本記事では、宝塚市職員採用試験の面接対策で必要な、宝塚市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

宝塚市役所の面接では、「なぜ宝塚市を志望したのか」「市の職員としてどんな仕事に取り組みたいのか」「あなたの経験を宝塚市政のどこで生かせるのか」といった、市の実情を知らないままでは深く答えられない質問が想定されます。市の姿を数字と事実でつかんでおけば、どこの市にも当てはまる話に流れることなく、宝塚市の事情に足をつけた説明ができます。

試験に関する記述は、令和9年度採用の宝塚市職員募集要項で公表されている事務職の内容を軸にしています。技術職や年度が違う場合は構成も変わりますので、その前提でお読みください。

第1部|自治体研究編

宝塚市の特徴

面接対策の入口として、まず宝塚市がどういうまちなのかを一度に眺めておきましょう。時間の限られている方は、この節だけでも目を通してください。

  • 兵庫県の南東部に位置し、神戸市・伊丹市・西宮市・川西市・三田市と川辺郡猪名川町に囲まれる。県が神戸・阪神地域と呼ぶ区域の一角にあたる。
  • 人口は226,617人(令和8年1月1日現在)。住民基本台帳ベースでは、兵庫県内29市のうち7番目の規模にあたる。
  • 平成15年4月1日に特例市へ移行し、現在は施行時特例市として位置づけられている。県から移譲された事務を含めて、一般の市より広い範囲の権限を持つ。
  • 宝塚大劇場と宝塚音楽学校を擁する、宝塚歌劇の本拠地。大劇場は100年を超える歴史を持ち、オーケストラの生演奏とともに連日公演が行われている。
  • 市域は101.80平方キロメートル。土砂災害警戒区域の指定は北部の西谷地区と南部市街地とで時期が分けて行われており、市域内の条件が一様でないことがうかがえる。
  • 平成7年の阪神・淡路大震災では震度7が観測された地域のひとつ。市はその後、六甲山系グリーンベルト整備事業の対象区域の東端にあたるなど、山際の安全対策を含む備えを積み重ねてきた。
  • 正規職員の採用は市が単独で実施しており、申込から結果の確認までを市独自の宝塚市職員採用システムで完結させる形をとっている。
  • 令和9年度採用では、事務職10名程度に加えて土木・建築・機械の技術職が別枠で募集された。都市基盤を自前で抱える市の性格が、採用の職種構成にも表れている。

宝塚市の基礎データ

自治体研究では細かい統計値を丸ごと覚える必要はありませんが、宝塚市がどれくらいの規模の市なのかという感覚だけは持っておきたいところです。

人口とその年齢構成、市域の広さ、周囲の自治体との関係を並べます。比べる相手として兵庫県全体の値も添えました。

項目内容
総人口226,617人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口66,440人(総人口の29.3%)
75歳以上人口40,499人(総人口の17.9%)
総面積101.80km²
人口密度約2,226人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体神戸市、伊丹市、西宮市、川西市、三田市、川辺郡猪名川町
市制上の位置づけ施行時特例市(平成15年4月1日に特例市へ移行)
市役所所在地〒665-8665 兵庫県宝塚市東洋町1番1号
市の花・市の木市の花はスミレとダリア、市の木はサザンカとヤマボウシ
(参考)兵庫県の総人口5,364,773人(令和8年1月1日現在)
(参考)兵庫県の高齢化率29.5%(同日現在。75歳以上は17.6%)

総人口・年齢別人口・高齢化率および県内順位は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。兵庫県が別に公表している推計人口(次節で触れます)は国勢調査を基礎とする別系列ですので、両者を並べて増減を計算しないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

宝塚市の年齢構成には、少し変わった特徴があります。65歳以上の割合は29.3%で、同じ調査の兵庫県全体の29.5%をわずかに下回ります。

ところが75歳以上の割合は17.9%と、県全体の17.6%を上回っています(いずれも令和8年1月1日現在)。高齢者の数そのものは県平均並みでも、そのなかで後期高齢期に入っている方の比重が重い、という並びになっているわけです(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在)。

