飯田広域消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。この記事は主に消防職員(初級)区分を対象にしています。

飯田広域消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ飯田広域消防本部を志望するのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。管轄する14市町村の広がりや採用試験の仕組みを知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、飯田広域消防本部に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

ここで取り上げる内容を土台に、自分の強みや関心と飯田広域消防本部の仕事との接点を言葉にし、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|組織研究編

飯田広域消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは飯田広域消防本部の全体像をつかんでおきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 飯田広域消防本部は、南信州広域連合が設置する消防本部で、飯田市と下伊那郡13町村をあわせた14市町村を管轄する。設置団体は南信州広域連合であり、採用試験も「南信州広域連合消防職員採用試験」として実施される。
  • 飯田消防署(羽場分署)、伊賀良消防署(山本分署・龍江分署)、高森消防署(座光寺分署)、阿南消防署(平谷分署・和田分署)の4署7分署で構成される。本部には総務課・警防課・通信指令課・予防課が置かれている。
  • 4署7分署へ人を配しているのが消防吏員で、消防組織の階級体系のなかに位置づけられている。その人数は221人、うち女性が6人である(令和7年4月1日現在)。
  • 令和6年中の出動件数は、火災66件・救急8,563件・救助103件である。
  • 本部は飯田市東栄町に所在する(令和7年4月1日現在)。
  • 消防職員(初級)の資格要件には、採用後5年以内に準中型自動車免許(AT限定は解除が必要)を各自の費用負担で取得できることが含まれている。

飯田広域消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「飯田広域消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

管内人口、署所の数、職員体制、出動件数を、あらかじめ頭に入れておきましょう。

項目内容
管内人口148,562人(14市町村の合算・令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)
設置形態広域連合(構成14市町村:飯田市・松川町・高森町・阿智村・喬木村・豊丘村・大鹿村・阿南町・平谷村・根羽村・下條村・売木村・天龍村・泰阜村)
消防署4署7分署
消防吏員数221人(うち女性6人)※令和7年4月1日現在
出動件数火災66件・救急8,563件・救助103件(令和6年中)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在によります。消防署数・消防吏員数・出動件数・所在地は総務省消防庁の全国消防本部データ検索および飯田広域消防本部の公式サイトによります。

14市町村の人口規模と高齢化の幅

飯田広域消防本部の管轄14市町村は、県内の消防本部の中でも構成団体数が最も多い部類に入ります。内訳を見ると、人口規模と高齢化の水準に大きな幅があることがわかります。

構成市町村人口高齢化率
飯田市93,569人33.6%
高森町12,520人32.2%
松川町12,307人34.8%
豊丘村6,456人34.0%
阿智村5,889人37.3%
喬木村5,787人36.8%
阿南町3,864人47.9%
下條村3,321人36.8%
泰阜村1,410人42.5%
天龍村970人61.2%
大鹿村854人44.3%
根羽村789人52.0%
売木村462人45.0%
平谷村364人41.8%

構成市町村ごとの人口・高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在によります。

人口9万人を超える飯田市を中心に、人口が千人に満たない平谷村・売木村まで含む14市町村です。天龍村の高齢化率は61.2%と、住民の6割超が65歳以上という水準に達しており、根羽村も52.0%です。この人口構成の幅の大きさは、面接で管轄を語るときの材料になります。

「飯田広域消防本部は220人ほどの体制で、令和6年の救急出動は8,500件を超えたと聞きました。飯田市のような都市部から、人口千人に満たない山間の村まで含めた14の市町村を1つの本部で支えていると知り、その体制づくりに携わりたいと考えています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 南信州(飯伊)地域は南アルプスを臨む自然に恵まれた地域で、天竜川の流れが創り出した天竜峡は奇岩が織りなす渓谷美で屈指の景勝地とされる。この南信州(飯伊)地域の区分は、飯田広域消防本部の管轄14市町村とちょうど一致している。
  • 水引などの伝統的な地場産業と、電機・精密など先端技術産業が並立する。
  • 2014年6月にはユネスコエコパークに登録された南アルプスの構成エリアに、管内の大鹿村が含まれている。

つまり飯田広域消防本部は、南アルプスを望む自然と、天竜川流域の景勝地、伝統産業と先端産業が併存する南信州地域を管轄する本部だと整理できます。管内の地理的な広がりと自然の豊かさは、面接で管轄を語るときの土台になります。(出典:飯伊地域の情報|長野県)

南アルプスユネスコエコパークは2014年6月に登録され、長野県からは飯田市・伊那市・富士見町・大鹿村を含む3県10市町村にまたがります。総面積は約30万ヘクタールにおよび、管内の大鹿村もその構成市町村の一つです。(出典:南アルプスユネスコエコパーク公式サイト)

