本記事では、伊丹市職員採用試験の面接対策で必要な、伊丹市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
伊丹市役所の面接では、「なぜ伊丹市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。伊丹市は目指す職員像を4つの要素まで分解して公表していますので、その言葉と自分の経験がどこで重なるかを先に確かめておきましょう。
本記事で扱う試験の構成は、令和9年4月1日採用予定の大学卒事務職A・Bおよび社会福祉士の募集要項で確認できた範囲です。伊丹市は同じ年度内に行政実務経験者を対象とする別の採用試験も実施していますので、ご自身が受ける試験の募集要項とあわせてお読みください。
第1部|自治体研究編
伊丹市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは伊丹市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 兵庫県の南東部にあり、東西7.0km・南北6.5km、面積は25.00km²。標高は最高45メートル・最低6メートルで、大阪市からは約10キロメートルの距離にある。
- 人口は200,931人(令和8年1月1日現在)。尼崎市・西宮市・宝塚市・川西市と接し、府県境をまたいで大阪府の豊中市・池田市とも接する。
- 大阪国際空港(伊丹空港)は敷地内に飛び地が点在し、大阪府豊中市・池田市と兵庫県伊丹市の2府県3市にまたがっている。
- 65歳以上は総人口の25.9%、75歳以上は15.9%で、兵庫県全体の29.5%・17.6%をいずれも下回る(同日現在)。
- 目指す職員像として「自ら課題解決に向けて積極的に行動できる職員(自律型職員)」を掲げている(伊丹市 人材育成・確保基本方針 令和6年度改訂版)。
- 大学卒事務職の主な配属先には、市長部局や教育委員会事務局のほか、市立伊丹病院・交通局・上下水道局といった公営企業も含まれる。
- 市の花はツツジ、市の木はクスノキ。市役所は千僧一丁目にある。
伊丹市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「伊丹市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
人口とその内訳のほか、市域の広さと標高、6つの市に接する位置関係を入れました。兵庫県全体の値も参考として添えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 200,931人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 52,015人(総人口の25.9%) |
| 75歳以上人口 | 31,858人(総人口の15.9%) |
| 総面積 | 25.00km²(東西7.0km・南北6.5km) |
| 人口密度 | 約8,037人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 標高 | 最高45メートル・最低6メートル |
| 隣接自治体 | 川西市、宝塚市、西宮市、尼崎市、大阪府池田市、大阪府豊中市 |
| 市役所所在地 | 〒664-8503 兵庫県伊丹市千僧一丁目1番地 |
| 市の花・市の木 | 市の花はツツジ、市の木はクスノキ |
| (参考)兵庫県の総人口 | 5,364,773人(令和8年1月1日現在) |
| (参考)兵庫県の高齢化率 | 29.5%(同日現在。75歳以上は17.6%) |
総人口・年齢別人口・高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。面積・標高・東西南北の長さ・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。兵庫県が公表する推計人口や国勢調査ベースの人口とは調査の基準が異なりますので、本表の数値と並べて増減を計算しないようご注意ください。
数字から考えられる市政課題
伊丹市の数字は、まず密度に表れます。25.00km²の市域に20万人が暮らし、人口密度は約8,037人/km²です。
東西7.0km・南北6.5kmという広がりは、市の端から端まで自転車で移動できる距離で、標高差も45メートルから6メートルまでの範囲に収まります。市域全体が一つの生活圏として扱えるという条件は、この規模の市としては大きな利点です。
年齢構成も見ておきましょう。65歳以上25.9%・75歳以上15.9%は、同じ調査による兵庫県全体の29.5%・17.6%をいずれも下回ります(令和8年1月1日現在)。
県全体より若い側にありますが、人数でみれば65歳以上は5万2千人を超えます。割合の低さは、これから増える幅が残っているという意味でもあります。
話す形にすると、たとえば次のようになります。
伊丹市の経済・産業
空港を抱えるまち
