本記事では、松本市職員採用試験の面接対策で必要な、松本市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
松本市役所の面接試験では、「なぜ松本市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。松本市は紙の履歴書を提出しない試験で、申込時にウェブで入力する3項目がそのまま面接の材料になります。
限られた文字数で自分を説明し、その中身を面接で掘り下げられる形にしておく必要がありますので、まずは市の姿を事実で押さえていきましょう。
第1部|自治体研究編
松本市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは松本市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 令和3年4月に中核市へ移行し、長野県から多くの権限を受けた「地域を牽引する都市」。平成12年の特例市指定と施行時特例市の期間を経て、この移行に至った。
- 面積は978.47平方キロメートルで、長野県内19市のなかで最も広い。人口は約23万人で、長野市に次ぐ県内2番目の規模。
- 市制施行は明治40年5月1日。平成17年4月に四賀村・安曇村・奈川村・梓川村と、平成22年3月に波田町と合併し、現在の市域になった。
- 平成26年度に市内全35地区へ地域づくりセンターを設置している。合併で広がった市域を、地区単位でつなぐ仕組みが置かれている。
- 中核市移行にあわせて松本市保健所を令和3年4月に新設した。保健総務課、保健予防課、食品・生活衛生課の3課体制で、医療機関の許可申請から感染症対策、食品衛生、動物愛護までを市が担う。
- 一方、塩尻市・安曇野市・麻績村・生坂村・山形村・朝日村・筑北村の7市村は、従来どおり長野県松本保健福祉事務所(長野県松本保健所)の所管。同じ圏域の中で、松本市だけが自前の保健所を持つ構図になっている。
- 県内唯一の空港である信州まつもと空港が市内にある。滑走路2,000メートル、昭和40年7月開港・平成6年7月にジェット化され、札幌・神戸・福岡に毎日定期運航している。
- 隣接する自治体は岐阜県高山市を含めて14市町村。市の花はれんげつつじ、市の木はあかまつ。
- 糸魚川・静岡構造線断層帯のうち牛伏寺断層を含む区間では、気象庁マグニチュード8程度の地震が想定されており、県の被害想定では松本市も最大震度7の対象に含まれる。
松本市の基礎データ
面接では統計の暗記を試されるわけではありませんが、松本市の規模を一言で言える状態にしておくと、志望動機の説得力がまったく変わります。
ここでは、人口と年齢構成、市域の広さ、隣接関係という、市政の話をするときに前提になる項目を整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 232,370人(令和8年1月1日現在・住民基本台帳。県内19市で2番目) |
| 65歳以上人口 | 67,095人(28.9%) |
| 75歳以上人口 | 40,846人(17.6%) |
| 総面積 | 978.47km²(県内19市で最も広い) |
| 人口密度 | 約237人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 14市町村(岐阜県高山市を含む) |
| 市制施行 | 明治40年5月1日(平成17年・平成22年に5村町と合併) |
| 行政の単位 | 市内全35地区に地域づくりセンター(平成26年度設置) |
| 中核市移行 | 令和3年4月(同時に松本市保健所を設置) |
| 市の花・市の木 | れんげつつじ・あかまつ |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値で、割合の分母にも同じ総人口を用いています。面積・隣接自治体は当研究会が整理した自治体基礎データによるもので、基準日が異なります。
数字から考えられる市政課題
松本市の高齢化率は28.9%、75歳以上の割合は17.6%です。長野県全体では令和7年10月1日現在で65歳以上が33.3%、75歳以上が20.0%と公表されていますが、こちらは推計にもとづく別系統の統計ですので、市の値と並べて優劣を論じることはできません。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
むしろ松本市で効いてくるのは、人口と面積の組み合わせです。約23万人が978.47平方キロメートルに散らばり、密度は1平方キロメートルあたり約237人にとどまります。
合併した旧四賀・安曇・奈川・梓川・波田の区域を含む広い市域を、35地区の地域づくりセンターで受け止めている構造です。同じサービスを市内一律に届けるのが難しい規模だ、という前提を持っておきましょう。
県全体に目を移すと、人口は2001年の2,220,208人をピークに減り続け、2024年2月に200万人を下回りました。18歳から22歳の転出超過数は16,950人で、静岡県に次いで全国2番目の多さです。この数字を面接で使うなら、たとえばこんな言い方になります。(出典:長野県の人口減少の現状と課題)
松本市の経済・産業
