本記事では、飯田市職員採用試験の面接対策で必要な、飯田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

飯田市役所の面接試験では、「なぜ飯田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

飯田市の初級区分では、申込の時点で3分程度の動画を提出し、それが第1次試験の審査対象になります。会場に足を運ぶ前から、話す姿を見られる試験だということです。

その3分に何を入れるかは、市のことをどれだけ知っているかで決まります。以下の各章は、動画と2回の人物試験の両方で使える材料を集めるために並べました。

第1部|自治体研究編

飯田市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは飯田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 飯田市と下伊那郡13町村で構成される南信州地域の中心にあり、南アルプスを臨む位置に開けた市です。天竜川がつくった天竜峡は、奇岩が織りなす渓谷美で知られる景勝地とされています。
  • 市域は658.66km²、人口は93,569人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は142人/km²です。
  • 接している自治体は松川町・高森町・阿智村・下條村・泰阜村・天龍村・喬木村・豊丘村・大鹿村・南木曽町・大桑村・飯島町に加え、静岡県静岡市・浜松市・川根本町。山を越えた先が静岡県という位置にあります。
  • 65歳以上の割合は33.6%、75歳以上は20.2%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、長野県全体の32.7%・19.7%をどちらも上回ります。
  • 市の花はミツバツツジ、市の木はりんご。里山の春と果樹の実りが、そのまま市のしるしになっています。
  • リニア中央新幹線の県内唯一の中間駅「長野県駅」が置かれる市です。県内区間は地上部4.4km・トンネル48.5kmで、開業すれば飯田市から品川まで約45分、名古屋まで約27分と見込まれています。
  • 南アルプスユネスコエコパークを構成する3県10市町村の一つで、長野県からは飯田市・伊那市・富士見町・大鹿村が入っています。
  • 令和8年度の初級区分(令和9年4月1日採用)の募集は、行政初級2人程度・建築初級1人程度・土木初級1人程度です。
  • 初級の選考は第1次・第2次・第3次の3段階。第1次に3分程度の動画審査が組み込まれ、第2次と第3次はどちらも個別面接です。

飯田市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「飯田市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

飯田市は、9万人台の人口と658.66km²の市域を併せ持ちます。この面積は長野県全体のおよそ20分の1にあたり、市というより一つの圏域に近い広がりです。

人口密度142人/km²という数字が、その広さを裏から示しています。

項目内容
総人口93,569人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積658.66km²
人口密度142人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合33.6%(長野県全体は32.7%)
75歳以上の割合20.2%(長野県全体は19.7%)
隣接自治体松川町・高森町・阿智村・下條村・泰阜村・天龍村・喬木村・豊丘村・大鹿村・南木曽町・大桑村・飯島町/静岡県静岡市・浜松市・川根本町
市役所所在地飯田市大久保町2534
市の花・市の木ミツバツツジ・りんご
(参考)長野県の面積13,561.56km²(全国4位)

65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計上の飯田市の人口は93,569人(うち65歳以上31,416人・75歳以上18,931人)、長野県全体は1,995,882人で、割合の分母にもこの数値を用いています。長野県が公表する県人口1,970,876人(令和7年11月1日現在)は国勢調査を基準とした集計です。調査の方法も基準日も異なるため、住民基本台帳の数値と一つの計算の中で混ぜて使うことはできません。

数字から見える飯田市の課題

高齢化の水準は、県全体を上回っています。65歳以上33.6%・75歳以上20.2%に対し、長野県全体は32.7%・19.7%(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

実数でいえば65歳以上が31,416人、75歳以上が18,931人です。高齢化の進んだ市が658.66km²という広さを抱えているという組み合わせが、飯田市の行政の前提になります。

同じ介護の制度でも、市街地の住宅と山あいの集落とでは、届くまでの段取りが変わるということです。

加えて、飯田市は静岡県の3市町と接しています。山を越えれば県が変わるという地理は、災害時の応援の流れや広域の観光を考えるときに、机上の話ではなく実際の条件として効いてきます。

面接では、次のような形で数字を自分の受け止めに変えられます。

「飯田市は高齢化率が県の平均より高くて、75歳以上の方も2万人近いと知りました。市域も広いですから、同じ制度でもお一人おひとりに届くまでの手間はずいぶん違うのではと感じています」

飯田市の経済・産業

水引と先端技術が並ぶ地域

長野県は南信州地域について、水引などの伝統的地場産業と、電機・精密など先端技術産業が並立する地域だと説明しています(出典:飯伊地域の情報)。手仕事の産業と、工場で機械を作る産業が同じ谷の中に並んでいるのが南信州の姿です。

