がい者対象)と土木、保育士が各3人程度である。

鹿沼市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「鹿沼市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。規模を測るときの物差しとして、栃木県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口91,847人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積490.64km²
人口密度187人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体宇都宮市、栃木市、佐野市、日光市、下都賀郡壬生町/群馬県みどり市
市役所所在地〒322-8601 栃木県鹿沼市今宮町1688-1(団体コード09205-3)
市の花・市の木サツキ・スギ
(参考)栃木県の総人口1,857,921人(令和8年6月1日現在・毎月人口推計)
(参考)栃木県の面積6,408.09km²(全国第20位・関東地方で最大)
(参考)隣接する宇都宮市の人口511,852人(令和6年時点・県人口の約4分の1を占める中核市)

鹿沼市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。栃木県の総人口・面積および宇都宮市の人口は栃木県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、鹿沼市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

鹿沼市の数字は、隣に置くものによって見え方が変わります。

人口91,847人は県内では大きい部類ですが、市域を接する宇都宮市は511,852人を擁し、県人口のおよそ4分の1を占める中核市です(出典:栃木県の人口・面積|令和6年

一方で面積490.64km²は県全体のおよそ7.7%にあたり、人口密度は187人/km²と、県全体の人口1,857,921人を県面積で割ったおよそ290人/km²を下回ります(出典:栃木県毎月人口推計月報|令和8年6月

県内最大の都市の隣にありながら、市域の大半は人口が薄く広がっているというのが鹿沼市の形です。

県全体の人口の流れも押さえておきましょう。

栃木県の総人口は平成17(2005)年の201万6,631人をピークに減少へ転じ、令和42(2060)年には約128万人になると推計されています。

令和5(2023)年の出生数は9,958人とはじめて1万人を割り込み、同年の合計特殊出生率は1.19と、全国の1.20を下回る過去最低でした(出典:栃木県人口未来会議資料|令和7年4月

県都が隣にあるという条件を、自分の課題認識に変えて話せるかどうかです。次のような受け答えが考えられます。

「鹿沼市は人口が9万人ほどですが、市域が広くて人の密度は県の平均より低いと知りました。すぐ隣に50万人規模の宇都宮市があるので、暮らしや働く場所をそちらに頼る場面もあると思います。その中で鹿沼市に住み続けてもらう理由をどう作るかが課題ではと感じています」

鹿沼市の経済・産業

製造業が県内総生産の4割を占める県で

鹿沼市の産業を考えるとき、土台になるのは栃木県全体の姿です。栃木県の県内総生産に占める製造業の割合は39.6%(令和3年度)で全国第3位。

大手企業の生産拠点と技術力の高い中小企業が集積し、製造品出荷額等は全国12位です。

出荷額が全国1位の工業製品には、医療用X線装置、歯科用機械器具、硬質プラスチック発泡製品、シャッター、砕石、ふとんが並びます。

1人当たり県民所得は3,307千円(令和3年度)で全国5位です(出典:栃木県の財政状況(IR資料)|令和6年

つまり、栃木県は「ものづくりで所得を稼ぐ県」であり、その土台の上に市町の暮らしが成り立っているということです。

県庁所在地に隣接し、高速道路網にも近い鹿沼市は、この構造の中で立地条件に恵まれた位置にあります。

産業について語るなら、企業を呼ぶ話だけでなく、そこで働く人が市内に住み続ける理由をどう作るかまで踏み込みましょう。

山とスギ、そしてサツキ

市の木がスギ、市の花がサツキであることは、鹿沼市の土地の性格をよく表しています。

栃木県内は日光国立公園・尾瀬国立公園などの山岳部と、鬼怒川・那珂川などの沿岸平野部に大別され、豊富な水源を有します。

鹿沼市は日光市と市域を接しており、市域490.64km²の広がりの中に山地を抱えています。

県の農業も強く、農業産出額は2,718億円(令和4年度)で全国9位。とちぎのいちごは昭和43年から半世紀以上にわたり生産量日本一を続けています。

山林と農地と市街地が同居する市では、産業の話が土地の使い方の話に直結します。

面接で第一次産業に触れるなら、「自然が豊かです」で止めず、誰がその土地を管理し続けるのかという担い手の問題まで視野に入れましょう。

県内の人の流れと鹿沼市の位置

令和6(2024)年の栃木県の観光客入込数は8,997.3万人(前年比107.3%)、宿泊数は延べ830.4万人(同105.8%)、外国人宿泊数は延べ27.9万人で過去最高を更新しました。市町別では宇都宮市1,573.6万人、日光市1,019.2万人が突出しています(出典:栃木県観光客入込数・宿泊数調査|令和6年