この差は、医療や介護、外出支援といった分野の需要が、単純な高齢化率の順位よりも早く重くなることを意味します。しかも市域の面積は101.80平方キロメートルあり、南部の市街地と北部の西谷地区では住まいの密度も交通の条件もまるで違います。

同じサービスを同じやり方で届けるだけでは届かない人が出てくる、という構図です。たとえば面接では、次のように数字と課題をつないで話せます。

「宝塚市は22万人を超える市ですが、75歳以上の方の割合が県の平均より高いと知りました。人数が多いというだけでなく、支援が必要になりやすい年代の方が厚いということだと思いますので、届け方の工夫が要る仕事に関わってみたいです」

宝塚市の経済・産業

阪神地域という立地条件

宝塚市の経済を考えるときは、市単体を切り取るよりも、兵庫県のなかで人と仕事がどこに集まっているかを先に押さえたほうが早く整理できます。県の資料によれば、兵庫県の人口の6割が、県土面積の14%にあたる神戸・阪神地域に集まっています。

宝塚市はその神戸・阪神地域の一角にあり、南西では神戸市と直接境界を接しています。県内で人と仕事の密度が最も高い側に属する市だ、という前提から話を始められるわけです(出典:兵庫県の現状と課題の整理|2023年)。

裏を返せば、住む場所として選ばれるかどうかが市の体力を左右しやすい、ということでもあります。県全体では平成23年以降、東京圏と大阪府への転出超過が続いており、とくに20歳代の流出が止まっていません。

一方で0歳から14歳と30歳代の層、つまり子育て世帯では転入超過が広がっているという分析も同じ資料に示されています。若い単身層と子育て世帯とで動きが逆を向いている、というのは阪神地域の市役所を志望するなら一度は考えておきたい論点です。

県全体の経済規模から見た位置

兵庫県の令和5年度の県内総生産は名目で23兆9,895億円(前年度比2.7%増)、県民総所得は25兆4,318億円(同1.7%増)で、名目・実質ともに3年連続の増加でした。県は自らの強みとして、ものづくり産業の集積、科学技術の基盤、多彩な食材と食文化、国際性豊かな地域社会を挙げています(出典:兵庫県民経済計算|令和5年度)。

宝塚市はこのうち工場地帯や港湾を抱える市ではありません。産業の主役が製造や物流ではなく、住まいと、そこに付随する生活のサービスにあるまちだ、という理解のほうが実態に近いといえます。

市の職員採用が事務職と並んで土木・建築・機械の技術職を毎年立てているのも、住宅地としての基盤を維持し続けることが仕事の大きな柱になっているからだと読めます。

宝塚歌劇と観光

宝塚市を全国区にしているのは、やはり宝塚歌劇です。市内には宝塚大劇場と宝塚音楽学校があり、大劇場は100年以上の歴史を持つ宝塚歌劇の専用劇場として、オーケストラの生演奏を伴う公演が連日行われています(出典:宝塚市公式サイト「宝塚の宝もの」|宝塚歌劇)。

兵庫県全体の観光の姿も押さえておきましょう。令和5年度の県内の観光入込客数は1億2,232万人(対前年度比106.8%)で、内訳は日帰客1億1,085万人・宿泊客1,147万人。宿泊は全体の9.4%にとどまります。

目的別では、多い順にスポーツやレクリエーションが3,549万人、歴史・文化が2,724万人、都市型観光が1,830万人でした(出典:兵庫県観光客動態調査報告書|令和5年度)。

日帰りが9割を占める県の構造のなかで、公演という明確な目的を持って足を運ぶ人が集まる市であることは、宝塚市の観光を考えるときの出発点になります。

観光を語るなら、来場者の数ではなく、その人たちの滞在が市内のどこにお金と関わりを落とすのか、という角度まで進めておきたいところです。

宝塚市の主な行政課題

ここまでの数字と立地条件を重ねると、宝塚市がいま何に手を入れなければならないかが見えてきます。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の5つを持っておきましょう。

