本記事では、南あわじ市職員採用試験の面接対策で必要な、南あわじ市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験案内の詳細を手元で確認できる前の段階でも進められる準備を中心に整理しました。

南あわじ市役所の面接試験では、「なぜ南あわじ市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、南あわじ市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と南あわじ市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

南あわじ市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは南あわじ市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 淡路島の南部を占め、陸で接するのは北の洲本市だけという市。南は海上で徳島県鳴門市と向かい合い、兵庫県の南端にあたる。なお市名は「南あわじ市」で、「あわじ」はひらがな表記が正式である。
  • 市域面積は229.01平方キロメートル。住民基本台帳による人口は43,065人(令和8年1月1日現在)で、淡路島の3市(洲本市・淡路市・南あわじ市)の中では最も広い市域を持つ。
  • 65歳以上人口の割合は37.0%で、兵庫県全体の29.5%を上回る。75歳以上は22.0%(県17.6%)。
  • 洲本市とともに淡路島たまねぎの主な産地。苗を畑に植えてから収穫まで半年以上をかけて育てられ、地域団体商標として登録されている。
  • 兵庫県の南海トラフ巨大地震・津波被害想定では、市内に最大震度7が想定されている。
  • 同じ想定で、県内で最も高い津波水位が見込まれているのが市内の福良地区で8.1メートル。津波の到達が県内で最も早いのも市内の沼島地区で、44分とされている。
  • 市の花は日本水仙、市の木は黒松。市役所は市善光寺にある。
  • 職員採用試験は一次・二次・三次の3段階で実施され、採用に関する所管は南あわじ市総務課。

南あわじ市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「南あわじ市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、高齢化の進み方、選考の枠組みなど、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口43,065人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口15,929人(37.0%、兵庫県29.5%)
75歳以上人口9,475人(22.0%、兵庫県17.6%)
総面積229.01km²
人口密度約188人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接する自治体洲本市(海上で徳島県鳴門市)
職員採用試験の段階一次・二次・三次の3段階(採用の所管は南あわじ市総務課)

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合、および兵庫県の値は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。国勢調査を基準とする数値とは集計の考え方が異なるため、両者を直接比較することはできません。総面積と隣接自治体は当研究会が整理した基礎データ、試験の段階は南あわじ市の公表情報によります。

数字から考えられる市政課題

南あわじ市の高齢化率37.0%は、兵庫県全体の29.5%を7ポイント以上上回ります。75歳以上に限っても22.0%で、市民の5人に1人を上回ります。

県全体でも人口は2009年の560万人をピークに減少し、将来推計では2050年に65歳以上が4割、4人に1人が75歳以上になると見込まれていますが、南あわじ市はその見通しにすでに近い年齢構成にあります。

面積229.01平方キロメートルに4万3千人という規模は、1平方キロメートルあたり約188人という密度です。同じ台帳の県全体の人口5,364,773人を県の面積8,400.95平方キロメートルに当てはめると約640人になりますから、県の平均的な姿とは大きく異なります。

広い市域に集落が散らばり、そこに高齢の市民が多く暮らす。この組み合わせは、災害時の避難という場面でとくに重い意味を持ちます。

たとえば面接では、南あわじ市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「南あわじ市は75歳以上の方が5人に1人を超えていると聞きました。しかも市の面積は220平方キロメートルを超えていて、集落が散らばっています。津波の想定を見ると、県内で一番早いところで40分あまりで到達するとされていますので、避難の呼びかけをどう届けるかが本当に大事だと感じています」

南あわじ市の経済・産業

淡路島たまねぎと農のまち

南あわじ市の産業を象徴するのが淡路島たまねぎです。洲本市とともに主な産地となっており、地域団体商標として登録されています。

苗を畑に植えてから収穫まで半年以上をかけて育てるという作り方は、この産業が長い時間と手間の上に成り立っていることを示しています。ブランドとして守られている農産物は、作る技術だけでなく、作り続ける人と売り先が揃って初めて残るものです。

農業を志望動機に使うなら、名産品の紹介で止めず、担い手や販路の話まで持っていきましょう。(出典:淡路島たまねぎについて|南あわじ市)

