本記事では、加古川市職員採用試験の面接対策で必要な、加古川市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
加古川市役所の面接試験では、「なぜ加古川市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、加古川市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
以下は、事務職の採用試験を軸に整理しています。加古川市は同じ年度のなかで複数回の募集を行っており、回によって1次試験の中身も、最終試験まで進む職種も変わります。自分が申し込む回の受験案内と読み合わせながら進めてください。
第1部|自治体研究編
加古川市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは加古川市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 兵庫県南部の東播磨に位置し、平成14年4月に特例市へ移行した施行時特例市。平成27年4月の地方自治法改正で特例市制度が廃止されたことにあわせ、加古川市を含むそれまでの特例市は「施行時特例市」へ名称が変わった。
- 人口は25万5,592人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。面積は138.48平方キロメートルで、市域は南北に長い。
- 市名のもとになった加古川が市域を貫き、河口部の海側に工業地帯、内陸側にため池の点在する台地が広がる。
- 海側には東播磨地区の石油コンビナート等特別防災区域が置かれ、鉄鋼と化学の大規模事業所が立地する。
- 隣り合うのは明石市・高砂市・姫路市・加西市・三木市・小野市と、加古郡の播磨町・稲美町。8つの自治体と接する播磨地域の中央部にあたる。
- 市の花はツツジ、市の木はクロマツ。いずれも1970年3月の制定。
- 職員採用では、令和8年2月の募集(令和8年7月1日採用)の1次試験に適性検査(SPI)が用いられた。令和8年度前期試験の実施スケジュールにも、1次の筆記について公務員試験対策は不要と記されている。
加古川市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「加古川市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
以下は、人口と年齢構成、市域の広さ、位置関係、採用の規模を一覧にしたものです。数字そのものより、隣の市と並べたときにどのあたりに立っているのかを掴んでおくと役に立ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 255,592人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 74,287人(高齢化率29.1%) |
| うち75歳以上人口 | 43,972人(総人口の17.2%) |
| 総面積 | 138.48km² |
| 人口密度 | 約1,846人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接する自治体 | 明石市、高砂市、姫路市、加西市、三木市、小野市、加古郡播磨町、稲美町の8市町 |
| 市制上の位置づけ | 施行時特例市(平成14年4月に特例市へ移行) |
| 事務職の採用予定人員 | 事務職・事務職【経験者】あわせて5名程度(令和8年2月募集・令和8年7月1日採用) |
総人口と年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)、面積と隣接自治体は当研究会が整理した基礎データ、採用予定人員は令和8年2月募集の募集要項によります。人口密度は住民基本台帳人口を面積で割った参考値です。本記事では市民経済計算にあたる数値は扱わず、経済の姿は市域に立地する産業から見ていきます。
数字から考えられる市政課題
加古川市の高齢化率は29.1%、75歳以上が総人口の17.2%です。同じ住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で兵庫県全体を見ると高齢化率29.5%・75歳以上率17.6%ですから、県平均をわずかに下回る位置にある市ということになります。
なお、国勢調査をもとにした県の推計値は基準が異なるため、そちらの数字と並べて比べることはできません。
隣り合う市と並べると、位置づけはもう少しはっきりします。同じ住民基本台帳の値で、三木市は35.8%、高砂市は30.3%、小野市は30.0%です。
25万人規模を保ちながら高齢化率が3割手前にとどまっているのは、加古川市の現在地を語るときの出発点になります。裏を返せば、これから比率が上がっていく局面に入るということでもあり、その速度に行政サービスが追いつけるかが問われます。
これから比率が上がる局面だという読み方は、答えのなかでこう使えます。
加古川市の経済・産業
海側に立つ鉄鋼と化学