また、令和6年の南信州地域の観光地延利用者数は389万人、観光地消費額は約99億円で、日帰り客の比率が85%前後と高いことも特徴です。(出典:令和6年 長野県観光地利用者統計調査結果)

リニア中央新幹線と長野県駅

飯田市には、リニア中央新幹線の県内唯一の駅「長野県駅」が設置される計画です。県内区間は地上部4.4km・トンネル48.5kmで、開業すれば飯田市-品川間は約45分、飯田市-名古屋間は約27分と見込まれています。

ただしJR東海は令和6年3月29日、2027年の開業は実現できない旨を表明しており、開業時期は未定です。この計画がどう進むかは、地域の将来を語るうえで押さえておきたい事実です。(出典:リニア中央新幹線の概要|長野県)

想定される地震

長野県の地震被害想定は、県内の活断層による地震に加えて、想定東海地震(Mw8.0)や南海トラフ巨大地震も対象としています(時点:第3次長野県地震被害想定調査報告書・平成27年3月)。

飯田広域消防本部の管内固有の被害想定数値は公表資料からは確認できませんでしたが、活断層地震だけでなく複数の想定地震が県全体の背景としてある点は押さえておきましょう。(出典:第3次長野県地震被害想定調査報告書(概要版)|平成27年3月)

南信州の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、飯田広域消防本部が向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

救急需要の増加

救急出動は全国的にも増え続けており、令和6年中は771万8,380件と集計開始以降の最多を更新しました。高齢者搬送は全国で63.3%を占めています(いずれも令和6年中)。飯田広域消防本部の令和6年中の救急出動8,563件も、この流れの中にあります。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

高齢化が進む山間部への対応

前章で触れたとおり、天龍村(61.2%)・根羽村(52.0%)をはじめ、管内の多くの町村で高齢化率が4割を超えています。人口の少ない山間の町村ほど高齢化が進んでいるという構図は、救急需要のあり方を考えるうえで欠かせない視点です。

14市町村・4署7分署の広域対応

飯田市のような比較的規模の大きい都市部から、人口千人に満たない山間の村まで、14市町村を4署7分署で分担する体制は、この広域連合ならではの課題です。管内は面積も広く、どの署所に配属されても地域の実情に合わせて対応できる力と、離れた署所間で訓練の水準をそろえる仕組みが求められると考えられます。

採用試験の資格要件に「採用後、原則として南信州広域連合管内に居住できる者」という条件が示されている点も、この広い管内での迅速な出動体制と関係していると考えられます。どこに配属されても速やかに現場へ駆けつけられることが、住民の安全に直結するためです。

人材確保と女性消防吏員

消防吏員221人のうち女性は6人で、割合は約2.7%です。全国では消防吏員168,230人中女性6,386人・約3.8%(令和7年4月1日現在)で、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

221人のうち6人という構成で、全国平均をやや下回る水準にとどまっています。

重点方針|採用要件にみる重視点

飯田広域消防本部が独自に掲げる運営方針や重点目標は、公表資料の範囲では確認できませんでした。そこでこの章では、採用試験の資格要件から、本部が何を重視しているかを読み解く形で整理します。

試験実施要綱は毎年更新されますが、根底にある考え方は年度をまたいでも大きくは変わらないと考えられます。

5年以内の準中型免許自費取得という要件

消防職員(初級)の資格要件には、「採用後、5年以内に準中型自動車免許(AT限定は解除が必要)以上を、各自の費用負担で取得できる者」という条件が明記されています。入庁時点では普通自動車免許で足りるものの、一定期間内に上位免許の取得を求める設計です。

14市町村・4署7分署という広い管内で、消防車両を含む多様な車両を扱う場面を見据えた要件だと読み取れます。(出典:令和8年度南信州広域連合消防職員採用試験実施要綱)

初級と経験者、2つの入口

採用試験には、高校卒業程度を想定した「消防職員(初級)」に加えて、他の消防本部で消防吏員としての実務経験を4年以上持つ人を対象にした「消防経験者」区分が別に設けられています。新卒者だけでなく、即戦力となる経験者も並行して受け入れる姿勢がうかがえます。

消防経験者区分は「令和8年度南信州広域連合消防職員採用選考考査実施要綱【消防経験者】」という、初級とは別の要綱にもとづいて実施されます。

受験資格は平成4年4月2日以降に生まれ、他の消防本部での実務経験が4年以上ある人です。区分ごとに要綱が分かれている点は、出願前に必ず確認しておきたいポイントです。

POINT|資格要件は出願前に必ず確認する

普通自動車免許の有無、5年以内の準中型免許取得の見通し、採用後の居住条件など、消防職員(初級)には複数の資格要件があります。出願前に自分がすべての要件を満たせるかどうかを確認しておきましょう。

