本記事では、水戸市職員採用試験の面接対策で必要な、水戸市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

水戸市役所の面接試験では、「なぜ水戸市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県庁所在地である水戸市では、県の仕事と市の仕事の違いをどう説明するかが、そのまま志望度の説明にもなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と水戸市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

水戸市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは水戸市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 茨城県の県庁所在地であり、人口266,703人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積217.32km²の市である。
  • 人口密度は1,227人/km²で、茨城県全体の463.3人/km²(令和5年10月1日現在)の2.6倍を超える。県内でも人と機能が濃く集まっている場所だといえる。
  • 隣接するのはひたちなか市・笠間市・那珂市と、東茨城郡の城里町・大洗町・茨城町。県央地域の中心に位置している。
  • 市の花はハギ、市の木はウメで、いずれも1991年4月1日に制定された。
  • 市役所は〒310-8610 水戸市中央一丁目4番1号に置かれている(団体コード08201-5)。
  • 職員採用では、過去の職員採用試験問題(論文・作文・集団討論)を市公式サイトで公表している。受験者が事前に出題の水準を確かめられる、数少ない自治体のひとつである。
  • 茨城県全体の人口はおよそ279万人で、県人口のおよそ1割が、この水戸市で暮らしている計算になる。

水戸市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「水戸市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の規模を測るときの比較先として、茨城県全体の数値もあわせて載せています。

項目内容
総人口266,703人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積217.32km²
人口密度1,227人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体ひたちなか市、笠間市、那珂市、東茨城郡城里町、大洗町、茨城町
市役所所在地〒310-8610 茨城県水戸市中央一丁目4番1号
市の花・市の木ハギ・ウメ(いずれも1991年4月1日制定)
(参考)茨城県の総人口2,791,207人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報集計)
(参考)茨城県の人口密度463.3人/km²(令和5年10月1日現在・全国第12位)
(参考)茨城県の高齢化率31.2%(令和7年9月15日現在・推計値)

水戸市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。茨城県の総人口・人口密度・高齢化率は茨城県公式サイトの統計による数値です。市の統計の最新値は、水戸市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

水戸市の26万6千人という人口は、県全体と並べてはじめて意味を持ちます。茨城県の総人口は令和7年10月1日現在で2,791,207人となり、前回調査から75,802人(2.6%)減りました(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|茨城県

時点は異なりますが、県民のおよそ10人に1人が水戸市民という規模感です。

県全体の減り方の中身も見ておきましょう。令和6年の1年間で、県全体では出生14,556人に対し死亡38,951人と24,395人の自然減でしたが、転入125,457人に対し転出118,116人と7,341人の転入超過でもありました(出典:茨城県の人口(年報)|令和6年

生まれる人より亡くなる人が大きく上回る一方、県外から移り住む人が出ていく人を上回っている構図です。人口密度が県平均の2.6倍を超える水戸市は、その転入の受け皿になりやすい場所でもあります。

県都という位置づけを面接で語るなら、たとえばこんな述べ方になります。

「水戸市は人口が26万人ほどで、茨城県民のおよそ10人に1人が暮らすまちだと知りました。人口密度も県全体の2倍以上ありますので、県内から人が集まってくる場所なのだと思います。県全体では出ていく人より移り住む人のほうが多いと聞きましたので、その方たちに住み続けてもらえる住まいや子育ての環境を整えることが、県都の役割なのではと感じています」

水戸市の経済・産業

全国有数の農業県にある県都

水戸市の産業を考えるときは、まず市が属する茨城県の姿を押さえておくと位置づけが見えてきます。茨城県の農業産出額は5,494億円で全国第3位(2024年)。

2017年から8年連続で3位を保ち、生産農業所得2,002億円は全国第2位です。内訳は園芸2,629億円(48%)、米1,399億円(26%)、畜産1,286億円(23%)と続きます(出典:茨城県の農業産出額|令和6年

全国有数の農業県の中で、行政や商業の機能が集まる場所が県都・水戸市だという構図です。

農業県の県都という組み合わせは、志望動機の作り方にも関わってきます。県都の市役所というと都市計画や商業振興ばかりを思い浮かべがちですが、県全体を支える一次産業の出口として、流通や加工、消費の場が集まっているのも、この市が担っている機能だからです。

