本記事では、淡路市職員採用試験の面接対策で必要な、淡路市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。令和8年度の職員採用候補者試験・一般行政職を軸に整理しました。

淡路市役所の面接試験では、「なぜ淡路市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、淡路市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と淡路市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

淡路市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは淡路市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 淡路島の北部を占める市。淡路島は洲本市・淡路市・南あわじ市の3市で構成されており、島全体を指す呼び名としての「淡路島」と、自治体としての「淡路市」は別のものである。
  • 陸では南の洲本市と接し、海上では神戸市・明石市と向かい合う。淡路島と本州は明石海峡大橋で結ばれている。
  • 市域面積は184.24平方キロメートル。住民基本台帳による人口は40,686人(令和8年1月1日現在)で、南北に長い市域に集落が点在する。
  • 65歳以上人口の割合は38.5%で、兵庫県全体の29.5%を大きく上回る。75歳以上は23.2%(県17.6%)。
  • 平成7年(1995年)の兵庫県南部地震の震源は淡路島北部で、深さ16キロメートル、マグニチュード7.3と記録されている。
  • その震源となった野島断層は平成10年(1998年)7月31日に国の天然記念物に指定された。市内小倉地区での延長は約185メートルで、その一部が北淡震災記念公園の野島断層保存館として保存・公開されている。
  • 市内の自主防災組織の組織率は100.0%(令和6年4月1日現在)で、県平均98.4%を上回る。
  • 市の花はカーネーション、市の木は山桜。市役所は生穂新島にある。

淡路市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「淡路市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

人口の規模や市域の広さ、高齢化の進み方、採用の規模といった、市政の特徴を語れる項目から順に並べています。

項目内容
総人口40,686人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口15,649人(38.5%、兵庫県29.5%)
75歳以上人口9,440人(23.2%、兵庫県17.6%)
総面積184.24km²
人口密度約221人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接する自治体洲本市(海上で神戸市・明石市)
一般行政職の採用予定人数令和8年10月採用5人程度、令和9年4月採用10人程度(令和8年度職員採用候補者試験)

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合、および兵庫県の値は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。国勢調査を基準とする数値とは集計の考え方が異なるため、両者を直接比較することはできません。総面積と隣接自治体は当研究会が整理した基礎データ、採用予定人数は淡路市が公表した令和8年度職員採用候補者試験の募集情報によります。

数字から考えられる市政課題

淡路市の高齢化率38.5%は、兵庫県全体の29.5%を9ポイント上回ります。75歳以上の割合も23.2%で、県の17.6%との差は5ポイント以上。

市民のおよそ4人に1人が75歳以上という年齢構成です。医療・介護の需要はもちろん、買い物や通院のための移動、災害時の避難といった場面で、この構成が直接効いてきます。

面積184.24平方キロメートルに4万人余りという規模は、1平方キロメートルあたり約221人という密度になります。

同じ台帳の県全体の人口5,364,773人を県の面積8,400.95平方キロメートルに当てはめると約640人ですから、県の平均的な姿とはかなり違う場所だと分かります。

淡路市は南北に長く、集落が点在する市域です。行政サービスを1か所に集めても、そこまで来られない人が残る。

この構造が、福祉も防災も交通も貫く前提になります。たとえば面接では、淡路市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「淡路市は4人に1人が75歳以上と聞いて驚きました。市の面積は180平方キロメートルを超えていて、集落も点在しています。ですので、窓口に来ていただくことを前提にした仕事のやり方だけでは、届かない方が出てしまうと思います。こちらから出向く形をどう増やしていけるかを、地域の方と考えていきたいです」

淡路市の経済・産業

本州との距離が決める条件

淡路市を語るうえで欠かせないのが、本州との近さです。市域は海上で神戸市・明石市と向かい合い、淡路島と本州は明石海峡大橋で結ばれています。

この橋は神戸市舞子と淡路島松帆を結ぶつり橋で、全長3,911メートル、中央支間長1,991メートル。

1988年5月に着工し、10年の工期を経て1998年4月に完成しました。島でありながら大都市圏と陸路でつながっているという条件は、人の行き来にも物流にも効いています。

