本記事では、宇都宮市職員採用試験の面接対策で必要な、宇都宮市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

宇都宮市役所の面接試験では、「なぜ宇都宮市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県庁所在地であり中核市でもある宇都宮市では、県の仕事と市の仕事を切り分けて語れるかどうかが、そのまま説明の説得力を左右します。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と宇都宮市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

宇都宮市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは宇都宮市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 栃木県の県庁所在地であり、県人口のおよそ4分の1にあたる人口を抱える中核市である。
  • 人口513,378人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積416.85km²・人口密度1,232人/km²。県内で唯一の50万人規模の都市であり、人口密度も県内で突出している。
  • 令和5年に開業した芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)が、市政の方向を示す事業として動いている。1日平均利用者数は令和6年で13,839人。
  • 令和6年の観光客入込数は1,573.6万人で、栃木県全体の17.5%を占める県内最多。
  • 隣接自治体は日光市、鹿沼市、下野市、真岡市、さくら市、壬生町、上三川町、芳賀町、高根沢町、塩谷町の10市町にのぼる。
  • 市役所は〒320-8540 宇都宮市旭一丁目1番5号に置かれている(団体コード09201-1)。
  • 市の花はサツキ、市の木はイチョウ。
  • (参考)栃木県全体の人口は1,857,921人(令和8年6月1日現在)で、前月に比べ948人減少している。県全体が減少局面に入るなかで、県内最大の都市が何を担うのかが市政の論点になっている。

宇都宮市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「宇都宮市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、県内での位置づけなど、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の規模を測るときの比較先として、栃木県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口513,378人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積416.85km²
人口密度1,232人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
県内での位置づけ県人口の約4分の1を占める県庁所在地・中核市
隣接自治体日光市、鹿沼市、下野市、真岡市、さくら市、壬生町、上三川町、芳賀町、高根沢町、塩谷町
市役所所在地〒320-8540 栃木県宇都宮市旭一丁目1番5号
市の花・市の木サツキ・イチョウ
(参考)栃木県の総人口1,857,921人(令和8年6月1日現在・毎月人口推計)
(参考)栃木県の面積6,408.09km²(全国第20位・関東地方で最大)

宇都宮市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。栃木県の総人口・面積は栃木県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、宇都宮市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

50万人という数字は、それだけでは意味を持ちません。効いてくるのは、県全体の動きと重ねたときです。

栃木県の総人口は令和8年6月1日現在で1,857,921人、前月からの1か月だけで948人減りました(出典:栃木県毎月人口推計月報|令和8年6月

県人口は平成17年の2,016,631人がピークで、令和42年には約128万人まで減ると推計されています(出典:栃木県人口未来会議資料|令和7年

県が縮んでいく一方で、宇都宮市には県人口の約4分の1が集まっています。

県内から人と機能が集まる都市であるということは、県全体の減少が進むほど市の相対的な比重が上がるということでもあります。

人口が寄ってくる都市には、通勤や通学の受け皿、医療や商業の拠点、災害時の広域的な役割といった負担も一緒に乗ってきます

県の縮小と市への集中を一続きで語れると、志望の解像度が上がります。面接での言い方の一例です。

「宇都宮市は50万人ほどが暮らす県庁所在地で、栃木県の人口の4分の1くらいが集まっていると知りました。県全体では人口が減っていく見通しだと聞きましたので、市の人口を守ることと、県内のほかのまちから通ってくる人の暮らしを支えることを、同時に考える必要があるのではと感じています」

宇都宮市の経済・産業

ものづくりの県の中枢として

宇都宮市の経済は、栃木県全体の産業構造の上に成り立っています。県内総生産に占める製造業の割合は39.6%(令和3年度)で全国第3位、製造品出荷額等も全国12位です。

大手企業の生産拠点と技術力の高い中小企業が集まり、医療用X線装置や歯科用機械器具、シャッターなど、出荷額が全国1位の品目も複数あります(出典:栃木県の財政状況(IR資料)|令和6年