産業振興を志望動機に挙げるなら、どちらの側の話をしているのかをはっきりさせておく必要があります。両者は担い手も課題も別ものだからです。

県全体の製造業という背景

長野県全体では、製造業の事業所数が6,148、従業者数が20万6,238人、製造品出荷額等は7兆1,391億6,000万円です(2023年6月1日時点の経済構造実態調査)(出典:長野県の製造業(経済構造実態調査)|2023年)。

製造業は、この県の雇用を支えている柱の一つだということです。飯田市の志望動機を自然と景観だけで組み立てると、この足元の雇用構造を丸ごと外すことになります。

工場に通う人の住まいも保育も、市政が支えている対象です。

観光は日帰りが中心という構造

令和6年の南信州地域の観光地延利用者数は3,889千人、観光地消費額は98億7,500万円でした。この地域は日帰り客の比率が85%前後と高い水準にあります(出典:長野県観光地利用者統計調査結果|令和6年)。

県全体では、同じ年の延利用者数8,515万人のうち日帰り5,781万人・宿泊2,734万人ですから、南信州はその傾向がさらに強く出ている地域だということになります。

観光を志望分野にするなら、来訪者を増やす話よりも、立ち寄りで終わっている人にどう滞在してもらうかという角度のほうが、市の実務に噛み合います。

飯田市の主な行政課題

広さと高齢化と産業の並び。この3つを重ねると、飯田市が取り組んでいる論点が浮かび上がります。

面接で市の課題を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県を上回る高齢化と、広い市域

65歳以上33.6%、75歳以上20.2%は、いずれも県全体より高い水準です。県は、人口減少により社会インフラ・医療・教育・行政サービス等の維持が困難になることを、公式の文書で課題に挙げています(出典:長野県の人口減少の現状と課題)。

飯田市の場合、この一文は、どの拠点を残すか、どの路線を守るかという具体の判断として毎年立ち上がります。

進学・就職期の転出をどう受け止めるか

長野県では18歳から22歳の年齢層で男女ともに転出超過が続いており、同年齢層の転出超過数は16,950人で、静岡県に次いで全国2番目の多さです。とくに20代前半の女性の転出超過が課題とされています。

飯田市も、高校を出た若者が県外へ移る流れの中にあります。市が長く取り組んできた分野でもありますから、志望動機で若者定着に触れるなら、雇用・住まい・子育てのどこに手を入れたいのかまで具体化しておきましょう。

リニアという長期の条件

リニア中央新幹線は、飯田市に県内唯一の中間駅「長野県駅」が設置される計画です。県内区間は地上部4.4km・トンネル48.5kmで、開業後は飯田市から品川まで約45分・名古屋まで約27分と見込まれています。

一方で、JR東海は令和6年3月29日に2027年の開業は実現できない旨を表明しました(出典:リニア中央新幹線の概要(長野県)|令和6年3月29日時点)。時期が動いたからといって、市が進めてきた駅周辺の準備や交通の再編がなくなるわけではありません。

面接でリニアに触れるなら、開業年を言い当てる話ではなく、開業までの期間に市が何を積んでおくべきかという角度で語るほうが、実務の関心に近づきます。

山地災害への備え

長野県の土砂災害危険箇所は、土石流が5,912渓流(全国8位)、地すべりが1,241箇所(全国1位)、急傾斜地が8,868箇所(全国15位)で、地すべり危険箇所数は全国最多です(出典:長野県砂防資料(土砂災害危険箇所))。

谷筋に集落が点在する市では、避難所へ向かう道そのものが被災する前提で計画を組む必要があります。防災は危機管理の担当だけの仕事ではなく、名簿を扱う窓口や福祉の部署と地続きです。

南アルプスの保全を共同で担うこと

南アルプスユネスコエコパークは2014年6月12日に登録され、3県10市町村にまたがる総面積302,474haの区域で構成されます。長野県からは飯田市・伊那市・富士見町・大鹿村が入り、理念は「高い山、深い谷が育む生物と文化の多様性」です。

核心地域24,970ha・緩衝地域72,389ha・移行地域205,115haという三層の構成で、守る場所と暮らしを続ける場所が分けて設計されています。

10市町村の協議会が共同で運営しているため、この分野の仕事は市の単独事業として動きません。関係者の多い調整を前へ進める力が、そのまま実務の中身になります。

重点政策|いいだ未来デザイン2028とリニア

計画の細目は数年ごとに書き換わります。飯田市の現行の総合計画は市公式サイトで確かめていただくとして、この節では、その計画が採用の文書の一行目に顔を出しているという事実のほうを扱います。

