本記事では、上田市職員採用試験の面接対策で必要な、上田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
上田市役所の面接試験では、「なぜ上田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。上田市は同じ年度に複数の試験種類を並行して実施しており、どの入口から受けるかによって選考の段階数も面接の置かれる位置も変わります。
まずは自分が受ける試験種類を確かめたうえで、ここに並べた事実を、自分の関心と上田市の仕事が重なる場所を探す材料として使ってください。
第1部|自治体研究編
上田市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは上田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 千曲川の中流部に開けた長野県東部の都市で、県は上田市・東御市・長和町・青木村の4市町村をまとめて上小地域として扱っている。
- 人口は150,627人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、長野県内19市のなかでは長野市・松本市に次ぐ規模。
- 市域は552.04km²と広く、人口密度は273人/km²。
- 接するのは東御市・松本市・須坂市・長野市・千曲市・長和町・青木村・坂城町・立科町・筑北村の10市町村と、群馬県嬬恋村。県境をまたぐ位置にある。
- 県は上小地域について、地形も気候も穏やかで年間を通じて降水量が比較的少なく日照時間が長い地域だと説明している。
- 上田城・別所温泉・菅平高原・海野宿を擁し、塩田平は「信州の鎌倉」と称される。
- 市の花はサクラ。市役所は上田市大手一丁目に置かれている。
- 令和元年東日本台風では上田電鉄別所線の千曲川橋梁が落橋したが、令和3年3月28日に全線での運転を再開した。
上田市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「上田市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
上田市を数字で捉えるときは、15万人という人口、552.04km²という広さ、そして県平均に近い高齢化という3点を先に頭に入れておくと、あとの話が組み立てやすくなります。県全体の値と並べて確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 150,627人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 552.04km² |
| 人口密度 | 273人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 31.4%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
| 75歳以上の割合 | 18.9%(同上) |
| 隣接自治体 | 東御市・松本市・須坂市・長野市・千曲市・小県郡長和町・青木村・埴科郡坂城町・北佐久郡立科町・東筑摩郡筑北村/群馬県吾妻郡嬬恋村 |
| 市の花 | サクラ |
| 市役所所在地 | 上田市大手一丁目11番16号 |
| (参考)長野県の総人口 | 1,970,876人(令和7年11月1日現在) |
| (参考)長野県の総面積 | 13,561.56km²(全国4位) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における上田市の総人口は150,627人で、割合の分母にもこの値を用いています。表の総面積・隣接自治体・市の花・市役所所在地は公表値をもとに整理したもので、項目によって基準日が異なります。県の総人口は毎月の推計にもとづく公表値であり、住民基本台帳とは調査の基準が違うため、市の割合と県の割合を同じ物差しで比べることはできません。
数字から考えられる市政課題
上田市の552.04km²は、長野県全体の13,561.56km²のおよそ4%にあたります。人口密度は273人/km²で、市街地と農地と山地が同じ市域のなかに並んでいます。
県は上小地域を、地形も気候も穏やかで日照時間の長い地域と説明していますが、暮らしやすさの裏側では、道路も上下水道も公共交通も、届ける先が広く散らばっているという条件がついてまわります。
もう一つの軸が年齢構成です。令和8年1月1日現在の住民基本台帳では、上田市の65歳以上は31.4%、75歳以上は18.9%。
長野県が推計人口で公表している県全体の値は令和7年10月1日現在で33.3%と20.0%ですから、統計の基準が違うため厳密な比較にはなりませんが、上田市はおおむね県全体と同じ帯にいると見てよいでしょう(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
県の平均並みということは、県全体で議論されている介護や医療、移動手段の課題が、そのまま上田市の課題として立ち上がるということでもあります。
たとえば面接では、上田市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