志望動機で立地に触れるなら、離れていることと近いことの両面を押さえておきましょう。(参考:明石海峡大橋の概要|本州四国連絡高速道路)

移動手段の確保という課題

橋がつながっている一方で、市域の中の移動は別の問題です。県の整理では、可住地面積の23.4%が公共交通空白地域にあたり、そこに県人口の3.1%(約169,638人)が住んでいます。

分布は淡路地域と播磨地域の内陸部に偏っているとされます。高齢化率38.5%の市で移動手段をどう確保するかは、福祉の課題であると同時に、買い物や通院といった日々の経済活動を支える課題でもあります。(出典:兵庫県 現状と課題の整理|2023年)

兵庫県経済と観光の中の淡路市

淡路市が属する兵庫県は、令和5年度の県内総生産(名目)が前年度比2.7%増の23兆9,895億円で、名目・実質とも3年連続の増加でした。

観光では、県全体の令和5年度の入込客数が1億2,232万人(対前年度比106.8%)で、うち日帰り客が1億1,085万人と全体の90.6%を占め、宿泊客は1,147万人(9.4%)にとどまります。目的別ではスポーツ・レクリエーションが3,549万人で最も多く、歴史・文化2,724万人、都市型観光1,830万人と続きます。

橋を渡ってすぐの位置にある淡路市にとって、日帰りで通り過ぎる人にどう足を止めてもらうかは、観光施策の中心的な問いです。(出典:兵庫県観光客動態調査報告書|令和5年度)

淡路市の主な行政課題

ここまでの数字と地理の姿を踏まえると、淡路市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

4人に1人が75歳以上という年齢構成

高齢化率38.5%、75歳以上23.2%という数字は、兵庫県全体をはっきり上回ります。県全体でも人口は2009年の560万人をピークに減少に転じ、将来推計では2050年に423万人(2015年比24%減)まで減り、65歳以上が4割、4人に1人が75歳以上になると見込まれています。

淡路市はその姿に一足先に到達していることになります。県は2011年以降、東京圏と大阪府への転出超過が続き、とくに20歳代の流出が止まらないと分析しており、若い世代の確保はこの市でも中心的な課題です。

震災の経験をどう受け継ぐか

平成7年(1995年)1月17日に発生した兵庫県南部地震の震源は、淡路島北部でした。深さ16キロメートル、マグニチュード7.3。

この地震で地表に現れた野島断層は、平成10年7月31日に国の天然記念物に指定され、市内小倉地区の延長約185メートルの一部が北淡震災記念公園の野島断層保存館として保存・公開されています。

震災を語り継ぐ拠点が市域にあるという条件は、他の自治体にはない責任と資源の両方を意味します。

市職員としてこのテーマに触れるなら、当時の被害を語ることよりも、その経験が今の防災体制や教育にどうつながっているかに重心を置くべきでしょう。(出典:北淡震災記念公園について|淡路市/阪神・淡路大震災の地震の諸元|内閣府防災)

次の大規模災害への備え

兵庫県が平成26年6月に公表した南海トラフ巨大地震・津波の被害想定では、県全体の死者が最大時(夏の昼間12時発災)で約29,100人、そのうち約27,970人が津波によるものとされ、建物全壊は最大時(冬の夕方18時発災)で約38,500棟と見込まれています。

避難所生活者はピーク時で約168,700人、帰宅困難者は約591,000人(いずれも夏の昼間12時発災)という規模です。淡路市に想定される個別の数値は、県が公表している被害想定の資料でご確認ください。

備えの側では、市内の自主防災組織の組織率が100.0%(令和6年4月1日現在)で、県平均の98.4%を上回っています。(出典:南海トラフ巨大地震・津波被害想定|兵庫県・平成26年/兵庫県消防防災年報|令和6年版)

島の中の3市という関係

兵庫県は神戸・阪神、播磨、但馬、丹波、淡路という五つの地域が集まってできており、29市12町を抱えています。淡路島にあるのは洲本市・淡路市・南あわじ市の3市で、いずれも別の団体です。