つまり、県内総生産の約4割を製造業が生み出す「ものづくりの県」の中枢に位置する都市だという理解が土台になります。

1人当たり県民所得3,307千円(令和3年度)が全国第5位である背景にも、この産業構造があります。

企業誘致や雇用の話題では、「働く場をつくる」だけでなく「そこで働く人に住み続けてもらう」ところまで語れると、地に足のついた説明になります。

農業と食のブランド

栃木県の農業産出額は2,718億円(令和4年度)で全国第9位。

いちごは昭和43年から半世紀以上にわたって生産量日本一を続けており、「とちおとめ」「とちあいか」といった品種が育てられてきました。

工業と農業のどちらも一定の厚みを持つことが、この地域の強みです。

県都である宇都宮市の仕事としては、生産の現場を支える施策だけでなく、加工や流通、そして次に見る観光との組み合わせまでが視野に入ります。

観光と交流人口

令和6年の宇都宮市の観光客入込数は1,573.6万人で、県全体8,997.3万人の17.5%を占める県内最多です。

県全体では宿泊客延べ830.4万人(前年比105.8%)、外国人宿泊客延べ27.9万人と、外国人宿泊は過去最高を更新しました(出典:栃木県観光客入込数・宿泊数推計調査|令和6年

日光市の1,019.2万人を上回る入込数がありながら、宇都宮市は名所を見に来る観光地というより、都市機能そのものが人を呼び込む都市です。

観光に触れるなら、名所の紹介ではなく、訪れた人にどこで時間とお金を使ってもらうかという視点まで持っておきましょう。

交通の結節点という条件

栃木県はJR東北新幹線で東京まで約50分、仙台まで約70分の位置にあり、東北自動車道・北関東自動車道に圏央道を加えた道路網で南北と東西の両方向につながっています。

その結節点にあるのが宇都宮市です。そこへ令和5年、市内の東西を結ぶ軌道系の公共交通としてライトラインが加わりました。

交通は、産業・観光・福祉・防災のどの分野の志望であっても話が通じる素材です。

宇都宮市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、宇都宮市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少局面に入った県のなかでの立ち位置

栃木県の令和5年の出生数は9,958人となり、はじめて年間1万人を割り込みました。同じ年の合計特殊出生率は1.19で、全国の1.20を下回る過去最低の値です。

県の推計では、総人口は令和22年に約165万人まで減るとされています。県内最大の都市として、この流れの中で何を維持し、何を作り替えるのかという判断が、市政の前提になります。

若い世代、とくに20代前半女性の転出超過

栃木県の社会動態は平成17年以降、転出が転入を上回る状態が続いています。とくに顕著なのが20歳代前半の女性で、転出先は東京都・埼玉県・神奈川県といった首都圏に集中しています。

新幹線で東京まで約50分という近さは、通勤圏としての強みであると同時に、進学や就職で人が出ていきやすい条件でもあります。

県内最大の都市は、県内で働き学ぶ場を探す人の受け皿であると同時に、そこからさらに首都圏へ人が抜けていく通過点にもなり得ます

若い世代に「働く場」と「暮らしの選択肢」をどう用意するかは、県庁所在地に重くのしかかる論点です。

ライトラインを軸としたまちの作り替え

芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)は令和5年に開業し、累計利用者数は令和7年1月31日に700万人へ到達しました。

1日平均利用者数は令和6年で13,839人と、定着が予測を上回る割合で進んでいます。

市はこれを単独の交通事業とせず、宇都宮駅西側への延伸を含めてネットワーク型コンパクトシティの形成という都市づくりの枠組みの中に位置づけています(出典:ライトラインの利用状況と西側延伸の検討|令和7年2月

面接で押さえたいのは、開業したという事実よりも、これを都市づくり全体にどうつなげていくかという次の段階です。その枠組みは、後段の重点政策で扱います。

大規模地震への備え

栃木県地域防災計画が想定する地震は、栃木県庁直下地震(マグニチュード7.3)です。

冬の深夜に発生した場合の人的被害想定は死者3,926人・負傷者32,081人(うち重傷者6,746人)、1週間後の避難者は339,833人、建物全壊は70,812棟と見込まれています(出典:栃木県地震被害想定調査の概要