上田市の経済・産業
上小地域という圏域のなかで
上田市の経済を考えるときは、市の境界だけを見ないほうが実態に近づきます。長野県は上田市・東御市・長和町・青木村を上小地域という一つの圏域として扱い、県東部・千曲川中流部に位置し、地形・気候とも穏やかで年間を通じて降水量が少なく日照時間も長い地域だと紹介しています。
観光資源としては上田城・別所温泉・菅平高原・海野宿が挙げられ、塩田平は「信州の鎌倉」と呼ばれてきました(出典:上小地域の情報|令和8年)。城下町、温泉地、高原、宿場町という性格の違う資源が一つの市域に同居しているのが上田市の姿です。
県経済の背骨としての製造業
長野県の製造業は、事業所数6,148事業所、従業者数20万6,238人、製造品出荷額等7兆1,391億6,000万円です(2023年経済構造実態調査・2023年6月1日時点)(出典:長野県の製造業(経済構造実態調査)|2023年)。つまり、観光地のイメージが強い県でありながら、雇用と出荷額の中心は製造業にあるという構造です。
上田市で働くということは、観光や農業に関わる市政と、ものづくりの現場を抱える地域経済の両方に関わるということでもあります。産業振興や企業誘致を志望分野に挙げるなら、この土台を押さえたうえで話しましょう。
観光の流れをどう引き寄せるか
令和6年の長野県内の観光地利用者数は延べ8,515万人(前年比6.1%増)、観光地消費額は3,327億円(同7.6%増)でした。延利用者数の上位3位は軽井沢高原、善光寺、上諏訪温泉・諏訪湖の3か所で、県外客は5,442万人、宿泊客は2,734万人です(出典:長野県観光地利用者統計調査結果|令和6年)。
県全体では人の流れが伸びている一方、その流れは特定の拠点に集まりやすいということでもあります。上田市の観光を面接で語るなら、名所を並べるのではなく、上田城や別所温泉や菅平高原をどう束ねて滞在時間を伸ばすか、という道筋のほうが市の仕事に近い話になります。
上田市の主な行政課題
ここまでの数字と地域の姿を重ねると、上田市が引き受けている論点が輪郭を持ってきます。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の5つを用意しておきましょう。
県全体と歩調をそろえて進む人口減少
長野県の人口は2001年の2,220,208人をピークに減り続け、2024年2月に200万人を下回りました。出生数は2023年に11,125人まで減り、合計特殊出生率は全国を上回るものの4年連続で低下して1.34と過去最低です(出典:長野県の人口減少の現状と課題)。
県は、人口減少によって社会インフラ・医療・教育・行政サービスの維持が困難になることを、公式に課題として認めています。上田市の高齢化率が県平均に近いということは、この見通しが平均的な形でそのまま当てはまるということです。
18歳から22歳で出ていく世代をどう迎え直すか
長野県は18歳から22歳の進学・就職期に男女とも転出超過となっており、同年齢層の転出超過数は16,950人と、静岡県に次いで全国で2番目に多くなっています。とくに20代前半の女性の転出超過が課題とされます。
この構造は、市役所の採用にも直接効いてきます。上田市の大学卒業程度・一般事務(行政)の受験者数は令和6年度が109人、令和7年度が84人でした。
母集団が細っていく前提のなかで、市は令和8年度から早期募集に一般事務(行政)と電気の区分を加え、早期募集と民間企業等職務経験者枠の第一次試験をテストセンター方式に切り替えています。人を集める側の努力が制度に表れている、と読める変更です。
千曲川と向き合ってきた記憶
令和元年東日本台風では、長野県全体で死者24人(うち災害関連死19人)、住家被害8,345棟という被害が生じました。上田市の住家被害は全壊2棟・半壊9棟・一部損壊432棟の計443棟(473世帯・1,103人)で、人的被害は重傷1人・軽傷5人です(出典:令和元年東日本台風の人的被害・住家被害の状況|令和6年)。
上田電鉄別所線の千曲川橋梁が落橋し、全線での運転再開までに1年5か月を要したことは、市民の移動が一本の橋にどれだけ依存していたかを可視化した出来事でした。防災や交通を志望分野にするなら、被害の規模より、生活の足が絶たれたあと市が何を優先したかという順序に関心を向けておきましょう。
地震と土砂災害という平時からの前提
長野県内には6つの主要活断層帯があり、糸魚川-静岡構造線断層帯では気象庁マグニチュード8程度の地震が想定されています。全体が動く場合の想定(Mj8.5)では、上田市を含む多数の市町村で最大震度7が見込まれています(第3次長野県地震被害想定調査報告書概要版・平成27年)(出典:第3次長野県地震被害想定調査報告書(概要版)|平成27年)。
加えて長野県は、地すべり危険箇所1,241か所が全国で最も多く、土石流の危険渓流も5,912渓流で全国8位です。広い市域を抱える上田市にとって、地震と土砂災害への備えは特定の部署だけの仕事ではありません。
担い手を確保しながら市政を回すこと
上田市の令和8年度の採用試験は、大学卒業程度の早期募集、大学卒業程度、短期大学卒業程度、高等学校卒業程度、民間企業等職務経験者枠の5つの試験種類で実施されます。大学卒業程度の一般事務(行政)の採用予定は15名程度で、そのほかに化学・社会福祉・土木・建築・電気・保健師の区分が置かれています(出典:上田市職員採用試験案内(大学卒業程度)|令和8年度)。
