本記事では、下野市職員採用試験の面接対策で必要な、下野市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

下野市役所の面接試験では、「なぜ下野市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

下野市の採用試験は専門試験を課さず、第二次試験の口述試験は個別面接と明記されています。人物を見る場面の比重が高い試験だと考えて準備するのが現実的です。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と下野市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

下野市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは下野市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口59,416人・面積74.59km²・人口密度797人/km²の市である。
  • 県都の宇都宮市と、南隣の小山市の両方に接している。ほかに栃木市・真岡市・下都賀郡壬生町・河内郡上三川町と隣接し、計6つの市町に囲まれた位置にある。
  • 面積74.59平方キロメートルは、栃木県全体の6,408.09平方キロメートルと比べるとごく小さい。県内では市域が狭く、人口密度が高い部類に入る。
  • 市は、東国を代表する史跡等が多数所在し、その価値は奈良県の飛鳥地方と並ぶといわれる歴史文化の特性を「東の飛鳥」と名付け、ロゴマークを活用したシティプロモーションに全庁的に取り組んでいる。
  • 市名の読みは「しもつけし」。旧国名の下野国や県紙の名称と紛らわしいため、書類でも面接でも市を指していることが分かる言い方を心がけたい。
  • 市役所は〒329-0492 下野市笹原26番地に置かれている(団体コード09216-9)。市の花はユウガオ、市の木はケヤキ。
  • 栃木県全体の人口は1,857,921人(令和8年6月1日現在)で、前月から948人減少している。宇都宮市と小山市に挟まれた下野市も、県全体の減り方と無関係ではいられない。

下野市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「下野市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の規模を測るときの比較先として、栃木県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口59,416人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積74.59km²
人口密度797人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体宇都宮市、小山市、栃木市、真岡市、下都賀郡壬生町、河内郡上三川町
市役所所在地〒329-0492 栃木県下野市笹原26番地
市の花・市の木ユウガオ・ケヤキ
(参考)栃木県の総人口1,857,921人(令和8年6月1日現在・毎月人口推計)
(参考)栃木県の面積6,408.09km²(全国第20位・関東地方で最大)
(参考)宇都宮市の人口511,852人(令和6年時点・県人口の約4分の1を占める中核市)

下野市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。栃木県の総人口・面積および宇都宮市の人口は栃木県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、下野市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

下野市の数字で目を引くのは、面積74.59平方キロメートルという狭さと、797人/km²という人口密度の組み合わせです。市域がコンパクトで人が集まって住んでいるということは、道路や上下水道、公共施設を維持する効率の面では有利に働きます。

一方、両隣には県都の宇都宮市と小山市があり、宇都宮市だけで511,852人と県人口の約4分の1を占めます(参考:栃木県の人口・面積|令和6年。買い物や通勤の行き先として大きな都市が両側にあることは、便利さであると同時に、市内で完結する消費や活動が減りやすいということでもあります。

県全体の人口は令和8年6月1日現在で1,857,921人、前月から948人減りました(出典:栃木県毎月人口推計月報|令和8年6月。県の人口は平成17年の2,016,631人をピークに減少へ転じ、令和5年の出生数は9,958人と初めて1万人を割り込みました

同年の合計特殊出生率は1.19で、全国の1.20を下回っています(出典:栃木県人口未来会議資料|令和7年4月通いやすさを保ちながら、市内で暮らしが完結する部分をどう厚くするかが、下野市の位置に固有の論点になります。

この論点を面接で語るとしたら、たとえば以下のように言えます。

「下野市は人口が6万人ほどで、面積が県内でも小さいほうだと知りました。宇都宮市と小山市の両方に接していますので、通いやすさは大きな強みだと思います。ただ、栃木県全体では生まれる子どもの数が1万人を割ったと聞きましたので、便利さだけでなく、このまちで過ごす時間そのものを増やす仕掛けが必要なのではと感じています」