県境をまたぐ位置

南あわじ市が陸で接するのは北の洲本市だけで、南は海上で徳島県鳴門市と向かい合います。兵庫県の南端という位置は、市民の生活圏が県境をまたいで広がりうることを意味します。

買い物や通院、通勤の行き先が県外という選択肢が現実にある地域では、市の施策も県内だけを見ていては足りません。志望動機で立地に触れるなら、「島の南端」を不便さの説明ではなく、二つの県のあいだにあるという条件として語れると、視野の広さが伝わります。

兵庫県経済と観光の中の南あわじ市

南あわじ市が属する兵庫県は、令和5年度の県内総生産(名目)が前年度比2.7%増の23兆9,895億円で、名目・実質とも3年連続の増加でした。

観光では、県全体の令和5年度の入込客数が1億2,232万人(対前年度比106.8%)で、うち日帰り客が1億1,085万人と全体の90.6%を占め、宿泊客は1,147万人(9.4%)でした。目的別ではスポーツ・レクリエーション3,549万人、歴史・文化2,724万人、都市型観光1,830万人の順です。

島の南端に位置する南あわじ市にとって、宿泊まで含めた滞在をどう増やすかは、観光施策の中心的な論点になります。(出典:兵庫県民経済計算|令和5年度/兵庫県観光客動態調査報告書|令和5年度)

南あわじ市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、南あわじ市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

県内で最も厳しい津波想定

兵庫県が平成26年6月に公表した南海トラフ巨大地震・津波の被害想定では、南あわじ市に最大震度7が想定されています。それだけではありません。県内で最も高い津波水位が見込まれているのは市内の福良地区で8.1メートル、津波の到達が県内で最も早いのも市内の沼島地区で44分とされています。

県全体では、死者が最大時(夏の昼間12時発災)で約29,100人、そのうち約27,970人が津波によるもの、建物全壊は最大時(冬の夕方18時発災)で約38,500棟と見込まれています。避難所生活者はピーク時で約168,700人(夏の昼間12時発災)です。

高さと速さの両方で県内の最前線に置かれた市だという事実は、どの分野を志望するにしても外せない前提になります。(出典:南海トラフ巨大地震・津波被害想定|兵庫県・平成26年)

高齢化と避難の実効性

65歳以上37.0%、75歳以上22.0%という年齢構成は、上の津波想定と重ねたときに意味が変わります。到達まで40分あまりという時間は、健脚の人にとっては十分でも、支援が必要な人にとっては十分とは限らないからです。

県内の自主防災組織の組織率は98.4%(令和6年4月1日現在)と高い水準にありますが、組織があることと、その日に人が動くことは同じではありません。

誰がどこへ、どうやって逃げるのか。この問いを地区ごとに詰めていく作業は、市職員の実務そのものです。(参考:兵庫県消防防災年報|令和6年版)

広い市域での移動の確保

兵庫県は、公共交通空白地域が可住地面積の23.4%を占め、その地域に県人口の3.1%(約169,638人)が暮らしていると整理し、淡路地域や播磨地域の内陸部にそうした地域が多いとしています。1平方キロメートルあたり約188人という密度の市では、施設を1か所に集めれば通えない人が出て、各地に置けば維持が難しくなります。

日々の買い物と通院をどう支えるかは、福祉の話であると同時に、災害時に人がどこにいるかを把握できるかという防災の話にもつながります。(出典:兵庫県 現状と課題の整理|2023年)

島の3市と県境という二重の広域関係

兵庫県は神戸・阪神、播磨、但馬、丹波、淡路の五国からなり、29の市と12の町を抱えます。淡路島にあるのは洲本市・淡路市・南あわじ市の3市で、いずれも別の団体です。

職員採用試験もそれぞれの市が単独で実施しています。南あわじ市の場合はさらに、海を隔てた徳島県鳴門市との関係も加わります。

島の中での連携と、県境をまたぐつながり。この二重の広域関係をどう扱うかが、市政の判断に影響します。(参考:兵庫県の概要|兵庫県)

南あわじ市の重点政策|津波想定と農のまちという二つの前提

南あわじ市の市政には、計画の名称を覚えるより先に押さえておくべき条件があります。ここでは、確認できている市固有の条件から、市政が背負っている前提を読み解いていきます。