この想定の名称が示すとおり、震源として想定されているのは県庁が立つ市域の直下です。栃木県は自然災害が比較的少ない県とされてきましたが、少ないことは無いことではありません

避難所の運営や住宅の耐震化といった地道な備えを、市の職員が担うことになります。

中核市としての権限と、県との役割分担

宇都宮市は中核市です。保健所の設置をはじめ、一般の市より広い範囲の事務を市が自ら処理します。

県が県域全体の方向づけと広域的な調整を担い、市が住民に直接届くサービスを担うという関係のなかで、中核市はその境目を市の側へ寄せた立場にあります。

この構図は、面接の定番質問「なぜ県庁ではなく市役所なのか」に直接効いてきます。制度の暗記ではなく、自分がどちらの距離感で働きたいのかを言葉にしておきましょう。

宇都宮市の重点政策|ライトラインとネットワーク型コンパクトシティ

宇都宮市の総合計画の最新版と直近の予算・施政方針は、市公式サイトで必ず確認しておきましょう。ここでは、公式資料で確認できる市の都市づくりの枠組みと、その下敷きになっている栃木県の計画を並べ、県人口の約4分の1を抱える市が何を優先しているのかを読み取ります。

ネットワーク型コンパクトシティという枠組み

ライトラインの西側延伸について、市はその効果を早期に発現させるという観点から検討を進めています。

ここで市が掲げているのがネットワーク型コンパクトシティ(NCC)の形成という都市づくりの考え方です。

市域に点在する拠点を公共交通で結び、暮らしに必要な機能を拠点へ集めていくという発想で、開業したライトラインはその骨格にあたります。

先に見た利用実績は、この枠組みが絵に描いた計画で終わっていないことを示す材料です。

受験生としては、次の順序で理解しておくとよいでしょう。

①人口が減っても暮らしの機能を維持したい ②そのために拠点と交通軸に機能を寄せる ③その骨格としてライトラインを走らせ、延伸を検討する ④拠点や路線から離れて暮らす人の生活をどう守るかが次の課題になる、という流れです。

④まで踏み込めると、事業の紹介ではなく市政の課題として語れます。

背景にある栃木県の計画

市政の背景として、栃木県の最上位計画である新とちぎ未来創造プラン(計画期間は2026年度から2030年度)も押さえておきましょう。

県は、人口減少と少子高齢化による労働力や地域の担い手の不足、気候変動によるリスクの高まりを課題に挙げ、オール栃木体制で人口減少・少子化対策に取り組む必要があるとしています(出典:新とちぎ未来創造プラン|2026〜2030年度

これは県の計画であって宇都宮市の計画ではありませんが、県が示す方向に市がどう答えているかという目線で市の資料を読むと、理解が早くなります。

POINT|事業名を覚えるより、順番で考える

施策の名称をすべて言えるようになることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③そのための現在の取り組み → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「宇都宮市のまちづくりに携わりたいです」

改善例「まずは窓口の仕事で、市民の方の困りごとを直接うかがうところから始めたいです。その上で、ライトラインの1日の利用者が1万人を大きく超えたと聞きましたので、その路線から離れた地区に住む方の移動をどう支えるかを、現場の声を聞きながら考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 宇都宮市職員採用試験の受験案内(最新年度・自分が受ける区分のもの)
  • 宇都宮市公式サイトの市政情報(総合計画・最新年度の予算・広報紙)
  • ライトラインと都市づくりに関する市の公表資料(利用状況や延伸の検討経過)
  • 新とちぎ未来創造プラン、栃木県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、宇都宮市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。宇都宮市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

