本記事では、岐阜市職員採用試験の面接対策で必要な、岐阜市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
岐阜市役所の面接試験では、「なぜ岐阜市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。岐阜市は個別面接にあたる口述試験と集団討論試験を同じ第2次試験で課すため、一人で語る場面と、他の受験者と議論する場面の両方で市への理解が試されます。
第1部で人口約39万人の県都の輪郭をつかんだうえで、自分の強みや関心が岐阜市政のどこにつながるのかを探してみてください。
第1部|自治体研究編
岐阜市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは岐阜市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 岐阜県の県庁所在地であり、平成8年に中核市となった市。市公式の「岐阜市の概況」は、産業都市であり観光都市でもある中部地方の主要都市と位置づけています。
- 人口は397,364人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。岐阜県内の市では最も多い人口規模です。
- 市域は203.60km²、人口密度は1,952人/km²。県土の約2%にあたる面積に、岐阜県の人口のおよそ2割が暮らしています。
- 明治22年7月1日の市制施行時は面積10km²・人口25,750人でした。近隣町村との合併を重ね、平成18年1月1日の柳津町との合併で現在の市域になったという経緯があります。
- 隣接するのは大垣市・関市・山県市・本巣市・瑞穂市・羽島市・各務原市と、羽島郡笠松町・岐南町、本巣郡北方町の10自治体。周辺市町と生活圏がつながる位置にあります。
- 65歳以上の割合は29.5%、75歳以上は17.8%で、いずれも岐阜県全体の31.2%・18.5%を下回ります(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
- 令和7年度の職員採用試験(大学卒程度)では、事務職(教養・専門型)の採用予定が45人程度。技術職も電気・機械・土木・建築の4分野で募集がありました。
- 市の花はサルビア、市の木はつぶらじい。市役所は岐阜市司町40番地1に置かれています。
岐阜市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「岐阜市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、年齢構成、周辺自治体との関係など、岐阜市政の輪郭を数字で説明できる項目を整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 397,364人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 203.60km² |
| 人口密度 | 1,952人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 29.5%(岐阜県全体は31.2%) |
| 75歳以上の割合 | 17.8%(岐阜県全体は18.5%) |
| 市制施行 | 明治22年7月1日(当時は面積10km²・人口25,750人) |
| 隣接自治体 | 大垣市・関市・山県市・本巣市・瑞穂市・羽島市・各務原市・笠松町・岐南町・北方町 |
| 市役所所在地 | 岐阜市司町40番地1 |
| 市の花・市の木 | サルビア・つぶらじい |
65歳以上・75歳以上の割合は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値によるもので、この統計における岐阜市の総人口は397,364人です。割合の分母にもこの数値を用いました。並記した岐阜県全体の割合も同じ統計にもとづく値です。総面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花と木は公表値をもとに整理しています。
数字から考えられる市政課題
岐阜市の高齢化率29.5%は、岐阜県全体の31.2%より1.7ポイント低い水準です。ただし、割合が低いことと、対応すべき人数が少ないことは別の話です。
75歳以上の市民は70,684人と、岐阜県内の多くの市の総人口を上回る人数にのぼります(令和8年1月1日現在)(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
介護、保健、交通、住まいのどの分野でも、一つの制度改正が動かす人数の桁が大きくなります。
もう一つの軸が市域の広がりです。203.60km²に約39万人が暮らし、人口密度は1,952人/km²。
その市域の外周は、10の自治体と接しています。通勤・通学・通院・買い物といった生活行動が市境をまたいで日常的に発生するため、岐阜市の施策は市民だけでなく周辺市町の住民の動きにも影響します。