総合計画とその実施計画は、市公式サイトの計画・方針のページに掲載されています。

二つの前提が同時に立っている

南あわじ市の市政には、性格の違う二つの前提が同時に置かれています。ひとつは県内で最も厳しい津波想定を抱えているという条件、もうひとつは淡路島たまねぎに代表される農業のまちであるという条件です。

前者は「失わないための行政」を、後者は「育て続けるための行政」を求めます。守る仕事と伸ばす仕事の両方を、4万3千人規模の組織で回していくことになります。

この二つは切り離せません。担い手が減れば農地の管理が行き届かなくなり、集落の人が減れば避難の助け合いも成り立ちにくくなります。

逆に、農業が続く地域には人が残り、その人たちが災害時の互助の担い手にもなります。面接でどちらのテーマを選ぶにしても、もう一方とのつながりに一言触れられると、市の全体像を見ている受験者だと伝わります。

市政の背景として押さえたい兵庫県の状況

南あわじ市の施策は、県全体の流れの上に乗っています。志望分野を問わず、次の4点は前提として頭に入れておきましょう。

  • 県人口は2009年の560万人をピークに減少に転じ、県の将来推計では2050年に423万人(2015年比24%減)まで減り、65歳以上が4割、4人に1人が75歳以上になる見込み。
  • 2011年以降、東京圏と大阪府への転出超過が続き、とくに20歳代の流出が止まっていない。一方で0〜14歳と30代のファミリー層では転入超過が拡大している。
  • 県人口の6割が県土面積の14%にあたる神戸・阪神地域に集まり、今後は全地域で人口が減少すると見込まれる。
  • 県は自らの強みとして、ものづくり産業の集積、科学技術の基盤、気候風土に恵まれた食材と食文化、国際性の豊かな地域社会を挙げている。

守ることと育てることのどちらから入るにせよ、その仕事が県全体のどの流れに乗るのかを一文で言えると、話に奥行きが出ます。

POINT|二つの前提のどちらから入るかを決める

名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「南あわじ市の農業を盛り上げる仕事がしたいです」

改善例「南あわじ市はたまねぎの産地ですけれども、75歳以上の方が5人に1人を超えている状況です。ですので、作り手を増やす話と、農地を引き継ぐ話を分けて考えて、まずは今つくっている方が何に困っているのかを聞いて回る仕事から関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 南あわじ市の職員採用試験案内(総務課のページに掲載されるもの。試験方法の欄を必ず読む)
  • 南あわじ市の総合計画とその実施計画(市公式サイトの計画・方針のページ)
  • 南あわじ市の地域防災計画・津波避難計画などの防災関連の個別計画
  • 南あわじ市の統計情報(人口・世帯)と、兵庫県の被害想定・観光客動態調査

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、南あわじ市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。南あわじ市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

南あわじ市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

南あわじ市役所の面接の概要

ここからは、試験案内が公開される前でも押さえておける確認事項、質問の全体像、そして南あわじ市の条件から準備を組み立てる手順を、この順で見ていきます。

試験案内が出る前に確かめておける6項目

南あわじ市の職員採用試験は、一次・二次・三次の3段階で実施されます。市は公式のよくある質問の中で、採用試験の具体的な問題には答えられないとしたうえで、一次・二次・三次の試験方法については総務課のページで公開している試験案内を参考にするよう案内しています。

採用に関する所管は南あわじ市総務課です。各段階の科目や面接の形式は、その試験案内でご確認ください。

案内が出るまでのあいだにも確かめておけることはありますので、次の6点を手元のチェック項目として使ってください。

確認する項目確かめる理由確認先
募集職種と採用予定人員一般行政職か技術職かで、面接で持ち出すべき経験が変わります南あわじ市総務課のページに掲載される職員採用試験案内
一次から三次までの試験方法筆記が教養型か基礎能力検査型かで、机に向かう時間の使い道が決まります同上(試験案内の試験方法の欄)
面接の形式と実施回数一人で話すのか複数人で議論するのかで、練習の相手の集め方が変わります同上
得点の扱いに関する記載人物試験の比重が読み取れれば、筆記と面接への力の入れ方を決められます同上(点数配分を示さない自治体もあります)
提出書類と申込の方法書類に書いた内容は面接で参照されます。様式と締切も早めに押さえます同上
問い合わせの窓口案内が公開される前の時期は、総務課へ電話で確かめるのが確実です南あわじ市総務課

