本記事では、高砂市職員採用試験の面接対策で必要な、高砂市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

高砂市役所の面接試験では、「なぜ高砂市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、高砂市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

以下は、令和9年4月採用の職員採用試験のうち事務の区分を軸に整理しています。高砂市は職種によって試験の段階数が変わりますので、自分が受ける職種の試験案内と読み合わせながら進めてください。

第1部|自治体研究編

高砂市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは高砂市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 兵庫県南部、播磨灘に面する市。面積は34.38平方キロメートルで、陸で接するのは姫路市と加古川市の2市だけ。
  • 人口は8万5,820人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。狭い市域に人口が集まり、人口密度は1平方キロメートルあたり約2,496人にのぼる。
  • 加古川の河口の西岸に位置し、市域の南側は海岸埋立地。臨海部の工業地帯は東播磨港に面している。
  • 臨海部は東播磨地区の石油コンビナート等特別防災区域の一部で、その北側は公道を隔てて住宅地に接している。
  • 区域内に立地するのは油槽所・電力関係・鉄鋼所・化学関係の企業。カネカ高砂工業所、神戸製鋼所高砂製作所、三菱重工業高砂製作所などが名を連ねる。
  • 市の花はキク、市の木はマツ。
  • 職員採用では「リセット方式」を掲げ、前の段階の試験結果を次の試験に持ち越さない仕組みを採っている。事務の区分は個人面接が3回ある。

高砂市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「高砂市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表は、人口と年齢構成、市域の広さ、地域の防災体制、採用の規模を並べたものです。高砂市の場合、面積の狭さと人口密度の高さが他の項目の読み方を変えるので、そこを軸に眺めてみてください。

項目内容
総人口85,820人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口26,030人(高齢化率30.3%)
うち75歳以上人口15,478人(総人口の18.0%)
総面積34.38km²
人口密度約2,496人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接する自治体姫路市、加古川市の2市
自主防災組織104組織・組織率89.2%(令和6年4月1日現在。兵庫県平均は98.4%)
事務の採用予定人員事務A・事務B(障がい者採用)あわせて10名程度(令和9年4月採用)

総人口と年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)、面積と隣接自治体は当研究会が整理した基礎データ、自主防災組織は兵庫県の消防防災年報、採用予定人員は令和9年4月採用の募集要項によります。人口密度は住民基本台帳人口を面積で割った参考値です。市民経済計算にあたる数値は本記事では扱わず、経済の姿は市域に立地する産業から見ていきます。

数字から考えられる市政課題

高砂市の高齢化率は30.3%、75歳以上が総人口の18.0%です。兵庫県全体は同じ住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で高齢化率29.5%・75歳以上率17.6%ですので、どちらも県平均をやや上回っている市ということになります。

国勢調査をもとにした県の推計値は基準が異なるため、そちらの数字と並べて比べることはできません。

ここに面積の狭さが重なります。34.38平方キロメートルに8万5千人が暮らす市では、施設や交通の距離という意味での不便は生じにくい一方、高齢化が進んだときに影響が市域全体へ一斉に及びます。

「コンパクトだから大丈夫」とは言い切れないということです。コンパクトさの裏側にある弱さを、答えのなかでこう扱ってみましょう。

「高砂市は面積が30平方キロ台で、そこに8万人以上が住んでいます。高齢化率は3割を超えていて、県の平均より少し高いと聞きました。距離の問題が少ない分、支える仕組みさえ整えば届きやすい市だと思いますので、そういう土台づくりに関わりたいです」

高砂市の経済・産業

臨海部に並ぶ装置産業

高砂市の産業の輪郭は、海沿いの区域を見ればおおむね掴めます。兵庫県内には石油コンビナート等特別防災区域が3か所あり、そのうちの東播磨地区は加古川市・高砂市・播磨町の3ブロックで構成されています。

高砂市地区の面積は4,828,402平方メートル。加古川を東端、曽根町の松村川を西端とする延長約4.5キロメートルの海岸線沿いの平坦地と海岸埋立地で、工業専用地区および準工業地域として指定されています。

特定事業所には、高砂町のカネカ高砂工業所、荒井町の神戸製鋼所高砂製作所と三菱重工業高砂製作所、梅井の新日本油化、AGC関西工場高砂事業所、J-POWERジェネレーションサービスが並びます。(出典:兵庫県石油コンビナート等防災計画|令和8年4月修正)