下野市の経済・産業

製造業の比重が大きい県の中で

6万人規模の市の産業は、県全体の姿と重ねると位置づけが見えてきます。栃木県の県内総生産に占める製造業の割合は39.6%(令和3年度)で全国第3位、製造品出荷額等は全国12位です。

医療用X線装置や歯科用機械器具、シャッター、砕石などは出荷額が全国1位の品目にあたります。農業産出額は2,718億円(令和4年度)で全国9位、いちごは昭和43年から半世紀以上にわたり生産量日本一です。

1人当たり県民所得3,307千円(令和3年度)は全国5位でした(出典:栃木県の財政状況(IR資料)|令和6年

ここから読み取れるのは、県の経済は工場の集積と農地の広がりの両方で成り立っているということです。宇都宮市と小山市に挟まれた下野市は、その両方の経済圏の内側にあります。

産業の話をするときは、市内に何があるかを列挙するのではなく、両隣の都市との関係の中で市がどんな役割を果たせるかという角度から考えると、話が具体的になります。

観光が集中する県で、歴史をどう活かすか

令和6年の栃木県の観光客入込数は8,997.3万人(前年比107.3%)、宿泊数は延べ830.4万人(前年比105.8%)、外国人宿泊数は延べ27.9万人で過去最高を更新しました。

市町別では宇都宮市1,573.6万人(県全体の17.5%)が最多で、日光市1,019.2万人、那須塩原市771.2万人、佐野市740.2万人、栃木市625.8万人と続きます(出典:栃木県の観光客入込数・宿泊数推計調査結果|令和6年

県内の観光は、日光や那須といった大きな目的地に集まる構造です。その中で下野市は、東国を代表する史跡等が集まるという特性を「東の飛鳥」と名付けて発信しています。

歴史や文化は、一度に大量の観光客を呼ぶ資源ではありません。だからこそ、関心を持った人にどう深く関わってもらうかという設計が要ります。

観光や地域振興を志望動機にするなら、入込数の多さを競う発想ではなく、この設計の話へ踏み込みましょう。

県都の交通の変化と、市の位置

県内の交通で大きな変化が起きたのが、令和5年に開業した芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)です。累計利用者数は令和7年1月31日に700万人へ到達し、令和6年の1日平均利用者数は13,839人と、定着が予測を上回る速さで進みました

宇都宮駅の西側への延伸も検討されています(出典:芳賀・宇都宮LRTの利用状況(宇都宮市資料)|令和7年2月。栃木県はJR東北新幹線で東京まで約50分、東北自動車道や北関東自動車道も通る位置にあります。

県都の交通が変われば、周辺で暮らす人の動き方も変わります。宇都宮市と接する下野市にとって、この変化は他人事ではありません

下野市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、下野市を含む栃木県内の市町が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

若い世代の県外流出

栃木県の社会動態は平成17年以降、転出超過が続いています。中でも20歳代前半の女性の転出超過が顕著で、東京都・埼玉県・神奈川県への流出が多いと県は分析しており、地方創生の10年の取組でも東京圏への一極集中の流れを変えるには至らなかったとしています(出典:新とちぎ未来創造プラン|2026〜2030年度

下野市は宇都宮市にも小山市にも通える位置にあるため、県内にとどまる選択肢を用意できる市でもあります。住まいと働き口と暮らしの楽しさをどう組み合わせるかが、実際の施策の勝負どころになります。

年齢構成の変化と担い手不足

栃木県の年齢構成は、2020年の実績で15歳から64歳が約1,137千人(約58.8%)、65歳から74歳が約292千人(約15.1%)、75歳以上が約273千人(約14.1%)、0歳から14歳が約232千人(約12.0%)でした。総人口は2040年に約165万人、2060年に約128万人と推計されています。

県は人口減少と少子高齢化による労働力や地域の担い手の不足を課題に挙げています。市の側から見れば、自治会や消防団、地域の見守りといった仕組みを、少ない人数でどう回すかという問題です。

