本記事では、赤穂市職員採用試験の面接対策で必要な、赤穂市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

赤穂市役所の面接試験では、「なぜ赤穂市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情を知っておけば、どの自治体にも当てはまる回答から一歩踏み込んだ説明ができます。

第2部で扱う試験の構成は、令和8年度採用の回(土木職・機械職・保育士/幼稚園教諭・作業員・調理員兼用務員を対象とする試験)で公表された内容です。事務職はこの回の対象に含まれていないため、事務職を志望する方は、募集の時期に公表される受験案内をあわせてご確認ください。

第1部|自治体研究編

赤穂市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは赤穂市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 兵庫県の西の端、瀬戸内海に面する市。人口は43,475人(令和8年1月1日現在)、市域は126.85km²。
  • 相生市・上郡町と接し、県境を越えて岡山県備前市とも隣り合う。海上では姫路市とも隣接する。
  • 毎年12月14日に開かれる赤穂義士祭は市最大の行事で、義士行列がその目玉。
  • 赤穂の塩づくりの歴史は日本遺産に認定されている。
  • 高齢化率は34.9%で、兵庫県全体の29.5%を上回る(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口による)。
  • 令和6年4月1日現在の自主防災組織の組織率は100.0%。県平均の98.4%より高い。
  • 市は職員採用について、全職種の年齢要件を45歳までとし、より多くの人が受験しやすくしていることをポイントに挙げている。
  • 市の花はツツジ、市の木はサクラ。

赤穂市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「赤穂市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

人口と年齢の構成、市域の広さ、そして県境をまたぐ隣接関係を並べます。

項目内容
総人口43,475人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口15,192人(34.9%。兵庫県全体は29.5%)
75歳以上人口9,192人(21.1%。兵庫県全体は17.6%)
総面積126.85km²
人口密度約343人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体相生市・赤穂郡上郡町・岡山県備前市(海上では姫路市)
市の花・木ツツジ(花)・サクラ(木)

総人口・年齢別人口・高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。県全体の数値も同じ調査の兵庫県の値を並べています。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。兵庫県が公表する国勢調査を基礎とした推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と並べて増減を計算しないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

赤穂市の高齢化率34.9%は、兵庫県全体の29.5%を5ポイント以上上回ります。75歳以上の割合も21.1%で、市民のおよそ5人に1人という水準です(令和8年1月1日現在)。

加えて見落とせないのが、県境の市であるという条件です。通勤・通学や買い物、医療の圏域が県の境界で区切られていない地域では、市の施策も隣県との行き来を前提に考える必要が出てきます。

面接で市の現状を語るときは、人口の数字だけを並べるのではなく、この立地の条件と重ねて話すと、調べ方の深さが伝わります。たとえば次のような言い方です。

「赤穂市は人口4万人台で、65歳以上の方が3割を超えていると知りました。岡山県とも隣り合うまちなので、県をまたいで暮らしている方にも届く行政サービスを考える仕事に、関わっていきたいと思っています」

赤穂市の経済・産業

兵庫県経済のなかでの位置

  • 名目の県内総生産は令和5年度に23兆9,895億円(前年度比2.7%増)。3年続けて名目・実質とも伸びている。
  • 名目の県民総所得は25兆4,318億円。前年度を1.7%上回った。
  • 県は自県の強みに「ものづくり産業の集積、世界有数の科学技術基盤、気候風土に恵まれた多彩な食材と食文化、国際性豊かな地域社会」を数えている。
  • 赤穂市は瀬戸内海に面した臨海部を持ち、県が定める石油コンビナート等特別防災区域の一つ、赤穂地区を抱えてきた。

つまり、県の西端で、臨海の産業と歴史資源の両方を持つのが赤穂市の輪郭です。産業や雇用の話題では、この二本立てを前提に話を組み立てると筋が通ります。(出典:兵庫県民経済計算|令和5年度)

塩づくりの歴史と日本遺産

赤穂の塩づくりの歴史は日本遺産に認定されています。塩は、たつの市の醤油や手延素麺の原料としても使われてきたもので、赤穂の塩づくりは一つの市の物語にとどまらず、播磨の食文化を支えてきた土台でもあります。