南あわじ市の試験の科目・面接の形式・配点・提出書類は、南あわじ市総務課のページで公開される職員採用試験案内でご確認ください。試験の構成・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。本記事では、確認できていない事項を推測で補うことはしていません。(参考:職員採用試験に関するよくある質問|南あわじ市)

南あわじ市役所が求める人物像

職員像として掲げられた文言は、試験案内が公開される時期に示される場合があります。まずはそちらを確認してください。

以下で並べるのは、人口4万3千人・市域229.01平方キロメートル・県内で最も厳しい津波想定という三つの条件から、この市役所の仕事の形を逆算したものです。南あわじ市が職員像として文章にした内容ではありませんので、面接では「市が求めているのは」と切り出さず、自分がそう考えた理由として話してください。

人口4万3千人、市域229.01平方キロメートル。この規模の市役所は、分野ごとに大きな専門部隊を抱える構造にはなりません。

たまねぎの産地としての農林水産、県内で最も厳しい津波想定に向き合う防災、高齢化率37.0%の福祉。性格の異なる仕事を、限られた人数で回していくことになります。

だとすれば、初めて触れる分野でも資料に当たり、経験のある人に確かめながら形にしていける進め方が要ります。採用側の目もまずそこへ向くはずです。

しかも南あわじ市では、平常時の担当がそのまま災害時の役割にもなります。何かが起きたときに動ける人であるかどうかは、平常時の仕事の運び方に表れます。

もう一点、4万人台の市では、市役所の職員は同時にその地域の生活者でもあります。窓口で交わしたやり取りが地域の中で語られる規模ですから、期日を守ること、伝え方を選ぶこと、仕事と私生活の線を引くこと。

その一つひとつが市役所そのものの評判につながります。だからこそ、このまちで働き続ける自分の姿をどこまで具体的に思い描けているかが、志望動機の説得力を左右します。

準備の方向は、そこから一つに絞れます。手元にある経験のうち、南あわじ市の仕事の条件に噛み合う部分を先に選び出しておくことです。

試験案内が手元にない時期だからこそ、どんな問われ方をしても出せる材料をそろえておくほうが、結果的に早く仕上がります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。南あわじ市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク島には来られたことがありましたか?訪れた回数そのものではなく、張り詰めた場面でも言葉のやり取りが続けられるかどうか
② 動機・志望なぜ南あわじ市を志望するのですか?淡路島には3つの市があり、いずれも別の試験を実施している。その中で南あわじ市を選んだ筋道に中身があるか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?弱みを言い当てるところで止まらず、それを承知でどう手を打っているかまで用意できているか
④ 経験・行動知らないことを任されたときは、どう進めましたか?一人が受け持つ分野の広い市役所。最初の一手をどこに置いたか、誰に相談したかが具体的に問われる
⑤ 学業・経歴これまでに学んだことで、市の仕事に活かせそうなことはありますか?学んだ内容の高度さではなく、南あわじ市の仕事のどこに接続するかを自分で見つけられているか
⑥ 適性・将来配属や担当が数年ごとに変わることを、どう考えますか?農林水産から防災まで性格の違う分野を同じ職員が担う市。異動を前提に働けるかどうか
⑦ 公共性・社会性災害の報道で、印象に残っているものはありますか?県内で最も厳しい津波想定を抱える市であることを踏まえ、防災を自分の問題として考えた形跡があるか

