本記事では、長野県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、長野県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・運営指針と運営重点・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
長野県警察の面接試験では、「なぜ長野県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。長野県警察の口述試験は個別面接を2回重ねる形で行われるため、その場しのぎの受け答えでしのげる範囲は限られます。
県内で今どんな事件や事故が起きているのかを、聞かれた角度に応じて語れるだけの下地を作っておきましょう。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と長野県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
長野県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは長野県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 長野市大字南長野に県警本部を置き、長野県全域を管轄する。管轄人口は約197万人(令和7年11月1日現在で1,970,876人)。
- 県土は13,561.56平方キロメートルで全国4位の広さ。東西約120キロメートル・南北約212キロメートルに広がり、埼玉・群馬・山梨・静岡・愛知・岐阜・富山・新潟の8県と境を接する。隣接する都道府県の数は全国で最も多い内陸県である。(出典:長野県のいち、大きさ|令和7年)
- 本部には警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部が置かれ、そのもとに各警察署と警察学校がある。交番・駐在所を束ねる地域部が独立して置かれている点は、組織図を見るときに押さえておきたい。
- 令和7年の刑法犯認知件数は8,085件で前年比5.4%の増加、検挙率は43.7%。件数は増える側に振れており、「治安は年々良くなっている」という説明は今の長野には当てはまらない。
- 罪種別に見ると侵入盗682件・自動車盗93件に対して、強盗14件・ひったくり3件。街頭の犯罪が少ない一方、住まいや車をねらう窃盗が数の中心を占める。
- 令和6年中の県内の山岳遭難は発生321件・遭難者350人で、2年連続の過去最多を記録した。山岳遭難の発生件数は全国で最も多い。(出典:山岳遭難統計|令和6年)
- 令和6年の県内の観光地利用者数は延べ8,515万人で、うち県外からの客が5,442万人。行楽期の交通対策や人が集まる場所の警戒は毎年の実務になる。
- 組織の理念として、令和8年の運営指針に「県民とともにある力強く温かい警察」を掲げている。
- 犯罪被害者を支える枠組みとして、長野県犯罪被害者等支援条例が令和4年4月に施行されている。
長野県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「長野県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 長野県全域(接する県は8つで全国最多) |
| 管轄人口 | 約197万人(令和7年11月1日現在で1,970,876人) |
| 管轄面積 | 13,561.56平方キロメートル(全国4位・東西約120キロメートル・南北約212キロメートル) |
| 県警本部の所在地 | 長野市大字南長野 |
| 本部の組織 | 警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部 |
| 刑法犯認知件数 | 8,085件(令和7年・前年比5.4%増) |
| 刑法犯検挙率 | 43.7%(令和7年) |
| 山岳遭難 | 発生321件・遭難者350人(令和6年中・2年連続で過去最多) |
管轄人口と面積は長野県の公表資料(人口は令和7年11月1日現在)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計、山岳遭難は長野県警察の山岳遭難統計(令和6年中)にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の数や職員数は本記事では扱っていないため、必要な場合は長野県警察の最新の公表資料でご確認ください。
数字から考えられる治安課題
令和7年の刑法犯認知件数8,085件という数字は、人口およそ197万人の県として突出したものではありません。ただ、それがそのまま安心の裏づけになるわけでもありません。
8,085件は前年から5.4%増えており、増加の向きに転じています。そのうえで長野に特有なのが、事件が起きる場所の散らばり方です。
