本記事では、神戸市職員採用試験の面接対策で必要な、神戸市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。大学卒・総合事務の【基礎的能力・専門試験方式】と【適性検査方式】を軸に整理しました。
神戸市役所の面接試験では、「なぜ神戸市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、神戸市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と神戸市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
神戸市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは神戸市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 兵庫県の県庁所在地であり、東灘・灘・中央・兵庫・北・長田・須磨・垂水・西の9区で構成される政令指定都市。
- 市域は標高931メートルの六甲山を主峰とする六甲山系によって南北に二分され、大阪湾に面した南側では山麓に沿って市街地が東西に細長く伸びる。海と山が近接した地形そのものが、まちの姿を決めている。
- 陸では明石市・三木市・三田市・宝塚市・西宮市・芦屋市・加古郡稲美町と、海上では淡路市と接する。
- 住民基本台帳による人口は1,487,090人(令和8年1月1日現在)。同じ台帳による兵庫県全体(5,364,773人)のおよそ28%が神戸市で暮らしている。
- 神戸港に加えて神戸空港を抱える。空港は2025年に国際チャーター便の運用を開始し、2030年前後の国際定期便就航をめざす。
- 令和6年の観光入込客数は行祭事・イベントを除いて2,122万人、観光消費額は3,631億円。市街地・神戸港・六甲・有馬・須磨といった性格の異なるエリアが分散して集客している。
- 令和8年度の当初予算は全会計で2兆146億円。市税収入は3,436億円で、一般会計歳入の35.1%を占める。
- 経常収支比率は令和6年度決算で98.7%と、自由に使える財源はごくわずか。財政力指数は0.76で推移している。
- 令和8年度は、新しい最上位計画である「第6次神戸市基本計画」と、その実施計画「神戸2030ビジョン」がスタートした初年度にあたる。
神戸市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「神戸市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、高齢化の進み方、行政区構成、財政規模など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 1,487,090人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 435,572人(29.3%、兵庫県29.5%) |
| 75歳以上人口 | 259,137人(17.4%、兵庫県17.6%) |
| 総面積 | 556.93km² |
| 人口密度 | 約2,670人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 総世帯数 | 766,350世帯 |
| 行政区数 | 9区 |
| 令和8年度当初予算 | 全会計2兆146億円(うち一般会計9,778億円) |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合、区ごとの値、および兵庫県の値は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。総世帯数は神戸市の推計人口(令和8年1月1日現在)、総面積は同資料の記載値、当初予算は令和8年度当初予算によります。住民基本台帳と市の推計人口は集計の基準が異なるため、人口の水準そのものを両者の間で比べることはできません。国勢調査を基準とする数値とも直接比較しないでください。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
数字から考えられる市政課題
神戸市の高齢化率29.3%は、兵庫県全体の29.5%とほぼ並びます。150万人規模の大都市でありながら、高齢化の進み方は県平均並みだということです。
ただし、市全体の平均値だけを見ていると読み違えます。区別に見ると、都心の中央区の23.1%に対して市西部の須磨区は33.4%、内陸の北区は32.8%と、同じ市の中で10ポイント前後の開きがあります。
65歳以上435,572人のうち75歳以上が259,137人と6割近くを占める点も含めて、「神戸市の高齢化」は一枚岩ではありません。