悪い例「地元に貢献したいので、飯田広域消防本部を志望します」

改善例「高校では自動車部に所属し、車両の仕組みに関心を持ってきました。飯田広域消防本部は14市町村という広い管内を担うと知り、採用後に準中型免許を取得して、より多様な現場に対応できる消防吏員を目指したいです」

あわせて確認したい公式資料

まずは実施要綱で資格要件と提出書類を確認し、自分がすべての条件を満たせるかを整理してください。初級と経験者では要綱そのものが分かれているため、自分がどちらに該当するかも早めに確認しておきましょう。

そのうえで、管内の地理や地域資源に関する資料へと関心を広げていくとよいでしょう。

  • 令和8年度 南信州広域連合消防職員採用試験実施要綱(消防職員(初級)・消防経験者の2要綱)
  • 総務省消防庁「全国消防本部データ検索」飯田広域消防本部のページ(吏員数・出動件数)
  • 第3次長野県地震被害想定調査報告書(概要版・平成27年3月公表分)
  • 飯伊地域の情報(長野県公式サイト・産業や観光の概要)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、飯田広域消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。飯田広域消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

飯田広域消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

飯田広域消防本部の面接の概要

ここからは、飯田広域消防本部の試験の流れ、質問の全体像、評価の観点の考え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

飯田広域消防本部・消防職員採用試験の流れ

消防職員(初級)の試験は第1次試験・第2次試験の二段階構成です。第1次試験の適性検査と第2次試験の性格検査は名称が似ていますが、別の種目として実施される点に注意してください。

項目内容(令和8年度・消防職員(初級))
受験資格平成8年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた人
試験の段階二段階制。第1次=教養試験(2時間)・適性検査(20分)・作文試験(1時間)、第2次=性格検査・体力検査・口述試験
面接の種類口述試験(個別面接による試験)
体力検査指定の項目についての測定(種目の詳細は非公表)
資格要件普通自動車免許(取得見込みを含む)、採用後5年以内の準中型自動車免許自費取得、採用後は原則として管内に居住
初任給200,300円(高校新卒の場合・令和8年4月1日現在)
消防経験者区分他消防本部での消防吏員としての実務経験4年以上(別要綱により実施)

上記の試験構成は、南信州広域連合が公表する令和8年度の消防職員(初級)の実施要綱にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の実施要綱でご確認ください。

最終合格者には受験資格の調査(資格調査)が行われます。採用は令和9年4月1日を予定し、地方公務員法第22条第1項の規定による条件附採用(6か月)となります。

提出書類は受験者本人が自筆で記入する受験申込書と、受験票送付用に110円切手を貼った長形3号の封筒で、郵送での提出も可能です。試験会場は、第1次試験が飯田広域消防本部の大会議室、第2次試験の口述試験も同本部が予定されています(性格検査・体力検査は飯田広域消防本部ほかで実施)。

飯田広域消防本部が求める人材

飯田広域消防本部が「求める人物像」という言葉を使って明文で公表している資料は見当たりません(2026年9月時点・当研究会調べ)。参考になるのは、飯田市から人口千人に満たない山間の村までを含む14市町村という管内の広さです。

高齢化率が6割を超える村から都市部の飯田市まで、地域ごとに現場の事情が大きく異なる管内では、配属先の実情を素早く理解し住民に合わせて動く力が求められやすいと考えられます(管内の構成から見た当研究会の見立てです)。

また、採用後5年以内の準中型免許取得という要件からは、入庁後も自分自身の能力を計画的に高めていく姿勢が期待されていることがうかがえます。志望動機が飯田市など特定の1つの市町だけで完結すると、14市町村という管内全体への視点を問われたときに弱くなる可能性があります。

加えて、消防職員(初級)とは別に消防経験者区分が設けられている点からは、新卒者だけに頼らず、実務経験のある人材も並行して確保しようとする姿勢がうかがえます。初級で受験する場合も、将来的にどんな消防吏員になりたいかという長期的な視点を語れると、採用側の意図と自分の将来像を結び付けやすくなります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。飯田広域消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ飯田広域消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とこの地域を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴高校生活で力を入れて取り組んだことは何ですか?物事への取り組み方の筋道を、自分の言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

7つのカテゴリーは規模の異なる本部でも土台として使えますが、飯田広域消防本部を選んだ理由まで踏み込めるかどうかは、この先の固有質問への準備で差がつきます。14市町村という管内の広さは、他の受験者と回答に差をつけられる材料でもあります。

合否を分ける飯田広域消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官を志望するのですか?」
「なぜ飯田広域消防本部を志望するのですか?地域への思いを聞かせてください」