全国4位の広さの県土に県民が分かれて暮らすため、通報から現場に着くまでの距離も、地域の実情を把握するために回る範囲も長くなります。件数の多い少ないと、一件あたりに必要な手間の大きさは別の話だということです。
たとえば面接では、長野県の治安の現状について、次のように数字と課題を結び付けて説明できます。
長野県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
長野県内の刑法犯認知件数は、令和7年の確定値で8,085件、前年比5.4%の増加となりました。件数が前年を上回った点は、面接前に必ず確認しておきたいところです。
あわせて刑法犯全体の検挙率は43.7%で、認知された事件のおよそ4割強が検挙されている計算になります。
認知件数が増える局面では、その一件ごとに捜査の人手が必要になります。起きた事件を確実に解決する力を保ちながら、そもそも被害を出さないための働きかけをどこまで広げられるか。
令和8年の運営重点が「総合的な犯罪防止対策の推進」と「県民生活を脅かす犯罪の徹底検挙」を第1項・第2項に並べているのは、この二本立てを組織の構えとして示したものといえます。
主な罪種の内訳
8,085件の内側に何が詰まっているかは、総数を見ているだけでは分かりません。令和7年の数字から主な5つの罪種を取り出したものが次の表です。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 7件 |
| 強盗 | 14件 |
| 侵入盗 | 682件 |
| 自動車盗 | 93件 |
| ひったくり | 3件 |
強盗は年間14件、路上のひったくりは3件にとどまる一方で、住宅や事業所に入り込む侵入盗が682件、自動車盗が93件発生しています。住まいと車をねらう窃盗が犯罪情勢の中心にあるということです。
都市部の街頭犯罪への警戒よりも、施錠の習慣や留守がちな家への目配りといった生活の細部に働きかける活動が、そのまま数字に効いてくる県だといえます。自動車盗が90件を超えている点も見逃せません。
車がなければ暮らしが成り立たない地域では、1件の被害が生活に与える打撃は大きくなります。
「電話でお金詐欺」という呼び方
長野県警察の資料を読むときに気づいてほしいことがあります。特殊詐欺を「電話でお金詐欺」と言い換えて呼んでいる点です。
令和8年の運営重点でも、第1項の下に「電話でお金詐欺(特殊詐欺)対策を始めとした効果的な犯罪防止対策の推進」という項目が置かれ、第2項の組織犯罪対策でも同じ呼び方が使われています。
「特殊詐欺」という言葉は、行政や報道では定着していますが、聞いた人が自分の身に起こることとして受け止めにくい面があります。「電話でお金」と言い換えれば、何が起きるのかが一言で伝わります。
当研究会は、この呼称の選び方を、運営指針の「温かい」という言葉が現場の言葉づかいにまで及んだ一例だと見ています。面接で詐欺対策に触れるなら、県警察が使っている呼び方をそのまま借りて話すと、資料を自分で読んだことが自然に伝わります。
高齢化の進行と、交通・詐欺の被害
長野県の65歳以上人口は643,630人で、割合は33.3%と過去最高を更新しました。うち75歳以上は386,572人で20.0%、15歳未満は213,952人・11.1%と過去最低です(いずれも令和7年10月1日現在)。
県民のおよそ3人に1人が高齢者という構成は、犯罪と事故の両方に直結します。(出典:年齢別人口|令和7年)
令和8年の運営重点は、交通事故防止対策の第1項に「高齢者交通事故防止対策」を、第4項に「高齢運転者対策の推進と安全運転相談等の充実」を掲げています。公共交通が届きにくい地域が多く、免許を返した後の生活をどう支えるかまで含めて考えなければならないのが、長野の交通安全の難しさです。
県内の交通事故の件数や死者数は毎年更新されるため、面接で触れる場合は県警察の統計ページで最新値を確認してください。
山岳遭難と、県外から入る人の多さ
長野県の治安情勢で他県と最も大きく異なるのが、山です。令和6年中の山岳遭難は発生321件・遭難者350人で、2年連続の過去最多かつ全国最多となりました。
3,000メートル級の山が連なる県土に、県外から多くの登山者が入ってきます。令和6年の観光地利用者数は延べ8,515万人(前年比6.1%増)、消費額は3,327億円(同7.6%増)で、内訳は県内客3,073万人に対して県外客5,442万人。
延利用者数の上位は軽井沢高原、善光寺、上諏訪温泉と諏訪湖でした。(出典:観光地利用者統計調査|令和6年)
県外から入る人の多さは、そのまま救助と警備の仕事量になります。遭難者の救助は天候にも地形にも左右される危険な活動で、それを年に300件を超える規模で担っているという事実は、長野県警察を語るうえで外せません。