高齢化の「これから」の重さ

先に触れたとおり、宝塚市は65歳以上の割合が県平均をわずかに下回りながら、75歳以上の割合では県平均を上回っています(令和8年1月1日現在)。介護保険の利用や在宅医療の必要性は、65歳の時点よりも75歳を過ぎてから急に立ち上がります。

つまり宝塚市は、高齢化率という一つの数字から受ける印象よりも一段先の段階に入りかけている可能性があります。県全体でも、将来推計では2050年に人口423万人、65歳以上が4割、4人に1人が75歳以上になる姿が示されています。

南北で条件の違う市域と土砂災害

宝塚市では、急傾斜地の崩壊と土石流について274箇所が土砂災害警戒区域に、136箇所が土砂災害特別警戒区域に指定されています。指定の時期は北部の西谷地区が平成19年3月、南部市街地が平成20年4月と分かれており、市域の南北どちらにも山際の危険箇所が広がっていることがわかります(出典:宝塚市公式サイト|土砂災害警戒区域等の指定)。

避難の呼びかけ一つとっても、住宅が密集する南部と、家が点在する北部とでは届け方を変えざるを得ません。防災を志望動機に据えるなら、この南北差まで踏み込めると話に厚みが出ます。

震災の教訓を体制につなぐこと

宝塚市は、平成7年の阪神・淡路大震災で震度7が観測された地域の一つです。市はその後、山腹の崩壊を受けて始まった六甲山系グリーンベルト整備事業の対象区域の東端にあたる自治体として、土砂災害の防止と市街地の安全確保に関わってきました。

過去の被害をどう語るかではなく、その教訓がいまの体制のどこに埋め込まれているかを説明できる状態が、面接では望ましいといえます。

地域防災力の底上げ

県の消防防災年報によると、令和6年4月1日現在の兵庫県の自主防災組織率は98.4%です。そのなかで宝塚市の組織率は94.0%と、県平均を下回る側にあります(出典:兵庫県消防防災年報|令和6年版)。

数字としては高い水準ですが、県内の多くの市町が100%に達しているなかでは、まだ伸びしろが残る位置です。

土砂災害警戒区域を多く抱える市で、地域ぐるみの備えをどう厚くするか。ここは行政だけで完結せず、自治会や事業者との関わり方が問われる領域です。

住まいとして選ばれ続けられるか

阪神地域の住宅都市にとって、人口の維持は他人事ではありません。県全体が東京圏と大阪府への転出超過を続けるなかで、住む場所として選ばれ続けられるかどうかが、市の将来の税収と担い手の厚みを決めます。

宝塚歌劇という強い看板があること、大阪と神戸の双方に通えること、一方で北部には人口の少ない区域を抱えていること。この三つが同居しているのが宝塚市の現在地です。

魅力を語るときも、看板の紹介で終わらせず、その魅力が定住にどうつながるかまで進めておきましょう。

重点政策|宝塚市のまちづくりの方向性

この章で扱うのは、計画書の目次ではありません。公表されている事実だけを頼りに、宝塚市がいま人手と予算を向けざるを得ない場所を、面接で使える形に組み直しておきます。

総合計画の現行版そのものは市の公式サイトから確認できますので、志望が固まった段階で一度は目を通しておいてください。

権限の広さから読める仕事の幅

宝塚市は平成15年4月1日に特例市へ移行し、特例市制度が平成27年に廃止された後も施行時特例市として位置づけられています。総務省が公表している施行時特例市の一覧にも、この移行年月日とともに掲載されています(出典:施行時特例市一覧(総務省)|令和5年4月1日現在)。

この位置づけは、県から移譲された事務を市が自前で処理していることを意味します。市民の目からは同じ窓口でも、その裏で扱う制度の幅は一般の市より広い、ということです。