たとえば面接では、次のように数字と課題を結び付けて話せます。
岐阜市の経済・産業
県の経済を支える製造業という土台
岐阜市の経済を語る前に、岐阜県という土台を押さえておくと話がぶれません。
県公式の「岐阜県の概要」によれば、就業者に占める製造業の割合は25.0%で全国順位は6位。全国の割合16.0%を大きく上回ります。
就業者の産業構成比でも第2次産業が32.6%を占め、ものづくりが就業構造の中心にあります(出典:岐阜県の概要)。
県土は約1万621km²で全国第7位の広さがあり、七つの県に囲まれた内陸県です。北部の飛騨地域には標高3000メートルを超える山々が連なり、南部の美濃地域には木曽川・長良川・揖斐川の木曽三川が流れる濃尾平野が広がります。
岐阜市が位置するのはこの濃尾平野の側で、県内でも人と産業の密度が高い地域にあたります。
産業都市であり観光都市でもあるという自己規定
市自身の位置づけは、公式の「岐阜市の概況」に明確に書かれています。中核市への移行以降、産業都市かつ観光都市として中部地方の政治・経済・学術・文化の主要都市に位置づけられているという説明です(出典:岐阜市の概況)。
産業と観光と学術のどれか一つに絞り込んでいないことが、この市の性格を表しています。志望動機で分野を一つ選ぶときも、他の分野との接点を一言添えられると、市の自己認識に沿った説明になります。
県全体で伸びている観光をどう引き寄せるか
令和6年の岐阜県観光入込客統計調査によると、県内の観光入込客数は延べ6,655万7千人、観光消費額は総額4,012億73百万円(前年比31.8%増)で、消費額は過去最高を更新しました。内訳は宿泊客分2,611億83百万円、日帰り客分1,400億90百万円で、外国人延べ宿泊者数は192.9万人です(出典:岐阜県観光入込客統計調査|令和6年)。
ただし同調査で入込客数の伸びが目立った地点は白川郷や高山市街地といった飛騨地域に集まっています。
観光を志望動機にするなら、県全体の数字を借りるのではなく、県都として来訪者をどう受け止め、どこへ回遊させるかという視点まで踏み込みましょう。
岐阜市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、岐阜市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
県全体の人口減少と、県都に集まる需要
岐阜県の推計人口は令和8年4月1日現在で1,879,539人、世帯数は793,615世帯、1世帯当たり平均世帯人員は2.37人です(出典:岐阜県の推計人口|令和8年4月1日現在)。
県の人口問題研究会が令和6年12月にまとめた中間報告は、このまま推移すれば県人口が2050年に137万人まで減り、2020年比で約31%減少すると見込んでいます。減少の内訳は15歳から64歳が47万人減、0歳から14歳が11万人減です。
県内で最も人口の多い市である岐阜市も、この減少局面の外側にはいません。
若い世代の転出超過と、愛知県との距離
同じ中間報告は、県の転出超過が近年、年間6千人に近づいていること、15歳から34歳の転出超過が多いこと、理由としては「職業上」が最多で、転出先は愛知県が最大であることを指摘しています。
若年女性が県外へ出ていく動きを最優先の課題に挙げ、社会減対策で自治体どうしが類似施策を並べて人口を奪い合う状況にも警鐘を鳴らしている点が、この報告の特徴です(出典:岐阜県人口問題研究会 中間報告|令和6年12月)。
名古屋への通勤圏にある県都として、働く場と暮らしやすさをどう組み合わせるかは、岐阜市の志望動機に直結するテーマです。
濃尾平野という地盤の上にある災害リスク
岐阜県の被害想定調査(平成23年度から24年度)では、南海トラフの巨大地震で県内の死者は最大470人、建物全壊35,000棟、避難者161,000人と見込まれています。
県内の想定地震で被害が最も大きいのは養老・桑名・四日市断層帯地震で、死者は最大3,100人、建物全壊68,000棟、避難者は最大241,000人という想定です(出典:岐阜県南海トラフの巨大地震等被害想定調査|平成23年度から24年度)。
加えて、地震調査研究推進本部は濃尾断層帯の関係市町村に岐阜市を挙げています。水害の記録も新しく、平成30年7月豪雨では岐阜市を含む県内16市町村に大雨特別警報が発表されました。
地震と豪雨のどちらでも、約39万人が暮らす市の避難と生活再建を担う立場にあるのが岐阜市役所です。
中核市の事務量を支える人材の確保
令和7年度の採用試験では、事務職(教養・専門型)だけで45人程度、これに電気・機械・土木・建築の技術職4区分が加わる規模で募集がありました。
同じ年度から事務職には専門試験のない「教養型」が新設され、技術職についても「専門試験は実施しません。(特別な公務員試験対策は必要ありません。)」と要綱に明記されています(出典:令和7年度 岐阜市職員採用試験要綱)。