もっとも、この見取り図が押さえているのは全国共通の部分です。試験の形式がまだ読めない段階では、ここを埋めておくことが最低ラインで、差がつくのはその先になります。

踏み込むべきは、次に挙げる南あわじ市の事情に立ち入った質問のほうです。

合否を分けるのは「南あわじ市役所ならでは」の質問

「なぜ兵庫県庁ではなく、南あわじ市役所を志望するのですか?」
「南あわじ市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも、南あわじ市の中身を手元に持っていなければ、その場で言葉が続かない質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「南あわじ市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい南あわじ市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳の令和8年1月1日現在で人口43,065人、65歳以上37.0%・75歳以上22.0%(兵庫県はそれぞれ29.5%、17.6%)減少や高齢化を嘆く材料にせず、限られた職員数をどの分野へ厚く配るかという選択の話に持っていくと、実務の議論になります
なぜ県庁ではなく市役所か南あわじ市が陸で接するのは洲本市だけ。採用の所管は市の総務課で、試験も市が単独で実施している組織の大小を比べるのではなく、住民との距離の近さと受け持つ範囲の広さを、自分がやりたい仕事の形と結び付けて説明します
津波への備え兵庫県の被害想定(平成26年6月公表)で、県内最高の津波水位8.1メートルが市内の福良地区に、県内最短の到達時間44分が市内の沼島地区に想定されている44分という数字を出して終わらせず、その時間内に地区の誰がどの経路で動くのかを平常時に決めておく、という話まで運びます
農業と地域資源洲本市とともに淡路島たまねぎの主な産地。地域団体商標として登録され、苗を植えてから収穫まで半年以上をかけて育てられる産品の紹介で止めず、作り続ける人をどう確保するかという担い手の視点まで踏み込むと、行政の目線になります
県境をまたぐ位置南は海上で徳島県鳴門市と向かい合い、兵庫県の南端にあたる市民の生活圏が県境をまたぎうることに触れ、県内だけを見た施策では足りない場面があるという認識を示します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、この市域が抱えている条件に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

南あわじ市の条件から引き出せる観点を、次の3つに絞りました。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
未経験の分野を引き受ける構え農林水産から防災まで性格の異なる分野を数年ごとに担当する職場のため、初めての仕事にどう入ったかが掘り下げられますやったことのない役割を引き受けた場面を1つ選び、最初に何を調べ、どの時点で見通しが立ったのかを順に言えるようにしておきます
防災を生活の側から考えているか津波水位8.1メートル、到達44分という想定を抱える市で、防災をどこまで具体に落として考えているかが見られます一般論を述べるのではなく、家族や自分の住まいについて避難を話し合ったといった、実際に動いた事実を一つ持っておきます
このまちに根を下ろす見通し志望動機と将来像のやり取りを通じて、この土地で長く働く意思が確かめられます高齢化率37.0%、たまねぎの産地、津波想定の最前線という3つの顔のうち、自分がどれに関わりたいのかを先に決め、選んだ理由まで言えるようにします

なお、公務員の面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。試験の形式が事前に分からない状況ほど、掘り下げに耐える中身が効いてきます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 南あわじ市総務課のページを定期的に確認し、職員採用試験案内が公開されたら試験方法の欄を最初に読む。分からない点は総務課に直接たずねる
  2. 高校・大学生活や職務の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 知らない仕事を任された経験を1つ選び、着手から完了までを時系列で書き出す。受け持つ範囲が広い職場では、この一本が最も使い回しの効く持ち札になる
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から志望分野に近い事実を2〜3個選んで、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。形式が分からないうちは、一人で話す形と複数人で話す形の両方を試しておく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4で作る一本を先に仕上げてください。南あわじ市は試験の形式が事前に読みにくいぶん、どんな聞かれ方をしても出せる材料を持っているかどうかが効きます。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、南あわじ市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

南あわじ市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

南あわじ市役所の想定問答集を見る

さいごに

南あわじ市の職員採用試験は一次・二次・三次の3段階で、各段階の試験方法は総務課のページで公開される試験案内に示されます。科目や面接の形式が手元にない段階でも、できることはあります。

むしろ、形式が読めないうちに材料をそろえておいたほうが、案内が出てからの動きは速くなります。

この市には、県内で最も高い津波水位を想定された地区と、半年以上をかけてたまねぎを育てる畑が、同じ市域の中にあります。守ることと育てることを同時に引き受けるまちで、自分はどちらの側から関わりたいのか。

試験案内を待つ時間は、その答えを固めるための時間として使ってください。