同時に、登山口での声かけや登山計画の届出の呼びかけといった、遭難を減らす側の働きかけも警察の仕事です。山に関心があって志望する人ほど、救助だけでなく未然防止の側まで視野に入れておきましょう。
長野県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、長野県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「長野県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
増加に転じた刑法犯と、暮らしの場をねらう窃盗
令和7年の刑法犯8,085件・前年比5.4%増という数字そのものより、目を向けたいのは増え方の中身です。侵入盗682件・自動車盗93件という構成は、被害の現場が住宅や事業所、そして駐車場だということを示しています。
対策の主役は住民自身の施錠や管理の習慣になり、警察の役割はその行動をどう促すかに移ります。交番や駐在所での声かけ、被害が続いた地区への集中的な警戒、自治体や事業者を通じた注意喚起といった手段を、広い県土のどこにどう配分するかが問われる分野です。
電話でお金詐欺と匿名・流動型犯罪グループ、サイバー空間
令和8年の運営重点は、第1項に電話でお金詐欺(特殊詐欺)対策と総合的なサイバー事案対策を、第2項に匿名・流動型犯罪グループ等の壊滅・弱体化に向けた総合対策を掲げています。指示役が匿名の陰に隠れ、実行役だけがネット上の募集で短期間に入れ替わる形をとるため、末端を検挙しても次の実行役が現れます。
取締りと同時に、犯罪収益の流れを断つ取組や、誘いに乗ってしまう若い世代を出さないための働きかけまでが一続きの課題です。65歳以上が33.3%を占める県で高齢者を守る側面と、進学や就職で県外に出ていく若者を加担させない側面の、両方があることを頭に入れておきましょう。
全国最多の山岳遭難と、山に入る人の安全
令和6年中の発生321件・遭難者350人という数字は、2年続けて過去最多を更新したものです。装備や体力が十分でないまま山に入る人、天候の急変を読み違える人、単独で行動して発見が遅れる人と、遭難に至る事情はさまざまです。
救助側にとっては、悪天候や急峻な地形のなかで隊員の安全を確保しながら要救助者に近づくという、極めて負担の大きい活動になります。発生件数が全国で最も多いという点で、この課題は長野県警察に固有のものです。
人口減少と若い世代の県外流出
長野県の人口は2001年の2,220,208人をピークに減少を続け、2024年2月には200万人を割り込みました。出生数は2023年に11,125人まで減り、合計特殊出生率は全国を上回るものの4年連続で低下して1.34と過去最低です。
さらに、18歳から22歳の進学・就職期の転出超過は16,950人で、静岡県に次ぐ全国2番目の多さとなっています。県は、人口減少により社会インフラ・医療・教育・行政サービス等の維持が困難になることを公式に課題として認識しています。(出典:長野県の人口減少の現状と課題|令和8年)
治安の観点でこれが効いてくるのは、地域の安全を支えてきた仕組みの担い手が細っていくところです。集落の見回りも、子どもの登下校の見守りも、続ける人がいて初めて成り立ちます。
人が減っていく地域で従来と同じ安全水準を保つには、警察が地域と組む形そのものを組み替える必要があります。令和8年の運営重点が第5項に「治安情勢を的確に見据えた効果的な地域警察活動の推進」を置き、巡回連絡や交番・駐在所の機能強化を挙げているのは、この現実への応答として読めます。
大規模災害への備えと、大きな行事が続く数年
長野県内には6つの主要活断層帯があり、うち糸魚川-静岡構造線断層帯(牛伏寺断層を含む区間)ではマグニチュード8程度の地震が想定されています。断層帯全体が動く場合の想定では、長野市・松本市・上田市・諏訪市・茅野市・千曲市・安曇野市・大町市など多数の市町村で最大震度7が見込まれています。
県は活断層による地震のほか、想定東海地震と南海トラフ巨大地震についても被害想定を行っています。(出典:第3次長野県地震被害想定調査(概要版)|平成27年)
土砂災害の危険も大きく、県内の土石流危険渓流は5,912渓流(全国8位)、急傾斜地は8,868箇所(全国15位)、そして地すべりの危険箇所は1,241箇所で全国最多です。水害では、令和元年東日本台風の際に長野市穂保付近の千曲川堤防が決壊し、長野市域の広い範囲が水につかる被害が出ています。
地震・土砂・水害のいずれについても、住民の避難誘導や行方不明者の捜索は警察の現場になります。(出典:土砂災害危険箇所|令和8年)
あわせて、平時に人が集まる場所の安全確保も続きます。令和8年の運営重点は、テロ等の未然防止の項目で信州やまなみ国スポ・全障スポを見据えた情報収集・分析と対処訓練を明記しました。
大きな行事を控えた数年間の警備・交通対策は、これから採用される世代が実際に担う仕事です。
重点方針|長野県警察運営指針及び令和8年運営重点
