本記事では、塩尻市職員採用試験の面接対策で必要な、塩尻市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
塩尻市役所の面接試験では、「なぜ塩尻市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。塩尻市は第1次試験の受け方を3系統から選べる一方で、第2次と第3次では面接委員と一対一で向き合う個別面接が待っています。
入口の選択肢が多いぶん、中身の準備を早く始められる試験だとも言えます。
ここに集めた事実を材料に、自分の関心と塩尻市の仕事がどこで交わるのかを組み立ててください。
第1部|自治体研究編
塩尻市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは塩尻市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 松本市・岡谷市・伊那市・辰野町・南箕輪村・木曽町・木祖村・朝日村という8つの自治体と接し、松本平・諏訪・伊那谷・木曽の4方面へ開いている市です。
- 市域は289.98km²、人口は64,883人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は224人/km²です。
- 65歳以上の割合は29.3%、75歳以上は17.5%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、長野県全体の32.7%・19.7%をどちらも下回ります。
- 市の花はキキョウ、市の木はイチイ。市役所は塩尻市大門七番町3番3号にあります。
- 南側で木曽郡の木曽町・木祖村と接しており、中央アルプスと御嶽山系に挟まれた木曽地域への入口にあたる位置を占めます。
- 職員採用試験は3段階。第1次試験の受け方を筆記・テストセンター・SPIの3系統から選べる設計になっています。
- 採用テーマとして「自ら感じて 自ら動き 未来を創る職員」を掲げています。
塩尻市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「塩尻市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
塩尻市を数字でつかむときの手がかりは2つあります。人口6万4千人という規模と、接している自治体が8つあるという位置関係です。とくに後者は、長野県の中でこの市がどんな役割を負っているかを示しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 64,883人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 289.98km² |
| 人口密度 | 224人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 29.3%(長野県全体は32.7%) |
| 75歳以上の割合 | 17.5%(長野県全体は19.7%) |
| 隣接自治体 | 松本市・岡谷市・伊那市・上伊那郡辰野町・南箕輪村・木曽郡木曽町・木祖村・東筑摩郡朝日村 |
| 市役所所在地 | 塩尻市大門七番町3番3号 |
| (参考)長野県の人口 | 1,970,876人(令和7年11月1日現在) |
| (参考)長野県の面積 | 13,561.56km²(全国4位) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における塩尻市の総人口は64,883人、長野県全体は1,995,882人で、割合の分母にもこれらを用いています。表に併記した県の人口1,970,876人は県公式サイト掲載の別の時点の値であり、調査の基準が異なるため住民基本台帳の数値と直接並べることはできません。表に挙げた総面積・隣接自治体・市役所所在地は、いずれも公表値から整理した数値です。
数字から考えられる市政課題
まず目を引くのは高齢化の水準です。65歳以上29.3%という数字は、長野県全体の32.7%より3.4ポイント低く、75歳以上でも2.2ポイント低くなっています(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
県内では相対的に働く世代の厚みが残っている市だということです。ただしこれは、今の政策課題が軽いという意味ではありません。
むしろ、県全体が先に迎えている変化に備える時間が、まだ少し残っているという読み方が正確です。
もう一つは位置です。8つの自治体と接する市では、道路も公共交通も広域の医療も、隣とのつなぎ方が市政の中身になります。
県は東西約120km・南北約212kmに広がり、隣接する都道府県数が全国で最も多い内陸県です。その内側にあって、塩尻市は4つの方面をつなぐ位置に立っています。
たとえば面接では、次のように数字から自分の関心へ橋を架けられます。
塩尻市の経済・産業
県の製造業という土台
長野県全体では、製造業の事業所数が6,148、従業者数が20万6,238人、製造品出荷額等は7兆1,391億6,000万円です(2023年6月1日時点の経済構造実態調査)(出典:長野県の製造業(経済構造実態調査)|2023年)。20万人を超える人が製造の現場で働いている県であり、塩尻市もその雇用構造の上にあります。