人口の動きも同じ構図です。市の推計人口では、令和7年(2025年)の1年間に転入等79,689人・転出等74,910人で社会増4,779人となった一方、出生7,864人に対して死亡19,090人で自然減が11,226人にのぼり、差し引き6,447人の減少となりました。
転入が続いていても、それを上回る速さで自然減が進んでいる状態です。(出典:神戸市の推計人口|令和8年1月1日現在)
区ごとの差と自然減の速さは、面接で次のようにつなげられます。
神戸市の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 就業人口の産業別構成(令和2年国勢調査、分類不能を除く)は第1次産業4,645人(0.8%)、第2次産業117,546人(19.4%)、第3次産業484,485人(79.9%)。
- 平成27年国勢調査との比較では、第2次産業が20.0%から19.4%へ下がり、第3次産業が79.2%から79.9%へ上がった。サービス経済化がゆるやかに進行している。
- 令和8年度一般会計の歳入9,778億円のうち市税収入は3,436億円(35.1%、前年度比122億円増)で、個人所得と固定資産税の増加により過去最大規模となった。
- 令和6年度決算の財政力指数は0.76、実質公債費比率4.9%(早期健全化基準25%)、将来負担比率64.5%(同400%)。
つまり、第3次産業が約8割を占めつつ、第2次産業も2割近くを保っているのが神戸経済の姿です。港と結び付いたものづくりの層が残っていることは、産業振興や雇用の話題を組み立てるときの前提になります。(出典:神戸市の財政状況資料集|令和6年度)
2つの港と国際化
神戸市は、海の港と空の港を両方持つ都市です。神戸空港は2025年に国際チャーター便の運用を開始し、国内線の発着枠も拡大しました。
2030年前後の国際定期便の運用開始に向けて、第2ターミナルビルの整備やエプロン拡張といった機能強化が進んでいます。海側では、令和8年度予算で神戸国際コンテナターミナルの事業が港湾事業会計に計上されるなど、港湾機能への投資が続いています。
志望動機で「国際都市・神戸」に触れるなら、イメージではなくこの2つの港の具体的な動きに寄せて話しましょう。(出典:神戸空港について|神戸市)
観光業
令和6年の観光入込客数は、行祭事・イベントを除いて日帰り客1,656万人・宿泊客466万人の合計2,122万人(前年比105.9%)。イベントを含めた総合計は2,924万人(前年比110.5%)でした。
観光消費額は3,631億円(前年比128.8%)で、内訳は宿泊客2,016億円・日帰り客1,615億円と宿泊分が過半を占めます。エリア別では市街地1,811万人、神戸港643万人、西北神315万人、須磨・舞子278万人、六甲・摩耶189万人、有馬137万人と分散し、都心も海も山も温泉も一つの市にあるという構造が数字に出ています。
面接では名所を並べるのではなく、この消費額をどう市内経済へ広げるかという視点まで用意したいところです。(出典:神戸市観光入込客数調査|令和6年)
農村・里山というもう一つの顔
港と都心のイメージが強い神戸市ですが、市域の北側と西側には農村と里山が広がります。市は令和8年度の予算編成で「森林・里山の再生『森の未来都市 神戸』」を柱の一つに掲げ、2026年度の採用試験では、この分野を推進する担い手として「農業土木」区分を新設しました。
同時に、市政のデジタル化をけん引する「総合事務(データ/デジタル)」区分も新たに設けられています。どの分野を志望するにしても、市が人を増やそうとしている領域がどこかを知っておくと、志望動機の置き場所が定まります。
神戸市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、神戸市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と若い世代の転出
神戸市の将来推計人口(2025年推計)では、総人口は2025年の約149万人から2040年に約132万人、2050年に約119万人、2070年には約91万人へ減る見通しです。同じ推計で高齢化率は2025年の29.2%から2040年35.9%、2050年39.2%へ上昇します。
市はこの状況を受けて、大学進学などで若い世代が多く転入する一方、就職や結婚・子育てのタイミングで転出する人が多い傾向があると分析し、実施計画の目標に「22〜39歳の社会動態の転出超過を解消」を掲げました。人口を増やすことではなく、出ていく人を減らすことに目標が置かれている点が特徴です。(出典:神戸市将来推計人口|2025年推計)
南海トラフ巨大地震と津波への備え