顔ぶれを見れば分かるとおり、化学・鉄鋼・重工業・電力という、日本の基幹産業がそのまま一列に並んでいるのが高砂市の海側です。雇用と税収を支える柱であると同時に、市の防災計画がまず向き合う対象でもあります。

東播磨港と市域の形

この工業地帯は東播磨港に面しており、原料と製品が海路で出入りする構造になっています。市域が34.38平方キロメートルと狭いこともあり、港と工場と住宅地の距離は近い。

東を加古川に区切られ、陸で接するのは姫路市と加古川市の2市だけという限られた市域のなかに、産業と暮らしが密に同居しているのが高砂市の形です。

面接で産業を語るなら、「工業のまちです」で止めず、この距離の近さまで踏み込むと具体になります。市が扱う仕事の多くは、この近さから生まれているからです。

県全体の経済と観光のなかで

市の経済を数字で示す資料は限られています。まずは県全体の大きさから押さえておきましょう。

兵庫県内総生産(名目)は令和5年度に23兆9,895億円で、前年度比2.7%の増加。名目・実質のいずれも3年連続で伸びています。

県民総所得(名目)は25兆4,318億円、前年度からの伸びは1.7%です。(出典:兵庫県民経済計算|令和5年度)

観光では、令和5年度の兵庫県の観光入込客数が1億2,232万人(対前年度比106.8%)で、うち日帰客が1億1,085万人と全体の90.6%を占めました。目的別ではスポーツ・レクリエーションの3,549万人が最多です。

日帰りが9割という県全体の傾向は、大都市圏の通勤圏に位置する高砂市の交流人口を考えるときの前提になります。(出典:兵庫県観光客動態調査報告書|令和5年度)

高砂市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、高砂市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県平均を上回る高齢化

高齢化率30.3%、75歳以上率18.0%という数字は、いずれも県全体(29.5%、17.6%)をわずかに上回ります。

県が示す推計では、2050年の兵庫県は人口423万人(2015年比24%減)、65歳以上が4割、4人に1人が75歳以上という構成になります。

県より先行している市が、この見通しの先で何を先に経験するのか。高砂市の福祉や住まいを語るときは、その順番を意識すると話が立体になります。(出典:兵庫県の現状と課題の整理|2023年)

住宅地と公道一本で隣り合う工業地帯

高砂市地区の特別防災区域は、西側と南側が東播磨港に面し、北側は公道を隔てて住宅地に接しています。区域の指定図を見れば、産業と生活のあいだに緩衝地帯と呼べるほどの余地がないことが分かります。

工場の安全対策が、そのまま住宅地の安全対策になる市だということです。事業所との日常的なやり取りや、住民への情報の伝え方が、他の市より重い意味を持ちます。

自主防災組織率が県平均を下回る

高砂市の自主防災組織は104組織、組織率89.2%(令和6年4月1日現在)です。兵庫県全体では5,756組織・組織率98.4%で、姫路市や明石市をはじめ組織率100.0%の市町も公表されています。

高砂市の組織率は、県平均をおよそ9ポイント下回る水準にあります。(出典:兵庫県消防防災年報|令和6年版)

この差は、地域の側の備えをどう底上げするかという、輪郭のはっきりした宿題です。志望動機で防災を挙げるなら、行政の備えだけで話を終えず、地域の組織づくりに市がどう関わるかまで踏み込んでみてください。

南海トラフ巨大地震と海に開いた市域

南海トラフ巨大地震について、兵庫県は平成26年6月に被害想定を公表しています。最大震度は神戸・阪神・播磨地域の広い範囲で6強、淡路地域の洲本市・南あわじ市では7。

死者の想定は最大で約29,100人(夏の昼間12時発災)、うち約27,970人が津波によるもので、割合にすれば約96%です。

建物の全壊は最大約38,500棟(冬の夕方18時発災)とされています。(出典:南海トラフ巨大地震・津波被害想定(兵庫県)|平成26年)

高砂市は南側が播磨灘に開き、市域の南側は埋立地です。この地形に、コンビナート区域と、県平均を下回る自主防災組織率が重なります。

兵庫県は阪神・淡路大震災の経験と教訓を、防災だけでなく医療や介護、子育て、防犯まで含めた県民生活全体の安全安心に活かしてきたと整理していますが、その蓄積を市域の条件へ具体的に落とし込む作業は、まだ続いています。

県内で偏っていく人の流れ

県が公表している推計人口は、令和8年6月1日現在で5,304,414人。ひと月で2,783人減った計算です。

5月中の増減を分けると自然減が2,290人、社会減が493人で、県内10地域のいずれもが減少しています(出典:兵庫県の推計人口|兵庫県企画部統計課)。

県自身も、2011年以降の転出超過と、県土面積の14%を占めるにすぎない神戸・阪神地域に県人口の6割が集まっている偏りを課題としています。播磨に位置する高砂市にとって、この偏りは他人事ではありません。