企業誘致や事業承継、人材確保の支援といった仕事は、この土台があってこそ成り立つものです。市の産業政策を語るときは、まずここを外さないでください。
木曽谷の入口という位置
塩尻市の南側で接する木曽地域は、中央アルプスと御嶽山系に挟まれ、木曽川などのわずかな流域を除いて山に囲まれ、ヒノキをはじめとした森林に覆われています。豊かな森林資源を生かした林業が古くから盛んで、木曽漆器などの伝統的な木工芸が伝えられてきた地域です(出典:木曽地域の情報)。
塩尻市はこの木曽谷と松本平の境目に立っています。森林資源と都市機能の両方に手が届く位置は、林業の担い手支援でも、木材の販路づくりでも、市が動く余地を生みます。
人が通り抜ける市の観光
令和6年の長野県の観光地延利用者数は8,515万人で対前年6.1%増、観光地消費額は3,327億円で同7.6%増でした。県内客が3,073万人、県外客が5,442万人、日帰り客が5,781万人、宿泊客が2,734万人という内訳です(出典:長野県観光地利用者統計調査結果|令和6年)。
県全体で見ても日帰りが宿泊を大きく上回る構造で、隣接する諏訪地域や木曽地域にも県内有数の観光地が並びます。4方面へ開く塩尻市は、そうした人の流れが交差する場所です。
通り抜けていく人にどう足を止めてもらうかは、この市の観光を考えるときの現実的な問いになります。
塩尻市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を重ねると、塩尻市が向き合う論点の輪郭が浮かびます。市の課題を問われたときに取り出せるよう、次の5つを頭の棚に並べておいてください。
余力があるうちに減少へ備えること
長野県の人口は2001年の2,220,208人をピークに減少を続け、2024年2月に200万人を下回りました。出生数は2023年に11,125人まで減り、合計特殊出生率は全国を上回るものの4年連続で低下して1.34と過去最低を記録しています(出典:長野県の人口減少の現状と課題)。
塩尻市の高齢化率が県平均を下回っているのは、この流れの外にいるからではありません。到達が少し遅いだけです。
先に手を打てる時間が残っているうちに何を仕込むかが、この市の政策の勝負どころになります。
若い世代が出ていく流れの中で
長野県では18歳から22歳の年齢層で男女ともに転出超過が続いており、同年齢層の転出超過数は16,950人で、静岡県に次いで全国2番目の多さです。とくに20代前半の女性の転出超過が課題とされています。
塩尻市も例外ではありません。戻ってくる人を増やす仕事は、働く場の確保だけでなく、住まい、子育て、地域の受け入れ方まで含んだ話になります。
若者の定着を志望動機に据えるなら、出ていく手前と戻ってくる場面のどちらに関わりたいのかを決めておきましょう。
8つの隣と足並みをそろえること
接している自治体が8つあるということは、それだけ調整の相手が多いということです。公共交通の路線、広域の消防や医療、観光の周遊、災害時の応援。どれも市の境界で切れる話ではありません。
松本平の側と木曽谷の側では、地形も人口の密度も課題の出方も違います。同じ市の中に性格の違う方面を抱えているという前提を持って市政を見ると、事業の狙いが読みやすくなります。
山と谷を抱えた地域での防災
長野県内には6つの主要活断層帯があり、糸魚川-静岡構造線断層帯では気象庁マグニチュード8程度の地震が想定されています。断層帯全体が動く想定(マグニチュード8.5)では、隣接する松本市をはじめ多数の市町村で最大震度7が想定されています(出典:第3次長野県地震被害想定調査報告書(概要版)|平成27年)。
土砂災害のほうは、この地震被害想定とは別に県が土砂災害危険箇所として集計しており、土石流が5,912渓流、地すべりが1,241箇所、急傾斜地が8,868箇所とされています。このうち全国最多とされているのは地すべりの箇所数で、土石流や急傾斜地は全国最多ではありません。
谷筋と峠道を抱える市では、道路が断たれた状態からの再開をどう設計するかが計画の中心になります。
人を集めるための試験設計という課題
塩尻市の採用試験は、上級の行政職だけで通常枠・社会人枠・テストセンター枠・社会人テストセンター枠・SPI試験枠・社会人SPI試験枠の6区分に分かれています(出典:塩尻市職員採用試験案内|令和8年度)。
ここまで入口を細かく分けている背景には、公務員試験の対策をしてきた層だけでは必要な人数を確保しにくいという事情があると考えるのが自然です。人材確保は、いまや自治体自身の行政課題でもあります。
受験生の側から見れば、自分に合う入口を選べる試験だということでもあります。
重点政策|4つの方面が交わる位置と塩尻市
塩尻市がいま掲げている総合計画の中身は、市公式サイトの現行版で必ず自分の目で確かめてください。この節では、計画の書きぶりが変わっても動かない2つの条件を先に押さえます。
4方面をつなぐという役割
塩尻市の位置は、市の施策の性格を決めています。8つの自治体と接し、松本平・諏訪・伊那谷・木曽の4方面と直接つながる位置にあります。