兵庫県が平成26年6月に作成した南海トラフ巨大地震・津波の被害想定(夏の昼12時に発災した場合)では、神戸市の死者は9,344人と見込まれ、そのうち9,264人が津波によるものとされています。建物被害は全壊2,716棟・半壊25,040棟、避難所生活者はピーク時44,115人、帰宅困難者は239,579人。
最大津波水位は3.9メートルで、1メートルの津波の到達は83分後と想定されています。到達までに1時間以上あるという想定は、裏を返せば、その時間に何ができるかで結果が変わるということでもあります。(出典:南海トラフ巨大地震の被害想定(兵庫県作成分)|内閣府防災)
地震以外のリスクもあります。六甲山系の大部分に分布する花こう岩は風化が進んで崩れやすく、表六甲側は流路の短い川が多いため、短時間の強い雨で一気に水が出やすい地形です。土砂災害と都市型水害への備えは、この地形と切り離せません。
余裕のない財政運営
令和6年度決算の経常収支比率は98.7%(前年度97.6%)です。毎年決まって入ってくる収入のほとんどが、人件費など毎年固定的にかかる支出で埋まっている状態を示します。
実質公債費比率4.9%、将来負担比率64.5%と、財政の健全性を測る国の基準そのものは下回っていますが、新しいことを始めるには何かを見直さなければならない構造は変わりません。市が令和8年度の予算編成で「投資の好循環の創出により、将来世代が過度な負担を背負い込むことがないよう」と述べているのは、この制約を前提にした言い方です。
オールドタウン化と都市のスポンジ化
市は令和8年度の予算編成方針で、人口減少への対応として「オールドタウン化や都市のスポンジ化」への対策を明示しました。かつて計画的に開発されたニュータウンで住民が一斉に高齢化する現象と、市街地のあちこちに空き家や空き地が虫食い状に生じる現象です。
区別の高齢化率に10ポイント前後の開きがあるとおり、この課題は市内で一様に進んでいるわけではありません。市は「都心・ウォーターフロント」「既成市街地・ニュータウン」「森林・里山」という3つの再生を並べて掲げており、それぞれ処方箋が違うという認識が計画の立て方に表れています。
政令指定都市としての役割と県との関係
神戸市は政令指定都市であり、地方自治法の仕組みのうえで、都道府県が処理する事務の相当部分を市自身が担っています。9つの区役所は、その事務を市民に近い場所で受け止める窓口です。
一方で市は、令和8年度の予算編成で「圏域経済を牽引する大都市」「国内外に貢献する持続可能な大都市」という言い方を重ねて用いており、市域の中だけで完結しない役割も引き受けようとしています。この二面性は、面接の定番質問「なぜ県庁ではなく市役所なのか」に直結します。
県と市の守備範囲の違いを、制度の用語ではなく自分がやりたい仕事の言葉で説明できるよう準備しておきましょう。
神戸市の重点政策|第6次神戸市基本計画
神戸市の市政運営の土台となる最上位計画は、「第6次神戸市基本計画 -2035年の神戸-」です。この総合基本計画は、計画期間を定めない基本構想、令和8年度から令和17年度までの10年間を対象とする基本計画、令和8年度から令和12年度までの5年間を対象とする実施計画「神戸2030ビジョン」という3層で構成されています。
令和8年度がその初年度です。(出典:第6次神戸市基本計画|神戸市)
前の計画にあたる「神戸2025ビジョン」「第5次神戸市基本計画」は2026年3月で計画期間が終わっています。名称が似ているため、受験の際は現行計画の名前を取り違えないようご注意ください。
計画を貫く考え方
基本構想は、神戸らしさを「海と山に囲まれた美しいみなとまち」「多彩な表情を見せるまち」「人間らしいあたたかみのあるまち」の3つで描き、そのうえで「時代を彩る産業とひとが育つまち」「新たな価値の創造を実現するまち」「それぞれの夢に挑戦できるまち」「一人ひとりが幸せを感じられるまち」という4つのありたい姿を掲げています。
基本計画はここから10年後の都市像を描き、実現に向けた3つの方向性を示す、という順序で組み立てられています。
受験生として押さえておきたいのは、この計画が成果の測り方まで決めている点です。
数値目標には、実質GDP成長率1%以上(年換算)の達成と地域経済循環率100%以上の維持という経済指標、生活関連サービスを提供する市街地の比率の維持と22〜39歳の社会動態の転出超過の解消という人口指標、Well-Being指標に基づく幸福度6.5以上・生活満足度7.0以上という幸福度指標が並びます。
経済・人口・幸福度を横並びで置いているのが神戸市の目標設定です。
都市像を実現するための3つの方向性
| 方向性 | 掲げる姿と主な内容 |
|---|---|
| Ⅰ 世界と繋がる2つの港 | 「新たな時代の国際都市」へ。空港の国際化を軸に多様な人材・技術・文化を取り込み、都心・ウォーターフロント再開発、ものづくり・港湾・農水産・食・観光・医療バイオなどの発展と新産業の創出を進める |