歴史資源を観光の話題として使うときは、名所や名物の紹介で終わらせず、その資源が今どんな形で地域の仕事につながっているかまで調べておきましょう。(参考:赤穂市 観光・旅行商品のご案内|市公式)

赤穂義士祭と観光

令和5年度の兵庫県の観光入込客数は1億2,232万人(前年度比106.8%)で、うち日帰り客が1億1,085万人と全体の90.6%を占めました。目的別ではスポーツ・レクリエーションが3,549万人で最多、歴史・文化が2,724万人と続いています。

赤穂市最大の行事である赤穂義士祭は、義士たちが本懐を遂げるまでの物語をパレードで再現するもので、毎年12月14日に開かれます。

歴史・文化を目的とする来訪が県内で二番目に大きな流れであることを踏まえれば、この行事は市の観光の中心にあたります。

日帰りに偏った県内の構造のなかで、訪れた人の消費をどう地元へ落とすかが共通の課題です。(出典:兵庫県観光客動態調査報告書|令和5年度/赤穂義士祭|市公式)

赤穂市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、赤穂市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少と高齢化

兵庫県から東京圏や大阪府へ出ていく人が入ってくる人を上回る状態は、2011年から途切れていません。大きく抜けるのは20歳代ですが、0〜14歳と30〜39歳の層では逆に転入超過が広がっています(令和5年7月時点の県資料)。

県の将来推計人口が描くのは、人口423万人(2015年比24%減)、65歳以上4割、4人に1人が75歳以上という2050年の姿です。

高齢化率34.9%の赤穂市では、その将来像がすでに現在の課題として現れています。

県境の市であるだけに、若い世代が進学や就職で市外へ出る先は県内とも限りません。戻る理由をどうつくるかが問われます。(出典:兵庫県 現状と課題の整理|令和5年7月)

地震・津波への備えと地域の防災力

南海トラフ巨大地震について兵庫県が独自に行った被害想定(平成26年6月)は、淡路地域の一部で最大震度7、神戸市・阪神・播磨地域の広い範囲で最大震度6強としています。

死者は夏の昼間12時に発災した場合が最も多く約29,100人、うち約96%を津波が占めます。建物の全壊は最大約38,500棟(冬の夕方18時発災)、避難所生活者は最も多い時で約16万8,700人(夏の昼間12時)という数字です。

瀬戸内海に面する赤穂市では、揺れと海からの被害の両方への備えが必要です。(出典:南海トラフ巨大地震・津波被害想定|平成26年)

一方で、赤穂市の自主防災組織の組織率は100.0%(令和6年4月1日現在)で、県平均の98.4%を上回っています。ただし県全体では消防団員が38,016人と減少が続き、条例定数に対して4,193人不足している状況です。

組織が地域を覆っていることと、いざというときに人が動けることは同じではありません。高齢化が進むなかで担い手をどう保つかが、次の課題として控えています。(出典:兵庫県消防防災年報|令和6年版)

臨海部の産業と防災区域の見直し

兵庫県の石油コンビナート等防災計画(令和8年4月修正)によると、県内の石油コンビナート等特別防災区域は神戸地区・東播磨地区・姫路臨海地区の3区域です。

赤穂地区については、令和8年秋ごろに区域指定の政令改正により指定が解除される予定とされています。

区域の指定が外れることは、臨海部の産業の姿が変わってきたことの表れでもあります。防災体制の枠組みが変わる局面では、企業や住民への説明、消防や県との調整といった実務が必要になります。

実際の状況は変わり得ますので、市や県の最新の公表内容を確認したうえで話題にしてください。(出典:兵庫県石油コンビナート等防災計画|令和8年4月修正)

移動手段の確保

公共交通空白地域は県の可住地面積の23.4%を占め、約16万9,638人、県人口の3.1%にあたる人がその中で暮らしています。多くは淡路地域や播磨地域の内陸部です(令和5年7月時点の県資料)。

市民の3人に1人以上が65歳以上という赤穂市では、通院や買い物の足の確保が暮らしに直結します。県境をまたぐ移動が日常にある地域では、市の中だけで完結しない調整も必要になります。