県のものづくりと松本の位置
2023年経済構造実態調査(2023年6月1日時点)によれば、長野県の製造業は6,148事業所・従業者20万6,238人を数え、製造品出荷額等は7兆1,391億6,000万円にのぼります。
県全体としては、電気機械や精密機械を軸としたものづくりの厚みがあり、諏訪地域の精密機械工業のように、地域ごとに性格の違う集積が形成されてきました。松本市は、そうした産業の広がりのなかで県の中央部に位置し、行政機能と交通の結節点を併せ持つ都市です。(出典:長野県 製造業の統計|2023年)
信州まつもと空港と広域の玄関
市内の信州まつもと空港は、滑走路2,000メートルを備え、昭和40年7月の開港、平成6年7月のジェット化を経て、現在は札幌・神戸・福岡へ毎日定期運航しています。
長野県で唯一の空港が松本市にあるという事実は、観光振興・企業誘致・災害時の輸送のいずれの話題でも使える材料です。空港の利用を市内の宿泊や消費にどうつなげるかという視点まで持っていくと、志望動機が一段具体的になります。(出典:長野県 信州まつもと空港の概要)
観光の規模感
令和6年の長野県内の観光地利用者数は延べ8,515万人にのぼり、前年を6.1%上回りました。観光地消費額も3,327億円と7.6%の伸びです。
中身を割ると県外客5,442万人に対し県内客3,073万人、日帰り客5,781万人に対し宿泊客2,734万人という比率になります。県外客と日帰り客が多いという構造は、松本市のように交通の結節点にある都市にとって、「通過されるか、泊まってもらえるか」という課題に直結します。(出典:長野県観光地利用者統計調査結果|令和6年)
松本市の主な行政課題
ここまでの数字と地理の姿を踏まえると、松本市が向き合っている課題が浮かび上がります。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
広い市域をどう束ねるか
978.47平方キロメートルという県内最大の市域は、平成17年と平成22年の合併によって形づくられました。
市が全35地区に地域づくりセンターを置いているのは、市街地と中山間地、旧村の区域が同居する市を、地区の単位で受け止めるためです。人口が減っていく局面では、この地区ごとの事情の違いが、公共施設の配置や移動手段の確保といった判断に直接跳ね返ってきます。(出典:松本市 市のあゆみ・中核市への移行)
中核市として担う保健衛生
令和3年4月に設置された松本市保健所は、3つの課で構成されています。保健総務課が医療機関等の許可申請と届出、医療従事者の免許申請の受付・交付、医療安全相談を担当します。
保健予防課が感染症・こころの健康・難病対策・食育・受動喫煙防止対策を、食品・生活衛生課が薬事・毒物劇物・温泉・公衆浴場・理容美容・旅館・食品衛生・動物愛護等を担当します。
同じ松本圏域でも、周辺の7市村ではこれらを県の保健所が担っています。松本市だけがこの範囲を自前で持っているという違いは、志望理由を組み立てるときの核になります。(出典:松本市保健所の業務案内)
大規模地震への備え
長野県内には6つの主要活断層帯があり、うち糸魚川・静岡構造線断層帯の牛伏寺断層を含む区間では、気象庁マグニチュード8程度の地震が想定されています。
断層帯全体がマグニチュード8.5で動く想定では、松本市を含む多くの市町村で最大震度7が見込まれています。あわせて長野県は、地すべり危険箇所1,241箇所が全国最多という土砂災害の条件も抱えています。(出典:第3次長野県地震被害想定調査報告書 概要版|平成27年3月)
若い世代の県外流出
長野県は「人口減少により、社会インフラ、医療、教育、行政サービス等の維持が困難に」なることを公式に課題として掲げています。
出生数は2023年に11,125人まで減り、合計特殊出生率は全国を上回るものの4年連続で低下して1.34となりました。松本市のような圏域の中心都市では、進学や就職で出ていった若い世代が戻る受け皿をつくれるかどうかが、そのまま将来の市の姿を左右します。
多様な市民が暮らす市であること
松本市は職員採用で「外国語(特に中国語・英語・ポルトガル語)に堪能な方」の応募を歓迎すると明記し、日本国籍を有しない人の受験も認めたうえで、外国籍職員が担当できる職務と担当できない職務を具体的に示しています。
採用案内にここまで書き込んでいること自体が、市が多文化共生を運用レベルの課題として扱っている証拠です。面接で「市の課題」を語るとき、この視点は他の受験者と差がつく切り口になります。
松本市の重点政策|中核市移行と35地区の地域づくり
松本市の方向性を短くつかむなら、「県から権限を受け取って自前で担う」ことと、「広い市域を地区の単位で支える」ことの二本立てだと考えるとわかりやすくなります。前者が令和3年4月の中核市移行、後者が平成26年度に整備された35地区の地域づくりセンターです。
中核市移行で市に移ったもの
移譲された事務の中核は保健所事務でした。それまで長野県松本保健福祉事務所が広域で担っていた仕事のうち、松本市域の分が市に移り、市は令和3年4月に松本市保健所を新設しています。
市の公式説明も、施行時特例市として周辺市村と連携しながらまちづくりを進めた期間を経て、中核市として新たなスタートを切った、という流れで整理しています。