| Ⅱ 個性豊かで多様な地域の融合 | 「日常と非日常が交わり続ける都市」へ。都心での商業・業務と居住の調和、既成市街地とニュータウンでの駅を中心とした生活利便施設の刷新と職住近接、海や山・農村里山の保全と交流促進、公共交通網の維持 |
| Ⅲ ともに乗り越え育んだ絆 | 「いつまでも幸せを感じ、分かち合える都市」へ。地域でのつながりと支え合い、子育て・教育環境の充実、健康・福祉の増進、安全で快適な住環境、新技術による環境貢献と防災力強化、震災支援への感謝を国内外への貢献につなげる |
基本姿勢として置かれているのは、短期的な効果ではなく長期的な視点に立ち、都市の持続可能性を最重視するという考え方です。面接では、自分の取り組みたい仕事がこの3つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、市の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の市政運営のポイント
令和8年度の当初予算は全会計で2兆146億4,600万円、うち一般会計は9,777億8,100万円です。
神戸市は独立した施政方針演説の文書を公表しておらず、市長名の政策表明は当初予算の概要の冒頭に置かれた「令和8年度予算編成にあたって」が担っています。そこでは、都心三宮とウォーターフロントに新しいにぎわいが生まれつつあること、郊外でも拠点駅を核にまちが表情を変えつつあることが述べられ、施策は次の5つの柱に整理されています。
| 柱 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 1 強靭で力強いまちづくり | 災害対応の高度化や物価高騰対策により、市民のくらしと安全を確保する |
| 2 人間らしいあたたかいまちづくり | 子育て環境や地域社会の変化に対応し、誰もがいきいきと暮らせるまちをつくる |
| 3 グローバル社会に羽ばたくまちづくり | 神戸空港の国際化を契機に、圏域経済を牽引する新たな国際都市を実現する |
| 4 海と山を感じる美しいまちづくり | 豊かな自然環境と暮らしが調和した、多様なライフスタイルを提供する |
| 5 対話と参加が進むまちづくり | 地域協働と市民参画により、市民の知恵や想いを結集した行政運営を行う |
柱の下には、あらゆる危機への対応、子育ても仕事もできるまち、都心の再生と非日常空間の創出、森林・里山の再生「森の未来都市 神戸」、データ・デジタル先進都市の推進といった項目が並びます。保有するデータやエビデンスに基づく政策立案(EBPM)を人口減少時代の行政運営の軸に据えている点は、志望動機を組み立てるときに効いてきます。(出典:神戸市 令和8年度当初予算の概要)
POINT|5つの柱の項目名をすべて暗記しなくてよい
名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「神戸市の国際化に関わる仕事がしたいです」
改善例「神戸空港で国際チャーター便が動き始めたと聞きました。まずは目の前の仕事を覚えたいですけれども、その先で、訪れた方が三宮から六甲や有馬まで足を延ばしたくなるような案内のしかたを、事業者の方と一緒に考える仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
- 神戸市職員採用試験の受験案内(最新年度・自分が受ける方式のもの)/職員採用情報のページ
- 第6次神戸市基本計画と、実施計画である神戸2030ビジョン
- 最新年度の当初予算の概要(冒頭の「予算編成にあたって」が実質的な市政運営の方針)
- 神戸市の推計人口(月報)と将来推計人口/関心分野の個別計画
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、神戸市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。神戸市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
神戸市役所の面接の概要
ここからは、神戸市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
神戸市役所の面接の流れ
神戸市の採用試験は、神戸市人事委員会が実施します。大学卒の総合事務には【基礎的能力・専門試験方式】と【適性検査方式】の2つがあり、同一年度に人事委員会が実施する試験を重複して受験することはできません。
どちらを選ぶかは、筆記の負担と面接の重みの両方を見て決めることになります。【適性検査方式】では最終合格の判定に第1次試験の得点が算入されず、判定は第2次試験と第3次試験の総合成績だけで行われるためです。
| 項目 | 基礎的能力・専門試験方式(大学卒・総合事務) | 適性検査方式(大学卒・総合事務) |