大阪国際空港(伊丹空港)は敷地内に飛び地が点在し、大阪府豊中市・池田市と兵庫県伊丹市の2府県3市にまたがっています(出典:伊丹市 空港政策|令和8年)。兵庫県も、瀬戸内海沿岸の港湾群とあわせて神戸空港やコウノトリ但馬空港を県の交通基盤に位置づけています(参考:兵庫県 空港・港湾|令和8年)。
空港を市域に抱えるということは、周辺の環境や土地利用、交通の計画が、市単独ではなく複数の自治体との関係のなかで決まる場面があるということです。市の仕事が府県境の内側で完結しないという前提は、志望動機を組み立てるうえで押さえておきたい特徴です。
大阪都心から約10キロメートルという位置
伊丹市は大阪市から約10キロメートルの距離にあり、尼崎市・西宮市・宝塚市・川西市、そして大阪府の豊中市・池田市と接しています(出典:伊丹市 市の紹介|令和8年)。6つの市に囲まれ、そのうち2市が府県をまたぐという配置は、通勤や通学、買い物といった住民の動きが市域の外に広く伸びることを意味します。
働く場が市の外にあっても、生活の場として選ばれる。このかたちは税収の性格にも、昼と夜で変わる市内の人口にも影響します。
兵庫県のなかでの位置
兵庫県は神戸・阪神、播磨、但馬、丹波、淡路の「五国」からなり、県内には29の市と12の町があります。県土は8,400.95km²で全国12番目の広さです(参考:兵庫県の概要|令和5年)。
県の資料は、県人口の6割が県土面積の14%にあたる神戸・阪神地域に集まっていると整理しています。伊丹市はその阪神地域のなかにあり、県内でも人が濃く集まる区域に属しています。
県全体の平均像をそのまま持ち込むと話がずれるのは、市によって置かれた条件がここまで違うからです(出典:兵庫県の現状と課題の整理|令和5年)。
伊丹市の主な行政課題
伊丹市の課題は、20万人という規模と、大阪都心に近い位置から立ち上がってきます。ここでは4つにまとめました。読みながら、面接で使えそうだと思ったものに印をつけておいてください。
これから本格化する高齢化
伊丹市の65歳以上人口は52,015人、うち75歳以上が31,858人です(令和8年1月1日現在)。総人口に対する割合は25.9%と15.9%で、兵庫県全体の29.5%・17.6%をいずれも下回ります。
ただし高齢者の6割ほどがすでに75歳以上という内訳で、支援の必要度が上がる年代への偏りは、県全体と変わりません。割合が低いうちに仕組みを整えられるかどうかが、この市の分かれ目になります。
県全体の人口の動きとの関係
兵庫県は人口の偏在が進み、現在は県人口の6割が神戸・阪神地域に集まっていますが、県の資料は今後この地域も含めたすべての地域で人口が減少すると見込んでいます。
また県全体では、2011年以降、東京圏と大阪府への転出超過が続いており、20歳代の転出超過が目立つ一方、0歳から14歳と30歳代のファミリー層では転入超過が拡大しています。若い世代を送り出しながら、子育て世代を受け入れているという県全体の構図のなかで、大阪都心に近い伊丹市がどちら側に立つかは、住宅や子育ての施策の設計で決まってきます。
公営企業まで含む仕事の幅
大学卒事務職の主な配属部署には、市長部局や教育委員会事務局のほか、市立伊丹病院・交通局・上下水道局といった各企業が挙げられています。職務内容も「住民のための行政サービス・予算案の編成、施策の企画・立案やイベント・事業の実施などに従事」と説明されています(出典:伊丹市職員募集要項|令和9年4月1日採用予定)。
病院や交通、上下水道という採算を意識する現場まで、同じ採用枠の職員が担うということです。20万人規模の市が、独立採算の性格をもつ事業を抱え続けるという課題は、人口が減る局面ではいっそう重くなります。
大規模災害への備え
兵庫県が公表する南海トラフ巨大地震・津波被害想定(県独自・平成26年6月)では、神戸・阪神・播磨地域の広範囲で最大震度6強が想定されています。避難所生活者はピークで約168,700人、帰宅困難者は約591,000人(いずれも夏の昼間12時に発災した場合)とされています(出典:南海トラフ巨大地震・津波被害想定(兵庫県)|平成26年)。
帰宅困難者の数字は、大阪都心から約10キロメートルという位置にあり、通勤流動の大きい伊丹市にとって他人事になりません。空港を抱えるまちでもありますから、平常時と非常時で人の動きがどう変わるかを想像できるかどうかが問われます。
重点政策|伊丹市のまちづくりを読む手がかり
伊丹市の個別の計画については、市の公式サイトで公表されている最新版に直接あたってください。計画を開く前に読んでおきたいのは、市が職員に何を求めているかを整理した方針です。
伊丹市は人材育成・確保基本方針(令和6年度改訂版)のなかで、目指す職員像を「自ら課題解決に向けて積極的に行動できる職員(自律型職員)」と定めています。前回の方針を踏襲し、引き続き自律型職員の育成を進めるとされている点も押さえておきましょう(出典:伊丹市 人材育成・確保基本方針|令和6年度改訂版)。
同方針は人材確保についても「SNS等を活用した情報発信や募集要件の拡大、試験実施方法の工夫などにより、多様な人材を確保し、組織力の強化を図ります。」としており、後で見る試験の設計にもその考え方が表れています。