高砂市の重点政策|市域の条件と県の枠組み

高砂市の方向を読むには、県が示している見通しを土台に置き、そこへ市域の固有の条件を重ねるのが確実です。

34.38平方キロメートルという狭さ、海に開いた地形、コンビナートと住宅地の近さ。この3つが、市の政策が向かう先をかなりの程度決めています。

県が描く2050年までの見通し

2009年の560万人を頂点に、兵庫県の人口は減少局面へ入りました。県の推計が示す2050年の姿は423万人(2015年比24%減)で、65歳以上が4割、75歳以上が4人に1人という構成です。

高砂市の高齢化率はすでに県平均を上回っており、この見通しの手前ではなく、少し先を歩いている位置にあります。福祉・住まい・移動といった分野で、市が県の平均より早く判断を迫られる場面が出てくるということです。

備えの底上げという、形の見えている宿題

もうひとつ、高砂市には数字で示された課題があります。自主防災組織率89.2%という値です。県平均98.4%との差はおよそ9ポイント。

裏を返せば、取り組む先がはっきりしている課題でもあります。

地域の組織づくりは、庁内で完結する仕事ではありません。自治会や事業所、消防団といった相手と、時間をかけて関係をつくっていく仕事です。

市の職員に何が求められるかを考えるとき、この課題の性格は良い手がかりになります。

POINT|計画名より、市の条件から言えることを1つ持つ

関心のある分野を1つ決め、「①高砂市の地形や産業がその分野にどう効いているか → ②市は何をどこまで進めているか → ③自分のどの経験がそこに触れるか」の順にたどると、志望動機に芯ができます。

悪い例「高砂市の防災に力を入れたいです」

改善例「高砂市は自主防災組織のある地域の割合が県の平均より低いと知りました。工場と住宅が近い市ですので、まずは地域の方と顔の見える関係をつくるところから関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

高砂市は職種によって最終試験の段階が変わり、申込は1人1職種しかできません。まず自分がどの職種で受けるかを決め、その前提で資料をそろえてください。

  • 令和9年4月採用の高砂市職員採用試験案内・募集要項(4つの段階、リセット方式の説明、職種ごとの試験科目)
  • 高砂市職員採用管理システムのマイページ(申込に必要な顔写真の規格と、申込後は変更できない旨の注意)
  • 高砂市の防災・危機管理に関する市公式ページ(自主防災組織や避難に関する市の案内)
  • 志望動機に関わる分野の個別計画を1本(環境、都市計画、福祉のうち、自分が話題にするもの)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、高砂市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。高砂市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

高砂市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

高砂市役所の面接の概要

ここからは、高砂市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

高砂市役所の面接の流れ

高砂市の採用試験には、他の市とはっきり違う特徴があります。募集要項が明記する「リセット方式」です。

市は「より人物重視の採用試験を実施するため」この方式を採っているとし、試験結果を次の試験に持ち越さず、2次試験・3次試験ではそれぞれの試験結果のみで合否を決めると説明しています。(出典:高砂市職員採用試験案内・募集要項|令和9年4月採用)

この設計は、受験者にとって二重の意味を持ちます。前の段階で出遅れても取り返せる一方、うまくいった手応えを次へ持ち込むこともできません。

事務の区分では個人面接が計3回あり、そのすべてがその場限りの勝負になります。

これを準備の側に置き換えると、決めておくことが一つ増えます。前の回で話した経験や志望動機を、次の回でもう一度使うのか、別の材料に差し替えるのかという判断です。

持ち越されないのは前の試験の結果であって、自分が何をどう話したかの記憶は自分に残ります。同じ話を3回使うこと自体は、まったく問題になりません。

前の回で答えに詰まった箇所をそのままにして、同じ答えをもう一度出してしまうことが問題になります。

1回目の面接が終わったその日のうちに、詰まった質問と手応えのあった質問を書き分けておき、2次試験までに同じ材料を掘り下げ直すか、別の経験に替えるかを決めてから臨んでください。