職員採用試験もそれぞれの市が単独で実施しており、淡路市の第1次試験がSPIであるのに対し、洲本市は教養試験などを課すというように、試験科目からして違います。

医療・交通・防災といった分野では島全体で考えざるを得ない一方、市としての判断は自前で下す。この二重の立場が、淡路市役所の仕事の性格をつくっています。(参考:兵庫県の概要|兵庫県)

淡路市の重点政策|震災の教訓と島の暮らしを支える条件

淡路市が向かう方向を最もはっきり決めているのは、市域そのものが抱えている条件です。ここでは、その条件と兵庫県が示している方向とを重ね、市政がどこに力を割かざるを得ないのかを読み解いていきます。

総合計画とその実施計画は、市公式サイトに一覧が置かれています。

震災の記憶を持つ自治体という位置

淡路市を他の市と分けている最大の条件は、兵庫県南部地震の震源となった土地であり、その断層を国の天然記念物として保存・公開している自治体であることです。

北淡震災記念公園の野島断層保存館は、災害がどのように起きるのかを地面そのもので示す場所です。防災を担当する部署に限らず、教育、観光、地域振興のどの分野からでも接点を持てる資源であり、同時に、風化させないという責任も伴います。

志望動機でこのテーマを扱うなら、施設の紹介にとどめず、誰に何を伝える場として活かしたいのかまで言えるようにしておきましょう。

市政の背景として押さえたい兵庫県の状況

淡路市の施策も、県全体の動きと無関係ではいられません。次に挙げる5点は、どの分野を志望する場合でも前提として押さえておきたいところです。

  • 県が示す将来推計人口では、2050年の県人口は423万人(2015年比24%減)。65歳以上が4割に達し、4人に1人が75歳以上になると見込まれている。淡路市はその年齢構成にすでに近い。
  • 県は五国(神戸・阪神、播磨、但馬、丹波、淡路)からなり、29市12町を抱える。淡路はそのうち3市で構成される。
  • 転出入では、20歳代の県外流出が2011年以降続いている。一方で0〜14歳と30代のファミリー層は転入超過が拡大しており、世代によって流れが逆を向いている。
  • 県内の人口分布は偏りが大きく、県土面積の14%にあたる神戸・阪神地域に県人口の6割が集まっている。
  • 県は自らの強みとして、ものづくり産業の集積、科学技術の基盤、気候風土に恵まれた食材と食文化、国際性の豊かな地域社会を挙げている。

面接では、自分の取り組みたい仕事がこの背景のどこに効くのかを一言添えられるだけで、市の置かれた状況を踏まえた志望だと伝わります。

POINT|資源の名前より使い道を語る

名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「淡路市には震災の記念公園があるので、防災に力を入れたいです」

改善例「淡路市は4人に1人が75歳以上で、集落も点在しています。ですので、断層の保存館を見学に来る子どもたちだけでなく、地域で暮らしている高齢の方にも避難のことを考えてもらえる場を、地区ごとにつくっていく仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 淡路市の職員採用候補者試験の案内(最新年度のもの。募集職種と試験科目の両方を確認する)
  • 淡路市の総合計画とその実施計画(市公式サイトに掲載されている最新版)
  • 最新年度の当初予算に関する資料と、地域防災計画などの個別計画
  • 淡路市の統計情報(人口・世帯)と、兵庫県の推計人口・観光客動態調査

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、淡路市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。淡路市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

淡路市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

淡路市役所の面接の概要

ここからは、淡路市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

淡路市役所の面接の流れ

令和8年度の職員採用候補者試験について、淡路市が公表している内容から確認できるのは、第1次試験がSPI(能力検査・性格検査)であることです。第1次に専門科目の択一試験は置かれていません。

また一般行政職については、令和8年10月採用と令和9年4月採用という2つの採用時期を、同一の試験で募集する形がとられています。

第2次試験以降の科目や面接の形式、配点、提出書類は、淡路市の最新の試験案内でご確認ください。

項目内容(令和8年度職員採用候補者試験)
募集職種と採用予定人数一般行政職(令和8年10月採用)5人程度、一般行政職(令和9年4月採用)10人程度、障がい者1人程度、保育士5人程度、保健師1人程度、歯科衛生士1人程度、土木・建築技術職2人程度
一般行政職の採用時期令和8年10月採用と令和9年4月採用の2つに分け、同一試験で募集
第1次試験SPI(能力検査・性格検査)
第2次試験以降の科目最新の試験案内でご確認ください
面接の形式・回数最新の試験案内でご確認ください
配点最新の試験案内でご確認ください
申込方法オンラインのみ

