本記事では、たつの市職員採用試験の面接対策で必要な、たつの市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

たつの市役所の面接試験では、「なぜたつの市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情を押さえておけば、一般論に流れず、たつの市の話として答えを組み立てられます。

以下は、事務職を中心に、たつの市が公表している採用試験の実施状況と採用情報のページをもとに整理した内容です。自分の強みや関心とたつの市政の接点を探しながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

たつの市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずはたつの市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 兵庫県南西部の西播磨に位置する市。人口は71,448人(令和8年1月1日現在)で、市域は210.87km²。
  • 醤油・手延素麺・皮革という3つの地場産業を持つ。播磨平野の小麦、良質の大豆、赤穂の塩、揖保川の水に恵まれて育まれてきた。
  • 3つのうち皮革について、市は全国有数の生産高を誇ると紹介している。
  • 宍粟市・相生市・姫路市・佐用町・上郡町・太子町の6市町と接する。
  • 高齢化率は32.5%で、兵庫県全体の29.5%を上回る(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口による)。
  • 自主防災組織の組織率は87.2%(令和6年4月1日現在)で、県平均の98.4%を下回っている。
  • 市は正規職員の採用について、「意欲・情熱・ふるさと愛のある人材を広く募集しています」と公表している。
  • 「事務職(ファミリーUターン者)」という独自の採用区分があり、申込時にUターン申告書の添付が求められる。
  • 市の花は桜、市の木は梅。

たつの市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「たつの市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

人口と年齢の構成に加えて、市域の広さと、接している市町を並べます。

項目内容
総人口71,448人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口23,216人(32.5%。兵庫県全体は29.5%)
75歳以上人口13,612人(19.1%。兵庫県全体は17.6%)
総面積210.87km²
人口密度約339人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体宍粟市・相生市・姫路市・佐用郡佐用町・赤穂郡上郡町・揖保郡太子町
市の花・木桜(花)・梅(木)

総人口・年齢別人口・高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。県全体の数値も同じ調査の兵庫県の値を並べています。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。兵庫県が公表する国勢調査を基礎とした推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と並べて増減を計算しないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

たつの市の高齢化率32.5%は、兵庫県全体の29.5%を3ポイント上回ります。75歳以上の割合は19.1%で、こちらも県全体の17.6%より高い水準です(令和8年1月1日現在)。

人口7万人台という規模は、県内では中位にあたりますが、面積210.87km²の市域に人口が散らばっている構造のため、公共施設の配置や移動の確保では、都市部の市とは違う判断が求められます。

県全体でも人口減少は続いています。兵庫県の令和8年5月中の人口は自然増減で2,290人、社会増減で493人減り、県内10地域すべてで減少しました。

数字の出どころが国勢調査を基礎とした県の推計であることには注意が必要で、上の表の住民基本台帳人口とは別系列です。面接で市の現状を語るなら、次のような組み立てができます。(出典:兵庫県推計人口|令和8年6月)

「たつの市は人口7万人ほどのまちで、65歳以上の方が3割を超えていると知りました。市の面積が広いので、住んでいる場所によって暮らしやすさに差が出ないようにする仕事に関わっていきたいと考えています」

たつの市の経済・産業

兵庫県経済のなかでの位置

  • 兵庫県内総生産(名目)は23兆9,895億円(令和5年度・前年度比2.7%増)で、名目・実質とも3年連続の増加。
  • 兵庫県民総所得(名目)は25兆4,318億円(前年度比1.7%増)。
  • 県は「ものづくり産業の集積、世界有数の科学技術基盤、気候風土に恵まれた多彩な食材と食文化、国際性豊かな地域社会」を強みに挙げている。
  • たつの市の産業は、この「多彩な食材と食文化」と「ものづくり」の両方にまたがっている。

つまり、食とものづくりの両方に足場を持つ産地であることが、たつの市の経済の輪郭です。産業振興や雇用の話題では、この二重性を意識して話すと厚みが出ます。(出典:兵庫県民経済計算|令和5年度)