大規模地震への備え

栃木県は自然災害が比較的少ない県だとされますが、県地域防災計画は「栃木県庁直下地震」(マグニチュード7.3)を想定しています。想定では建物全壊70,812棟、冬深夜のケースで死者3,926人、負傷者32,081人(うち重傷者6,746人)、1週間後の避難者339,833人、経済被害は合計58,324億円です(出典:栃木県地震被害想定調査(概要版)

死者の大半は建物の倒壊によるものと想定されています。人が集まって住む市域では、一度に多くの避難者が出る可能性があります。

自分の関わる地区の想定は、市のハザードマップで確認しておきましょう。

生活を支える仕組みの維持

人口減少と少子高齢化が進むと、生活関連サービスの縮小、地域コミュニティの弱体化、公共交通機関の縮小、税収減少や社会保障費の増加による財政の圧迫、行政サービス水準の低下といった影響が連鎖します。これは県の公式資料が明記している見立てです。

市域が狭く人口密度が高い下野市は、施設を維持する効率という点では条件に恵まれていますが、両隣に大きな都市があるぶん、市内の店舗や病院、公共交通をどう保つかという課題は別に生じます。便利さの裏側にある弱さまで語れると、志望動機に厚みが出ます

下野市の重点政策|「東の飛鳥」と新とちぎ未来創造プラン

下野市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。下野市が全庁的に取り組むシティプロモーションから入り、栃木県の最上位計画へ広げます。

「東の飛鳥」と「シモツケくらしウッテツケ」

下野市は、東国を代表する史跡等が多数所在し、その価値は奈良県の飛鳥地方と並ぶといわれる歴史文化の特性を「東の飛鳥」と名付け、ロゴマークを活用したシティプロモーションに全庁的に取り組んでいます。あわせて「シモツケくらしウッテツケ」というキャッチコピーを掲げ、住むまちとしての魅力を発信しています(出典:下野市職員採用試験受験案内|令和8年4月採用

ロゴマークは、古代の想像上の動物である四神のうち東方の守護者「青龍」をイメージしたもので、奈良県明日香村の高松塚古墳やキトラ古墳の石室東壁に描かれた青龍をモデルにアレンジされています。

ここで押さえておきたいのは、意匠の由来そのものよりも、市が歴史文化を全庁的な旗印にしているという事実のほうです。どの部署にいても、この旗印と自分の仕事の接点を説明できることが期待されている、と読み替えられます。

新とちぎ未来創造プランが掲げる課題認識

県の最上位計画は、計画期間を2026年度から2030年度とする新とちぎ未来創造プランです。

プランは、人口減少・少子高齢化の進行による労働力や地域の担い手の不足、気候変動によるリスクの高まりを課題として挙げ、「オール栃木体制」で人口減少・少子化対策に取り組む必要があるとしています。これは県の計画であって下野市の計画ではありませんが、市の総合計画を読むときは、県が挙げたこれらの課題に市がどう答えようとしているかという目線を持つと、理解が早くなります。

POINT|旗印を借りるのではなく、自分の仕事につなぐ

「東の飛鳥」は覚えやすい言葉ですが、面接でそのまま口にするだけでは、パンフレットの引き写しに聞こえます。①人口59,416人・面積74.59km²という規模をつかむ → ②宇都宮市と小山市に挟まれた位置を地図で確かめる → ③歴史文化を掲げる市の発信を確認する → ④自分が携わりたい仕事とその旗印がどこで交わるかを一文にする、という順で準備しましょう。

悪い例「東の飛鳥という歴史のあるまちに魅力を感じました」

改善例「市が歴史文化を全庁で掲げていると知って、観光の部署だけの話ではないところに関心を持ちました。私は窓口の仕事から始めたいと思っていますけれども、転入してきた方に市の成り立ちを一言添えて案内できる職員になりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 下野市職員採用試験の受験案内(受験する年度・職種のもの)
  • 下野市公式サイトの市政情報・総合計画・シティプロモーションの発信
  • 市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
  • 新とちぎ未来創造プラン、栃木県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、下野市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。下野市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

