本記事では、足利市職員採用試験の面接対策で必要な、足利市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

足利市役所の面接試験では、「なぜ足利市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。足利市の後期試験は申込の受付時から面接がはじまり、その後も個人面接が続く組み立てになっているため、市の実情を語れる状態をどれだけ早く作れるかが結果を左右します。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と足利市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

足利市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは足利市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口138,045人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積177.76km²・人口密度777人/km²の市である。
  • 栃木県内で市域を接するのは佐野市だけで、残る隣接先は群馬県の桐生市・太田市・館林市・邑楽郡邑楽町。県境をまたいで生活圏がつながっている市である。
  • 室町幕府を開いた足利氏ゆかりのまちとして、国宝鑁阿寺(ばんなじ)や日本遺産史跡足利学校といった歴史的文化遺産を有する。
  • 市役所は〒326-8601 足利市本城三丁目2145番地に置かれ、団体コードは09202-9。市の花はフジ、市の木はイチョウ(いずれも2021年再選定)。
  • 採用試験の実施主体は「足利市職員試験委員会(足利市役所人事課内)」で、前期と後期の年2回実施される。回次によって試験種目が異なる。
  • 後期試験では申込の受付時にも個人面接が行われ、第2次・第3次と合わせて個人面接が計3回課される。集団面接や集団討論の記載はない。
  • 令和8年度後期の採用予定人数は行政30名程度、消防10名程度、土木・建築・電気が各3名程度で、市役所の職員と消防職員を同じ試験の枠組みで募集している。

足利市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「足利市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。規模を測るときの物差しとして、栃木県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口138,045人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積177.76km²
人口密度777人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体佐野市/群馬県桐生市、太田市、館林市、邑楽郡邑楽町
市役所所在地〒326-8601 栃木県足利市本城三丁目2145番地(団体コード09202-9)
市の花・市の木フジ・イチョウ(いずれも2021年再選定)
(参考)栃木県の総人口1,857,921人(令和8年6月1日現在・毎月人口推計)
(参考)栃木県の面積6,408.09km²(全国第20位・関東地方で最大)
(参考)栃木県の市町数14市11町(村はない)

足利市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。栃木県の総人口・面積・市町数は栃木県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、足利市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

足利市の人口13万人台という数字は、栃木県全体の人口1,857,921人(令和8年6月1日現在)と重ねると、県内の一定の存在感を示す規模だとわかります(出典:栃木県毎月人口推計月報|令和8年6月

より特徴が出るのは人口密度です。

県全体の人口を県面積6,408.09km²で割るとおよそ290人/km²になりますが、足利市の777人/km²はその2倍を大きく超えます(出典:栃木県の人口・面積|令和6年

県内では人が密に暮らす市であり、生活圏は県境をまたいで群馬県側へ広がっているという二つの性格が、足利市の位置づけです。

ただし、密度が高いことは人口が保たれることを意味しません。

栃木県の総人口は平成17(2005)年の201万6,631人をピークに減少に転じ、令和42(2060)年には約128万人になると推計されています。

令和5(2023)年の出生数は9,958人とはじめて1万人を割り込み、同年の合計特殊出生率は1.19と、全国の1.20を下回る過去最低でした(出典:栃木県人口未来会議資料|令和7年4月

足利市の採用試験案内でも、市長のメッセージが人口減少対策を市の課題の筆頭に挙げています。密度の高さと人口減少を同じ話の中に置けると、志望の説得力が増します

受け答えの例を挙げておきます。

「足利市は人口が13万人ほどで、県内では人の密度が高いまちだと知りました。ただ、栃木県全体では出生数が1万人を割ったと聞きましたので、今の人口が続く前提では考えられないと思っています。密度が高いうちにできることを進めておくことが大事なのではと感じています」