志望分野を絞り込む視点
事業の名前を言えるようにしても、伊丹市を選んだ理由にはなりません。やってみたい分野を一つ決め、そこで市が自ら抱えている業務の範囲を確かめてください。
伊丹市は第2次試験で論文が課されますから、そこまで調べた内容は、面接の答えとしても論文の骨組みとしてもそのまま使えます。
POINT|計画の名称や事業名を丸暗記しなくてよい
名称を並べるより、志望分野と伊丹市の事情がどこで結び付くかを説明できるほうが、論文でも面接でも効きます。
悪い例「空港のある便利なまち伊丹市で、市民に寄り添った行政サービスを提供したいです」
改善例「まずは市民の方と直接やり取りする仕事から始めたいと思っています。その上で、伊丹市は病院や交通、上下水道まで市が担っていると知りましたので、限られた財源のなかでどこまで続けられるかを考える仕事にも関わってみたいです」
あわせて確認したい公式資料
論文と面接の両方に効くのは、次の4つです。受ける試験に近いものから開いてください。
- ご自身が受ける試験の伊丹市職員募集要項(年度内に複数の採用試験が実施されます)
- 伊丹市 人材育成・確保基本方針(目指す職員像と、それを構成する4つの要素)
- 伊丹市の総合計画と、高齢者福祉・防災に関する分野別計画
- 最新年度の当初予算と、市政運営に関する市長の説明
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、伊丹市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。伊丹市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
伊丹市役所の面接の概要
ここからは、伊丹市役所の試験の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
伊丹市役所の試験の流れ
令和9年4月1日採用予定の大学卒事務職A・Bおよび社会福祉士の募集要項によると、試験は1次試験・2次試験・3次(最終)試験の3段階です。集団討論や集団面接は課されません。
特徴的なのは1次試験で、「①教養試験+専門試験」と「②C-GAB plus」のどちらを受けるかを受験者が選べます(社会福祉士は②のみ)。
募集要項には「①教養試験+専門試験、②C-GAB plus のいずれを選択しても、有利・不利が生じることはありません。」と明記されています。公務員試験の勉強を積んできた人も、民間企業の選考と並行してきた人も、同じ入口に立てるということです。
もう一つ、設計として押さえておきたいのが得点の扱いです。募集要項は「各試験の得点は次の試験に持ち越しません。」と明記しています。
1次でどの方式を選び、どれだけ高い点をとっても、2次以降は別の勝負になるということです。2次試験は面接と論文、3次(最終)試験は面接で、いずれも会場は伊丹市役所とされています。
| 項目 | 内容(令和9年4月1日採用予定・大学卒事務職A・B/社会福祉士) |
|---|---|
| 試験の段階 | 1次試験・2次試験・3次(最終)試験の3段階です |
| 1次試験(選択制) | 「①教養試験+専門試験」または「②C-GAB plus」から受験者が選択します。社会福祉士は②のみです |
| ①を選んだ場合の出題範囲 | 教養は時事、社会・人文、自然に関する一般知識並びに文章理解、判断・数的推理及び資料解釈。専門(事務職)は憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係です |
| ②を選んだ場合の受験方法 | パーソナリティテスト(自宅等でオンライン受験)と知的能力テスト(テストセンターで受験)を順に受験します。パーソナリティテストを受けないと知的能力テストを受験できません |
| パーソナリティテストの扱い | ①の教養試験+専門試験を選んだ場合も、1次試験合格後にパーソナリティテストの実施が必要です |
| 2次試験 | 面接と論文です。会場は伊丹市役所とされています |
| 3次(最終)試験 | 面接です。会場は伊丹市役所とされています |
| 集団討論・集団面接 | この試験では課されません |
| 得点の扱い | 「各試験の得点は次の試験に持ち越しません。」と明記されています |
| 採用予定人数 | 大学卒事務職(A)は15名程度、社会福祉士は3名程度です |
| 提出書類 | 3次(最終)試験当日に卒業(見込)証明書及び成績証明書を提出します。社会福祉士の有資格者は資格証明書の写しも提出します |
| 申込方法 | 「パブリックコネクト」の伊丹市ページからのエントリーのみです |
| 不合格者への通知 | 合格発表に合わせて、総合点数及び総合順位がシステム上のマイページへ通知されます |