下野市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

下野市役所の面接の概要

ここからは、下野市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

下野市役所の試験の構成

下野市の受験案内は、試験の特徴として「テストセンター方式」「公務員の専門的試験はありません」「オンライン申込受付」の3点を明記しています。第一次試験は民間企業の採用でも使われる基礎能力検査SCOAで、全国のテストセンター約350か所から会場を選んで受験します。

第二次試験は適性検査と口述試験で、口述試験は「個別面接による試験」と明記されており、集団面接や集団討論の記載はありません

項目内容(令和8年4月採用・令和7年度実施)
試験の段階第一次試験(基礎能力検査SCOA)→ 第二次試験(適性検査および口述試験)
第一次試験民間企業の採用試験で使用されている基礎能力検査SCOA。公務員の専門的試験は課されません
受験方式テストセンター方式。全国のテストセンター約350か所から選択して受験します
第二次試験公務員として必要な素質および適性についての適性検査と、個別面接による口述試験
職種・採用予定者数一般事務5名程度、一般事務(障がい者)若干名、土木技師および土木技師(経験者)若干名、社会福祉士および社会福祉士(経験者)若干名。6種の試験の併願はできません
申込方法職員採用システム「PUBLIC CONNECT」によるオンライン申込のみ。窓口・郵送による申込は行われず、申込から採用までの案内もすべて同システムで行われます
結果の開示口頭請求による開示を実施。第一次試験は不合格者、第二次試験は受験者が対象で、総合順位と得点が開示されます(合格発表の日から1か月・総務人事課)
面接の回数・配点配点および面接カード等の提出書類は受験案内に記載がなく、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。最新の受験案内でご確認ください

上記は下野市が公表する令和8年4月採用(令和7年度実施)の受験案内にもとづくものです。市サイトには令和9年4月採用の早期枠・秋募集枠の告知もありますが、当研究会では内容を確認できていません。試験の構成・科目・面接形式・配点等は、年度や職種によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の職種の試験情報をご確認ください。

なお、経験者枠でいう「職務経験」は、正規職員として同一の企業・団体等で継続して2年以上勤務した期間が該当し、複数ある場合は通算できます。産前産後休業・育児休業以外の休職期間は算定の対象外です。該当しそうな方は、自分の職歴がこの定義に当てはまるかを早めに確認しておきましょう。

下野市役所が求める人物像

「求める人物像」にあたる公表文言は、下野市の受験案内には記載がありませんでした。そこで、試験の組み立てと市が掲げる旗印から、評価されやすい資質を考えます。

専門試験を課さず、基礎能力検査と個別面接で選ぶという設計は、知識の量よりも人物と適性を見たいという姿勢の表れだと読めます。加えて、市は歴史文化を全庁的なシティプロモーションの軸に据えています。

これを準備する側の言葉に直すと、「持っている力を仕事に置き換えて説明できること」「まちの物語を自分の言葉で語れること」「6万人規模の市で幅広い担当を引き受ける柔軟さ」の3点が、選考で確かめられる中身になります。自己PRでは「コミュニケーション力があります」と述べて終わらせず、その力で誰と何を話し、状況をどこまで動かせたのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。下野市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイクここまで迷わずに来られましたか用意していない話題での応答の速さと表情の自然さ
② 動機・志望公務員という働き方のどこに惹かれましたか安定という言葉の先に、自分の理由があるか
③ 自己理解あなたが直したいと思っている癖は何ですか弱みを認めた上で、付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動誰かの代わりに責任を負った経験はありますか役割を引き受けたときの判断と、その後の行動
⑤ 学業・経歴学んだことを、専門外の人に説明してください相手の前提に合わせて言葉を選べるか
⑥ 適性・将来10年後、市役所でどんな立場にいたいですか仕事への理解の解像度と、育ち方の見通し
⑦ 公共性・社会性税金の使い道で関心のある分野は何ですか公金を扱う仕事だという自覚があるか