交通、観光、産業のどの分野でも、単独で完結する事業より、隣とどう組むかを設計する事業のほうが多くなります。面接でこうした分野を志望するなら、市の事業名を挙げるよりも、複数の自治体をまたぐ調整をどう前に進めるかという話に踏み込んだほうが、実際の仕事の姿に近づきます。
県の5か年計画という背景
長野県総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」は、2023年度から2027年度を計画期間とし、人口減少・少子化・気候変動といった危機を大変革により乗り越えて「ゆたかな社会」を実現することを基本目標に掲げています(参考:しあわせ信州創造プラン3.0|令和5年度から令和9年度)。
この計画とは別に県が公表した令和7年度当初予算では、一般会計が1兆118億5,725万2千円で、前年度当初から127億4,470万5千円(1.3%)増えています。市の施策を読むときは、県のこの方向のどこに塩尻市が乗り、どこで独自に動いているのかという目で見ると、事業の意図が立体的に見えてきます。
POINT|事業名を覚えることが目的ではない
事業名を並べるほど、話は抽象的になります。塩尻市の数字を一つ手に取り、そこから起きる不便を具体的な場面まで下ろし、市がどの方向に動いているかを確かめてから、自分の経験を接続してください。順番を逆にすると、どこかで聞いた話になります。
悪い例「交通の便がよい塩尻市で、まちづくりに携わりたいと思いました」
改善例「はじめは目の前の事務を正確にこなせるようになりたいです。そのうえで、塩尻市は高齢化率が県より低いと聞きましたので、まだ余裕があるうちに公共交通の仕組みを整えておく仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
4つとも同じ重さではありません。自分が受ける区分の受験案内を最優先にして、残りは志望分野に引っかかるものを一つ足す。それで面接の材料としては十分に足ります。
- 自分が受ける区分の塩尻市職員採用試験案内(前期日程か8月募集かを確認したうえで)
- 塩尻市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 長野県「木曽地域の情報」(森林・林業や地域連携を志望する場合)
- 長野県総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」(県全体の方向を押さえるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、塩尻市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。塩尻市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
塩尻市役所の面接の概要
ここからは、塩尻市の選考がどの順で進み、どの工程がオンラインで、どの工程で人と向き合うのかを切り分けて見ていきます。
塩尻市役所の試験の構成
令和8年度(令和9年4月1日採用予定)の塩尻市職員採用試験は、第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階です。第2次と第3次はどちらも個別面接で、面接委員と一対一で向き合う場が2回ある構成になっています。受験案内には集団面接や集団討論についての記載はありません。
| 項目 | 内容(令和8年度・令和9年4月1日採用予定/前期日程) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(筆記等)・第2次試験(個別面接ほか)・第3次試験(個別面接)の3段階 |
| 第1次試験(筆記試験枠) | 教養試験40題・2時間 |
| 第1次試験(テストセンター枠) | 全国約200か所の会場から受験者が選ぶ。教養試験40題・1.5時間 |
| 第1次試験(SPI試験枠) | 「SPI3 WEBテスティング」を期間内に自宅等でWEB受験 |
| 専門試験 | 上級・土木および建築は択一式30題・2時間(土木=数学・物理、応用力学、水理学、土質工学、測量、土木計画、材料・施工/建築=数学・物理、構造力学、材料学、環境原論、建築史、建築構造、建築計画、建築設備、建築施工) |
| 第2次試験 | 1 個別面接/2 実地試験(保育士Ⅰの前期日程・前期テストセンター枠・前期SPI試験枠のみ) |
| 第3次試験 | 個別面接 |
| 申込時の提出物 | 録画動画の登録が必須。「登録された録画はAI解析による適性検査に活用します」と明記。加えて「AIアバターとのAI面接」を行い、結果は第2次試験以降の資料として活用される |
| 紙の書類 | 「履歴書等の紙ベースでの書類の郵送や提出は一切不要です」とされ、申込から動画登録まですべてインターネット上で完結する |
| 上級の試験区分 | 行政A(通常)、行政B(社会人枠)、行政C(テストセンター枠)、行政D(社会人テストセンター枠)、行政E(SPI試験枠)、行政F(社会人SPI試験枠)、土木、建築、管理栄養士、保健師 |
| 中級の試験区分 | 事務、土木、保育士Ⅰ、保育士Ⅱ(経験者枠) |