園芸がほぼ半分を占めるという内訳を知っていれば、「農業」とひとくくりにせず、野菜や果樹をどう売り、どう食べてもらうかという話にまで進めます。市の仕事と県の農政の違いを聞かれたときにも、この視点は効きます。

人が集まる場所としての機能

人口密度1,227人/km²という数字は、茨城県全体の463.3人/km²と比べると2.6倍を超えます(出典:指標から見た茨城|令和5年。人が濃く集まる場所には商業や医療、教育、交通の機能が集まり、周辺の市町からも人が流れ込みます。

つまり水戸市の商圏は、26万6千人という市民の数だけで測れる大きさではないということです。市の産業振興は、市内で商売を続ける事業者を支える仕事と、外から訪れる人にどう使ってもらうかを考える仕事の、二つの顔を持つことになります。

観光と交流人口

令和6年の茨城県の観光入込客数は延べ約6,180万人(前年比101.2%)、実人数では約3,777万人(前年比110.1%)で、このうち日帰り観光客が82.1%を占めます。観光消費額は約4,447億円で、前年より約24%増えました(出典:茨城県観光客動態調査|令和6年

人数の伸びより消費額の伸びが大きい点に注目してください。日帰りが中心の県で消費額が伸びたということは、訪れた人の使い方が変わってきたことを意味します。

ただし、日帰りが8割ということは、来訪者の多くがその日のうちに帰っていくということでもあります。人と機能が集まる水戸市は、その通り道になりやすい場所です。観光で問われるのは、来訪者の数そのものよりも、立ち寄った人に市内でどれだけ時間とお金を使ってもらえるかという点です。

水戸市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、県都・水戸市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と、転入で支えられている構造

県人口は5年間で75,802人減りましたが、直近1年で見ると、県外から移り住む人が出ていく人を7,341人上回っています。県全体の人口減少は、県外からの転入によっていくらか和らげられている状態です。

だとすれば、その転入者がどこに住むかによって、市町村ごとの明暗は分かれます。県内で最も人口が密集する水戸市にとっては、住まいの確保や保育の受け入れ枠、転入手続きの窓口といった、移り住む人が最初に触れる場面の使い勝手が、そのまま選ばれ続けられるかどうかに関わってきます。

人口減少というテーマで差がつくのは、県全体の数字をどれだけ挙げられるかではなく、その中で市が打てる手をどこまで具体的に描けるかです。

3人に1人が65歳以上という県で、市はどこを見るか

茨城県の65歳以上人口は852,737人、県人口に占める割合は31.2%で、いずれも過去最高を更新しました(令和7年9月15日現在の推計値)(出典:茨城県の高齢者人口|令和7年9月

県民のおよそ3人に1人が65歳以上という水準です。医療機関や介護の事業所が集まる都市部では、周辺市町から通ってくる高齢の住民も含めて需要が集中します。

市域の中でも、古くから市街地だった地区と新しく開発された住宅地とでは高齢化の進み方が違うため、同じ市内でも施策の当て方を変える必要が出てきます。

世帯の小さくなり方

県全体の推計人口は令和7年1月1日現在で2,806,403人と対前年17,054人減った一方、世帯数は1,241,214世帯と対前年13,702世帯増えました。人口は減っているのに世帯は増えているという動きです。

1世帯あたりの人数が小さくなり、単身や2人だけの世帯が増えていることを意味します。ごみの出し方から見守り、災害時の避難支援まで、行政サービスの単位が「家族」から「一人ひとり」へ寄っていく変化で、窓口の仕事にも直接影響します。

大規模地震への備え

茨城県地震被害想定調査報告書(平成30年12月公表)は、3つのタイプの地震を想定しています。県北部に被害が集中する「F1断層などの連動による地震」では死者330人・建物全壊焼失11,000棟(夏12時)と、想定3地震の中で最大の被害が見込まれます。