足利市の経済・産業

製造業が県内総生産の4割を占める県で

足利市の産業を考えるとき、土台になるのは栃木県全体の姿です。栃木県の県内総生産に占める製造業の割合は39.6%(令和3年度)で全国第3位。

大手企業の生産拠点と技術力の高い中小企業が集積し、製造品出荷額等は全国12位です。

出荷額が全国1位の工業製品には、医療用X線装置、歯科用機械器具、硬質プラスチック発泡製品、シャッター、砕石、ふとんが並びます。

1人当たり県民所得は3,307千円(令和3年度)で全国5位です(出典:栃木県の財政状況(IR資料)|令和6年

この構造の中で足利市が動かしているのが産業団地です。

市は新たに整備した産業団地への9社の企業進出を、進行中の大規模事業として採用試験案内に挙げています(出典:足利市職員採用試験案内|令和8年度後期

企業を呼ぶことと、働く人に住んでもらうことは別の仕事です。産業を語るなら、進出企業の数だけでなく、そこで働く人が足利市に住み続ける理由をどう作るかまで踏み込みましょう。

歴史資源と「新しい人の流れ」

足利市は、室町幕府を開いた足利氏ゆかりのまちです。国宝の鑁阿寺、日本遺産の史跡足利学校といった文化遺産があり、市もこれを市の顔として紹介しています。

加えて市は、プロスポーツの観戦をきっかけとした「新しい人の流れ」の創出と、「若者や女性にも選ばれるまち」という視点を、官民が協力して市政に取り入れているとしています。

栃木県全体では、令和6(2024)年の観光客入込数が8,997.3万人(前年比107.3%)、宿泊数が延べ830.4万人(同105.8%)、外国人宿泊数が延べ27.9万人で過去最高を更新しました(出典:栃木県観光客入込数・宿泊数調査|令和6年

歴史資源とスポーツという二つの入口を持つ市として、来訪の理由が一つに偏らないことは強みです。

面接では、名所を挙げるのではなく、訪れた人がもう一度来る理由をどう作るかという角度で語れると差がつきます。

県境をまたぐ生活圏

足利市が接する自治体のうち、栃木県内は佐野市のみで、桐生市・太田市・館林市・邑楽町は群馬県です。

通勤・通学、買い物、医療といった日常の行動が県境を越えて成り立っているということでもあります。

栃木県は東北新幹線で東京まで約50分、東北自動車道と北関東自動車道に圏央道を加えた道路網を持ち、南北と東西の両方向で交通条件に恵まれています。

足利市が進める(仮称)足利スマートインターチェンジ建設事業は、この道路網に市の出入口を一つ足す事業です。

行政区域と生活圏がずれている市では、市の施策を市域の中だけで完結させられない場面が出てきます。この「ずれ」を理解しているかどうかは、面接での説明の深さに直結します。

足利市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、足利市が今向き合っている課題が見えてきます。市長メッセージが挙げる課題を軸に、面接での引き出しとして次の4つを押さえておきましょう。

人口減少対策と、若い世代の流出

栃木県では平成17(2005)年以降、転出が転入を上回る状態が続いています。とくに20歳代前半の女性の転出超過が目立ち、行き先は東京都・埼玉県・神奈川県といった首都圏です。

県は、地方創生の10年をもってしても東京圏への一極集中の流れを変えるには至らなかったと公式資料で認めています。

足利市が「若者や女性にも選ばれるまち」という言い方をしているのは、この構造への回答としてです

面接で人口減少に触れるなら、総数の話で終わらせず、どの層が抜けているかまで言えるようにしておきましょう。

公共施設の建替えという重い判断

市は、新市民会館と市役所本庁舎を複合施設として整備する事業を進行中の大規模事業に挙げています。

老朽化した施設を建て替えるとき、同じものを同じ数だけ作り直すという選択は、人口が減る局面では取りにくくなります。複合化は、機能を束ねて総量を抑える考え方です。

あわせて中橋の架け替え工事も進行しており、市の中心部のかたちが動く時期にあたります。こうした事業は完成までに時間がかかり、その間の住民への説明が職員の仕事になります。

地域産業の振興と担い手

市長メッセージは地域産業の振興を課題に挙げ、「今まさに、自治体にも『都市経営』の視点が求められています」と述べています。

税収を生む産業をどう育て、限られた財源をどこに投じるかという判断を、行政の側も経営として考えるという趣旨です。

栃木県全体の財政指標は、実質公債費比率9.4%(令和5年度決算・全国平均10.1%)、将来負担比率102.8%(同・全国平均148.7%)といずれも全国平均を下回りますが、これは県の数字であって足利市の財政状況を示すものではありません。