ここで押さえておきたいのは、権限が増えるということは、判断も責任も市の側に来るという意味だという点です。感染症の対応も食品衛生の監視も、県からの指示を待つのではなく市が決める仕事になりました。
この変化は令和3年4月のことで、長野市が中核市になった平成11年4月とは20年以上の開きがあります。両者を取り違えないように注意してください。
35地区という単位
もう一方の柱が、市内全35地区に置かれた地域づくりセンターです。合併によって旧四賀村・安曇村・奈川村・梓川村・波田町の区域を抱えた松本市にとって、市役所本庁だけで市域全体の事情をつかむのは現実的ではありません。
地区の単位で相談を受け、地区の側から市政へ声を返す経路を制度として持っていることが、松本市の行政運営の特徴になっています。
県の側でも、総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」(計画期間2023〜2027年度)が、人口減少・少子化・気候変動という3つの危機を大変革によって乗り越えることを基本目標に掲げています。中核市となった松本市の施策は、この県全体の枠組みと重なりながら、権限の移った分野では市自身の判断で動く形になります。(参考:長野県総合5か年計画 しあわせ信州創造プラン3.0|2023〜2027年度)
POINT|計画名の暗記より「誰が決める仕事か」
松本市の場合、計画の名称を並べるより、中核市移行で何が市の判断になったのかを説明できるほうが効きます。関心分野を一つ選び、「①その分野は県と市のどちらが担っているか → ②松本市ではどう扱われているか → ③自分は何をしたいか」の順に整理してみてください。
悪い例「松本市は中核市なので、幅広い仕事ができると思いました」
改善例「食品衛生の監視は、周りの市村では県の保健所が担っていますが、松本市では市の保健所の仕事だと知りました。お店の方と直接やりとりしながら安全を守る仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
本記事では、中核市移行と地区の仕組みを重点政策の軸として整理しました。総合計画の章立てや数値目標は改定のたびに変わりますので、松本市公式サイトの計画・施策のページで最新版を確かめておきましょう。
- 松本市職員採用資格試験の試験要綱(受ける回のもの。区分記号の意味が回ごとに異なります)
- 松本市の総合計画と、関心分野の個別計画
- 松本市保健所の業務案内(中核市移行で市が担うようになった範囲)
- 市のあゆみと中核市への移行を説明するページ(合併と権限移譲の経緯)
- 長野県総合5か年計画 しあわせ信州創造プラン3.0(県全体の方向)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、松本市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。松本市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
松本市役所の面接の概要
ここからは、松本市役所が3段階の選考のどこで何を見ているのか、想定される質問の全体像、そして差がつく問いへの備え方を、公表資料と当研究会の分析から整理します。
松本市役所の面接の流れ
松本市の採用試験は、第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階で、第2次・第3次はいずれも「人柄、性向等についての面接」と定義された個別面接です。集団面接や集団討論の記載はありません。以下は、令和8年度(2026年度)の9月試験の試験要綱にもとづく構成です。
| 項目 | 内容(令和8年度・9月試験) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験(第1次合格者対象)→ 第3次試験(第2次合格者対象)の3段階 |
| 第1次試験 | 全区分共通で教養試験(BEST)。択一式60題・60分で、社会への関心や基礎的な知識、職務遂行に必要な言語能力と論理的思考力を検証する内容 |
| 教養試験の免除 | 土木・建築・電気・機械の実務経験者枠および電気(資格枠)は教養試験が免除されます |
| 区分ごとの科目 | 行政C(小論文試験枠)は専門試験が免除され小論文(記述式800字以内・60分)。行政G(セカンドキャリア枠)は事務適性検査(択一式100題・10分)。行政E(障がい者枠)は専門試験(択一式40題・120分)。この記号の意味は9月試験のもので、他の回とは異なります |
| 第2次試験 | 第2次面接試験(個別面接) |
| 第3次試験 | 第3次面接試験(個別面接)と資格審査 |
| 合格基準 | 第1次から第3次まで、受験者の成績が一定の基準に達しない場合は合格者なしとすることがあります |
| 提出書類 | 申込はインターネットのみ。履歴書等の紙の書類の郵送・提出は不要と明記されています |
| 申込時の入力 | 9月試験は「志望動機」「やってみたい仕事」「仕事上最も大切にしたいこと」の3項目(各300字以内)。6月試験は3項目目が「達成感を感じた経験」 |
| 配点 | 各試験種目の配点・満点および人物試験の比重は、試験要綱に記載がありません |