県南部に大きな被害をもたらす「茨城県南部の地震」は死者90人から180人・建物全壊焼失3,400棟、「茨城県沖から房総半島沖にかけての地震」は死者50人・建物全壊焼失9,500棟で、沿岸部全域に津波被害が想定されています(出典:茨城県地震被害想定調査報告書の概要|平成30年

死者の内訳は揺れによる建物倒壊がほとんどとされ、住宅の耐震化が被害の分かれ目になります。

ここで押さえておきたいのは、3つの想定はいずれも県全体を見渡した数字であり、被害が集中する場所もそれぞれ違うという点です。県央地域の中心にある水戸市に引き寄せて考えれば、まず備えるべきは揺れそのものと、人口が密集する市街地で避難者の受け入れ先をどう確保するかになります。

昼間に市外から多くの人が入っている時間帯に発災すれば、市民ではない人の帰宅や滞留にも目を配らなければなりません。どの想定が自分の受験する市に効いてくるのかを選び取れて、はじめて自分の言葉になります。

都市機能が集まることの裏側

人口密度が県平均の2.6倍を超えるということは、市役所が向き合う相手が市民だけではないということでもあります。買い物や通院、通学、通勤で市内に入ってくる人の分まで、道路も駐車場も公共交通も想定しなければなりません。

中心部の施設は利用者が多い分だけ傷むのも早く、更新の費用は市の負担になります。周辺市町の暮らしまで背負う中心地であることが、そのまま財政と人手の重さになるという構造です。

面接で「県都の役割」を語るなら、恵まれた立地としてだけでなく、引き受けている負担の側にも触れられると説得力が増します。

水戸市の重点政策|第3次茨城県総合計画と水戸市

県都の計画は情報量が多く、改訂の影響も広く及びます。水戸市の総合計画と、年度ごとに出される方針は、公式サイトの現行版に当たってください。読むのは、市政の背景にある茨城県の計画と、水戸市が職員像として公表している目標の2つです。

第3次茨城県総合計画が掲げる基本理念

県の最上位計画は、計画期間を令和8年度から11年度とする第3次茨城県総合計画(〜「新しい茨城」への挑戦〜)です。

基本理念に「活力があり、県民が日本一幸せな県」を掲げ、加速する人口減少や超高齢社会への対応、大規模災害リスクへの対応、飛躍的に進化するデジタル技術がもたらす社会変革といった時代の変化を、「新しい茨城」づくりに向けて留意すべき重要な視点として整理しています(出典:第3次茨城県総合計画|令和8〜11年度

激動する国際情勢や気候変動による影響の拡大、人工知能の飛躍的な進化も、県を取り巻く環境の変化として明記されています。

これは県の計画であって、水戸市の計画ではありません。県庁所在地であるだけに、県と市の計画を混同したまま志望動機を語ってしまう受験者は少なくありません。市の総合計画を読むときは、県が挙げた環境変化のうち、市がどれを自分の仕事として先に引き受けようとしているかという目線で読み分けてください。

目標とする水戸市職員像

水戸市は、人材育成の方針の中で「目標とする水戸市職員像」を5つ掲げています。面接での評価軸を考えるうえで、これ以上に確かな手がかりはありません。

  • 成長・進化志向
    知識と能力を高めるため、自ら意欲的に学び成長し続ける職員
  • 倫理・奉仕志向
    高い倫理観とおもてなしの心を持って行動する職員
  • 創造・挑戦志向
    先見性と創造性を持って、チャレンジし続ける職員
  • 共感・協働志向
    市民の立場に立って考え、市民と協働する職員
  • 経営・発信志向
    経営感覚と情報・魅力発信力を備えた職員

上記は水戸市人材育成基本方針第3次(平成28年3月改定)にもとづくものです(出典:目標とする水戸市職員像|水戸市。方針は改定されることがあるため、受験の際は最新版をご確認ください。

POINT|5つの職員像は、志望動機の採点表として使う

5つを暗記して面接で言い返す必要はありません。使い方は逆で、自分が用意した志望動機と自己PRを、この5つに照らして点検します。「共感・協働志向」に当たる話はあるか、「創造・挑戦志向」に当たる経験はどれか、と当てはめていくと、話の偏りが見えてきます。