市の財政について語るときは、市が公表する決算・予算の資料を必ず自分で確認してください。

災害対策への備え

栃木県は、地震や風水害などの大規模な自然災害が比較的少ない県とされています。それでも県地域防災計画は、栃木県庁直下地震(マグニチュード7.3)を想定地震に置いています。

冬深夜のケースで死者数3,926人、負傷者数32,081人(うち重傷者6,746人)、1週間後の避難者数339,833人、建物全壊70,812棟という規模です(出典:栃木県地震被害想定調査の概要版|栃木県地域防災計画

足利市が災害対策を市の課題に挙げていること、そして市が消防職員を市役所と同じ採用試験の枠組みで募集していることは、無関係ではありません

行政職を志望する場合でも、災害時に市役所が何をする組織なのかは説明できるようにしておきましょう。

足利市の重点政策|市が進める大規模事業と県の計画

足利市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここでは、採用試験案内から読み取れる市の重点事業を、県が描く将来像と突き合わせます。

市長が受験者に語った課題が、県全体の動きとどこで重なるかを見るためです。

採用試験案内が示す4つの大規模事業

足利市の採用試験案内には、進行中の大規模事業として次の4つが挙げられています。受験生向けの資料に市が自ら書いた優先事項ですから、面接での材料としての価値は高いといえます。

事業面接での使いどころ
中橋の架け替え工事市の中心部の交通と景観が変わる事業。工事期間中の暮らしへの影響をどう抑えるかという視点
(仮称)足利スマートインターチェンジ建設事業高速道路網への出入口を増やす事業。県境をまたぐ生活圏や産業団地との関係で語れる
新たに整備した産業団地への9社の企業進出雇用と税収の話題の具体例。働く人の住まいや通勤という次の課題につなげられる
新市民会館と市役所本庁舎の複合施設としての整備公共施設の総量を抑えながら機能を残す考え方。人口減少下の施設のあり方として語れる

市はこれらに加えて、プロスポーツ観戦をきっかけとした「新しい人の流れ」の創出と「若者や女性にも選ばれるまち」という視点を、官民の協力によって市政に取り入れているとしています。ハードの整備と、人を呼び戻す仕掛けを同時に進めているのが今の足利市だと理解しておきましょう。

県の最上位計画が見ている先

栃木県の最上位計画は、計画期間を2026年度から2030年度とする「新とちぎ未来創造プラン」です。

県はこの計画で、人口減少・少子高齢化の進行による労働力や地域の担い手の不足、気候変動によるリスクの高まりを課題に挙げ、オール栃木体制で人口減少・少子化対策に取り組む必要があるとしています(出典:新とちぎ未来創造プラン|2026〜2030年度

これは県の計画であって足利市の計画ではありませんが、市の総合計画を読むときに、県が挙げた環境変化に市がどの順番で答えようとしているかという目線を持つと、理解が早くなります。

POINT|市長メッセージは「市の言葉」の宝庫

足利市の採用試験案内には市長からのメッセージが載っており、そこに課題認識と求める人材像がまとめて書かれています。①メッセージから市が挙げる課題を書き出す → ②4つの大規模事業のどれと結び付くかを線でつなぐ → ③自分が携わりたい仕事を一つ選ぶ → ④その仕事に自分の経験がどう使えるかを言葉にする、という順で準備すれば、志望動機は市の言葉と噛み合います。

悪い例「足利市のまちづくりに貢献したいです」

改善例「新しい市民会館と本庁舎を一つの施設にする計画があると知りました。使う人にとっては便利になる一方で、これまでの使い方が変わる方もいると思いますので、そういう声を聞いて調整していく仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 足利市職員採用試験の受験案内(受験する回次・職種のもの。市長メッセージを含む)
  • 足利市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 中橋の架け替えや本庁舎整備など、進行中の大規模事業の個別ページ
  • 新とちぎ未来創造プラン、栃木県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、足利市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。足利市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