加古川市の産業を語るうえで外せないのが、海沿いに広がる工業地帯です。兵庫県内には石油コンビナート等特別防災区域が3か所置かれており、そのひとつが加古川市・高砂市・播磨町にまたがる東播磨地区です。
加古川市地区は区域内で最も広い5,666,239平方メートルを占め、加古川を西端、別府川を東端とする延長約4キロメートルの海岸線沿いに広がっています。区域内の特定事業所は、金沢町の関西熱化学株式会社加古川工場と株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所です。(出典:兵庫県石油コンビナート等防災計画|令和8年4月修正)
つまり、市の経済の芯には鉄鋼と化学という装置産業が据わっているということです。
雇用と税収の両面で市を支える一方、金沢町の地区では事業所の北側に幅50メートルのグリーンベルトと運河道路が設けられています。産業と暮らしの距離をどう保つかが、この市では都市計画の実務そのものになっているわけです。
県全体の経済のなかでの位置
市単位で使える経済統計は限られますが、県の規模は把握できます。兵庫県内総生産(名目)は令和5年度に23兆9,895億円となり、前年度から2.7%伸びました。
名目・実質のいずれも3年続けての増加です。県民総所得(名目)のほうは25兆4,318億円で、こちらも前年度を1.7%上回っています。(出典:兵庫県民経済計算|令和5年度)
兵庫県は自らの強みの筆頭に「ものづくり産業の集積」を挙げていますが、加古川市の海側はその実物にあたります。志望動機で産業を語るなら、県全体の話に寄せず、加古川の海沿いに何が立っているかまで踏み込めると具体になります。
観光と人の行き来
令和5年度の兵庫県の観光入込客数は1億2,232万人で、前年度を782万人上回りました(対前年度比106.8%)。
うち日帰客が1億1,085万人と全体の90.6%を占めます。目的別ではスポーツ・レクリエーションの3,549万人が最も多く、歴史・文化の2,724万人が続きます。(出典:兵庫県観光客動態調査報告書|令和5年度)
日帰りが9割という県全体の傾向は、加古川市のように大都市圏の通勤圏にある市を考えるうえで前提になります。宿泊を前提にした誘客より、近隣から気軽に足を運んでもらう仕掛けのほうが、8つの自治体と接するこの市の条件には噛み合いやすいという読み方ができます。
加古川市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、加古川市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口の減少と、人の流れの偏り
兵庫県の推計人口(県統計課公表)は令和8年6月1日現在で5,304,414人、前月から2,783人減りました。令和8年5月中の増減は自然減2,290人・社会減493人で、県内10地域すべてで人口が減っています。
県の将来推計では2050年に423万人(2015年比24%減)まで縮み、65歳以上が4割、4人に1人が75歳以上になる見込みです。
あわせて県は、2011年以降の転出超過が続き、特に東京圏と大阪府への流出が大きいこと、県人口の6割が県土面積の14%にあたる神戸・阪神地域に集まっていることを課題として整理しています。加古川市の高齢化率が今は3割手前でも、この流れの外に立てるわけではありません。(出典:兵庫県の現状と課題の整理|2023年)
コンビナートと暮らしが隣り合う市域
東播磨地区の特別防災区域は3市町あわせて10,918,845平方メートル、そのうち加古川市地区が566万平方メートル余りを占めます。区域は海岸線に沿った細長い帯状で、その北側にはすぐ市街地が続きます。
金沢町の地区に幅50メートルのグリーンベルトと運河道路が設けられているのは、この近さゆえの措置です。産業の集積は市の強みであると同時に、備えの対象でもあるという二面性が、加古川市の防災を特徴づけています。
南海トラフ巨大地震への備え
兵庫県が平成26年6月に公表した南海トラフ巨大地震・津波被害想定では、神戸・阪神・播磨地域の広い範囲で最大震度6強、淡路地域の洲本市・南あわじ市で最大震度7が想定されています。県全体の死者は最大時(夏の昼間12時発災)で約29,100人、うち約96%にあたる約27,970人が津波によるもの、建物全壊は最大時(冬の夕方18時発災)で約38,500棟という想定です。(出典:南海トラフ巨大地震・津波被害想定(兵庫県)|平成26年)
兵庫県は、阪神・淡路大震災の経験と教訓を、防災・減災だけでなく医療や介護、子育て、防犯といった県民生活全体の安全安心に活かしてきたと整理しています。加古川市で防災を語るなら、この蓄積の上に、海側の事業所と内陸の地形という市の固有条件を重ねるのが筋の通し方です。
ため池をどう守り続けるか
内陸に広がるいなみ野台地は、ため池が集中する地域です。兵庫県の農業用ため池は約21,000か所で全国最多、全国約149,000か所の約14%を占めます。
加古川市を含むこの一帯には、雨水だけに頼るため池が多いという特徴があります。(参考:兵庫県のため池(兵庫県))
ため池は農業用の施設であると同時に、豪雨のときには下流の集落に影響が及ぶ構造物でもあります。
農地が減り、管理する人が高齢化するなかで、誰がどう維持していくのか。農業行政と防災行政のどちらの入り口からも語れる、この地域らしいテーマです。