第1次がSPIという設計は、受験のしかたに直接影響します。公務員試験向けの専門科目に長い時間をかけるより、能力検査の形式に慣れておくことが第1次の準備になるからです。

第2次以降の配点は最新の試験案内で確かめる必要がありますが、筆記の負担が軽い試験である分、その先の選考に時間をかけて臨むつもりで準備しておくほうが安全です。

一般行政職を志望するなら、10月採用と4月採用のどちらを希望するのか、その理由まで整理しておくと、面接での受け答えが具体的になります。(出典:令和8年度淡路市職員採用候補者試験|淡路市)

上記は、淡路市が公表した令和8年度職員採用候補者試験の募集情報にもとづくものです。第2次試験以降の科目・面接の形式・配点・提出書類は、淡路市の最新の試験案内でご確認ください。試験の構成・配点等は、年度や職種によって異なる可能性があります。

淡路市役所が求める人物像

淡路市の令和8年度職員採用候補者試験の募集情報には、「求める人物像」として項目立てられた記載はありません。最新の試験案内で公表されている場合はそちらが第一の手がかりになりますので、受験前に必ず確認してください。

そのうえで、市の規模と条件から考えられることを整理しておきます。淡路市は人口4万人余り、市域184.24平方キロメートル。一般行政職の採用予定は2つの採用時期をあわせて15人程度です。

この規模の市役所では、一つの部署が扱う分野が広く、担当者が制度の内容を調べるところから住民への説明までを一人で通すことになります。

初めての仕事でも自分で資料に当たり、分からないところは周りに確かめながら形にしていく。そういう進め方ができる人が、結果的に仕事を任されていくはずです。

もう一つは、地域との距離の近さです。人口4万人余りのまちでは、市役所の職員も一人の住民としてその中で暮らします。

約束した期日を守る、伝え方に気を配る、仕事とそれ以外の線引きを保つ。その積み重ねが市役所そのものの信用として受け止められる環境だと考えられます。

以上の二点は、採用予定15人程度という数字と4万人余りという人口規模から逆算した推測にとどまります。淡路市が資質として言葉にしたものではありませんので、面接で「市が求めているのは」と切り出す使い方はしないでください。

第1次がSPIということは、専門科目の積み上げを持ち込む場が用意されていないということでもあります。その分、震災の記憶を残し続けているこのまちのどの部分に自分は関わりたいのかを、具体的な言葉で持っておくことが準備の中心になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。淡路市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどちらから来られましたか?島外からの受験者も多い。移動の話から、この市で働くことをどれだけ具体的に考えてきたかがのぞく
② 動機・志望なぜ淡路市を志望するのですか?島内の3市はそれぞれ独立して採用試験を行っている。そのうえで淡路市を選んだ理由に中身があるか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?第1次でSPIの性格検査を受けている。自己申告と検査で見える傾向の方向がそろっているか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください一人の担当者が広い範囲を受け持つ職場。自分で調べて最後まで運んだ実績があるか
⑤ 学業・経歴これまでの学びや仕事で身につけたことを教えてください第1次に専門科目がない分、何を学んできたかは面接で直接尋ねられる。市の仕事に引き寄せて語れるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?一般行政職は令和8年10月採用と令和9年4月採用の2区分。時期の希望とその理由まで説明できるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?震災の記憶を受け継ぐ自治体。社会の出来事に自分の立場を持てているか

もっとも、この7カテゴリーが押さえているのは、全国どこを受けても問われる範囲です。第1次がSPIで受験のハードルが低いぶん、同じ準備をしてきた人と横並びになる場面も出てきます。

差が出るのは、次に挙げる淡路市の事情に踏み込んだ質問のほうです。

合否を分けるのは「淡路市役所ならでは」の質問

「なぜ兵庫県庁ではなく、淡路市役所を志望するのですか?」
「淡路市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