|---|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の三段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の三段階 |
| 第1次試験 | 基礎的能力(択一式)160点+専門(択一式)140点。ほかに適性検査(性格検査・配点なし) | 適性検査(SPI3)100点。基礎能力検査100点・約35分と、配点のない性格検査・約30分(面接の参考とされる) |
| 第2次試験 | 面接200点。個別面接(Web)により実施 | 面接200点。個別面接(Web)により実施 |
| 第3次試験 | 面接200点+グループワーク100点+論文100点。個別面接は対面 | 面接200点+グループワーク100点。論文はなし。個別面接は対面 |
| 面接の形式 | 個別面接が2回。集団面接・集団討論という名称の種目は設けられていない | 個別面接が2回。集団面接・集団討論という名称の種目は設けられていない |
| 合格者の決定 | 第2次は第1次の得点を2分の1に換算して第2次と総合。第3次は第1次を2分の1に換算し、第2次・第3次と総合 | 第1次は第1次の成績、第2次は第2次の成績、第3次は第2次および第3次の総合成績で決定 |
| 提出書類 | 第1次合格発表後に「履修履歴のわかるもの(成績証明書等)」を提出 | 第1次合格発表後に「事前課題レポート」と「履修履歴のわかるもの(成績証明書等)」を提出 |
【基礎的能力・専門試験方式】の第1次試験は、基礎的能力が知能分野25題必須解答(文章理解・判断推理・数的推理・資料解釈)と知識分野20題からの15題選択解答(社会事情)で2時間30分、専門は16分野から5分野を選んで25題を1時間20分で解く形式です。第1次の300点は最終判定で2分の1に換算されるため、150点相当まで縮みます。
一方、第2次と第3次の面接だけで合計400点、これにグループワーク100点と論文100点が加わります。さらにこの方式の受験案内は、面接・グループワーク・論文のいずれかが一定の基準に達しない場合は他の成績にかかわらず不合格とすると明記しています。
配点が100点にとどまるグループワークや論文を後回しにするという時間の使い方は、この一文があるかぎり取れません。どちらも題は試験当日に示されますから、市の課題について自分の考えを持っているかどうかが、議論の場でも答案でも表に出ます。
筆記で稼いだ差が最後まで効き続ける試験ではない、と理解しておきましょう。
この配点の置き方は、方式を選ぶときの判断軸にもなります。【基礎的能力・専門試験方式】なら、換算後の150点相当は第3次の判定まで残ります。
専門で5分野を選べる形式ですから、大学で学んだ分野を持ち込める人にとっては、勉強した分が最後まで手元に残る持ち点になります。
これに対して【適性検査方式】のSPI3の100点は、第1次を通過するための関門にとどまります。第2次の合否も第2次試験の成績だけで決まるため、Web面接の200点が単独の関門になります。
第2次の面接200点、第3次の面接200点とグループワーク100点。この500点だけで最終合格が決まります。
専門科目の蓄積で勝負するのか、面接とグループワークに時間を寄せるのか。申込みの段階で選んでいるのは、受ける科目よりも戦い方のほうです。
参考として、2025年度の【適性検査方式】の実施状況は、総合事務が受験者471人・合格者44人で競争倍率10.7倍、全区分の合計で受験者752人・合格者100人・競争倍率7.5倍でした。なお2026年度からは、申込みも合格発表も神戸市の採用試験専用サイトのマイページに移りました。(出典:神戸市職員採用試験 受験案内|2026年度)
上記の試験構成は、神戸市の2026年度受験案内にもとづく大学卒・総合事務の【基礎的能力・専門試験方式】および【適性検査方式】のものです。基準点の扱いを含め、試験の構成・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
神戸市役所が公表する求める人材像
神戸市は受験案内で、求める人材像として「あなたの個性が神戸の個性」~多様な個性が響き合い、神戸の強みが生まれる。~という言葉を掲げ、その中身を「チャレンジ精神」「リーダーシップ」「デザイン力(創造力)」の3つで示しています。
チャレンジ精神は社会を変えようという意欲を持ち困難な仕事にも怯まず最後までやり切る人、リーダーシップは自ら考え周囲に働きかけながら積極的に仕事を進めることができる人、デザイン力は豊かな発想や工夫により仕事をデザインできる人、と説明されています。