採用の要綱が総合計画から書き出されている

飯田市の職員採用試験実施要綱は、求める職員像を次のように述べています。リニア開通後の大交流時代を見据えた飯田市総合計画「いいだ未来デザイン2028」の実現に向けて、平成30年3月に策定した「飯田市人財育成基本方針」において目指す職場を目指し、「結いの心」と「やわらかな発想」を持った職員を募集するという文章です(出典:飯田市職員採用試験実施要綱(行政初級・建築初級・土木初級)|令和8年度)。

目指す職場は「尊重・信頼・共感 全員でつくる『チーム飯田市役所』」と表現されています。総合計画の名前と、人材育成の方針と、採用の条件が一本の文でつながっているということです。

同じ要綱の前文には、「私たちの先輩は、豊かな発想と大胆な行動とにより、いつの時代も全国の地方都市に先駆けた取組を展開し、特徴あるまちづくりを進めてきました。」という一文も置かれています。募集要項の冒頭に自分たちの来歴を書く自治体は、それを受け継ぐ人を探しているということでもあります。

リニアが動かす長期の条件

リニア中央新幹線の中間駅が置かれるという条件は、10年単位で市政に影響します。品川まで約45分・名古屋まで約27分という時間短縮は、通勤や進学の選択肢を変え、観光の動線も変えます。

開業時期については前章で触れたとおり、2027年からの見直しが表明されています。時期が定まらない中でも準備を進める必要があるというのが、いまの飯田市が置かれている位置です。

志望動機でリニアを扱うなら、この「待ちながら備える」状態をどう理解しているかまで示せると、話が現実の側へ寄ります。

県の5か年計画という外枠

長野県総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」は、計画期間を2023年度から2027年度までとし、人口減少・少子化・気候変動といった危機を大変革により乗り越えて「ゆたかな社会」を実現することを基本目標に掲げています(参考:しあわせ信州創造プラン3.0|令和5年度から令和9年度)。

県の人口は2001年の2,220,208人をピークに減り続け、2024年2月に200万人を下回りました。人口が減る前提を県が明示している以上、市の事業も現状維持を目的には組まれません。

飯田市の施策は、何を残すために何をやめたのかという対で読むと理解が早くなります。

POINT|計画名を言えることが目的ではない

「いいだ未来デザイン2028」という名前を言えても、それだけでは評価になりません。飯田市の数字を一つ選び、その数字の裏で困っている人を思い浮かべ、市がそこに何をしているかを調べ、最後に自分の経験をあてはめる。この順で進めたものだけが、動画でも面接でも自分の言葉になります。

悪い例「リニアが来る飯田市で、まちの発展に貢献したいです」

改善例「飯田市は高齢化率が県より高くて、市域も広いと知りました。まずは配属された部署の仕事を覚えたいですけれども、いずれは通院や買い物の足をどう確保するかという仕事に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

次の4つは目的が違います。1つ目は申込のために、2つ目以降は動画と面接で話す中身のために開いてください。

  • 飯田市の職員採用のページと、自分が受ける区分の実施要綱
  • 飯田市総合計画「いいだ未来デザイン2028」(要綱の冒頭に出てくる計画そのもの)
  • 関心のある分野の個別計画と、直近の予算について市が出している説明資料
  • 長野県総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」(県全体の方向を押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、飯田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。飯田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

飯田市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

飯田市役所の面接の概要

ここからは、動画の提出から始まり個別面接を2回重ねる飯田市の初級選考が、受験者に何を求めているのかを、公表資料と当研究会の分析から読み解いていきます。

飯田市役所の試験の構成

令和8年度の飯田市職員採用試験(行政初級・建築初級・土木初級/令和9年4月1日採用)は、第1次から第3次までの3段階です。

第2次と第3次はどちらも「人物試験」と明記され、筆記型の学力試験は第1次のSPI3だけという設計になっています。しかも第1次には、申込時に提出する3分程度の動画の審査が含まれます。