志望動機で「市民に近い仕事がしたい」と述べる場合も、宝塚市では近さと権限の広さが両立している点まで触れられると、他の市への志望と読み替えられにくくなります。

安全に関わる領域の厚み

土砂災害警戒区域274箇所・特別警戒区域136箇所という指定の規模、六甲山系グリーンベルト整備事業の対象となる山際、そして県平均を下回る自主防災組織率。この三つが並ぶ以上、防災と都市基盤の維持は宝塚市にとって選択的な政策ではなく、続けざるを得ない仕事です。

事務職として入っても、避難情報の伝達、要支援者の把握、自治会との調整といった形でこの領域に関わる可能性は十分にあります。

都市イメージを暮らしにつなぐこと

宝塚歌劇という全国区の看板は、市にとって観光資源であると同時に、まちの名前を覚えてもらう入口でもあります。ただし公演に来た人が市内で過ごす時間は限られますし、県全体の観光も日帰りが9割です(令和5年度)。

看板の力を、来訪の一日だけで終わらせずに定住や地域の商いへどうつなぐか。ここは正解が決まっていない領域なので、自分なりの考えを持っている受験生は目立ちます。

POINT|計画の名称を並べるより、一つ深く掘る

面接で評価されるのは計画名を言えることではなく、その計画が何のためにあるかを自分の言葉で語れることです。関心のある分野を一つ選び、「①宝塚市で何が起きているか → ②市はどうしたいのか → ③いまどんな事業があるか → ④市だから担える部分はどこか → ⑤自分は何ができるか」の順で調べていきましょう。

悪い例「宝塚市の防災に貢献したいです」

改善例「まずは窓口で市民の方の話を聞くところから始めたいです。その上で、土砂災害の警戒区域が市内に270か所以上あると知りましたので、南部の住宅地と北部の集落とで避難の呼びかけ方を変えるような、地域に合わせた防災の仕事に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

次に挙げるのは、宝塚市を語る材料が集まっている場所です。全部を読破する前提ではなく、この記事を読んで引っかかった箇所の裏を取りに行く、という使い方で十分です。

  • 宝塚市職員募集要項(最新年度)と、宝塚市職員採用システムの登録画面
  • 宝塚市の総合計画(市公式サイトの最新版)
  • 最新年度の予算・市政運営に関する市長の説明資料
  • 宝塚市の防災に関するページ(土砂災害警戒区域、ハザードマップ、避難情報)
  • 兵庫県の統計・県民経済計算など、県内での位置を確かめられる資料

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、宝塚市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。宝塚市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

宝塚市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

宝塚市役所の面接の概要

ここからは、宝塚市役所の選考がどう組み立てられているかを確認し、そこから逆算して準備の方向を決めていきます。

宝塚市役所の面接の流れ

令和9年度採用の事務職は、受験申込から内定までが3段階の選考で構成されています。1次試験を通過すると2次試験で個別面接等が行われ、3次試験も個別面接です。

そして募集要項がはっきり書いているのが、2次試験・3次試験ともに、前の段階からの点数の持ち越しがないことです。前の段階で高い評価を得ていても、次の段階では改めてゼロから見られるということになります。

項目内容(令和9年度採用)
試験の段階受験申込 → 1次試験 → 2次試験 → 3次試験 → 内定の3段階選考
1次試験(事務職)申込区分「A1」の【能力検査】のみ。約70分で、事務遂行能力を測る筆記の検査
1次試験(技術職)土木・建築・機械は、【能力検査】か【教養+専門試験】かを申込時に選択。教養は90分、専門は120分
2次試験個別面接等
3次試験個別面接
段階間の得点2次・3次はいずれも前段階からの点数の持ち越しなし
採用予定数事務職10名程度、土木技術職3名程度、建築技術職3名程度、機械技術職若干名
申込・結果確認宝塚市職員採用システム(WEB)で申込。1次・2次の結果はマイページで発表、3次の結果は文書で通知。登録内容はマイページの「レジュメ」からPDFで確認できる
成績開示不合格となった人が順位のみを、結果の通知日から1か月間請求できる