入口をこれだけ分けているのは、新卒だけで必要な人数と職種をそろえるのが難しくなっているからだと考えるのが自然です。志望動機を組み立てるときは、自分がどの入口から入り、どの職種として市政に加わるのかを明確にしておきましょう。
重点政策|しあわせ信州創造プラン3.0と上田市
上田市が現在どの総合計画のもとで市政を進めているかは、市公式サイトに掲げられている最新版で確かめるようにしてください。ここでは、その計画の外枠にあたり、市の施策の前提になっている県の計画と財政の状況を整理します。
県の総合5か年計画が掲げているもの
長野県の総合5か年計画は「しあわせ信州創造プラン3.0」(計画期間2023年度から2027年度)です。人口減少・少子化・気候変動といった危機を大変革によって乗り越え、「ゆたかな社会」を実現することを基本目標に据えています(出典:しあわせ信州創造プラン3.0|2023〜2027年度)。
市町村の計画はこの県計画と無関係には動きません。上田市の施策を読むときも、県が何を危機と呼び、どこに手を打とうとしているかを先に押さえておくと、事業の意図がつかみやすくなります。
財政の余裕という前提
長野県の令和5年度決算にもとづく財政力指数は0.50417、経常収支比率は90.5%、将来負担比率は152.0です。令和7年度の一般会計当初予算は1兆118億5,725万2千円で、前年度当初比1.3%の増でした。
県の段階でも、自由に使える財源はそれほど大きくありません。市町村の事業が県の補助や交付金と組み合わせて成り立っている以上、この余裕のなさは上田市の予算編成にも影響します。
「あれもこれも」ではなく、どこに先に人と金を置くかを判断する仕事が、市職員には求められます。
POINT|事業名を覚えることが目的ではない
面接で問われるのは事業の名称ではなく、その事業に対するあなたの立ち位置です。①上田市の現状を示す数字を1つ選ぶ、②その数字から生じている困りごとを場面として書き出す、③市がすでに動いている領域を確かめる、④自分の経験のどこがそこで使えるかを言葉にする。この4段で組み立てれば、事業名を並べなくても話は立ちます。
悪い例「歴史と自然に恵まれた上田市で、地域の活性化に貢献したいです」
改善例「まずは窓口で市民の方の相談を受けるところから覚えたいです。そのうえで、市域が広くて集落ごとに事情が違う市ですので、移動の手段をどう確保するかという仕事に関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
上田市は試験種類ごとに案内が分かれています。まず自分が受ける種類のものを特定するところから始めてください。残りの3つは、志望分野に関わるものを1つ選び、そこだけ腰を据えて読むほうが実りがあります。
- 上田市職員採用試験案内(自分が受ける試験種類の最新年度のもの)と、市の職員募集ページ
- 上田市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- しあわせ信州創造プラン3.0(県が何を危機と位置づけているかを押さえるため)
- 上田市の防災・地域交通に関する計画(防災や交通を志望分野にする場合)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、上田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。上田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
上田市役所の面接の概要
上田市の選考は、受ける試験種類によって段階の数が変わります。ここからは大学卒業程度と高等学校卒業程度を中心に、どこで人物が見られるのかを、市の募集要項と当研究会の分析から押さえていきます。
上田市役所の試験の構成
令和8年度の上田市職員採用試験のうち、大学卒業程度は第一次試験・第二次試験・第三次試験の3段階です。第二次試験が論述試験と適性検査、面接試験は最後の第三次試験に置かれ、個別面接による試験と明記されています。
一方、高等学校卒業程度は2段階で、第二次試験の口述試験が個別面接にあたります。段階の数も面接の位置も違うため、自分が受ける試験種類の要項で確認してください。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 試験の段階(大学卒業程度) | 第一次・第二次・第三次の3段階。第二次は論述試験と適性検査、第三次が面接試験 |
| 試験の段階(高等学校卒業程度) | 第一次・第二次の2段階。第二次が口述試験 |
| 面接の形式 | 大学卒業程度の第三次試験、高等学校卒業程度の第二次試験とも、個別面接による試験と記載 |
| 第一次試験(大学卒業程度) | 全試験区分共通の教養試験(択一式120題・1時間。文章読解能力、数的能力、推理判断能力、人文・社会、自然に関する一般知識、基礎英語)と、区分別の専門試験。一般事務(行政)の専門試験は択一式40題・2時間(憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学及び国際関係) |