長野県警察は、その年の警察活動の方向性を示すものとして『長野県警察運営指針及び令和8年運営重点』を公表しています。指針として掲げられているのは「県民とともにある力強く温かい警察」という一文で、副題に「日本一安全・安心な信州をめざして」を添え、そのもとに運営重点が7項目置かれています。(出典:長野県警察運営指針及び令和8年運営重点|令和8年)
指針から読み取れる方向性
この一文には、読み落としてはいけない仕掛けがあります。「力強く」と「温かい」を並べて置いたという点です。
前者は検挙や取締り、事案への即応といった、与えられた権限を行使して危害を止める側面を指します。後者は被害者支援、県民の意見や要望への対応、駐在所での見守りといった、相手の立場に立って支える側面です。
長野県警察は、この両方を一文に収めました。どちらかだけでは足りないという判断が、方針の一行目に示されているということです。
もうひとつは「県民とともにある」という語です。県民のために働くのではなく、県民とともにある。
巡回連絡や交番・駐在所の機能強化が運営重点の第5項に、県民の意見・要望への対応と被害者支援が第6項に置かれているのは、この語を実務に置き換えたものと読めます。採用サイトでも「大切なひとを守りたい。
」「日本一安全・安心な信州であるために。」という言葉が理念として掲げられており、指針と同じ方向を向いています。(出典:長野県警察採用サイト|令和8年)
7つの運営重点
令和8年の運営重点は次の7項目です。左の欄の項目名は公式のもの、右の欄は受験生向けに当研究会の言葉で整理した解説です。
| 運営重点(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① 総合的な犯罪防止対策の推進 | 人身安全関連事案への対処や子供・女性を守る取組に加え、電話でお金詐欺(特殊詐欺)対策とサイバー事案対策まで、被害を出さない側の取組をまとめた柱 |
| ② 県民生活を脅かす犯罪の徹底検挙 | 検挙率43.7%という数字の中身に当たる部分。重要犯罪や重要窃盗犯の検挙、暴力団や匿名・流動型犯罪グループへの対策、科学捜査の活用が並ぶ |
| ③ 交通事故防止対策の推進 | 65歳以上が33.3%を占める県で、高齢者の事故防止と高齢運転者対策、自転車や小型モビリティへの指導取締りを進める分野 |
| ④ テロ・大規模災害等危機管理対策の推進 | 信州やまなみ国スポ・全障スポを控えた時期のテロの未然防止と、震度7が想定される地震や土砂災害への態勢づくりが同じ柱に置かれている |
| ⑤ 治安情勢を的確に見据えた効果的な地域警察活動の推進 | 巡回連絡による実態把握、交番・駐在所の機能強化、街頭活動と初動警察活動の強化。広い県土で住民との接点を保ち続けるための活動 |
| ⑥ 県民の立場に立った積極的な対応 | 意見や要望の把握と誠実な対応、被害者支援、適正な職務執行と広報。令和4年に施行された長野県犯罪被害者等支援条例とも重なる部分 |
| ⑦ 警察の組織運営に関する戦略的な取組の推進 | 人が減っていく県で組織の構造と働き方を見直し、優秀な人材の確保と教養・訓練を進める取組 |
左の欄は公式の項目名です。右の欄は公式の解説ではなく、当研究会が面接対策用に長野県の情勢と結び付けて整理したものです。各項目の下には、さらに具体的な対策が公表されています。
面接で自分の取り組みたい仕事を語るときは、それが7項目のどこに当たるのかを一言添えましょう。長野県警察がいま何に力を入れている組織かを踏まえた志望だと伝わります。
POINT|7項目を暗記することが目的ではない
項目名を覚えることが組織研究のゴールではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①長野で何が起きているか(数字) → ②県警察はどの重点で応じようとしているか → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に整理しましょう。
悪い例「長野の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「まずは駐在所の警察官として、地域の方に顔を覚えてもらうところから始めたいです。その上で、長野は空き巣などの住まいに入る盗みが年に700件近くあると知りましたので、鍵かけの声かけや、被害が続いた地区の見回りを重ねて、被害そのものを減らす側で力になりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 自分が受ける区分の受験案内(試験種目・配点・受験資格・申込方法)
- 長野県警察の採用サイト(仕事の紹介と職員のメッセージ)
- 長野県警察運営指針及び令和8年運営重点(指針と7つの重点、その下の対策)