宇都宮市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

宇都宮市役所の面接の概要

ここからは、宇都宮市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

宇都宮市役所の面接の流れ

令和8年度のage22-29(一般行政)・資格職の試験は、第1次から第3次までの三段階構成です。

注目したいのは入口の作りで、第1次試験の段階から、申込時のエントリーシートに基づく書類選考が課されます

教養試験は全国のテストセンターで受験するため、指定期間内であれば自分の都合のよい日時を選べます。

項目内容(令和8年度・age22-29(一般行政)・資格職)
試験の段階三段階選抜。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験と、段階ごとに合格者を絞り込みます
第1次試験教養試験と書類選考の2種目。教養試験は公務員として必要な一般知能及び教養をみる択一式筆記試験で、全国のテストセンターで受験します。書類選考は申込時に提出するエントリーシートに基づき、これまでの経験等から市政への貢献が期待できる意欲・能力・知識または実績をみるものです
第2次試験適性検査(第1次試験合格発表後にWEBで受検)・作文試験・面接試験(学芸員のみ面接試験・作文試験・専門試験・実技試験)
第3次試験面接試験
面接の種類第2次・第3次とも「主として人柄,性格等をみるための個別面接試験」と説明されています。集団面接・集団討論の記載はなく、個別面接が計2回です
作文試験公務員として職務遂行に必要な判断力、論理性、表現力等をみるための記述式試験
配点受験案内に記載はありません。試験結果の開示で示されるのは合計得点及び総合順位です
提出書類申込時のエントリーシート(書類選考の対象)。「面接カード」という名称の様式は受験案内に記載がありません

上記の試験構成は、宇都宮市の令和8年度受験案内(age22-29(一般行政)・資格職)にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や試験区分によって異なる可能性があります。宇都宮市の試験区分は年齢帯や採用枠ごとに分かれており、他の職員採用試験との併願はできません。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

採用の規模もあわせて見ておきましょう。令和8年度の採用予定人員は、一般行政が69名程度、資格職では保育士5名程度、保健師4名程度、社会福祉士10名程度などが示されています。

直近の実施状況を見ると、令和7年度の一般行政は、受験者419人に対し第1次合格269人、第2次合格102人、最終合格81人で、競争率は5.2倍でした。

第1次を通った受験者のうち、最終合格に届くのはおよそ3人に1人という計算になります。

配点が公表されていない試験では、どの段階で人数が動いたかが唯一の手がかりであり、宇都宮市の場合、その絞り込みは面接のある第2次・第3次で大きく進んでいます。

宇都宮市役所が求める人材

宇都宮市の受験案内は、「宇都宮市が求める人材」を3つ掲げています。抽象的な標語ではなく、面接で確かめられる資質としてそのまま読める内容です。

「宇都宮と宇都宮市民の将来を広い視野から考えられる人」「仕事に対して成果とスピードを常に意識できる人」「Vitality(活力・持続力)と笑顔あふれる人」の3項目です(出典:宇都宮市職員採用試験案内|令和8年度

1つ目は市の将来像を自分なりに描けるか、2つ目は仕事の進め方に対する姿勢、3つ目は人と向き合うときの雰囲気と続ける力を指しています。

自己PRで「行動力があります」と名乗るだけでは、3項目のどれにも届きません。

どの場面で何に手をつけ、その結果として周りの動きがどう変わったかまで並べて、はじめて評価の材料になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。宇都宮市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わず来られましたか構えていない場面での声の出し方と表情。会話の入り方
② 動機・志望民間企業ではなく行政を選んだ理由は何ですか待遇や安定以外の言葉で職業選択を説明できるか
③ 自己理解周囲からはどんな人だと言われますか自分の見え方を客観視できているか。自己評価とのずれに気づいているか
④ 経験・行動意見が食い違った相手と、どう折り合いをつけましたか対立の場面で何を考え、どう動いたかという行動の中身
⑤ 学業・経歴学んできたことを、知らない人に説明してください相手の前提に合わせて言葉を選べるか
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか仕事への理解の解像度と、環境の変化に向き合う姿勢
⑦ 公共性・社会性最近気になった地域の出来事を教えてください身の回りの変化に気づく力と、それを自分の言葉で語れるか

ただし、この7カテゴリーは宇都宮市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

それでも差を作るとすれば、共通の質問に宇都宮市の材料を一つ混ぜるところです。

たとえば⑥で配属の希望を聞かれたとき、中核市として保健所の業務まで市が担っていることを踏まえて答えられるかどうかで、仕事の理解の深さは伝わります。

そして、もっとはっきり差が出るのが次の「宇都宮市役所ならでは」の質問です。

差がつくのは「宇都宮市役所ならでは」の質問

「なぜ栃木県庁ではなく、宇都宮市役所なのですか」
「宇都宮市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