もうひとつ、採用予定人員の規模も見ておきましょう。9月試験では、高校卒業程度の行政事務と行政事務(障がい者枠)で10名程度、大学卒業程度の行政C・行政E・行政Gで15名程度が予定されています。
大学卒業程度ではこのほかに、土木・建築・電気・機械が8名程度、管理栄養士が2名程度です。あわせて、採用候補者名簿について「過去の例によると、名簿登載者は本人辞退の場合を除いて全員採用されています」との記載もあります。
上記の試験構成は、松本市の令和8年度(2026年度)9月試験の試験要綱にもとづくものです。松本市は年度内に早期試験・学校推薦・6月試験・土木職・カムバック・現業職など複数の系統で試験を実施しており、試験区分の記号(行政Aから行政G)の意味も募集回ごとに異なります。受験の際は、必ずご自身が受ける回の最新の試験情報をご確認ください。
松本市役所が求める人物像
松本市は「時代の変化を見据え、新たな行政課題に迅速かつ柔軟に対応できる職員を求めています」としたうえで、積極性・柔軟性・実行力を持ち挑戦と改革を続ける職員、専門的な知識を持ち課題設定・解決力や創造力を発揮できる職員、互いを認め合い高め合いながら組織力の向上に貢献できる職員、市民が豊かさと幸せを感じ続けられるよう考え行動できる職員という4項目を公表しています。
さらに「次に該当するような方は是非積極的にご応募ください」として、地域づくり活動やスポーツ・文化芸術のサークル活動等で中心的・指導的立場で活躍した実績、中国語・英語・ポルトガル語をはじめとする外国語の力、主任ケアマネジャーや認定心理士等の資格を挙げています。抽象的な4項目に比べて、こちらはかなり具体的です。(参考:松本市職員採用資格試験 試験要綱|令和8年度9月試験)
4項目はいずれも言い回しが抽象的ですので、松本市の仕事の条件に置き直しておきましょう。市域は978.47平方キロメートルと広く、その受け皿として35地区に地域づくりセンターが置かれています。
中核市として保健所を持ったことで、周辺の7市村では県の所管のままである分野も、松本市では市が自分で判断します。県内唯一の空港を抱え、県外からの人の流れが絶えない都市でもあります。
この条件のもとでは、市役所の中だけで完結する仕事はむしろ少数派です。
そうなると、地域団体や事業者、周辺の市村と話をしながら、現場で見えた事情を市の施策の形に落としていける人に評価の重心が寄る、と当研究会は読んでいます。
歓迎される経歴として地域づくり活動での中心的立場が名指しされているのも、この読みと符合します。ただし、経験の大小をそろえる必要はありません。
松本市の申込で書くのは各300字の3項目で、紙の履歴書はありません。面接官が事前に読めるあなたの言葉は、自分で選んで書いたこの900字が中心になります。
その900字に書いた自分と、面接で話す自分が同じ人であることが、まず何より重要になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。9月試験でも6月試験でも、この見取り図に沿って準備しておけば、大きな抜け漏れは避けられます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどうやって来られましたか? | 採用後は原則マイカー以外での通勤になる市です。移動や生活の話題で構えずに話せるかどうか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 申込時に300字で書いた志望動機と、口頭での説明がずれていないか |
| ③ 自己理解 | ご自身をどんな性格だと思いますか? | 4項目の求める職員像に自分を寄せに行っていないか。自分の言葉で自分を測れているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も力を注いだ経験を教えてください | 6月試験では「達成感を感じた経験」を申込時に書かせる市です。出来事の中身と、そこでの自分の役割の具体性 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことを、市の仕事にどう生かせますか? | 専門知識の量ではなく、それを行政の仕事へ翻訳できているか |
| ⑥ 適性・将来 | やってみたい仕事は何ですか? | これも300字で書かせる項目です。書いた希望と、配属が違ったときの構えの両方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近のニュースで関心を持ったものはありますか? | 社会の動きへの関心と、それを松本市の話へ引き寄せられるか |
これら7つの型は、松本市の選考でも他の官公庁でも同じように顔を出します。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「松本市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「松本市役所ならでは」の質問
この2問は、どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問です。ただし松本市の場合、1問目には具体的な答えの材料があります。