赤穂市の重点政策|採用の設計から読む

赤穂市が何を大事にしているかは、職員採用の設計にも表れています。令和8年度採用の試験では、市は全職種の年齢要件を45歳までとし、より多くの人が受験しやすくしていることをポイントとして掲げました。

募集された職種は、土木職2名程度、機械職1名程度、保育士/幼稚園教諭若干名、作業員(美化センター等)2名程度、調理員兼用務員(保育所)1名程度です。(出典:赤穂市職員採用試験案内|令和8年度採用)

職種構成と年齢要件が示すもの

職種と年齢要件の一覧は案内に載っているとおりですが、そこから市の事情をどう読むかまでは案内に書かれていません。

技術職に加えて、美化センターの作業員や保育所の調理員兼用務員まで正規職員として採っているということは、市が現場の仕事を自前で抱え続けているということです。

そして年齢の枠を45歳まで広げているのは、担い手の確保が容易ではない現実への対応でもあるでしょう。人口減少と高齢化が同時に進む市で、現場を担う人をどう集めるかは、そのまま市民サービスを保てるかどうかにつながります。

総合計画をはじめとする市の計画は市公式サイトで公表されていますので、関心のある分野を決めてから読むと、頭に入りやすくなります。

POINT|事業名の暗記より、現場とのつながりを一本

取組の名前をそろえることは、面接の準備にはなりません。赤穂市であれば、市が現場の仕事を自前で抱え続けている点を起点に、自分が入ってみたい分野では誰がその仕事を担っているのかを一つ挙げてみてください。その担い手をどこから確保していくのかという問いには、どの分野からでも入っていけます。

悪い例「歴史を生かしたまちづくりに関わりたいです」

改善例「赤穂市は義士祭や塩づくりの歴史で知られていますが、市民の3人に1人以上が65歳以上だと知りました。行事を続ける担い手が減っていくと思いますので、地域の人が無理なく関われる形を一緒に考える仕事に携わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

面接で話す材料は、次の資料から集まります。赤穂市の正規職員採用の情報は募集の時期に合わせて掲載されますので、受験する年の案内が出たらすぐ手元に置いてください。

  • 赤穂市の職員採用試験案内(職種ごとの試験種目・年齢要件・提出書類が示されます)
  • 赤穂市の総合計画(市公式サイトで公表されています)
  • 最新年度の当初予算と、市政運営に関する市の公表資料
  • 義士祭や塩づくりの歴史など、観光・文化に関する市公式サイトの紹介ページ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、赤穂市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。赤穂市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

赤穂市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

赤穂市役所の面接の概要

ここからは、令和8年度採用の回で公表された試験の内容をもとに、赤穂市役所の面接の位置づけと備え方を整理していきます。この回の対象は土木職・機械職・保育士/幼稚園教諭・作業員・調理員兼用務員で、事務職は含まれていません。

赤穂市役所の試験の組み立て

この回の試験でまず目を引くのは、面接の置かれ方です。第1次試験の段階ですでに集団面接があり、第2次試験では個別面接と論文試験が課されます。

作業員・調理員兼用務員には第2次試験がなく、第1次試験の集団面接と適性試験・教養試験で判断される組み立てです。土木職・機械職には教養試験がないため第1次試験は1日で終わり、市は「公務員試験の受験対策をする必要なく受験ができます」と説明しています。