1問目は、島に3つの市がある淡路島では特に重みを持ちます。県の広域行政とも、隣の市とも違う淡路市役所を選んだ理由が問われるからです。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「淡路市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい淡路市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か淡路市は面積184.24平方キロメートルに4万人余りが暮らす市で、洲本市・南あわじ市とは別団体。採用試験も市が単独で実施し、第1次はSPI県と市の権限を比べるより、この規模の職場で自分が誰と接して仕事をしたいのかを語るほうが、志望の中身が伝わります
高齢化の現在地住民基本台帳の令和8年1月1日現在で65歳以上が38.5%、75歳以上が23.2%。兵庫県全体はそれぞれ29.5%、17.6%県との差を指摘するだけでなく、4人に1人が75歳以上という構成が現場のどんな場面に表れるかを一つ挙げて話します
震災の記憶兵庫県南部地震の震源は淡路島北部(深さ16キロメートル、マグニチュード7.3)。野島断層は平成10年に国の天然記念物に指定され、市内小倉地区の一部が北淡震災記念公園で保存・公開当時の被害を語るのではなく、この場所を誰にどう伝える資源として使いたいかという、これからの話に振ります
採用の枠組み一般行政職は令和8年10月採用5人程度と令和9年4月採用10人程度を、同一試験で募集しているどちらの時期を希望するのか、その理由を自分の状況に即して説明できるようにしておきます
立地の二面性海上で神戸市・明石市と向かい合い、淡路島と本州は明石海峡大橋(全長3,911メートル、1998年4月完成)で結ばれている大都市に近いという強みと、市域内の移動の難しさという弱みを両方挙げると、地理を実感として捉えていることが伝わります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

募集情報の範囲では項目立てられた人物像が見当たらないため、ここでは選考の設計と市の条件に照らして、確かめられていると考えられる資質を整理します。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自分で調べて運ぶ力一人の担当者が広い範囲を受け持つ職場で、前例のない仕事にどう向き合うかが問われる誰も答えを持っていなかった場面を選び、どこまで自力で進め、どこで人の力を借りたかを分けて話せるようにします
伝え方への気配り4万人規模のまちで、日常の場面でも市民と顔を合わせる環境にどう向き合うか相手によって説明のしかたを変えた経験を用意し、変えた理由と、その結果どう受け止められたかまで添えます
この市に来る理由の具体性第1次がSPIで専門科目の蓄積が問われないぶん、志望理由の中身が面接でそのまま出る淡路市の何に関心があるのかを一つに絞り、そこで暮らし働く姿を自分の言葉で描けるようにしておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

面接の形式や回数が直前まで分からない場合ほど、どの形で来ても崩れない準備が効いてきます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の試験案内を確認し、募集職種と採用時期、第2次試験以降の科目を把握する。一般行政職なら10月採用と4月採用のどちらを希望するかも決めておく
  2. 高校・大学生活や職務の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 第1次のSPIに向けて、能力検査の出題形式に慣れておく。性格検査は面接での受け答えと方向がそろうよう、自分の傾向を言葉にしておく
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から志望分野に近い事実を2〜3個選んで、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。面接の形式が事前に分からない場合に備え、一人で話す形と複数人で話す形の両方を試しておく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4のSPI対策を先に済ませてください。淡路市では第1次のSPIを通らなければ次の段階に進めません。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、淡路市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

淡路市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

淡路市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の職員採用候補者試験でいえば、一般行政職の入口はSPIです。専門科目の暗記量で差がつく設計にはなっていません。

その分、なぜこの市なのかという問いに、どこまで自分の言葉で答えられるかが効いてきます。第2次以降の科目や面接の形式は最新の試験案内で必ず確認したうえで、どの形で来ても答えられる準備をしておきましょう。

淡路市は、大きな地震の震源となった土地を国の天然記念物として残し、公開し続けている自治体です。4人に1人が75歳以上という年齢構成の中で、その記憶をどう次に渡すのか。

答えの決まっていない問いを抱えたまちで働くということが、この市を志望するということでもあります。

試験案内を開く前に、自分がその問いのどこに手を伸ばしたいのかを考えてみてください。