中核市移行によって、周辺の7市村では県が担っている仕事が、松本市では市の仕事になっているからです。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「松本市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい松本市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 令和3年4月に中核市へ移行し松本市保健所を設置。塩尻市・安曇野市・麻績村・生坂村・山形村・朝日村・筑北村は引き続き県松本保健所の所管 | 「住民に近い」という一般論の前に、この所管の違いを一つ挙げます。同じ圏域で市と県の担当が分かれている事実は、松本市を選ぶ理由として具体性があります |
| 市域の広さと地域づくり | 面積978.47平方キロメートルは県内19市で最大。平成17年・22年に5村町と合併し、平成26年度に全35地区へ地域づくりセンターを設置 | 広さを不便さとしてではなく、地区ごとに事情が違う市だと述べたうえで、自分が関わりたい地区の課題像まで下ろせると印象が変わります |
| 交流人口と空港 | 県内唯一の信州まつもと空港が市内にあり、滑走路2,000メートル。札幌・神戸・福岡に毎日定期運航 | 路線名を並べるのではなく、来た人をどう市内に滞在させるかという問いに変換して話すと、観光を市の産業として捉えている姿勢が伝わります |
| 防災・危機管理 | 糸魚川・静岡構造線断層帯の牛伏寺断層を含む区間でマグニチュード8程度を想定。断層帯全体が動く想定では松本市も最大震度7の対象 | 断層名まで言えると準備の厚みが出ます。そのうえで、広い市域で避難や物資輸送をどう組み立てるかという実務の話につなげます |
| 多文化共生 | 外国語(特に中国語・英語・ポルトガル語)に堪能な人の応募を歓迎し、外国籍職員が担当できる職務と担当できない職務を採用案内で明示 | 語学力の有無を語るのではなく、言葉の通じにくい相手に情報を届けた自分の経験と結び付けると、市の姿勢に噛み合った話になります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、公表されている4項目の職員像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。以下では、4項目のうち面接で確かめられやすい3つを取り出して整理します。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 挑戦と改革を続ける姿勢 | 変化に対して自分から動いた経験があるか | 市が「迅速かつ柔軟に対応できる職員」を求めると明記している以上、やり方を変えた場面を一つ、変える前と後がわかる形で用意します |
| 課題設定と解決の力 | 与えられた課題ではなく、自分で課題を見つけて動いたか | 9月試験の行政C(小論文試験枠)が800字の記述を課すように、松本市は考えを筋道立てて出す力を測っています。書ける形に整理してから話す練習をしておきます |
| 組織力への貢献 | 周囲を認め、高め合う関わり方ができるか | 35地区の地域づくりセンターのように、松本市の仕事は外部との関係で動きます。自分が調整役に回った経験を具体的に語れるようにします |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
松本市は個別面接が2回ありますので、第2次で話したことを第3次で改めて掘り直される前提で備えておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えがあれば、角度が変わっても話は崩れません。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける回(早期・4月・6月・9月など)を確定させ、その回の試験要綱で試験区分の記号の意味と科目を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 申込時に入力する3項目(各300字以内)の下書きを先に仕上げる。この900字が面接の土台になるため、ここで書く言葉を安易に飾らない
- この記事の第1部から、志望分野に近い松本市の事実を2〜3個選び、300字の下書きと矛盾しない形でつなぐ
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、松本市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
松本市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
松本市の試験は、紙の履歴書を出さない代わりに、申込時の300字を3つ書くところから始まります。そこに書いた志望動機とやってみたい仕事が、個別面接2回を通して読み返され、掘り下げられていきます。
県内で最も広い市域を持ち、中核市として自分で判断する範囲を増やしてきた市で、自分はどの現場に立ちたいのか。まずは900字の下書きから手をつけて、そこに嘘のない言葉だけを残していきましょう。