悪い例「市民に寄り添える職員になりたいです」

改善例「窓口で市民の方の話を最後まで聞くところから始めたいです。その上で、水戸市には県内のおよそ10人に1人が暮らしていて、周りの市や町から通ってくる方も多いと思いますので、市民以外の方にも分かりやすい案内のしかたを工夫していきたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 水戸市職員採用試験の実施案内(受験する年度・実施回・職種のもの)
  • 水戸市が公表している過去の職員採用試験問題(論文・作文・集団討論)
  • 水戸市人材育成基本方針(目標とする水戸市職員像の出どころ)
  • 水戸市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • 第3次茨城県総合計画、茨城県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、水戸市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。水戸市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

水戸市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

水戸市役所の面接の概要

ここからは、水戸市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

水戸市役所の面接の流れ

令和8年度の後期試験は3次試験制と公表されています。ここで受験生が必ず押さえるべきなのは、第1次試験の扱いです。

水戸市は第1次試験をテストセンター方式で実施したうえで、第1次試験の点数は第2次試験に持ち越さず、最終合格者は主に人物性をみる第2次試験と最終試験の結果によって決定すると公表しています(参考:水戸市職員採用試験(後期)の実施案内|令和8年度筆記で稼いだ得点差が最後まで効き続ける試験ではない、ということです。

項目内容(令和8年度後期・市公式サイトの公表内容)
試験の段階3次試験制
第1次試験テストセンター方式。その点数は第2次試験に持ち越されません
合否の決まり方最終合格者は、主に人物性をみる第2次試験の結果および最終試験の結果によって決定
面接の回数人物重視の採用とするため、事務(高卒程度)と消防(高卒程度)では個別面接を複数回実施
募集職種(後期)事務(高卒程度)、土木(高卒程度・大卒程度・大学3年生)、建築(大卒程度・大学3年生)、保健師、保育士・幼稚園教諭、消防(高卒程度)、事務(障害のある方)
公表されている過去問題過去の職員採用試験問題(論文・作文・集団討論)を市公式サイトで公表
配点・提出書類配点や満点は公表資料の本文では確認できません。提出書類も、消防職の最終試験で必要とされる身体検査票を除き確認できません

上記は水戸市公式サイトで確認できる令和8年度後期の実施案内等にもとづくものです。水戸市の採用試験は年度内に複数回に分かれて実施されており、実施回や職種によって試験方法が異なります。「個別面接を複数回」と明記されているのは事務(高卒程度)と消防(高卒程度)です。受験の際は、必ずご自身の年度・実施回・職種の最新の実施案内をご確認ください。

個別面接を複数回行う試験では、1回目で人物の基礎を幅広く確認し、最終面接で志望度と考えの深さを確かめるのが一般的な役割分担です。同じテーマを別の面接官から角度を変えて問われる前提で、暗記した答えの再生ではなく、掘り下げに耐える準備をしておきましょう。

なお、水戸市が公表している過去問題に論文・作文・集団討論が含まれていることからは、筆記や集団の場での発言も評価の対象になってきたことがうかがえます。志望する職種の実施案内で、どの種目が課されるかを必ず確認してください。

水戸市役所が求める人物像

水戸市の場合、この項目は推測に頼る必要がありません。第1部で見た「目標とする水戸市職員像」の5項目が、そのまま評価の軸として使えるからです。

5つを面接の準備という物差しで読み直すと、「市民の立場に立って考える力」「自ら学び続ける姿勢」「前例のない場面で動ける挑戦心」が中心に据えられていることが分かります。

加えて「経営感覚と情報・魅力発信力」が挙がっている点は、県都として外に向けて発信する役割を市が意識していることの表れです。自己PRは「協調性があります」で終えず、その力を出して何をやり切り、まわりに何が起きたのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。水戸市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか不意の一言に自然に返せるか。素の表情と受け答えのトーン
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択が自分の経験とつながっているか
③ 自己理解あなたの短所は何ですか自分を客観視できているか。短所との付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動チームで成果を出した経験を教えてください成果の大きさではなく、その中で自分が担った役割の中身
⑤ 学業・経歴力を入れて学んだことを説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか市の仕事への理解の解像度と、配属が希望どおりでない場合の受け止め方
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか

ただし、この7カテゴリーは水戸市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「水戸市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「水戸市役所ならでは」の質問

「なぜ茨城県庁ではなく、水戸市役所なのですか」
「水戸市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

とくに1問目は、県庁所在地である水戸市では他の市よりも重みを持ちます。県庁と市役所が同じまちにあり、併願する受験者も多いからです。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「水戸市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい水戸市の事実答え方のヒント
市の規模と位置人口266,703人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積217.32km²、人口密度1,227人/km²。ひたちなか市、笠間市、那珂市、城里町、大洗町、茨城町に囲まれた県央の中心「県庁所在地だから」で止めず、周りの5市町から人が通ってくる中心地としての機能を、自分の志望分野に引き寄せて話します
なぜ県庁ではなく市役所か県は第3次茨城県総合計画(令和8〜11年度)で県全体の方向を示し、市は中央一丁目の本庁舎で住民登録から福祉、消防までの実務を担う同じまちに県庁がある環境をあえて正面から取り上げ、住民の顔が見える距離で働きたい理由を自分の経験に結び付けます
試験が人物を重視する理由第1次試験の点数は第2次試験に持ち越されず、最終合格は主に人物性をみる第2次試験と最終試験の結果で決まると公表されているこの仕組みを知っていること自体は言わなくてよく、面接で語る材料の厚みで示します。準備量が結果に直結する試験だと理解して臨みます
市が掲げる職員像目標とする水戸市職員像は成長・進化志向、倫理・奉仕志向、創造・挑戦志向、共感・協働志向、経営・発信志向の5項目5つを並べて答えるのではなく、自分の経験が最も当てはまる1つを選び、その職員像の言葉で自己PRを言い直します
県全体の人口動向令和7年国勢調査の速報集計による県人口は2,791,207人で、前回から75,802人の減少。令和6年の1年間では出生14,556人に対し死亡38,951人で、転入超過は7,341人県人口のおよそ1割を占める市として、転入してくる人に選ばれ続けるために何が要るかという問いへ変換します

使い方のコツは、表の全部に手を広げないことです。自分の志望分野に近い行を1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。一度この形にしておけば、志望動機を聞かれても市の課題を聞かれても、同じ材料から答えを出せます。

想定される評価の観点

面接は、前述の「目標とする水戸市職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
共感・協働志向立場の違う人と一緒に何かを進めた経験があるか市が掲げる「市民の立場に立って考え、市民と協働する職員」という言葉に自分の経験を当てはめ、誰とどう組んだかを具体的に言えるようにする
創造・挑戦志向前例のない場面で、自分なりのやり方を試したことがあるか「先見性と創造性を持って、チャレンジし続ける職員」という職員像に照らし、うまくいかなかった試みも含めて話せる題材を選ぶ
成長・進化志向学びを続けるための習慣があるか個別面接が複数回ある職種があることを踏まえ、同じ経験を別の角度から聞かれても答えが崩れないよう、学びの動機まで掘り下げておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。水戸市は職種によって個別面接が複数回設けられる分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する年度・実施回・職種の実施案内を読み、試験の段階と種目、申込方法を確認する(前期と後期で内容が異なります)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 市が公表している過去の採用試験問題に目を通し、論文・作文・集団討論で問われてきたテーマの水準を体感しておく
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、目標とする水戸市職員像の5項目に当てはめて偏りを点検する
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、水戸市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

水戸市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

水戸市役所の想定問答集を見る

さいごに

水戸市の採用試験では、第1次試験の点数が第2次試験に持ち越されず、最終合格は主に人物性をみる二つの段階で決まると公表されています。つまり、筆記を突破した時点で全員が同じ位置に並び直すということです。

そこから先で差をつける材料は、目標とする水戸市職員像の5項目に照らして自分の経験をどれだけ言葉にできているか、そして県民のおよそ10人に1人が暮らす県都で何をしたいのかを、どこまで具体的に描けているかに尽きます。

市が過去の採用試験問題を公表しているのは、水準を知ったうえで臨んでほしいという姿勢の表れでもあります。使える材料はすべて使って、本番に臨んでください。