項目内容(令和8年度・初級区分・令和9年4月1日採用)
試験の段階第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階
試験区分と採用予定人数行政初級2人程度、建築初級1人程度、土木初級1人程度
第1次試験(1)動画審査。受験申込の際に3分程度の動画を提出し、その内容を審査する
動画審査の方法提示された質問に対する回答をあらかじめ録画し、エントリーシートの所定の場所にアップロードする
第1次試験(2)総合能力試験(約2時間)。高校卒業程度のSPI3(文章の意味の理解力、論理的思考力、適性検査)を、指定期間内にインターネット接続パソコンで受検するWebテスト形式
第2次試験全区分共通の人物試験(40分)=個別面接等。場所は飯田市役所
第3次試験全区分共通の人物試験(30分)=個別面接。場所は飯田市役所
申込方法自治体求人サイト「パブリックコネクト」からのエントリー方式。エントリーシートに動画をアップロードして提出する
行政初級の位置づけ事務職と一部の技術職を包括した試験区分。化学・学芸員等の資格取得者も受験でき、採用後は取得資格等を考慮した配置を行うほか、「行政初級職」として異動により一般行政業務を担う
外国籍の方の受験平成22年度試験から可能。ただし外国籍職員は「公権力の行使にあたる業務」および「公の意思の形成に参画する職」に就くことができないと要綱に明記
初任給200,300円(高校卒)、213,100円(短大卒)(令和8年4月1日現在の内容)

採用予定人数を合計すると4人程度です。9万人規模の市民サービスを、この人数の新規採用の積み重ねで担っているということになります。

しかも行政初級は、事務職と一部の技術職を束ねた区分です。入庁後は異動によって一般行政業務にも就くため、扱う制度の幅は最初から広くなります。

上記は飯田市の令和8年度職員採用試験(行政初級・建築初級・土木初級)の実施要綱にもとづく内容です。各試験種目の配点および人物試験の比重は要綱に記載がなく、公表されていません。この要綱が対象とするのは初級の3区分のみで、飯田市は令和8年度に行政上級・建築職・土木職・行政司書・行政保育士・学芸員・管理栄養士・調理員・社会人採用・任期付職員など多数の区分を別日程・別要綱で実施しています。また申込先の「パブリックコネクト」は自治体が共通して利用する求人サイトであり、近隣自治体との共同実施や統一試験を意味するものではありません。受験の際は必ずご自身が受ける区分の最新の要綱をご確認ください。

飯田市役所が求める職員像

飯田市は求める職員像を要綱の冒頭で明示しています。鍵になる言葉は3つです。

  • 結いの心
    要綱が「やわらかな発想」と並べて掲げる、飯田市の職員に求める資質
  • やわらかな発想
    先輩たちが「豊かな発想と大胆な行動」で先駆けた取組を進めてきたという前文と対になる言葉
  • チーム飯田市役所
    人財育成基本方針が掲げる目指す職場。「尊重・信頼・共感 全員でつくる」と説明されている

以降は、動画審査を第1次に置き、そのあとに人物試験を2回重ねるという設計から当研究会が読み取ったことです。初級4人程度という規模で9万人分の行政を回すということは、一人が受け持つ範囲が最初から広いということです。

担当した案件の説明を、その日のうちに自分で市民へ返す場面も出てきます。飯田市はさらに、行政初級という区分自体を事務と一部技術の合流点として設計しています。

この構造からすると、未経験の仕事を前にして手が止まらず、分からないところを聞いて回りながら形にできる人が評価の対象になりやすいだろうと見ています。要綱の「結いの心」は、その進め方の言い換えとして読むことができます。

もう一つ、動画審査という入口が示すものがあります。録画された3分と、40分・30分の個別面接で、同じ人物として一貫していられるかが確かめられる設計です。

動画は何度でも撮り直せますが、面接室では撮り直せません。この差を埋める方法は一つしかなく、撮り直す必要のない話題を最初から選ぶことです。

話し方を作り込むより、動画に入れる出来事を選び直すほうに時間を使ってください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。飯田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク市役所までは遠かったですか動画で見せた表情と、目の前に座った表情がつながっているか
② 動機・志望公務員を志望した理由を教えてください3分の動画で述べた志望理由から、話が後退していないか
③ 自己理解ご自身の直したいところはどこですか40分の人物試験で最初に崩れやすい部分。飾らずに述べられるか
④ 経験・行動途中でやり方を変えた経験を教えてください要綱の言う「やわらかな発想」が、行動として実在するか
⑤ 学業・経歴学校で力を入れて取り組んだことは何ですかSPI3では見えない部分、つまり取り組みの中身の語り方
⑥ 適性・将来行政初級は異動で幅広い仕事を担いますが大丈夫ですか事務と一部技術を束ねた区分であることを理解しているか
⑦ 公共性・社会性関心を持っている社会の動きはありますかリニアや人口減少など、市に関わる話題を自分の言葉で扱えるか