1問目は消防という職業そのものへの理解を、2問目は南信州という管轄への理解を確かめる質問です。

14市町村という管轄の広さと、そこに含まれる山間部の実情まで押さえて語れるかどうかで、回答の説得力は大きく変わります。面接で使いやすい南信州の事実を、答え方のヒントとあわせて整理しました。

質問テーマ知っておきたい南信州の事実答え方のヒント
消防という仕事の性格221人・4署7分署の体制で、14市町村という県内でも広い管内を支える(詳細は第1部1章)警察官・自衛官との違いを、広い管内を面で支える現場対応力という観点から説明できると具体性が増します
管轄の地理・自然環境南アルプスを臨む自然、天竜峡、水引の伝統産業と先端技術産業が並立する(詳細は第1部3章)自然環境と産業の両面に目を配っていることを伝えると理解の深さが伝わります
リニア中央新幹線と地域の将来飯田市に県内唯一の長野県駅が計画されている(開業時期は未定・詳細は第1部3章)大きな変化を控える地域だという認識を、消防の仕事にどうつなげたいか語れるようにする
高齢化が進む山間部天龍村の高齢化率は61.2%、根羽村は52.0%(詳細は第1部2章・4章)数字を挙げたうえで、山間部の救急対応の重要性まで言及すると具体性が増します
採用要件の特徴採用後5年以内の準中型免許自費取得、初級と経験者の2つの入口(詳細は第1部5章)自分がどちらの区分に該当するか整理し、免許取得への意欲もあわせて伝える

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

南信州広域連合は消防職員(初級)について、試験の段階と種目を公表していますが、各種目の配点までは明らかにしていません。そのため観点は、公表された試験設計から読み取れる範囲に、公務員面接で一般に使われる考え方を補って整理します。

設計から言えるのは、第2次試験で性格検査・体力検査・口述試験という3種類の異なる方法で人物を確かめる構成になっているという点です。あわせて、一般論として知っておくと役立つ考え方があります。

公務員の採用面接で広く用いられるコンピテンシー評価という物差しで、過去の行動の事実を手がかりに採用後の姿を判断します。南信州広域連合が評価方法として公表しているわけではありませんが、口述試験という個別面接の場面では、この見方が参考になります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
広い管内への対応力特定の地域だけでなく、都市部から山間部まで目を配れているか飯田市とあわせて、いくつかの町村の特徴も簡潔に説明できるようにしておく
計画的に成長する姿勢採用後5年以内の免許取得のように、期限のある目標に向けて計画的に取り組めるか過去に期限を決めて何かに取り組んだ経験があれば、その進め方を具体的に説明できるようにする
複数の検査を通じた一貫性性格検査・体力検査・口述試験という異なる方法で確かめられても、人物像に一貫性があるか作文試験で書いた内容と口述試験での発言が食い違わないよう、同じ経験を軸に準備しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の実施要綱を読み、消防職員(初級)と消防経験者のどちらで受験するか、自分の年齢・経歴から確認する
  2. 学校生活や仕事の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、人と関わりながらやり遂げた具体例を1つ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力検査に向けたトレーニングと作文試験の練習も並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5は組織研究にあてる工程で、準備量がそのまま回答の具体性に表れます。口述試験は個別面接1回で人物を確かめる構成のため、限られた準備期間ではステップ2の経験の棚卸しを後回しにしないことが肝心です。14市町村の知識だけを増やしても、自分の経験を語れなければ口述試験の評価にはつながりません。体力検査の準備も並行して進める必要があるため、計画的にスケジュールを組みましょう。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、飯田広域消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

飯田広域消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

第1次の適性検査と第2次の性格検査という似た名称の種目が続く試験だけに、それぞれの位置づけを整理しながら準備を進めると安心です。体力検査の準備と口述試験の対策を並行して進める必要がある方にも、要点を絞って取り組める内容になっています。

飯田広域消防本部の想定問答集を見る

さいごに

飯田広域消防本部の消防職員(初級)試験は、教養試験・適性検査・作文試験による第1次、性格検査・体力検査・口述試験による第2次という二段階で人物を確かめる仕組みです。採用後5年以内の準中型免許自費取得という要件も、この本部ならではの特徴といえます。

221人・4署7分署という体制で年間8,500件を超える救急に応え、飯田市のような都市部から人口千人に満たない山間の村までを含む14市町村を支えてきました。

南アルプスを望む自然や天竜峡といった景勝地、リニア中央新幹線の長野県駅計画など、南信州は今も変化を続ける地域です。

管轄の広さと地域ごとの高齢化の違いを理解したうえで、自分の経験や強みがどこで活きるのかを言葉にしていってください。148,562人が暮らす南信州の安全に、自分なりの形で関わる準備を進めていきましょう。