醤油と手延素麺

たつの市の地場産業は、醤油・手延素麺・皮革の3つです。市はその成り立ちを、播磨平野の小麦、良質の大豆、赤穂の塩、揖保川の水に恵まれた土地の条件から説明しています。

原料と水という自然条件が産業の形を決め、それが数百年にわたって受け継がれてきた地域だということです。

食品産業は、原料価格や物流費の変動、後継者の確保といった課題を抱えやすい分野でもあります。産地の名前を知っているというところで止めず、今その産業が何に困っているかまで調べておくと、志望動機の説得力が変わります。(出典:たつの市の地場産業|市公式)

皮革産業

もう一つの柱が皮革です。市は地場産業を紹介するページで、皮革産業は全国有数の生産高を誇ると記しています。

革は原皮の輸入価格や為替の影響を受けやすく、なめし工程では環境対策も欠かせません。市役所の仕事としては、産業振興の支援だけでなく、環境部門や都市計画の部門でも関わりが生まれる分野です。

ひとつの産業が複数の部署にまたがるという視点は、志望する分野を語るときにも効いてきます。

観光と交流人口

令和5年度の兵庫県の観光入込客数は1億2,232万人(前年度比106.8%)で、うち日帰り客が1億1,085万人と全体の90.6%を占めます。目的別ではスポーツ・レクリエーションが3,549万人で最も多く、歴史・文化が2,724万人と続きます。

歴史・文化を目的とする来訪が県内で2番目に大きい流れであることは、歴史や地場産業に触れられる資源を持つ地域にとって追い風になり得ます。ただし日帰りへの偏りが大きいため、訪れた人の消費をどう地元に落とすかが共通の課題です。(出典:兵庫県観光客動態調査報告書|令和5年度)

たつの市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、たつの市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少と高齢化

兵庫県では2011年以降、東京圏や大阪府への転出超過が続いています。20歳代の転出超過が大きい一方、0〜14歳と30〜39歳のファミリー層では転入超過が拡大しているという二つの流れがあります(令和5年7月時点の県資料)。

県の将来推計人口では、2050年に人口は423万人(2015年比24%減)まで減り、65歳以上が4割、4人に1人が75歳以上になると見込まれています。

高齢化率32.5%のたつの市にとって、若い世代が一度は市外へ出ることを前提に、戻る選択肢をどう用意するかは中心的な論点です。市が独自にUターン者向けの採用区分を設けていることも、この文脈で理解できます。(出典:兵庫県 現状と課題の整理|令和5年7月)

大規模地震への備えと地域防災力

兵庫県の南海トラフ巨大地震・津波被害想定(県独自・平成26年6月)では、淡路地域の一部で最大震度7、神戸市・阪神・播磨地域の広範囲で最大震度6強が想定されています。

この想定での死者は最大時(夏の昼間12時発災)で約29,100人、そのうち約96%が津波によるものです。建物全壊は最大時(冬の夕方18時発災)で約38,500棟、避難所生活者はピーク時で約16万8,700人(夏の昼間12時)と見込まれています。(出典:南海トラフ巨大地震・津波被害想定|平成26年)

あわせて押さえたいのが、地域側の備えの状況です。たつの市の自主防災組織は213組織、組織率は87.2%(令和6年4月1日現在)で、県平均の98.4%を10ポイント以上下回っています。

県の年報が県平均を下回る市として挙げているのは、たつの市を含む6市です。県全体でも消防団員は38,016人と減少が続き、条例定数に対して4,193人不足しています。

組織率という数字は、地域で助け合う仕組みがどこまで行き渡っているかを映すものです。防災を志望動機にするなら、この一点を知っているだけで話の具体性が変わります。(出典:兵庫県消防防災年報|令和6年版)

広い市域での移動手段

兵庫県では公共交通空白地域が可住地面積の23.4%を占め、そこに住む人は県人口の3.1%(約16万9,638人)にのぼります。空白地域は淡路地域や播磨地域の内陸部に多いとされています(令和5年7月時点の県資料)。

210.87km²の市域に7万人余りが暮らすたつの市では、市街地と山あいの集落とで暮らしの条件が異なります。高齢化率が3割を超えるなかで、通院と買い物の足をどう確保するかは、交通の部署だけでは完結しない課題です。