| 第一次試験(高等学校卒業程度) | 教養試験(択一式120題・1時間)、論述試験(記述式700字以内・1時間)、適性検査(択一式240題・35分)。論述試験と適性検査は第一次試験日に実施し、第二次試験で使用する |
| 試験区分(大学卒業程度) | 一般事務(行政)15名程度のほか、一般事務(化学)、一般事務(社会福祉)、土木、建築、電気、保健師が各若干名 |
| 試験種類 | 大学卒業程度【早期募集】、大学卒業程度、短期大学卒業程度、高等学校卒業程度、民間企業等職務経験者枠の5種類。早期募集と経験者枠の第一次試験はテストセンター方式 |
| 面接カード | 高等学校卒業程度では、第二次試験の参考資料として市ホームページ掲載の面接カードの作成を求める。提出方法と期限は第一次試験合格者への案内通知で指示される |
| 申込方法 | 「ながの電子申請サービス」によるインターネットからの申込のみ |
| 初任給 | 大学卒業程度242,500円(令和9年4月1日時点)、高等学校卒業程度211,000円(令和8年4月1日時点) |
受験倍率も確かめておきましょう。大学卒業程度の一般事務(行政)は、令和7年度が受験者84人・合格者21人で倍率4.0、令和6年度が受験者109人・合格者25人で倍率4.4でした。
高等学校卒業程度の一般事務は令和7年度が受験者11人・合格者3人で倍率3.7、令和6年度が受験者11人・合格者2人で倍率5.5です。受験者数が2桁台で推移する試験ですから、一人ひとりの面接に相応の時間が割かれると考えておくのが妥当でしょう(出典:上田市職員採用試験案内(大学卒業程度)|令和8年度)。
上記は上田市の令和8年度職員採用試験の募集要項にもとづく内容です。各試験種目の配点・満点および人物試験の比重は、大学卒業程度・高等学校卒業程度いずれの募集要項にも記載がありません。集団面接や集団討論に関する記載もなく、明記されている面接形式は個別面接のみです。また面接カードについて記載があるのは高等学校卒業程度の要項で、大学卒業程度の要項には記載がありません。試験の構成・日程・配点等は年度や試験種類によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける試験種類の最新の情報をご確認ください。
上田市役所が求める人物像
上田市は、職員採用のページで受験者にこう呼びかけています。「上田市をもっと魅力的でにぎやかなまちにしたい。」「市民の皆さんがより快適で安心して暮らせるまちにしたい。」という情熱をもった皆さん、という言葉です。
あわせて、豊かな自然環境や歴史文化、都市機能が調和した地域資源を活かしたまちづくりの可能性と、業務の幅の広さを訴求しています。
項目立てされた人物像の一覧ではありませんが、市が受験者に何を期待しているかは十分に読み取れます。
ここで注目したいのは、二つの呼びかけが向いている方向の違いです。前者は市の外に向けて魅力を打ち出す仕事、後者は市の中で暮らしの土台を保つ仕事を指しています。志望動機を組み立てるときは、自分の関心がどちらに近いのかを自覚したうえで、もう一方にも手が届くことを示せると、話に厚みが出ます。
当研究会がこの試験設計から読み取っているのは、入口を5種類に分けた市が、それぞれの入口から来る人に別々の役割を期待しているわけではないだろう、という点です。
人口15万人・面積552.04km²の市役所は、部門が分かれてはいても、一つの制度を担当すれば企画から住民説明、関係機関との調整、日々の事務までが同じ担当者の手を通ります。
だからこそ、前例のない相談を受けたときに、どこから調べ、誰に確認し、いつまでに形にするかを自分で決められることが、評価の重心に置かれやすいはずです。上田市の場合、市域が広く集落ごとに事情が違うぶん、机の上だけで完結しない調整の場面も多くなります。
面接で語る材料は、これまでの生活のなかにすでにあるはずです。それを、552.04km²と15万人という条件のもとに置き直して話せるかどうかが分かれ目になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。上田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらから来られましたか | 構える前の一言に出る、声の調子と受け答えの間合い |
| ② 動機・志望 | 公務員を選んだ理由を教えてください | 民間との比較を自分の言葉で済ませてきたかどうか |
| ③ 自己理解 | 自分の短所をどう扱っていますか | 弱みの申告ではなく、付き合い方を語れるか |
| ④ 経験・行動 | うまくいかなかった経験を一つ挙げてください | 失敗の内容ではなく、そのあと何を変えたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れたことは何ですか | 専門外の相手に届く言葉へ言い換える力 |
| ⑥ 適性・将来 | 希望と違う部署に配属されたらどうしますか | 市の業務範囲の理解と、異動に対する構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になったニュースはありますか | 社会の動きへの目配りと、短くまとめる力 |