足利市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

足利市役所の面接の概要

ここからは、足利市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

足利市役所の面接の流れ

足利市の令和8年度後期試験は、第1次から第3次までの3段階で行われます。特徴は面接の回数です。

申込の受付時に「主として人柄をみるための短時間の個人面接試験」が行われ、第2次・第3次もそれぞれ個人面接です。

申込を含めると個人面接が計3回、集団面接や集団討論の記載はないという構成になっています。

項目内容(令和8年度後期・足利市職員試験委員会)
試験の段階三段階選抜。申込受付時の面接を経て、第1次試験、第2次試験、第3次試験と進みます
申込時面接「主として人柄をみるための短時間の個人面接試験(申込受付時に実施)」。申込書類を持参のうえ、必ず受験者本人が来庁します
第1次試験行政・消防は教養試験(40問・120分間・高等学校卒業程度の水準)。行政のみ作文(800字以内・70分間)。土木・建築・電気は専門試験(30問・90分間・高等学校卒業程度の水準)。消防は体力測定
第2次・第3次試験いずれも個人面接(主として人柄をみるための面接試験)。行政・土木・建築・電気・消防の全職種で実施されます
集団形式集団面接・集団討論の記載はありません
提出書類全職種共通で「採用試験申込書(所定の様式)」。第3次試験を受験する際に、最終学校の成績証明書等(高等学校卒業見込みの場合は調査書)を提出します
合否の基準「各試験科目において、一定の水準に満たない科目がある場合は、総合得点に関わらず不合格となります」と明記されています

上記は足利市の令和8年度後期の採用試験案内にもとづくものです。同年度の前期は、第1次試験が専門試験(土木・建築・電気)、職務基礎力試験・作文(行政・社会人経験者区分)、書類選考(社会人経験者区分)で、申込時面接の記載はありません。各試験の配点は公表されていません。試験の構成・配点等は年度や募集回次によって異なります。受験の際は、必ずご自身の回次の最新の受験案内をご確認ください。

ここで読み取っておきたいのは、配点は非公表でも、面接の回数そのものが試験の性格を語っているという点です。人柄をみる面接が3回あり、しかも科目ごとの足切りがある。

どこか1回で崩れると挽回が難しい構造です。なお、令和8年度後期の行政職の教養試験は「高等学校卒業程度の水準」と明記されています。

大学卒業程度の試験だと思い込んで対策すると、狙いがずれます

令和7年度の実施状況から読み取れること

足利市は、直近の採用試験の実施状況を公表しています。職種によって競争率が大きく違うことがわかります(出典:足利市職員採用試験の実施状況|令和7年度

職種受験者数最終合格者数最終倍率
行政58人14人4.1
消防14人7人2.0
土木7人1人7.0
建築1人1人1.0

行政職は受験者58人に対して第1次試験合格者36人、第2次試験合格者23人、最終合格者14人でした。段階が進むごとに人数が絞られていく流れが数字で追えます

倍率の数字そのものより、面接の段階で半分以下に絞られているという事実のほうが、準備の設計には役立ちます。

足利市役所が求める人物像

足利市の採用試験案内では、「求める人物像」という見出しの公表文言を確認できません(当研究会調べ)。ただし、市長からのメッセージに、どんな職員を求めているかがはっきり書かれています。

メッセージは、人口減少対策・地域産業の振興・災害対策・公共施設の建替えといった課題を挙げたうえで、「既成概念や前例に縛られない『突破力』が必要です」「鋭い感性や豊かな発想力を持ち、自ら考え行動できる『人財』が必要です」と述べ、「まちづくりは人づくりであり、その原点が市職員です」と結んでいます。

これは公式の人物像そのものではありませんが、市のトップが受験者に向けて書いた言葉です。自己PRを「まじめに取り組みます」で締めるのは惜しい話です。

自分が起こした行動と、それによって周りに生じた変化まで含めて語りましょう。「突破力」という語を借りるなら、前例のないやり方を選んだ場面を一つ用意しておくのが確実です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。足利市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク申込のときの面接から今日まで、何を準備してきましたか準備の量ではなく、間の時間の使い方と話しぶり
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだのはなぜですか待遇以外の言葉で職業選択を説明できるか
③ 自己理解自分に足りないと感じているものは何ですか弱みを言葉にできるか。認めたうえでどう補っているか
④ 経験・行動前例のないやり方を選んだ経験はありますか判断の理由と、まわりをどう巻き込んだか
⑤ 学業・経歴これまでの学びで、仕事に使えそうなものは何ですか学んだことを他人の役に立つ形へ翻訳できるか
⑥ 適性・将来10年後、足利市がどうなっていてほしいですか市の将来像を自分の言葉で描けるか
⑦ 公共性・社会性市の事業に反対の声が出たとき、どう向き合いますか賛否の分かれる場面での考え方の筋道