筆記の負担を軽くして応募の間口を広げる方向に、募集の組み立てが動いていることが読み取れます。
志望動機を組み立てるときは、この間口の広さが「誰でもよい」という意味ではなく、筆記の準備量ではない部分で人を見るという意味であることを意識しておきましょう。
重点政策|中核市・岐阜市の政策環境
岐阜市の総合計画や当年度の予算方針は、市公式サイトで最新版を確認するのが確実です。ここでは、その計画を読むときの前提になる枠組みを2つに整理します。中核市という制度上の位置と、県全体の政策環境です。
中核市であることが市政の幅を決めている
岐阜市が中核市になったのは平成8年です。市の概況は、この移行を市の性格を語る要素として最初に挙げています。
制度の細かい仕組みまで覚える必要はありません。面接対策として押さえるべきなのは、県が担う仕事の一部を市が引き受けている分だけ、市職員が関わる分野が広いという点です。
志望する分野が福祉であれ都市基盤であれ、隣の分野との調整が発生しやすい職場だという前提で話を組み立てると、業務理解の解像度が上がります。
県の政策環境という外枠
市の施策は県の動きと無関係ではありません。岐阜県の令和7年度当初予算(一般会計)は9,020億円で、前年度当初の8,861億円から159億円、1.8%の増となりました。
ただしこの年は知事改選期にあたるため「骨格的予算」として編成されています(出典:岐阜県 令和7年度当初予算|令和7年2月)。
県の財政力指数は令和5年度単年度で0.54003です。県が単独で動かせる財源には限りがあり、人口減少対策のように県と市が同じ課題に向かう分野では、役割分担の議論が避けられません。
この構図は、面接の定番質問である「なぜ県庁ではなく市役所なのか」に直接つながります。
POINT|施策名を並べるより、一つを深く追う
岐阜市を語るときに効くのは、頭に入れた事業の数ではなく、中核市として市が引き受けている分野のどこに自分の関心が重なるかです。志望する分野を一つに定めたうえで、同じ課題に県も向き合っているとして、市の側が動くと何が違ってくるのかまで考えてみてください。
悪い例「岐阜市の高齢者福祉に貢献したいです」
改善例「高齢者福祉のなかでも、介護の相談窓口に関心があります。75歳以上の方が7万人を超える規模では、どこに相談すればよいか分からないまま時間が過ぎてしまう方も出てくると思います。ご本人やご家族が最初にたどり着く場所を、わかりやすくする仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
下の4点は、どれも面接の材料になります。志望する分野に近いものから順に目を通してください。
- 最新年度の岐阜市職員採用試験要綱(市公式サイトの職員採用のページから)
- 岐阜市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 岐阜市の概況(市の成り立ちと現在の位置づけがまとまっています)
- 岐阜県人口問題研究会の中間報告(県全体の人口の動きを押さえるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、岐阜市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。岐阜市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
岐阜市役所の面接の概要
ここからは、岐阜市役所の試験の形と質問の全体像を、市が公表した令和7年度の職員採用試験要綱と当研究会の分析にもとづいて整理します。
岐阜市役所の面接の流れ
まず前提の確認です。岐阜市の採用試験を実施しているのは岐阜市行政部人事課であり、岐阜県人事委員会が実施する岐阜県庁の試験とは別の系統です。
同じ「岐阜」を冠するため混同されやすいのですが、試験の構成も申込先も異なります。大学卒程度の試験は2段階で、人物を見る種目は第2次試験の口述試験と集団討論試験の2本立てです。
| 項目 | 内容(令和7年度・大学卒程度) |
|---|---|
| 試験の段階 | 2段階。第1次試験と第2次試験で構成されます |
| 第1次試験(事務職) | 教養試験(40題・2時間)と専門試験(40題・2時間)。専門試験は「教養・専門型」のみで、「教養型」では課されません |
| 第2次試験(事務職) | 論文試験(1時間)、適性検査(約35分)、口述試験、集団討論試験 |
| 面接の種類 | 口述試験は「人物等について個別面接による試験を行います」と規定されています |
| 集団形式 | 集団討論試験があり、「社会性、協調性、指導性等について試験を行います」と規定されています |
| 採用予定人員 | 事務職(教養型)若干名、事務職(教養・専門型)45人程度、技術職は電気5人程度・機械5人程度・土木20人程度・建築10人程度 |
| 技術職の第1次試験 | 基礎能力検査SCOA(1時間)と適性検査(約20分)を、期間中の都合のよい日時にテストセンターで受験する方式 |
| 配点 | 各種目の配点は要綱に記載がありません(非公表) |