上記は宝塚市の令和9年度採用の職員募集要項にもとづく内容で、本記事の解説は事務職を軸にしています。各試験の配点および集団討論・グループワークの実施については、同要項に記載を確認できていません。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内でご確認ください(出典:宝塚市職員募集要項|令和9年度採用)。

この構成から読み取れることを整理しておきます。事務職の1次試験は約70分の能力検査だけで、教養試験や専門試験を選ぶ余地がありません。

筆記で差をつける場面が小さい分、選考の重心は2次・3次の面接に寄っています。しかも点数が持ち越されないため、2次で手応えがあっても3次でもう一度、同じ深さで語り直す必要があります。

同じ話題を別の面接官から角度を変えて聞かれる前提で、覚えた答えを再生するのではなく、掘られても崩れない材料を用意しておきましょう。

宝塚市役所が求める人物像

確認した宝塚市の職員募集要項および市公式サイトの正規職員募集ページの本文には、「求める職員像」として定型化された公表文言を見つけることができませんでした。募集要項は募集期間中に公開される性格の資料ですので、最新の内容は宝塚市の職員募集ページでご確認ください。

公表文言がない以上、ここから先は選考の設計そのものを手がかりにした当研究会の読みになります。1次は能力検査のみ、2次と3次はどちらも個別面接、しかも点数を持ち越さない。

この組み立ては、限られた回数の対話で人物を判断しようという設計です。加えて、申込時に登録したレジュメが手元に残る形になっているため、書いた内容と面接での発言が食い違えばそのまま見えてしまいます。

面接対策の言葉に翻訳すれば、「言っていることが一貫しているか」「事実に即して具体的に話せるか」「宝塚市でなければならない理由を持っているか」の3点が、評価されやすい方向だと考えてよいでしょう。

もう一つ、市の規模と環境から言えることがあります。宝塚市は22万人規模の市でありながら、101.80平方キロメートルの市域に密集した市街地と人口の少ない北部を同時に抱え、6つの自治体と境界を接しています。

土砂災害への備えや高齢者の見守りのように、市の職員だけでは完結せず、自治会・事業者・近隣自治体と一緒に動かさないと形にならない仕事が多くなります。

こうした環境では、現場で拾った声を制度の側へ持ち帰れる人や、限られた人手と予算のなかで実行できる案に落とし込める人が、面接で好意的に受け止められやすいのではないかと当研究会は考えています。自己PRでも「協調性があります」で止めず、誰と、何を、どこまで動かしたのかまで語れるようにしておきたいところです。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。宝塚市の面接も、この見取り図に沿って準備すれば大きな抜けは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやって来られましたか?個別面接が2回続く試験で、最初の数十秒に出る素の表情と話し方。構えを解いて対話に入れるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間との比較で説明が止まっていないか。宝塚市で働くという選択に自分の経歴からの筋が通っているか
③ 自己理解ご自身の弱みはどこだと思いますか?2次と3次で同じ話題に戻られても揺れない、自分についての一貫した見立てを持っているか
④ 経験・行動これまでで最も苦労した経験と、その乗り越え方を教えてください出来事の大きさではなく、その場面で何を判断し、誰を巻き込んで動いたかという中身
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて学んだことを説明してください専門外の人にも伝わる言葉に置き換える力。市の仕事のどこに接続するかまで見えているか
⑥ 適性・将来採用後はどの分野の仕事に関わりたいですか?事務職として幅広い部署を回る前提を理解しているか。希望と違う配属でも力を出せるか
⑦ 公共性・社会性最近気になっている社会の出来事はありますか?身の回りの出来事を行政の課題として引き取れるか。長くならずに要点を言えるか

ただし、この7つの区分は宝塚市に固有のものではなく、多くの官公庁の面接に当てはまります。受験者の大半が対策してくる領域なので、ここだけでは差がつきにくいのが実情です。