鹿沼市は、この2つの市の両方と市域を接しています。県内でもっとも人が集まる二つの地域にはさまれた位置は、通り道になるか目的地になるかの分かれ目だといえます。

加えて栃木県は東北新幹線で東京まで約50分、東北自動車道・北関東自動車道に圏央道を加えた道路網を持ちます。

地域振興を語るなら、この通過交通をどう市内での滞在に変えるかという視点が有効です。

鹿沼市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、鹿沼市を含む栃木県内の市町が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少と若い世代の流出

栃木県では平成17(2005)年以降、転出が転入を上回る状態が続いています。とくに20歳代前半の女性の転出超過が目立ち、行き先は東京都・埼玉県・神奈川県といった首都圏です。

県は、地方創生の10年をもってしても東京圏への一極集中の流れを変えるには至らなかったと公式資料で認めています。

人が減ること自体より、若い世代が抜けていくことのほうが市町村には重いという点を押さえておきましょう。

鹿沼市の採用試験案内が、ふるさとで働きたい人にも移住を考えている人にも呼びかけているのは、この文脈で読むと意味がつかめます。

県庁所在地の隣という立地の両面

宇都宮市に接していることは、鹿沼市にとって強みでもあり課題でもあります。

買い物や通勤で大きな都市を使えるのは住民にとっての利点ですが、市内の商業や雇用が吸い上げられる側面もあります

市が「かぬまに愛着と誇りを持つ職員」を求める人材の一つに挙げているのは、この立地の中で市の独自性を保つ意思の表れだと読むこともできます。

面接で立地に触れるなら、便利さの紹介で終わらせず、隣の大きな都市に対して鹿沼市が何を担うのかまで考えて話しましょう。

広い市域での生活基盤の維持

面積490.64km²に約9万1千人が暮らすということは、住まいや集落が広い範囲に分かれて点在しているということでもあります。

道路や上下水道、公共施設といった生活基盤は、人口が減ったからといって短くなったり数が減ったりするわけではありません。

県の公式資料も、人口減少に伴って生活関連サービスの縮小、地域コミュニティの弱体化、公共交通機関の縮小が起きると指摘しています。

市街地と山地を一つの市として運営する鹿沼市では、限られた職員と財源をどこに重点配分するかという判断が具体的な地名を伴って現れます。

大規模地震への備え

栃木県は、地震や風水害などの大規模な自然災害が比較的少ない県とされています。それでも県地域防災計画は、栃木県庁直下地震(マグニチュード7.3)を想定地震に置いています。

冬深夜のケースで死者数3,926人、負傷者数32,081人(うち重傷者6,746人)、1週間後の避難者数339,833人、建物全壊70,812棟という規模です(出典:栃木県地震被害想定調査の概要版|栃木県地域防災計画

想定地震の震源が県庁の直下であるということは、隣接する鹿沼市にとっても他人事ではありません。自分の関わる地区の想定は、市のハザードマップで確認しておきましょう。

鹿沼市の重点政策|新とちぎ未来創造プランと鹿沼市

鹿沼市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここでは、県が掲げる将来像と、採用試験の情報がどこに出るのかをひととおり見ます。

隣に県都を抱える市の立ち位置は、県全体の姿と並べると輪郭がはっきりします。

県の最上位計画が見ている先

栃木県の最上位計画は、計画期間を2026年度から2030年度とする「新とちぎ未来創造プラン」です。

県はこの計画で、人口減少・少子高齢化の進行による労働力や地域の担い手の不足、気候変動によるリスクの高まりを課題に挙げ、オール栃木体制で人口減少・少子化対策に取り組む必要があるとしています(出典:新とちぎ未来創造プラン|2026〜2030年度

県の年齢構成は2020年実績で15歳から64歳が約58.8%、65歳以上が約29.2%、0歳から14歳が約12.0%です。

これは県の計画であって、鹿沼市の計画ではありません。ただ、県が示す方向と市の施策は無関係ではいられません。

市の総合計画を読むときは、県が挙げたこれらの環境変化に、鹿沼市がどの順番で答えようとしているかという目線で見ると、理解が早くなります。

鹿沼市の採用情報をどこで見るか

鹿沼市の職員採用は行政経営部人事課人事係が所管し、申込は専用サイト「パブリックコネクト」からのインターネット申込のみです。

会員登録後にプロフィール(基本情報・職歴・学歴等)を編集してエントリーし、顔写真は直近6か月以内に撮影した脱帽・上半身・正面向きの画像データをタテ表示でアップロードします。