専門人材の確保

この課題は、市が公表している採用試験の実施状況にそのまま表れています。令和5年度実施(令和6年4月1日採用)の試験では、技術職(土木)が大卒・民間企業等職務経験者ともに申込者0人となり、保健師と学芸員も当初実施分は申込者0人で、追加の実施が行われました。

道路や上下水道を支える技術職、健康づくりを担う保健師、文化財を守る学芸員は、いずれも代わりのききにくい仕事です。

人が採れない状態が続けば、市民サービスの質にじわじわと影響が出ます。事務職として入る人にとっても、限られた専門職の力をどこに向けるかを一緒に考える場面が出てくるはずです。(出典:たつの市 職員採用試験実施状況|令和5年度)

たつの市の重点政策|採用区分が映すもの

たつの市が何に力を入れようとしているかは、市がどんな採用区分を用意しているかにも表れます。令和5年度実施の職種区分は、事務職(A)・事務職(B)・技術職(土木)・保健師・司書・学芸員・保育教諭・文化財担当職員に加え、民間企業等職務経験者とファミリーUターン者という枠まで並びます。人口7万人台の市で、これだけ細かく区分を分けているという事実は、市が守ろうとしている分野の広さを示しています。(出典:たつの市 職員採用試験実施状況|令和5年度)

Uターンという発想

市が公表しているのは区分の一覧までです。その並びが何を意味するかを、ここでは一歩踏み込んで考えます。注目したいのは、「事務職(ファミリーUターン者)」という区分をわざわざ設けている点です。申込時にはUターン申告書の添付が求められます。20歳代の転出超過が県全体の課題であるなかで、一度市外へ出た人が戻る道筋を採用制度そのものに組み込んでいるわけです。司書・学芸員・文化財担当職員といった枠が並ぶことも、地場産業と文化財を抱える市の姿勢と重なって見えます。総合計画をはじめとする市の計画は市公式サイトで公表されていますので、関心のある分野を決めてから読むと頭に入りやすくなります。(出典:たつの市 採用試験情報|市公式)

POINT|事業名を並べるより、線を一本つくる

計画に載っている事業名を暗記しても、面接では強みになりません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな事業があるか → ④市役所だからこそ担える役割は何か → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順に調べていきましょう。

悪い例「地場産業を生かしたまちづくりに関わりたいです」

改善例「たつの市は醤油やそうめん、革といった産業が今も続いているまちだと知りました。作り手の高齢化は進んでいると思いますので、若い人が仕事として選べるように、販路や働く環境を整える取り組みに関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

面接で使う材料は、次の資料から拾えます。たつの市は募集の時期に受験案内を公表しますので、採用試験情報のページは折を見て確認してください。

  • たつの市の正規職員の採用・採用試験情報のページ(受験案内と申込方法が示されます)
  • たつの市の職員採用試験実施状況(区分ごとの申込者数・合格者数が公表されています)
  • たつの市の総合計画(市公式サイトで公表されています)
  • 地場産業や文化財など、関心のある分野の市公式サイトの紹介ページ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、たつの市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。たつの市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

たつの市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

たつの市役所の面接の概要

ここからは、たつの市が公表している採用情報と試験の実施状況をもとに、面接の位置づけと備え方を整理していきます。

たつの市役所の選考の流れ

令和5年度実施(令和6年4月1日採用)の職員採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われました。事務職は専門試験のある(A)区分と、専門試験のない(B)区分に分かれており、両区分あわせて採用予定は6人程度でした。受験の申込みは、原則として市の申込専用サイトからのインターネット申込に一本化されています。