| 提出書類 | 申込は岐阜市オンライン申請総合窓口サイトから。別様式の面接カードは要綱に記載がありません |
注目してほしいのは申込フォームの入力項目です。要綱によると、岐阜市を志望する理由が150字、公務員を志望する理由が80字、志望する職務内容が80字、自己PRが200字と、字数を指定して書かせる設計です。
ほかにも、誇れるものまたは大切にしていることとその活かし方を150字、趣味や特技と校内外の活動を50字、その経験を通して学んだことを100字で記入し、志望する分野と具体的な配属先も申告します。
名称こそ面接カードではありませんが、申込の時点で書いた文章が、そのまま口述試験の質問の土台になると考えて準備するのが安全です。字数が細かく区切られているぶん、一つの経験を長さを変えて語り直す練習が効きます。
上記の試験構成は、岐阜市が公表した令和7年度の職員採用試験要綱(令和8年4月採用予定)にもとづく大学卒程度のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。なお試験結果は、第1次・第2次の各試験の不合格者本人に限り、総合得点と順位を発表日から1年間、行政部人事課の窓口で開示請求できるとされています。
岐阜市役所が求める人物像
岐阜市が受験者に向けて言葉にしているのは、要綱の冒頭に掲げられた採用のメッセージです。『岐阜市の笑顔をあなたと創る!』という一文に続けて、市民が幸せを感じるまちと、職員が笑顔でいきいきと働けるまちが並べられています。
そのうえで、「岐阜市が大好き」「岐阜市で大きな挑戦をしてみたい」という熱意にも呼びかけています。市民の幸福と職員の働きやすさを同じ文の中に並べているところに、この市の採用の姿勢が表れています。
なお、試験要綱と採用情報のページを通して見ても、「求める人物像」という見出しで項目立てされた箇条書きは設けられていません。
要綱から確かめられるのはここまでです。以下は、この規模の市役所に共通する話として読んでください。
人口約39万人、周囲を10の自治体に囲まれた中核市では、市役所の内側だけで話が終わる仕事のほうが例外になります。福祉の相談一つとっても、地域の団体、医療機関、周辺市町、県の出先機関が関わります。
だからこそ、限られた予算と人手のなかで関係者を巻き込み、実行できる形まで持っていける人に評価が集まりやすい、と当研究会はみています。
加えて岐阜市は、個別の口述試験と並んで集団討論試験を課しています。自分の考えを述べる力と、他の人の発言を受けて議論を前に進める力の両方を、別々の種目で確かめる設計です。
岐阜市の場合、この話は具体的な事実に結び付きます。75歳以上の市民が7万人を超え、事務職だけで45人程度を採用する組織です。関係者の多い仕事を任される前提で、誰とどう組んで物事を動かしたのかを語れる経験を一つ用意しておくと、口述試験でも集団討論試験でも同じ材料が使えます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。岐阜市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は会場までどのように来られましたか | 答えの中身より、口述試験の冒頭でどれだけ普通に会話ができるか |
| ② 動機・志望 | 岐阜県庁ではなく岐阜市役所を選んだ理由を教えてください | 県と市で担う役割が違うことを踏まえて志望しているか |
| ③ 自己理解 | 申込のときに書いた自己PRを、あらためて口頭で説明してください | 200字にまとめた内容を、その場の言葉で膨らませられるか |
| ④ 経験・行動 | 周囲と意見が食い違ったとき、どう折り合いをつけましたか | 集団討論試験でも見られる、議論のなかでの身の処し方 |
| ⑤ 学業・経歴 | 専門試験のない教養型を選んだ理由は何ですか | 試験区分の選択にも自分なりの判断があるか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望した分野以外に配属されたらどうしますか | 中核市の業務範囲の広さを踏まえた見通しがあるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 県の人口減少について、市の立場からどう考えますか | 県全体の動きを、市の仕事の言葉に置き換えられるか |
ただし、この7つの枠組みは岐阜市に固有のものではありません。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。では、どこで差がつくのか。それが次の「岐阜市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「岐阜市役所ならでは」の質問
県庁所在地の市役所では、1問目の重みが増します。同じ市内に県庁があり、しかも試験は別の主体が実施しているからです。