項目内容(令和9年4月採用・事務の区分)
試験の段階1次試験【総合適性検査】→ 1次試験【面接】→ 2次試験 → 3次試験の4段階(1次が2部構成)。3次試験を行うのは事務のみで、他の職種は2次試験までです
1次試験(総合適性検査)100分・テストセンター方式。全国47都道府県に350か所以上ある会場から受験者が選びます。出題分野は全職種共通で、人文・社会、自然に関する一般知識、文章理解、数的能力、推理判断能力、基礎英語、適性検査。募集要項には「特別な公務員試験対策を必要としない内容です」と記載があります
1次試験(面接)事務は個人面接のみ(筆記試験は事務を除く職種で実施)。総合適性検査の得点が基準点以上の人だけが個人面接に進みます
2次試験個人面接と論作文
3次試験個人面接(事務のみ実施)
面接の種類個人面接が計3回(1次・2次・3次)。募集要項の試験科目表と各試験の内容欄に、集団面接・集団討論・プレゼンテーションの記載はありません
配点具体的な配点は募集要項に記載がありません。結果の開示を請求できるのは受験して不合格となった本人のみで、開示内容は総合得点および総合順位です
試験当日の携行品1次試験(面接)は受験票と110円切手(結果通知の返送用)。事務については、面接カードや自己PRシートの提出は記載されていません
採用予定人員事務A・事務B(障がい者採用)あわせて10名程度

もうひとつ押さえておきたいのが、1次試験の関門の作り方です。総合適性検査の得点が基準点に達しない場合、その時点で不合格となります。

個人面接に進めるのは、この基準点を超えた人だけです。公務員試験向けの対策は不要と明記されている一方、基礎英語が出題分野に含まれている点は、他市の適性検査と同じつもりでいると足をすくわれます。

この基準点の置き方も、リセット方式と合わせて読むと準備の指針になります。総合適性検査の得点は次の試験に持ち越されませんので、基準点をどれだけ上回っても、その差が後の合否を動かすことはありません。

つまりこの検査で目指すのは高得点ではなく、面接に進むための通過です。市が特別な公務員試験対策は必要ないと明記している以上、専用の問題集を何冊も積み上げる時間の使い方は、この試験には合っていません。

出題分野に一度ずつ目を通し、100分でどう時間を配るかをつかむところまでで区切って、空いた時間は3回の面接の準備へ回してください。

ただし基礎英語のように公務員試験の問題集では見慣れない分野だけは、形式を先に確かめておくと、当日の時間配分が崩れにくくなります。

上記の試験構成は、高砂市の令和9年4月採用の職員採用試験案内・募集要項にもとづく事務の区分のものです。募集要項に配点の具体的な数値は示されていません。試験の構成・日程・配点等は年度や職種によって異なりますので、必ずご自身が受ける職種の最新の受験案内でご確認ください。

高砂市が求める人物像

高砂市の職員採用試験案内・募集要項の本文には、「求める職員像」として項目立てされた公表文言は置かれていません。代わりに市が言葉にしているのは、選考の設計そのものについての説明です。

人物を重視するために結果を持ち越さない方式を採る、という一文が、市の姿勢をもっとも直接に表しています。

もうひとつ、事務Aの受験資格には「学歴は問いません」と明記されています。年齢の範囲だけを定め、学歴で入口を絞らない。

そのうえで面接を3回重ね、毎回まっさらな状態で判断する。ここまで並べると、高砂市が何を見ようとしているかの輪郭は、かなりはっきりしてきます。

ここからは募集要項の記述を離れて、市の条件から当研究会が引き出した見方を書きます。34.38平方キロメートルの市域に8万5千人が暮らす高砂市では、職員と市民の生活圏がほとんど重なります。

仕事で向き合う相手と、暮らしの場が地続きだということです。しかも臨海部の事業所と住宅地は公道一本で隣り合っています。

同じ案件について、立場の違う相手へ同じ週のうちに説明する場面が出てきます。

相手が誰であっても対応の質を変えないこと。この一点が、こうした市では長く効いてくるとみています。

リセット方式は、備え方まで決めてしまいます。3回の面接を毎回まっさらな状態で受けるということは、同じ経験を3人の面接官に、それぞれ初めて聞く相手として語り直すということです。

だとすれば要るのは、話の総量ではなく持ち駒の数と厚みでしょう。手持ちの材料を3つ以上そろえ、そのひとつずつを短くも長くも話せるところまで持っていってください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。高砂市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日で3回目の面接になりますが、いかがですか回を重ねても構えが変わらないか。前回の話を引きずらず、その場で受け答えできるか
② 動機・志望近隣の市ではなく高砂市を選んだ理由を教えてください接する市が2つしかない環境で、なぜここなのかを自分の言葉で言えるか
③ 自己理解あなたの短所はどこにありますか短所を認めたうえで、どう付き合っているかまで語れるか
④ 経験・行動周囲を巻き込んで動いた経験を教えてください地域の団体や事業所と関わる仕事が多い市で、人を動かした場面の中身
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことを説明してください学歴を問わない選考だからこそ、何をどう積み上げてきたかの中身
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか職員数の限られた市で、担当が変わっても働けるかどうか
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースを教えてください市の側から社会を見る習慣。2次の論作文にも通じる、まとめる力