地区ごとに違う移動の条件
同じ県資料では、公共交通空白地域が可住地面積の23.4%を占め、そこに住む人は約169,638人(県人口の3.1%)とされています。淡路地域や播磨地域の内陸部に多いという整理です。
加古川市は鉄道と幹線道路が通る市ですが、市域は南北に長く、内陸側には集落が点在します。市全体を「便利な市」と一括りにせず、地区ごとに移動の条件が違うと捉えられるかどうかが、この課題を自分の言葉で語れるかの分かれ目になります。
加古川市の重点政策|施行時特例市として担う権限
加古川市には総合計画をはじめとする各種の計画がありますが、この市の性格をひとことで説明できる材料は、市が県から受け取った権限のほうにあります。特例市への移行は、市が扱える仕事の範囲そのものを広げた出来事だからです。
特例市移行で市に移った3つの分野
加古川市が平成14年4月に特例市へ移行したことで市へ移された主な権限は、環境行政(水質汚濁防止、騒音・悪臭・振動の規制)、都市計画・建設行政(市街化区域の開発許可、土地区画整理の認可)、産業・経済行政(計量器の定期検査と立入検査)の3分野です。
平成27年4月の法改正で特例市制度そのものは廃止されましたが、加古川市はこれらの事務を引き継いだまま「施行時特例市」となりました。(出典:施行時特例市について(加古川市))
権限が仕事の形にどう表れるか
3分野に並ぶのは、住民の生活環境と事業活動が直接ぶつかる場面を扱う仕事ばかりです。騒音やにおいの規制、市街化区域での開発の可否、事業所で使う計量器の検査。
海側に大規模な事業所を抱え、その北側に市街地が続く加古川市がこれらの判断を自分で下せる立場にあることの意味は小さくありません。
「なぜ県庁ではなく市役所か」を問われたとき、住民に近いから、という一般論で終わる受験者は多くいます。加古川市の場合は、この3分野を挙げて「県が持っていた判断をこの市が持っている」と説明できます。
答えの手触りが変わるのはそこです。
POINT|計画名を覚えるより、権限のある分野に自分をつなぐ
関心のある分野を1つ決め、「①その分野で加古川市に何が起きているか → ②市はどの権限で手を打てるのか → ③自分のどの経験がそこに触れるか」の順にたどると、志望動機の芯ができます。
悪い例「加古川市の環境行政に携わりたいです」
改善例「加古川市は工場の集まる海側と、住宅のある内側がとても近いと感じています。騒音やにおいの相談を受けたときに、事業所の方にも住んでいる方にも説明できる担当になりたいです」
あわせて確認したい公式資料
加古川市は年度内に複数回の採用試験を実施しており、回ごとに1次試験の中身も、対象となる職種も変わります。まず自分が申し込む回の資料を特定するところから始めてください。
- 自分が受ける回の加古川市職員募集要項(試験の段階、1次試験の内容、申込時に書く記述項目)
- 令和8年度の加古川市職員採用試験実施スケジュール(前期・障がい者対象・後期の別と、職種ごとにどこが最終試験になるか)
- 加古川市公式サイトの地方分権に関するページ(施行時特例市として市が担う事務の説明)
- 関心のある分野の市の個別計画を1本(環境、都市計画、福祉など、志望動機に触れるもの)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、加古川市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。加古川市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
加古川市役所の面接の概要
ここからは、加古川市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
加古川市役所の面接の流れ
令和8年2月の募集(令和8年7月1日採用)の事務職では、1次から3次までの3段階で選考が進みました。1次試験は適性検査(SPI)で、能力検査と性格検査をテストセンターまたは自宅などで、受験者が選んだ日に受ける形です。
残る2次と3次はどちらも個人面接で、集団面接や集団討論の記載はありません。筆記の積み上げで勝負するという発想が通りにくい設計だといえます。
| 項目 | 内容(令和8年2月募集・令和8年7月1日採用・事務職) |
|---|---|
| 試験の段階 | 1次試験 → 2次試験 → 3次試験の3段階 |
| 1次試験 | 適性検査(SPI)。能力検査(言語的理解、数量的処理、論理的思考等)と性格検査を、テストセンターまたは自宅等で受験者が選んだ日に受検します |
| 2次試験 | 個人面接とケーススタディシート。ケーススタディシートは試験科目とは別に、個人面接の参考資料として使われます(内容は試験当日に発表) |
| 3次試験 | 個人面接 |
| 面接の種類 | 個人面接が2回(2次試験・3次試験)。募集要項の採用試験の流れの表に、集団面接・集団討論の記載はありません |
| 配点 | 具体的な配点は募集要項に記載がありません。不合格者は所定の書面で結果の開示を請求でき、1次は総合順位、2次と3次は総合得点および総合順位が示されます |