項目内容
試験の段階(令和5年度実施)第1次試験→第2次試験の2段階。当初実施分のあとに追加実施も行われました
事務職の区分事務職(A)は専門試験あり、事務職(B)は専門試験なし。令和5年度実施では両区分あわせて採用予定6人程度
独自の区分事務職(ファミリーUターン者)。申込時にUターン申告書の添付が必要です
申込方法原則として、市の申込専用サイトからのインターネット申込
面接の形式個別面接か集団面接か、集団討論があるかどうかを含め、募集の時期に公表される受験案内でご確認ください
配点公表されていません。募集時の受験案内でご確認ください
令和5年度実施・事務職(A)(専門試験あり)申込者9人/第1次試験受験者6人・第1次試験合格者3人/第2次試験受験者3人・第2次試験合格者1人/最終採用者1人
令和5年度実施・事務職(B)(専門試験なし)申込者38人/第1次試験受験者25人・第1次試験合格者12人/第2次試験受験者12人・第2次試験合格者8人/最終採用者8人
令和5年度実施・事務職(民間企業等職務経験者)採用予定3人程度/申込者19人・第1次試験受験者16人・第1次試験合格者5人・第2次試験受験者5人・第2次試験合格者3人・最終採用者2人
令和5年度実施・事務職(ファミリーUターン者)申込者3人/第1次試験受験者3人・第1次試験合格者1人・第2次試験受験者1人・第2次試験合格者1人・最終採用者1人
令和5年度実施・その他の職種技術職(土木)、保健師、司書、学芸員、保育教諭、文化財担当職員などの区分があります。技術職(土木)は大卒・民間企業等職務経験者とも申込者0人、保健師・学芸員も当初実施分は申込者0人でした

この表から読み取れることは二つあります。ひとつは、専門試験の有無で集まる人数がまったく違うという点です。事務職(A)の申込者が9人だったのに対し、事務職(B)には38人が申し込んでいます。もうひとつは、第2次試験の重みです。事務職(B)では第2次試験の合格者8人がそのまま最終採用者8人となっており、第2次試験を越えられるかどうかが結果を分けています。第1次試験を通った人はほぼ全員が第2次試験を受けていますから、面接を含む後半の準備を後回しにする余裕はありません。

上記は、たつの市が公表している令和5年度実施(令和6年4月1日採用)の職員採用試験実施状況と、市の採用試験情報のページにもとづく内容です。面接の形式と配点は、募集の時期に公表される受験案内でご確認ください。試験の構成・区分・実施回数は年度によって異なりますので、受験の際はたつの市の採用試験情報のページで最新の内容をご確認ください。

たつの市が求める人物像

たつの市は正規職員の採用について、「魅力溢れる元気なまちづくりを目指して、意欲・情熱・ふるさと愛のある人材を広く募集しています」と公表しています。短い一文ですが、受験者に向けたメッセージとしては十分に具体的です。(出典:たつの市 正規職員の採用|市公式)

面接対策の言葉に翻訳すれば、意欲は「自分から動いた事実」、情熱は「うまくいかない時期を越えた事実」、ふるさと愛は「その土地に関わり続けた事実」で示すものだということです。ここで身構えなくてよいのが3つ目です。ふるさと愛は生まれた場所を問うものではありません。Uターン者向けの区分がある一方で、市は人材を「広く」募集するとも書いています。市外の出身者であれば、たつの市の何に関心を持ち、住む人としてどう関わりたいのかを具体的に語れば、この言葉には十分応えられます。

専門職と隣り合って働くということ

司書、学芸員、文化財担当職員、保健師、保育教諭。たつの市はこれらを別々の区分で採用しています。事務職として入れば、専門を持つ職員と机を並べて仕事をすることになります。それぞれの分野の言い分を正確に受け取り、予算や制度の枠組みに合う形に整えて庁内を通す。人口7万人台の市では、この役目が事務職の腕の見せどころになりやすいと考えられます。