差がつくのは、次に挙げる宝塚市固有の質問のほうです。

合否を分けるのは「宝塚市役所ならでは」の質問

「なぜ兵庫県庁ではなく、宝塚市役所なのですか?」
「宝塚市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも、市の中身を知らなければその場で組み立てようのない質問です。逆にいえば、用意してきた材料の量がそのまま表に出る質問でもあります。

宝塚市について押さえておきたい事実を、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい宝塚市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成人口226,617人で県内29市のうち7番目(令和8年1月1日現在)。65歳以上は29.3%と県平均をわずかに下回るが、75歳以上は17.9%で県平均を上回る規模の話で終わらせず、後期高齢期の比重が重いという一点に絞って話します。二つの割合を並べるだけで説明になります
なぜ県庁ではなく市役所か宝塚市は平成15年4月1日に特例市へ移行した施行時特例市で、県から移譲された事務を市が処理している制度の説明で終えず、住民に近い場所で、それでも幅のある仕事に関わりたいという自分の理由に接続します
防災・土砂災害土砂災害警戒区域274箇所・特別警戒区域136箇所を指定。北部の西谷地区は平成19年3月、南部市街地は平成20年4月の指定市域の南北で条件が違うことに触れると、地図を見た人だとわかります。自分が住民として何をするかも一言添えます
地域防災力市の自主防災組織率は94.0%で、兵庫県平均の98.4%を下回る(令和6年4月1日現在)数字の低さを指摘して終わらせず、自治会や事業者とどう関わりを作るかという担い手の話に進めます
宝塚市の魅力宝塚大劇場と宝塚音楽学校を擁する宝塚歌劇の本拠地。大劇場は100年を超える歴史を持ち、生演奏を伴う公演が連日行われている名所の紹介ではなく、来訪の一日を定住や地域の商いへどうつなぐか、という行政の課題として語ります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

宝塚市の場合、公表された人物像の文言がないため、選考の設計に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめられる、と考えておくのが現実的です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
話の一貫性2次と3次で同じ話題に戻され、前回と同じ筋で語れるか。レジュメの記載と発言がずれていないか採用システムに登録した内容を印刷し、そこに書いた経験を口頭で話す練習を一度やっておく
事実に即した具体性抽象的な言葉を使ったときに、その中身を尋ねられて具体例を出せるか経験一つにつき、時期・場所・関わった人数・結果の4点をメモにしておく
周囲を巻き込む動き方自分一人で完結した話ばかりになっていないか。誰にどう働きかけたかを語れるか部活動やアルバイトで、他の人に頼んだり交渉したりした場面を思い出して言葉にしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

宝塚市は個別面接が2回あり、しかも点数が持ち越されない分、同じ問いを別の面接官から改めて受ける可能性があります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、実際の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の宝塚市職員募集要項を読み、申込区分と試験の段階、採用予定数を確認する(事務職と技術職では1次試験の選択肢が異なります)
  2. 宝塚市職員採用システムに登録する内容を先に書き出し、面接で話す材料と食い違わないか確かめる
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しし、学業・課外活動・アルバイトから話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部を読み返し、宝塚市の事実を2つか3つ選んで、資料を見ずに口頭で言い切れるところまで持っていく
  6. 固有質問の対応表から材料を選び、声に出して練習しながら「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究とステップ6の練習は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2でレジュメの内容を固めることと、ステップ3の経験の棚卸しを先に終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、宝塚市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

宝塚市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

宝塚市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和9年度採用の事務職では、1次試験が約70分の能力検査だけで、2次・3次はいずれも個別面接、しかも前の段階の点数は次に持ち越されません。つまり、面接の席で毎回あらためて自分を説明し直す試験です。

22万人が暮らし、南部の市街地と北部の集落を同時に抱える市で、自分はどの仕事に手を挙げるのか。宝塚市職員採用システムに登録するレジュメの一行目から、その答えは始まっています。