| 申込時の記述項目 | 各400字以内で3問。①加古川市職員を目指そうと思った理由 ②自分の強みと、それを加古川市のどの職場でどう活かせるか ③チームとして取り組んだ中で失敗した(もしくは後悔している)経験と、そこから学んだこと・その後の変化 |
| 採用予定人員 | 事務職・事務職【経験者】あわせて5名程度 |
読み解きの要点は2つあります。ひとつは、ケーススタディシートが「試験科目とは別」と位置づけられていることです。
点数として直接加算されるのではなく、面接官が手元で見る材料になります。内容は当日発表なので事前に書きようがない代わりに、書いた内容について問われることは想定しておくべきでしょう。
もうひとつは、申込の時点で3問の記述を提出している点です。面接は、その3問に書いた内容の続きから始まると考えて用意しておきましょう。
上記の試験構成は、加古川市の令和8年2月募集(令和8年7月1日採用)の事務職にもとづくものです。令和8年度前期試験(令和9年4月1日採用)では、1次試験が筆記と面接に分かれ、技術職・専門職は2次試験が最終、事務職のみ3次試験まで進む構成が公表されています。配点の具体値は募集要項に記載がありません。試験の構成・日程・配点等は年度や募集の回によって異なりますので、必ずご自身が受ける回の最新の受験案内でご確認ください。(出典:令和8年度 加古川市職員採用試験実施スケジュール)
加古川市が求める人物像
加古川市は職員採用方針として、求める人物像を3項目で公表しています。「常に学び続ける向上心を持った人物」「多様な価値観を認める寛容さを持った人物」「謙虚な姿勢を持った人物」の3つです。
募集要項にはこれに付記があり、採用前の知識や経験から培われた潜在力に着目し、採用後の伸びしろがある人物を求める人物像として定めていると説明されています。(出典:加古川市職員募集要項|令和8年2月募集)
この付記は読み飛ばせません。3つの項目はどれも、今の完成度ではなく、これから伸びるかどうかを見るための観点だからです。
実績の大きさを競うより、そこで何を学び、次の場面で何を変えたかを話せる形にしておくほうが、市の掲げる見方には噛み合います。
3項目のうち、なぜ「寛容さ」が並ぶのかを考えると、加古川市の仕事の形が透けて見えます。25万人を超える人口に対して、事務職の採用は1回あたり5名程度。
海側には全国規模の事業所が並び、内陸には性格の違う地区が広がり、隣り合う自治体は8つに及びます。この規模の市では、市役所の中だけで完結する仕事のほうが少なく、事業者や地域の団体、近隣の市町と足並みをそろえながら進める比重が高くなります。
限られた人と予算のなかで、実行できる形まで落とし込める人ほど、こうした環境では力を発揮しやすいはずです。ここまでは、25万人という人口規模と5名程度という採用枠から当研究会が推し量ったもので、募集要項が掲げる3項目そのものの説明ではありません。
実際の作業は、申込書の3問(志望理由、強みと活かし方、チームでの失敗)から始まります。3問はいずれも過去の出来事を書かせる設問ですから、書ける中身は手持ちの経験の範囲で決まります。
そのなかから、どれをこの市の仕事の前に置くかを決める。準備の中身はそこに集約されます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。加古川市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 1次試験は、どのような形で受けられましたか? | 令和8年2月募集のように会場も日程も自分で選ぶ回では、段取りの話が雑談として出る。短く自然に返せるか |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、加古川市の職員を選んだ理由を教えてください | 申込時に400字で書いた志望理由と、その場の言葉がずれていないか |
| ③ 自己理解 | あなたの強みは何ですか。それはどの場面で発揮されましたか | 申込書の2問目に書いた強みが、別の角度から聞かれても崩れないか |
| ④ 経験・行動 | チームで動いたなかで、うまくいかなかった経験を教えてください | 申込書の3問目と同じ主題。失敗の中身より、そのあとに何を変えたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 大学で力を入れて学んだことを、簡単に説明してください | 専門外の相手に届く言葉へ置き換えられるか。仕事への接続まで見えるか |
| ⑥ 適性・将来 | 加古川市のどの職場で働きたいと考えていますか | 申込書の2問目で答えた「どの職場でどう活かすか」の解像度 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった行政の動きはありますか | 市の側に立って物事を見る習慣があるか。長さより、一言でまとめられるか |
もっとも、この7つはどの自治体の面接にも当てはまる見取り図です。ここを埋めた段階では、他の受験者と横並びのままだと考えてください。
順位が動きはじめるのは、加古川市の事情を知らなければ答えようのない質問に入ってからです。
合否を分けるのは「加古川市役所ならでは」の質問