1問目は、県庁所在地の市役所を受ける以上、避けて通れない質問です。県庁と市役所が同じ市内にあり、中核市として市が担う事務の範囲も広いため、「近いから」では答えになりません。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「宇都宮市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい宇都宮市の事実答え方のヒント
市の規模と県内での位置人口513,378人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積416.85km²、人口密度1,232人/km²。県人口のおよそ4分の1を占める県庁所在地・中核市「県内最大」で終えず、県全体が減っていくなかでこの都市に何が集まってくるのかまで踏み込みます
なぜ県庁ではなく市役所か宇都宮市は中核市として保健所の設置をはじめ一般の市より広い事務を自ら処理し、県は県域全体の方向づけと広域調整を担う中核市という言葉を出すだけで止めず、その広い事務のどの場面で市民と向き合いたいのかを一つ挙げます
ライトラインとまちづくり令和5年開業。累計利用者数は令和7年1月31日に700万人到達、1日平均13,839人(令和6年)。西側延伸をネットワーク型コンパクトシティ形成の一環として検討開業の事実で止めず、なぜ市が交通に投資するのかという都市づくりの狙いまで説明し、そのうえで自分が関わりたい場面を一つ挙げます
人口減少と若い世代の流出栃木県全体では平成17年の2,016,631人をピークに人口が減り続け、令和5年の出生数は9,958人と初めて1万人を割り込んだ。20歳代前半の女性を中心に首都圏への転出超過が続く県の統計をなぞって終わらせず、若い世代が宇都宮市で働き、住み続けたくなる条件を自分なりに一つ挙げるところまで進めます
宇都宮市の魅力令和6年の観光客入込数1,573.6万人は県全体の17.5%で県内最多。県全体8,997.3万人のうち最も多くを集めている市である名所や名産を並べるのではなく、数字の裏づけがある事実を一つだけ挙げ、あとは自分が実際に見て感じたことで語ります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「求める人材」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
広い視野で将来を考える力目の前の出来事を、その先どうなるかまで考えて動いた経験があるか県人口が令和42年に約128万人まで減るという推計を踏まえ、50万人都市の10年後に何が必要かを自分なりに一つ言えるようにしておく
成果とスピードへの意識期限のある仕事で、優先順位をどう決めて進めたかやり切った話だけでなく、間に合わせるために削った部分と、その判断の理由まで説明できるようにしておく
活力・持続力と人あたりうまくいかない時期に、どう気持ちを保って続けたか受験案内が掲げるVitality(活力・持続力)という言葉に自分の経験を重ね、続けられた理由を一言で言えるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

宇都宮市は個別面接が2回ある分、同じ話題を別の面接官から角度を変えて問われる前提で準備しておく必要があります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内を読み、試験の段階と、申込時に提出するエントリーシートの記入項目を確認する(書類選考の対象であり、面接での発言と食い違わないように)。教養試験はテストセンターで日時を選べるため、面接準備の時間から逆算して受験日を決める
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイト・職務経験から、話せる具体例を1つずつ用意する(書類選考でも「これまでの経験等」が見られている)
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、ライトラインと拠点への機能集約、中核市としての事務の広さ、県内で人口が集中する立場のうち、志望分野に近いものを2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、宇都宮市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

宇都宮市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

宇都宮市役所の想定問答集を見る

さいごに

宇都宮市の試験は、入口の書類選考から最後の個別面接まで、人物を見る場面が繰り返し置かれています。

配点は公表されていませんが、令和7年度の一般行政で受験者419人が最終合格81人まで絞られた過程を見れば、面接のある段階が勝負どころであることは読み取れます

県人口の4分の1が集まる50万人都市で、ライトラインが走り始めたまちをこの先どうしていきたいのか

受験案内が掲げる「広い視野」「成果とスピード」「Vitality」という3つの言葉に、自分の経験を一つずつ結び付ける作業から始めてみてください。