- 県警察が公表する犯罪統計・交通事故統計・山岳遭難統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、長野県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。長野県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
長野県警察の面接の概要
ここからは、長野県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
長野県警察の面接の流れ
長野県警察の警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階です。受験案内には試験種目と配点がかなり細かく示されており、そこから面接の重みがはっきり読み取れます。
| 項目 | 内容(2026年度・警察官A/警察官B) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階 |
| 試験区分 | 警察官A・警察官Bのそれぞれに一般区分とSPI区分(男性・女性)。警察官Aにはサイバー犯罪捜査官の区分と、南信エリア限定のエリア採用枠もある |
| 第1次試験 | 教養試験(一般区分・120分・択一式)または基礎能力検査SPI3(SPI区分・110分・性格検査を含む)。あわせて論文試験(警察官A・90分・1,200字以内)/作文試験(警察官B・60分・800字以内)を実施 |
| 第1次試験の配点 | 教養試験400点・基礎能力検査400点(資格加点により最高472点)。専門試験400点はサイバー犯罪捜査官のみ |
| 第2次試験 | 適性検査(オンライン版)・口述試験・体力検査(5種目)・身体検査・資格調査 |
| 面接の種類 | 口述試験として個別面接を2回実施(幹部面接及び若手面接)。集団面接・集団討論は課されない |
| 第2次試験の配点 | 口述試験(適性検査を含む)750点・論文/作文試験250点・体力検査100点(1種目20点)の計1,100点 |
| 口述試験の判定 | 2回の個別面接で7段階の評定。いずれの試験員の評定も下位2段階以下でなく、かつ3人以上の評定が上位4段階以上であることが合格判定の必要最低基準 |
| 評定項目 | 態度、表現力、協調性、積極性、判断力、信頼性、創造性 |
| 提出書類 | 第1次試験合格者は全員、第2次試験までに健康診断書と面接カードを郵送または持参で提出(提出期日は別途指定) |
この表から読み取ってほしい点が3つあります。
1つ目は配点です。第2次試験の1,100点のうち、口述試験に750点が置かれています。
面接が第2次試験の配点のおよそ68%を占めるという構造で、体力検査100点や論作文250点とは比べものにならない比重です。第1次試験を通過した後は、面接の出来がほぼそのまま結果になると考えてください。
2つ目は論文・作文の扱いです。論作文は第1次試験日に実施されますが、採点は第2次試験で行われ、250点も第2次試験の配点に計上されます。
つまり第1次試験日に論作文を受験しなかった場合、第1次試験に合格しても第2次試験を受けられません。筆記の手ごたえが悪くても、その日の論作文は必ず最後まで書き切ってください。
3つ目は判定の仕組みです。2回の個別面接での評定は7段階で、どの試験員からも下位2段階以下の評価を受けないことに加え、3人以上から上位4段階以上の評価を得ることが必要最低基準とされています。
一人の試験員に強い難色を示されるだけで基準を外れる一方、可もなく不可もない評価をそろえるだけでも足りません。幹部面接と若手面接のどちらも手が抜けない設計です。
なお、2026年度の試験からは、一般区分に加えてSPI区分(男性・女性)が新設され、警察官Aには南信エリア限定のエリア採用枠が設けられました。体力検査も20メートルシャトルランに代えてバーピーテストが導入されています。
警察官Aについては、2026年度試験から集団面接を廃止して個別面接2回へ変更されました。試験の形が動いている時期なので、必ず自分の受ける年度の受験案内で確認してください。
上記は長野県警察が公表した2026年度の受験案内(警察官A・2027年4月採用第1回/警察官B・2026年10月採用)にもとづく内容です。試験の構成・種目・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。(出典:警察官採用試験受験案内|2026年度)
長野県警察が求める人材
長野県警察は、受験案内にも採用サイトにも、箇条書きで定式化した「求める警察官像」を示していません。ただし、判断の手がかりが無いわけではありません。
口述試験の評定項目が「態度、表現力、協調性、積極性、判断力、信頼性、創造性」の7つとして受験案内に明記されているからです。何を見るかを事前に公表している試験なので、そこに合わせて自分の経験を選び直すことができます。
この7つは、運営指針の言葉ときれいに対応します。積極性・判断力・創造性は、起きた事案に自分から踏み込んでいく「力強く」の側。