1問目は、加古川市の受験者にとってはむしろ答えやすい質問です。第1部で見たとおり、この市は特例市への移行によって、環境や都市計画の判断を県から受け取っているからです。
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
面接で使いやすい事実に絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい加古川市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と高齢化の現在地 | 令和8年1月1日現在の住民基本台帳で人口255,592人、高齢化率29.1%、75歳以上は17.2%。同じ調査で県全体は29.5%、隣接する三木市は35.8% | 「まだ低い」で止めず、近隣より遅れて高齢化が進む市だからこそ今のうちに打てる手がある、という向きで話します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 平成14年4月の特例市移行で、環境規制・開発許可・計量器検査などの権限が県から市へ移り、現在は施行時特例市 | 制度の説明で終えず、自分の関心分野がこの3分野のどこに触れるかまで言えると具体になります |
| 海側の産業 | 東播磨地区石油コンビナート等特別防災区域の加古川市地区は5,666,239平方メートル。特定事業所は関西熱化学加古川工場と神戸製鋼所加古川製鉄所 | 事業所名を挙げるだけでなく、その北側にグリーンベルトが置かれている理由まで触れると、産業と暮らしの両立という論点に入れます |
| 災害への備え | 県の南海トラフ巨大地震・津波被害想定(平成26年)では播磨地域の広範囲で最大震度6強。県全体の建物全壊は最大時(冬の夕方18時発災)で約38,500棟 | 想定の数字を暗唱するより、海側の事業所と内陸のため池という市の地形条件に引きつけて話すほうが伝わります |
| 加古川市の魅力 | 明石市・高砂市・姫路市など8つの自治体と接する播磨地域の中央部。市の花はツツジ、市の木はクロマツ(1970年3月制定) | 名所を並べるのではなく、近隣との行き来のしやすさが暮らしや通勤にどう効いているかを、自分の実感で語ります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、加古川市が「求める人物像」として掲げる3項目に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 常に学び続ける向上心 | 知らない分野に出会ったとき、どこから手をつけ、どこまで自分のものにしたか | 自分が受ける回の1次試験の準備を含め、短い期間で新しい勉強を立ち上げた経験を、その手順ごと思い出しておく |
| 多様な価値観を認める寛容さ | 意見の合わない相手と、どう折り合いをつけたか | 申込書の3問目に書くチームでの失敗を、相手の言い分の側から書き直してみる |
| 謙虚な姿勢 | 指摘を受けたあと、進め方や態度をどう改めたか | 「反省しました」で終えず、そのあと行動が変わった場面を1つ具体的に用意する |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
加古川市の事務職は2次・3次と個人面接が続くため、同じ話題を別の面接官から角度を変えて問われる前提で備えておくのが安全です。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が申し込む回の加古川市職員募集要項を読み、試験の段階と1次試験の中身(適性検査か筆記か)を確認する
- 申込時に書く3問の下書きを作る。志望理由、強みと活かし方、チームでの失敗という3本の柱をここで固める
- 高校・大学での経験を棚卸しし、3問それぞれの裏づけになる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から志望分野に近い事実を2つ選んで、自分の問題意識とつなぐ
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2と3、つまり申込書に書く3問の中身を固めるほうを先に済ませてください。加古川市の面接は、その3問に書いた内容から入っていく可能性が高いからです。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、加古川市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
加古川市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
加古川市の事務職は、令和8年2月の募集では1次が適性検査、2次と3次が個人面接という構成でした。筆記で稼いだ差を最後まで持ち込む試験ではありません。
申込の時点で400字ずつ3問を書き、その紙を前に置いた状態で2回の面接が進みます。対策の中心は、何を書いたか、そしてそれをどれだけ自分の口で語り直せるかに集まります。
募集の回によって試験の中身は変わりますので、自分が受ける回の案内を手元に置き、書いた3問を何度も読み返すところから始めてください。