| 社会人枠の要件 | 行政B・D・Fは、雇用形態を問わず一つの企業等に1週間あたり30時間以上の勤務を1年以上継続した経験を通算3年以上。最終合格者には在職証明書の提出を求める |
| 結果の通知 | 第1次・第2次は合格者の受験番号を市ホームページに掲載して通知に代える。第3次は直接本人に通知 |
| 初任給 | 上級232,000円(地域手当込み241,280円)、中級216,500円(同225,160円)。昇給は人事評価に応じて毎年1月1日 |
もう一つ押さえておきたいのが、募集の回次です。令和9年度採用については前期日程のほかに8月募集があり、8月募集も第1次から第3次までの3段階で、初級事務(通常枠・テストセンター枠・SPI試験枠)、初級土木、障がい者採用枠を対象としています。
前期日程と8月募集では対象となる区分が違いますので、自分が受けるのはどちらなのかを最初に確定させてください。
上記は塩尻市の令和8年度職員採用試験案内および市の職員採用ページにもとづく内容です。各試験種目の配点や人物試験の比重については案内に記述がなく、公表されていません。「面接カード」という名称の書類も公表されておらず、申込フォームの入力と録画動画の登録が実質的な事前提出物にあたります。AIアバターとのAI面接は申込段階のオンライン工程で、その結果は第2次試験以降の資料として活用されるものであり、第2次・第3次の個別面接とは別の工程です。試験の構成・区分は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける区分の最新の案内をご確認ください。
塩尻市役所が求める人物像
塩尻市が採用にあたって掲げているのは、「自ら感じて 自ら動き 未来を創る職員」という採用テーマです(出典:塩尻市職員採用の採用テーマ|令和8年度)。
「感じて」「動き」「創る」という3つの動詞が順に並んでいる点に注目してください。気づくところから始まり、自分の判断で動き、その先に形を残すという流れになっています。
感じただけ、動いただけでは途中で終わる、という含みが読み取れます。
受験案内は工程を細かく並べていますが、その工程で何を測ろうとしているかまでは説明していません。以下は、その空白を採用テーマと試験の設計から当研究会が埋めた読み方です。
塩尻市は申込の時点で録画動画の登録を求め、AIアバターとの面接まで組み込んでいます。そのうえで、第2次と第3次では人が一対一で向き合う。
機械で測れる部分は先に測り、人が見るべき部分に時間を残す設計だと考えると筋が通ります。だとすれば、後半の個別面接で問われるのは、経歴の確認ではなく、その人が何を感じてどう動いたかという中身のほうです。
6万4千人の市の行政は、分業がそこまで細かくありません。一つのテーマを預かれば、資料を作る人も、住民に説明する人も、隣の自治体と日程を詰める人も、たいてい同じ担当者です。
感じて、動いて、創るという3つの動詞がひとりの中で完結する働き方だと言い換えてもよいでしょう。だからこそ、知らない領域を渡されたときの動き出しの速さに評価の重心が寄りやすいと見ておくのが自然です。
8つの自治体と接する市では、外の相手と話す機会も多くなります。そこで効くのは押しの強さではなく、相手の事情を確かめてから提案する順番を守れることです。
住んでいる場所が市外であることは、それ自体では何の不利にもなりません。
松本平と諏訪と伊那谷と木曽が交わるこの市で、自分は何を変えたいのかを言い切れるか。そこがはっきりしていれば、言葉は短くても伝わります。
準備しておくべきなのは、面接のために整えた言い回しよりも、自分が何かに気づいて動いた具体的な場面の記憶のほうです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。塩尻市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はここまでどのくらいかかりましたか | 身構えていない場面での話し方の自然さ |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員という働き方を選ぶのですか | 安定という言葉の先に自分の理由があるか |
| ③ 自己理解 | 自分の強みが活きた場面を教えてください | 強みの名前ではなく、それが働いた具体の状況 |
| ④ 経験・行動 | 何かに気づいて自分から動いた経験はありますか | 採用テーマに直結する観点。動き出しの理由 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことを仕事にどう活かしますか | 知識の量より、業務への翻訳のしかた |
| ⑥ 適性・将来 | 異動で分野が変わることをどう思いますか | 市の業務範囲の理解と、変化への構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 行政のデジタル化について思うことはありますか | 身近な話題を自分の言葉で整理できるか |
ただし、この7つに答えられることは、塩尻市を受けるうえでの前提でしかありません。録画動画の登録もAI面接も済ませて第2次に進んだ受験者は、ここをひととおり用意して席に着きます。