項目内容(令和8年度採用の回)
対象職種と採用予定人員土木職2名程度、機械職1名程度、保育士/幼稚園教諭若干名、作業員(美化センター等)2名程度、調理員兼用務員(保育所)1名程度
第1次試験(土木職・機械職)適性試験、集団面接。教養試験がないため第1次試験は1日のみです
第1次試験(保育士/幼稚園教諭)集団面接、実技試験。2日目に適性試験、教養試験
第1次試験(作業員・調理員兼用務員)集団面接。2日目に適性試験、教養試験
第2次試験個別面接、論文試験(指定課題による。公務員として必要な知識及び表現力等を見るもの)。作業員・調理員兼用務員には第2次試験がありません
教養試験択一式60分。対象は保育士/幼稚園教諭・作業員・調理員兼用務員。論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認する基礎的な問題です
適性試験択一式。土木職・機械職は10分(作業能力面)と20分(職務への対応や対人関係面)、作業員・調理員兼用務員は20分(技能労務職員としての適応性)と20分(職務への対応や対人関係面)、保育士/幼稚園教諭は20分(性格特性)
実技試験(保育士/幼稚園教諭)絵本の読み聞かせ及び模擬保育、音楽(ピアノ弾き歌い)。内容は試験日までに別途通知されます
年齢要件(全職種)昭和55年4月2日以降に生まれた人(令和8年4月1日における満年齢が45歳までの人)
提出書類受験申込書(写真貼付)、最終学校の卒業証明書または卒業見込証明書、最終学校の成績証明書、受験票(写真貼付)、資格証または免許証などの写し(保育士/幼稚園教諭、調理員兼用務員)、連絡用封筒
申込方法持参・郵送・メールの3方法。電子申請システムは使用していません
試験結果の開示不合格者に対し、総合得点及び順位を合格発表の日から1か月間、市の人事課の窓口で口頭により開示します(電話やメール等による請求では開示されません)

もう一点、受験の前に知っておきたい取り扱いがあります。申込みは1職種に限られ、受付後の職種変更はできません。

また試験成績によって合否を判定するため、各職種で必ず1名以上が採用されるとは限らないとされています。合格者の辞退等に備えて補欠合格とする場合もあります。

募集人員の数字を「その人数までは入れる枠」と読むのは危険だということです。(出典:赤穂市職員採用試験案内|令和8年度採用)

上記は、赤穂市の令和8年度採用の職員採用試験案内(土木職・機械職・保育士/幼稚園教諭・作業員・調理員兼用務員が対象)にもとづく内容です。事務職はこの案内の対象に含まれていません。試験の種目・職種・年齢要件・提出書類は募集ごとに異なりますので、受験の際は赤穂市が公表する最新の受験案内でご確認ください。

赤穂市が求める人物像

赤穂市の令和8年度採用の試験案内には、「求める人物像」としてまとめられた記載は置かれていません。受験する年の案内に示される場合もありますので、募集が始まったら本文を最後まで読んでおきましょう。

もっとも、試験の組み立てそのものが市の考え方を映しています。土木職・機械職では教養試験を課さず、その代わりに適性試験と集団面接、そして第2次の個別面接と論文で見る。

知識量で並べるのではなく、人物と考え方を見て採る設計だということです。年齢要件を45歳までとしていることも、経歴の幅を受け止める姿勢の表れと言えます。

現場を抱える市役所で働くということ

美化センターの作業員も、保育所の調理員兼用務員も、赤穂市は正規職員として採用しています。庁内には、机に向かう職員と現場に立つ職員が同じ組織の一員として並んでいるということです。

立場も経歴も違う相手と噛み合って仕事を進められるかは、この市では実務に直結します。年齢要件を45歳までとしていることもあわせれば、同僚の年齢層も歩んできた道もばらつく職場だと想像しておいてください。

もう一点、この試験は提出書類をそろえるところが最初の作業になります。卒業証明書と成績証明書を取り寄せ、申込書と受験票に写真を貼り、連絡用封筒まで用意する。

締切から逆算して手を打てるかどうかは、入庁後の仕事の運び方とも重なります。面接で自分を語るときは、華やかな結果より、段取りを組んで最後まで運び切った経験のほうが、この市の仕事に近いはずです。

赤穂市の出身であるかどうかよりも、この市の何に関心を持ち、暮らす人としてどう関わりたいのかを語れることのほうが、ずっと重く受け止められます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。赤穂市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク簡単に自己紹介をお願いします第1次試験から集団面接がある試験です。並んだ状態での話の入り方
② 動機・志望なぜ赤穂市で働きたいと思ったのですか県境の市です。近隣や隣県ではなくこの市を選んだ理由の具体性
③ 自己理解ご自身の長所と短所を教えてください適性試験でも対人関係面が見られます。自己評価に裏づけがあるか
④ 経験・行動立場の違う人と協力して進めた経験を教えてください現場の職種と事務が同じ庁内にいる市です。噛み合って動けるか
⑤ 学業・経歴これまでに力を注いできたことを教えてください年齢要件が45歳までと幅広い試験です。経歴の中身を自分の言葉で語れるか
⑥ 適性・将来入庁後、どのような仕事に取り組みたいですか市の仕事の範囲をどこまで具体的に描けているか。希望以外の部署への構え
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事を一つ挙げてください論文試験もある試験です。考えを組み立てて短く述べられるか