第Ⅰ類のほかに第Ⅱ類の試験があり、両者は併願できません。技能労務職や学芸員には別の案内が出ることもあるため、自分が受ける試験区分を最初に特定してください。

POINT|「思いのたけ」を出すかどうかは自分で決められる

鹿沼市には、任意提出の自己PR資料「思いのたけ」があります。A4サイズの用紙1枚片面程度のボリュームで自由に表現し、PDFにして提出する形式です(動画の提出は不可)。必須ではありませんが、①市が公表する5つの求める人材を読む → ②自分の経験のどれがどの項目に当たるかを並べる → ③志望動機の骨格を作る → ④それを1枚にまとめる、という手順を踏めば、面接で話す内容もそのまま整います。書くことは、話す準備そのものです。

悪い例「鹿沼市の魅力を発信する仕事がしたいです」

改善例「市の木がスギで、市域には山も広がっていると知りました。まずは現場で林業や農業に関わる方の話をうかがって、その仕事が続いていくために市ができることを一緒に考えていく仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 鹿沼市職員採用試験の受験案内(受験する試験区分・職種のもの。求める人材の5項目を含む)
  • 鹿沼市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
  • 新とちぎ未来創造プラン、栃木県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、鹿沼市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。鹿沼市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

鹿沼市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

鹿沼市役所の面接の概要

ここからは、鹿沼市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

鹿沼市役所の面接の流れ

鹿沼市の令和8年度第Ⅰ類試験は、「事前面談」から始まり、1次試験、2次試験と進みます。もっとも特徴的なのは1次試験の中身です。

2日間にわたって行われ、1日目が集団面接試験、2日目が教養試験と適性検査。つまり、筆記より先に面接が置かれています。

項目内容(令和8年度第Ⅰ類)
試験の流れ事前面談、1次試験、2次試験の順に進みます
事前面談オンラインによるWEB面談(個人)で10分程度。申込後、受付完了の連絡とあわせて予約の案内がメールで届きます
1次試験(1日目)集団面接試験。「主として人物について、集団面接による口述試験」と説明されています(一般事務C(障がい者対象)のみ個別面接試験)
1次試験(2日目)全職種共通の教養試験(1時間・択一式・60題出題)と適性検査(20分)。建築・電気・保健師・保育士には専門試験(1時間30分・択一式・30題出題)、司書には記述式の作文(800字程度)があります
2次試験個別面接試験のみ。「主として人物について、個別面接による口述試験を行います」と説明されています
提出書類申込は専用サイト「パブリックコネクト」からのインターネット申込のみ。任意提出の自己PR資料「思いのたけ」(A4片面1枚程度・PDF・動画不可)があります
合格後の扱い2次試験の合格者は採用候補者名簿に登載されます。登載された人が全員採用されるとは限りません

上記は鹿沼市の令和8年度第Ⅰ類試験の受験案内にもとづくものです。各試験の配点は公表されていません。試験案内には試験の程度(大学卒業程度・高等学校卒業程度)の区分表記がなく、受験資格は生年月日で定められています。同年度には第Ⅱ類試験もあり、第Ⅰ類との併願はできません。試験の構成等は年度や試験区分によって異なります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。

この流れが意味するのは、筆記の手ごたえを確かめる前に、集団面接で人物を見られるということです。

しかも事前面談のWEB面談を含めれば、人と話す場面は選考の入口から最後まで途切れません。一般事務と土木には専門試験がなく、教養試験と適性検査だけが筆記科目です。

面接の準備を後回しにすると、そもそも先へ進めない構成だと考えてください。

なお、試験結果の開示は1次試験の結果についてのみで、不合格者本人が合格発表の翌日から1週間、市役所本庁5階の人事課で口頭により請求できます(出典:鹿沼市職員採用試験受験案内|令和8年度第Ⅰ類

鹿沼市役所が求める人物像

鹿沼市は、受験案内の冒頭で「鹿沼市が求める人材」を5項目にまとめて公表しています。ここまで具体的に示されている以上、面接対策の軸はここに置くのが確実です。

鹿沼市が求める人材面接での見え方
業務に誇りとやりがいを持つ職員仕事に何を求めるかという価値観。長く続けられる理由を語れるか
プロフェッショナルである職員担当する分野を深く知ろうとする姿勢と、学び続ける習慣
市民と協働をする職員立場の違う相手と一緒に何かを進めた経験の有無
自ら考え、自ら行動する職員指示を待たずに動いた場面と、その判断の根拠
かぬまに愛着と誇りを持つ職員この市でなければならない理由を自分の経験で説明できるか

あわせて試験案内は、「志が高く、主体性・協調性・地域への貢献意欲を備えた『人物』重視の採用試験です」と述べ、「生まれ育ったふるさと鹿沼市で働きたい、鹿沼市に移住したいとお考えの方もお待ちしております」と呼びかけています。