協調性・信頼性は、県民や同僚とともにある「温かい」の側です。態度と表現力は、その両方をどう相手に伝えるかという部分にあたります。
採用サイトが掲げる「大切なひとを守りたい。」という理念も、特別な経歴ではなく、身近な誰かのために動いた経験の延長線上にあるものです。
自己PRを作るときは、7つの評定項目のうち自分がどれで勝負するかを先に決めましょう。すべてを満遍なく盛り込もうとすると、どの項目にも届かない話になります。
1つか2つの項目に照準を合わせ、その項目が確かにあったと言える具体的な場面を用意するほうが、2回の面接を通して印象が積み上がります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。長野県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 昨夜はよく眠れましたか? | 身構えていない場面での話し方と、間の取り方に素の姿が出ます |
| ② 動機・志望 | 警察官のほかに考えた仕事はありますか? | 他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | ご自身の短所を、どのように自覚していますか? | 弱点を認めたうえで、手当てする方法まで持っているかどうか |
| ④ 経験・行動 | 意見が割れた場面を、まとめた経験はありますか? | 調整の場面で自分が何を言い、何を譲ったのかという行動の事実 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に最も時間をかけた勉強は何ですか? | 自分の選択の理由を、借り物でない言葉で説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 県内のどこに配属されても大丈夫ですか? | 県土の広い長野で勤務地が動くことへの理解と、生活面の備え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官が守るべきものは何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは長野県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通で、多くの受験者が対策してくる領域です。ここで大きな差はつきません。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活になじめるか、危険と向き合う職務に就く覚悟があるかを確かめる質問が向けられることがあります。長野県警察は個別面接が2回あるため、この種の問いが一度で終わらないことも想定しておきましょう。
合否を分けるのは長野の実情を踏まえた質問
どちらも、長野県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「長野県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい長野県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 刑法犯認知件数は令和7年で8,085件(前年比5.4%増)、検挙率43.7%。強盗14件・ひったくり3件に対し、侵入盗682件・自動車盗93件 | 「増えた」で止めず、増えている中身へ踏み込みます。街頭の犯罪が少なく住まいと車の窃盗が中心という長野の形まで言えると、統計を自分で開いた跡が残ります |
| 志望動機・やりたい仕事 | 運営指針は「県民とともにある力強く温かい警察」。令和8年の運営重点は7項目で構成される | 「力強く」と「温かい」のどちらの側に自分の経験が寄るのかを先に決めます。志望する分野が7項目のどれに当たるかも一言添えると、資料を読んだ跡が見えます |
| 山岳遭難と観光 | 令和6年中の山岳遭難は発生321件・遭難者350人で全国最多。観光地利用者は延べ8,515万人、うち県外客5,442万人 | 山岳救助に憧れだけで触れると弱くなります。訓練を続ける覚悟と、遭難を減らす側(登山口での声かけや登山計画の届出の呼びかけ)まで触れると具体になります |
| 災害への備え | 糸魚川-静岡構造線断層帯の地震で長野市・松本市など最大震度7を想定。地すべりの危険箇所1,241箇所は全国最多。令和元年東日本台風では長野市穂保付近の千曲川堤防が決壊 | 断層帯の名前と、自分が暮らす地域の避難経路をセットで話せると、備えを自分ごとにしている人だと伝わります |
| 人口減少と高齢化 | 人口は2001年の2,220,208人をピークに減り2024年2月に200万人を割った。65歳以上は33.3%で過去最高、18歳から22歳の転出超過は16,950人で全国2番目 | 「若者が減る」で終わらせず、駐在所が受け持つ集落で誰が見守るのかまで話を進めます。地域部を置く長野県警察で自分が何をしたいかへつなげられます |