この7つは、上田市に限らずどの官公庁の面接にも共通して現れます。受験者全員が対策してくる領域ですから、ここで抜きん出るのは簡単ではありません。差がつくのは、次の「上田市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「上田市役所ならでは」の質問
どちらも上田市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「上田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい上田市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は上田市・東御市・長和町・青木村を上小地域として扱う。市はその圏域のなかで、住民に直接サービスを届ける単位にあたる | 県が圏域単位で制度をつくる立場だとすれば、市はそれを一軒ごとの暮らしに合わせて手渡す立場だ、という整理を、自分が関わりたい分野の具体例まで下ろして話しましょう |
| 市の規模と広さ | 人口150,627人で県内19市の3番目、市域552.04km²、人口密度273人/km² | 規模の話で終えず、市街地と山あいで必要な支援が違うという点まで進めると、市域の広さを自分の関心に結び付けられます |
| 高齢化の水準 | 65歳以上31.4%、75歳以上18.9%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。県全体は基準の異なる統計で33.3%と20.0% | 数字を並べるだけでなく、県平均に近いからこそ県で議論されている課題がそのまま当てはまる、という読み方を添えてください |
| 災害の記憶 | 令和元年東日本台風で住家被害443棟。上田電鉄別所線の千曲川橋梁が落橋し、令和3年3月28日に全線再開 | 被害の大きさを語るのではなく、生活の足が絶たれたときに行政が何を優先すべきかという順序の話に進めると、防災の理解が伝わります |
| 上田市の魅力と課題 | 上田城・別所温泉・菅平高原・海野宿を擁し、塩田平は「信州の鎌倉」と称される。一方で県内の観光の流れは特定の拠点に集まりやすい | 魅力は資源の多様さ、課題はその束ね方、と対にして語ると、名所の紹介で終わらない答えになります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
上田市の面接では、ここまでに触れてきた資質が、あなたの過去の行動として実在するかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| まちを良くしたいという動機の具体性 | 市の呼びかける2つの方向のどちらに立つのかを、自分の言葉で言えるか | 「魅力的でにぎやかに」と「快適で安心して暮らせる」のどちらに自分の関心が近いかを決め、その理由になる出来事を1つ用意しておきましょう |
| 広い市域を前提にした想像力 | 市街地と山あいで必要な支援が違うことに気づいているか | 552.04km²・人口密度273人/km²という条件を、移動・見守り・情報の届け方のどれか1つに絞って考えておきましょう |
| 未経験の仕事を形にする力 | 手順の分からない仕事を、どうやって進め切ったか | 大学卒業程度の一般事務は15名程度の採用で、担当の幅は広くなります。見当のつけ方と、確かめた順序まで説明できるようにしておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
上田市は面接が選考の最終段階に置かれているぶん、その場で掘り下げに耐えられるかどうかがそのまま結果に響きます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける試験種類を決め、その募集要項で段階の数と面接の位置を確かめる(大学卒業程度は3段階、高等学校卒業程度は2段階)
- 「ながの電子申請サービス」での申込手順を先に一度たどり、必要な入力項目を把握しておく
- 高等学校卒業程度を受ける場合は、市ホームページ掲載の面接カードを早めに入手して下書きを始める
- 学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる場面を1つずつ選んで書き留める
- 上田市の事実を2つか3つ、メモを見ずに30秒で説明できるか確かめる(材料は第1部)
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、上田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
上田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
上田市の大学卒業程度の試験では、教養と専門の筆記を越え、論述と適性検査を越えた先に、個別面接がただ一度だけ待っています。そこで問われるのは、552.04km²に15万人が暮らすこの市で、あなたが誰のどんな困りごとに向き合うつもりなのか、という一点です。
落橋した別所線の橋が1年5か月をかけて架け直されたように、市の仕事の多くは、目に見える成果が出るまでに時間がかかります。それでも続けられる理由を、これまでのご自身の経験のなかから探して、面接の席に持っていってください。