市外の出身者にも門戸が開かれていることが明言されているわけです。「協調性があります」とだけ言えば、5項目のどれにも当てはめられません。

誰とどう組み、そこで何が改善されたのかまでを一つの話にしてください。5項目のうち自分がどれに当たるかを、経験とセットで言える状態が目標です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。鹿沼市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク事前の面談のあと、どんな準備をしてきましたか選考の流れをどう受け止め、間の時間をどう使ったか
② 動機・志望公務員という働き方を選んだのはなぜですか待遇以外の言葉で職業選択を説明できるか
③ 自己理解自分の強みは、どんな場面で発揮されますか強みを場面とセットで語れるか
④ 経験・行動立場の違う人と一緒に何かを進めた経験を教えてください協働の中身。誰と、どこで折り合ったか
⑤ 学業・経歴これまでで最も深く調べたテーマは何ですか物事を掘り下げる習慣があるかどうか
⑥ 適性・将来どの分野の仕事を極めていきたいですか専門性への意識と、成長の道筋の描き方
⑦ 公共性・社会性地域の担い手が減っている中で、行政に何ができると思いますか社会の変化に対する自分なりの見立て

ただし、この7カテゴリーは鹿沼市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「鹿沼市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「鹿沼市役所ならでは」の質問

「なぜ栃木県庁ではなく、鹿沼市役所なのですか」
「鹿沼市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも鹿沼市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「鹿沼市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい鹿沼市の事実答え方のヒント
市の規模と市域人口91,847人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積490.64km²、人口密度187人/km²。県面積のおよそ7.7%を占める広い市域を持つ人口の多さと密度の低さを一組で示し、市街地と山地を同じ市が抱えているという条件から仕事の性質へ話を進めます
県庁所在地との関係県人口の約4分の1にあたる511,852人の宇都宮市と市域を接し、日光市・栃木市・佐野市・壬生町、群馬県みどり市とも隣接する「宇都宮市に近くて便利です」で止めず、大きな都市の隣で鹿沼市が自前で担うべき役割は何かという問いに踏み込みます
市が求める人材受験案内が「業務に誇りとやりがいを持つ」「プロフェッショナルである」「市民と協働をする」「自ら考え、自ら行動する」「かぬまに愛着と誇りを持つ」の5項目を公表5つを暗唱するのではなく、自分の経験がどれに当たるかを1〜2つ選び、その場面を具体的に語れる形にしておきます
試験の性格第Ⅰ類試験は事前のWEB面談から始まり、1次試験の1日目が集団面接、2日目が教養試験と適性検査。2次試験は個別面接のみ筆記より先に面接があるという構成に触れ、そのために早い段階から自分の言葉を用意してきたと具体的に述べます
土地と産業市の木はスギ、市の花はサツキ。日光市と接する市域には山地が広がり、県全体では農業産出額2,718億円で全国9位自然の豊かさを紹介するのではなく、その土地を誰が管理し続けるのかという担い手の問題として語ると、市政の話になります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が公表した5つの求める人材に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民と協働をする力立場や考えの違う相手と、一緒に結論を出した経験があるか鹿沼市は1次試験の1日目に集団面接を置いています。他の受験者と同席する場で、自分の意見を通すより噛み合わせる側に回った経験を用意しておきます
自ら考え、自ら行動する力指示を待たずに動いた場面と、そう判断した根拠思いつきで動いた話ではなく、何を見て必要だと判断したかまで話せる例を選びます。「思いのたけ」を書くなら、この観点を一つ入れておくと軸が通ります
かぬまに愛着と誇りを持つ姿勢この市を選んだ理由を、自分の経験に基づいて語れるか試験案内が市外からの移住希望者にも呼びかけている点を踏まえ、出身にかかわらず鹿沼市と自分をつなぐ具体的な接点を一つ用意します

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する試験区分を決め、その受験案内で試験の流れと職種ごとの科目、そして求める人材の5項目まで通して読む
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、市域の広さと宇都宮市との位置関係、栃木県全体の見通しから、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 求める人材の5項目に自分の経験を割り当てる。「思いのたけ」を提出するなら、この作業をそのまま1枚にまとめる
  6. 事前のWEB面談と1日目の集団面接を想定し、画面越しで話す練習と、複数人の場で発言する練習をそれぞれ行う

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、鹿沼市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

鹿沼市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

鹿沼市役所の想定問答集を見る

さいごに

鹿沼市の第Ⅰ類試験は、オンラインの事前面談で始まり、1次試験の初日にはもう集団面接が待っています。筆記の結果が出る前に、人物を見られる試験です

そのうえ市は、求める人材を5項目まで書き出して公表しています。何を見るかを先に教えてくれている試験に、準備なしで臨む理由はありません

県内最大の都市に隣接しながら、市域490.64km²の中に山地を抱える。

この鹿沼市で自分が誰のために働きたいのかを決めて、5項目のうち少なくとも2つは自分の経験で語れる状態にしてから本番に向かってください。