もっとも、この見取り図でまかなえる範囲は、他の受験者も同じように準備してきます。本当に差が出るのは、赤穂市を調べていなければ言葉に詰まる質問のほうです。

合否を分けるのは「赤穂市役所ならでは」の質問

「なぜ兵庫県庁ではなく、赤穂市役所を志望するのですか?」
「赤穂市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも赤穂市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「赤穂市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい赤穂市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成人口は43,475人。65歳以上が34.9%、75歳以上が21.1%で、いずれも兵庫県全体を上回る(令和8年1月1日現在)数字を挙げるだけで終わらせず、行事や地域活動の担い手という具体的な場面に引き寄せて話す
まちの顔赤穂義士祭は毎年12月14日に開かれる市最大の行事。赤穂の塩づくりの歴史は日本遺産に認定されている知名度の紹介で止めず、歴史資源が今の仕事や暮らしにどうつながっているかまで踏み込む
なぜ県庁ではなく市役所か赤穂市は技術職から保育、美化センターの作業員まで正規職員として採用し、現場を自前で抱えている「住民に近いから」で止めず、現場を持つ市役所で働く意味を自分の経験と結びつける
防災最大震度6強を見込む兵庫県の想定範囲に入る一方、市の自主防災組織の組織率は100.0%(令和6年4月1日現在)に達している組織率の高さを誇る話にせず、担い手の高齢化という次の課題まで見通した意見を述べる
臨海部の変化県の防災計画では、赤穂地区の石油コンビナート等特別防災区域は令和8年秋ごろに指定解除の予定とされている断定を避けつつ、臨海部の産業の移り変わりと市の役割という文脈で話す

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

赤穂市は求める人物像を文章として掲げてはいませんが、試験の設計が評価の方向を示しています。面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。

いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。以下の3点は、集団面接と個別面接を二段で置く種目立てと、現場の職まで正規職員として採る市の成り立ちに沿って整理しました。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
人と噛み合って動く力集団面接の場での話し方と、他の受験者の話への向き合い方立場の違う相手と一緒に進めた経験を、相手の言い分ごと説明できるようにしておく
自分で考えを立てる力第2次試験には論文もあります。個別面接でも考えの筋道が問われる関心のある市の課題について、現状と自分の意見を400字程度で書き出しておく
腰を据えて続ける姿勢これまで長く関わってきた活動や仕事があるか年齢要件が45歳までと幅広い試験です。これまでの歩みをこの市でどう生かすかまで話す

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

令和8年度採用の回は集団面接と個別面接の両方を置く設計でしたから、一度話した内容が別の場でもう一度掘られることも想定しておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておいてください。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する年の赤穂市の職員採用試験案内を読み、志望職種の試験種目と年齢要件、申込方法を確認する
  2. 提出書類を早めに手配する。卒業証明書や成績証明書は取り寄せに日数がかかり、申込書と受験票には写真も必要です
  3. 高校・大学生活や職務の経験を棚卸しする。話せる具体例を分野ごとに1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作り、短く話す練習をする
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、声に出して練習する

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ3で経験を洗い出し、それが赤穂市のどの仕事につながるかを考える作業を先に済ませてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、赤穂市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

赤穂市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

赤穂市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度採用の回では、土木職と機械職に教養試験を課さず、集団面接と適性試験、そして第2次の個別面接と論文で人を選ぶ組み立てが採られました。事務職を志望する方は対象の回が異なりますので、受験案内が出たら試験種目を必ず自分の目で確かめてください。

義士祭と塩づくりの歴史を受け継ぎ、県の西端で臨海部の変化と高齢化に向き合うまちで、自分は何を引き受けたいのか。

集団面接で短く伝えられる形と、個別面接で細部まで説明できる形の両方を、いまのうちに用意しておいてください。