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「岐阜市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい岐阜市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置づけ | 人口397,364人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で県内の市では最多。平成8年に中核市へ移行し、産業都市かつ観光都市として中部地方の主要都市に位置づけられている | 中核市という言葉を出すだけで終えず、県の仕事の一部を市が担うぶん業務の幅が広い、という自分なりの理解を添えてください |
| 高齢化の実数 | 65歳以上29.5%・75歳以上17.8%で県全体より低いが、75歳以上の実数は70,684人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) | 率と実数を分けて話すのが要点です。率の低さを強みとして述べたうえで、実数の大きさが業務量に直結すると続けましょう |
| 市域の成り立ち | 明治22年7月1日の市制施行時は面積10km²・人口25,750人。合併を重ね、平成18年1月1日の柳津町との合併で203.60km²に | 沿革の暗記ではなく、地区ごとに歴史が違うため一律の施策が届きにくい、という現在の課題へつなげると生きます |
| 県の人口動向との関係 | 県は年6千人規模の転出超過が続き、15歳から34歳の転出が多く、転出先は愛知県が最大。県人口は2050年に137万人へ減る見込み | 県の数字をそのまま述べず、名古屋への通勤圏にある県都として若い世代に何を用意するか、という論点に置き換えてください |
| 防災の想定 | 県の被害想定調査で南海トラフの巨大地震は県内死者最大470人・避難者161,000人。平成30年7月豪雨では岐阜市を含む16市町村に大雨特別警報 | 地震と豪雨のどちらかに絞って話すほうが深くなります。約39万人が暮らす市の避難をどう回すかという運営の視点で述べましょう |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。岐阜市の場合、口述試験と集団討論試験で見られる面が分かれる点も意識しておきましょう。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 議論を前に進める力 | 集団討論試験で、社会性・協調性・指導性がどう表れるか | 結論を出す役だけが評価されるわけではありません。人の意見を整理して次の論点を出した経験を、一つ思い出しておいてください |
| 関係者を巻き込む力 | 口述試験で、自分ひとりで完結しない場面をどう動かしたかを問われたとき | 市役所の中だけでは完結しない仕事です。学校や職場で外部の相手と段取りをつけた経験を、相手の立場ごとに分けて話せるようにしましょう |
| 書いた内容を語り直せるか | 申込フォームに書いた150字の志望理由や200字の自己PRを起点にした深掘り | 提出した文章を印刷し、各項目について「なぜそう書いたか」を口頭で3分説明する練習をしておくと、口述試験はその延長で対応できます |
なお、公務員の個別面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の岐阜市職員採用試験要綱を読み、事務職の「教養型」と「教養・専門型」のどちらで受けるかを決める
- オンライン申請の入力項目を書き出し、志望理由150字・自己PR200字などを下書きしてから申込む
- 高校・大学生活の経験を棚卸しし、学業・課外活動・アルバイトから話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 「岐阜市ならでは」の質問の材料を上の対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 集団討論試験に備えて、賛否の分かれるテーマで自分の考えを述べ、人の意見を受けて言い直す練習を重ねる
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、岐阜市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
岐阜市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
岐阜市の試験は、配点が公表されていない分、どの種目にどれだけ力を入れるべきかを自分で決めなければなりません。ただ、第2次試験に口述試験と集団討論試験が並んでいるという事実は、人物を見る場面が二つ用意されているということでもあります。
まずは、申込のときに書いた150字と200字を、口に出して語り直せる状態にしておくこと。
そのうえで、人の意見を受けて自分の考えを言い直す練習まで進めておけば、口述試験と集団討論試験のどちらにも同じ土台で臨めます。