上記は令和9年4月1日採用予定の伊丹市職員採用試験のうち、大学卒事務職A・Bおよび社会福祉士の募集要項にもとづく内容です。大学卒事務職(B)は大学卒かつ民間企業等での勤務経験が2年以上あることが要件で、Aとは受験資格が異なります。伊丹市は同じ年度内に行政実務経験者を対象とする別の採用試験も実施しており、そちらを受験して不合格となった人は当該年度の4月採用の試験を受験できない扱いとされています。各試験の配点は同要項に記載がないため、本記事でも触れていません。受験の際は必ずご自身が受ける試験の最新の募集要項でご確認ください。
伊丹市役所が目指す職員像
伊丹市は目指す職員像である自律型職員を、次の4つの要素に分けて説明しています。
- 積極性
社会情勢の変化や技術革新にアンテナを張り、自ら新しい知識や技能の習得に努めるとともに、より良いサービスを提供するために積極的に取り組む - 柔軟性
行政課題を解決するために、前例に捉われず、複眼的な視点を持って環境の変化や新たな行政課題に対し柔軟に取り組む - 課題意識
行政サービスの現場において市民の声を聞き、住民のニーズを汲み取るとともに、データ等を活用して、広い視野をもって分析し、行政課題の解決に取り組む - 協調性
異なる価値観を尊重し、関係者と連携することで、部分最適ではなく、全体最適を考えて行動できる協調性を備える
4つの説明文を読み比べると、単なる心構えの列挙ではないことが分かります。現場で声を聞き、データで確かめ、前例に縛られずに手を打ち、部署の都合ではなく全体で見る。
情報を集めるところから判断して動くところまでが、一続きの動作として書かれているのが特徴です。自己PRでは「積極的に取り組めます」で止めず、自分から始めた一件を挙げて、始めた理由と最後にどうなったかまで語れるようにしておきましょう。
4要素の説明を踏まえて、実際の職場を想像してみます。ここからは方針の記述を離れ、当研究会が市の規模と職域から組み立てた見方です。人口20万人という大きさは、住民との距離が近い小さな市と、政策を組み立てる大きな市の中間にあたります。
市域は25.00km²と狭く、端から端まで一つの生活圏として扱える一方で、市立伊丹病院や交通局、上下水道局まで市が抱え、空港をめぐる課題では府県境の向こうの市とも関わります。
となると、窓口で聞いた話を制度の言葉に置き換えることと、関係する団体と足並みをそろえることの両方が、同じ職員に回ってくる可能性は高いと考えられます。どちらか一方に寄せた自己像より、行き来を苦にしない構えを示せるほうが、この規模の市には合うはずです。
そのうえで、準備の順序は試験の設計から決めるのが早道です。伊丹市は1次試験の方式を自分で選べ、得点は次に持ち越されず、2次では面接と論文が同じ日程に並びます。
選んだ理由を説明できる状態にしておくこと、そして面接で話す志望動機と論文で書く問題意識を同じ土台から出すこと。この2点を最初に決めてしまえば、あとの準備は枝葉の話になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。伊丹市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | まず自己紹介を1分程度でお願いします | 2次と3次で二度面接がある試験で、毎回同じ導入を出せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ伊丹市で働きたいと思ったのですか | 20万人規模で公営企業まで抱える市であることを踏まえた理由か |
| ③ 自己理解 | ご自身の強みを一言で表すと何ですか | 自律型職員の4要素のどれに自分が寄っているかを自覚できているか |
| ④ 経験・行動 | 関係者を巻き込んで何かを進めた経験を教えてください | 「全体最適を考えて行動できる協調性」を経験で裏づけられるか |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでに一番手応えのあった取り組みは何ですか | 成績証明書を出す試験で、学びの中身を自分の言葉にできているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、市役所でどんな役割を担っていたいですか | 昇任試験制度がある市で、先の役割まで具体的に描けているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | データを行政の仕事にどう生かせると思いますか | 「データ等を活用して」という課題意識の記述に応えられるか |
ここまでは全員が同じ準備をしてきます。2次と3次の面接で差になるのは、伊丹市の事情を知らなければ届かない質問のほうです。
合否を分けるのは「伊丹市役所ならでは」の質問
いずれも下調べのない人には答えようがありません。言い換えれば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
使える「伊丹市の事実」を5つ選び、答え方とセットで並べました。
| 質問テーマ | 知っておきたい伊丹市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 空港を抱える市 | 大阪国際空港は敷地内に飛び地が点在し、大阪府豊中市・池田市と兵庫県伊丹市の2府県3市にまたがる | にぎわいや利便性の話で終えず、複数の自治体と関わる仕事があるという行政側の視点まで進める |