これとは別に、市政を担うすべての職員が備えるべき「基礎的な資質」として、高い倫理観、社会を変えようという意欲、神戸で働くことへの熱い想い、自ら考えて行動し最後までやり抜く力、チームの一員として自らの役割を果たそうとする責任感、聴く力と伝える力というコミュニケーション能力の6項目も公表されています。3つの人材像が「伸ばしてほしい方向」だとすれば、6項目は「入口で確かめられる土台」にあたります。
なぜこの3つなのか、市はその理由までは説明していません。手がかりになるのは、9つの区役所を持ち、全会計で2兆146億円を動かすという神戸市の規模のほうです。
ここから先は、その規模から仕事の中身を逆算した読み方になります。区役所の窓口では市民一人ひとりの事情に向き合い、政策部門では圏域全体を見据えた判断を求められる。
性格の違う仕事が同じ市役所の中に同居している以上、指示を待つ姿勢だけでは回りません。自ら考えて動くこと、前例のない場面で形をつくること、途中で投げ出さないことが3つに並ぶ理由も、そう置いてみると説明がつきます。
もっとも、神戸市の第3次試験では、提出した書類や履修科目にさかのぼって質疑が行われます。面接の場でこしらえた話よりも、すでに紙の上にある事実のほうが強い前提になります。手持ちの経験を神戸市の仕事に引きつけて説明する順序で準備するほうが、この試験の設計とかみ合います。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。神戸市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日の調子はいかがですか? | 神戸市は第2次がWeb、第3次が対面と場面が変わる。環境が違っても受け答えのテンポと表情が崩れないか |
| ② 動機・志望 | なぜ神戸市を志望するのですか? | 兵庫県内には多くの市があり県の試験もあるなかで、政令指定都市の神戸市を選んだ筋道が自分の経験と結び付いているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 配点はないが面接の参考とされる性格検査と、話す内容が食い違っていないか。自分を客観視できているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 求める人材像にある「最後までやり切る」が、実際の行動として説明できるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 大学で力を入れて学んだことを説明してください | 第3次面接では履修科目の内容にまで質疑が及ぶ。学びを専門外の相手に届く言葉へ置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 9つの区役所から本庁の政策部門まで職場の幅が広い。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 第3次のグループワークは当日示されたテーマで議論する。社会の出来事を自分の言葉で整理できているか |
ただし、この見取り図で準備できるのは、どの自治体でも問われる共通部分です。受験者の多くが同じ枠組みで対策してくる以上、ここで抜きん出るのは簡単ではありません。差が出るのは、次に挙げる神戸市の事情に踏み込んだ質問のほうです。
合否を分けるのは「神戸市役所ならでは」の質問
1問目は、政令指定都市を受ける以上は避けて通れない質問です。神戸市は県が処理する事務の相当部分を自ら担いながら、圏域経済をけん引する役割も掲げています。県と市のどちらでもできる仕事を挙げてしまうと、この質問は答えになりません。どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「神戸市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい神戸市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 神戸市は9つの区を持つ政令指定都市で、都道府県が処理する事務の相当部分を市が担う。令和8年度の当初予算は全会計で2兆146億円 | 制度の説明で止めず、区役所の窓口と圏域を見据えた政策の両方が一つの市役所にあることを、自分がやりたい仕事と結び付けて話します |
| 人口の現在地 | 住民基本台帳による人口は1,487,090人(令和8年1月1日現在)で65歳以上が29.3%。市の推計人口では令和7年の1年間に社会増4,779人・自然減11,226人となり、差し引き6,447人減 | 「減っている」で終わらせず、転入は続いているのに自然減が上回るという内訳まで押さえ、どちらに手を打つ話をしたいのかを明確にします |