使い方のコツは、志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「長野で何が起きているか」「自分はそこに何の問題を感じるか」「警察官として何をしたいか」という三段を一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
長野県警察の面接は、公表された7つの評定項目に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
ここでは7項目を、準備しやすい3つのまとまりに整理しました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 積極性・判断力・創造性 | 自分で決めて動いた場面があるか。その判断の理由を、後から言葉で再現できるか | 幹部面接と若手面接の2回で同じ経験を聞かれても筋がぶれないよう、判断した理由と、そのとき捨てた選択肢まで書き出しておきます |
| 協調性・信頼性 | 立場や年齢の違う相手と、続けて関わってきたか。任されたことを守り続けた事実があるか | 運営指針に「温かい」を掲げる組織です。短期間の華やかな成果より、同じ相手や同じ場所に長く関わり続けた話のほうが評定項目に届きます |
| 態度・表現力 | 聞かれたことに正面から答えているか。話す姿勢や声の届き方はどうか | 評定項目が公表されている試験なので、7つの言葉を自分の経験に割り当ててから練習に入ると、準備の抜けが減ります。人に聞いてもらう機会を増やすことが、いちばん確実な対策です |
評価の観点の3項目は、2026年度受験案内に記載された口述試験の評定項目7つを、当研究会が面接対策用にまとめ直したものです。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける区分の受験案内を読む。一般区分とSPI区分のどちらで受けるかを決め、論作文が第1次試験日に実施されること、その250点が第2次試験の配点であることを準備の前提に置く
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 公表されている7つの評定項目を書き写し、棚卸しした経験がどの項目の証拠になるのかを割り当てる。空欄になった項目があれば、そこを埋める経験を探し直す
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個選んで、「長野で何が起きているか」「自分はそこに何の問題を感じるか」「警察官として何をしたいか」の三段でつなぐ
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。幹部面接と若手面接の2回があるため、同じ質問に2度答えても崩れないかを確かめる。あわせて体力検査5種目に向けた体づくりと、90分または60分で書き上げる論作文の練習も並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。第2次試験の1,100点のうち750点が口述試験に置かれた試験である以上、自分を語る材料の準備が最優先です。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、長野県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
長野県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。口述試験に750点が置かれた試験だからこそ、問答の準備には早くから時間を回しておきたいところです。
さいごに
長野県警察の第2次試験は、1,100点のうち750点が口述試験に置かれています。しかも面接は幹部面接と若手面接の2回で、どの試験員からも下位2段階以下の評定を受けないことが合格判定の必要最低基準です。
筆記の点数だけで結果が決まる試験ではありません。そして評定項目は「態度、表現力、協調性、積極性、判断力、信頼性、創造性」の7つとして公表されています。
何を見るかが示されているのですから、そこに自分の経験を当てはめる作業から始められます。
県土は全国4位の広さで、令和6年中の山岳遭難の発生件数は全国最多。令和7年の刑法犯は8,085件と前年より増え、同年10月1日現在の65歳以上の割合は33.3%と、これまでで最も高い水準になりました。
その県で長野県警察が掲げたのは「県民とともにある力強く温かい警察」という指針でした。力強さと温かさのどちらから自分は語れるのか、そして誰の何を守りたいのか。
面接カードを書き始める前に、自分の経験を一つ選び、この記事で見た長野の数字のどれと結び付くのかを紙に書き出してみましょう。そこが準備の出発点になります。