この7区分を埋めておけば、答えに詰まる場面はかなり減ります。ただ、減るだけで抜きん出ることはありません。

受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「飯田市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「飯田市ならでは」の質問

「なぜ長野県庁ではなく、飯田市役所なのですか」
「飯田市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「飯田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい飯田市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か初級区分の採用予定は合計4人程度。658.66km²に広がる9万人規模の市を、この人数の新規採用で支えている県は南信州14市町村をまとめて見る立場、市は集落ごとの事情まで見る立場です。制度を作る側と、届いた先を見届ける側。自分がどちらに立ちたいのかで語ると、比較が具体になります
高齢化の水準65歳以上33.6%・75歳以上20.2%で、いずれも長野県全体を上回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)県より高いという事実に、658.66km²という広さを重ねてください。割合と距離を一緒に語ると、数字の紹介では終わりません
リニアと長野県駅県内唯一の中間駅が飯田市に置かれる計画。品川まで約45分・名古屋まで約27分。JR東海は令和6年3月29日に2027年開業は実現できない旨を表明開業年の当てっこは避けてください。時期が動いても続く準備は何かという角度で話すと、市の実務に近い答えになります
南アルプスユネスコエコパーク2014年登録。3県10市町村にまたがり、長野県からは飯田市・伊那市・富士見町・大鹿村が構成。核心・緩衝・移行の三層構成登録の事実で止めず、守る区域と暮らす区域を分ける仕組みだという理解を示し、関係者の多い調整の話へつなげましょう
飯田市の魅力と課題南信州の観光は延3,889千人で日帰りが85%前後。水引などの地場産業と電機・精密の先端技術産業が並立する。一方、県では18歳から22歳の転出超過が16,950人魅力を自然や景観で語ったら、課題は若者の転出まで必ず戻してください。産業の話を挟むと、その2つが一本につながります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接では、要綱が掲げる「結いの心」「やわらかな発想」が、これまでの行動のどこに表れていたかを尋ねられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
結いの心誰かと一緒に何かを続けた場面で、自分がどの役割を引き受けたか要綱の冒頭に置かれた言葉です。目立つ役でなくてもかまいません。人手が足りない場面で自分が埋めた穴を、具体的に話せるようにしておきましょう
やわらかな発想決められたやり方が通用しなかったとき、何を変えたか「豊かな発想と大胆な行動」で先駆けてきたという前文と対になる観点です。結果より、変えようと考えた理由のほうを詳しく用意してください
動画と面接の一貫性3分の動画で述べた内容を、40分と30分の個別面接で掘り下げられる動画に入れた話題は、必ず面接で聞かれる前提で選んでください。撮り直せる場面で背伸びをすると、撮り直せない場面で苦しくなります

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

飯田市は第2次で40分、第3次で30分と、人物試験を2回重ねます。同じ経験を別の面接官から角度を変えて問われる前提で、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておいてください。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の実施要綱を読み、自分が受ける区分(行政初級・建築初級・土木初級など)を確定させる
  2. パブリックコネクトのエントリー手続を早めに済ませ、エントリーシートの記入項目を先に把握する
  3. 動画審査で提示される質問を確認し、3分程度に収まる話の骨組みを紙に書き出してから録画する
  4. 学校生活と課外活動から、動画で話しても面接で掘られても持ちこたえる出来事を選ぶ
  5. 第1部の事実を3つまで絞り、そのうちどれを動画の3分に入れるかを決めておく
  6. 提出した動画をもう一度見返し、そこで述べた内容を掘り下げられたときの返し方を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を飯田市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、飯田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

飯田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

飯田市役所の想定問答集を見る

さいごに

飯田市の初級試験は、3分の動画から始まり、40分と30分の個別面接で終わります。合計しても1時間強です。

その短い時間の中で、要綱が掲げる「結いの心」と「やわらかな発想」が自分の中にあることを示すことになります。

要綱の前文には、先輩たちが豊かな発想と大胆な行動で全国の地方都市に先駆けた取組を進めてきた、と書かれていました。募集の文書に自分たちの来歴を書く市は、その続きを担う人を探しています。

動画を撮る前に、自分が飯田市で何を続けたいのかを一度書き出してみてください。書けた分だけ、3分の中身は落ち着きます。