| 市の最上位計画 | 令和8年度が初年度の「第6次神戸市基本計画」。基本構想・基本計画・実施計画「神戸2030ビジョン」の3層で構成され、3つの方向性を掲げる | やりたい仕事が3つの方向性のどれに位置づくかを一言添えます。前計画の「神戸2025ビジョン」と名前を取り違えないことも大切です |
| 防災・危機管理 | 兵庫県が平成26年6月に作成した南海トラフ巨大地震の被害想定(夏の昼12時発災)では、市内の死者9,344人のうち9,264人が津波によるもの。最大津波水位3.9メートル、1メートルの津波到達は83分後 | 数字の暗記より、到達までの83分をどう使うかという視点で、避難の呼びかけや日ごろの備えについて自分の考えを述べます |
| 神戸市の魅力 | 令和6年の観光入込客数は行祭事を除いて2,122万人、観光消費額3,631億円(前年比128.8%)。神戸空港は2025年に国際チャーター便の運用を開始 | 名所を挙げるのではなく、空港の国際化と観光消費を市内の経済へどう還元するかという、市が描いている道筋まで踏み込みます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、神戸市が公表する3つの求める人材像と、全職員に求められる「基礎的な資質」6項目に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| チャレンジ精神 | 困難な場面で引かずに最後までやり切った経験があるか。第3次面接では提出書類や履修内容にさかのぼって行動の中身を尋ねられる | 「やり切った」と言える出来事を一つ選び、途中で何が起きて、何を変えて続けたのかを時系列で書き出しておきます |
| リーダーシップ | 自ら考えて周囲に働きかけた場面があるか。第3次のグループワークでは、当日示されたテーマで議論し提案・発表する過程がそのまま見られる | 役職の有無ではなく、誰にどう声をかけて何が動いたのかを、相手の反応まで含めて説明できるようにします |
| デザイン力(創造力) | 決まったやり方をなぞるのではなく、発想や工夫で仕事の形を変えた経験があるか | 大きな発明である必要はありません。手順を一つ変えて手間が減ったという程度の改善で十分なので、思いついた理由まで語れるようにします |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。神戸市は個別面接が2回あり、しかも2回目は提出書類を手がかりに掘り下げられます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験案内を読み、【基礎的能力・専門試験方式】と【適性検査方式】のどちらで受けるかを決める。同一年度に人事委員会の試験を重複して受験することはできないため、配点と提出書類まで見比べてから選ぶ
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 履修科目の一覧を見返し、学んだ内容を専門外の人に3分で説明できる形にしておく。【適性検査方式】で受けるなら、事前課題レポートは提出後も手元に控えを残し、掘り下げられる前提で読み返す
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から志望分野に近い事実を2〜3個選んで、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。第3次にはグループワークがあるため、初対面の相手と時間内に結論を出す練習も一度は入れておく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4の学業の整理を先に済ませてください。神戸市の第3次面接は履修内容にまで質疑が及ぶため、そこが空白のままだと、市の知識をいくら足しても答えが薄いままになります。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、神戸市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
神戸市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
大学卒・総合事務は、【基礎的能力・専門試験方式】でも【適性検査方式】でも、第2次と第3次がそろって個別面接で、そこにグループワークが重なります。筆記の準備が終わったところが出発点だと考えておいたほうが、実際の試験の形に近いはずです。
神戸市が掲げる「あなたの個性が神戸の個性」という言葉は、裏を返せば、そろえた答えではなくあなた自身の輪郭が見たいという意味でもあります。区ごとに高齢化の進み方が違い、都心と港と里山が同じ市域に同居するこの都市で、自分は何をしたいのか。
その答えは、履修した科目の話からでも、アルバイト先での一場面からでも組み立てられます。手元にある材料を並べ直すところから始めてみてください。