ただし、この7カテゴリーは足利市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「足利市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「足利市役所ならでは」の質問

「なぜ栃木県庁ではなく、足利市役所なのですか」
「足利市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも足利市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「足利市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい足利市の事実答え方のヒント
市の位置と生活圏県内で接するのは佐野市のみで、桐生市・太田市・館林市・邑楽町は群馬県。人口密度777人/km²は県全体から計算されるおよそ290人/km²の2倍を超える「両毛地域だから」と地域名で片づけず、県境をまたいで暮らしが成り立っている市で、行政区域だけでは完結しない仕事があるという整理で話します
なぜ県庁ではなく市役所か足利市の採用試験は市の職員試験委員会が実施し、県とは別建て。市は中橋の架け替えや本庁舎整備など、市域の中の具体的な事業を自ら抱えている役割分担の一般論では止まりません。足利市が今まさに動かしている事業名を一つ挙げ、そこに関わりたい理由まで一続きにします
市の重点事業中橋の架け替え、(仮称)足利スマートインターチェンジ建設、産業団地への9社の企業進出、新市民会館と市役所本庁舎の複合施設整備の4事業が採用試験案内に明記4つ全部を並べるのではなく、自分の志望職種に近い1つを選び、完成までの間に住民へ何を説明する必要があるかまで考えて話します
市が求める人材市長メッセージは「既成概念や前例に縛られない『突破力』」「自ら考え行動できる『人財』」を挙げ、自治体にも「都市経営」の視点が求められると述べる言葉をそのまま返すと借り物になります。自分が前例のない方法を選んだ場面を語り、そのうえで市の言い方と重なる部分を示します
歴史と観光の資源国宝の鑁阿寺、日本遺産の史跡足利学校を有し、プロスポーツ観戦をきっかけとした「新しい人の流れ」の創出を官民協力で進めている名所の紹介で終わらせず、歴史とスポーツという性格の違う二つの入口を、市がどう束ねようとしているかという見立てを述べます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、市長メッセージが示す人材像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
前例に縛られない突破力決まったやり方が通じない場面で、どう切り抜けたか市長メッセージが「突破力」という語を使っている以上、うまくいった話だけでなく、周囲を説得した過程まで語れる例を選んでおきます
自ら考え行動する姿勢指示を待たずに動いた場面と、その判断の根拠足利市の後期試験は個人面接を3回課します。同じ経験を角度を変えて聞かれる前提で、一つの話を掘り下げられるところまで用意しておきます
都市経営の視点限られた資源の中で優先順位をつけた経験があるか本庁舎と市民会館を複合施設にするという市の選択を材料に、何かを残すために何かを削る判断について自分の考えを持っておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

足利市は面接の回数が多い分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する回次の受験案内を読み、試験種目と提出書類、そして市長メッセージまで通して確認する(前期と後期で試験の内容が異なります)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、4つの大規模事業と栃木県全体の見通しから、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 申込時の面接から本番までを一続きの試験だと考えて、同じ話を三度違う角度から聞かれる想定で声に出して練習する

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、足利市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

足利市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

足利市役所の想定問答集を見る

さいごに

足利市の後期試験は、申込のために市役所へ足を運んだその時点から人柄をみられ、第2次・第3次でも個人面接が続きます。

しかも科目ごとに一定の水準を満たさなければ、総合得点にかかわらず不合格になると案内に明記されています。付け焼き刃が効きにくい試験だといえます

中橋の架け替え、スマートインターチェンジ、産業団地への9社の進出、そして本庁舎と市民会館の複合化。

市が自ら受験生に示したこの4つの事業のどれに自分が関わりたいのかを決めて、その理由を三度聞かれても同じ強さで話せる状態を作っておいてください