ただし、この7カテゴリーは下野市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「下野市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「下野市役所ならでは」の質問

「なぜ栃木県庁ではなく、下野市役所なのですか」
「下野市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも下野市の現状を知らなければその場では答えようがない質問です。裏を返せば、材料を持って臨めば、他の受験者との差をはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「下野市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい下野市の事実答え方のヒント
市の規模と位置人口59,416人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積74.59km²、人口密度797人/km²。宇都宮市と小山市の両方に接し、計6市町と隣接する「通勤に便利」で説明を終わらせず、大きな都市に挟まれた市が自前で持つべき機能は何かまで踏み込みます
市の旗印東国を代表する史跡等の価値を「東の飛鳥」と名付け、青龍のロゴマークとキャッチコピーで全庁的に発信している言葉を紹介するだけで終わらせず、自分の志望する部署の仕事とその旗印が交わる点を一文で示します
なぜ県庁ではなく市役所か県は新とちぎ未来創造プラン(2026〜2030年度)で全体の針路を示し、市は6万人規模の住民の届出や相談を直接受け止める役割の違いの説明で止めず、下野市の窓口で自分が向き合いたい相手を具体的に一つ挙げます
市の課題県の合計特殊出生率は令和5年に1.19となり全国の1.20を下回った。同年の出生数9,958人は初めて1万人を割った水準県全体の話で終わらせず、宇都宮市にも小山市にも通える下野市だからこそ提示できる選択肢は何かを考えて話します
防災・危機管理栃木県庁直下地震(マグニチュード7.3)の想定は、建物全壊70,812棟、負傷者32,081人。人的被害の多くは建物の倒壊によるとされる被害の数字を並べるのではなく、人口密度の高い市域で避難所の運営を手伝う場面を思い描いて話します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「評価されやすい資質」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
力を仕事へ置き換える説明力自分の強みが、市の業務のどこで効くと考えているか専門試験がなく個別面接で選ぶ試験であることを踏まえ、自分の経験を市の仕事の場面に置き換える練習をしておく
まちの物語を語る力市の発信をどこまで自分の言葉にできているか「東の飛鳥」の由来と青龍のロゴを一度自分で調べ、覚えた言葉ではなく感じたことを話せるようにしておく
幅広い担当を引き受ける柔軟さ希望と違う仕事にどう向き合ってきたか一般事務の採用予定が5名程度という規模を前提に、一人で複数の役割を持った経験を一つ用意しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、SCOAの出題範囲とテストセンターの受験手順、PUBLIC CONNECTでの申込の流れを確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、市の人口・面積・位置関係と栃木県全体の見通しから、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 「東の飛鳥」の発信を自分で確かめ、自分の志望する仕事との接点を一文にまとめる
  6. 声に出して練習する。個別面接で一対一の対話が続く前提で、沈黙を怖がらず考えてから話す間合いも試しておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、下野市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

下野市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

下野市役所の想定問答集を見る

さいごに

下野市の採用試験は、公務員の専門的試験を課さず、基礎能力検査と個別面接で人を選ぶ設計です。しかも試験結果は総合順位と得点まで開示されます。

自分がどこで評価され、どこで届かなかったのかを、受けた側が確かめられる試験だということです。だからこそ、準備は暗記ではなく、答えの根拠づくりに時間を使ってください。

宇都宮市と小山市に挟まれた人口6万人ほどのまちが、「東の飛鳥」という旗を掲げて何を伝えようとしているのか。それを自分なりに受け取った言葉で話せたとき、志望動機は他の誰かのものではなくなります。