| 公営企業まで含む職域 | 大学卒事務職の主な配属先には市立伊丹病院・交通局・上下水道局といった各企業も含まれる | 希望部署を挙げるだけでなく、採算を意識する現場に配属される可能性も織り込んで話す |
| 年齢構成 | 総人口200,931人、65歳以上25.9%、75歳以上15.9%で、兵庫県全体の29.5%・17.6%を下回る(令和8年1月1日現在) | 県平均より若いことを強みにせず、5万人を超える実数とこれから増える幅の話へ折り返す |
| 目指す職員像の4要素 | 自律型職員は「積極性」「柔軟性」「課題意識」「協調性」の4つで説明されている | 4つを並べず、自分の経験と重なる1つを選び、場面ごと語れるようにしておく |
| 1次試験が選択制であること | 「教養試験+専門試験」と「C-GAB plus」から選べ、いずれを選んでも有利・不利は生じないと明記されている | 選んだ方式とその理由を、自分の準備の進め方の説明として話せるようにする |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、伊丹市が人材育成・確保基本方針で示した目指す職員像に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。
いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。自律型職員が4つの要素に分解されているぶん、どの経験を持ち出すべきかの目星はつけやすい市だと言えます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 自分で動き出す力 | 「積極性」の要素として、指示を待たずに始めた経験が掘られる | 誰にも頼まれずに始めたことを一つ選び、始めた理由と最初の一手まで用意しておく |
| 事実で確かめる姿勢 | 「課題意識」の記述にデータの活用が含まれており、論文でも同じ力が問われる | 思い込みで進めて修正した経験を選び、何を見て考えを変えたかまで話せるようにする |
| 全体で見る視点 | 「協調性」の説明にある部分最適と全体最適の対比に沿って確かめられる | 自分の担当範囲を越えて調整に回った場面を選び、その判断の理由まで語れるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
伊丹市は2次と3次の両方に面接が置かれていますから、同じ経験を別の角度から掘られる場面も想定されます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、論文の準備と並行して固めておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- ご自身が受ける試験の募集要項を読み、受験資格と1次試験の方式を決める。年度内に複数の採用試験があるため、受験の可否も確認する
- これまでの経験を書き出す。学業・課外活動・アルバイトの3方向から、1分以内で話せる具体例を1つずつ選ぶ
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い伊丹市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- ステップ5でまとめた話を、2次試験の論文でも使える骨組みに書き直す。面接で話す内容と論文で書く内容の土台をそろえておく
優先順位に注意
ステップ4とステップ5が伊丹市についての自治体研究にあたり、他の受験生と差がつくのもここです。ただし着手の順序は逆で、時間が足りないならステップ1とステップ2を先に済ませてください。1次試験の方式を決めない限り勉強の中身が定まりませんし、自分の経験がそろっていなければ論文にも面接にも持ち出す材料がありません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、伊丹市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
伊丹市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和9年4月1日採用予定の大学卒事務職で見るかぎり、伊丹市の試験は入口の方式を自分で選ぶところから始まり、面接と論文、そしてもう一度の面接で決まります。得点は持ち越されませんから、段階が変わるたびに、同じ人物であることを示し直すことになります。
空港が府県境をまたいで置かれ、病院も交通も上下水道も市が抱える20万人のまちで、自分はどの現場に立ちたいのか。
自律型職員を構成する4つの要素のうち、いま自信をもって言えるのはどれで、これから積むべきなのはどれか。
書き出して、声に出して、詰まったところを見つけてください。そこが、次に取りかかる場所です。