では、どこで差がつくのか。それが次の「塩尻市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「塩尻市ならでは」の質問
どちらも塩尻市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「塩尻市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい塩尻市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 隣接する自治体は8つ。県が広域で決めた方向を、隣の市村と直接日程を詰めながら実際の道路や施設に落としていくのが市の側 | 県庁を否定する形にせず、決定が暮らしに届くところまで見届けたいと肯定形で述べ、その具体例を志望分野から一つ出しましょう |
| 県内で相対的に若い人口構成 | 65歳以上29.3%、75歳以上17.5%で、いずれも長野県全体を下回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) | 恵まれているという話で終わらせず、備えを仕込める時間が残っているという読み方を示すと、政策の話へ着地します |
| 8つの自治体と接する位置 | 松本平・諏訪・伊那谷・木曽の4方面と直接つながり、隣接自治体は8つ | 交通や広域連携を具体例に挙げ、市単独で完結しない仕事が多い前提を理解していると示しましょう |
| 採用試験の設計 | 第1次は筆記・テストセンター・SPIの3系統。申込段階で録画動画の登録とAI面接がある | 自分がその方式を選んだ理由を一言で言えるようにしておくと、志望度の質問にも自然につながります |
| 塩尻市の魅力と課題 | 県の製造業は従業者20万6,238人規模。南に接する木曽地域は森林とヒノキの林業が盛ん | 4方面へ開く位置と産業の厚みを魅力に挙げるなら、そのぶん調整相手が多いという裏側にも触れてください。長所と短所が同じ条件から出ていると示せます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接では、「自ら感じて 自ら動き 未来を創る」という3つの動詞が、あなたの過去の行動として実在するかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 気づく力 | 周囲がまだ問題として扱っていないことに、どこで気づいたか | 採用テーマの「自ら感じて」に対応する観点です。誰かに指摘される前に違和感を持った場面を1つ選んでおきましょう |
| 動き出す力 | 気づいたあと、最初に何をしたか | 「自ら動き」に対応します。相談した相手、集めた情報、かけた時間まで言えると具体性が出ます |
| 形にする力 | 取り組みが何らかの結果や仕組みとして残ったか | 「未来を創る」に対応します。大きな成果である必要はありません。次の人が使える形にしたかどうかで語りましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
塩尻市は第2次と第3次で計2回の個別面接がありますから、同じ経験を別の面接委員から角度を変えて問われる前提で用意してください。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えがあれば、2回目でも話が痩せません。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、前期日程と8月募集のどちらに該当するか、どの試験区分で受けるかを確定させる
- 第1次試験を筆記試験枠・テストセンター枠・SPI試験枠のどれで受けるか決め、その方式に合わせた問題演習を始める
- 申込に必要な録画動画を撮る前に、話す内容の骨子を書き出しておく(撮り直しは効いても、内容の準備は撮影後には間に合わない)
- 学業や職務経験の中から、何かに気づいて動いた場面を3つ拾い出す
- 第1部から塩尻市の事実を3つ選び、それぞれ30秒で説明できるか声に出して確かめる
- 第2次と第3次で計2回の個別面接があることを前提に、同じ経験を掘られる想定で声に出して練習する
優先順位に注意
ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を塩尻市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、塩尻市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
塩尻市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
塩尻市の選考は、画面の向こうで進む工程と、部屋の中で人と向き合う工程がはっきり分かれています。動画を登録し、AIアバターの問いに答えるところまでは、機械が相手です。
けれども最後に残る第2次と第3次の個別面接では、あなたの言葉を人が聞きます。そこで効くのは、なめらかさよりも、実際に何かに気づいて動いた記憶の厚みです。
松本平と諏訪と伊那谷と木曽が交わるこの市で、自分は何を感じて何を作りたいのか。その答えを持っていれば、どの受験方式を選んでも、最後の部屋で話すことに困りません。