もう一つ、Uターン者向けの区分を市が設けていることは、長く働く人を迎えたいという合図とも読めます。事務職の採用が(A)(B)あわせて6人程度という規模であれば、一人の職員が同じ地域を何年も見続けることになるからです。面接で自分を語るときは、短い期間の成果を並べるより、同じ相手や同じ場所に関わり続けた経験を選ぶほうが、この市の仕事の続き方に重なります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。たつの市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイクここまでの道のりはいかがでしたか第2次試験まで進んできた受験者です。硬さがほぐれたときの話し方
② 動機・志望なぜたつの市で働きたいと思ったのですか「ふるさと愛」を掲げる市です。この土地との関わりを具体で語れるか
③ 自己理解ご自身の長所と短所を教えてください少人数の職場に入る前提で、自分の癖を把握できているか
④ 経験・行動粘り強く続けた経験について教えてください「意欲・情熱」という公表の言葉を、事実で裏づけられるか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことを教えてください専門試験のない区分もある試験です。話す力そのものが評価に直結する
⑥ 適性・将来入庁後、どのような仕事に取り組みたいですか司書や文化財まで幅のある市役所です。仕事の広がりを想像できているか
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事を一つ挙げてください関心の中身と、それを短くまとめて伝える力

ただ、この見取り図に沿った答えは、受験者の多くが用意してきます。優劣が出るのは、たつの市の実情を知らないと言葉が続かない質問に入ってからです。

合否を分けるのは「たつの市役所ならでは」の質問

「なぜ兵庫県庁ではなく、たつの市役所を志望するのですか?」
「たつの市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらもたつの市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「たつの市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたいたつの市の事実答え方のヒント
地場産業醤油・手延素麺・皮革の3つが地場産業。播磨平野の小麦、良質の大豆、赤穂の塩、揖保川の水という条件から育った産地の名前を挙げるだけで終わらせず、担い手や販路という今の困りごとに話をつなげる
人口と年齢構成人口は71,448人。65歳以上が32.5%、75歳以上が19.1%で、いずれも兵庫県全体を上回る(令和8年1月1日現在)数字を挙げたうえで、市域210.87km²という広さと重ねて、サービスの届け方の話へ運ぶ
なぜ県庁ではなく市役所かたつの市は事務職を専門試験のある(A)とない(B)に分け、Uターン者向けの区分まで置いている「住民に近いから」で止めず、区分を細かく設ける市の姿勢に触れながら、自分が働く姿を描く
防災播磨地域は、兵庫県の被害想定で最大震度6強とされる範囲に入る。市の自主防災組織の組織率は87.2%(令和6年4月1日現在)で、県平均98.4%を下回る数字の低さを責める話にせず、担い手が減るなかで何を優先すべきかという建設的な考えを述べる
専門職の確保令和5年度実施では技術職(土木)が大卒・民間経験者とも申込者0人、保健師・学芸員も当初実施分は申込者0人だった採用の現実まで調べていること自体が印象に残る。事務職として何を支えられるかまで考えておく

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

たつの市は「意欲・情熱・ふるさと愛のある人材」という言葉で求める人を示しています。面接は、その3つに照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
意欲指示を待たずに自分から動いた場面があるか「誰にも頼まれていないのに始めたこと」を一つ、始めた理由まで含めて用意する
情熱思うようにいかない時期をどう越えたか第2次試験が結果を左右する試験です。粘りを示す出来事を、途中経過ごと話せるようにしておく
ふるさと愛その土地や集団に、継続して関わってきた事実があるか出身かどうかではなく、たつの市の何を見て関心を持ったのかを自分の見聞きから語る

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。たつの市の場合、面接の形や人数は受験する年の案内を見るまで分かりませんが、どの形であっても掘り下げは避けられません。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. たつの市の採用試験情報のページを確認し、受験する年の案内が公表されたら、試験の段階と区分、申込専用サイトの手順をその日のうちに読む
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 公表されている採用試験実施状況を開き、志望する区分の受験者数と合格者数の関係を自分の目で確かめる
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、声に出して練習する

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2で経験を洗い出し、それがたつの市のどの仕事につながるかを考えるほうを先に済ませてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、たつの市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

たつの市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

たつの市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和5年度実施の事務職(B)では、第2次試験の合格者がそのまま最終採用者となりました。第1次試験を越えた先の場が結果を決めるという構造は、受験する年の案内でも大きくは変わらないでしょう。醤油とそうめんと革を受け継ぎ、市域の広さと高齢化に向き合うまちで、自分は何を担いたいのか。市が掲げる「意欲・情熱・ふるさと愛」という3語に、自分の経験からどう答えるかを考え抜いてください。その作業がそのまま、第2次試験を越える力になります。