この見取り図は、どこの市を受けるときにも使えます。裏を返せば、ここを仕上げただけでは高砂市を選んだ理由までは伝わりません。

3回の面接を持たせるのは、この表の外側にある材料のほうです。

合否を分けるのは「高砂市役所ならでは」の質問

「なぜ兵庫県庁ではなく、高砂市役所なのですか」
「高砂市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

高砂市の場合、工業地帯と住宅地の近さという一点から、防災も産業も暮らしも語れます。そこで、面接の場で持ち出しやすい事実を選び、使い方まで添えて並べました。

質問テーマ知っておきたい高砂市の事実答え方のヒント
市域の形面積34.38平方キロメートル、人口85,820人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。陸で接するのは姫路市と加古川市の2市のみ狭さを弱みとして語らず、施策が市域全体に届きやすい条件だと読み替えて話すと前向きに響きます
なぜ県庁ではなく市役所か臨海部のコンビナート区域は北側が公道を隔てて住宅地に接し、産業と生活が至近距離で同居している広域を見る県と、この距離の近さに日々向き合う市という対比で説明すると、制度論より説得力が出ます
市の産業東播磨地区特別防災区域の高砂市地区は4,828,402平方メートル。カネカ、神戸製鋼所、三菱重工業などの事業所が立地企業名を挙げるだけでなく、その安全対策が住宅地の安全にも直結する構造まで触れると深まります
防災の課題自主防災組織は104組織・組織率89.2%(令和6年4月1日現在)で、兵庫県平均の98.4%を下回る数字を批判に使わず、伸びしろのある領域として、自分がどう関わりたいかにつなげます
高齢化の現在地高齢化率30.3%、75歳以上率18.0%。いずれも県全体(29.5%、17.6%)を上回る県より少し先を歩く市として、先に経験することを先回りして備える、という向きで話します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

高砂市は求める人物像を項目立てて公表していないため、ここでは選考の設計に照らして、確かめられるであろう観点を整理します。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
回を重ねても崩れない一貫性1次から3次まで個人面接が続き、前の結果は持ち越されない。同じ問いを別の面接官から受けたときの答えの安定志望理由を30秒・1分・3分の3通りの長さで話せるようにしておく
立場の違う相手に説明する力工場と住宅地が隣り合う市で、意見の異なる相手に向き合った経験の中身アルバイトや部活動で、伝え方を変えたら通じた場面を1つ書き出しておく
書いた考えを口で語れるか2次試験には論作文がある。文章で述べた主張と、面接での発言が食い違わないか論作文で使いそうなテーマを1つ決め、それを口頭で3分話す練習をしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

高砂市の事務は個人面接が3回続くため、同じ経験を何度も別の角度から問われることになります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和9年4月採用の高砂市職員採用試験案内を読み、4つの段階と、事務だけが3次試験まで進む構成を確認する
  2. 申込は1人1職種しかできず変更もできないため、受ける職種を先に決める。あわせて顔写真(申込前3か月以内・無帽・背景無地)を用意する
  3. 高校・大学での経験を棚卸しし、3回の面接で角度を変えて話せるよう、話せる材料を3つ以上そろえる
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 2次試験の論作文に備え、この記事の前半から市の事実を2つ選び、自分の意見とセットで一度書いてみる
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、いわば上積みの工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しを先に済ませてください。高砂市の事務は個人面接が3回あり、しかも毎回その場の結果だけで判断されます。話せる材料の数と厚みが、そのまま3回分の持ち駒になります。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、高砂市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

高砂市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

高砂市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和9年4月採用の高砂市の事務は、1次の総合適性検査で基準点を超えた人だけが面接に進み、そこから3回の個人面接が続きます。しかも結果は持ち越されません。

前の回でうまく話せた記憶も、うまく話せなかった記憶も、次の部屋には入ってこないということです。だからこそ、その日その場で出せる状態にしておくことが対策のすべてになります。

話せる経験を数そろえ、どの順番で聞かれても同じ厚みで語れるところまで持っていってください。